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G 0803:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 一般要求事項 ··················································································································· 2 

5 試験方法························································································································· 3 

6 像質······························································································································· 6 

7 フィルムの現像 ··············································································································· 10 

8 放射線透過写真の観察条件 ································································································ 11 

9 きずの像の分類 ··············································································································· 11 

10 許容基準 ······················································································································ 11 

11 結果の判定 ··················································································································· 12 

12 検査報告 ······················································································································ 12 

附属書A(参考)不完全部の分布の例 ····················································································· 14 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16 

G 0803:2015  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本鉄鋼連盟(JISF)から,工

業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済

産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 0803:2015 

溶接鋼管溶接部のフィルム式放射線透過検査方法 

Radiographic examination with film for the weld seam of welded steel tubes 

序文 

この規格は,2011年に第1版として発行されたISO 10893-6を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,自動アーク溶接鋼管(以下,鋼管という。)の管軸方向又はらせん方向の溶接部の,フィル

ムを用いたX線による放射線透過検査方法を規定する。 

注記1 代替法であるデジタル式放射線透過検査方法は,ISO 10893-7を基礎とし,JIS G 0804として

制定している。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 10893-6:2011,Non-destructive testing of steel tubes−Part 6: Radiographic testing of the weld 

seam of welded steel tubes for the detection of imperfections(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 0203 鉄鋼用語(製品及び品質) 

JIS G 0431 鉄鋼製品の雇用主による非破壊試験技術者の資格付与 

注記 対応国際規格:ISO 11484,Steel products−Employer's qualification system for non-destructive 

testing (NDT) personnel(MOD) 

JIS G 0804 溶接鋼管溶接部のデジタル式放射線透過検査方法 

JIS Z 2300 非破壊試験用語 

JIS Z 2305 非破壊試験技術者の資格及び認証 

注記 対応国際規格:ISO 9712:2012,Non-destructive testing−Qualification and certification of NDT 

personnel(MOD) 

JIS Z 2306 放射線透過試験用透過度計 

ISO 11699-1,Non-destructive testing−Industrial radiographic film−Part 1: Classification of film systems for 

G 0803:2015  

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industrial radiography 

ISO 17636-1,Non-destructive testing of welds−Radiographic testing−Part 1: X- and gamma-ray techniques 

with film 

ISO 19232-1,Non-destructive testing−Image quality of radiographs−Part 1: Determination of the image 

quality value using wire-type image quality indicators 

ISO 19232-2,Non-destructive testing−Image quality of radiographs−Part 2: Determination of the image 

quality value using step/hole-type image quality indicators 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS G 0203,JIS G 0431及びJIS Z 2300によるほか,次による。 

3.1 

管(tube) 

両端が開口した長い筒状の製品。 

3.2 

溶接鋼管(welded tube) 

鋼板製品から筒状に成形し,隣り合う端部を溶接した鋼管。溶接後に熱間工程又は冷間工程によって最

終形状にしてもよい。 

3.3 

製造業者(manufacturer) 

関連する規格に従って製品を製造し,供給する製品が,関連する規格の全ての適用される規定に従って

いることを宣言する組織。 

3.4 

協定(agreement) 

引合い及び注文時において製造業者及び購入者間で行う契約上の合意。 

一般要求事項 

4.1 

検査の時期 

製品規格の規定又は受渡当事者間の協定のない限り,この規格で規定する放射線透過検査は,全ての主

要な製造工程(例えば,圧延,熱処理,熱間仕上げ,冷間仕上げ,成形,強い矯正など)が終わった後に

行わなければならない。 

4.2 

検査技術者 

この試験は,JIS G 0431,JIS Z 2305又はこれらと同等の資格を付与され,訓練された検査技術者によ

って行わなければならない。また,製造業者によって指名された力量のある検査技術者によって監督され

なければならない。 

雇用主によって与えられる検査技術者への検査実施の許可は,文書化された手順に従ったものでなけれ

ばならない。非破壊検査手順は,雇用主によって承認された非破壊試験技術者によって承認されなければ

ならない。非破壊検査手順を承認する非破壊試験技術者は,レベル3の資格をもたなければならない。 

注記 JIS G 0431及びJIS Z 2305の中で,非破壊試験技術者の資格レベルとしてレベル1,レベル2

及びレベル3を規定している。 

4.3 

鋼管の性状 

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鋼管は,有効な検査ができるように,真っすぐであり,異物などが付着していてはならない。溶接部及

