2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 1232-1980
鋼中のジルコニウム定量方法
Methods for Determination of Zirconium in Steel
1. 適用範囲 この規格は,鋼中のジルコニウム定量方法について規定する。
引用規格:
JIS G 1201 鉄及び鋼の分析方法通則
2. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201(鉄及び鋼の分析方法通則)による。
3. 方法の区分 鋼中のジルコニウム定量方法は,次のいずれかによる。
(1) キシレノールオレンジ吸光光度法 この方法は,ジルコニウム含有率0.6%未満の試料に適用する。
(2) ふっ化物共沈分離キシレノールオレンジ吸光光度法 この方法は,ニオブを含みジルコニウム含有率
0.6%未満の試料に適用する。
4. キシレノールオレンジ吸光光度法
4.1
要旨 試料を適切な酸で分解し,残さはピロ硫酸カリウムで融解して主液に合わせる。チオグリコ
ール酸とチオ尿素で鉄及び銅などの妨害を除いた後,ジルコニウム−キシレノールオレンジ錯体を生成さ
せて吸光度を測定し,更にふっ化水素アンモニウムで錯体を分解して着色を消し,再び吸光度を測定して
その差を求める。
4.2
適用分野 試料が,ジルコニウム含有率0.02%未満の場合,硫酸で分解困難な場合及び残さ処理を
省略する場合は,試料溶液の調製及び呈色操作は,それぞれ別操作による。
4.3
試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸 (1+4, 1+9, 1+100)
(2) 過塩素酸
(3) ふっ化水素酸
(4) 硫酸 (1+9)
(5) 王水 (塩酸3,硝酸1)
(6) アンモニア水 (1+1)
(7) 鉄 できるだけ純度の高い鉄で,ジルコニウムを含有しないか,又はジルコニウム含有率ができる
だけ少なく既知であるもの。
(8) 過酸化水素水
(9) ピロ硫酸カリウム
(10) ふっ化水素アンモニウム溶液 (10w/v%)
(11) 亜硫酸ナトリウム溶液 亜硫酸ナトリウム (7水塩) 300gを水で溶解して1 000mlとしたもの。
2
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(12) 硫酸アルミニウム溶液 (5w/v%)
(13) チオグリコール酸溶液 (10v/v%)
(14) チオ尿素溶液 (1w/v%)
(15) クペロン溶液 クペロン (ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩,C6H5N2O2NH4)6g
を水に溶解して,水で100mlに薄めたもの。この溶液は,使用の都度調製する。
(16) キシレノールオレンジ溶液 キシレノールオレンジ (C31H30N2O13SNa) 0.05gを水に溶解して水で
100mlに薄めたもの。この溶液は,使用の都度調製する。
(17) 標準ジルコニウム溶液 (50μgZr/ml) あらかじめ1 000℃で強熱してデシケ−タ−中で常温まで放冷
した酸化ジルコニウム(99.9%以上)0.3375gをはかり取ってビーカー (200ml) に移し,時計ざらで
覆い,硫酸20ml及び硫酸アンモニウム10gを加えて完全に分解するまで加熱する。しばらく放冷
した後,硫酸30mlを加えて水で500mlのメスフラスコに移し入れ,常温まで冷却した後,水で標
線まで薄めたものを標準原液 (500μgZr/ml) とする。使用の都度,その50mlを分取して500mlのメ
スフラスコに移し,水で標線まで薄めたものを標準ジルコニウム溶液とする。
4.4
試料はかり取り量 試料はかり取り量は原則として,表1による。
表1
ジルコニウム含有率
%
試料はかり取り量
g
0.02 未満
2.0
0.02 以上0.6 未満
1.0
4.5
操作
4.5.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次による。
(1) ジルコニウム含有率0.02%未満の試料で塩酸に分解容易な場合
(1.1) はかり取った試料をビーカー (300ml) に移して時計ざらで覆い,塩酸 (1+4) 150mlを加えて加熱分
