F 8845 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶
標準協会 (JMSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり、日本工業標準
調査会の審議を経て国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS F 8845 : 1996は改正され,この規格に置き換えられる。
F 8845 : 2002
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 性能 ······························································································································ 2
5. 構造,形状及び寸法 ········································································································· 3
6. 材料 ······························································································································ 4
7. 検査 ······························································································································ 4
7.1 検査項目及び順序 ·········································································································· 4
7.2 構造及び材料検査 ·········································································································· 4
7.3 引張荷重検査 ················································································································ 4
7.4 開閉検査 ······················································································································ 4
7.5 温度検査 ······················································································································ 4
7.6 絶縁抵抗検査 ················································································································ 4
7.7 耐電圧検査 ··················································································································· 4
7.8 耐熱検査 ······················································································································ 4
7.9 閉路電流容量検査 ·········································································································· 4
7.10 振動検査 ····················································································································· 4
8. 製品の呼び方 ·················································································································· 4
9. 表示 ······························································································································ 4
10. 取扱い上の注意事項 ······································································································· 5
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日本工業規格 JIS
F 8845 : 2002
船用回転スイッチ
Shipbuilding−Rotary switches
1. 適用範囲 この規格は,船で使用する定格電圧250V以下の電気機器の抵抗回路,ランプ回路及び誘
導回路(電動機を含まない。)の切換用の回転スイッチ(以下、スイッチという。)について規定する。た
だし,交流の場合は、周波数50〜60Hzとする。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 1111 十字穴付き小ねじ
JIS B 1188 座金組込み十字穴付き小ねじ
JIS C 2805 銅線用圧着端子
JIS C 3410 船用電線
JIS F 0808 船用電気器具環境試験通則
JIS F 8006 船用電気器具の振動検査通則
JIS H 8601 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜
JIS K 6914 熱硬化性樹脂積層管
JIS K 6915 フェノール樹脂成形材料
3. 種類 スイッチの種類は,形式,極数,取付方式,軸長及び定格によって,表1による。
表1 スイッチの種類
種類
形式
極数
取付方式
軸長mm
定格電圧
定格電流
最大適合電線
F
B
V
A
mm2
Rl
9
0
1〜8
F
12
10
250
6
1.5
6
1
B
22
12
125
12
R2
15
250
10
2.5
18
125
20
R3
1〜6
22
250
30
10
25
125
45
R4
1〜4
250
60
16
備考1. 種類の記号Rは回転スイッチを示し,スイッチの定格容量によって,R1〜R4に区分する。
2. 形式の第1列欄の数字はスイッチの回転角度を示し,9は90°ごとに回転するもの,6
は60°ごとに回転するものを示す。形式の第2列欄の数字“0”は“切”,“1”は“入”
を示し,各極ごとに表示する。
例1. 9形2極で(切,入)(入,切)のものが組み合わされた場合,
0.11.0
9
2
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例2. 6形3極で(入、切,入)((切,入,入)((切,切、入)のものが組み合わされ
た場合。ただし,すべての極が同一組合せの場合は、1極だけ表示する。
1.0.0
1.1.0
1.0.1
6
3. 取付方式の記号Fは表面取付形,Bは裏面取付形を示す。
4. 軸長(付図に示すI寸法)は,表1の寸法とするのがよい。
5. R1,R2及びR3の定格電圧及び定格電流は、二重定格とする。
4. 性能 スイッチの生能は,次による。
a) 引張強度 スイッチを正規の状態に取り付け,表1に示す最大適合電線を端子に接続し、端子止めね
じの軸方向及びこれに直角な平面内の互いに直交する2方向に表2に示す引張荷重を電線に加えたと
き,各部に異状があってはならい。ただし、引張荷重は各端子ごとに別個に加える。
表2 引張荷重
単位 N
種類
R1
R2
R3
R4
引張荷重
50
100
150
200
b) 開閉性 スイッチを正規の状態に取り付け、表3によって行い,地絡,短絡その他各部に使用上の支
障を生じることなく,開閉が可能でなければならない。また,負荷は,抵抗負荷,ランプ負荷、誘導
負荷のいずれかに対しても開閉が可能でなければならない。
なお,誘導負荷は,交流50〜60Hzで力率0.4とする。
表3 開閉の条件
種類
試験電圧V
試験電流A
開閉の速さ
開閉の回数
R1
250
6
毎分約20回
10 000
R2
10
R3
30
毎分約10回
R4
60
備考 開閉回数は、“0.1”は“切・入”をもって1回とし,“1.0.1”は“右
入・切・左入・切”をもって1回とする。
c) 温度上昇 スイッチを正規の状態に取り付け,表1による最大適合電線を使用し,定格電流のうち最
大電流を通じ,各部の温度が飽和点に達した後、熱電対で測定した許容最高温度は,75℃でなければ
ならない。ただし,温度上昇の限度は、25℃とする。
d) 絶縁抵抗 スイッチは、JIS F 0808の4.17.3(厳しさ)の試験電圧500V, 絶縁抵抗20MΩの性能を満
足しなければならない。
e) 耐電圧 スイッチは,JIS F 0808の4.16.3(厳しさ)の試験電圧1 500Vの性能を満足しなければなら
ない。
f)
耐熱性 フェノール樹脂を使用した成形品について、表4に示す条件で行い,各部にひび割れ,膨れ
などの異状があってはならない。
表4 耐熱性の条件
絶縁材料
試験温度℃
試験時間h
フェノール樹脂 PM-EG
150±3
1
g) 閉路電流容量 スイッチを正規の状態に取り付け,商用周波数の三相交流で,表5によって行い電気
的,機械的に異状があってはならない。
3
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表5 閉路電流容量の条件
種類
試験電流A
力率
開閉の速さ
開閉の回数
R1
60
0.6〜0.7
毎分約6回
100
R2
100
R3
300
R4
600
備考1. 開閉の回数は,“入”“切”をもって1回とする。
2. 閉路後,直ちに供試品以外の装置で開路状態とする。
