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G 0577:2014  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試験方法 ························································································································· 1 

5 測定装置 ························································································································· 1 

6 試験溶液 ························································································································· 2 

7 試験電極 ························································································································· 2 

7.1 試験電極の種類 ············································································································· 2 

7.2 すきま腐食防止電極 ······································································································· 2 

7.3 樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極 ················································································ 3 

8 測定方法 ························································································································· 6 

8.1 すきま腐食防止電極による測定方法 ··················································································· 6 

8.2 樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極による測定方法 ··························································· 7 

9 記録······························································································································· 7 

9.1 必須事項 ······················································································································ 7 

9.2 推奨事項 ······················································································································ 8 

G 0577:2014  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,ステンレス協会

(JSSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の

審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS G 0577:2005は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

G 0577:2014 

ステンレス鋼の孔食電位測定方法 

Methods of pitting potential measurement for stainless steels 

適用範囲 

この規格は,ステンレス鋼の塩化ナトリウム水溶液中における動電位法による孔食電位の測定方法につ

いて規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 0202 鉄鋼用語(試験) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 6252 研磨紙 

JIS R 6253 耐水研磨紙 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS G 0202による。 

試験方法 

試験方法は,次による。 

a) A法(1 mol・L−1塩化ナトリウム水溶液試験方法) この方法は,1 mol・L−1塩化ナトリウム水溶液中

における動電位法による孔食電位測定法である。 

b) B法[3.5 %(質量分率)塩化ナトリウム水溶液試験方法] この方法は,3.5 %(質量分率)塩化ナ

トリウム水溶液中における動電位法による孔食電位測定法である。 

測定装置 

測定装置は,試験電極,ポテンショスタット,電位掃引装置,記録計,電解槽,照合電極及び恒温槽を

組み合わせたものとする。測定装置の一例を図1に示す。さらに,すきま腐食防止電極を用いる場合は,

蒸留水給排水装置を組み合わせる。照合電極には,銀・塩化銀(Ag/AgCl)電極などを使用する。照合電

極は,通常,液絡及び塩橋を介して電解槽と接続する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1−測定装置の構成図 

試験溶液 

試験溶液は,次による。 

a) A法(1 mol・L−1塩化ナトリウム水溶液)の場合 試験溶液は,JIS K 8150に規定された塩化ナトリ

ウムの特級品58.44 gを蒸留水又はイオン交換水に溶解し1 000 mLとして,1 mol・L−1塩化ナトリウム

水溶液を調製する。 

b) B法[3.5 %(質量分率)塩化ナトリウム水溶液]の場合 試験溶液は,JIS K 8150に規定された塩化

ナトリウムの特級品35 gを蒸留水又はイオン交換水965 mLに溶解して3.5 %(質量分率)塩化ナトリ

ウム水溶液を調製する。 

試験電極 

7.1 

試験電極の種類 

試験電極は,すきま腐食防止電極,樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極の2種類があり,いずれの電

極を用いてもよい。ただし,すきま腐食防止電極のほうがすきま腐食発生による測定の失敗が少ない。 

7.2 

すきま腐食防止電極 

すきま腐食防止電極は,次による。 

a) 試験片を板状の供試材から採取する場合は,1 cm2の試験面が板状供試材の圧延面となるように採取す

る。丸棒,鋼塊など板状供試材以外からの試験片の採取方法は,受渡当事者間の協定による。 

b) 試験片の採取方法は,通常,のこぎり切断,切削,研削又はせん断による。ただし,せん断による場

合は,試験面にせん断の影響が及ばないようにするため,せん断の影響が及ぶ領域を切削又は研磨に

よって除去する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 試験面は,JIS R 6253に規定するP600研磨紙で研磨を行う。研磨方法は,試験面の温度上昇を避ける

ため湿式研磨とする。 

d) 試験面は,測定直前にJIS R 6252に規定するP600研磨紙で注意深く乾式研磨する。その後,蒸留水

又はイオン交換水,次いでエタノールなどで十分に洗浄し,すきま腐食防止電極に装着する。図2に

すきま腐食防止電極の構成の一例を示す。すきま腐食防止電極は,アクリル樹脂製ホルダ,ふっ素ゴ

ム(FPM)製ガスケット,φ11 mmに開口したろ紙(JIS P 3801に規定する5種A),四ふっ化エチレ

ン樹脂製チューブ(内径0.96 mm,外径1.56 mm),試験片,導線付保持板及びアクリル樹脂製ねじ(M5:

