G 0203:2009
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 分類······························································································································· 1
4 番号,用語及び定義 ·········································································································· 2
4.1 鋼の種類,溶鋼,粗鋼及び鋼片 ························································································ 2
4.1.1 鋼の種類 ···················································································································· 2
4.1.2 溶鋼,粗鋼及び鋼片 ····································································································· 4
4.2 鋼材(形状別・製造法別) ······························································································ 6
4.2.1 鋼材 ·························································································································· 6
4.2.2 鋼板及び鋼帯 ·············································································································· 6
4.2.3 表面処理鋼板及び鋼帯 ·································································································· 7
4.2.4 鋼管 ·························································································································· 7
4.2.5 形鋼・鋼矢板 ·············································································································· 8
4.2.6 棒鋼・線材 ················································································································· 9
4.2.7 鋳鍛造品 ··················································································································· 10
4.3 鋼材(用途別) ············································································································ 11
4.3.1 一般加工用 ················································································································ 11
4.3.2 構造用・圧力容器用 ···································································································· 13
4.3.3 土木・建築用 ············································································································· 14
4.3.4 鉄道用 ······················································································································ 15
4.3.5 鋼管(配管用・熱伝達用・構造用・特殊用途) ································································ 15
4.3.6 線材・線材二次製品 ···································································································· 16
4.3.7 機械構造用炭素鋼・合金鋼 ··························································································· 19
4.3.8 特殊用途鋼(ステンレス鋼・耐熱鋼・工具鋼・クラッド鋼) ·············································· 19
4.3.9 電気用材料 ················································································································ 22
4.4 材質及びその他の品質 ··································································································· 22
4.4.1 化学成分・材質 ·········································································································· 22
4.4.2 表面処理・表面仕上げ ································································································· 25
4.4.3 形状・寸法 ················································································································ 27
4.4.4 その他 ······················································································································ 29
G 0203:2009
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄鋼
連盟(JISF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS G 0203:2000は改正され,
この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
G 0203:2009
鉄鋼用語(製品及び品質)
Glossary of terms used in iron and steel (Products and quality)
序文
この規格は,鉄鋼製品の用語を広範に定義する規格として1984年に制定された。その後,前回2000年
の改正では,主として各種用途別の鋼材及び材質の用語に限定する大幅な改正がなされた。これは,鋼製
品の定義に関する国際規格ISO 6929:1987,Steel products−Definitions and classificationが,形状別及び製造
法別の鋼材を規定しているため,ISO 6929に整合した規格としてJIS G 0204を制定し,この規格はISO
規格と対応しない各種用途別の鋼材及び材質の用語規定とした経緯による。
しかし,市場取引を円滑に行うためには,関連する用語を広範に規定し,国内の実態にあった内容とす
ることが求められた。そのため,今回の改正では,形状別及び製造法別の鋼材,及び材質を含めた規格に
全面的に改正した。
1
適用範囲
この規格は,主として圧延,鋳造又は鍛造された鋼の用途別製品及び品質に関する主な用語及び定義に
ついて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度
3
分類
鉄鋼用語(製品及び品質)の分類は,次による。
a) 鋼の種類,溶鋼,粗鋼及び鋼片
1) 鋼の種類
2) 溶鋼,粗鋼及び鋼片
b) 鋼材(形状別・製造法別)
1) 鋼材
2) 鋼板及び鋼帯
3) 表面処理鋼板及び鋼帯
4) 鋼管
5) 形鋼・鋼矢板
6) 棒鋼・線材
2
G 0203:2009
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7) 鋳鍛造品
c) 鋼材(用途別)
1) 一般加工用
2) 構造用・圧力容器用
3) 土木・建築用
4) 鉄道用
5) 鋼管(配管用・熱伝達用・構造用・特殊用途)
6) 線材・線材二次製品
7) 機械構造用炭素鋼・合金鋼
8) 特殊用途鋼(ステンレス鋼・耐熱鋼・工具鋼・クラッド鋼)
9) 電気用材料
d) 材質及びその他の品質
1) 化学成分・材質
2) 表面処理・表面仕上げ
3) 形状・寸法
4) その他
4
番号,用語及び定義
注記1 用語の読み方が紛らわしいものは,用語の下に読み方を丸括弧“( )”で示す。
注記2 最右欄の対応英語は,参考である。また,鋼製品の対応英語では,“steel”の単語は,あえて
省略しているものもある。
4.1
鋼の種類,溶鋼,粗鋼及び鋼片
4.1.1
鋼の種類
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1101
純鉄
炭素その他の不純物元素が,非常に少ない鉄。
不純物元素の限界についての明確な区分はないが,炭素含有率
0.02 %程度まで純鉄と称されている。
注記 電解鉄,アームコ鉄,カーボニル鉄及び還元鉄は,純鉄とし
て取り扱われている。
pure iron
1102
電解鉄
鉄塩水溶液の電解によって得られる純鉄。
通常,含有される不純物元素は,炭素0.005 %以下,けい素
0.005 %以下,マンガン0.005 %以下,りん0.004 %以下,及び硫
黄0.005 %以下である。
electrolytic iron
1103
鋼
鉄を主成分として,一般に約2 %以下の炭素と,その他の成分
を含むもの。
steel
1104
炭素鋼
鉄と炭素の合金で炭素含有率が,通常0.02〜約2 %の範囲の鋼。
少量のけい素,マンガン,りん,硫黄などを含むのが普通であ
る。便宜上,炭素含有量又は硬さ(強度も含まれる。)によって炭
素鋼は,更に次のように分類される場合がある。
炭素含有量による分類:低炭素鋼,中炭素鋼,高炭素鋼
硬さによる分類:極軟鋼,軟鋼,硬鋼
carbon steel
3
G 0203:2009
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1105
合金鋼
鋼の性質を改善向上させるため,又は所定の性質をもたせるた
めに合金元素を1種又は2種以上含有させた鋼。
合金元素の含有率の基準はISO 4948-1と若干異なるが,関税協
力理事会(Customs Co-operation Council)の分類では化学成分が次の
数値以上の鋼をいう。
単位 %
alloy steel
合金元素
含有率
合金元素
含有率
合金元素
含有率
Al
0.3
Mn
1.65
W
0.3
B
0.000 8 Mo
0.08
V
0.1
Cr
0.3
Ni
0.3
Zr
0.05
Co
0.3
Nb
0.06
その他
(S,P,C,
Nを除く)
0.1
Cu
0.4
Si
0.6
Pb
0.4
Ti
0.05
便宜上,合金元素含有率の多少によって,高合金鋼又は低合金
鋼ということもある。
1106
超合金
鋼の耐食性又は耐熱性を改善するため,合金元素を多量に添加
し,鉄の含有率が,約50 %以下となっている合金。ニッケルクロ
ム鉄合金などがある(JIS G 4903及びJIS G 4904参照)。
super alloy
1107
リムド鋼
鋼塊鋳造による鋼の分類であり,鋳型(インゴットケース)内
で溶鋼中の酸素と炭素とが作用して一酸化炭素を発生し,溶鋼が
特有の沸騰かくはん(攪拌)運動(リミングアクションという。)
をしながら凝固した鋼。脱酸剤としてフェロマンガン,少量のア
ルミニウムなどを加えて造った鋼。
表層部は清浄であるが,表層以外には偏析がある。
rimmed steel
1108
キャップド鋼
鋼塊鋳造による鋼の分類であり,未脱酸の溶鋼を鋼塊用鋳型(イ
ンゴットケース)に注入後,間もなく脱酸剤を加えるか,又は鋼
塊用鋳型にふたをし,リミングアクションを早めに強制的に終了
させ,内部を静かに凝固させた鋼。
前者をケミカルキャップド鋼,後者をメカニカルキャップド鋼