解する。これに亜硫酸ナトリウム溶液〔4.3(11)〕20mlを加えて静かに煮沸して第二鉄を還元する。
この溶液を10〜15℃に冷却した後,溶液をかき混ぜながらクペロン溶液〔4.3(15)〕を,生じた沈殿
がかっ色を呈するまで滴下する。沈殿はろ紙パルプを入れたろ紙(5種A)でこし分け,冷塩酸 (1
+9) で十分に洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。
(1.2) 沈殿及び残さはろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移して乾燥した後,ろ紙を灰化して冷却する。こ
れにピロ硫酸カリウム1.5gを加え,暗赤色になるまで加熱して融解する。常温まで冷却した後,ビ
ーカー (200ml) にるつぼごと入れ,融成物を硫酸 (1+9) 10mlと水20mlを加えて加熱溶解し,常温
まで冷却して100mlのメスフラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
(2) ジルコニウム含有率0.02%未満の試料で塩酸に分解困難な場合
(2.1) はかり取った試料をビーカー (300ml) に移して時計ざらで覆い,王水30ml及び過塩素酸20mlを加
えて加熱分解し,過塩素酸の白煙を発生させてほとんど乾固するまで蒸発する。冷却後,塩酸 (1
+4) 150mlを加えて塩類を溶解し,亜硫酸ナトリウム溶液〔4.3(11)〕40mlを加えて静かに煮沸して
第二鉄を還元する。この溶液を10〜15℃に冷却した後,溶液をかき混ぜながらクペロン溶液
〔4.3(15)〕3mlを徐々に加える。沈殿はろ紙パルプを入れたろ紙(5種A)でこし分け,冷塩酸 (1
+9) で十分に洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。
(2.2) 沈殿及び残さは,4.5.1(1.2)の手順に従って操作する。
(3) ジルコニウム含有率0.02%以上の試料で硫酸に分解容易な場合
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(3.1) はかり取った試料をビーカー (300ml) に移して時計ざらで覆い,硫酸 (1+9) をジルコニウム含有
率に応じて,表2に従って加えて加熱分解する。次に過酸化水素水を滴下して鉄などを酸化した後,
更に加熱煮沸して過剰の過酸化水素を分解する。冷却後,ろ紙(5種C)を用いてろ過し,温水で
十分に洗浄する。ろ液と洗液をビーカー (300ml) に集め,主液として保存する。
(3.2) 残さは,ろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移して乾燥した後,ろ紙を灰化して冷却する。これにピ
ロ硫酸カリウム2.0gを加え,暗赤色になるまで加熱して融解する。常温まで冷却した後,融成物は
主液を用いて溶解し,白金るつぼは少量の水で洗って取り出す。常温まで冷却後,200mlのメスフ
ラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
表2
ジルコニウム含有率
%
硫酸 (1+9) 添加量
ml
分取量
ml
0.02 以上0.1未満
35
40
0.1 以上0.3未満
60
20
0.3 以上0.6未満
110
10
(4) ジルコニウム含有率0.02%以上の試料で硫酸で分解困難な場合
(4.1) はかり取った試料をビーカー (300ml) に移して時計ざらで覆い,王水20mlを加えて加熱分解し,
煮沸して窒素酸化物などを除去する。冷却後水を加えて約50mlとし,ろ紙(6種)を用いてろ過し,
塩酸 (1+100) で十分に洗浄する。ろ液と洗液をビーカー (300ml) に集め,主液として保存する。
(4.2) 残さは,ろ紙と共に白金るつぼ(30番)に移して乾燥した後,ろ紙を灰化して冷却する。これにピ
ロ硫酸カリウム2.0gを加え,暗赤色になるまで加熱して融解する。常温まで冷却した後,融成物は
塩酸 (1+9) 20mlを加えて加熱溶解し,常温まで冷却した後,主液と共に200mlのメスフラスコに
移し入れ,水で標線まで薄める。
