G 0585 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項に基づき,日本鋳鍛鋼会 (JSCFA) /財団法人日本規格協会
(JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審
議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
JIS G 0585には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 0585 : 2002
鋳鋼品の放射線透過検査
Radiographic inspection for steel castings
序文 この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 4993, Steel castings−Radiographic inspectionを翻
訳し,技術的内容を一部変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表をその説明を付けて,附属書に示す。
1. 適用範囲 この規格は,JIS G 0581及びJIS Z 2306で与えられる手順に従って実施される鋳鋼品のX
線又はγ線を用いた放射線透過検査に対する一般的な要求について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 4993 : 1987 Steel castings−Radiographic inspection (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0581 鋳鋼品の放射線透過試験方法
備考 ISO 5579 : 1998, Non-destructive testing−Radiographic examination of metallic materials by X-and
gamma rays−Basic rulesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 2306 放射線透過試験用透過度計
備考 ISO 1027 : 1983, Radiographic image quality indicators for non-destructive testing−Principles and
identificationからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
ASTM E 186 Standard Reference Radiographs for Heavy−Walled (2 to 42
1−in. (51 to 114mm) Steel
Castings
ASTM E 192 Standard Reference Radiographs for Investment Steel Castings of Aerospace Applications
ASTM E 280 Standard Reference Radiographs for Heavy−Walled (42
1 to 12in. (114 to 305mm) Steel
Castings
ASTM E 446 Standard Reference Radiographs for Steel Casting Up to 2in. (51mm) in Thickness
3. 購買上の基本事項
3.1
注文者は,放射線透過検査に対する要求及び識別度,適用範囲,合否基準などの検査に関連するす
べての情報を引合い及び注文時に指定する。
2
G 0585 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2
引合い及び注文時に指定がない場合,放射線透過検査の適用要領として,試作品を検査する方式と
正規の製品を検査する方式の2方式がある。いずれの方式を適用する場合も,製造業者は,製造計画を作
成し,検査範囲,検査時期及び検査頻度について示し,受渡当事者間で協定する。
3.3
注文者は,JISで承認されていない要求若しくはJIS以外の規格又は文書の適用を要求する場合は,
その要求についての詳細な仕様を与える。
4. 検査時期
4.1
引合い及び注文時に指定がない場合,放射線透過検査は,最終熱処理の前又は後のいずれの製造工
程で実施してもよい。
4.2
検査部の表面は,放射線透過写真のきずの像が表面の凸凹で隠されたり,きずと間違わないように
必要に応じて滑らかに整える。
4.3
注文者によって指定された識別度が確認できる場合には,いかなる形式の透過度計又は像質計を使
用してもよい。
5. 検査員の資格認証 放射線透過検査は,資格認証された検査員が実施する。製造業者は,放射線透過
検査に従事する検査員の資格認証要領を定め,検査員の技量評価を行い,注文者の要求があった場合には,
検査実施前にこれらの関連書類を提出し,合意を得る。
6. 撮影要領書
6.1
試作品用撮影要領書 引合い及び注文時に要求された場合,製造業者は,注文者の承認を受けるた
めに提出する試作品の放射線透過検査に用いる試作品用撮影要領書を作成する。試作品用撮影要領書には,
検査範囲及び各照射に対する次の事項を含める。
a) γ線源又は使用X線装置
b) 撮影範囲に関連する線源及びフィルムの配置
c) 線源寸法
d) フィルムの有効範囲
e) フィルムの取付位置及びマーカの位置
f)
線源−フィルム間距離
g) 像質計又は透過度計の取付位置並びに識別最小線径又は識別最小厚さ及び孔径
h) 検査部の透過厚さ
i)
使用フィルム
j)
透過写真の識別記号
k) 使用増感紙
l)
写真濃度範囲
m) 写真処理条件
6.2
製品用撮影要領書 受渡当事者間で合意された場合,試作品用撮影要領書は最初の製品の検査のと
きに調整してもよい。その後の製品は,承認された最新版の製品用撮影要領書に従って検査する。その製
品用撮影要領書には6.1a)〜m)の事項を含む。製品の放射線透過検査のために,検査範囲の変更又は判定基
準の変更のような新しい基準が設定された場合は,製品用撮影要領書に指示しなければならない。
3
G 0585 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 合否基準 注文者は,発注仕様書に合否判定基準を規定しなければならない。
合否判定のための透過写真によるきずの像の分類方法は,JIS G 0581による。