という。キャップド鋼は表層部をリムド鋼のような清浄なものと
するとともに内部をセミキルド鋼のような偏析の少ない状態と
し,かつ,気泡によって収縮孔を相殺しようとしたものである。
capped steel
1109
セミキルド鋼
鋼塊鋳造による鋼の分類であり,脱酸剤としてフェロマンガン,
フェロシリコン,アルミニウムなどの適量を添加して,リムド鋼
とキルド鋼の中間程度の脱酸を行った鋼。
凝固進行に伴って,若干の気泡を発生させ,凝固による収縮孔
を少なくしたものである。
semi-killed steel
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1110
キルド鋼
フェロシリコン,アルミニウムなどで十分に脱酸を行った鋼。
鋼塊鋳造による場合は,鋼塊用鋳型(インゴットケース)内で
の凝固進行中に,一酸化炭素を発生せずに静かに凝固し,比較的
均質で偏析が少なく気泡もないが,上部中心に収縮孔ができ,歩
留りはよくない。連続鋳造による鋼は,キルド鋼であり,鋼塊鋳
造による鋼に比べ均質で歩留りもよい。キルド鋼は,更に結晶粒
度又は脱酸剤によって次のように分類される。
a) 結晶粒度による分類
粗粒キルド鋼:オーステナイト結晶粒度で粒度番号5未満
のキルド鋼をいう。
細粒キルド鋼:オーステナイト結晶粒度で粒度番号5以上
のキルド鋼をいう。
b) 脱酸剤による分類
シリコンキルド鋼
アルミ(ニウム)キルド鋼
シリコンアルミ(ニウム)キルド鋼
注記 連続鋳造によるリムド相当鋼については,“リムド相当鋼”
を参照。
killed steel
1111
リムド相当鋼
リムド鋼の代替として連続鋳造で弱脱酸して製造される鋼。主
として,低炭素鋼線材に適用される。
rimmed substitute
steel
1112
鋳鉄
鉄と炭素を主成分として,一般に約2 %を超える炭素と,その
他の成分を含むもの。
cast iron
注記 脱酸(deoxidation):けい素,マンガン,アルミニウムなどの元素を添加して溶鋼中に含まれている酸素を除去す
ること。鋼は,脱酸の程度によって,キルド鋼,セミキルド鋼,キャップド鋼,及びリムド鋼に分類される。
4.1.2
溶鋼,粗鋼及び鋼片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1201
溶鋼
鋳造準備のできた液体状態の鋼。
溶鋼には,主に,鋼塊用鋳型(インゴットケース)ヘ注入する
か,連続鋳造するためのもの,及び鋳鋼品用のものがある。
liquid steel
1202
粗鋼
鋼塊(連続鋳造鋼片又は鋳片を含む。)及び鋳鋼の総称。統計用
語として用いる。生産統計では,粗鋼は次のように表される。
圧延用鋼塊(インゴットケース及び連続鋳造によるもの)+鍛
鋼用鋼塊+鋳鋼鋳込
注記 ISO 6929の“Crude products”の定義では,溶鋼又は鋼塊の
いずれかの状態の製品としている。
crude steel
1203
鋼塊
溶鋼を鋼塊用鋳型(インゴットケース)に鋳込み凝固させたも
の,又は連続鋳造された鋼片。通常は,熱間加工又は鍛造による
後工程で,半製品又は製品に加工される。
注記 真空アーク又はエレクトロガススラグ法で再溶解され,鋳造
された鋼塊を含む。
ingots
1204
鋼片
鋼塊を圧延若しくは鍛造することによって,又は連続鋳造によ
って得られる,長さ方向に一定の断面形状をもつ半製品。一般に
は,次の工程で熱間圧延又は熱間鍛造を行って,仕上げ製品に加
工することを意図したもの。断面の形状及び寸法によってスラブ,
ブルーム,ビレット,シートバーなどに分類される。
semi-finished
products
5
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1205
スラブ
厚さが50 mm以上で,幅の厚さに対する比率が2以上の板状鋼
片。鋼板及び鋼帯の圧延素材として使用される。
注記 ISO 6929の定義では,幅の厚さに対する比率が4を超える
スラブは,“広幅スラブ”と呼ぶ。
slabs
1206
ブルーム
断面が,角形(正方形及び長辺が短辺の2倍以下の長方形)又
は円形の一定サイズの鋼片。正方形ブルーム(square blooms),長方
形ブルーム(rectangular blooms)及び円形ブルーム(round blooms)が
あり,通常,一辺又は直径の寸法が200 mmを超える鋼片。
注記 ISO 6929では,正方形ブルームとして1辺が120 mmを超え
るもの,及び長方形ブルームとして14 400 mm2を超える断
面積をもち,幅の厚さに対する比率が1を超え2未満のもの,
として定義される。
blooms
1207
ビレット
断面が,角形(正方形及び長辺が短辺の2倍以下の長方形)又
は円形の一定サイズの鋼片。正方形ビレット(square billets),長方
形ビレット(rectangular billets)及び円形ビレット(round billets)があ
り,通常,一辺又は直径の寸法が50 mm以上で200 mm以下の鋼
片。
注記 ISO 6929では,正方形ビレットとして1辺が一般に50 mm
以上で200 mm以下のもの,及び長方形ビレットとして断面
積が2 500 mm2以上,14 400 mm2以下の断面積をもち,幅の
厚さに対する比率が1を超え2未満のもの,として定義され
る。
billets
1208
シートバー
断面が長方形で,通常,厚さが50 mm以下で,幅250 mm程度
の短冊状の鋼片。
注記1 プルオーバ圧延機によって製造する鋼板の素材として使
用される。
注記2 ISO 6929の定義では,幅が150 mm以上で厚さが6 mmを
超え50 mm未満の板状鋼片としている。
sheet bars
1209
形鋼用ブランク
特に大形の形鋼,シートパイルなどの製造を意図した鋼片。
目的の形状を得るためにあらかじめ成形されており,鋼片の断
面積は,一般に2 500 mm2を超える。粗形鋼片(shaped blooms)又は
ビームブランク(beam blank)とも呼ぶ。
blanks for sections
1210
鋳鋼鋳込み
鋳型に溶鋼を注入して凝固させた形のままのもの。
最終製品部分の外に湯口,押湯,せきなどがついている。
steel castings as
poured
1211
鋳鋼鋳放し
鋳鋼鋳込み品から湯口,押湯など製品としての不要部分を除去
し,機械加工前の状態にあるもの。
鋳放品はそのままで出荷又は自家用となるものもあり,更に機
械加工を行う場合もある。
steel castings
unmachined
1212
鍛鋼打放し
鋼塊又は鋼片から,所要の形状に鍛造し,機械加工前の状態に
あるもの。
steel forgings
unmachined
6
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4.2
鋼材(形状別・製造法別)
4.2.1
鋼材
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001
鋼材
圧延,鍛造,引抜き,鋳造など各種の方法で所要の形状に加工さ
れた鋼の総称。鋼塊及び鋼片は含まない。
steel products
2002
圧延鋼材
圧延機によって棒鋼,線材,形鋼,鋼板,鋼帯,平鋼などの形状
に成形加工した鋼材。通常,製造業者にて更に熱間圧延されること
がないもの。
rolled steel products
2003
再生鋼材
再生用鋼くず及び鋼材製造途上に発生する鋼くずの再圧延によ
って製造された鋼材。
rerolled steels
4.2.2
鋼板及び鋼帯
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2101
鋼板
平らに熱間圧延又は冷間圧延した鋼で,平板状に切断した鋼材。
鋼帯からの切板も含む。ただし,平鋼は,含まない。
steel plates,
steel sheets
2102
厚鋼板
熱間圧延によって製造した鋼板で,統計を目的とした分類では,
厚さ3.0 mm以上のもの。3.0 mm以上6.0 mm未満のものを中板,
6.0 mm以上のものを厚板ということもある。
注記 ISO 6929では,統計を目的とした分類では,厚さ3 mm以上
を厚鋼板と区分することを推奨し,これには冷間圧延によっ
て製造された鋼板も含むとしている。
steel plates
2103
薄鋼板
熱間又は冷間圧延によって製造した鋼板で,通常,厚さ3.0 mm
未満のもの。薄板ともいう。
steel sheets
2104
鋼帯
平らに熱間圧延又は冷間圧延した鋼で,コイル状に巻いた鋼材。 steel strip in coil,
steel sheet in coil,
steel plate in coil
2105
熱間圧延鋼板
圧延機によって,熱間で圧延した鋼板。熱間圧延鋼帯からの切板
及び熱加工制御を行った鋼板も含む。
注記 熱加工制御は,TMCPと呼ぶことがある。
hot rolled steel
plates and strip in
cut length
2106
熱間圧延鋼帯
圧延機によって,熱間で圧延した鋼帯。熱加工制御を行った鋼帯
も含む。
注記 熱加工制御は,TMCPと呼ぶことがある。
hot rolled steel
plates sheet and
strip in coil
2107
冷間圧延鋼板
冷間圧延機で圧延した鋼板。
注記 ISO 6929では,冷間圧延で断面積を少なくとも25 %減少し
た鋼板。
cold rolled steel
sheet and strip in
cut length
2108
冷間圧延鋼帯
冷間圧延機で圧延した鋼帯。600 mm以上の幅の鋼帯を冷間圧延
広幅鋼帯,600 mm未満の幅の鋼帯を冷間圧延狭幅鋼帯(せん断さ
れた切板も含めてみがき帯鋼とも呼ばれる。)という。
注記 ISO 6929では,冷間圧延で断面積を少なくとも25 %減少し
た鋼帯。
cold rolled steel
sheet and strip in
coil
2109
しま(縞)鋼板
圧延ロールの表面に刻み目を入れて鋼板の片面にすべり止めな
どの模様を規則的に浮き出させた鋼板。床用鋼板ともいう。
checkered plates,
floor steel plates
2110
みがき特殊帯鋼
機械構造用炭素鋼,機械構造用合金鋼,工具鋼,ばね鋼などを用
いたみがき帯鋼。みがき帯鋼とは,幅600 mm未満の冷間圧延鋼帯
及びそれからせん断された鋼板の総称。
cold rolled special
steel strip
2111
波板
主に,溶融めっき鋼板又は塗装溶融めっき鋼板に波状の成形を施
した鋼板。
corrugated steel
sheets
7
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2.3
表面処理鋼板及び鋼帯
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2201
表面処理鋼板
及び鋼帯
表面に金属又は非金属を被覆した鋼板及び鋼帯。被覆方法及び被
覆材の種類によって溶融めっき,電気めっき,塗装などに分けられ
る。
surface treated steel
sheets and strip
2202
溶融めっき鋼板
及び鋼帯
溶融した金属の中に浸して金属被覆した鋼板及び鋼帯。
hot-dip coated steel
sheets and strip
2203
電気めっき鋼板
及び鋼帯
電気化学的に析出(電着)する方法で金属被覆した鋼板及び鋼帯。 electrolytic coated
steel sheets and
strip
2204
塗装鋼板及び鋼帯
有機塗料を焼き付けて仕上げた鋼板及び鋼帯。
prepainted steel
sheets and strip
2205
有機被覆鋼板
及び鋼帯
有機塗料を塗布した又はプラスチックフィルムをは(貼)り合わ
せた鋼板及び鋼帯。
organic coated steel
sheets and strip
4.2.4
鋼管
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2301
鋼管
筒状に成形加工された鋼材。継目なしのものと,溶接又は鍛接し
たものとがある。
注記 慣用として,英語用語は基本的には“tube”を使用し,ライ
ンパイプなどの輸送用に限って“pipe”を用いる。
steel tubes
2302
継目無鋼管
鋼塊又は鋼片から熱間で圧延,押出し若しくは押抜きによって製
造されるか,又はせん孔後機械仕上げによって製造される継目のな
い鋼管。
なお,継目無鋼管を冷間引抜き又は冷間圧延したものを冷間仕上
継目無鋼管という。
seamless steel tubes
2303
溶接鋼管
熱間又は冷間圧延された厚鋼板,薄鋼板又は鋼帯を成形し,突き
合わせた端部を溶接した鋼管。
溶接は,長手方向平行とらせん状とがある。
welded steel tubes
2304
電気抵抗溶接鋼管
鋼帯又は鋼板を筒状に成形した後,電気抵抗溶接法によって継目
部を溶接して製造され,管の長手方向に平行な1本の溶接線をもっ
ている鋼管。
電気抵抗溶接鋼管を熱間絞り圧延したもの及び熱間での電気抵
抗溶接法において製造されたものを熱間仕上電気抵抗溶接鋼管と
いい,冷間引抜き又は冷間圧延したものを冷間仕上電気抵抗溶接鋼
管という。
electric resistance
welded steel tubes
2305
サブマージアーク
溶接鋼管
鋼板又は鋼帯を筒状に成形した後,継目部をサブマージアーク溶
接法によって溶接して製造された鋼管。
管の長手方向に平行な溶接線をもつ場合をストレートシーム溶
接鋼管といい,らせん状の溶接線をもつ場合をスパイラルシーム溶
接鋼管という。
submerged arc
welded steel tubes
2306
自動アーク溶接
鋼管
溶接ワイヤの送りが自動的にでき,連続的に溶接が進行する装置
によって溶接された鋼管。
普通鋼の場合は,サブマージアーク溶接法が一般的であり,ステ
ンレス鋼管の場合は,TIG溶接法,プラズマアーク溶接法又はMIG
溶接法がある。
automatic arc
welded steel tubes
2307
