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F 9601 : 2001 (ISO 9876 : 1997) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶

標準協会 (JMSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。 

今回の改正は,日本工業規格を国際規格に整合させるため,ISO 9876 : 1997 (Ships and marine technology

−Marine facsimile receivers for meteorological charts) を基礎として用いた。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 9601 : 2001 

(ISO 9876 : 1997) 

船用気象ファクシミリ受信機 

Ships and marine technology− 

Marine facsimile receivers for meteorological charts 

序文 この規格は,1997年に第2版として発行されたISO 9876, Ships and marine technology−Marine 

facsimile receivers for meteorological chartsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成

した日本工業規格である。 

なお,この規格で,点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,国際無線通信諮問委員会 (CCIR) の勧告343-1,及び世界気象機関 (WMO) の

Doc. No. 386, Part III-7に従って規定されている“無線装置による気象図のファクシミリ送信”に基づいて,

送信された気象図を受信する船用ファクシミリ受信機の構造,性能,形式試験及び検査について規定する。 

この規格は,上記の気象図と他の気象状態の図形表示を受信する海上航行援助用装置としての船用気象

ファクシミリ受信機について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づきIDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 9876 Ships and marine technology−Marine facsimile receivers for meteorological charts (IDT) 

参考 国際電気通信連合 (ITU) の国際無線通信諮問委員会 (CCIR) は,現在では国際電気通信連合−

無線通信センター (ITU-R) と組織名を変更した。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

ISO 694 Ships and marine technology−Positioning of magnetic compasses in ships. 

IEC 60945 Marine navigational equipment−General requirements−Methods of testing and required test 

results. 

International Radio Consultative Committee, Recommendation 343-1 : 1984, Facsimile transmission of 

meteorological charts over radio circuits. 

Technical characteristics equipment for meteorological facsimile (analogue) transmissions No. 386, Part III-7 : 

1986 World Meteorological Organization. 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

F 9601 : 2001 (ISO 9876 : 1997) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1 

デッドセクタ (dead sector)  画像信号の送信に使用できない走査線の部分。その基準は,走査線の

長さの4.5±0.5%である。 

3.2 

ファクシミリ (facsimile)  固定した図形が走査され,そしてその情報は記録形式で遠く離れた場所

で図形のコピーを作り出すために使われる電気信号に換えられる処理又は処理の結果。 

3.3 

協動係数 (index of cooperation : IOC)  協動係数の値Mは,次の式で表される。 

M=L×F/π 

ここに, L: 走査線の長さ (cm) 
 

F: 走査線の密度 (cm-1) 

π: 円周率 

3.4 

協動係数 (IOC) 選択信号 (IOC selection signal)  次の周波数において5〜10秒間続く黒と白との

交互信号を発信してファクシミリ受信機で協動係数の自動選択を行うための信号。 

協動係数576用は300Hz 

協動係数288(又は交互線走査の協動係数576)用は675Hz 

備考1. この信号は受信機の自動始動用にも使用される。 

2. 信号のエンベロープは,ほぼ長方形となる。 

3.5 

気象図 (meteorological chart)  特定の時刻の天気状況,風向,風速,高気圧,低気圧,前線,等圧

線などを描いた天気図。 

3.6 

位相整合 (phasing)  気象図などを正しい位置に受信するための独立同期信号の位相調整。 

3.7 位相信号 (phasing signal)  自動的にファクシミリ受信機の位相を調整するための信号。この信号は,

次の周波数で30秒間続く黒と白との交互信号である。 

走査速度毎分 60走査 (60min-1) に対しては,1.0Hz 

走査速度毎分 90走査 (90min-1) に対しては,1.5Hz 

走査速度毎分 120走査 (120min-1) に対しては,2.0Hz 

備考1. この信号は,自動始動,走査周波数の自動選択及び記録レベルの自動調整に使用してもよい。 

2. この信号の波形は,走査線の半分続く黒と白との対照的なものであるか,又は走査線の5%

続く白と95%続く黒との非対称なものであるかのいずれかである。 

3.8 

遠隔制御信号 (remote control signal)  装置を遠隔操作するための制御信号。 

備考 気象図用ファクシミリ受信機を操作するための遠隔制御信号は位相信号,協動係数選択信号,

停止信号を含む。 

3.9 

(S+N+D) /N 信号と雑音とひずみを加えた値の雑音に対する比。 

3.10 (S+N+D) / (N+D)  信号と雑音とひずみを加えた値の雑音とひずみを加えた値に対する比。 

3.11 スプリアスレスポンス (spurious responses)  スプリアスレスポンスの周波数において,所要信号の

入力レベルの不要信号の入力レベルに対する比。この場合,所要信号及び不要信号は,個々に受信機の出

力で (S+N+D) /N又は (S+N+D) / (N+D) を作るものとする。 

3.12 停止信号 (stop signal)  450Hzの周波数で切り換えられる黒と白の交互信号の5秒間の信号と,そ

れに続く連続黒に相当する10秒間の信号。 

備考 この450Hz信号のエンベロープは,ほぼ長方形となる。 

4. 要求事項 

F 9601 : 2001 (ISO 9876 : 1997) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.1 

