サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

G 1239:2014  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 一般事項························································································································· 3 

5 要旨······························································································································· 3 

6 試薬······························································································································· 3 

7 器具及び材料 ··················································································································· 4 

8 装置······························································································································· 4 

9 試料の採取及び調製 ·········································································································· 5 

9.1 分析用試料の採取 ·········································································································· 5 

9.2 分析試料の調製 ············································································································· 5 

10 試料のはかりとり ··········································································································· 6 

11 操作 ····························································································································· 7 

11.1 準備操作 ····················································································································· 7 

11.2 定量操作 ····················································································································· 7 

12 空試験 ·························································································································· 7 

13 検量線の作成 ················································································································· 7 

13.1 検量線の作成方法の区分 ································································································ 7 

13.2 試薬による検量線の作成 ································································································ 8 

13.3 鉄鋼認証標準物質による検量線の作成 ·············································································· 9 

14 検量線の校正 ················································································································· 9 

15 計算 ···························································································································· 10 

16 許容差 ························································································································· 10 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11 

G 1239:2014  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本鉄鋼連盟(JISF)から,工

業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済

産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 1239:2014 

鉄及び鋼−酸素定量方法− 

不活性ガス融解−赤外線吸収法 

Iron and steel-Determination of oxygen- 

Infrared absorption method after fusion under inert gas 

序文 

この規格は,2005年に第1版として発行されたISO 17053を基とし,適用範囲の変更などの技術的内容

を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,不活性ガス融解−赤外線吸収法による鉄及び鋼中の酸素定量方法について規定する。この

方法は,鉄及び鋼中の酸素含有率(質量分率)0.000 5 %以上0.05 %以下の定量に適用する。 

注記1 この規格に規定した方法によって酸素を定量した場合,試料表面と結合又は吸着した酸素も

合わせて定量されるため,微量域においては試料内部の酸素量より高値を示すおそれがある。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 17053:2005,Steel and iron−Determination of oxygen−Infrared method after fusion under inert 

gas(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 0417 鉄及び鋼−化学成分定量用試料の採取及び調製 

注記 対応国際規格:ISO 14284,Steel and iron−Sampling and preparation of samples for the 

determination of chemical composition(IDT) 

JIS G 1201 鉄及び鋼−分析方法通則 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 8005 容量分析用標準物質 

JIS K 8517 二クロム酸カリウム(試薬) 

JIS R 6004 研削材及び研磨材,といし並びに研磨布紙−用語及び記号 

JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度 

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS Z 2613 金属材料の酸素定量方法通則 

JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部:精確さに関する値の実用的

な使い方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS G 1201,JIS R 6004及びJIS Z 2613によるほか,次による。 