鍛接鋼管
鋼帯を加熱し,円筒状に成形した後,加熱圧接法によって継目部
を圧着して製造され,管の長手方向に平行な1本のストレートシー
ムをもっている鋼管。
butt-welded steel
tubes
8
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2.5
形鋼・鋼矢板
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2401
条鋼
形鋼,鋼矢板,平鋼,棒鋼などの形状に成形加工した鋼材。一般
に,箱形のカリバー圧延機又はユニバーサル圧延機で熱間にて圧延
する。
long products
2402
形鋼
山形,溝形,I形,H形などの断面形状に圧延した鋼材。
注記 ISO 6929では,山形をL形,溝形をU形という。
sections
2403
熱間圧延形鋼
圧延機によって,熱間で圧延した形鋼。熱加工制御を行った形鋼
も含む。
注記 熱加工制御は,TMCPと呼ぶことがある。
hot rolled sections
2404
H形鋼
Hの字に似た断面をもった形鋼。通常,ユニバーサル圧延機によ
って製造し,平行する各々の二辺が等厚であり,辺の内面の傾斜は
ない。高さと辺の関係によって細幅(beam),中幅(beam)及び広幅
(column)に区分される。
注記 ISO 6929では,フランジの幅が呼び高さの0.66倍を超える
か,又は300 mm以上のものとし,フランジの幅が呼称高さ
の0.8倍を超えるものを,“コラム(column)”と呼ぶことがあ
る。
H sections
2405
I形鋼
Iの字に似た断面をもった形鋼。
注記 ISO 6929では,I形鋼とH形鋼の更なる区分として,フラン
ジの幅が呼び高さの0.66倍以下で,かつ,300 mm未満のも
のをI形鋼としている。
I sections
2406
T形鋼
Tの字に似た断面をもった形鋼。
注記 I形鋼又はH形鋼のウェブを切断して得られたT形鋼をCT
形鋼という。
T sections
2407
溝形鋼
Uの字に似た断面をもった形鋼。
U sections
2408
山形鋼
Lの字に似た断面をもった形鋼。
二辺の長さ及び厚さが各々等しいか又は異なるかによって等辺
山形鋼,不等辺山形鋼,又は不等辺不等厚山形鋼という。
angles
2409
球平形鋼
平鋼の幅方向の一方の縁に,全長にわたって片側に突き出た突起
が付いている形鋼。
注記 ISO 6929では,幅は一般的に430 mm未満である。
bulb flats
9
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2410
軽量形鋼
鋼板又は鋼帯から冷間成形法によって,溝形,Z形,山形,リッ
プ溝形などの断面に形成された形鋼。
注記 H形の場合は,鋼帯から連続的に溶接して成形され,溶接軽
量形鋼と呼ばれている。また,通常,簡易鋼矢板は,軽量形
鋼に含めない。
light gauge sections
2411
鋼矢板
両縁に水密性の継手をもち,水,土壌などの仕切り壁を構成する
ために用いられる形鋼。
断面の形状によって,U形,Z形,直線形,H形,ハット形など
の種類がある。熱間圧延による鋼矢板のほか,鋼管に継手部材をつ
けた鋼管矢板,鋼板を冷間加工した簡易鋼矢板などもある。
注記 ISO 6929では,ほかに組立矢板及び箱形矢板がある。
sheet piling
2412
坑枠鋼
Iの字又はΩの字に似た断面をもち,坑道の支保に用いるため土
圧の偏荷重に耐えるよう厚肉になっている形鋼。通常,坑道の断面
に合わせてアーチ形に曲げて用いる。
注記 ISO 6929では,I形鋼と区別するため,“フランジ内面の大
きなこう配(約30 %)をもち,呼称高さの0.70倍を超える
幅をもつ場合がある。”としている。
sections for colliery
arches
4.2.6
棒鋼・線材
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2501
棒鋼
棒状に熱間圧延又は鍛造した鋼で所定の長さに切断した鋼材。断
面の形状によって,丸鋼(円形),角鋼(正方形),平鋼(長方形),
六角鋼(六角形),八角鋼(八角形),異形棒鋼(特殊形状)などが
ある。
なお,コイル状に巻いたバーインコイルは,製造工程から統計上
線材に含められるが,本来の用途は棒鋼である。
bars
2502
熱間圧延棒鋼
圧延機によって,熱間で圧延した棒鋼。熱加工制御を行った棒鋼
も含む。バーインコイルも含めていうことがある。
hot rolled steel bars
2503
バーインコイル
熱間圧延した比較的小径(通常,径が5 mm以上50 mm以下)
の棒鋼を長尺のままコイル状に巻いた鋼材。断面の形状は円形,正
方形,六角形などを含む。
注記 バーインコイルは,棒鋼用途であり,線材とは材質及び用途
が異なるが,外観上は線材と区別できないため,線材と呼ぶ
ことがある。また,線材と同じ圧延ラインで製造されるため,
統計上は,線材として扱われる。
なお,狭義には,バーインコイルは,普通鋼の場合だけを
指し,特殊鋼の場合は線材と呼び,区別することがある。
bar in coil
2504
丸鋼
棒状に圧延又は鍛造した鋼で,断面が円形をしており,直径が一
般には8 mm以上の棒鋼。
round bars
2505
角鋼
棒状に圧延又は鍛造した鋼で,断面が正方形をしており,対辺距
離が一般には少なくとも8 mmの棒鋼。
断面の角に丸みをつけたものもある。
square bars
2506
平鋼
棒状に圧延した鋼で,断面が長方形をしており,断面の四つの面
とも圧延した面をもち,厚さ(t)は一般に5 mm以上,幅は500 mm
を超えない板状の棒鋼。
ばね鋼では平鋼の相対する短辺が円弧状(円弧Rが約0.5 t)の
ものを丸こば(平鋼)と呼ぶ。熱間圧延した平鋼を特に熱間圧延平
鋼,冷間圧延した平鋼を冷間圧延平鋼と呼ぶ。
注記 ISO 6929では,幅は150 mmを超えないとしている。
flat bars
10
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2507
異形平鋼
平鋼の相対する短辺が平行でないもの。相対する短辺が両方とも
弧状のものを丸こば平鋼と呼ぶ。
deformed steel flats,
round edged steel
flats
2508
六角鋼
棒状に圧延又は鍛造した鋼で,断面が六角形をしており,対辺距
離が一般には14 mm以上の棒鋼。
hexagon bars
2509
八角鋼
棒状に圧延又は鍛造した鋼で,断面が八角形をしており,対辺距
離が一般には14 mm以上の棒鋼。
octagon bars
2510
異形棒鋼
棒状に圧延した鋼で,断面が一般に円形,ときには角の丸い正方
形で,4 mm以上の直径又は辺をもち,表面に,はざ間模様,突起
などをもつ棒鋼。
表面の凹凸は,コンクリートとの付着力を増すためのものであ
る。鋼材円周表面にふし・その他の突起をつけたものと,冷間ねじ
り加工でらせん状にしたものとがある。軸線方向の突起をリブ,軸
線方向以外の突起を節という。
注記 ISO 6929では,直径又は対辺距離が少なくとも5 mmと定義
している。
deformed bars
2511
みがき棒鋼
鋼材を冷間引抜き,研削,切削,冷間圧延又はこれらの組合せに
よって仕上げ,表面品質及び寸法精度を向上させた棒鋼。
断面の形状によって,丸(材),角(材),六角(材),平(材)
などがある。
cold finished steel
bars
2512
線材
棒状に圧延した鋼で,断面が円,だ(楕)円,正方形,長方形,
六角形,八角形,半円形などで,コイル状に巻いた鋼材。一般に呼
称径が5 mm以上で平滑な表面をもち,後続の加工を意図したもの
である。
なお,線材と同じ工程で製造される棒鋼用途のバーインコイルを
製造工程で棒鋼と区別するために線材と呼ぶことがあり,統計上も
線材として扱われている。
注記 線材は伸線加工を行って線(wire)にするもとの鋼材であり,
線と区別するために,ワイヤーロッド(wire rod)とも呼ぶ。
rod,
wire rod
2513
線
線材を,主として伸線など冷間加工しコイル状に巻いたもの。
断面は一般には円形であるが,だ(楕)円,正方形,長方形,六
角形,八角形又はその他の形状(ただし,鋼帯以外)もある。一般
に全長にわたって一定の断面をもち,断面寸法が長さに比べて非常
に小さい。
wires
4.2.7
鋳鍛造品
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2601
鋳鋼品
鋼を鋳型に鋳込んで所要形状の製品としたもの。
鋳型としては,砂型,金型,耐火粘土製のもの,黒鉛製のもの
などがある。
steel castings
2602
遠心鋳鋼品
遠心力鋳造法によって製造した鋳鋼品。
回転の軸方向によって縦型と水平型があり,鋳型としては金型
及び砂型がある。
centrifugal steel
castings
2603
シェルモールド
鋳鋼品
シェルモールド鋳造法によって製造した鋳鋼品。
shell molded steel
castings
2604
精密鋳鋼品
インベストメント法(ロストワックス法),ショープロセスなど
によって製造した寸法精度の極めて高い鋳鋼品。
precision steel
castings
2605
鍛鋼品
適切な鍛錬成形比を与えるように鋼塊又は鋼片を鍛錬成形し,
通常,所定の機械的性質を与えるために熱処理を施したもの。
steel forgings
11
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2606
自由鍛造品
特別な金型を使用せず,上下金敷だけで火造りによって製造し
た鍛造品。一般に火造品ともいう。自由鍛造にはハンマ又はプレ
スを使用する。
注記 ISO 6929では,鍛造品(自由品)[forged products (open die)]
として,“適切な温度で圧力をかけて鋼を自由鍛造で成形し
て得た製品。一般に機械加工で最終の形にする。”と定義さ
れる。
open die forgings
2607
型鍛造品
〔型打鍛造品〕
製品に要求される形状及び体積を決定する金型を使って,適切
な温度で圧力を加えて鋼を成形して得た鍛造品。
drop forgings
(closed die
forgings)
2608
中空鍛造品
〔中打鍛造品〕
鋼塊から心金を用いてせん孔若しくは押し抜きした素材又は中
空鋼塊を用いて中空鍛錬又は穴ひろげ鍛錬によって中空の形状に
鍛錬成形した鍛造品。
hollow forgings
2609
熱間鍛造品
再結晶温度以上の適切な温度で鍛錬成形した鍛造品。
hot forgings
2610
温間鍛造品
通常,400 ℃以上で再結晶温度付近までの適切な温度で鍛錬成
形した鍛造品。
warm forgings
2611
冷間鍛造品
冷間で鍛錬成形した鍛造品。
cold forgings
4.3
鋼材(用途別)
4.3.1
一般加工用
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3101
絞り用鋼板
自動車部品,電気機械部品,車両部材,建築部材などに用いる
冷間成形性を重視して製造した薄鋼板。
steel sheets for
drawing
3102
深絞り用鋼板
自動車部品,電気機械部品などに用いる冷間での良好な深絞り
加工性及び絞り加工後の表面の肌荒れ防止を重視して製造した薄
鋼板。
steel sheets for deep
drawing
3103
非時効性
深絞り用鋼板
通常アルミ(ニウム)キルド処理などによって,6か月程度の非
時効性を保証した冷間圧延深絞り用鋼板。
non-ageing steel
sheets for deep
drawing
3104
非時効性
超深絞り用鋼板
通常IF鋼によって製造する,6か月程度の非時効性を保証した
冷間圧延超深絞り用鋼板。
non-ageing steel
sheets for extra
deep drawing
3105
IF鋼
固溶するC及びNが極力少なくなる方法で製造した鋼。通常,
超深絞り用に用いる。
interstitial free
steels
3106
熱間圧延
高張力鋼板
比較的良好な加工性を維持しつつ,引張強さを高めた熱間圧延
鋼板。
通常,引張強さ490 N/mm2以上のものをいう。
hot rolled high
tensile strength
steel sheets
3107
冷間圧延
高張力鋼板
比較的良好な加工性を維持しつつ,引張強さを高めた冷間圧延
鋼板。
通常,引張強さ340 N/mm2以上のものをいう。
なお,降伏点を低くしたもの,加工ひずみ付与後の塗装焼付温
度で硬化するものもある。
cold rolled high
tensile strength
steel sheets
12
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3108
溶融亜鉛めっき
鋼板及び鋼帯
〔通称:亜鉛鉄板〕
建材用,家電用,自動車用などの防せい(錆)性を高めるため,
溶融亜鉛めっきを行った鋼板及び鋼帯。溶融亜鉛めっきの付着量
は,一般に両面合わせて60〜800 g/m2の間である。
板には平板と波板とがある。表面は通常,スパングルと称する
花のような模様があるが,これを小さくしたもの又は消したもの
もある。また,再加熱して亜鉛層を十分に鉄と合金化させたもの
(ガルバニール,主に塗装用)がある。
注記 ISO 6929では,溶融亜鉛めっきの付着量は,一般に両面合
わせて100〜700 g/m2と規定している。
hot-dip zinc-coated
steel sheets/strip
3109
電気亜鉛めっき
鋼板及び鋼帯
家電製品用などの防せい(錆)性を高めるため,両面又は片面
に電気亜鉛めっきを行った鋼板及び鋼帯。電気亜鉛めっきの付着
量は,一般に片面当たり3〜50 g/m2の間であり,これは,片面
0.000 4〜0.007 mmのめっき厚さに相当する。
注記 ISO 6929では,電気亜鉛めっきの付着量は,一般に片面当
たり7〜107 g/m2と規定している。
electrolytic
