G 0578 : 2000
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,ステンレス協会 (JSSA) /財団法人日本規格
協会 (JSA) から工業標準原案を具して,日本工業規格を改正すべきとの申し出があり,日本工業標準調査
会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS G 0578 : 1981は改正
され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
G 0578 : 2000
ステンレス鋼の塩化第二鉄
腐食試験方法
Method of ferric chloride tests for stainless steels
1. 適用範囲 この規格は,ステンレス鋼の6%塩化第二鉄溶液中の腐食度を測定して,耐孔食性を評価
する,塩化第二鉄腐食試験方法[以下,試験方法(A)という。]及び高耐食ステンレス鋼の6%塩化第二鉄溶
液中における,孔食発生臨界温度[以下,CPT(1)という。]を測定して,耐孔食性を評価する,孔食発生臨
界温度試験方法[以下,試験方法(B)という。]について規定する。
注(1) CPT:Critical Pitting Temperatureの略
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS R 6251 研磨布
JIS R 6252 研磨紙
JIS R 6253 耐水研磨紙
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 試験装置 試験装置は,次による。
a) 試験容器は,ガラス製のビーカ又はフラスコを使用する。
b) 試験片のホルダは,試験片を試験溶液の中位に水平に保持でき,試験片との接触面積の小さいものを
使用する。
c) 恒温槽は,試験中の試験溶液の温度を,所定の温度に保持できるものを使用する。
4. 試験溶液 試験溶液は,JIS K 8180に規定する塩酸と蒸留水又は脱イオン水によって調整した,N/20
塩酸溶液900mlにJIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物を溶解して,塩酸酸性6%塩化第二鉄溶液に
調整する。
5. 試験片 試験片は,次による。
a) 試験片は,全表面積が10cm2以上で,圧延又は鍛造方向に直角の断面積が,全表面積の21以下になる
ように,供試材から採取する。
b) 試験片を切断後,切断面を切削又は研削で再仕上げして,切断の影響部分を取り除く。
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G 0578 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 試験片の表面は,JIS R 6251,JIS R 6252又はJIS R 6253に規定する研磨布又は研磨紙で,試験片の
昇温を避けながら順次240番まで研磨し,その後600番まで湿式研磨を行う。
d) 表面仕上げした試験片は,適切な溶剤又は洗剤(非塩化物)で脱脂後乾燥する。
6. 試験方法 試験方法は,次による。
6.1
塩化第二鉄腐食試験方法−試験方法(A) 試験方法は,次による。
a) 試験前後において,試験片質量を,少なくとも1mgのけたまではかる。
b) 試験溶液の量は,試験片の表面積1cm2当たり20ml以上とする。
c) 試験温度は,標準として,35±1℃又は50±1℃とする。ただし,試験温度は,受渡当事者間の協定に
よって変更することができる。
d) 恒温槽中に試験容器を入れ,試験溶液が所定の温度になるまで加熱する。
e) 試験溶液が所定の温度に達した後,試験片をホルダによって試験溶液の中位に水平に保持するように
して入れ,連続24時間浸せき試験を行う。
なお,試験中は時計皿などで,試験溶液の蒸発を防止する。
f)
一つの試験容器の中では,同一鋼種,同一熱処理の場合以外は,1個の試験片だけを試験する。
g) 24時間試験後,試験溶液から試験片を取り出し,付着している腐食生成物を除去する。洗浄し乾燥後,
質量をはかり減量を求める。
なお,孔食の深さ及び孔食の密度の測定は,受渡当事者間の協定による。
b) 試験溶液は,試験ごとに新しい溶液を使用し,一度試験した溶液を繰り返し使用してはならない。
6.2
孔食発生臨界温度試験方法−試験方法(B) 試験方法は,次による。
a) 試験前後において,試験片質量を,少なくとも1mgのけたまではかる。
b) 試験溶液の量は,試験片の表面積1cm2当たり20ml以上とする。
c) 試験開始温度は,特に規定しないが,開始温度の目安として,次の式を用いてもよい。
t(℃)=2.5 (mass%Cr) +7.6 (mass%Mo) +31.9 (mass%N) −41.0
d) 恒温槽中に試験容器を入れ,試験溶液が所定の温度になるまで加熱し,±1℃の範囲に保持する。
e) 試験溶液が,所定の温度に達した後,試験片をホルダによって,試験溶液の中位に水平に保持するよ
うにして入れ,連続72時間浸せき試験を行う。ただし,浸せき時間は,受渡当事者間の協定によって
変更することができる。
なお,試験中は時計皿などで試験溶液の蒸発を防止する。
f)
一つの試験容器の中では,同一鋼種,同一熱処理の場合以外は,1個の試験片だけを試験する。
g) 試験後,試験溶液から試験片を取り出し,付着している腐食生成物を除去する。洗浄し乾燥後,孔食
深さを測定し,0.025mm以上の深さの孔食が発生する,最低の温度をCPT(℃)とする。ただし,CPT(℃)
より5℃下げた温度において,0.025mm以上の孔食が発生しないことを確認しなければならない。
h) 試験溶液は,試験ごとに新しい溶液を使用し,一度試験した溶液を繰り返し使用してはならない。
7. 評価
7.1
試験方法(A) 腐食度は,24時間浸せき試験後の質量減の単位面積,単位時間当たりの値を,g/m2・h
単位で,JIS Z 8401によって,小数点以下2けたに丸めて表す。
なお,孔食の深さ及び孔食の密度の評価については,受渡当事者間の協定による。
7.2
試験方法(B) 連続浸せき時間,試験温度,最大孔食深さ及び決定されたCPT(℃)を併記する。
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G 0578 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
柴 田 俊 夫
大阪大学院工学研究所
(幹事)
金 子 通 郎
新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所鋼材第一研究部
釜 土 祐 一
工業技術院標準部
佐々木 英 次
物質工学工業技術研究所科学システム部
田 原 晃
金属材料技術研究所環境性能研究部
橋 本 進
財団法人日本規格協会
宇 城 工
川崎製鉄株式会社技術研究所ステンレス鋼研究部
足 立 俊 郎
日新製鋼株式会社ステンレス事業本部ステンレス高合金研究部
佐 藤 義 和
日本金属工業株式会社技術開発部
樽 谷 芳 男
住友金属工業株式会社総合技術研究所ステンレス・チタン研究部
谷 内 俊 彦
日本冶金工業株式会社技術研究所
横 田 博 史
愛知製鋼株式会社部品開発部
正 村 克 身
NKK京浜材料研究センター
鈴 木 紹 夫
味の素株式会社生産技術開発センター
福 田 敬 則
石川島播磨重工業株式会社技術研究所構造材料部
都 島 良 治
千代田化工建設株式会社プラント設計部
笹 野 林
日揮株式会社技術開発本部材料技術部
鶴 田 孝 雄
三菱重工業株式会社高砂研究所
三 浦 健 蔵
三井造船株式会社技術本部玉野研究所
(事務局)
池 原 康 允
ステンレス協会