3.1 

ガス抽出 

鉄鋼試料に含まれる酸化物形成酸素及び/又は固溶酸素を黒鉛るつぼの炭素と反応させて一酸化炭素を

生成させ,融解した鉄鋼試料から放出させる操作。 

注記1 ガス抽出の用語は,JIS K 0211[分析化学用語(基礎部門)]に示されている“抽出”の用語

の定義から外れているが,他の材料について酸素定量法を規定したJISとの用語の整合性を

保つために用いている。 

注記2 試料によっては黒鉛るつぼ内で二酸化炭素が生成される場合もあるが,鉄鋼試料では,生成

される二酸化炭素量は無視できるほど小さい。 

3.2 

ガス抽出温度 

ガス抽出を行う条件として設定した温度。 

3.3 

脱ガス 

ガス抽出温度以上に設定した温度で黒鉛るつぼを空焼きして,るつぼ又はるつぼに入れた物質中のガス

成分を追い出す操作。 

3.4 

るつぼ脱ガス温度 

黒鉛るつぼを脱ガスするためにガス抽出温度より高く設定した温度。 

3.5 

すず脱ガス温度 

黒鉛るつぼに入れた浴剤のすず中の酸素を除くためにガス抽出温度以上のすずが突沸しないレベルに設

定した温度。 

3.6 

電解研磨 

試料表面を電解によって溶解させて試料表面の酸化膜を除去する操作。 

3.7 

物理研磨 

やすり又は研磨布,研磨ベルトなどの研磨布紙を用いて試料表面を研磨するか,又は旋盤などの研削装

置によって試料表面を研削して試料表面の酸化膜を除去する操作。 

注記 物理研磨は,通常,研磨後の表面酸素量が電解研磨後の表面酸素量よりも多い。 

3.8 

二重るつぼ 

外るつぼと内るつぼとで構成されている黒鉛るつぼ。両るつぼの間隙は小さいことが望ましい。 

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.9 

インパルス加熱 

黒鉛るつぼに直接通電し,るつぼを数秒間で2 000〜2 800 ℃に昇温する加熱方式。 

3.10 

インパルス炉 

固定された上部水冷銅電極及び上下に移動ができる下部水冷銅電極で構成し,両電極の間に挟んだ黒鉛

るつぼのインパルス加熱が可能な炉。 

一般事項 

定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201及びJIS Z 2613による。 

要旨 

不活性ガス気流中で,黒鉛るつぼをインパルス加熱し,その熱によってるつぼ内の試料を2 000 ℃以上

に加熱して融解し,試料に含まれる酸素を黒鉛るつぼの炭素と反応させて一酸化炭素とする。生成した一

酸化炭素を不活性ガスによってそのまま赤外線検出器に導くか,又は一酸化炭素を二酸化炭素に酸化した

後に赤外線検出器に導き,一酸化炭素又は二酸化炭素による赤外線の吸収量を測定する。別途,二クロム

酸カリウム又は鉄鋼標準物質を用いて検量線を作成し,赤外線の吸収量を酸素量に変換する。 

注記 この規格においては,二酸化炭素の測定・補正機能をもつ装置での測定は,一酸化炭素による

赤外線の測定の規定に含まれるものとする。これは,一酸化炭素による赤外線の測定に関する

規定において,別途に二酸化炭素の測定・補正機能をもつ装置による測定を認めているという

ことでもある。 

試薬 

試薬は,次による。 

6.1 

溶存酸素を除いた水 

溶存酸素を除いた水は,JIS K 0050のE.1(溶存酸素を除いた水の場合)によって使用の都度調製する。 

6.2 

不活性ガス 例えば,体積分率99.995 %以上のヘリウムなど。 

6.3 

すず ペレット状(例えば,質量約0.5 gのもの)又は粒状で,できるだけ酸素含有率の低いもの。 

6.4 

酸素標準液(二クロム酸カリウム溶液)(O:10 mg/mL) 

