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G 1236-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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日本工業規格 JIS
G 1236-1992
鋼中のタンタル定量方法
Method for determination of tantalum in steel
1. 適用範囲 この規格は,鋼中のタンタル定量方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS G 1201 鉄及び鋼の分析方法通則
2. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201による。
3. 定量方法 タンタルの定量方法は,ふっ化物・ビクトリアブル−B抽出吸光光度法による。この方法
は,タンタル含有率0.000 5% (m/m) 以上0.10% (m/m) 未満の試料に適用する。
4. ふっ化物・ビクトリアブル−B抽出吸光光度法
4.1
要旨 試料を塩酸と硝酸の混酸で分解し,ふっ化水素酸,硫酸及びりん酸を加えた後,硫酸白煙処
理を行う。ふっ化水素酸でタンタルをふっ化物とした後,ビクトリアブル−Bを加える。呈色錯体をベン
ゼンに抽出し,その吸光度を測定する。
4.2
試薬 試薬は,次による。
(1) ふっ化水素酸
(2) ふっ化水素酸 (38+62)
(3) 硫酸 (1+1)
(4) りん酸 (1+1)
(5) 混酸(塩酸3,硝酸1)
(6) 鉄 できるだけ純度の高い鉄で,タンタル及びほう素を含有しないか,又はタンタル含有率ができる
だけ低く既知であり,ほう素含有率が40ppm以下のもの。
(7) 洗浄溶液 硫酸 (1+1) 90ml,りん酸 (1+1) 40ml,ふっ化水素酸 (38+62) 40ml及びビクトリアブル
−B溶液 [(9)] 150mlを加えてよく混ぜる。常温まで冷却した後,水で液量を500mlとする。この溶液
はポリエチレン試薬瓶中で保存する。
(8) アスコルビン酸溶液 (20g/l) 使用の都度調製する。
(9) ビクトリアブル−B溶液 ビクトリアブル−B1.2gを約500mlの水に溶解した後で,水で液量を1
000mlとする。乾いたろ紙(5種A)でろ過した後使用する。
(10) メタノール
(11) ベンゼン
(12) 標準タンタル溶液A (10μgTa/ml) タンタル[99.9% (m/m) 以上]0.100 0gをはかり取り,白金皿に移
し入れる。ふっ化水素酸10mlを加えた後,硝酸を滴加して分解する。常温まで冷却後,1 000mlの全
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量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100μgTa/ml) とする。この原液を使用
の都度,必要量だけふっ化水素酸 (1+100) で正確に10倍に薄めて標準タンタル溶液Aとする。原液
及び標準タンタル溶液Aはポリエチレン試薬瓶中で保存する。
(13) 標準タンタル溶液B (4μgTa/ml) 標準タンタル溶液A [(12)] の原液を必要量だけ,ふっ化水素酸 (1+
100) で正確に25倍に薄めて標準タンタル溶液Bとする。この溶液は使用の都度調製し,ポリエチレ
ン試薬瓶中に移し入れる。
4.3
試料はかり取り量 試料はかり取り量は,表1による(1)。
注(1) はかり取った試料中のバナジウムは12.5mg,タングステンは25mgを超えてはならない。
表1 試料はかり取り量
タンタル含有率
% (m/m)
試料はかり取り量
g
0.000 5以上 0.008 未満
0.50
0.008 以上 0.04 未満
0.25
0.04 以上 0.10 未満
0.10
4.4
操作
4.4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う(2)。
(1) 試料をはかり取って石英ビーカー (200ml) に移し入れる。
(2) 石英時計皿で覆い,混酸15mlを加え,静かに加熱して分解する。次に硫酸 (1+1) 9ml,りん酸 (1+
1) 4m1及びふっ化水素酸3mlを加え,引き続き加熱して硫酸の白煙を約3分間発生させる。放冷後,
少量の水で塩類を溶解する。
