G 1257-17-1:2013
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 要旨······························································································································· 1
5 試薬······························································································································· 2
6 試料はかりとり量 ············································································································· 2
7 操作······························································································································· 2
7.1 試料溶液の調製 ············································································································· 2
7.2 アンチモンの抽出分離 ···································································································· 3
7.3 吸光度の測定 ················································································································ 3
8 空試験···························································································································· 3
9 検量線の作成 ··················································································································· 3
9.1 検量線用溶液の調製 ······································································································· 3
9.2 検量線の作成 ················································································································ 4
10 計算 ····························································································································· 4
11 許容差 ·························································································································· 4
G 1257-17-1:2013
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本鉄鋼連盟(JISF)から,工
業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済
産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS G 1257:2000は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS G 1257の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS G 1257-0 第0部:一般事項
JIS G 1257-1 第1部:マンガン定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-2 第2部:りん定量方法−モリブドりん酸抽出間接フレーム法
JIS G 1257-3 第3部:ニッケル定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-4 第4部:クロム定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-5 第5部:モリブデン定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-6 第6部:銅定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-7 第7部:バナジウム定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-8 第8部:コバルト定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-9 第9部:チタン定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-10-1 第10部:アルミニウム定量方法−第1節:酸分解フレーム法
JIS G 1257-10-2 第10部:アルミニウム定量方法−第2節:酸可溶性アルミニウム定量方法
JIS G 1257-10-3 第10部:アルミニウム定量方法−第3節:鉄分離フレーム法
JIS G 1257-10-4 第10部:アルミニウム定量方法−第4節:電気加熱法
JIS G 1257-11-1 第11部:すず定量方法−第1節:よう化物抽出フレーム法
JIS G 1257-11-2 第11部:すず定量方法−第2節:電気加熱法
JIS G 1257-12-1 第12部:鉛定量方法−第1節:酸分解フレーム法
JIS G 1257-12-2 第12部:鉛定量方法−第2節:よう化物抽出フレーム法
JIS G 1257-12-3 第12部:鉛定量方法−第3節:電気加熱法
JIS G 1257-13 第13部:マグネシウム定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-14 第14部:カルシウム定量方法−酸分解フレーム法
JIS G 1257-15-1 第15部:亜鉛定量方法−第1節:酸分解フレーム法
JIS G 1257-15-2 第15部:亜鉛定量方法−第2節:よう化テトラヘキシルアンモニウム・トリオクチ
ルアミン抽出フレーム法
JIS G 1257-16-1 第16部:ビスマス定量方法−第1節:よう化物抽出フレーム法
JIS G 1257-16-2 第16部:ビスマス定量方法−第2節:電気加熱法
JIS G 1257-17-1 第17部:アンチモン定量方法−第1節:よう化物抽出フレーム法
G 1257-17-1:2013
(3)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS G 1257-17-2 第17部:アンチモン定量方法−第2節:電気加熱法
JIS G 1257-18-1 第18部:テルル定量方法−第1節:よう化物抽出フレーム法
JIS G 1257-18-2 第18部:テルル定量方法−第2節:電気加熱法
JIS G 1257-19-1 第19部:ひ素定量方法−第1節:電気加熱法
JIS G 1257-19-2 第19部:ひ素定量方法−第2節:水素化物発生法(予定)
JIS G 1257-20 第20部:セレン定量方法−電気加熱法
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 1257-17-1:2013
鉄及び鋼−原子吸光分析方法−
第17部:アンチモン定量方法−
第1節:よう化物抽出フレーム法
Iron and steel-Atomic absorption spectrometric method-
Part 17: Determination of antimony-
Section 1: Flame atomization after extraction of iodide
序文
この規格は,JIS G 1257:1994の附属書26(規定)アンチモン定量方法−よう化物抽出法の規定内容につ
いて,一部技術的な変更を行い,かつ,JIS G 1257の規格群の他の規格と整合性をとって作成した規格で
ある。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,鉄及び鋼中のアンチモンを原子吸光分析によって定量する方法のうち,よう化物抽出フレ
ーム法について規定する。この規格は,鉄及び鋼中のアンチモン含有率(質量分率)0.001 5 %以上0.050 %
以下の定量に適用する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 1257-0 鉄及び鋼−原子吸光分析方法−第0部:一般事項
JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的
な使い方
3
一般事項
定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1257-0による。
注記 JIS G 1257-0には,この規格で用いる原子吸光分析装置の装置性能基準も規定されている。
4
要旨
試料を王水で分解し,硫酸を加え,加熱して硫酸の白煙を発生させて硝酸を除去した後,塩酸で塩類を
溶解する。L(+)-アスコルビン酸で鉄などを還元し,よう化カリウムを加えてアンチモンをよう化物とし,
トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(以下,TOPOという。)-4-メチル-2-ペンタノン溶液で抽出する。有
2
G 1257-17-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
機相を原子吸光分析装置のアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,アンチモン中空陰極ランプ又はアンチ
モン無電極放電ランプから放射される波長217.6 nmの光の吸光度を測定する。
5
試薬
試薬は,次による。
5.1
塩酸(1+1,2+100)
5.2
硫酸(1+1)
5.3
王水(塩酸3,硝酸1)
5.4
鉄 純度の高い鉄で,アンチモンの含有率(質量分率)が,0.000 15 %未満であることが保証されて
いるか,又は0.001 5 %以下で値が特定されているもの。
特定された値としては,妥当性が確認されていれば,認証値でなくてもよい。
5.5
よう化カリウム溶液
よう化カリウム41.5 g及びL(+)-アスコルビン酸15 gを温水約60 mLに溶解し,塩酸10 mLを加えた後,
水で液量を100 mLとする。この溶液は,使用の都度調製する。
5.6
L(+)-アスコルビン酸溶液1)(200 g/L)
この溶液は,使用の都度調製する。
注1) この溶液を調製して添加する代わりに,同量となるL(+)-アスコルビン酸をそのまま加えても
よい。
5.7
4-メチル-2-ペンタノン
5.8
TOPO-4-メチル-2-ペンタノン溶液(10 g/L)
TOPO (C24H51OP) 1 gを4-メチル-2-ペンタノン100 mLに溶解する。
5.9
アンチモン原液(Sb:150 μg/mL)
