F 8523 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が改正した日本工
業規格である。
これによって,JIS F 8523 : 1993は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS F 8523には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) ランプ式エンジンテレグラフ
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 8523 : 1999
船用電気式エンジンテレグラフ
Shipbuilding−Electric engine telegraphs
1. 適用範囲 この規格は,シンクロ電機を用い,発信器と受信器とを電気的に接続して,主機関の操縦
に関する発令又は応答を伝送する電気式エンジンテレグラフ(以下,テレグラフという。)について規定す
る。
なお,テレグラフのうち,ランプ式のものを附属書で規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版を適用する。
JIS C 4906 シンクロ電機
JIS F 0701 船用電気器具のプラスチック選定基準
JIS F 0808 船用電気器具環境試験通則
JIS F 8006 船用電気器具の振動検査通則
JIS F 8007 船用電気器具の外被の保護形式及び検査通則
JIS F 8401 船用ソケット
JIS F 8407 : 1976 船用電球
JIS F 8501 船用防水形ベル
JIS F 8502 船用ブザー
JIS F 8506 : 1993 船用居住区用ベル
JIS F 8801 船用電線貫通金物−箱用
JIS F 8813 船用圧着端子用端子盤
JIS F 8852 : 1993 船用計器照明灯光度加減器
JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物
JIS H 8601 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜
3. 種類
3.1
種類 テレグラフの種類は,形式及び文字板の大きさによって,表1のとおりとする。
2
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 種類
形式
記号
文字板の大きさ
外被の保護形式
床上形
丸形
単式両面
PRB
300形
IP 56
複式両面
PRD
表面形
単式片面
SRS
300形,400形
IP 44
埋込形
FRS
150形,250形
IP 5X
卓上形
扇形
単式両面
TSB
250形,300形
短冊形
単式片面
TAS
250形,300形,350形
TASE
300形
天井形
丸形
単式三面
CRT
150形
IP44
扇形
CST
200形
備考1. 記号第1位のPは床上形,Sは表面形,Fは埋込形,Tは卓上形,Cは天井形を
示し,第2位のRは丸形,Sは扇形,Aは短冊形を示し,第3位のSは単式片面,
Bは単式両面,Dは複式両面,Tは単式三面を示し,第4位のEは主機関の操
縦機構とインターロックするものを示す。
2. 応答発信装置を含まないものは,各形式記号の次に,Nを付ける。
3. 文字板の大きさの数字は,それぞれ文字板可視部の概略寸法 (mm) を示す。
4. 文字板の大きさの“形”は省略してもよい。
3.2
定格電圧及び定格周波数 テレグラフの定格電圧及び定格周波数は,単相交流で表2のとおりとす
る。
表2 定格電圧及び定格周波数
定格電圧
V
定格周波数
Hz
100,110,115又は220
50又は60
4. 性能 テレグラフは,次の諸性能を備えたものでなければならない。
a) 指示精度 発信指示と受信指示との差角は,文字板1分画の1/5以内でなければならない。
b) 制動性 発信指示と受信指示との差角をシンクロ電機の回転子において90°となるようにし,発信ハ
ンドルを固定して,急に電流を流したとき指針は5秒以内に静止しなければならない。
c) 電源変動 次の電源変動を加えたとき,a)及びb)の性能を保持し,かつ,異常なうなりを生じてはな