(5) ジルコニウム含有率0.02%以上の試料で残さ処理を省略する場合 はかり取った試料を石英製ビーカ
ー (300ml) に移して時計ざらで覆い,王水20ml及び過塩素酸20mlを加えて加熱分解し,過塩素酸の
白煙を発生させた後冷却する。次にふっ化水素酸3〜4mlを加え,引き続き濃厚な白煙が発生するま
で加熱する。冷却後少量の水でビーカーの内壁を洗い,再び濃厚な白煙が発生するまで加熱する。こ
の操作を3回繰り返して完全にふっ化水素酸を揮散させる(1)。わずかに冷却した後,水で約100mlに
薄め,過酸化水素水3〜4mlを滴下して重クロム酸を還元し,煮沸して過剰の過酸化水素を分解する。
常温まで冷却した後,200mlのメスフラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
注(1) このときの加熱温度が低いとふっ素イオンが残存し,負の影響を与える原因となるので注意す
る必要がある。
4.5.2
呈色
(1) ジルコニウム含有率0.02%未満の試料の場合
(1.1) 4.5.1(1)又は4.5.1(2)で得た試料溶液から50mlを分取し(2),100mlのメスフラスコに移し入れる。
(1.2)これにチオグリコール酸溶液 (10v/v%) 5mlを加えて振り混ぜ,鉄によって生じた青色を消失させる。
次に,チオ尿素溶液 (1w/v%) 5ml及びキシレノールオレンジ溶液 〔4.3(16)〕 10mlを加えて振り混
ぜた後,80℃の水浴中に浸せきして5分間加温する。常温まで冷却した後水で標線まで薄める。
(2) ジルコニウム含有率0.02%以上の試料で硫酸に分解容易な場合 4.5.1(3)で得た試料溶液から,ジルコ
ニウム含有率に応じて表2に従って一定量(3)を分取し,100mlのメスフラスコに移し入れる。次に水
で液量を50mlに薄め,以下,4.5.2(1.2)の手順に従って操作する(4)。
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(3) ジルコニウム含有率0.02%以上の試料で硫酸で分解困難な場合 4.5.1(4)で得た試料溶液から,ジルコ
ニウム含有率に応じて表2に従って一定量(2)を分取し,100mlのメスフラスコに移し入れる。次にア
ンモニア水 (1+1) で水酸化鉄の沈殿が生ずるまで中和し(5),直ちに硫酸 (1+9) 6mlを加える。このと
き液量が50ml以下の場合は,水で液量50mlに薄める。以下,4.5.2(1.2)の手順に従って操作する(4)。
(4) ジルコニウム含有率0.02%以上の試料で残さ処理を省略した場合 4.5.1(5)で得た試料溶液から,ジル
コニウム含有率に応じて表2に従って一定量(3)を分取し,100mlのメスフラスコに移し入れる。次に
硫酸アルミニウム溶液 (5w/v%) 10mlを加えた後,常温で10分間放置し,更にアンモニア水 (1+1) で
水酸化鉄の沈殿が生ずるまで中和(5)し,直ちに硫酸 (1+9) 6mlを加える。このとき液量が50ml以下
の場合は,水で液量50mlに薄める。
これにチオグリコール酸溶液 (10v/v%) 5mlを加えて振り混ぜ,鉄によって生じた青色を消失させる。
次にチオ尿素溶液 (1w/v%) 5ml及びキシレノールオレンジ溶液〔4.3(16)〕10mlを加えて振り混ぜた後,
常温で10分間放置して呈色させた後,水で標線まで薄める(3)(4)。
注(2) けい酸などの沈殿を認めた場合は,乾燥ろ紙(5種A)でろ過後分取する。
(3) 分取した溶液中にジルコニウムとして0.02〜0.3mgを含むように表2に従って分取する。
(4) 呈色溶液中にニッケル50mg,クロム25mg,モリブデン15mg,タングステン1.25mg,銅0.5mg,
マンガン15mg,チタン5mg,バナジウム5mg,ニオブ+タンタル0.05mg,コバルト20mg及び
アルミニウム5mgまでの共存は妨害とならない。
(5) アンモニア水の過剰添加は負の誤差を与えるので,十分に注意する必要がある。
4.5.3
吸光度の測定 4.5.2で得た呈色溶液の一部を光度計の吸収セルに取り,波長530nm付近の吸光度
を測定する。次に残っている元の呈色溶液にふっ化水素アンモニウム溶液 (10w/v%) 5〜10滴を加えてかき