h) 耐振性 耐振性は,表1に示す最大適合電線を2本端子に接続し,スイッチを正規に取り付けた状態
で,次による。
1) 共振 振動数5〜16.7Hzの間に複振幅0.75mmの振動を3軸(上下、左右,前後)方向に加え,有
害な共振点があってはならない。
2) 定振動 1)において,回転スイッチに共振が認められる軸方向については,最も有害と認められる
共振振動数で複振幅0.75mmの振動を15分間,また,共振が認められない軸方向については,振動
数16.7Hzで複振幅1mmの振動を30分間加え,各部に緩みなどの異状があってはならない。
5. 構造,形状及び寸法 スイッチの構造,形状及び寸法は,付図1〜3によるほか、次による。
a) スイッチは,速入,速切式の回転形としそれぞれの回転角度の許容差は±3°以内とする。
b) スイッチには不必要な回転をしないようにするため,回り止めを設けるのがよい。
c) スイッチの軸の回転トルクは,表6に示した値以下とする。
表6 スイッチ軸の回転トルク
単位 N・cm
種類
R1
R2
R3
R4
回転トルク
100
150
260
490
d) 端子は,JIS C 3410に規定する定格電流に応じた太さのケーブルをJIS C 2805による銅線用圧着端子
によって、容易,かつ,確実に接続でき緩むおそれのない構造とする。
e) 端子ねじは,JIS B 1188による座金組込み十字穴付きなべ小ねじのばね座金組込みのもの又は同等以
上のものとする。
f)
端子ねじとねじとが重なる部分の山数は、2.5山以上とする。
g) 端子は,最大適合圧着端子を2枚まで取り付けることができなければならない。
h) 絶縁距離は,表7に示す以上とする。
参考 JMS 8005参照
表7 絶縁距離
単位 mm
種類
外部接続端子
スイッチ内部
空間距離
沿面距離
空間距離
沿面距離
R1
3
3
2
2
R2
R3
R4
i)
非耐食性金属部には,容易に腐食又はさびを生じないような塗装を施す。ただし、耐食性のアルミニ
ウム合金を使用する場合は,JIS H 8601の規定による陽極酸化皮膜を施す。
4
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なお,耐食性のアルミニウム合金と異種金属とが接触する箇所には,有効な電食防止処理を施す。
6. 材料 スイッチの主な材料は、付図1〜3による。
なお,端子などの導電部は,いずれも銅又は銅合金とする。
7. 検査
7.1
検査項目及び順序 スイッチの検査は,次の検査項目及び順序によって同一品について行う。ただ
し,*印がある検査項目については,同一製造業者の同一設計による最初の製品について行い,次回以降
は省略することができる。
a) 構造及び材料検査
b) 引張荷重検査*
c) 開閉検査*
d) 温度検査*
e) 絶縁抵抗検査
g) 耐電圧検査
g) 耐熱検査*
h) 閉路電流容量検査*
7.2
構造及び材料検査 構造及び材料検査は,構造,形状,寸法及び材料について行い,5.及び6.の規定
に適合しなければならない。
7.3
引張荷重検査 引張荷重検査は,4.a)の規定によって行いそれに適合しなければならない。
7.4
開閉検査 開閉検査は,4.b)の規定によって行い,それに適合しなければならない。ただし,各負荷
の検査に使用するスイッチは,それぞれ別個のものとする。
7.5
温度検査 温度検査は,4.c)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
7.6
絶縁抵抗検査 絶縁抵抗検査は,JIS F 0808の4.17(絶縁抵抗試験)の規定によって行い,4.d)の規
定に適合しなければならない。ただし、厳しさは、試験電圧500Vとする。
7.7
耐電圧検査 耐電圧検査は,JIS F 0808の4.16(耐電圧試験)の規定によって行い,4.e)の規定に適
合しなければならない。ただし,厳しさは,試験電圧1 500Vとする。
7.8
耐熱検査 耐熱検査は、4.f)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
7.9
閉路電流容量検査 閉路電流容量検査は,4.g)の規定によって行い、それに適合しなければならない。
ただし,7.3〜7.8の検査を行った製品とは別個のものについて行う。
7.10 振動検査 振動検査は,JIS F 8006のA1−B1・0.5級・1.5Hによって行い,4.h)の規定に適合しなけ
ればならない。
8. 製品の呼び方 スイッチの呼び方は,規格の名称又は規格番号及び形式による。
例1. 船用回転スイッチ R1−9 (0.1) 2極F12
2.
JIS F 8845 R1−9 (0.1) -2P−F12
9. 表示 スイッチの見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。
a) 名称,種類、形式,極数,取付方式及び軸長
b) 定格電圧及び定格電流 ただし,定格電流については,二重定格値のものにはその旨表示する。
5
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c) 製造業者名又はその略号
10. 取扱い上の注意事項 スイッチには,異物の誤入及び点検整備時における感電などの人的障害を起こ
さないための注意事項を記載した取扱説明書、施工説明書などを添付する(JMS 0071参照)。
関連規格 JMS 0071 財団法人日本船舶標準協会規格:船用電気器具の警告表示に関する指針