らない。
1) 電源の接断を繰り返した後,手動調整しなくても指定した性能に支障があってはならない。
2) 定格電圧及び定格周波数が表3の組み合わせで変動したとき,指定した性能に支障があってはなら
ない。
表3 電源変動
整定
電圧変動
±10%
変動時間
周波数変動
± 5%
600s
瞬時
電圧変動
±20%
変動時間
周波数変動
±10%
3s
d) 温度上昇 定格電圧及び定格周波数において連続通電し,各部の温度が飽和点に達した後,シンクロ
電機の一次線輪を抵抗法で測定した温度とテレグラフの周囲温度との差が60℃以下でなければなら
ない。ただし,基準周囲温度の限度は45℃とする。
e) 温度性能 55±2℃の温度に2時間以上保っても,電気的及び機械的に異状がなく,標準状態(1)に戻し
たときa)及びb)の性能を満足しなければならない。
3
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注(1) 標準状態とは,JIS F 0808の規定による。
f)
耐振性 耐振性は次による。
1) 共振 振動数5〜16.7Hzの間で複振幅0.75mmの振動を3軸(上下,左右,前後)方向に加え,有
害な共振点があってはならない。
2) 定振動 1)において共振が認められた軸方向については,最も有害とみられる共振振動数で複振幅
0.75mmの振動を15分,また,共振が認められない軸方向については,振動数16.7Hzで複振幅2mm
の振動を30分加え,各部に緩みなどの異状があってはならない。
g) 外被の保護性能 テレグラフの外被の保護性能は,表1に規定する外被の保護形式に対応し,JIS F
8007に規定する性能を満足しなければならない。
備考 外被の保護性能は,独立して装備する場合を示す。盤などに内蔵される場合は,受渡当事者間
の協議による。
h) 絶縁抵抗 テレグラフは,JIS F 0808の4.17(絶縁抵抗試験)の試験電圧500V,絶縁抵抗10MΩの性
能を満足しなければならない。ただし,半導体素子を使用した電子回路は除外する。
i)
耐電圧 テレグラフは,JIS F 0808の4.16(耐電圧試験)の規定及び次の1)〜3)の試験電圧による性
能を満足しなければならない。ただし,シンクロ電機及び半導体素子を使用した電子回路並びに計器
照明灯光度加減器は除外する。
1) 回路電圧60V以下の場合 500V
2) 回路電圧60Vを超え125V以下の場合 1 500V
3) 回路電圧125Vを超え250V以下の場合 2 000V
5. 構成 テレグラフは,発信器,受信器,音響信号器,計器照明灯光度加減器などで構成する。また,
必要に応じて,次のような機構及び装置を附属する。
a) 主機関遠隔操縦装置との連動機構及び関連装置
b) エンジンテレグラフ受信応答機構と主機関操縦装置とのインターロック用連結機構
c) 主機関の誤操作又は誤動作警報装置
d) 音響信号停止装置
e) 不足電圧警報装置
f)
接続箱又は転換装置
g) テレグラフ自動記録用信号発信装置
6. 構造及び寸法
6.1
構造一般 テレグラフの構造及び寸法は,付図1〜6によるほか,次による。
a) 外被は,表1に規定する外被の保護形式を満足し,堅ろうで調整,整備が容易な構造とする。
b) 電線導入部に電線貫通金物を用いる場合は,JIS F 8801の規定による。
c) 端子盤は,JIS F 8813の規定によるのがよい。
d) シンクロ電機は,4.c),4.d)及び4.e)の規定によるほか,JIS C 4906の規定による。
e) 内部接続用電線は,絶縁より銅線を使用する。
f)
テレグラフは,接地端子を設けるか確実に接地できる構造としなければならない。
6.2
各形式の構造 テレグラフの各形式の構造は,次による。
a) 床上形 床上据付けに適した構造で,電線は台の内部を通すようになっているものとする。
4
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,台は電線引込工事が容易な構造とする。
b) 表面形 壁表面取付に適した構造とする。
c) 埋込形 計器盤などに埋め込み装備するのに適した構造とする。
d) 卓上形 制御卓などに装備するのに適した構造とする。