めのう乳鉢で軽く砕いたものを,150 ℃で約1時間加熱した後,デシケーター中で常温まで放冷した二

クロム酸カリウム5.253 gを1 mgの桁まで正確にはかりとってビーカー(200 mL)に移し入れ,約100 mL

の溶存酸素を除いた水(6.1)で溶解する。200 mLの全量フラスコに溶存酸素を除いた水(6.1)を用いて

移し入れ,溶存酸素を除いた水(6.1)で標線まで薄めて酸素標準液とする。この溶液は,使用の都度調製

する。 

なお,二クロム酸カリウムは,JIS K 8005又はJIS K 8517相当品を用いる。 

6.5 

鉄鋼認証標準物質 酸素含有率の認証値が得られていて,分析試料と組成が類似した標準物質。 

6.6 

検量線校正用試料 酸素含有率が,検量線の上限付近の均質な鉄鋼試料。 

検量線を含有率によって区分して作成している場合は,区分ごとに校正用試料を準備してもよい。 

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

器具及び材料 

器具及び材料は,通常の分析で用いるもののほか,次による。 

7.1 

黒鉛るつぼ 使用するインパルス炉に適合するもので酸素の空試験値の低いもの。 

二重るつぼを用いてもよい。 

黒鉛るつぼの取扱いは,金属製の黒鉛るつぼばさみを用いて行う。 

7.2 

ニッケルカプセル 例えば,直径6 mm×長さ12 mm(質量約0.5 g)の形状のもので,酸素量の低

いもの。 

ニッケルカプセルの酸素量(試薬による検量線作成時のゼロメンバーの酸素測定値)が高い場合は,カ

プセル表面が汚染している可能性があるため,洗浄操作による酸素量低減効果の有無を調べてから用いる

のが望ましい。酸素量低減効果が認められた場合は,購入ロット全体のニッケルカプセルについて洗浄操

作を行う。 

注記 洗浄操作の手順の例を,次に示す。 

a) 洗浄時から24時間程度の時間内での使用が見込まれる個数のニッケルカプセルをビーカ

ー(200 mL)に入れ,塩酸(1+5)約100 mLを加える。 

b) ガラス棒でビーカー内を2〜3分間かき混ぜた後,塩酸を捨てる。 

c) 水約100 mLを加え,パウダーレスのクリーン手袋をして,ビーカー上面を手のひらで押

さえながら上下に強く振った後,水を捨てる。 

d) c) の操作を5回以上繰り返す。 

e) 水を十分に除いた後,アセトン約50 mLを加え,軽く振り混ぜ,水とアセトンをなじませ

てから,アセトンを捨てる。 

f) 

アセトン約50 mLを加え,超音波洗浄した後,アセトンを捨てる。 

g) 風乾した後,真空デシケーター又は乾燥剤を入れたデシケーター中に保存する。 

7.3 

ピストン式ピペット 容量100 μLで,誤差が1 μL以内のもの。 

装置 

この規格で使用する酸素定量装置(以下,装置という。)は,不活性ガス精製部,ガス抽出部,ガス精製

部又はガス酸化部,ガス測定部などで構成され,各部は,次の性能を満たさなければならない。 

a) 不活性ガス精製部 不活性ガスの中の不純物(水分,二酸化炭素など)を除去する機能をもつもの。 

注記 不活性ガス精製部は,通常,水酸化ナトリウムなどを含浸させた磁器粒子を詰めた脱二酸化

炭素管,過塩素酸マグネシウムを詰めた脱水管などで構成されている。 

b) ガス抽出部 試料中の酸素を一酸化炭素としてガス化して不活性ガス気流中に抽出できるもので,空

気の混入防止,黒鉛るつぼの脱ガスなど,定量における空試験値を低減できる機能をもつもの。 

注記 ガス抽出部は,通常,黒鉛るつぼを2 000 ℃以上に加熱できるインパルス炉,不活性ガス雰

囲気中で試料をインパルス炉に投入できる試料投入器などで構成されている。 

c) ガス精製部 試料融解時に発生した黒鉛微粉末,すず微粉末などを除去する機能をもつもの。 

注記 ガス精製部は,例えば,石英ガラスウールを詰めた集じん管,ディスクフィルターなどで構

成されている。 

d) ガス酸化部 試料から発生した一酸化炭素を二酸化炭素に変換する機能をもつもの。 

注記 ガス酸化部は,通常,集じんフィルター,酸化管[例えば,酸化銅(II)を詰め,電気抵抗

加熱炉で加熱された管]などで構成されている。 

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) ガス測定部 一酸化炭素又は二酸化炭素による赤外線吸収量を測定し,吸収量の積算値を出力できる