構造 

4.1.1 

装置は,無線受信機及び記録装置をもっていなければならない。 

4.1.2 

記録装置は,昼間及び低照度の人工光のもとで記録紙と記録デバイスのいずれか又は両者の交換が

可能な構造でなければならない。同じ条件下で日常的メンテナンスができなければならない。 

4.2 

記録装置の性能 

4.2.1 

記録装置 装置は受信している間,連続的に記録できなければならない。 

4.2.2 

入力信号 外部入力端子をもつ記録装置は,600Ωのインピーダンスにおいて,外部受信機からの,

少なくとも−10〜+10dBmの入力レベル及び中心周波数1 900Hzに対して±150Hz及び±400Hz又はその

いずれかの偏移をした可聴周波数の入力信号を受け入れ,記録できなければならない。 

4.2.3 

協動係数 協動係数576及び288の自動選択及び手動選択ができなければならない。 

4.2.4 

走査速度 毎分60,90及び120走査の走査速度の自動選択及び手動選択ができなければならない。 

4.2.5 

自動運転 記録装置は,450Hz変調の停止信号,300Hz及び675Hz変調の始動信号と協動係数選択

信号に対して,自動的に応答できなければならない。 

4.2.6 

走査の同期と位相整合 記録装置は,周波数精度±2×10-6,周波数安定度±2×10-5のファクシミ

リ送信機に対して同期して作動できる能力をもたなければならない。 

位相整合は,手動調整ができる自動でなければならない。 

4.2.7 

走査線の記録間隔 走査線の記録間隔は,公称値の±25%を維持しなければならない。 

4.2.8 

記録寸法と残量表示 記録の最小幅は,180mmとする。 

記録紙には,その終端から1m以上の位置において残量表示がなされていなければならない。 

4.3 

受信機の性能基準 

4.3.1 

受信周波数 受信機は,110kHz〜27MHzの範囲をもち,少なくとも3〜24MHzではF3Cの送信波

を受信できる能力をもたなければならない。受信機は,少なくとも6個のプリセットスポット周波数をも

ち,選択された各周波数は,適切な方法で表示するか容易に識別できなければならない。 

4.3.2 

周波数安定度 周波数ドリフトは,±15〜+35℃の温度範囲で,50Hzを超えてはならない。 

4.3.3 

感度 記録装置が判読可能な画像を記録するため受信機への入力は,3MHzを超える周波数では

3μV以下,110kHz〜3MHzの周波数では10μV以下でなければならない。 

4.3.4 

選択度 周波数帯域幅は,6dB減衰点で測定して6.2kHz以内,66dB減衰点で10kHz以内でなけれ

ばならない。 

4.3.5 

中間周波妨害の抑圧 中間周波数での妨害信号の抑圧は,60dBより大きくなければならない。 

4.3.6 

影像周波妨害の抑圧 影像周波数での妨害の抑圧は,40dB以上でなければならない。 

4.4 

受信機及び記録装置の一般的な要求事項 受信機及び記録装置は,IEC 60945に規定する要求事項の

うちの該当事項に適合するものでなければならない。 

5. 試験方法及び試験結果 

5.1 

一般的な試験要件 特に規定する場合を除き,通電試験と動作試験との間,並びに装置に供給する

電源は,定格電圧及び定格周波数でなければならない。 

4.の要求事項が,5.で指定されない場合には,装置の製造図面又は他の適切な書類によって確認しなけれ

ばならない。 

5.2 

測定の一般条件 

F 9601 : 2001 (ISO 9876 : 1997) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2.1 