e) 天井形 天井などに取り付けるのに適した構造とする。
f)
丸形 文字板の形状がほぼ円形のものとする。
g) 扇形 文字板の形状が扇形のものとする。
h) 短冊形 文字板の形状が短冊形のものとする。
i)
単式片面 発信及び受信の内容を指示する共通の文字板を1面備え,1系統の通信に用いる発信器,
受信器又は指示器。
j)
単式両面 発信及び受信の内容を指示する共通の文字板を互いに反対方向から見える両面に備え,1
系統の通信に用いる発信器,受信器又は指示器。
k) 複式両面 発信装置及び受信装置各二組からなり,それぞれ独立して操作できるもので,各組の文字
板は各1面互いに反対方向に向けて取り付け,2系統の通信に用いる発信器。
l)
単式3面 発信及び受信の内容を指示する共通の文字板を3面備え,1系統の通信に用いる指示器。
6.3
発信装置及び受信装置 テレグラフの発信器から受信器への発令及び受信器から発信器への応答の
信号は,それぞれの発信装置を操作することによって,これを電気的に接続された受信装置に表示すると
ともに音響によって信号区分の変化を報知できる構造とし,次による。
a) 発信装置 発令(応答)発信装置は,発令(応答)信号を発信ハンドルの手動操作によって,敏速,
かつ,確実に発信できるものとし,発信ハンドルは,放置しても所定の位置に確実に止まり,振動及
び動揺によって移動しない構造とする。
なお,容量は,接続する受信器の個数に応じて,それぞれの受信装置を同時に作動するのに十分で
なければならない。
b) 受信装置 発令(応答)受信装置は,発令(応答)信号を指針によって,明確に指示できる構造とす
る。
c) 発信器及び受信器 発信器は,発令発信装置及び応答受信装置を組み合わせ,共通の文字板を用いて
信号の発信及び受信を行う。受信器は,発令受信装置及び応答受信装置を組み合わせ,共通の文字板
を用いて信号の発信及び受信を行う。
d) 発令(応答)指示器 発令(応答)指示器は,発令(応答)信号を指針によって明確に指示する構造
とする。
6.4
音響信号器 テレグラフの音響信号器は,次による。
a) ベルを使用する場合は,JIS F 8501又はJIS F 8506 : 1993の規定によるのがよい。また,ブザーを使
用する場合は,JIS F 8502の規定によるのがよい。
b) 激しい騒音がある場所に装備するものは,騒音に妨げられず,他の音響信号音に混同されないよう十
分な音量と適切な音色とをもつ音響信号器を使用する。
c) 発信操作を始めて応答操作の完了するまでの間,鳴り続けるものとする。
6.5
照明装置 テレグラフの照明装置は,次による。
a) 照明装置は,白熱電球,EL板又は発光ダイオードによることが望ましく,夜間当直者の視覚を妨げず,
暗中及び薄明かりのときにおいても,目盛・指針・文字などができるだけ均一に見える構造とする。
b) 白熱電球を使用する場合の電球及びソケットは,JIS F 8407 : 1976及びJIS F 8401の規定による。
5
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) EL板を使用する場合は,定格電圧AC100Vのものを使用する。
6.6
計器照明灯光度加減器 テレグラフの計器照明灯光度加減器は,JIS F 8852 : 1993の規定によること
が望ましい。
6.7
文字板 テレグラフの文字板は,次による。
a) 板面の地色は,黒又は白とする。
b) 文字,数字,線などは,板面の地色と色分けする。
c) 文字は英語を用い,参考としてその用語の配列の順序を参考図5に示す。
6.8
指針 テレグラフの指針は,見やすい形状で,色は文字板の地色が白の場合は黒,黒の場合は白と
し,暗中及び薄明かりのときにおいても指示がよく見えるものとする。
6.9
附属装置 テレグラフの附属装置は,次による。
a) 主機関遠隔操縦装置との連動機構及び関連装置 テレグラフに主機関遠隔操縦装置の機構を連動さ
せたり,これらの附属装置を付ける場合は,テレグラフ本来の機能を損なうことなく,かつ,確実強
固に取り付けて遠隔操縦装置の機能を十分に満足させるものとする。
b) テレグラフと主機関操縦装置とのインターロック用連結機構 主機関操縦装置と連結するに適した
構造とする。