JMS 8005 財団法人日本船舶標準協会規格:船用電気配線器具絶縁距離設計指針
6
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付図1 9F及び6F
(形状は,一例を示す。)
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
種類
A
(最大)
C
D
E
F
G
I
K
(L)
ねじの呼び
M
端子ねじの
呼び N
n×d
R1
65
60±0.5
11
13
5
7
2
( 8)
M3
M4
2-5.5
R2
90
74±0.5
13
13
6
8
12
2
( 8)
M4
M5
2-5.5
R3
105
82±0.5
15
16
7
10
22
2
( 8)
M5
M5
4-6.6
R4
160
130±0.5
18
19
7
10
3.2
(10)
M5
M5
4-9.0
単位 mm
種類
H(最大)
1P
2P
3P
4P
5P
6P
7P
8P
R1
40
47
54
61
68
75
82
89
R2
50
59
68
77
86
95
105
115
R3
63
75
87
100
112
124
−
−
R4
74
90
106
122
−
−
−
−
部品番号
部品名称
材料
1
軸
鋼又はステンレス鋼
2
取付脚
鋼板又は黄銅板
3
カバー
4
支柱
鋼又は黄銅
5
六角ナット
黄銅
6
平座金
鋼板又は黄銅板
7
支柱絶縁
JIS K 6914のPTM-FLE
8
絶縁板
JIS K 6915のPM-EG
9
底板
鋼板又は黄銅板
10
端子
銅又は黄銅
11
端子ねじ
黄銅
12
ばね座金
鋼又はりん青銅
備考1. この図は,9Fの場合を示す。
2. 形状は,一例を示す。
3. 括弧内寸法は、参考として示す。
4. ハンドルは,附属するのが望ましい。その形状及び寸法は,
付図3によるのがよい。
付図1 9F及び6F(続き)
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図2 9B及び6B
(形状は,一例を示す。)
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
種類
A
(最大)
B
(最大)
C
D
E
F
G
I
K
O
P
P´
Q
Q´
S
R1
65
72
58±0.5
12
13
5
7
10
12
2.3
25
19.5
20
6
5.5
8
R2
90
98
80±0.5
16
13
6
8
15
18
3.2
25
19.5
20
6
5.5
8
R3
105
120
100±0.5
18
16
7
10
22
25
3.2
40
34.5
35
10
9
15
R4
160
160
140±0.5
18
19
7
10
4.5
40
34.5
35
10
9
15
単位 mm
種類
T
(L)
ねじの
呼びM
端子ねじの
呼びN
n×d
H(最大)
1P
2P
3P
4P
5P
6P
7P
8P
R1
2
( 8)
M3
M4
2-5.5
45
51
57
63
70
77
84
91
R2
2
( 8)
M4
M5
2-5.5
56
65
74
83
92
101
110
119
R3
2.9
( 8)
M5
M5
2-9.0
68
80
92
105
117
130
−
−
R4
2.9
(10)
M5
M5
4-9.0
81
97
113
129
−
−
−
−
部品番号
部品名称
材料
1
ハンドル軸
鋼又はステンレス鋼
2
カップリング
鋼板又は黄銅板
3
受カップリング
4
軸
鋼又はステンレス鋼
5
カバー
鋼板又は黄銅板
6
絶縁板押さえ
7
支柱
鋼又は黄銅
8
六角ナット
黄銅
9
平座金
鋼板又は黄銅板
10
取付板
11
支柱絶縁
JIS K 6914のPTM-FLE
12
絶縁板
JIS K 6915のPM-EG
13
端子
銅又は黄銅
14
端子ねじ
黄銅
15
ばね座金
鋼又はりん青銅
備考1. この図は,9Fの場合を示す。
2. 形状は、一例を示す。
3. 括弧内寸法は、参考として示す。
4. ハンドルは,附属するのが望ましい。その形状及び寸法は、
付図3によるのがよい。
付図2 9B及び6B(続き)
10
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. この図は,材料がJIS K 6915のPM-EGの場合の一例を示す。
2. 括弧内寸法は,参考として示す。
3. 溝部には,通常白色塗料を充てんする。
ハンドル止めねじ適合表
単位 mm
適用スイッチ
大きさ
種類
ねじの呼び×長さ
R1
M3×12
JIS B 1111の丸皿小ねじによる。
R2
M4×12
R3
M5×16
R4
M5×16
付図3 船用回転スイッチハンドル(形状は,一例を示す。)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業標準調査会標準部会 船舶技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
有 川 彰 一
財団法人日本船舶標準協会
(委員)
岡 實
財団法人日本海事協会
小 林 修
社団法人日本舟艇工業会
立 石 学
運翰施設整備事業団
増 田 恵
社団法人日本船主協会
村 上 陽 一
社団法人日本電機工業会
山 下 暁
社団法人日本舶用工業会
渡 邊 勝 世
日本小型船舶検査機構
木 内 大 助
国土交通省海事局
伊 藤 茂
国土交通省海事局
桐 明 公 男
社団法人日本造船工業会