(3) メタノール40mlを加えよくかくはんし,静かに加熱してメタノールを揮散させた後,再び硫酸の白
煙を約3分間発生させる。放冷後,少量の水で塩類を溶解する。
注(2) はかり取った試料中に含まれるほう素量が20μg未満の場合には,(3)の操作は行わない。
4.4.2
呈色及び抽出 呈色及び抽出は,次の手順によって行う。
(1) 4.4.1の(2)又は(3)で得た試料溶液を常温まで放冷した後,ふっ化水素酸 (38+62) をポリエチレン全量
ピペットを用いて正確に4mlを添加する。この溶液を少量の水を用いてポリエチレン分液漏斗
(100ml) に移し入れ,アスコルビン酸溶液 [4.2(8)] 3mlを加えた後,水で液量を35mlとする。
(2) ビクトリアブル−B溶液 [4.2(9)] 15mlを加えてよく混ぜる。ベンゼンを表2に従って正碓に加えて30
秒間激しく振り混ぜて静置し,二層に分離した後,下層を捨てる。洗浄溶液 [4.2(7)] 25mlを加えて30
秒間激しく振り混ぜて静置し,二層に分離した後,下層を捨てる。この洗浄操作をもう一度繰り返す。
表2 ベンゼン添加量
タンタル含有率
% (m/m)
ベンゼン添加量
ml
0.000 5以上 0.008 未満
20
0.008 以上 0.04 未満
50
0.04 以上 0.10 未満
50
4.4.3
吸光度の測定 4.4.2(2)で得た有機相の一部を乾いたふた付ポリエチレンビーカーに移し入れ,5分
間放置した後,上層部を傾斜法で光度計のセル(10mm,石英製)に取り,最初の溶液についてはセル内
に5分間放置後捨て,再び上層部を傾斜法でセルに取り,ベンゼンを対照液として,波長630nm付近の吸
光度を測定する。
参考 有機相を乾いたポリエチレンビーカーに移し入れ,しばらく放置した後,上層部を傾斜法でセ
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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ルに取れば,水分の混入が防げる。有機相を乾いたろ紙でろ過すると,ばらつきの原因となる
のでろ過は行ってはならない。
また,セル内部と有機相の接触(洗浄)が不十分であると吸光度の退色が著しく,大きな誤
差を生じる場合がある。
4.5
空試験 試料の代わりに鉄 [4.2(6)] を,はかり取った試料と同量はかり取り,石英ビーカー (200ml)
に移し入れる。以下,4.4.1(2)〜4.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。
4.6
検量線の作成 表3のタンタル含有率範囲ごとに,7個の石英ビーカー (200ml) を準備し,それぞ
れに表1の試料はかり取り量と同量の鉄 [4.2(6)] をはかり取って移し入れる。次に,表3の標準タンタル
溶液添加量に従って標準タンタル溶液を正確に加える。以下,4.4.1(2)〜4.4.3の手順に従って試料と並行し
て操作し,得た吸光度とタンタル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検
量線とする。
表3 標準タンタル溶液添加量
タンタル含有率
% (m/m)
使用する標準
タンタル溶液
標準タンタル溶液添加量
ml
0.000 5 以上
0.008 未満
B [4.2(13)]
0,1,2,4,6,8,10
0.008 以上 0.04 未満
A [4.2(12)]
0,1,2,4,6,8,10
0.04 以上 0.10 未満
A [4.2(12)]
0,1,2,4,6,8,10
4.7
計算 4.4.3及び4.5で得た吸光度と,4.6で作成した検量線とからタンタル量を求め,試料中のタン
タル含有率を,次の式によって算出する。
タンタル% (m/m)=A
A
m
1
2
−
×100
ここに,
A1: 試料溶液中のタンタル検出量 (g)
A2: 空試験液中のタンタル検出量(3) (g)
m: 試料はかり取り量 (g)
注(3) 空試験に使用した鉄中にタンタルが含まれる場合は,はかり取った鉄中のタンタル量を差し引
く。
4.8
許容差 許容差は,表4による。
表4 許容差
単位 % (m/m)
室内許容差
室間許容差
D2[0.009 2×(Ta含有率)+0.000 12] D2[0.016 3×(Ta含有率)+0.000 40]
参考 この許容差はタンタル含有率0.001% (m/m) 以上0.11% (m/m) 未満の試料を用いて求めたも