もの。 

注記 ガス測定部は,通常,赤外線検出器,赤外線検出器で検出した信号を積算して出力する指示

計などで構成されている。 

試料の採取及び調製 

9.1 

分析用試料の採取 

分析用試料の採取は,JIS G 0417又はJIS Z 2613による。 

9.2 

分析試料の調製 

9.2.1 

電解研磨による調製 

電解研磨による調製は,次の手順で行う。 

a) 試料調製 試料は,あらかじめ適正な大きさ(例:直径5 mm又は5 mm角×長さ25 mm)に加工す

る。試料の表面は,粒度がJIS R 6010の3.(粒度の種類)に規定する粒度の種類P120より細粒の炭

化けい素質研磨材を使用した研磨装置若しくは研磨器具,又は中目より目の細かい鉄工やすりによっ

て研磨して滑らかな表面となるように仕上げる。 

なお,この試料前処理は省略してもよい。 

黒変部など,初期の試料表面に酸化生成物が明瞭に認められる場合は,研磨ベルト,旋盤など適切

な器具・装置を用いて,過熱しないように表層を研磨して試料の表面から,酸化生成物を取り除く試

料前処理を行う。 

b) 電解 試料を陽極とし,図1に示す例のように電極線につるすか又は磁石などを用いて保持して,図

2に示すように陰極材(白金など)を陰極にした電解装置に入れ,試料を電解研磨する。電解研磨条

件例を表1に示す。 

c) 洗浄・保管 電解研磨した試料は,水洗を十分に行った後,エタノールなどで水を除き,次に石油エ

ーテルなどで洗浄溶媒を除き,アセトンなどの中に保管する。電解後の試料は清浄なピンセットなど

で取り扱い,素手で触らない。 

図1−陽極での試料保持例 

1 電極線 

2 試料 

1

2

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2−電解装置の構造 

表1−電解研磨条件例 

電解研磨条件  酸化クロム(VI)−りん酸電解研磨法 

酢酸−過塩素酸電解研磨法 

対象試料 

鉄及び鋼(ステンレス鋼を除く) 

鉄及び鋼(ステンレス鋼を含む) 

電解液組成 

酸化クロム(VI)(CrO3)(170 g)+りん酸500 mL 酢酸10+過塩素酸1 

陰極 

ステンレス鋼(SUS 304など)又は白金 

ステンレス鋼(SUS 304など)又は白金 

電流密度 

1.0 A/cm2 a) 

0.4 A/cm2 a) 

電圧 

3〜10 V 

10〜20 V 

温度 

60〜70 ℃ 

5〜30 ℃(水冷) 

通電量 

300 C/cm2(1.0 A/cm2の電流密度で5分間通電) 

120 C/cm2(0.4 A/cm2の電流密度で5分間通電) 

注a) 電流が上げられないときは,電解時間を長くする。 

9.2.2 

物理研磨による調製 

物理研磨による調製は,JIS G 0417によるか,又は次の手順で行う。 

a) 黒変部など,初期の試料表面に酸化生成物が明瞭に認められる場合は,研磨ベルト,旋盤など適切な

器具・装置を用いて,過熱しないように表層を研磨して試料の表面から酸化生成物を取り除く。 

b) 鉄工やすり,研磨布紙,旋盤などを用いて,摩擦による温度上昇をできるだけ抑えるよう,力加減に

注意して,b) による研磨調製を行う前の試料表面がなくなるまで,試料表面を丁寧に研磨又は研削し

て仕上げる。複数の方法を併用して仕上げてもよい。 

研磨布紙を用いる場合は,材質が黒色炭化けい素系(記号C)で,JIS R 6010の3. に規定する粒度

の種類P120より細粒の研磨材を塗布したものを用いる。 

c) b) で仕上げた試料又は試料の研磨面を,石油エーテル,アセトンなどで洗浄及び乾燥する。研磨材を

塗布した器具を用いて研磨した場合は,超音波洗浄を行うことが望ましい。 

調製した試料は,清浄なピンセットなどで取り扱い,素手で触らない。 

10 

試料のはかりとり 

試料は,9.2によって調製した試料から,酸素含有率(質量分率)が0.01 %以下の場合は約1 gを,0.01 %

を超える場合は約0.5 gを切り出す。ただし,使用する装置の特性を考慮してはかりとり量を変えてもよい。 

試料の切り出しは,ボルトクリッパなどを用いて行い,のこ切断,砥石切断などの,切り出し面の酸素

1 直流電源 

2 試料 

3 陰極材(白金など) 

4 電解液 

(−) 

4

(+) 