混ぜ,再び波長530nm付近の吸光度を測定し,前後の吸光度の差を求める(6)。
注(6) 硫酸アルミニウム溶液を添加した場合は,ふっ化アンモニウム溶液を滴下した後,直ちに吸光
度を測定しなければならない。
4.6
検量線(7)(8)(9)の作成
4.6.1
ジルコニウム含有率が0.02%未満の場合 数個のビーカー (500ml) を準備し,それぞれに鉄
〔4.3(7)〕2.000gをはかり取り,更に標準ジルコニウム溶液0〜8mlを段階的に正確に加えて時計ざらで覆
う。塩酸 (1+4) 150mlを加えて静かに加熱して鉄を分解する。これに亜硫酸ナトリウム溶液 (10w/v%) 30ml
を加えて静かに煮沸して第二鉄を還元する。この溶液を10〜15℃に冷却した後,溶液をかき混ぜながらク
ペロン溶液〔4.3(15)〕を,生じた沈殿がかっ色を呈するまで滴下する。沈殿はろ紙パルプを入れたろ紙(5
種A)でこし分け,冷塩酸 (1+9) で十分に洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。以下,4.5.1(1.2),4.5.2(1)及
び4.5.3の手順に従って操作して吸光度を測定し,吸光度と呈色溶液中のジルコニウム量との関係を求めて
検量線とする。
4.6.2
ジルコニウム含有率0.02%以上の場合 6個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれに鉄〔4.3(7)〕
1.000gをはかり取って移し,更に標準ジルコニウム溶液0,5,10,15,20及び30mlと硫酸 (1+9) 35,35,
34,34,33及び32mlをそれぞれ正確に加えて時計ざらで覆い,静かに加熱して鉄を分解する。次に,過
酸化水素水を滴下して鉄などを酸化した後,更に加熱煮沸して過剰の過酸化水素を分解する。常温まで冷
却した後,250mlのメスフラスコに移し入れ水で標線まで薄める。これから50mlを分取して100mlのメス
フラスコに移し入れる。以下,4.5.2(1.2)及び4.5.3の手順に従って操作して吸光度を測定し,吸光度と呈色
溶液中のジルコニウム量との関係を求めて検量線とする。
注(7) キシレノールオレンジは試薬ロット及び試薬溶液調製後の経時変化によって,同一ジルコニウ
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ム量に対して吸光度が異なることがあるので,検量線は分析の都度作成する必要がある。
(8) 試料と組成が類似したジルコニウム含有率既知の数個の標準試料を用いて検量線を作成するこ
とができる。この場合は,表1に示すそれぞれのジルコニウム含有率範囲内で,ジルコニウム
含有率の異なる3個以上の標準試料を選ばなければならない。これらの標準試料を4.5.1〜4.5.3
の手順に従って操作して吸光度を測定して,吸光度とジルコニウム含有率との関係を求めて検
量線とする。
(9) 検量線の作成に使用した鉄中にジルコニウムが含まれる場合は,はかり取った鉄中のジルコニ
ウム量を,標準ジルコニウム溶液として添加したジルコニウム量に加算する。
4.7
計算 4.6で作成した検量線に4.5.3で得た吸光度をそう入してジルコニウム量 (g) を求め,試料中
のジルコニウム含有率を,次の式によって算出する。
100
)
(
×
×B
=
%
ジルコニウム
W
A
ここに
A: 分取した試料溶液中のジルコニウム量 (g)
W: 試料はかり取り量 (g)
B: 試料溶液の分取比
4.8
分析精度 この方法による分析精度は,表3による。
表3
単位%
ジルコニウム含有率
室内標準偏差
室間標準偏差
0.067(10)以上0.6未満
0.0114×〔Zr (%)〕+0.0009 0.0122×〔Zr (%)〕+0.0052
注(10) この数値は,分析精度決定のために用いられた試料のジルコニウム含有率の
最低値である。
5. ふっ化物共沈分離キシレノールオレンジ吸光光度法
5.1
要旨 試料を塩酸で分解し,クペロンでジルコニウム錯体を生成させ,少量の鉄と共沈させてこし
分ける。これを硝酸,過塩素酸及びふっ化水素酸で分解して過塩素酸白煙処理後,硝酸で塩類を溶解する。
これにふっ化水素酸,硝酸バリウム及び硝酸ランタンを反応させて,ジルコニウムをふっ化ジルコニウム