zinc-coated steel
sheets/strip
3110
塗装溶融亜鉛
めっき鋼板及び
鋼帯
〔通称:着色亜鉛
鉄板〕
主に建材用として,溶融亜鉛めっき鋼板の両面又は片面に耐食
性・耐候性のある着色塗料を塗装し,焼き付けた鋼板及び鋼帯。
prepainted hot-dip
zinc coated steel
sheets/strip
3111
溶融アルミニウム
−亜鉛合金めっ
き鋼板及び鋼帯
主に建材用の高防せい(錆)性をもち,溶融アルミニウム−亜
鉛合金めっきを行った鋼板及び鋼帯。約5 %アルミニウムと亜鉛
との合金めっきを行ったもの及び約55 %アルミニウムと亜鉛と
の合金めっきを行ったものがある。
hot-dip aluminium-
zinc alloy coated
steel sheets/strip
3112
塗装溶融アルミニ
ウム−亜鉛合金
めっき鋼板及び
鋼帯
主に建材用として,溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の
両面又は片面に耐食性・耐候性のある着色塗料を塗装し,焼き付
けた鋼板及び鋼帯。
prepainted hot-dip
aluminium-zinc
alloy coated steel
sheets/strip
3113
ぶりき原板
ぶりきに適するように製造された厚さ0.6 mm未満の低炭素鋼の
製品で,鋼板又は鋼帯で供給され,その表面はすずめっき,ラッ
カー処理又は印刷に適しているもの。ぶりき原板には,1回目の冷
間圧延後に焼きなましを行い,更に調質圧延を行った1回冷間圧
延のぶりき原板と,1回目の冷間圧延後に焼きなましを行い,更に
2回目の冷間圧延を行った2回冷間圧延のぶりき原板とがある。
注記1 ぶりき原板は,通常,JIS G 3303の鋼種,MR(残留微量
元素が少ないもので,優れた耐食性をもち,容器その他広
く一般的用途に用いる。),L(Cu,Ni,Cr,Mo及びその
他の残留微量成分が特に少ないもので,極めて優れた耐食
性をもつ容器材料)及びD(Alキルド鋼であって,深絞
り加工及びリューダス模様の発生しやすい加工を行う用
途に用いる。)が用いられる。
注記2 ISO 6929では,厚さ0.50 mm未満と規定している。
black plate
3114
ぶりき
食缶用,飲料缶用などに用いるときの耐食性を高めるため,冷
間圧延によって製造したぶりき原板に,すずめっきを行った鋼板
又は鋼帯。
めっきの方法によって電気めっきぶりきと熱せきぶりきとがあ
る。電気めっきぶりきには1回冷間圧延のぶりき原板を用いた1
回冷間圧延製品と2回冷間圧延のぶりき原板を用いた2回冷間圧
延製品とがある。
tinplate
13
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3115
ティンフリー
スチール
食缶用,飲料缶用などに用いるときの耐食性を高めるため,冷
間圧延によって製造したぶりき原板に,電解クロム酸処理などを
行った鋼板又は鋼帯。
製品には1回冷間圧延のぶりき原板を用いた1回冷間圧延製品
と2回冷間圧延のぶりき原板を用いた2回冷間圧延製品とがある。
chromium plated
tinfree steel
3116
溶融アルミニウム
めっき鋼板及び
鋼帯
溶融アルミニウムめっきを行った鋼板及び鋼帯。耐熱性及び耐
候性に優れている。
hot-dip aluminium-
coated steel
sheets/strip
3117
ターンめっき鋼板
及び鋼帯
自動車用,電気製品用などとして,溶融合金浴に浸せきするか
又は電解で,鉛−すず合金のめっきを行った鋼板及び鋼帯。
注記1 めっきの付着量は,一般に,両面合わせて60〜130 g/m2
の間で使用される。
注記2 ISO 6929では,一般にめっきを規定できる限界の呼称付
着量は,両面で最低120 g/m2に相当すると規定している。
terne-coated sheets/
plate and strip
3118
塩化ビニル鋼板
主に建材用として,冷間圧延鋼板又は亜鉛めっき鋼板の両面又
は片面に塩化ビニル樹脂を塗装又は被覆した鋼板。
polyvinyl chloride-
coated steel
sheets
3119
ほうろう用鋼板
ほうろうがけに適するように製造した鋼板又は鋼帯。
通常,脱炭鋼板が用いられる。
cold rolled carbon
steel sheets for
vitreous
enameling
3120
デッキプレート
鋼板又は鋼帯から冷間成形法によって,波形の断面に成形した
もの。断面形状は,上フランジ,下フランジ及びウェブで構成さ
れ,建築,土木,車両,及びその他の構造物の床用に用いる。
deck plate
4.3.2
構造用・圧力容器用
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3201
構造用鋼材
建築,橋,船舶,車両,及びその他の構造物用として強度及び
必要に応じて溶接性を重視して製造された鋼材。
注記 機械構造用鋼材については“機械構造用炭素鋼鋼材”,“機械
構造用合金鋼鋼材”を参照。
steel for structure
3202
耐候性圧延鋼材
大気中において通常の鋼に比べてちみつなさびを形成しやす
く,腐食速度を低減することができる圧延鋼材。
rolled steels with
improved
atmospheric
corrosion
resistance
3203
ボイラ用鋼材
ボイラ及び圧力容器用として高温強度及び溶接性を重視して製
造された鋼材。
通常,ボイラ及び圧力容器の主要部分に使用される。
steel for boilers
3204
圧力容器用鋼材
圧力容器及び高圧設備用として,強度,溶接性及び主として常
温でのじん(靭)性を重視して製造された鋼材。
通常,圧力容器の主要部分に使用される。
steels for pressure
vessels
3205
低温用鋼材
低温下で使用される容器設備及び構造用として,低温じん性及
び溶接性を重視して製造された鋼材。
使用温度によって炭素鋼,低合金鋼,2.5 %Ni鋼,3.5 %Ni鋼,
9 %Ni鋼,オーステナイト系ステンレス鋼などがある。
steels for low
temperature
service
14
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3206
高張力鋼
建築,橋,船舶,車両,自動車その他の構造物用及び圧力容器
用として,通常,引張強さ490 N/mm2以上で溶接性,切欠きじん
性及び加工性も重視して製造された鋼材。
冷延鋼板では引張強さ340 N/mm2以上を高張力鋼という。
high tensile strength
steels
3207
調質高張力鋼
焼入焼戻しを行うことによって高張力鋼としての性質を与えた
鋼材。
quenched and
tempered high
tensile strength
steels
3208
非調質高張力鋼
圧延のまま,又は焼きならしの状態で高張力鋼としての性質を
与えた鋼材。
as rolled or
normalized high
tensile strength
steels
3209
熱加工制御
〔TMCP〕鋼
制御圧延を基本に,その後空冷又は強制的な制御冷却を行う熱
加工制御法によって製造された鋼材。
steels manufactured
by thermo-
mechanical
control process
4.3.3
土木・建築用
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3301
H形鋼ぐい
土木・建築などの構造物の基礎くいに使用するH形鋼。
bearing piles
3302
鋼管ぐい
土木・建築などの構造物の基礎,地すべり抑止などに用いる溶
接鋼管(JIS A 5525参照)。
steel pipe piles
3303
鋼管矢板
管の外面長手に継手部を設け,連続して壁状に打設し,土留め,
締切り,構造物の基礎などに用いる溶接鋼管(JIS A 5530参照)。
steel pipe sheet piles
3304
鉄筋コンクリート
用棒鋼
コンクリート補強用として強度及び必要に応じて,溶接性及び
圧接性を重視して製造された棒鋼。
丸鋼,異形棒鋼の2種類がある。
steel bars for
concrete
reinforcement
3305
PC鋼棒
熱間圧延したキルド鋼を用いホットストレッチング,冷間引抜
き,熱処理のいずれかの方法又はこれらの組合せによって仕上げ
られた鋼棒。プレストレストコンクリートに用いられ,断面の形
状は,円形及び異形である。
steels bars for
prestressed
concrete
3306
細径異形PC鋼棒
熱間圧延したキルド鋼を用い,焼入焼戻しによって仕上げられ
た細径の鋼棒。
プレストレストコンクリートに用いられ,断面の形状は,異形
である。
small size-deformed
steel bars for
prestressed
concrete
15
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.3.4
鉄道用
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3401
レール
鉄道,その他の軌道などに用いられる鋼材。一般用と特殊用と
に分けられ,更に一般用は,普通レールと軽レールとに分けられ
る。特殊用は,車両以外のクレーン,エレベーターなどの軌道と
して用いられる。
地下鉄道などで架線の代わりに用いるレールを第3レールとい
う。
通常,1 m当たりの質量で表示し,呼称する。
rails
3402
普通レール
主に鉄道に用いる1 m当たりの質量が30 kg以上のレール。
railway rails
3403
軽レール
土木工事用のトロッコ,鉱山などの軽便軌道に用いる1 m当た
りの質量が30 kg未満のレール。
light rails
3404
圧延輪心
鍛造と圧延とによって製造される鉄道車両用車輪の中心部。
リムとボスとを円板で結ぶ形のもので,ボスの部分には車軸を
はめこみ固定され,リムの外周にはタイヤが焼ばめされる。
wrought steel wheel
center
3405
圧延車輪
鍛造と圧延とによって製造される鉄道車両用の輪心とタイヤと
を一体にした形の車輪。一体圧延車輪ともいう。
wrought steel
wheels
3406
鋳鋼車輪
鋳鋼によって製造される鉄道車両用の輪心とタイヤとを一体に
した形の車輪。一体鋳鋼車輪ともいう。
cast steel wheels
3407
鋳鋼輪心
鋳鋼によって製造される鉄道車両用車輪の輪心。
cast wheel center
4.3.5
鋼管(配管用・熱伝達用・構造用・特殊用途)
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3501
配管用鋼管
気体,液体などの輸送用の配管に用いる鋼管。
steel tube for piping,
steel pipes
3502
ラインパイプ
油田,製油所,港,消費地などの間をパイプラインで直結し,
天然ガス,高圧都市ガス,石油,石油製品などを輸送するのに用
いる鋼管。
line pipe
3503
塗覆装鋼管
外面にプラスチック被覆,内面にエポキシ樹脂塗料などを塗覆
装した鋼管。
coated steel pipes
3504
ポリエチレン被覆
鋼管
ガス,油,水などの輸送に用いるもので,主に埋設用の外面に
ポリエチレンを被覆した鋼管。
polyethylene coated
steel pipes
3505
黒管
亜鉛めっきを行っていない炭素鋼鋼管。蒸気,水,油,ガス,
空気などの配管に用いる炭素鋼管の区分で主に用いられる(JIS G
3452など参照)。
−
3506
白管
亜鉛めっきを行った管。蒸気,水,油,ガス,空気などの配管
に用いる炭素鋼管の区分で主に用いられる(JIS G 3452など参照)。
−
3507
熱伝達用鋼管
ボイラ及び熱交換器などの管の内外で熱の授受を行うことを目
的とする所に用いる鋼管。
steel tube for boiler
and heat
exchanger
3508
ヘッダ用鋼管
各種ボイラの水壁用,加熱器用,及び節炭器用のヘッダ(管寄
せ)に用いる鋼管。鍛造又は圧延によって製造した大径厚肉管が
用いられる。
steel tube for header
of boiler
3509
ひれ付鋼管
熱交換を効率的にするために管の外周部又は内面に1枚以上の
ひれをもつ特殊な形状の鋼管。
通常,熱間押出法又は冷間加工法によって製造される。
fin tube
3510
リブ付鋼管
熱交換を効率的にするために管の内面にリブを付けた熱伝達用
鋼管。
リブは,冷間抽伸法などによって成形される。
ribbed tube
16
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3511
構造用鋼管
土木,建築,橋,鉄塔,機械部品用などとして強度を重視して
製造された鋼管。
steel tube for
structural
purposes
3512
角形鋼管
断面形状が角形の構造用鋼管。
square tube,
rectangular tube
3513
中空形鋼
構造用又は類似の目的に使用される断面形状が,円形,正方形
又は長方形の継目無管又は溶接管。
hollow section
3514
油井用鋼管
(ゆせいようこう
かん)
油井又はガス井の掘削,原油又は天然ガスの採取などに用いら
れるケーシング,チュービング,及びドリルパイプの総称。
注記1 ケーシングとは,油又はガス井戸壁の崩壊を防ぎ,また,
水などの物質の侵入を防ぐために油又はガス井戸内に装
入する鋼管をいう。
注記2 チュービングとは,油井戸が仕上げられてからケーシング
の中に油層まで挿入され,ポンプによって油を地上まで吸
い上げるのに用いられる鋼管をいう。
注記3 ドリルパイプとは,下方先端に取り付けられたドリルに地
上からの回転運動を伝えたり,また,掘くずの排除,ドリ
ルの冷却用の泥水を送り込むなどの用途に用いられる鋼
管をいう。
steel pipe for oil