1

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

量が高くなるとみなされる方法は,用いないか,又は切断後に切断面を9.2によって調製する。 

切り出した試料の質量を1 mgの桁まではかる。 

試料を切り出してから9.2によって調製し,その後に試料の質量を1 mgの桁まではかってもよい。 

11 

操作 

11.1 

準備操作 

準備操作は,次の手順によって行う。 

a) 装置各部を事前の検討によって決定した条件に設定し,装置の各部を安定させる。 

b) 新しい黒鉛るつぼ(7.1)を装置指定の位置に設置し,黒鉛るつぼをるつぼ脱ガス温度に事前の検討に

よって決定した時間,加熱・保持して黒鉛るつぼを脱ガスする。 

c) 脱ガスした黒鉛るつぼをガス抽出温度に移行・保持し,ベースラインを安定状態にした後,事前の検

討によって決定した時間分の測定強度を積算した値を読み取る。安定した積算値が得られるまでこの

操作を繰り返す。 

11.2 

定量操作 

定量操作は,準備操作,空試験,及び検量線の作成又は校正に引き続き,次の手順によって行う。定量

操作は分析対象に対し2回以上行うことが望ましい。試料及びすず(6.3)は常にピンセットを用いて取り

扱い,素手で触らない。 

a) 新しい黒鉛るつぼ(7.1)を装置指定の位置に設置する。 

b) 試料を装置に備えられている試料投入器に入れ,黒鉛るつぼをるつぼ脱ガス温度で指定時間加熱・保

持して脱ガスする1)。 

注1) 浴剤として,すず(6.3)を黒鉛るつぼに添加してもよい。その場合は,すず(6.3)も脱ガス

する。すずの添加方法並びに黒鉛るつぼ及びすず(6.3)の脱ガス手順は,装置製造者の手順

書に従う。 

注記 黒鉛るつぼに二重るつぼを用い,すずを添加することによって,特に試薬を用いた検量線の

作成及び定量において,再現性の高い結果が得られる。 

c) 脱ガスした1) 黒鉛るつぼをガス抽出温度に保持し,ベースラインを安定状態にした後,試料投入器の

試料を黒鉛るつぼに投入し,試料中の酸素によって発生した一酸化炭素又は一酸化炭素を酸化した二

酸化炭素を,赤外線検出器によって計測し積算値を読み取る。 

12 

空試験 

空試験は,準備操作(11.1)に引き続き次の手順によって行う。 

a) 新しい黒鉛るつぼ(7.1)を装置指定の位置に設置し,11.2 b) と同じ条件で黒鉛るつぼを脱ガスする1)。

ただし,試料は試料投入器に入れない。 

b) 11.2 c) と同じ条件で,試料を投入しないで分析し,積算値を読み取る。 

c) a) 及びb) の操作を2回以上繰り返し,積算値の平均値を求め,空試験積算値とする。 

空試験積算値を酸素質量に変換したとき,1 µg以上の場合は,装置の再チェックを行う。 

13 

検量線の作成 

13.1 

検量線の作成方法の区分 

検量線の作成は,準備操作(11.1),空試験(箇条12)に引き続き,次のいずれかの手順によって行う。 

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 試薬による検量線の作成 

b) 鉄鋼認証標準物質による検量線の作成 

13.2 

試薬による検量線の作成 

13.2.1 

検量線用溶液の調製 

6個の100 mLの全量フラスコを用意し,それぞれに表2に示す量の酸素標準液(二クロム酸カリウム溶

液)(6.4)を移し入れ,溶存酸素を除いた水(6.1)で標線まで薄めて検量線用溶液とする。ただし,用い

る装置の特性を考慮して試料はかりとり量の変更及び/又は分析室での定量範囲の変更を行った場合は,

No.5及びNo.6又はNo.6の検量線用溶液の調製を省略してもよい。 

検量線用溶液は,使用の都度調製する。各々の検量線用溶液100 µLは,表2の最右端の列に示す酸素量

を含む。 

表2−酸素標準液の検量線用溶液への添加量 

検量線用溶液 

No. 