び近傍の母材部の表面は,放射線透過検査の判定に影響を及ぼすような異物の付着及び表面の不均一さ1)

があってはならない。 

許容される表面状態にするためのグラインダ仕上げは,適用してもよい。 

注1) 判定に影響を及ぼす程度の引っかききず,あばたなど。 

4.4 

溶接部位置の識別 

余盛を取り除く場合,マーカ(通常,鉛の矢の形状)を,放射線透過写真上で溶接部の位置が識別でき

るように,溶接部の両端に置かなければならない。 

4.5 

溶接部位の立証 

検査した溶接部位と放射線透過写真とが同一部位であることを,明白かつ確実にするために,識別記号

(通常,鉛の文字記号)を溶接線の放射線透過写真の各部位に配置し,それらの記号を放射線透過写真に

表示しなければならない。 

4.6 

永久マーク 

永久マーク(permanent marking)が要求される場合は,それぞれの放射線透過写真を正確な位置に再配

置する目的で,照合ポイントとして,永久マークを線源側の鋼管表面に設けなければならない。製品の性

質又は目的とする用途で刻印が認められない場合には,放射線透過写真の再配置を目的として,その他の

方法(例えば,塗料によるマーク又は正確なスケッチ)を用いなければならない。 

4.7 

フィルムのオーバーラップ 

分割されたフィルムで,連続した溶接線の放射線透過検査を行う場合,隣り合うフィルムは検査されな

い部位が残らないように,少なくとも10 mmオーバーラップさせなければならない。 

試験方法 

5.1 

一般 

鋼管の長手方向及びらせん方向の溶接部の試験は,X線フィルムを用いた放射線透過法で行う。 

5.2 

像質クラス 

像質は,次の像質クラスA及び像質クラスB(ISO 17636-1参照)に区分する。 

− 像質クラスA:標準感度でのX線試験法 

− 像質クラスB:特別感度でのX線試験法 

注記 ほとんどの場合は,像質クラスAが適用できる。像質クラスBは,非常に重要で厳格な用途の

ものに,限定して適用することを意図している。像質クラスBでは,フィルムシステムクラス

C4より感度の高い細粒フィルム及び鉛スクリーンを用いなければならない。このため,通常,

長い露出時間を要する。要求される像質クラスは,通常,製品規格で規定される。 

5.3 

フィルムシステム及び増感紙 

フィルムシステムのクラスは,像質クラスAに対しては,C5以上,像質クラスBに対しては,C4以上

とする(フィルムシステムのクラスは,ISO 11699-1及びISO 17636-1による。)。 

像質クラスA及び像質クラスBに対する金属増感紙は,0.02〜0.25 mmの厚さとする。ただし,線源に

対して後ろ側に配置する増感紙には,他の厚さのものを用いてもよい。ダブルフィルム法2) を適用する場

合,フィルムを挟む両側の増感紙の厚さは,線源に対して前側に用いる増感紙に許容される厚さ以下とす

る。 

注2) ダブルフィルム法とは,カセットにフィルムを2枚挿入し,同じものを2枚撮影する方法であ

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る。 

5.4 

蛍光増感紙 

通常,蛍光増感紙(salt intensifying screen)は,用いない。 

5.5 

後方散乱及び内部散乱 

後方散乱X線及び内部散乱X線の量は,最小限になるようにしなければならない。 

後方散乱X線の防御が不完全と思われる場合,特殊記号(通常,高さ10 mm,厚さ1.5 mmの“B”の鉛

文字)をカセット又はフィルムホルダの裏に付け,放射線透過写真を通常の方法で撮影する。この記号の

像が,バックグラウンドよりも白く放射線透過写真上に現れる場合は,後方散乱X線の防御が不完全であ

り,追加の予防策が必須である。 

5.6 

放射線照射の方向 

放射線照射の方向は,試験する溶接シーム部の中心を向き,かつ,管表面に垂直な方向でなければなら

ない。 

5.7 

試験部の有効長さ 

試験部の有効長さは,有効長さの両端において,透過する厚さの増加が,5.11及び箇条8で規定された

条件が悪化しないように,像質クラスAでは,20 %(1.2倍),像質クラスBでは,10 %(1.1倍)を超え