c) 主機関の誤操作又は誤動作警報装置 テレグラフの発令と主機関操縦装置の操作又は主機関の動作が
異なるときは,これを音響で警報する装置とする。
d) 音響信号停止装置 6.4c)の音響信号を応答操作の完了前に使用上の都合によって停止させる装置で,
信号停止中に発信ハンドルを操作した場合は,自動的に正規の状態に戻る構造とする。
e) 不足電圧警報装置 不足電圧警報装置は,次による。
1) 停電又は電源電圧が著しく降下した場合は,音響及び表示灯でこれを警報する。
2) 1)の音響警報を停電継続中,人為的に停止できる装置を備える場合は,電圧が回復したときに自動
的に電圧が回復したことを報知できるものとする。
3) 警報用電源は,テレグラフ電源と別系統とする。
f)
転換装置 発信器又は発信器2個以上を切り換えて使用する装置とする。
g) テレグラフ自動記録装置用信号発生装置 この装置を付ける場合は,確実強個に取り付けて,テレグ
ラフ本来の機能を損なわない構造とする。
h) 補助テレグラフ 主機関速度以外の主機関操作に関するSTAND BY, FINISHED WITH ENGINE,
RUNG UPなどの通信を行うための装置とする。これに電灯表示式のものを使用する場合,操だ(舵)
室に装備されるものは,照度が加減でき,昼間でも明確に信号が読み取れるものとする。
7. 材料 テレグラフの材料は,付図1〜6によるほか,次による。
a) 材料は,できるだけ耐食性のものとし,腐食のおそれがあるものを用いる場合は,性能上やむを得な
い部分を除き,適切なさび止めの処理を施す。
なお,外箱にアルミニウム合金を使用する場合は,JIS H 8601の規定による陽極酸化皮膜を施す。
b) 磁気コンパスの近くに装備されるものは,性能上やむを得ない部分のほかは非磁性材料を用いる。
c) 文字板,指針,ハンドルなどは,金属又はJIS F 0701による合成樹脂を用いる。
6
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8. 検査
8.1
検査項目及び順序 テレグラフの検査は,次の順序によって同一品について行う。ただし,*印が
付けてある検査項目については,同一製造業者の同一設計による最初の製品について行い,次回以降は省
略することができる。
なお,b)〜e)の検査は各構成機器を接続し,定格電圧及び定格周波数で行う。また,b)〜g)の検査は,器
具を正規の取付状態で行う。
a) 構造検査
b) 指度検査
c) 制動検査
d) 電源変動検査
e) 温度上昇検査
*f) 温度性能検査
*g) 振動検査
h) 外被の保護性能検査
*1) 危険な箇所への接近・外来固形物に対する保護性能検査
2) 液体に対する保護性能検査(ただし,埋込形,卓上形は除く。)
i)
絶縁抵抗検査
j)
耐電圧検査
8.2
構造検査 構造検査は,構造,寸法及び材料を検査し,いずれも6.及び7.の規定に適合しなければ
ならない。
8.3
指度検査 指度検査は,4.a)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
8.4
制動検査 制動検査は,4.b)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
8.5
電源変動検査 電源変動検査はJIS F 0808の4.15(電源変動試験)の規定によって行い,4.c)の規定
に適合しなければならない。ただし,厳しさ及び組合せは,表4による。
表4 電源変動
組合せ
変動時間 600s
組合せ
変動時間 3s
番号
電圧変動 % 周波数変動 %
番号
電圧変動 % 周波数変動 %
1
+10
+5
4
+20
+10
2
+10
−5
5
−20
−10
3
−10
−5
備考1. 組合せ番号4及び5については,ハンドルを任意の位置(例えば,AHEAD,
HALF)に固定する。
2. 3秒の変動を与えたとき指示精度を保持し,かつ,異常なうなりを生じて
はならない。
8.6
温度上昇検査 温度上昇検査は,4.d)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
8.7
温度性能検査 温度性能検査は,JIS F 0808の4.4[高温乾燥試験(漸変)]の規定によって行い,4.