酸素標準液(二ク
ロム酸カリウム溶

液)(6.4)添加量 

mL 

検量線用溶液 

100 µL中の酸素量 

µg 

1 a) 

 0 

  0 

 3 

 30 

 5 

 50 

10 

100 

20 

200 

30 

300 

注a) ゼロメンバー 

13.2.2 

検量線の作成 

試薬による検量線を作成する手順は,次による。ニッケルカプセル(7.2)及びすず(6.3)は常にピンセ

ットを用いて取り扱い,素手で触らない。 

a) 少なくとも4個のニッケルカプセル(7.2)を準備し,13.2.1で調製した検量線用溶液の各液100 μLを,

ピストン式ピペット(7.3)を用いてそれぞれに移し入れ,90〜95 ℃で2時間乾燥し,デシケーター

中で室温まで放冷する。 

ニッケルカプセル(7.2)内での検量線用溶液の乾燥は,突沸が生じないように徐々に加熱する。 

b) 新しい黒鉛るつぼ(7.1)を装置指定の位置に設置し,a) で調製したニッケルカプセルの一つを装置の

試料投入器に入れる。すず(6.3)0.5 g 2) を黒鉛るつぼに投入して黒鉛るつぼ及びすず(6.3)を脱ガ

スする。すずの投入方法並びに黒鉛るつぼ及びすず(6.3)の脱ガス手順は,装置製造業者の手順書に

従う。 

注2) すず(6.3)の突沸の発生,又はすず蒸発量が大きいことによって装置内のすず汚染が激しい

場合は,すずの量を適正に調節する。 

c) 黒鉛るつぼをガス抽出温度に保持し,ベースラインを安定状態にした後,試料投入器のニッケルカプ

セルを黒鉛るつぼに投入し,積算値を読み取る(試料量は1 gと設定して測定する。)。 

d) a) で準備した全てのニッケルカプセルについてb) 及びc) の操作を行って積算値を読み取り,検量線

シリーズ溶液の各メンバーの積算値からゼロメンバーの積算値を差し引いて正味の積算値とする。 

e) 検量線シリーズ溶液の各メンバーの酸素質量と正味の積算値との関係線を作成して検量線とする。 

background image

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

各試料の測定積算値は,式(1)によって酸素質量に変換する。 

mo=k×I  ················································································· (1) 

ここに, 

mo: 酸素質量(μg) 

k: 検量線係数(検量線から求めた積算値の酸素質量

への変換係数) 

I: 積算値 

13.3 

鉄鋼認証標準物質による検量線の作成 

鉄鋼認証標準物質(6.5)を用いて検量線を作成する手順は,次による。 

a) 酸素含有率の認証値が異なる数種(4種以上)の鉄鋼認証標準物質(6.5)を9.2によって調製し,認

証値が質量分率0.01 %以下の場合は約1 gを,0.01 %を超える場合は約0.5 gを切り出して1 mgの桁

まではかり,デシケーター中へ保管する。ただし,箇条10において,使用する装置の特性を考慮して

試料はかりとり量を変えた場合は,同じ手順で鉄鋼認証標準物質(6.5)のはかりとりを行う。前処理

を必要としない認証標準物質は,そのまま用いる。 

b) 新しい黒鉛るつぼ(7.1)を装置指定の位置に設置する。 

c) a) で保管した鉄鋼認証標準物質(6.5)の一つを試料投入器に入れ,黒鉛るつぼをるつぼ脱ガス温度に

指定時間加熱・保持して黒鉛るつぼを脱ガスする1)。 

d) 脱ガスした1) 黒鉛るつぼをガス抽出温度に保持し,ベースラインを安定状態にした後,試料投入器の

鉄鋼認証標準物質(6.5)を黒鉛るつぼに投入し,試料中の酸素によって発生した一酸化炭素又は一酸

化炭素を酸化した二酸化炭素を,赤外線検出器によって計測し積算値を読み取る。 

e) a) で調製した全ての鉄鋼認証標準物質(6.5)についてb)〜d) の操作を行って積算値を読み取る。 

f) 