なお,注文者が指示した場合,次に示すASTM規格を適用してもよい。
a) ASTM E 186
b) ASTM E 192
c) ASTM E 280
d) ASTM E 446
8. 製造業者の責任 引合い及び受注時に特別な要求がない限り,製造業者は,放射線透過検査を要求さ
れた鋳鋼品又は鋳鋼品の部分が注文仕様に規定された基準を満足させる責任がある。
製造業者が放射線透過検査を要求されていない鋳鋼品又は鋳鋼品の部分については,納入後に実施され
たいかなる放射線透過検査の結果も不合格の理由にはならない。また,製造業者で合格と判断された放射
線透過写真に対し,納入後に再試験を実施した場合,もし,それらの検査が引合い又は注文時に合意され
た以外の撮影要領によって実施された場合及び/又は最新版の撮影要領書に定められている内容と異なる
方法で実施された場合は,不合格の理由にならない。
9. 記録 受渡当事者間での指定がない限り,製造業者は,放射線透過検査の記録を最低5年間保管する。
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G 0585 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS G 0585 : 2002 鋳鋼品の放射線透過検査
ISO 4993 : 1987 鋳鋼品−放射線透過検査
(I)JISの規定
(II)国際規
格番号
(III)国際規格の規定 (IV)JISと国際規格との技術
的差異の項目ごとの評価及
びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(V)JISと国際規格
との技術的差異の
理由及び今後の対
策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内
容
1.適用範囲 JIS G 0581及びJIS
Z 2306を引用
ISO 4993
1
ISO 5579
及びISO 1027
を引用
IDT
−
2.引用規格 JIS G 0581
JIS Z 2306
ASTM E 186
ASTM E 192
ASTM E 280
ASTM E 446
2
ISO 1027
ISO 5579
ASTM E 186
ASTM E 192
ASTM E 280
ASTM E 446
IDT
−
3.購買上の
基本事項
3.1
3.2
3.3
3
3.1
3.2
3.3
IDT
−
4.検査時期 4.1
4.2
4.3
4
4.1
4.2
4.3
IDT
−
5.検査員の
資格認証
資格認証要領を製
造業者が定め,注文
者の合意を得る。
5
認証システム
を受渡当事者
間で合意
IDT
−
6.撮影要領
書
6.1 試作品用撮影
要領書
a)〜m) 13項目を
規定
6.2 製品用撮影要
領書
6
6.1 試作品用
撮影要領書
6.1.1〜6.1.14
14項目を規定
6.2 製品用撮
影要領書
MOD/削除
IDT
幾何学的ぼけを
削除
−
この規格ではISO
5579と整合させた
JIS G 0581の撮影配
置によって撮影す
る。この撮影配置に
従えば“幾何学的ぼ
け”の問題は起こら
ないため削除した。
7.合否基準 きずの像の分類方
法は,JIS G 0581
による。
ASTM E 186,
E 192,E 280,
E 446も適用可。
7
きずの分類方
法は,ASTM
E 186,E 192,
E 280,E 446
に基づく。
MOD/変更
JIS G 0581によ
る分類方法に変
更した。
JIS G 0581の分類方
法は,ISOが推奨す
るASTMの分類方
法と対応が図られ
ているため,採用し
た。
8.製造業者
の責任
8
IDT
−
9.記録
9
IDT
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
5
G 0585 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− IDT…………… 技術的差異がない。
− MOD/削除…… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− MOD/変更…… 国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
鋳鋼品の放射線透過検査JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
平 山 一 男
大阪産業大学工学部
(委員)
中 田 幹 夫
通商産業省機械情報産業局素形材産業室
松 山 格
元東京都立工業技術センター
小 泉 博 良
財団法人発電設備技術検査協会技術基準室
北 田 博 重
財団法人日本海事協会材料艤装部
橋 本 進
財団法人日本規格協会技術部
上 村 正
いすゞ自動車株式会社研究試作実験室研究実験部
野 川 文 雄
株式会社東芝京浜事業所品質保証部
古 河 洋 文
三菱重工業株式会社高砂研究所
新 井 昭 安
石川島播磨重工業株式会社産業機械事業部
飯 森 統 夫
株式会社キッツ長坂工場品質保証部
井 上 泰 生
社団法人日本鉄道車輌工業会技術部
木 下 義 高
日本非破壊検査株式会社技術部
横 山 芳 久
岡野バルブ製造株式会社行橋工場
北 村 善 男
株式会社神戸製鋼所鋳鍛鋼工場
三 沢 剛
株式会社日本製鋼所室蘭製作所
石 原 整
日本鋳造株式会社品質保証部
得 田 邦 洋
日本鋳鍛鋼株式会社品質保証部
野 上 勇
株式会社日立製作所火力水力事業部
小松崎 悟
株式会社日立製作所火力水力事業部
田 中 宗 昭
福島製鋼株式会社品質保証部
(事務局)
高 橋 宣 男
日本鋳鍛鋼会
大 谷 郁 夫
日本鋳鍛鋼会
日本工業標準調査会標準部会 鉄鋼技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
木 原 諄 二
姫路工業大学環境人間学部
(委員)
大河内 春 乃
東京理科大学理学部II部化学科
大 橋 守
新日本製鐵株式会社技術総括部
國 府 勝 郎
東京都立大学大学院工学研究科
佐久間 健 人
東京大学大学院新領域創成科学研究科
中 島 正 博
日本鋼管株式会社鉄鋼技術総括部
中 島 將 文
社団法人日本鉄道施設協会
福 永 規
住友金属工業株式会社技術部
前 原 郷 治
社団法人日本鉄鋼連盟標準化センター
松 田 邦 男
川崎製鉄株式会社技術総括部
村 上 陽 一
社団法人日本電機工業会
矢 部 丈 夫
ステンレス協会
山 内 学
株式会社神戸製鋼所鉄鋼部門生産本部生産技術部