酸バリウムとしてランタンと共沈させ,こし分けてニオブと分離する。沈殿をほう酸,硝酸及び過塩素酸
で溶解した後,過塩素酸,チオグリコール酸及びキシレノールオレンジを反応させて,生じたジルコニウ
ム−キシレノールオレンジ錯体の吸光度を測定する。
5.2
試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸 (1+4, 1+9)
(2) 硝酸
(3) 硝酸 (1+2)
(4) 過酸素酸
(5) 過塩素酸 (1+3)
(6) ふっ化水素酸
(7) ふっ化水素酸 (2+98)
(8) ほう酸溶液 (6w/v%)
6
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(9) 鉄 できるだけ純度の高い鉄で,ジルコニウムを含有しないか,又はジルコニウム含有率ができるだ
け少なく既知であるもの。
(10) アルミニウム溶液 硝酸アルミニウム(9水塩)34.72gをはかり取ってビーカー (300ml) に移し,時
計ざらで覆い,過塩素酸100mlを加えて加熱し,過塩素酸の白煙を激しく発生させた後,冷却し,水
を加えて500mlに薄めたもの。
(11) 硝酸バリウム溶液 (5w/v%)
(12) 硝酸バリウム・硝酸ランタン混合溶液 硝酸ランタン(6水塩)4.98gを水で溶解して300mlに薄め,
硝酸バリウム溶液 (5w/v%) 100mlを加えて混合したもの。
(13) チオグリコール酸溶液 (10v/v%)
(14) クペロン溶液 クペロン(ニトロソフェニルヒドロキシルァミンアンモニウム塩) (C6H5N2O2NH4) 6g
を水に溶解して水で100mlに薄めたもの。この溶液は,使用の都度調製する。
(15) キシレノールオレンジ溶液 キシレノールオレンジ (C31H30N2O13SNa2) 0.05gを水に溶解して水で
100mlに薄めたもの。この溶液は,使用の都度調製する。
(16) 標準ジルコニウム溶液 (50μgZr/ml) あらかじめ1 000℃で強熱してデシケーター中で常温まで放冷し
た酸化ジルコニウム(99.9%以上)0.3375gをはかり取ってビーカー (200ml) に移し,時計ざらで覆い,
硫酸20ml及び硫酸アンモニウム10gを加えて完全に分解するまで加熱する。しばらく放冷した後,
硫酸30mlを加えて水で500mlのメスフラスコに移し入れ,常温まで冷却した後,水で標線まで薄め
たものを標準原液 (500µgZr/ml) とする。使用の都度,その50mlを分取して500mlのメスフラスコに
移し,水で標線まで薄めたものを標準ジルコニウム溶液とする。
5.3
試料はかり取り量及び鉄添加量 試料はかり取り量及び鉄添加量は,原則として表4による。
表4
ジルコニウム含有率
%
試料はかり取り量
g
鉄添加量
g
0.02 未満
1.0
0
0.02 以上
0.1 未満
0.50
0
0.1 以上
0.3 未満
0.20
0.50
0.3 以上
0.6 未満
0.10
0.50
5.4
操作
5.4.1
試料溶液の調製 はかり取った試料をビーカー (500ml) に移し,表4に従って鉄をはかり取って
加え,時計ざらで覆い,塩酸 (1+4) 150mlを加えて加熱分解する。
5.4.2
クペロン沈殿分離 5.4.1で得た試料溶液を10〜15℃に冷却した後,溶液をかき混ぜながらクペロ
ン溶液〔5.2(14)〕5mlを滴下する。次にろ紙パルプを入れたろ紙(5種A)でこし分け,冷塩酸 (1+9) で
十分に洗浄する。ろ液と洗液は捨てる。沈殿及び残さをろ紙と共に石英製ビーカー (100ml) に移して時計
ざらで覆い,硝酸10ml,過塩素酸15ml及びふっ化水素酸1〜2mlを加え,加熱してろ紙及び沈殿を分解す
る。更に加熱を続けて過塩素酸の白煙を発生させ,引き続き5分間加熱を続ける。放冷した後,硝酸 (1
+2) 40mlを加えて塩類を溶解し,水を用いてポリエチレンビーカー (300ml) に洗い移し,水を加えて液
量を約80mlとする。
7
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5.4.3
ふっ化物沈殿分離 5.4.2で得た試料溶液にふっ化水素酸20mlを加えてよく振り混ぜ,5分間放置