JIS B 0123参照)からなる。 

e) すきま腐食防止電極の作製手順を,図3に示す。 

1) シリコーン樹脂などの耐水性接着剤を使用してふっ素ゴム製ガスケットに蒸留水流入,流出用の四

ふっ化エチレン樹脂製チューブを取り付ける。ガスケット上にろ紙及び蒸留水を供給するチューブ

を装着した後,試験片の試験面側をろ紙に向けて静かに置く[図3 b)及び図3 c)参照]。 

2) 導線付保持板を載せた後,アクリル樹脂製ホルダに挿入する[図3 d)参照]。 

3) ガスケットの開口部とホルダの開口部との位置を合わせた後,アクリル樹脂製ねじによってガスケ

ット,試験片及び保持板をホルダに固定する。ホルダ裏面からのアクリル樹脂製ねじによる締付け

トルクは約15 N・cmが適する。 

4) サイフォン式又はポンプによる給排水装置を用いて,すきま腐食防止電極内部へ蒸留水又はイオン

交換水を供給する1)。すきま腐食防止電極の作製後,蒸留水がホルダ内に漏れないことを確認する。 

注1) 試験片とガスケットとのすきま部分に,ろ紙が挿入されており,ろ紙から蒸留水又はイ

オン交換水が試験溶液中にしみ出すことによって,すきま腐食の発生を防止する構造と

なっている。 

5) 蒸留水流入側の予備加熱用四ふっ化エチレン樹脂製チューブを図2に示すようにループ状に束ね,

アクリル樹脂製ホルダ背面のアクリル樹脂製ねじに引っ掛け固定する。ループ長さは0.5 m以上が

よい。このとき,すきま腐食防止電極内へ供給する蒸留水などによる試験片表面温度低下を防止す

るため,ループ状にしたチューブは,測定中,試験液に浸せき(漬)させる。 

7.3 

樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極 

樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極は,次による。 

a) 試験片を板状の供試材から採取する場合は,約20 mm×約30 mmの試験面が板状供試材の圧延面とな

るように採取する。丸棒,鋼塊など板状供試材以外からの試験片の採取方法は,受渡当事者間の協定

による。 

b) 試験片の採取方法は,通常,のこぎり切断,切削,研削又はせん断による。ただし,せん断による場

合は,試験面にせん断の影響が及ばないようにするため,せん断の影響が及ぶ領域を切削又は研磨に

よって除去する。 

c) 試験面は,JIS R 6253に規定するP600研磨紙で研磨を行う。研磨方法は,試験面の温度上昇を避ける

ため湿式研磨とする。 

d) すきま腐食の発生を防止するため,研磨後,不動態化処理(50 ℃の質量分率20〜30 %硝酸に1時間

以上の浸せき)を行うことが望ましい。 

e) 試験片の一端に導線を,はんだ付け又はスポット溶接する。 

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単位 mm 

a) 全体構成 

b) アクリル樹脂製ホルダ 

c) ふっ素ゴム製ガスケット 

図2−すきま腐食防止電極の構成 

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図3−すきま腐食防止電極作製手順 

f) 

試験面の最終露出部分が10 mm×10 mmとなるように,残りの表面及び導線をエポキシ樹脂,塩化ビ

ニル樹脂,シリコーン樹脂などの絶縁物によって被覆又は埋込みを行う。この場合,10 mm×10 mm

の露出部分は,はんだ付又はスポット溶接による熱影響のない試験面となるようにする。図4に絶縁

塗料による塗布形電極の一例を示す。 

なお,不動態化処理を行った場合は,通常,約11 mm×約11 mmの試験面を残して被覆する。 

g) 試験面は,測定直前に試験面の10 mm×10 mmだけを,JIS R 6252に規定するP600研磨紙で注意深

く乾式研磨する。その後,蒸留水又はイオン交換水,次いでエタノールなどで十分洗浄する。ただし,

油脂などの汚れが付着した場合は,適切な溶剤で洗浄して脱脂する。 

h) このようにして作製した試験片の試験面の面積を,1 cm2とみなす。 

i) 