ない範囲としなければならない。 

5.8 

撮影方法 

撮影は,単壁法3)(single wall penetration)を用いる。単壁法を適用できない鋼管の寸法の場合では,受

渡当事者間の協定によって,二重壁法(double wall penetration)を用いてもよい。 

注3) 単壁法とは,JIS Z 2300の内部線源撮影方法又は内部フィルム撮影方法が該当する。 

5.9 

フィルムと溶接部との間隔 

フィルムと溶接部との間隔は,できる限り小さくしなければならない。 

5.10 

線源と溶接部表面との距離 

線源と溶接部表面との距離fの最小値は,実効焦点寸法dとの比f/dによって求める。f/dは,次の式(1)

及び式(2)による。 

像質クラスA 

3/2

5.7 b

d

f

×

 ············································································ (1) 

像質クラスB 

3/2

15b

d

f

×

············································································· (2) 

ここに, 

b: 線源側の溶接部表面とフィルム表面との距離(mm) 

d: 実効焦点寸法(mm) 

f: 線源と溶接部表面との距離(mm) 

図1に,この関係を示す。 

5.11 

露出条件 

露出条件は,試験を行う部位の健全な溶接金属の透過写真のフィルム濃度が,像質クラスBでは,2.3

以上,像質クラスAでは,2.0以上になるようにしなければならない。かぶり濃度4) は,0.3を超えてはな

らない。 

注4) かぶり濃度は,未露光のフィルムを現像したときの全体の濃度[支持体(ベース)の着色濃度

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及び感光乳剤の濃度を合わせたもの]である。 

5.12 

X線管電圧 

十分な感度を維持するため,X線管電圧は,図2に示す最大値を超えてはならない。 

注記 実効焦点寸法dの値と線源側溶接部表面とフィルム表面との距離bの値を直線で結び,像質クラスA又は像質

クラスBの線源と溶接部表面との最小距離fminの値を読み取る。 

図1−線源側溶接部表面とフィルム表面との距離b及び実効焦点寸法dと, 

線源と溶接部表面との最小距離fminとの関係 

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 X 透過厚さ,mm 

Y X線電圧,kV 
 

図2−500 kVまでのX線装置に対する,透過厚さを因子とした最大X線電圧 

像質 

6.1 

像質及び透過度計 

像質(Image quality)は,受渡当事者間の合意によって,ISO 19232-1,ISO 19232-2又はJIS Z 2306に規

定されたタイプの軟鋼製の透過度計を用いて測定する。針金形透過度計は,溶接部に隣接する線源側母材

部に少なくとも10 mmの針金長さが示されるように配置しなければならない。また,有孔階段形透過度計

は,溶接部近傍の線源側母材部の表面に配置しなければならない(図3及び図4参照)。有孔階段形透過

度計に代えて,有孔形透過度計を用いてもよい。 

線源側の表面に配置できない場合は,透過度計は,フィルム側に配置する。この場合,“F”の文字を透

過度計の近くに配置し,手順を変更したことを試験報告に記録する。 

透過度計の最小識別線径及び穴径は,溶接部近傍の母材部で評価し,表1〜表4の規定を満足しなけれ

ばならない。 

注記 詳細は,ISO 19232-1,ISO 19232-2及びISO 17636-1に規定されている。 

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a) 針金形 

b) 有孔階段形 

 1 ビームの中心 

2 針金形透過度計:最も細い線をビームの中心から離して配置(有効長の両端付近) 
3 有孔階段形透過度計:最も薄い段をビームの中心から離して配置 
4 外側の余盛 
5 鋼管壁 
6 内側の余盛 
a 試験部の有効長さ 
 