して不溶解残さを溶解する。溶液を振り混ぜながら硝酸バリウム,硝酸ランタン混合溶液〔5.2(12)〕20ml
を加え,更によく振り混ぜる。これに少量のろ紙パルプを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で20〜30分間加熱
する。流水中で冷却した後,沈殿をポリエチレン漏斗を用いてろ紙(5種B)でこし分け,ビーカーをふ
っ化水素酸 (2+98) で3〜5回洗浄してろ紙上に注ぎ,沈殿及びろ紙は水で数回洗浄する。ろ液と洗液は
捨てる。
沈殿をろ紙と共に石英製ビーカー (200ml) に移し,ほう酸溶液 (6w/v%) 5ml,硝酸10ml及び過塩素酸
10mlを加えて加熱し,ろ紙及び沈殿を分解する。更に加熱して過塩素酸の白煙を発生させ,引続き加熱蒸
発して液量が約5mlになるまで濃縮する。常温まで冷却した後,水で100mlのメスフラスコに移し入れ,
水を加えて標線まで薄める。
5.4.4
呈色 5.4.3で得た試料溶液から20mlを分取して50mlのメスフラスコに移し入れ,アルミニウム
溶液〔5.2(10)〕1ml及び過塩素酸 (1+3) 5mlを正確に加え,次にチオグリコール酸溶液 (10v/v%) 1mlを加
えてよく振り混ぜ,鉄を還元する。更にキシレノールオレンジ溶液〔5.2(15)〕5mlを加えて水で標線まで
薄める。次に沸騰水浴中で3分間加熱した後,常温まで冷却する。
5.4.5
吸光度の測定 5.4.4で得た呈色溶液の一部を光度計の吸収セルに取り,波長540nm付近の吸光度
を測定する。
5.5
検量線(11)は,次のようにして作成する。
数個のビーカー (500ml) を準備してそれぞれに鉄〔5.2(9)〕1.000gをはかり取って加え,更に標準ジル
コニウム溶液0〜12mlを段階的に正確に加えて時計ざらで覆う。塩酸 (1+4) 150mlを加えて加熱し,鉄を
分解する。以下,5.4.2〜5.4.5の手順に従って操作して吸光度を測定し,吸光度と呈色溶液中のジルコニウ
ム量との関係を求めて検量線とする。
注(11) 試料と組成が類似したジルコニウム含有率既知の数個の標準試料を用いて検量線を作成するこ
とができる。この場合は,表4に示すそれぞれのジルコニウム含有率範囲内で,ジルコニウム含
有率の異なる3個以上の標準試料を選ばなければならない。これらの標準試料を5.4.1〜5.4.5の手
順に従って操作して吸光度を測定し,吸光度とジルコニウム含有率との関係を求めて検量線と
する。
5.6
計算 5.5で作成した検量線に5.4.5で得た吸光度をそう入してジルコニウム量 (g) を求め,試料中
のジルコニウム含有率を次の式によって算出する。
100
)
(
×
×B
=
%
ジルコニウム
W
A
ここに
A: 分取した試料溶液中のジルコニウム量 (g)
W: 試料はかり取り量 (g)
B: 試料溶液の分取比
5.7
分析精度 この方法による分析精度は,表5による。
表5
単位%
ジルコニウム含有率
室内標準偏差
室間標準偏差
0.008(10)以上0.60未満
0.0126×〔Zr (%)〕+0.0017 0.0321×〔Zr (%)〕+0.0029
8
G 1232-1980
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
鉄鋼部会 鉄及び鋼の分析方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
後 藤 秀 弘
東北大学
須 藤 恵美子
科学技術庁金属材料技術研究所
田 村 忠 男
工業技術院標準部
飯 田 芳 男
成蹊大学
神 森 大 彦
社団法人日本化学会
岸 高 寿
社団法人日本鉄鋼協会
榎 並 豊一郎
日産自動車株式会社
永 山 宏
株式会社日立製作所
宮 原 和 男
日立金属株式会社
栗 原 国 勝
日本冶金工業株式会社
鈴 木 孝 範
株式会社日本製鋼所
大 槻 孝
新日本製鉄株式会社
針間矢 宣 一
川崎製鉄株式会社
井樋田 睦
日本鋼管株式会社
藤 野 允 克
住友金属工業株式会社
伊 藤 六 仁
大同特殊鋼株式会社
谷 口 政 行
株式会社神戸製鋼所
加 藤 智 也
愛知製鋼株式会社
(事務局)
吉 田 信 之
工業技術院標準部材料規格課
田 中 利 穂
工業技術院標準部材料規格課