well casing,
tubing and
drilling
3515
試すい用鋼管
温泉又は井戸などの試すい用のボーリングロッド,ケーシング,
及びチュービングに用いられる鋼管。
steel tube for
drilling
3516
高圧ガス容器用
鋼管
圧縮ガス,液化ガス,溶解アセチレンなどの高圧ガスを充てん
する鋼製高圧ガス容器に用いられる鋼管。
steel tube for high
pressure gas
cylinder
3517
中空棒鋼
主に機械加工の用途を意図した継目無管。
注記 より少ない機械加工で所期の寸法精度に仕上げられること
が可能な,狭い許容差が特徴である(JIS G 7125参照)。
hollow steel bars
3518
鋼製電線管
電気配線において,電線を保護するために用いられる鋼管。
rigid steel conduits
3519
U字曲げ加工管
冷間曲げ加工によってU字状に成形したボイラ・熱交換器用鋼
管(JIS G 3461など参照)。
U-bent tube
3520
冷間仕上鋼管
通常,冷間引抜き又は冷間圧延によって鋼管を冷間成形し,寸
法精度,表面性状などを向上させた鋼管。
cold rolled or cold
drawn tubes
3521
サニタリー管
酪農,食品工業などに用いるステンレス鋼管。
sanitary tubes
4.3.6
線材・線材二次製品
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3601
軟鋼線材
炭素含有率0.25 %以下の炭素鋼線材。
鉄線(普通鉄線・くぎ用鉄線・なまし鉄線・コンクリート用鉄
線),亜鉛めっき鉄線,溶融アルミニウムめっき鉄線などの製造に
用いる。
low carbon steel
wire rods
3602
硬鋼線材
炭素含有率0.24〜0.86 %の炭素鋼線材。
硬鋼線,ばね用オイルテンパ線,PC硬鋼線,亜鉛めっき鋼線,
亜鉛めっき鋼より線,溶融アルミニウムめっき鋼線,ワイヤロー
プなどの製造に用いる。
high carbon steel
wire rods
3603
ピアノ線材
通常,炭素含有率0.60〜0.95 %の良質な高炭素鋼線材。
ピアノ線,弁ばね用オイルテンパ線,PC鋼線,PC鋼より線,ワ
イヤロープなどの製造に用いる。
piano wire rods
17
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3604
被覆アーク溶接棒
心線用線材
主として軟鋼のアーク溶接に使用する溶接棒の心棒の製造に用
いる低炭素鋼線材。
wire rods for core
wire of covered
electrode
3605
冷間圧造用炭素鋼
線材
冷間圧造用炭素鋼線の製造に用いる炭素鋼線材。
炭素0.53 %以下及びマンガン1.65 %以下を含有し,脱酸の方
法によって,リムド相当鋼(リムド鋼を含む),キルド鋼,アルミ
キルド鋼などがある。
carbon steel wire
rods for cold
heading and cold
forging
3606
冷間圧造用ボロン
鋼線材
冷間圧造用ボロン鋼線の製造に用いるボロン鋼線材。
炭素0.37 %以下,マンガン1.50 %以下を含有し,更に焼入性
を向上させるため,微量のほう素(ボロン)を含有させた鋼材。
boron steel wire
rods for cold
heading and cold
forging
3607
冷間圧造用合金鋼
線材
冷間圧造用合金鋼線の製造に用いる合金鋼線材。
冷間圧造用合金鋼線材には,マンガン鋼,マンガンクロム鋼,
クロム鋼,クロムモリブデン鋼,ニッケルクロム鋼及びニッケル
クロムモリブデン鋼の鋼材を使用する。
low-alloyed steel
wire rod for cold
heading and cold
forging
3608
鉄線
軟鋼線材を用い伸線など冷間加工して仕上げた鋼線及びこれに
熱処理(中間焼なまし又は焼なまし)を行ったもの並びにローラ
などで異形加工を行った製品の総称。
鉄線には普通鉄線,くぎ用鉄線,なまし鉄線及びコンクリート
用鉄線がある。
亜鉛めっき鉄線,くぎ,溶接金網などの製造に用いる。
low carbon steel
wires
3609
硬鋼線
硬鋼線材を用い,通常,熱処理後伸線など冷間加工して仕上げ
た鋼線。
ばね,針,スポークなどの製造に用いる。
hard drawn steel
wires
3610
ピアノ線
ピアノ線材を用い,通常,パテンチング後伸線など冷間加工し
て仕上げた鋼線。
高級ばね,タイヤコードなどの製造に用いる。
piano wires
3611
被覆アーク溶接棒
心線
被覆アーク溶接棒心線用線材を用い,伸線など冷間加工して仕
上げた鋼線。
core wires for
covered electrode
3612
冷間圧造用鋼線
冷間圧造用線材を用い,伸線などの冷間加工又はこれらと熱処
理との組合せによって仕上げた鋼線。
使用する線材の種類によって冷間圧造用炭素鋼線,冷間圧造用
ボロン鋼線,冷間圧造用合金鋼線,冷間圧造用ステンレス鋼線な
どがある。冷間圧造によって,ボルト,ナット,小ねじ,タッピ
ンねじなどの締結部品,及び自動車,電気機器などの各種機械部
品を製造する場合に用いる。
steel wires for cold
heading and cold
forging
3613
冷間圧造用
炭素鋼線
冷間圧造用炭素鋼線材を用い冷間加工,又は熱処理及び冷間加
工との組合せによって仕上げた鋼線。製造工程には,冷間加工に
よって仕上げたもの,冷間加工後熱処理を行い,更に冷間加工に
よって仕上げたもの及び熱処理後冷間加工によって仕上げたもの
がある。
carbon steel wires
for cold-heading
and cold-forging
3614
冷間圧造用
合金鋼線
冷間圧造用合金鋼線材を用い冷間加工及び熱処理との組合せに
よって仕上げた鋼線。製造工程には,熱処理後冷間加工によって
仕上げたもの,冷間加工後熱処理を行い,更に冷間加工によって
仕上げたもの及び冷間加工後熱処理を行う工程を2回行って仕上
げたものがある。
low-alloyed steel
wires for
cold-heading and
cold-forging
18
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3615
冷間圧造用
ボロン鋼線
冷間圧造用ボロン鋼線材を用い冷間加工,又は熱処理及び冷間
加工との組合せによって仕上げた鋼線。製造工程には,冷間加工
によって仕上げたもの,冷間加工後熱処理を行い,更に冷間加工
によって仕上げたもの及び熱処理後冷間加工によって仕上げたも
のがある。
boron steel wires for
cold-heading and
cold-forging
3616
オイルテンパ線
線材を用いて伸線などの冷間加工後,連続的にまっすぐな状態
で油などの媒体で焼入れし,その後,焼戻しを行って仕上げた鋼
線。
注記1 使用する材料の種類によって,炭素鋼オイルテンパ線,ク
ロムバナジウム鋼オイルテンパ線,シリコンクロム鋼オイ
ルテンパ線,シリコンマンガン鋼オイルテンパ線などがあ
る。
注記2 内燃機関の弁ばね,懸架ばね,一般ばねなどに用いる。
oil tempered wires
for spring,
oil hardened and
tempered wires
3617
PC鋼線
ピアノ線材を用い,通常,パテンチング後伸線などの冷間加工
及びブルーイングをして仕上げた鋼線。
プレストレストコンクリートに用いる。断面の形状は,円形及
び異形がある。
uncoated stress-
relieved steel
wires for
prestressed
concrete
3618
PC鋼より線
ピアノ線材を用い,通常,パテンチング後伸線などの冷間加工
した線をより合わせた後,ブルーイングをして仕上げた鋼より線。
プレストレストコンクリートなどに用いる。素線の断面形状は,
円形及び異形がある。
uncoated stress
relieved steel
strands for
prestressed
concrete
3619
PC硬鋼線
硬鋼線材又はこれと同等以上の線材を用い,通常,熱処理後,
伸線など冷間加工し,ブルーイングを行わないで仕上げた鋼線。
プレストレストコンクリートタンク,管及びポールに用いる。
断面の形状は,円形及び異形がある。
hard drawn steel
wires for
prestressed
concrete
3620
亜鉛めっき鉄線
軟鋼線材を用い冷間加工し,必要に応じてこれに焼なましを行
った後,溶融亜鉛めっき又は電気亜鉛めっきを行って仕上げた鉄
線,又はめっき後,更に冷間加工して仕上げた鉄線。
ひし形金網,じゃかご,加工部品などに用いる。
zinc-coated low
carbon steel wires
3621
亜鉛めっき鋼線
硬鋼線材を用い熱処理を行った後,冷間加工し,必要に応じて
熱処理を行い,これに溶融亜鉛めっき又は電気亜鉛めっきを行っ
て仕上げた鉄線,又は更に冷間加工して仕上げた鉄線。
より線,ワイヤロープなどに用いる。
zinc-coated steel
wires
3622
着色塗装
亜鉛めっき鉄線
亜鉛めっき鉄線に耐久性のある合成樹脂塗料を均一に塗装し焼
き付けて仕上げた鉄線。
主として,ひし形金網に用いる。
precoated color
zinc-coated steel
wires
3623
合成樹脂被覆鉄線
鉄線又は亜鉛めっき鉄線に合成樹脂を被覆して仕上げた鉄線。
使用する合成樹脂が塩化ビニル樹脂を主体とした塩化ビニル被覆
鉄線とポリエチレン樹脂を主体としたポリエチレン被覆鉄線とが
ある。
steel wire coated
with colored
plastics
3624
塩化ビニル
被覆鉄線
鉄線又は亜鉛めっき鉄線に塩化ビニルを主体とした合成樹脂を
被覆して仕上げた鉄線。
合成樹脂被覆鉄線の一つで,主として,ひし形金網に用いる。
steel wire coated
with color colored
polyvinyl chloride
plastics
19
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3625
ポリエチレン被覆
鉄線
亜鉛めっき鉄線にポリエチレンを主体とした合成樹脂を被覆し
て仕上げた鉄線。
合成樹脂被覆鉄線の一つで,ひし形金網に用いる。
zinc galvanized steel
wire coated with
colored
polyethylene
plastics
3626
溶融アルミニウム
めっき鉄線
軟鋼線材を用い,冷間加工した後,又はこれに熱処理(焼なま
し)を行った後,溶融アルミニウムめっきをして仕上げた鉄線。
主として金網に用いる。
hot-dip aluminium-
coated steel wires
3627
溶融アルミニウム
めっき鋼線
硬鋼線材を用い,熱処理(パテンチング)後,冷間加工し,溶
融アルミニウムめっきをして仕上げた鋼線。
hot-dip aluminium-
coated steel wires
4.3.7
機械構造用炭素鋼・合金鋼
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3701
機械構造用炭素鋼
鋼材
通常,使用に際し,鍛造,切削,引抜きなどの加工と熱処理を
行って所期の性質を得て,機械部品に用いる炭素鋼鋼材。
carbon steels for
machine
structural use
3702
機械構造用合金鋼
鋼材
通常,使用に際し,鍛造,切削,引抜きなどの加工と熱処理を
行って所期の性質を得て,機械部品に用いる合金鋼鋼材。
alloy steels for
machine
structural use
3703
H鋼
ジョミニー式一端焼入方法によって焼入端からの一定距離にお
ける硬さの上限,下限又は範囲を保証した鋼。
主に機械構造用に使用する。
H steels
3704
強じん鋼
強度とじん(靭)性を向上させて用いる鋼。
機械構造用合金鋼においては,マンガン,クロム,モリブデン,
ニッケルなどの合金元素を適量添加し,焼入焼戻しを行って用い
る鋼として分類される。
high strength and
tough steels
3705
はだ(肌)焼鋼
機械構造用の低炭素鋼及び低炭素合金鋼で,主として浸炭焼入
れによって表面硬化させて用いる鋼材。
steels for case
hardening
3706
窒化鋼
アルミニウム,クロム,モリブデンなどを含有し,窒化処理し
て表面硬化させる鋼。
主に機械構造用に使用する。
steels for nitriding
3707
高温用合金鋼
ボルト材
原子力発電設備用など高温で使用する圧力容器,バルブ,フラ
ンジ及び継手に用いる合金鋼棒鋼及びボルト材。
alloy steel bolting
materials for high
temperature
service
3708
特殊用途合金鋼
ボルト用棒鋼
原子炉その他の特殊用途に用いるボルト,植込ボルト,座金,
ナットなどに用いる合金鋼棒鋼。
alloy steel bars for
special
application
bolting materials
4.3.8
特殊用途鋼(ステンレス鋼・耐熱鋼・工具鋼・クラッド鋼)
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3801
ステンレス鋼
クロム含有率を10.5 %以上,炭素含有率を1.2 %以下とし,耐
食性を向上させた合金鋼。常温における組織によってマルテンサ
イト系,フェライト系,オーステナイト系,オーステナイト・フ
ェライト系及び析出硬化系の5種類に分類される。
stainless steels
3802
マルテンサイト系
ステンレス鋼
フェライト系ステンレス鋼の炭素含有量を高め,熱処理によっ
てマルテンサイト組織とすることによって,硬化させることので
きるステンレス鋼。SUS 410がその代表的なものである。
martensitic stainless
steels
20