図3−透過度計の位置 

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a) 針金形 

b) 有孔階段形 

c) 有孔形 

図4−透過度計のタイプ 

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6.2 

像質クラスに対応する透過度計の呼び番号 

二つの像質クラスに対応する透過度計の呼び番号,及びその線径又は穴径を,表1〜表4に示す。 

図4 c) の有孔形の透過度計を用いる場合には,表2又は表4にそれぞれ規定する像質クラスA又は像質

クラスBの穴径を含んだものを用いる。 

表1−針金形透過度計の呼び番号及びその線径 

像質クラスA 

公称厚さ 

mm 

呼び番号 

公称線径 

mm 

 T ≦ 1.2 

W18 

0.063 

1.2 < T ≦ 2 

W17 

0.08 

2 < T ≦ 3.5 

W16 

0.10 

3.5 < T ≦ 5 

W15 

0.13 

5 < T ≦ 7 

W14 

0.16 

7 < T ≦ 10 

W13 

0.20 

10 < T ≦ 15 

W12 

0.25 

15 < T ≦ 25 

W11 

0.32 

25 < T ≦ 32 

W10 

0.40 

32 < T ≦ 40 

W9 

0.50 

40 < T ≦ 55 

W8 

0.63 

55 < T ≦ 85 

W7 

0.80 

85 < T ≦ 150 

W6 

1.00 

150 < T ≦ 250 

W5 

1.25 

250 < T 

W4 

1.60 

表2−有孔階段形透過度計の呼び番号及びその穴径 

像質クラスA 

公称厚さ 

mm 

呼び番号 

公称穴径 

mm 

 T ≦ 2.0 

H3 

0.200 

2.0 < T ≦ 3.5 

H4 

0.250 

3.5 < T ≦ 6 

H5 

0.320 

6 < T ≦ 10 

H6 

0.400 

10 < T ≦ 15 

H7 

0.500 

15 < T ≦ 24 

H8 

0.630 

24 < T ≦ 30 

H9 

0.800 

30 < T ≦ 40 

H10 

1.000 

40 < T ≦ 60 

H11 

1.250 

60 < T ≦ 100 

H12 

1.600 

100 < T ≦ 150 

H13 

2.000 

150 < T ≦ 200 

H14 

2.500 

200 < T ≦ 250 

H15 

3.200 

250 < T ≦ 320 

H16 

4.000 

320 < T ≦ 400 

H17 

5.000 

400 < T 

H18 

6.300 

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10 

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表3−針金形透過度計の呼び番号及びその線径 

像質クラスB 

公称厚さ 

mm 

呼び番号 

公称線径 

mm 

 T ≦ 

1.5 

W19 

0.050 

1.5 < T ≦ 

2.5 

W18 

0.063 

2.5 < T ≦ 

W17 

0.08 

4 < T ≦ 

W16 

0.10 

6 < T ≦ 

W15 

0.13 

8 < T ≦ 12 

W14 

0.16 

12 < T ≦ 20 

W13 

0.20 

20 < T ≦ 30 

W12 

0.25 

30 < T ≦ 35 

W11 

0.32 

35 < T ≦ 45 

W10 

0.40 

45 < T ≦ 65 

W9 

0.50 

65 < T ≦ 120 

W8 

0.63 

120 < T ≦ 200 

W7 

0.80 

200 < T ≦ 350 

W6 

1.00 

350 < T 

W5 

1.25 

表4−有孔階段形透過度計の呼び番号及びその穴径 

像質クラスB 

公称厚さ 

mm 

呼び番号 

公称穴径 

mm 

 T ≦ 2.5 