e)の規定に適合しなければならない。ただし,厳しさは試験温度55±2℃,試験時間2hとする。
8.8
振動検査 振動検査は,JIS F 8006のA1-B1・0.5級・1.5Hによって行い,4.f)の規定に適合しなけ
ればならない。
8.9
外被の保護性能検査 外被の保護性能検査は,次による。
a) 危険な箇所への接近・外来固形物に対する保護性能検査 危険な箇所への接近・外来固形物に対する
7
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
保護性能検査は,JIS F 8007の規定によって行い,4.g)の規定に適合しなければならない。
b) 液体に対する保護性能検査 液体に対する保護性能検査は,JIS F 8007の規定によって行い,4.g)の規
定に適合しなければならない。
8.10 絶縁抵抗検査 絶縁抵抗検査は,JIS F 0808の規定によって行い,4.h)の規定に適合しなければなら
ない。ただし,厳しさは,試験電圧500Vとする。
8.11 耐電圧検査 耐電圧検査は,JIS F 0808の規定によって行い,4.i)の規定に適合しなければならない。
ただし,厳しさは,表5による。
表5 耐電圧
単位 V
回路電圧
試験電圧
60以下
500
60を超え 125以下
1 500
125を超え 250以下
2 000
9. 製品の呼び方 テレグラフの呼び方は,規格名称又は規格番号,形式及び文字板の大きさによる。ま
た,発信器及び受信器を区別し,それを記号で呼ぶときは,発信器はT,受信器はRとする。
例1. 船用電気式エンジンテレグラフ丸形単式両面床上形発信器
例2. JIS F 8523 PRB 300 T
例3. 船用電気式エンジンテレグラフ短冊形単式片面卓上形350形受信器
例4. JIS F 8523 TAS 350 R
10. 表示 テレグラフの見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。
a) 規格の名称,形式及び文字板の大きさ
b) 定格電圧 (V) 及び定格周波数 (Hz)
c) 発信器と受信器との合記号
d) 外被の保護形式
e) 製造業者名又はその略号
f)
製造番号及び製造年
8
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
材料
1
台
鋳鉄,黄銅鋳物又はJIS H 5202のAC7A-F
2
胴体
3
枠
4
ハンドルレバー
鋼板,黄銅又はJIS H 5202のAC7A-F
5
ハンドル
黄銅鋳物又はJIS F 0701の02-72による合成樹脂
備考 形状は一例を示す。
付図1 丸形単式両面床上形 (PRB 300)
9
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
材料
1
台
鋳鉄,黄銅鋳物又はJIS H 5202のAC7A-F
2
胴体
3
枠
4
ハンドルレバー
鋼板,黄銅又はJIS H 5202のAC7A-F
5
ハンドル
黄銅鋳物又はJIS F 0701の02-72による合成樹脂
備考 形状は一例を示す。
付図2 丸形複式両面床上形 (PRD 300)
10
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
材料
1
胴体
鋳鉄,黄銅鋳物又はJIS H 5202のAC7A-F
2
枠
3
ハンドル
黄銅鋳物又はJIS F 0701の02-72による合成樹脂
備考 形状は一例を示す。
付図3 丸形単式片面埋込形 (FRS 250)
11
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
形式
A
B
C
D
E
F
G
(H)
TSB 250
約250
340
300
105
110
330
235
320以下
TSB 300
約300
520
320
160
160
400
(235)
400以下
部品番号
部品名称
材料
1
体
鋳鉄,黄銅鋳物又はJIS H 5202のAC7A-F
2
枠
黄銅又はJIS H 5202のAC7A-F
3
ハンドルレバー
4
ハンドル
黄銅鋳物又はJIS F 0701の02-72による合成樹脂
備考1. 形状は一例を示す。
2. 形式欄の括弧内の寸法は参考として示す。
付図4 扇形単式両面卓上
TSB 250
12
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
形
TSB 300
部品番号
部品名称
材料
1
体
鋳鉄又はJIS H 5202のAC7A-F
2
カバー
銅板又はJIS H 5202のAC7A-F
備考 形状は一例を示す。
付図5 扇形単式三面天井形 (CST-200 N)
13
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
材料
1
体
鋳鉄又はJIS H 5202のAC7A-F
2
カバー
JIS H 5202のAC7A-F又はJIS F 0701の02-72による合成樹脂
備考 形状は一例を示す。
付図6 丸形単式三面天井形 (CRT-150 N)
14
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
体
2
枠
3
ハンドルレバー
4
ハンドル
5
電線貫通金物
参考図1 丸形単式片面表面形
SRS 300
SRS 400
15
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
体
2
枠
3
ハンドル
参考図2 丸形単式片面埋込形 (FRS 150)
16
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
体
2
枠
3
ハンドルレバー
4
ハンドル
参考図3 短冊形単式片面卓上形
TAS 250
TAS 300
TAS 350
17
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
体
2
枠
3
ハンドルレバー
4
ハンドル
参考図4 短冊形単式片面卓上形 (TASE 300)
例1.