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3803
フェライト系
ステンレス鋼
クロムを10.5 %以上含有し,常温でフェライト組織を示すステ
ンレス鋼。SUS 430がその代表的なものである。
ferritic stainless
steels
3804
オーステナイト系
ステンレス鋼
常温においてもオーステナイト組織を示すステンレス鋼。SUS
304がその代表的なものである。
austenitic stainless
steels
3805
オーステナイト・
フェライト系
ステンレス鋼
常温でオーステナイト組織とフェライト組織とが混在するステ
ンレス鋼。二相ステンレス鋼(Duplex stainless steel)ともいう。
austenitic-ferritic
stainless steels
3806
析出硬化系
ステンレス鋼
アルミニウム,銅などの元素を少量添加し,熱処理によってこ
れらの元素の化合物などを析出させて硬化する性質をもたせたス
テンレス鋼。
precipitation
hardening
stainless steels
3807
低炭素
ステンレス鋼
炭素含有率を0.03 %以下とし,クロム炭化物の粒界への析出を
抑え,粒界腐食性を改善したステンレス鋼。
low carbon stainless
steels
3808
安定化
ステンレス鋼
チタン,ニオブ,ジルコニウム,又はそれらの組合せを少量添
加し,あらかじめ鋼中の炭素と結合させ,クロム炭化物の析出に
よる耐食性の劣化を抑制したステンレス鋼。
stabilized stainless
steels
3809
快削ステンレス鋼
硫黄,セレン,りんなどの元素を少量添加して被削性を改善し
たステンレス鋼。
free-cutting stainless
steels
3810
塗装ステンレス
鋼板
冷間圧延ステンレス鋼板又は鋼帯に有機塗料を焼き付けて仕上
げた鋼板又は鋼帯。主として建築物の屋根,外装,内装などに用
いる。
precoated stainless
steel sheets
3811
耐熱鋼
高温における各種環境で耐酸化性,耐高温腐食性又は高温強度
を保持する合金鋼。数%以上のクロムのほか,ニッケル,コバル
ト,タングステン,及び/又はその他の合金元素を含むことが多
い。
主としてその組織によってマルテンサイト系,フェライト系,
オーステナイト系及び析出硬化系の四つに分類される。
なお,合金元素の含有率の合計が約50 %を超える場合は,一般
に超合金,耐熱合金又は超耐熱合金と呼ばれる。
heat resisting steels
3812
マルテンサイト系
耐熱鋼
焼入れしてマルテンサイト組織にした後,焼戻しして使用され
る耐熱鋼。約550 ℃以下において,オーステナイト系及びフェラ
イト系と比較して強度が高い特長をもつ。
martensitic heat
resisting steels
3813
フェライト系
耐熱鋼
フェライト組織を示す耐熱鋼。一般に熱膨張係数が小さく,熱
伝導度が大きいため熱応力が小さく,高温度におけるクリープ強
さ及び降伏点が高い特長をもつ。
ferritic heat resisting
steels
3814
オーステナイト系
耐熱鋼
オーステナイト組織を示す耐熱鋼。耐高温度酸化性と高い高温
強度をもち,一般にじん性が高く,成形性及び溶接性も優れてい
る。
austenitic heat
resisting steels
3815
析出硬化系耐熱鋼
析出硬化性を与える元素を添加し,熱処理によって優れた高温
強度をもつ耐熱鋼。
precipitation
hardening heat
resisting steels
3816
バルブ鋼
クロムのほかけい素,ニッケル,タングステンなどを主要合金
元素とし,主として内燃機関用の吸気弁及び排気弁に用いる耐熱
鋼。
valve steels
3817
工具鋼
金属又は非金属材料の切削,そ性加工用などの各種ジグ・工具
に用いる鋼の総称。用途が広く,要求性能が多岐にわたるので種
類が非常に多い。一般には化学成分及び性能を考慮して炭素工具
鋼,合金工具鋼,及び高速度工具鋼に分類される。
tool steels
21
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3818
炭素工具鋼
0.55〜1.50 %の炭素を含有し,特別に合金元素を添加しない工
具鋼。
carbon tool steels
3819
合金工具鋼
炭素鋼にシリコン,マンガン,ニッケル,クロム,モリブデン,
タングステン,バナジウムなどの合金元素を1種類以上添加した
工具鋼。炭素工具鋼に対して焼入性,切削性能,耐衝撃性,耐摩
擦性,不変形性,耐熱性などを必要に応じて改善した鋼で,用途
によって切削工具用,耐衝撃工具,冷間金型用及び熱間金型用に
区分される。
alloy tool steels
3820
高速度工具鋼
高炭素鋼にクロム,モリブデン,タングステン,バナジウム,
コバルトなどの合金元素を比較的多量に添加し,切削工具,金型
などに用いる工具鋼。特に高速切削に適し,摩擦熱による高温に
よく耐える。一般に含有成分によって,タングステン系とモリブ
デン系とに分けられる。
high speed tool
steels
3821
中空鋼
主として,さく岩機用ロッドに使用する中空の棒鋼。断面形状
は丸形又は六角形などであり,鋼種は主として炭素工具鋼,強じ
ん鋼,又は肌焼鋼(浸炭処理を行って使用)などを用いる。
hollow drill steels
3822
ばね鋼
シリコンマンガン系,マンガンクロム系,クロムバナジウム系
などの鋼で,主として重ね板ばね,コイルばねなどに熱間成形し
熱処理を行ってばね特性を付与した鋼。広義のばね鋼としては,
ピアノ線,硬鋼線,ステンレス鋼線,オイルテンパ線,冷間圧延
鋼帯などのように冷間加工及び熱処理によってばね性能を高め,
そのまま線ばね,薄板ばねなど小物ばねに成形する鋼も含む。
spring steels
3823
快削鋼
りん,硫黄,鉛,セレン,テルル,カルシウムなどを単独又は
複合で添加し,被削性が向上した鋼。
free cutting steels
3824
軸受鋼
転がり軸受の球,ころ,内輪及び外輪に使用する合金鋼。高速
で変動する繰返し荷重に耐える必要性から高い疲れ強さと耐摩耗
性が要求されるので,鋼の清浄度や組織の均一性を重視して製造
する。一般に高炭素クロム鋼が,代表的鋼種である。
注記 ISO 6929では高炭素クロム鋼のほか,はだ焼鋼,高周波焼
入鋼,ステンレス鋼及び高温用鋼も軸受鋼として扱ってい
る。
bearing steels
3825
磁石鋼
クロム,アルミニウム,ニッケル,コバルトなどの合金元素を
添加した合金鋼で,焼入硬化,析出硬化などによって保磁力と残
留磁束密度の高い永久磁石特性をもつ鋼。
magnetic steels
3826
高マンガン鋼
一般にマンガン11 %以上を主合金成分とし,オーステナイト組
織を示す非磁性の合金鋼。冷間加工による硬化が大きいので耐摩
耗性部品に用いる。また,非磁性という特性をもつことから電磁
気部材にも用いる。
austenitic high
manganese steels
3827
非磁性鋼
炭素,マンガン,ニッケル,クロム,窒素などを主な合金成分
とし,オーステナイト組織を示す非磁性の合金鋼。組成的には,
高マンガン系,高ニッケル系及びこれらの中間タイプの3種に大
別される。例えば,発電機,継電器などの電磁気部材,核融合設
備,リニアモーターカーの部材などに用いる。
non-magnetic steels
3828
鋼粉末
粉末や(冶)金に用いる材料で,寸法が,通常1 mm未満の鋼粒
子の集合体。
steel powder
3829
焼結した鋼製品
粉末を金型に入れてプレス後,焼結a)し,ときには更に再プレス
することによって製造する一般的には小形の製品。
注記 これらの製品は寸法精度が高く,一般にそのまま使用される。
注a) 粒子の結合によって強度を付加する目的で,成分の溶融温度
よりも低い温度で行う粉末又は固めたものの熱処理。
sintered steel
components
22
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3830
クラッド鋼板及び
鋼帯
主に耐摩耗性又は耐化学腐食性のある鋼又は合金を,低炭素鋼,
低合金鋼などの母材と張り合わせた鋼板及び鋼帯。通常は圧延又
は爆着で製造する。ときには,溶接プロセスなどその他の方法を
用いる場合がある。
なお,母材の片面に合わせ材を張り合わせたものを片面クラッ
ド鋼,両面に合わせ材を張り合わせたものを両面クラッド鋼とい
う。
clad steel plates
sheets and strip
4.3.9
電気用材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3901
電磁鋼板
又は電磁鋼帯
鉄損値,磁束密度,透磁率などの磁気特性の優れたけい素鋼板,
低炭素鋼板及び純鉄の鋼帯又は鋼板の総称。
flat rolled electrical
steel sheet and
strip
3902
けい素鋼板
又はけい素鋼帯
けい素含有率が0.5〜7 %で炭素含有量が極めて低く,熱間又
は冷間圧延で製造された優れた磁気特性をもつ電磁鋼板又は鋼
帯。
flat rolled silicon
steel sheet and
strip
3903
方向性電磁鋼板
又は鋼帯
けい素鋼の結晶の磁化容易軸を圧延方向に配向させ,優れた磁
気特性をもたせた冷間圧延電磁鋼板又は鋼帯。
注記 電動機,発電機,変圧器,及びその他の電気機器の鉄心に
用いられる。配向性を一段と高め,磁気特性を更に向上さ
せたものを高磁束密度方向性電磁鋼帯という。ISO 6929で
は,被膜なしか,片面又は両面に絶縁被膜するかいずれか
で供給してよい製品と規定している。
grain-oriented
electrical steel
sheet and strip
3904
無方向性電磁鋼板
又は鋼帯
磁気特性に方向性を付与していない電磁鋼板又は鋼帯。
電動機,発電機,変圧器,及びその他の電気機器に用いられる。
注記 所期の磁気特性を得るための最終熱処理を製造業者が行わ
ず鋼帯の使用者が行う電磁鋼帯をセミプロセス電磁鋼帯と
いう。
non oriented
electrical steel
sheet and strip
3905
電磁軟鉄棒
又は電磁軟鉄板
純鉄又は純鉄に近いもので製造された鉄棒又は鉄板。
主として直流機器の鉄心,継鉄,接極子などに用いられる。
soft magnetic iron bar
and sheet
3906
磁極用鋼板
降伏点,引張強さ及び磁束密度が高い熱間圧延鋼板。
回転電気機械の磁極に用いられる。
steel sheets for pole
core
4.4
材質及びその他の品質
4.4.1
化学成分・材質
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4101
溶鋼分析値
〔とりべ分析値〕
一般に溶鋼がとりべから鋳型に注入され,凝固するまでの過程
で採取した分析試料a)について行った分析値。
溶鋼を代表する化学成分を示し,鋼材の化学成分は,通常,溶
鋼分析値[又はとりべ分析値b)]で示される。
注a) 真空アーク(VAR),エレクトロスラグ再溶解(ESR),粉末や
(冶)金など溶鋼分析試料が採取できない場合は,鋼塊,
鋼片又は鋼材から採取した分析試料によって分析を行い,
溶鋼分析に代わって溶鋼の代表値を決めることができる。
b) とりべ分析値という用語は,できるだけ用いないのが望ま
しい。
heat analysis,
cast analysis,
ladle analysis
4102
製品分析値
鋼材から採取した分析試料について行った化学成分の分析値。 product analysis
23
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4103
炭素当量
炭素以外の元素の影響力を炭素量に換算したもの。
引張強さに対する炭素当量,溶接部最高硬さに対する炭素当量
などがよく用いられる。JISでは溶接性に関し,次の式を採用し
ている。
14
V
4
Mo
5
Cr
40
Ni
24
Si
6
Mn
C
eq
+
+
+
+
+
+
=
C
ここに,Ceq:炭素当量(%)
注記 ISO規格では,Ceqの代わりにCEV (Carbon equivalent value)
で表し,次の式を用いている。ただし,ISO 24314にはJIS
の式も採用されている。
15
Cu
Ni
5
V
Mo
Cr
6
Mn
C
CEV
+
+
+
+
+
+
=
carbon equivalent
4104
溶接割れ感受性
組成
溶接割れ感受性として低温割れに対する化学成分の影響を表
したもの。
B
5
10
V
15
Mo
20
Cr
60
Ni
20
Cu
20
Mn
30
Si
C
CM
+
+
+
+
+
+
+
+
=
P
ここに,PCM:溶接割れ感受性組成(%)
weld crack sensitivity
composition
(parameter crack
measurement)
4105
溶融亜鉛めっき
割れ感受性当量
溶融亜鉛めっき割れ感受性を表した当量式(JIS G 3129及びJIS
G 3474参照)。
420B
4.5
Ti
2Nb
1.5
V
3
Mo
4.5
Cr
17
Ni
13
Cu
7.5
Mn
17Si
C
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
=
CEZ
ここに,CEZ:溶融亜鉛めっき割れ感受性当量(%)
crack sensitivity
equation for
galvanizing
4106
フリー窒素
鋼中の全窒素定量値から窒化物型窒素定量値を差し引いて求
めたもの(JIS A 5523及びJIS G 3475参照)。
free nitrogen
4107
機械的性質
引張強さ,降伏点又は耐力,伸び,絞り,硬さ,衝撃値,疲れ
強さ,クリープ強さなど,機械的な変形及び破壊に関係する諸性
質。
mechanical properties
4108
溶接性
鋼材の材質が溶接に適しているかどうかの程度。