H2 

0.160 

2.5 < T ≦ 4 

H3 

0.200 

4 < T ≦ 8 

H4 

0.250 

8 < T ≦ 12 

H5 

0.320 

12 < T ≦ 20 

H6 

0.400 

20 < T ≦ 30 

H7 

0.500 

30 < T ≦ 40 

H8 

0.630 

40 < T ≦ 60 

H9 

0.800 

60 < T ≦ 80 

H10 

1.000 

80 < T ≦ 100 

H11 

1.250 

100 < T ≦ 150 

H12 

1.600 

150 < T ≦ 200 

H13 

2.000 

200 < T ≦ 250 

H14 

2.500 

6.3 

二重壁撮影方法の場合の透過度計の適用 

二重壁撮影方法の場合は,公称厚さの2倍に相当する厚さ(2T)の透過度計の呼び番号を適用する。 

フィルムの現像 

放射線透過写真は,試験結果の評価に影響を及ぼすような現像による不完全部(現像むらなど),及びそ

の他の有害なフィルムきずがあってはならない。 

11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

放射線透過写真の観察条件 

フィルムを観察する際の透過光の最低輝度(フィルムを透過した後の輝度)は,フィルムの濃度が2.5

以下の場合には,30 cd/m2,2.5を超える場合には,10 cd/m2とする。 

きずの像の分類 

9.1 

分類 

放射線透過写真で見つかった全てのきずの像は,9.2及び9.3に従って,有害なきずか,そうでない不完

全部かのそれぞれに分類しなければならない。 

9.2 

不完全部 

不完全部とは,この規格で記載する放射線透過試験法で検出できる溶接シーム部内の不連続部である。 

規定する許容基準内の寸法及び/又は密集度の不完全部は,鋼管の使用目的に実用的な影響はないもの

とみなす。 

9.3 

有害なきず 

有害なきずとは,規定された許容基準を超える寸法及び/又は密集度の不完全部であり,有害なきずは,

鋼管の使用目的に悪影響又は制限を与えるものとみなす。 

10 

許容基準 

10.1 

適用 

製品規格の規定又は受渡当事者間の協定のない限り,10.2〜10.6に規定する許容基準を,溶接シーム部

の放射線透過検査に適用する。 

10.2 

割れ,溶込み不良及び融合不良 

割れ,溶込み不良及び融合不良は,不合格とする。 

10.3 

スラグ巻込み及びブローホール 

単独の円形のスラグ巻込み,及びブローホールは,3.0 mm又はT/3(T:公称厚さ)のいずれか小さい直

径まで許容する。 

個々のきずの間隔が4T未満のとき,それぞれの許容された個々のきずの直径の合計は,溶接長150 mm

又は12Tのいずれか小さい方の長さ当たり,6.0 mm又は0.5Tのいずれか小さい方を超えてはならない。 

10.4 

細長いスラグ巻込み 

幅が1.5 mm以下の単独の細長いスラグ巻込みは,12.0 mm又はTのいずれか小さい方の長さまで許容す

る。 

個々のきずの間隔が4T未満のとき,それぞれ許容された単独のきずの長さの合計は,溶接長150 mm又

は12Tのいずれか小さい方の長さ当たり12 mmを超えてはならない。 

注記 参考として,10.3及び10.4の許容限界の例を,附属書Aに図式的に示す。 

10.5 

アンダカット 

最大深さが0.4 mm以下のアンダカットは,鋼管の残厚さが,許容下限値以上であれば許容される。 

放射線透過試験によって検出されたアンダカットは,グラインダ手入れを行う。 

その他のアンダカットの規定については,製品規格又は受渡当事者間の協定による。 

注記1 ISO 10893-6では,“最大長さがT/2までの単独のアンダカットについて,深さが公称厚さの

10 %を超えていなければ,最大深さ0.5 mmまで許容される。ただし,溶接長300 mmに対し

て2個までとし,手入れ(例えば,グラインダ手入れ)を行う。”と規定されている。 

12 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 製品規格の規定の例としては,ISO 3183の9.10.2では,次のように規定されている(詳細は,