アンチモン(質量分率99.9 %以上)0.150 gをはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れ,時計皿で覆
い,王水20 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時
計皿を取り除く。洗液は,ビーカーに入れる。溶液を1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,塩
酸(1+1)5 mLを加え,水で標線まで薄めてアンチモン原液とする。
5.10 アンチモン標準液(Sb:30 μg/mL)
アンチモン原液(5.9)を,使用の都度,水で正確に5倍に薄めてアンチモン標準液とする。
6
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,表1による。
表1−試料はかりとり量
アンチモン含有率
質量分率(%)
試料はかりとり量
g
0.001 5 以上 0.030 未満
1.0
0.030 以上 0.050 以下
0.50
7
操作
7.1
試料溶液の調製
3
G 1257-17-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れ,時計皿で覆う。
b) 王水15 mLを加え,穏やかに加熱して分解する。放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取
り除く。洗液は,ビーカーに入れる。
c) 少量の水を加え,溶液をろ紙(5種A)を用いてろ過し,40〜60 ℃に温めた塩酸(2+100)及び温水
を用いてろ紙に塩化鉄(III)による黄色が認められなくなるまで洗浄し,ろ液及び洗液を合わせる。
残さは捨てる。
なお,溶液中に二酸化けい素などの残さがない場合は,このろ過操作を省略してもよい。
d) 硫酸(1+1)5 mLを加え,穏やかに加熱し,僅かに塩類が析出し始めたらビーカーを低温部に移し,
引き続き加熱して硫酸の白煙を発生させる。室温まで放冷した後,塩酸(1+1)10 mLを加え,少し
加熱して塩類を溶解し,室温まで冷却する。
7.2
アンチモンの抽出分離
7.1 d) で得た溶液に,L(+)-アスコルビン酸溶液1)(5.6)10 mLを加えてよく振り混ぜた後,約5分間放
置する。溶液を分液漏斗(100 mL)に少量の水を用いて移し入れ,よう化カリウム溶液(5.5)10 mLを加
え,水で液量を約50 mLとする。TOPO-4-メチル-2-ペンタノン溶液(5.8)を正確に10 mL加え,1分間激
しく振り混ぜ,静置して二層に分離した後,下層の水相を捨て,有機相を,乾いたろ紙(5種A)を用い
て栓付き容器にろ過する。
7.3
吸光度の測定
7.2で得た有機相の一部を,4-メチル-2-ペンタノンを用いてゼロ点を調節した原子吸光分析装置のアセチ
レン・空気フレーム中に噴霧し,アンチモン中空陰極ランプ又はアンチモン無電極放電ランプから放射さ
れる波長217.6 nmの光の吸光度を測定する。
8
空試験
9.1で調製する,アンチモン標準液(5.10)添加量ゼロの検量線用溶液(ゼロメンバー)を空試験液とし,
9.2で得る,ゼロメンバーを抽出した有機相の吸光度を,空試験液の吸光度とする。
9
検量線の作成
9.1
検量線用溶液の調製
表1のアンチモン含有率の範囲ごとに7個のビーカー(200 mL)を準備し,それぞれに表1の試料はか
りとり量と同量の鉄(5.4)をはかりとって移し入れ,時計皿で覆う。ただし,表1の値を1 mgの桁まで
ゼロが続いた値としてはかりとる(例:1.0 gは1.000 gとしてはかりとる。)。次に,表2に従ってアンチ
モン標準液(5.10)をそれぞれに正確に加える。以下,7.1のb)〜d) の手順に従って,試料と同じ操作を
試料と併行して行って検量線用溶液を調製する。
表2−検量線用溶液へのアンチモン標準液添加量
アンチモン含有率
質量分率 (%)
アンチモン標準液(5.10)の添加量
mL
0.001 5 以上 0.030 未満
0,1,2,4,6,8,10
0.030 以上 0.050 以下
0,1,2,4,6,8,10
4
G 1257-17-1:2013
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9.2
検量線の作成
9.1で得た検量線用溶液の各液について7.2及び7.3の手順に従って,試料溶液と同じ操作を試料溶液と
併行して行い,得た吸光度と添加したアンチモン量との関係線を作成し,その関係線を,原点を通るよう
に平行移動して検量線とする。
10
計算
7.3及び箇条8で得た吸光度を,9.2で作成した検量線を用いてアンチモン量に変換し,試料中のアンチ
モン含有率を,次の式によって算出する。
100
02
0
1
×
+
−
=
m
m
m
m
Sb
ここに,
Sb: 試料中のアンチモン含有率[質量分率(%)]
m1: 試料溶液中のアンチモン検出量(g)
m0: 空試験液中のアンチモン検出量(g)
m02: 空試験液調製ではかりとった鉄(5.4)中のアンチモン量(g)
[鉄(5.4)中のアンチモン含有率(質量分率)が0.000 15 %
未満で,値が特定されていない場合は,アンチモン量を0
とする。]
m: 試料はかりとり量(g)
11
許容差
許容差は,表3による。
表3−許容差
単位 質量分率(%)
アンチモン含有率
室内再現許容差
室間再現許容差
0.001 5以上 0.050以下
f (n)×[0.017 0×(Sb)+0.000 34]
f (n)×[0.019 2×(Sb)+0.000 27]
許容差計算式中のf (n) は,JIS Z 8402-6の表1(許容範囲の係数)による。nの値は,室内再現許容
差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である。
また,(Sb) は,許容差を求めるアンチモン定量値の平均値[質量分率(%)]である。
注記 これらの許容差は,アンチモン含有率(質量分率)0.001 %以上0.05 %未満の試料を用い,共同
実験した結果から求めたものである。