記録装置 記録装置の試験は,ファクシミリ信号発信器を使用し,これとリンクさせて行う。もし

この発信器がAM出力であるならば,AM/FMコンバータを通して接続する。この発信器は,4.2.2から4.2.5

までで規定された要求事項に従って動作するものでなければならない。 

形式検定当局によっては,実際のファクシミリ放送を受信することによって装置の全体的な性能を評価

する場合がある。 

参考 外国では船用気象ファクシミリ受信機が,型式承認品となっている場合がある。 

5.2.2 

無線受信機 記録装置を接続した状態で,標準信号発生器から,発射形式F3Cの信号を受信して

無線受信機を試験する。 

5.3 

構造 4.1の要求事項は,目視によって確認する。 

5.4 

記録装置の性能試験 

5.4.1 

試験方法 次に示す毎分走査数の走査速度との協動係数の組合せを順次切り換えて行う。 

288/60,288/90,288/120,576/60,576/90,576/120 

それぞれの試験は,送信機のスイッチを入れて行う。 

これらは,4.2.1〜4.2.5の要求事項をすべて試験するものである。 

5.4.2 

試験結果 記録装置は,それぞれの試験で,適切な協動係数 (IOC) と走査速度を選択して行い,

伝達したものと相似形のファクシミリチャートを作成しなければならない。 

5.4.3 

走査と位相との同期 受信した各試験パターンは完全で,記録結果は長方形であることを目視によ

って確認する。 

試験パターンの受信中に,手動位相調整が適性に操作できることを確認する。 

5.4.4 

走査線の間隔 試験パターンの目視検査によって,それぞれの線が等間隔で,前の線と平行してい

ることを確認する。 

5.4.5 

記録寸法及び残量表示 4.2.8の要求事項は,目視によって確認する。 

5.5 

受信機の性能試験 

5.5.1 

受信周波数 

5.5.1.1 

試験方法 標準信号発生器から受信機に信号を入力し,受信機の受信周波数は手動で入力信号の

周波数に同調されなければならない。 

入力する信号は,適切な六つのスポット周波数を含めて必要とされる全周波数範囲とする。 

5.5.1.2 

試験結果 受信機は,それぞれの入力された周波数に対応しなければならない。 

すべての選択された周波数が適切な方法によって表示するか,又は容易に識別できなければならない。 

5.5.2 

周波数安定性 

5.5.2.1 

試験方法 安定性は少なくとも三つのスポット周波数を周波数カウンタを使って測定する。 

5.5.2.2 

試験結果 +15〜+35℃の温度範囲において,周波数ドリフトは15分間において50Hzを超えて

はならない。 

5.5.3 

感度 

5.5.3.1 

試験方法 それぞれの試験周波数と設計された発射形式に調整された受信機とともに,入力信号

はキャリア周波数を使用する。 

それぞれの試験のために,受信機出力で (S+N+D) /N又は (S+N+D) / (N+D) 比が20dBになるまで,

試験信号の入力レベルを調整する。 

測定した入力レベルは,感度を表す値となる。 

F 9601 : 2001 (ISO 9876 : 1997) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.5.3.2 

試験結果 5.5.3.1の試験方法による入力レベルは,3MHzを超える周波数では3μV以下で,110kHz

から3MHzまでの周波数では10μV以下でなければならない。 

5.5.4 

選択度 

5.5.4.1 

試験方法 単一信号の選択度は,次のように測定する。選択度は,受信回路におけるピーク値に

対する6dB減衰点において測定された通過帯域幅として表現される。 

無変調無線周波数試験信号を受信機に入力する。試験信号の周波数を変化させ,プロットすべき周波数

対電圧グラフが描けるような十分な数の周波数に対して,中間周波増幅器の出力電圧を測定する。入力信

号レベルは,中間周波増幅器を飽和させない程度でなければならない。 

5.5.4.2 

試験結果 通過帯域幅は,6dB減衰点で6.2kHz以内,66dB減衰点で10kHz以内でなければなら

ない。 

5.5.5 

影像周波妨害の抑圧と中間周波妨害の抑圧(スプリアスレスポンス) 

5.5.5.1 試験方法 スプリアスレスポンスは,所望信号の入力レベルと不要信号の入力レベルの比である。

ただし,所望信号と不要信号が個々に受信機出力で同じ (S+N+D) /N又は (S+N+D) / (N+D) である場

合とする。 

受信機は感度測定のための取り決めに従って調整する。入力信号の搬送周波数は,影像周波数と中間周

波数に合わせ,最大出力電力を与えるように入力信号の搬送周波数を調整する。受信機出力において20dB

の (S+N+D) /N又は (S+N+D) / (N+D) を与えるように入力レベルを調整する。その後,それぞれのス

プリアス信号の入力レベルと所望信号の入力レベル間の比を判定する。 

5.5.5.2 

試験結果 影像周波抑圧比は,40dB以上,中間周波抑圧比は60dB以上でなければならない。 

5.6 

その他の試験 IEC 60945の規定に従って,次の試験を行う。ただし,高温乾燥サイクル試験,高温

湿度サイクル試験及び低温サイクル試験は,性能チェックの間を除き記録紙を装着しないで行う。 

動作試験 

電源試験 

高温乾繰サイクル試験 

高温湿度サイクル試験 

低温サイクル試験 

振動試験 

伝導妨害試験 

放射妨害試験 

イミュニティ電磁環境試験 

音響雑音試験 

6. 表示 機器には製造業者名,形式,製造番号,製造年及び磁気コンパス安全距離を表示する。安全距

離は,ISO 694に従って測定しなければならない。 

備考 製造番号によって製造年が明確である場合には,製造年を表示しなくてもよい。 

7. 情報 海技資格者が効率的に機器を操作,維持することができるように情報を提供しなければならな

い。 

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原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(専門分科会長) 

庄 司 和 民 

東京商船大学 

(委員) 

鈴 木   裕 

東京水産大学 

古 澤 博 司 

日本郵船株式会社 

天 野 均 哉 

古野電気株式会社 

玉 内 正 俊 

日本無線株式会社 

岩 澤 臣 也 

株式会社光電製作所 

(関係者) 

小 松 裕 昭 

古野電気株式会社 

(事務局) 

小 林 正 雄 

財団法人日本船舶標準協会 

長谷川 幸 生 

財団法人日本船舶標準協会