ISO 3183参照)。 

− 深さ0.4 mm以下のアンダカットは,許容される。 

− 深さ0.4 mm超え,0.8 mm以下のアンダカットは,長さ及び個数の程度によって許容さ

れる。ただし,見つかったきずは,全てグラインダ手入れする。 

− 上記以外のアンダカットは,溶接補修又は不合格とする。 

10.6 

内外面にあるアンダカット 

アンダカットが溶接部の長手方向の内外面の同じ位置にある場合には,許容されない。 

11 

結果の判定 

11.1 

有害なきずのない鋼管 

有害なきず(許容基準を超えるきず)のない鋼管は,合格とする。 

11.2 

有害なきずのある鋼管 

有害なきず(許容基準を超えるきず)のある鋼管は,嫌疑材とする。 

11.3 

嫌疑材の処置 

嫌疑材は,製品規格の要求及び/又は受渡当事間の協定に従い,次の一つ又はそれ以上の処置を行う。 

a) 嫌疑部分を,グラインダ手入れによって除去する。有害なきずが完全に除去されたことを浸透探傷試

験又は磁粉探傷試験によって検証する。必要な場合,グラインダ手入れを行った部位は,放射線透過

試験によって再検査を行う。グラインダ手入れ部の残厚さは,規定の公差を満足していることを検証

するために,適切な方法で測定する。 

b) 嫌疑部分を,受渡当事者間で承認された溶接手順で行う溶接によって補修する。補修部は,この規格

及び製品規格の要求に従い放射線透過検査を行う。 

c) 嫌疑部分を,切断する。鋼管の残長は,規定の許容差内であることを検証するために測定する。 

d) この鋼管を不合格とする。 

12 

検査報告 

検査報告書の提出が要求された場合,製造業者は,受渡当事者間の合意がない限り,少なくとも次の情

報を注文者に提出しなければならない。 

a) この規格番号(JIS G 0803) 

b) 適合していることの声明 

c) 受渡当事者間協定又はその他によって規定された手順を変更した事項 

d) 製品の識別(鋼種及び寸法) 

e) 線源,撮影装置のタイプ及び実効焦点寸法並びに用いた装置 

f) 

フィルムの種類,増感紙の種類及び厚さ,並びにフィルタ使用の有無 

g) 管電圧及び管電流 

h) 露出時間及び線源とフィルムとの距離 

i) 

透過度計のタイプ及び配置位置 

j) 

透過度計の識別度及び溶接部上の最低濃度 

k) 得ることのできた像質クラス 

l) 

撮影日 

13 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m) 検査技術者の識別又は名前,並びに資格(及び認証)及び責任者の署名 

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14 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

不完全部の分布の例 

a) 例1:一つの12.0 mmの不完全部 

b) 例2:二つの6.0 mmの不完全部 

c) 例3:三つの4.0 mmの不完全部 

 a 溶接長150 mm又は12Tのいずれか小さい方 

図A.1−細長いスラグ巻込みの許容限界の例 

[不完全部の長さ(単独又は合計)の12 mmが許容限界の場合](10.4) 

a) 例1:二つの3.0 mmの不完全部 

b) 例2:一つの3.0 mm,一つの1.5 mm,一つの1.0 mm及び一つの0.5 mmの不完全部 

 a 溶接長150 mm又は12Tのいずれか小さい方 

図A.2−ブローホールタイプの許容限界の例(不完全部の合計6 mmが許容限界の場合)(10.3) 

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15 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 例3:一つの3.0 mm,一つの1.0 mm及び四つの0.5 mmの不完全部 

d) 例4:四つの1.5 mmの不完全部 

e) 例5:二つの1.5 mm及び三つの1.0 mmの不完全部 

f) 例6:六つの1.0 mmの不完全部 

g) 例7:12個の0.5 mmの不完全部 

h) 例8:三つの1.0 mm及び六つの0.5 mmの不完全部 

 a 溶接長150 mm又は12Tのいずれか小さい方 

図A.2−ブローホールタイプの許容限界の例(不完全部の合計6 mmが許容限界の場合)(10.3)(続き) 

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16 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS G 0803:2015 溶接鋼管溶接部のフィルム式放射線透過検査方法 

ISO 10893-6:2011,Non-destructive testing of steel tubes−Part 6: Radiographic 
testing of the weld seam of welded steel tubes for the detection of imperfections 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

自動アーク溶接鋼
管の溶接部のフィ
ルム式放射線透過
検査の方法の要求
事項。 

一致 

2 引用規
格 

3 用語及
び定義 

用語の定義は,JIS 
G 0203,JIS G 0431
及びJIS Z 2300によ
る。 

用語の定義は,ISO 5576
及びISO 11484による。 

変更 

JISでは,一般的な引用規格は,
JISとしている。 

技術的差異は,軽微である。 

4 一般要
求事項 

4.1 検査の時期 
4.2 検査技術者 
4.3 鋼管の性状 
4.4 溶接部位置の識
別 
4.5 溶接部位の立証 
4.6 永久マーク 
4.7 フィルムのオー
バーラップ 