のである。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
鉄鋼分析部会(部会長)
佐 伯 正 夫
新日本製鐵株式会社
化学分析分科会(主査)
岩 田 英 夫
日本鋼管株式会社
(直属幹事)
吉 川 裕 泰
日本鋼管株式会社
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
広 川 吉之助
東北大学金属材料研究所
和 田 俊 雄
愛知製鋼株式会社
中 井 浩
川鉄テクノリサーチ株式会社
合 田 明 弘
川鉄テクノリサーチ株式会社
小 石 想 一
川鉄テクノリサーチ株式会社
浅 野 栄 一
川鉄テクノリサーチ株式会社
沼 田 武
株式会社神戸製鋼所
粕 谷 治
株式会社神戸製鋼所
三 浦 信 一
株式会社神戸製鋼所
汐 田 健一郎
株式会社神戸製鋼所
高 瀬 信 男
山陽特殊製鋼株式会社
竹 田 秀 俊
新日本製鐵株式会社
野 口 義 哉
新日本製鐵株式会社
浪 花 敏 夫
新日本製鐵株式会社
江 塚 宏
新日本製鐵株式会社
大 水 勝
新日本製鐵株式会社
植 村 健
新日本製鐵株式会社
黒 田 幸 清
新日本製鐵株式会社
土 屋 武 久
新日本製鐵株式会社
喜 多 孝 夫
新日本製鐵株式会社
近 藤 博 幸
新日本製鐵株式会社
中 村 泰 三
新日本製鐵株式会社
安 楽 勇
新日本製鐵株式会社
桐 本 武 志
住友金属工業株式会社
平 松 茂 人
住友金属工業株式会社
鳥 野 勇
住友金属工業株式会社
中 里 福 和
住友金属工業株式会社
浜 松 茂 喜
住友金属工業株式会社
老 田 昭 夫
住金テクノリサーチ株式会社
塚 田 鋼 二
日本鋼管株式会社
小 倉 正 之
日本鋼管株式会社
小 沢 幸 男
株式会社日本製鋼所
松 田 地 生
日本冶金工業株式会社
宮 原 和 男
日立金属株式会社
高 崎 惣 一
三菱製鋼株式会社
大 濱 煕 久
日新製鋼株式会社
原 田 幹 雄
株式会社中山製鋼所
栗 山 孝 司
合同製鐵株式会社
石 黒 雄 彦
日本金属工業株式会社
(幹事委員)
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
蔵 保 浩 文
住友金属工業株式会社
岡 野 輝 雄
川崎製鉄株式会社
河 村 恒 夫
株式会社コベルコ科研
成 田 正 尚
大同特殊鋼株式会社
大 坪 孝 至
社団法人日本鉄鋼連盟
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
増 喜 浩 二
社団法人日本鉄鋼協会
タンタル分析WG(リーダー)
茂 木 文 吉
大同特殊鋼株式会社
山 本 佳 博
新日本製鐵株式会社
猪 熊 康 夫
住友金属工業株式会社
太 田 法 明
株式会社コベルコ科研
鉄鋼部会 鉄及び鋼の分析方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
大河内 春 乃
科学技術庁金属材料技術研究所
中 島 一 郎
通商産業省基礎産業局
服 部 幹 雄
工業技術院標準部
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会ISO事務局
河 村 恒 夫
株式会社コベルコ科研
永 山 宏
日立マテリアルエンジニアリング株式会社
松 村 泰 治
川崎製鉄株式会社技術研究本部分析物性研究センター
宮 原 和 男
日立金属株式会社安来工場
吉 原 聖 博
日本冶金工業株式会社川崎製造所
佐 伯 正 夫
新日本製鐵株式会社技術開発本部先端技術研究所
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
束 原 巌
古河電気工業株式会社研究開発本部横浜研究所
小 沢 幸 男
日鋼検査サービス株式会社
成 田 正 尚
大同特殊鋼株式会社研究開発本部特殊鋼研究所
橋 本 勝
株式会社日産アーク
日野谷 重 晴
住友金属工業株式会社研究開発本部鉄鋼技術研究所
森 本 求
愛知製鋼株式会社知多工場
岩 田 英 夫
日本鋼管株式会社技術開発本部中央研究所
大 濱 煕 久
日新製鋼株式会社呉製鉄所
(関係者)
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社技術開発本部先端技術研究所
吉 川 裕 泰
日本鋼管株式会社京浜製鉄所
(事務局)
大 磯 義 和
工業技術院標準部材料規格課
早 野 幸 雄
工業技術院標準部材料規格課
小 田 宏 行
工業技術院標準部材料規格課