FULL
HALF
SLOW
DEAD
SLOW
STAND
BY
STOP
FINISHED
WITH
ENGINE
DEAD
SLOW
SLOW
HALF
FULL
AHEAD
ASTERN
例2. (補助テレグラフが別装備の場合)
NAVIGATION
FULL
FULL HALF
SLOW
DEAD
SLOW
STOP
DEAD
SLOW
SLOW HALF FULL
CRASH
ASTERN
AHEAD
ASTERN
参考図5 文字板
18
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) ランプ式エンジンテレグラフ
1. 適用範囲 この附属書は,発信器と受信器とをハンドル,ダイヤル,押ボタン又は切換スイッチ(以
下,操作器という。)で操作して,電気的に接続して,主機関の操縦に関する発令又は応答を伝達し,その
表示を白熱電球,発光ダイオードなどの点灯によって通信を行う電気式エンジンテレグラフ(以下,ラン
プ式テレグラフという。)について規定する。
2. 種類
2.1
種類 ランプ式テレグラフの種類は,形式及び文字板の大きさ,通信方式,操作方法及び表示方式
によって,附属書表1のとおりとする。
附属書表1 種類
形式
文字板の大きさ
通信方式
操作方式
表示方式
名称
記号
名称
記号
名称
記号
名称
記号
床上形
P
200形
一方向通信方式
S
ハンドル
H
白熱電球
LP
埋込形
F
150形
双方向通信方式
W
ダイヤル
D
発光ダイオード
LD
表面形
S
100形
押ボタン
P
天井形
C
切換スイッチ
C
備考1. 文字板の大きさは,それぞれ目盛板の可視部の概略寸法 (mm) を示す。ただし,押ボタン式のような
文字板のない場合は規定しない。
2. 一方向通信方式は,操だ室で発令し,機関制御場所で応答する方式,双方向通信方式は,操だ室又は
機関制御場所のいずれからでも発令が可能で,機関制御場所又は操だ室で応答する方式。
2.2
定格電圧及び定格周波数 定格電圧及び定格周波数は,本体3.2によるほか,直流24Vとする。
3. 性能 ランプ式テレグラフは,本体3.に規定する諸性能によるか,次の性能を備えたものでなければ
ならない。ただし,本体4.で規定の指示精度及び制動性は除く。
a) 指示精度 発信指示と受信指示が合致しなければならない。
b) 電源変動 次の電源変動を加えたとき,a)の性能を保持し,かつ,異常なうなりを生じてはならない。
1) 電源の接断を繰り返した後,手動調節しなくても指定した性能に支障があってはならない。
2) 定格電圧及び定格周波数が附属書表2の組み合わせで変動したとき,指定した性能に支障があって
はならない。
3) 直流を電源とするランプ式テレグラフは,定格電圧が±20%,変動時間600秒のとき,指定した性能
に支障があってはならない
附属書表2 電源変動
整定
電圧変動
±10%
変動時間
周波数変動
± 5%
600s
瞬時
電圧変動
±20%
変動時間
周波数変動
±10%
3s
c) 温度性能 55±2℃の温度に2時間以上保っても,電気的及び機械的に異状がなく,標準状態(1)に戻し
たときa)の性能を満足しなければならない。
注(1) 標準状態とは,JIS F 0808の表1による。
d) 耐ノイズ性 耐ノイズ性は,ランプ式テレグラフ電源部にノイズ電圧を加えたとき,a)の性能を満足
19
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
しなければならない。
4. 構成 ランプ式テレグラフは,発信器,受信器,信号処理装置,音響信号器,計器照明灯光度加減器
などで構成する。また,必要に応じて,本体で規定する機構及び装置を附属する。