各鉄鋼認証標準物質(6.5)のはかりとった質量と認証値との積で得られる酸素質量とe) の積算値と

の関係線を原点を通るように作成して検量線とする。 

各試料の測定積算値は,式(1)によって酸素質量に変換する。 

14 

検量線の校正 

装置の長時間稼働,長時間の測定休止後の測定の再開などによって,検出器の感度が変化して正しい定

量値が得られない場合は,箇条13による新たな検量線の作成に代えて,検量線の校正によって定量値を求

めてもよい。 

検量線の校正は,次に示す手順によって行う。 

a) 箇条13による検量線作成時に,検量線校正用試料(6.6)を併行して測定し,箇条13によって作成し

た検量線を用いて酸素質量を求め,式(3)によって含有率に変換する。測定は4回以上実施し,その平

均値を検量線校正用試料(6.6)の基準含有率C0Hとする。鉄鋼認証標準物質(6.5)を検量線校正用試

料(6.6)に用いた場合でも,その装置での検量線校正用試料(6.6)の基準含有率C0Hは,認証値では

なく,測定の平均値である。 

b) 検量線の校正が必要と判断されたとき,試料の定量に先立って検量線校正用試料(6.6)を測定し,箇

条13によって作成した検量線を用いて酸素質量を求め,式(3)によって含有率に変換する。測定は2

回以上実施し,その平均値を検量線校正用試料(6.6)の校正時含有率CHとする。 

校正係数αを次の式によって求める。 

H

H

0C

C

=

α

試料測定値は,式(2)によって酸素質量に変換する。 

background image

10 

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

mo=α×k×I  ············································································ (2) 

15 

計算 

11.2及び箇条12の空試験で得た積算値について,式(1)又は式(2)によって酸素質量に変換し,試料中の

酸素含有率を,式(3)によって算出する。 

4

0

1

10

)

(

×

=

m

m

m

O

····································································· (3) 

ここに, 

(O): 試料中の酸素含有率[質量分率(%)] 

m1: 試料の酸素検出量(μg) 

m0: 空試験における酸素検出量(μg) 

m: 箇条10で求めた試料はかりとり量(g) 

16 

許容差 

この方法の許容差は,表3及び表4による。 

表3−許容差(試薬による検量線を用いた場合) 

単位 質量分率(%) 

酸素含有率 

併行許容差 

室内再現許容差 

室間再現許容差 

0.000 5以上0.05以下 

f(n)×[0.000 673×(O)0.343 5] 

f(n)×[0.002 460×(O)0.513 0] 

f(n)×[0.004 082×(O)0.458 3] 

許容差計算式中のf(n) の値は,JIS Z 8402-6の表1(許容範囲の係数)による。nの値は,室内再現許容差の場合

は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である。また,(O) は,許容
差を求める酸素定量値の平均値[質量分率(%)]である。 

表4−許容差(鉄鋼認証標準物質による検量線を用いた場合) 

単位 質量分率(%) 

酸素含有率 

併行許容差 

室内再現許容差 

室間再現許容差 

0.000 5以上0.05以下 

f(n)× 

[0.010 3×(O)+0.000 09] 

f(n)× 

[0.022 1×(O)+0.000 08] 

f(n)× 

[0.027 5×(O)+0.000 14] 

許容差計算式中のf(n) の値は,JIS Z 8402-6の表1(許容範囲の係数)による。nの値は,室内再現許容差の場合

は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場合は分析に関与した分析室数である。また,(O) は,許容
差を求める酸素定量値の平均値[質量分率(%)]である。 

background image

11 

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS G 1239:2014 鉄及び鋼−酸素定量方法−不活性ガス融解−赤外線吸収法 

ISO 17053:2005 Steel and iron−Determination of oxygen−Infrared method after 
fusion under inert gas 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