4.1 
4.2 
4.3 
4.4 
 
4.5 
4.6 
4.7 

追加/ 
変更 

JISでは,4.3に不均一さの例
を追加している。また,4.6の
永久マークは,要求があった場
合にだけ適用するものとした。 
JISには,箇条にタイトルを記
載した。 

技術的差異は,軽微である。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2

G

 0

8

0

3

2

0

1

5

background image

17 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

5 試験方
法 

5.1 一般 
5.2 像質クラス 
5.3 フィルムシステ
ム及び増感紙 
5.4 蛍光増感紙 
5.5 後方散乱及び内
部散乱 
5.6 放射線照射の方
向 
5.7 試験部の有効長
さ 
5.8 撮影方法 
5.9 フィルムと溶接
部との間隔 
5.10 線源と溶接部
表面との距離 
5.11 露出条件 
5.12 X線管電圧 

5.1 
5.2 
5.3 
 
5.4 
5.5 
 
5.6 
 
5.7 
 
5.8 
5.9 
 
5.10 
 
5.11 
5.12 

変更/ 
追加 

JISでは,デジタル式の放射線
透過検査方法がJISにあるこ
とを,箇条1 適用範囲の注記
で記載した。 
JISには,箇条にタイトルを記
載した。 

技術的な差異はない。 

6 像質 

6.1 像質及び透過度
計 
6.2 像質クラスに対
応する透過度計の
呼び番号 
6.3 二重壁撮影方法
の場合の透過度計
の適用 

6.1 
 
6.2 
 
 
6.3 

変更/ 
追加 

JISは,図4を,透過度計を引
用する最新のISO規格に整合
させ,また,図3の透過度計の
配置を変更した。また,JISの
透過度計及び有孔透過度計の
適用を加えた。 
JISでは,透過度計の表に線径
及び穴径を加えた。 
JISには,箇条にタイトルを記
載した。 

ISOに提案する。 

7 フィル
ムの現像 

一致 

2

G

 0

8

0

3

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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18 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

8 放射線
透過写真
の観察条
件 

追加 

JISでは,最低輝度に関する説
明を加えた。 

技術的差異はない。 

9 きずの
像の分類 

9.1 分類 
9.2 不完全部 
9.3 有害なきず 

9.1 
9.2 
9.3 

追加 

JISには,箇条にタイトルを記
載した。 

10 許容基
準 

10.1 適用 
10.2 割れ,溶込み不
良及び融合不良 
10.3 スラグ巻込み
及びブローホール 
10.4 細長いスラグ
巻込み 
10.5 アンダカット 
10.6 内外面にある
アンダカット 

10 

10.1 
10.2 
 
10.3 
 
10.4 
 
10.5 
10.6 

変更/ 
追加 

JISでは,10.5のアンダカット
の規定は,製品規格又は受渡当
事者間の協定によるものとし,
ISO規格の詳細な許容基準は,
参考として注記で示した。 
JISには,箇条にタイトルを記
載した。 

ISOの製品規格と異なる規定とな
っており,製品規格との整合をと
るようにISOに提案する。 

11 結果の
判定 

11.1 有害なきずの
ない鋼管 
11.2 有害なきずの
ある鋼管 
11.3 嫌疑材の処置 

11 

11.1 
 
11.2 
 
11.3 

変更/ 
追加 

JISでは,磁粉探傷試験などに
よる再検査後の放射線透過検
査は,必要な場合に限定した。 
JISには,箇条にタイトルを記
載した。 

ISOに提案する。 

2

G

 0

8

0

3

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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19 

G 0803:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

12 検査報
告 

12 

変更 

JISでは,受渡当事者間の合意
によって報告項目を省略でき
るものとした。 
ISO規格では,責任者の署名だ
けでなく資格及び認証も記載
することを要求しているが,
JISでは実態に合わせて検査技
術者の資格を記載するものと
した。 

ISOに提案する。 

附属書A 
(参考) 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 10893-6:2011,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 一致……………… 技術的差異がない。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

G

 0

8

0

3

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。