電極は図5に示すような方法などによって支持して測定を実施する。 

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図4−絶縁塗料による塗布形電極の一例 

図5−電極の支持法の一例 

測定方法 

8.1 

すきま腐食防止電極による測定方法 

すきま腐食防止電極による測定方法は,次による。 

a) 試験溶液の温度は,30±1 ℃とする。 

b) 試験電極面への蒸留水又はイオン交換水のしみ出し量を,2〜6 mL・h−1に調整する。 

c) 電解槽に入れた試験溶液に高純度の窒素又はアルゴンを30分間以上通じることによって,脱気を行 

う。ガス量は,400 mLの液量に対して50 mL・min−1以上とする。試験溶液の脱気完了後は,液中への

ガスの供給は止め,液をかくはん(撹拌)しない。 

d) アノード分極曲線の測定は,脱気した試験溶液中に試験面を完全に浸し,10分間放置後,ポテンショ

スタットによって自然電位から電位掃引速度20 mV・min−1の動電位法で,アノード電流密度が500〜 

1 000 μA・cm−2に達するまで行う。ただし,装置などの都合によって20 mV・min−1の条件がとれない

場合は,これに近い掃引速度で行ってもよい。 

e) 孔食電位は,アノード分極曲線において電流密度10 μA・cm−2又は100 μA・cm−2に対応する電位のう

ち,それぞれの最も高い値(記号V'c10又はV'c100)で表す。アノード分極曲線の一例を,図6に示す。 

f) 

測定後の試験片は,20倍以上の拡大鏡などを用いて観察し,すきま腐食の有無を調べる。すきま腐食

が認められた場合は,試験結果から除外する。 

g) 試験片及び試験溶液は,試験ごとに新しいものを使用する。 

h) 測定回数は,2回以上とする。ただし,ばらつきを考慮すると5回以上が望ましい。孔食電位は,各

測定値及びその平均値を記録する。その単位は,ボルト(V)で表し,小数点以下第3位まで記録す

る。 

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図6−アノード分極曲線の一例 

8.2 

樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極による測定方法 

樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極による測定方法は,次による。 

a) 試験溶液の温度は,30±1 ℃とする。 

b) 電解槽に入れた試験溶液に高純度の窒素又はアルゴンを30分間以上通じることによって,脱気を行 

う。ガス量は400 mLの液量に対して50 mL・min−1以上とする。試験溶液の脱気完了後は,液中への

ガスの供給は止め,液をかくはんしない。 

c) アノード分極曲線の測定は,脱気した試験溶液中に試験面を完全に浸し,10分間放置後,ポテンショ

スタットによって自然電位から電位掃引速度20 mV・min−1の動電位法で,アノード電流密度が500〜 

1 000 μA・cm−2に達するまで行う。ただし,装置などの都合によって20 mV・min−1の条件がとれない

場合は,これに近い掃引速度で行ってもよい。 

d) 孔食電位は,アノード分極曲線において電流密度10 μA・cm−2又は100 μA・cm−2に対応する電位のう 

ち,それぞれの最も高い値(記号V'c10又はV'c100)で表す。 

e) 測定後の試験片は,20倍以上の拡大鏡などを用いて観察し,すきま腐食の有無を調べる。すきま腐食

が認められた場合は,試験結果から除外する。 

f) 

試験片及び試験溶液は,試験ごとに新しいものを使用する。 

g) 測定回数は,2回以上とする。ただし,ばらつきを考慮すると5回以上が望ましい。孔食電位は,各

測定値及びその平均値を記録する。その単位は,ボルト(V)で表し,小数点以下第3位まで記録す

る。 

記録 

9.1 

必須事項 

測定記録には,次の事項を記載する。 

a) 材料の種類の記号又は名称 

b) 試験方法(A法又はB法) 

c) 照合電極の種類 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 電位掃引速度 

e) 孔食電位(各測定値及びその平均値) 

9.2 

推奨事項 

受渡当事者間の協定によって,次の事項を測定記録に記載するのがよい。 

a) 試験片の熱処理 

b) 脱気に用いたガスの種類 

参考文献 山崎修,柴田俊夫:材料と環境,51,30(2002) 

ASTM G 150-99:“Annual books of ASTM Standards,Vo1.03.02”,p.638(1999) 

C.Docke1&J̀Weber:Werks Korr.,22686(1971) 

塩原国雄,森岡進:日本金属学会誌,36,385(1972) 

社団法人腐食防食協会第9専門委員会 ステンレス鋼の局部腐食試験法分科会:防食技術,26,

539(1997) 

社団法人腐食防食協会編:“防食技術便覧”,日刊工業新聞社,p.756(1986) 

金子雅人,小野幸子,西方篤,水流徹:材料と環境2003,D-l03(2003) 

ステンレス鋼腐食標準試料分科会:防食技術,29,410(1980) 

柴田俊夫,竹山太郎:防食技術,26,25(1977)