適用範囲を規定 
0.000 5 %〜0.05 % 

適用範囲を規定 
0.000 75 %〜0.01 % 

変更 

JISは,適用範囲を拡大。 

ISOに改正提案の予定。 

2 引用規
格 

3 用語及
び定義 

用語及び定義を規
定 

追加 

JISは,用いる用語の定義を規
定。 

ISOに改正提案の予定。 

4 一般事
項 

一般事項を規定 

追加 

JISは,鉄及び鋼の分析方法の
一般事項を規定。 

JISとISO規格との様式の違いで
改正提案はしない。 

5 要旨 

分析法概要を記述 

分析法概要を記述 

変更 

JISは,検量線を作成する試薬
を変更。また,鉄鋼標準物質に
よる検量線作成も認める。 

JIS変更点をISOに改正提案の予
定。 

6 試薬 

試薬を規定 

試薬を規定 

変更 

JISは,水の規定及び検量線作
成に用いる試薬を変更。 
また,鉄鋼認証標準物質を追
加。 

JIS変更点をISOに改正提案の予
定。 

7 器具及
び材料 

器具及び材料を規
定 

器具及び材料を含む,装
置を規定 

変更 

JISは,黒鉛るつぼについて二
重るつぼを追加。 

ISO規格に反映させるには負荷が
大きいので当面改正提案はしな
い。 

8 装置 

装置を規定 

器具及び材料を含む,装
置を規定 

変更 

JISは,装置構成各部の機能を
規定。 

ISO規格は,市販装置の使用が前
提。技術的差異はない。 

2

G

 1

2

3

9

2

0

1

4

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

12 

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

9 試料の
採取及び
調製 

試料の採取及び調
製方法を規定 


7.2 
7.5 

サンプリング方法を規定 
調製方法を規定 
調製方法の試験を規定 

選択 
変更 
削除 

JISは,JIS Z 2613を追加。 
JISは,電解研磨法を追加。 

試料の採取及び調製を規定して
いるISO 14284について改正提案
の予定。 
JISは,精確さの検討をJIS G 
1201で規定。技術的差異はない。 

10 試料の
はかりと
り 

試料の量及びはか
りとり方法を規定 

7.2 

試料はかりとり量を規定 

追加 

JISは,拡大した定量範囲に対
応した試料はかりとり量を規
定。 

ISOに改正提案の予定。 

11 操作 
11.1 準備
操作 

 
準備操作を規定 

7.1 

準備操作を規定 

変更 

JISは,ISO規格の不要な規定
を削除。 

ISOに改正提案の予定。 

11.2 定量
操作 

定量操作を規定 

7.6 

定量操作を規定 

変更 

JISは,表面酸素除去法を削除。
また,ニッケルカプセルを入れ
ない。 

表面酸素除去法は別途規格化の
予定。 

12 空試験 空試験を規定 

7.3 

空試験を規定 

変更 

JISは,空試験の差の規定を削
除。 

ISOに改正提案の予定。 

13 検量線
の作成 

検量線の作成方法
を規定 

7.4 

検量線の作成方法を規定 

変更 

JISは,試薬を変更。またブラ
ンク値を差し引いて作成。鉄鋼
標準物質による検量線作成も
認める。 

ISOに改正提案の予定。 

14 検量線
の校正 

検量線の校正方法
を規定 

追加 

JISは,検量線作成の代替操作
として新規に追加。 

ISOに改正提案の予定。 

15 計算 

計算方法を規定 

8.1 

変更 

JISは,空試験値を差し引いて
計算。 

検量線の作成方法の違いによる
もので技術的差異はない。 

16 許容差 許容差を規定 

8.2 

変更 

JISは,日本国内の共同実験で
許容差を決定。 

ISOに適用範囲拡大の共同実験実
施を提案の予定。 

報告 

削除 

報告は,一般事項による。技術的
差異はない。 

2

G

 1

2

3

9

2

0

1

4

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

13 

G 1239:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 17053:2005,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 
  − 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

G

 1

2

3

9

2

0

1

4

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。