注記 溶接性の評価指標として,例えば,炭素当量,溶接割れ感
受性組成などを規定する場合がある(JIS G 3136,JIS G
3475など参照)。
weldability
4109
ぜい性
一般に硬くてもろく,変形能の小さい性質。
通常,衝撃試験における衝撃値の大小又は破面の状況によって
比較される。
brittleness
4110
じん性
粘り強くて,衝撃破壊を起こしにくいかどうかの程度。
toughness
4111
加工性
用途に応じた各種の加工に適しているかどうかの程度。
workability
4112
曲げ性
割れを生ずることなく曲げ得る程度。
bendability
4113
成形性
割れを生ずることなく所要の形状に成形し得る程度。
formability
4114
深絞り性
ダイス面上の素材がダイス穴内へ絞り込まれ得る程度。
その程度によって,絞り性,深絞り性,及び超深絞り性に区別
して呼ばれることもある。
deep drawability
4115
複合成形性
深絞り,張出し,伸びフランジ,曲げなどの組合せ成形を行い
得る程度。
例えば,絞り・張出し複合成形性などがある。
combined formability
4116
張出し性
平板又は既に形成された製品の一部をふくらまし,突き出して
所定の形状寸法に成形し得る程度。
stretchability
4117
非時効性
機械的性質及び加工性が実用上支障をきたすような経時変化
をしない性質。
一般に深絞り用冷間圧延鋼板について要求される性質で,通
常,加工のときにストレッチャストレインを生じない性質をい
う。
non-ageing property
24
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4118
引抜加工性
線,棒及び管を,ダイス穴を通して引抜加工するときの加工さ
れやすさ。一般に,所定の断面形状に引抜加工するときに表面割
れ,内部割れを発生することなく,また,表面の潤滑が良好でダ
イスきずなどを生じない場合に引抜加工性がよいという。
drawability
4119
へん平性
鋼管が外面から圧縮加工された場合,きず,割れを生ずること
なくこれに耐える性質。管の端から一定長さの管状試験片を採取
し,2枚の平板間に挟んで直径方向に一定距離を圧縮し,へん平
にしたとき,試験片にきずなどの欠点が生じたかを調べる(JIS G
3445など参照)。
flattening property
4120
押し広げ性
鋼管が内面から押し広げ加工された場合,きず,割れを生ずる
ことなくこれに耐える性質。管の端から一定長さの管状試験片を
採取し,一定の角度(例えば60度)の円すい形の工具で,一定
の距離をラッパ形に押し広げたとき,試験片に,きずなどの欠点
が生じたかを調べる(JIS G 3463など参照)。
ring expanding
property
4121
展開性
溶接鋼管を展開して平板に加工した後の溶接部の健全性を表
す性質。溶接線の反対側を管軸の方向に切断し,展開して平板に
したとき,内面溶接部にきずなどの欠点が生じたかどうかを調べ
る(JIS G 3463など参照)。
−
4122
縦圧性
熱間圧延で製造したリベット用丸鋼について,その軸部のじん
性を縦圧試験で評価するもの。試験片を約950 ℃に加熱し,直ち
に縦方向に長さの1/3まで圧縮した後に,外側の面にき裂の有無
を調べて評価する(JIS G 3104参照)。
toughness for hot
headed rivet bar
4123
被削性
切削加工するときの削りやすさ。
切削抵抗,使用工具の寿命,切削仕上げ面の性状,切削くずの
形状,処理の容易さなどの特性で表される。
machinability
4124
生引性
(なまびきせい)
〔伸線性〕
あらかじめ熱処理を施すことなく,圧延のまま線材を引抜加工
するときの引抜加工性又は伸線性。
一般に,
100
×
−
原断面積
伸線後の断面積
原断面積
の大小などで表される。
伸線するときの伸線されやすさ,線の引抜加工性を伸線性とい
う。
drawability of as
rolled wire rods
4125
冷間圧造性
〔冷圧性〕
冷間圧造するときの加工されやすさ。
一般に定められた形状に冷間加工するとき,応力割れのない,
表面形状のよいものなどは冷圧性がよいという。
cold headability
4126
耐食性
ある環境における腐食作用に耐える性能。
corrosion resistance
4127
耐候性
低合金鋼などが自然環境の大気中での腐食に耐える性質。
塗装鋼板及び塩化ビニル被覆鋼板では樹脂の劣化に耐える性
質も含む。
weathering resistance
4128
耐海水性
海水と接触する環境における腐食作用に耐える性質。
corrosion resistance
in sea water
4129
耐酸性
酸による腐食作用に耐える性質。
acid resistance
4130
耐酸化性
高温で酸化に耐える性質。
oxidation resistance
4131
耐熱性
高温において耐酸化性に優れ,又は高温強度に優れている性
質。
heat resistance
4132
耐クリープ性
高温において一定の応力のもとでひずみが時間とともに増加
する現象を高温クリープといい,これに耐える性質。
creep resistance
4133
耐摩耗性
相対運動する金属面の機械的引っかき,金属的粘着などが総合
されてその面が損耗する現象を摩耗といい,これに耐える性質。
wear resistance
abrasion resistance
25
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4134
疲れ強さ
反復する応力によって生じる破壊に耐える性質。
fatigue strength
4135
熱疲れ
温度変化に起因して発生する熱応力の繰返しによって生ずる
破壊を熱疲れといい,これに耐える性質。
thermal fatigue
strength
4136
焼入性
鋼材を焼入硬化させた場合の焼きの入りやすさ,すなわち焼き
の入る深さと硬さの分布を支配する性能。
焼入性は通常,焼きの入る深さの大小で比較するが,それには
焼入性試験方法(一端焼入方法)を用いるのが便利である(JIS G
0561参照)。ほかにもシェファードP−F試験,SAC焼入性試験
などがある。
hardenability
4137
標準調質
冷間圧延鋼板及び鋼帯の調質区分の一つで焼なまし後,形状,
表面仕上げ,機械的性質及び加工性を用途に応じて適切なものと
するため軽度の冷間圧延を行って得られるもの。
−
4138
硬質
冷間圧延鋼板及び鋼帯の調質区分で,焼なまし後,冷間圧延(調
質圧延ということもある)によって硬さ調整を行ったもの。又は,
調質圧延で硬さを高める代わりに,化学成分の調整によって,硬
さを確保するものもある。
硬さ,引張強さなどの区分によって1/8硬質,1/4硬質(quarter
hard),1/2硬質(half hard)及び硬質(full hard)がある。
full hard
4139
浸出性能
水道用配管などから管内の水へ物質が溶け出し,水がにおった
り,水に汚れが生じたり,有害物質が含まれたりすることを基準
値内に抑える目的で規定する性能(JIS G 3448及びJIS S 3200-7
参照)。
−
4140
厚さ方向特性
鋼材の板厚方向の変形特性。通常,鋼板,平鋼などの厚さ方向
の引張試験による絞り値を規定する(JIS G 3199参照)。
through-thickness
characteristics
4141
磁気特性
磁性材料が磁化された場合にその材料が示す磁気的な諸特性。
一般的には鉄損,磁束密度,透磁率,保磁力,残留磁束密度な
どがあげられる。
magnetic properties
4142
曲げ戻し性
曲げ加工を行った棒鋼の時効特性を評価するもの。所定の角度
に曲げ加工を行った試験片を加熱し人工的に時効させた後に,試
験片を所定の角度まで曲げ戻して,その表面にき裂の有無を調べ
て評価する(JIS G 3112参照)。
rebending properties
after ageing
4.4.2
表面処理・表面仕上げ
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4201
スパングル
溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯の表面に現れる亜鉛の結晶模様。
スパングルは,溶融亜鉛が凝固する過程で発生し,その大きさに
よってレギュラスパングル(通常の凝固過程において生成するも
の)とミニマイズドスパングル(結晶模様を極力微細化したもの)
とがある(JIS G 3302参照)。
spangle
4202
合金化めっき
溶融亜鉛めっき後に加熱することによって,亜鉛めっき層が亜
鉛と鉄との合金層となるように処理して得られるめっき(JIS G
3302参照)。
zinc-iron alloy
coating
4203
スキンパス処理
鋼板及び鋼帯の外観,形状,機械的性質などの向上を目的とし
て行う,軽圧下による冷間圧延処理。めっき鋼板及び鋼帯では,
スキンパス処理は表面を滑らかにするために行うとしている
(JIS G 3302参照)。
skin pass
4204
化成処理
化学薬液を用いて金属表面に酸化膜又は無機塩の薄い皮膜を
化学的に作り,金属の防さび皮膜,塗装下地などを作る処理。
化成処理には,薬液の種類に応じてクロム酸処理(クロメート
処理),りん酸塩処理,クロメートフリー処理などがある。
chemical conversion
26
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4205
クロメート処理
クロム酸又は二クロム酸を主成分とする溶液(薬液)を用い,
金属表面に化学的に防食皮膜を作成する化成処理。主に,亜鉛め
っきの後処理として行われるもので,この処理によって耐白さび
(錆)性は著しく向上する。化成処理方法には,浸せき法,電解
法及び塗布法がある。
chromate treatment
4206
りん酸塩処理
金属の表面に,水不溶性りん酸塩皮膜を生成させる化成処理。
主に,塗装下地用として用いる。
phosphating
4207
クロメートフリー
処理
六価クロムを含まない化成処理。
chromate free
treatment
4208
塗装焼付硬化
鋼板にひずみを与えた後,塗装の焼付けを行う温度で熱処理を
行ったとき,降伏点又は耐力が上昇すること(JIS G 3135参照)。
bake hardening
4209
塗油
鋼材に防せい(錆)を目的として油を塗ること。
oiling
4210
相当めっき厚さ
めっきの付着量表示記号に対して得られる代表的なめっき付
着量の厚さ。
equivalent coating
thickness
4211
めっき量定数
めっきの付着量表示記号に対して得られる代表的なめっき付
着量。
coating mass constant
4212
差厚めっき
公称のめっきの付着量が鋼板及び鋼帯の表裏面で異なるめっ
き。
differential coating
4213
粗面仕上げ
〔ぶりき〕
一定方向のと(砥)石目が見られることを特徴とするぶりき原
板にすずめっきを施し溶融処理操作を行って得られる光沢のあ
るもの(JIS G 3303参照)。
stone finish
4214
シルバー仕上げ
〔ぶりき〕
粗いダル状表面をもつぶりき原板にすずめっきを施し溶融処
理操作を行って得られる光沢のあるもの(JIS G 3303参照)。
silver finish
4215
マット仕上げ
〔ぶりき〕
通常ダル状表面をもつぶりき原板にすずめっきを施し溶融処
理操作を行わないつや消しのもの(JIS G 3303参照)。
matte finish
4216
ショットブラスト
仕上げ
鋼材の表面状態を示し,高速でショットを投射し,表面のミル
スケール,さびなどを除去したもの。
shot blasted surface
4217
酸洗仕上げ
鋼材の表面状態を示し,硫酸,塩酸又はその他の酸溶液に浸せ
きして,表面のスケール,さびなどを除去したもの。
pickled surface
4218
ダル仕上げ
冷間圧延鋼板及び鋼帯の表面状態を示し,冷間圧延ロールのは
だを一様に粗くし,鋼板の表面をなし(梨)地状の光沢のない状
態に仕上げたもの。なし(梨)地仕上げ又はつや消し仕上げとも
いう。
dull finish
4219
ブライト仕上げ
冷間圧延鋼板及び鋼帯の表面状態を示し,研磨した冷間圧延ロ
ールで圧延し,鋼板の表面を平滑で光沢のある状態に仕上げたも
の。
bright finish
4220
NO.1仕上げ
熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,熱
間圧延後,熱処理,酸洗又はこれに準ずる処理を行って仕上げた
もの。
No.1 finish
4221
NO.2D仕上げ
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,冷
間圧延後,熱処理,酸洗又はこれに準ずる処理を行って仕上げた
もの。また,つや消しロールによって最後に軽く冷間圧延したも
のもこれに含める。
No.2D finish
4222
NO.2B仕上げ
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,冷
間圧延後熱処理,酸洗又はこれに準ずる処理を行った後,適切な
光沢を得る程度に冷間圧延して仕上げたもの。
No.2B finish
4223
NO.3仕上げ
熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯,並びに冷間圧延ステンレス
鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,JIS R 6010の規定による
P100〜P120番に研磨して仕上げたもの。
No.3 finish
27
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4224
NO.4仕上げ
熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯,並びに冷間圧延ステンレス
鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,JIS R 6010の規定による
P150〜P180番に研磨して仕上げたもの。
No.4 finish
4225
BA仕上げ
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,冷
間圧延後,光輝熱処理を行って仕上げたもの。
bright annealed finish
4226
HL仕上げ
冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の表面仕上げ状態を示し,適
切な粒度の研磨材を用いて連続した磨き目をつけるように研磨
して仕上げたもの。
hair line finish
4227
鋳はだ(肌)
鋳放し状態の表面。
黒皮ともいう。
casting surface
4.4.3
形状・寸法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4301
標準寸法
使用実績,標準数列などを考慮してある程度集約化した鋼材の
寸法。
製品規格において標準寸法が示された場合,それは,通常,そ
の寸法で取引することを推奨していることを意味している。
preferred size
4302
定尺
(ていじゃく)
標準寸法と同義語であるが,通常標準寸法よりも更に集約化さ
れた寸法。
なお,鋼管,棒鋼,形鋼などは長さに対してだけ用いる。
−
4303
公称寸法
商取引上用いられる鋼材の寸法。呼び寸法ともいう。
nominal size
4304
呼び寸法
〔呼称寸法〕
商取引上用いられる鋼材の寸法。単に寸法ともいう。通常,規
格では“呼び”を省略し,単に厚さ,幅,外径などで表す。実際
の寸法の許容差の基準値となる。
nominal size
4305
呼び名
〔呼び〕
アルファベット及び/又は数字で表した寸法の呼称(JIS G
3112,JIS G 3350など参照)。呼び方ともいう(JIS G 3452,JIS G
3448など参照)。
nominal designation
4306
表示厚さ
めっき鋼板及び鋼帯における,めっき前の原板厚さ(JIS G
3312,JIS G 3313など参照)。
thickness of base
metal prior to
coating
4307
製品厚さ
めっき鋼板及び鋼帯,並びに塗装鋼板及び鋼帯における,原板
にめっき及び塗装を施した後の厚さ(JIS G 3312,JIS G 3313な
ど参照)。
product thickness
4308
ミルエッジ
鋼板,鋼帯のエッジの一種で,圧延によって自然に生じたエッ
ジそのままで,切断されていないもの。
mill edge
4309
カットエッジ
鋼板,鋼帯のエッジの一種で,圧延によって自然に生じたエッ
ジを切断したもの。
切断の方法によって,トリムドエッジ,スリットエッジ,シャ
ードエッジなどと区分していうことがある。
cut edge
4310
反り
鋼板全体がわん曲したもの。圧延方向にわん曲した反り,及び
圧延方向に直角にわん曲した反りがある。
bow,
warpage
4311
波
鋼板の圧延方向に波打ったような状態。
wave
4312
耳のび
鋼板の幅方向端部に波が現れ,中央部は平たんであるもの。
edge wave
4313
中のび
鋼板の中央部に波が現れ,幅方向端部は平たんであるもの。
center buckle
28
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4314
平たん度
鋼材の面のわん曲又は波状ひずみ。通常,鋼材を平たんな平面
状においた場合の,基準平面からの最大偏差の程度。鋼板の場合
は,直尺又は水糸を任意の波の頂点に置いたとき,測定される最
大偏差(形鋼:JIS G 3192,鋼板及び鋼帯:JIS G 3193,平鋼:JIS
G 3194参照)。
鋼板の例
1 直尺又は水糸
2 鋼板
a 波のピッチ
b 平たん度
flatness
4315
横曲がり
鋼板,鋼帯又は平鋼のエッジが,製品の両端を結ぶ直線又は任
意の2点を結ぶ直線からはずれる最大距離(JIS G 3193及びJIS G
3194参照)。
camber
4316
直角度
鋼板の端部,又は形鋼,鋼管などの端面が,製品の長辺を基準
とした直角面から偏る最大値。
鋼板の端部の直角度は,通常,1隅点において,長辺に対して
垂線を立てたとき,反対の隅点との距離(A)と幅(B)との比(A/B)
で表す(JIS G 3141など参照)。
形鋼,鋼管などの端面の直角度は,通常,最大距離で表す(JIS
G 3192,JIS A 5530など参照)。
squareness
4317
真直度
鋼材の長手方向の基準直線からのずれの大きさ。
PC鋼棒では,長さ1 mに対する弧の最大高さをいう(JIS G 3137
参照)。
straightness
4318
計算質量
計算によって求められる鋼材の質量。基本質量,単位質量,一
つの製品の質量,総質量の順序で計算する(JIS G 3191,JIS G
3192,JIS G 3193,JIS G 3194など参照)。通常,鋼板,形鋼,棒
鋼及び平鋼の質量に用いる。
calculated weight
4319
質量の許容差
計算質量と実測質量との差を計算質量で除して百分率で表し
たもの(JIS G 3192,JIS G 3194など参照)。
permissabale
variation of weight
29
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4320
スケジュール番号
管の厚さ(t)と外径(D)との比(t/D)によって区分された番
号。スケジュール番号は,鋼管の耐圧性能の指標として用いられ
る。鋼管の取引では鋼管のサイズを指定する場合に,外径×厚さ
の表示のほかに,外径とスケジュール番号との組合せが用いられ
ることがある。
注記 ASMEでは,スケジュール番号と管の外径(D)及び厚さ
(t)との関係を次の式で与えている(ASME B36.10参照)。
スケジュール番号=1 750×(t−2.54)/D
schedule number
4321
ベベルエンド
鋼管と鋼管とを接続するための円周溶接等に備えて,管端に開
先(溶接性をよくするための溝)の加工を施したもの。通常,開
先加工の形状は,受渡当事者間の協定によって決定される。開先
加工を施したものをベベルエンド,加工を施していないものをプ
レンエンドという。
bebel end
4322
プレンエンド
鋼管の管端形状をいい,開先を加工せず管軸方向に直角面であ
る形状のもの。
plane end
4323
偏肉
継目無鋼管の同一断面における測定厚さの最大と最小との差
の厚さに対する割合。
eccentricity
4324
偏径差及び偏差
同一断面における径,辺又は対辺距離の最大値と最小値との
差。円形断面の鋼材の場合は径の差を偏径差といい,角鋼の場合
は辺,六角鋼及び八角鋼の場合は対辺距離の差を偏差という。
out-of-round,
out-of-square
4.4.4
その他
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4401
試験単位
製品規格又は注文の要求内容に従って供試製品に対して実施
した試験の結果に基づいて,一括して合格又は不合格とされる製
品の集団(JIS G 0404参照)。
test unit
4402
供試製品
検査及び/又は試験のために試験単位から採取した製品(JIS G
0404参照)。
sample product
4403
供試材
試験片作製のために供試製品から採取した十分な量の材料(JIS
G 0404参照)。
注記 供試材は,供試製品そのものであり得る。
sample
4404
粗試験片
試験片を作製するために,機械加工,更に必要によって熱処理
が行われる供試材の一部分(JIS G 0404参照)。
rough specimen
4405
試験片
規定の寸法をもち,所定の試験に供する状態の供試材の一部分
(JIS G 0404参照)。
test piece
4406
組試験
平均又は個々の試験結果で,注文者及び/又は製品規格の要求
を満足していることを示す一組の試験(JIS G 0404参照)。
sequential testing
4407
分析用試料
分析に供するのに必要な条件を備えた供試材の一部若しくは
その供試材から採取した未処理試料の一部,又は溶湯から採取し
た試料の一部(JIS G 0417参照)。
sample for analysis
4408
分析試料
実際に分析する分析用試料の一部,又は溶湯から採取した試料
の一部(JIS G 0417参照)。
test portion
4409
余肉
鍛造性を考慮して鋳造時に増肉を付けて鋳込み,製品となると
きには取り除かれる部分。
pads
4410
鍛錬成形比
鍛錬作業による変形の大きさの度合。
一般には鍛造前の断面積と鍛造終了後の断面積との比に作業
種類記号を添えて表される。
forging ratio
30
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4411
鍛造効果
鍛造の目的(成形と材質改善)の一つである材質の強じん化の
程度。
一般には,鍛錬成形比又は機械的性質で表される。
forging effect
4412
溶接補修
鋼材の表面にある有害な欠点を,適切な方法によって完全に除
去した後,溶接肉盛によって補修を行うこと(JIS G 3192,JIS G
3193及びJIS G 3194参照)。
repair by welding
4413
きず取り基準
鋼材表面に存在するきずを除去する場合の深さ,面積などの限
度。
手入れの限度ともいう。
limited condition of
surface
imperfections to
remove
4414
きずの許容限度
鋼材表面に存在するきずで使用上有害でなく,きず取り不要な
きずの大きさ,数などの限度。
allowable
imperfections
without repairing
4415
残存きずの許容限
度
きず取り後の鋼材に存在するきずで,使用上差し支えないきず
の大きさ,数などの限度。
allowable limit of
imperfections after
repairing
参考文献
JIS A 5523 溶接用熱間圧延鋼矢板
JIS A 5525 鋼管ぐい
JIS A 5530 鋼管矢板
JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
JIS G 0417 鉄及び鋼−化学成分定量用試料の採取及び調製
JIS G 0561 鋼の焼入性試験方法(一端焼入方法)
JIS G 3104 リベット用丸鋼
JIS G 3112 鉄筋コンクリート用棒鋼
JIS G 3129 鉄塔用高張力鋼鋼材
JIS G 3135 自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板及び鋼帯
JIS G 3136 建築構造用圧延鋼材
JIS G 3137 細径異形PC鋼棒
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3191 熱間圧延棒鋼とバーインコイルの形状,寸法及び質量並びにその許容差
JIS G 3192 熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差
JIS G 3193 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状,寸法,質量及びその許容差
JIS G 3194 熱間圧延平鋼の形状,寸法,質量及びその許容差
JIS G 3199 鋼板及び平鋼の厚さ方向特性
JIS G 3302 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯
JIS G 3303 ぶりき及びぶりき原板
JIS G 3312 塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯
JIS G 3313 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯
JIS G 3350 一般構造用軽量形鋼
JIS G 3445 機械構造用炭素鋼鋼管
31
G 0203:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS G 3448 一般配管用ステンレス鋼管
JIS G 3452 配管用炭素鋼管
JIS G 3461 ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管
JIS G 3463 ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼鋼管
JIS G 3474 鉄塔用高張力鋼管
JIS G 3475 建築構造用炭素鋼管
JIS G 4903 配管用継目無ニッケルクロム鉄合金管
JIS G 4904 熱交換器用継目無ニッケルクロム鉄合金管
JIS G 7125 機械加工用中空棒鋼(ISO仕様)
JIS S 3200-7 水道用器具−浸出性能試験方法
ISO 4948-1,Steels−Classification−Part 1: Classification of steels into unalloyed and alloy steels based on
chemical composition
ISO 6929,Steel products−Definitions and classification
ISO 24314,Structural steels−Structural steels for building with improved seismic resistance−Technical
delivery conditions
ASME B36.10 Welded and Seamless Wrought Steel Pipe