なお,信号処理装置は発信器,受信器などに内蔵してもよい。
5. 構造及び寸法
a) 構造一般 テレグラフの構造及び寸法は,付図1〜6によるほか,次による。
1) 外被は,本体表1に規定する外被の保護形式を満足し,堅ろうで調整,整備が容易な構造とする。
2) 電線導入部に電線貫通金物を用いる場合は,JIS F 8801の規定による。
3) 端子盤は,JIS F 8813の規定によるのがよい。
4) 内部接続用電線は,絶縁より銅線を使用する。
5) 安全電圧以上(50V以上)の電圧を使用する場合は,接地端子を設けるか確実に接地できる構造と
しなければならない。
b) 発信装置及び受信装置 ランプ式テレグラフの発信器から受信器への発令及び受信器から発信器への
応答信号は,それぞれの発信装置を操作することによって,これを電気的に接続された受信装置に表
示するとともに音響によって信号区分の変化を報知できる構造とするほか,次による。
1) 発信装置 発令(応答)発信装置は,発令(応答)信号を発信用ハンドル,ダイヤル,押ボタン又
は切換スイッチの手動操作によって,敏速,かつ,確実に発信できるものとし,発令及び応答区分
が振動又は動揺によって移動しない構造とする。
なお,容量は,接続する受信器の個数に応じて,それぞれの受信装置を同時に作動するのに十分
でなければならない。
2) 受信装置 発令(応答)受信装置は,発令(応答)信号を表示灯によって,明確に指示できる構造
とする。
3) 発信器及び受信器 発信器は,発令発信装置及び応答受信装置を組み合わせ,共通の文字板又は表
示区分を用いて信号の発信及び受信を行う。受信器は,発令受信装置及び応答受信装置を組み合わ
せ,共通の文字板を用いて信号の発信及び受信を行う。
4) 発令(応答)指示器 発令(応答)指示器は,発令(応答)信号を表示灯によって明確に指示する
構造とする。
c) 信号処理装置 信号処理装置は,発信器及び受信器の操作位置を比較し,発信器及び受信器へ表示及
び音響信号を出力する。また,内蔵のリレー,プリント基板などが,振動又は動揺によって移動せず,
液体,危険な箇所への接近・外来固形物に対し,保護される構造とする。
d) 信号表示及び照明装置 信号表示は,附属書表1によって,照明装置は次による。
1) 信号表示及び照明装置は,白熱電球,EL板又は発光ダイオードによることが望ましく,夜間当直者
の視覚を妨げず,暗中及び薄明かりのときにおいても,目盛・指針・文字などができるだけ均一に
見える構造とする。
2) 白熱電球を使用する場合の電球及びソケットは,JIS F 8407 : 1976及びJIS F 8401の規定によるこ
とが望ましい。
3) EL板を使用する場合は,定格電圧AC100Vのものを使用する。
4) 信号表示灯の色は,前進を緑,停止及び後進を赤とするのが望ましい。
20
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5) ランプテスト押ボタンによって,表示灯の点灯が確認できなければならない。
e) 指針 指針を使用する場合の指針は,見やすい形状で,色は文字板の地色が白の場合は黒,黒の場合
は白とし,暗中及び薄明かりのときにおいても指示がよく見えるものとする。
6. 材料 ランプ式テレグラフの材料は,次による。
a) 材料は,できるだけ耐食性のものとし,腐食のおそれがあるものを用いる場合は,性能上やむを得な
い部分を除き,適切なさび止めの処理を施す。
なお,外箱にアルミニウム合金を使用する場合は,JIS H 8601の規定による陽極酸化皮膜を施す。
b) 磁気コンパスの近くに装備されるものは,性能上やむを得ない部分のほかは非磁性材料を用いる。
c) 文字板,指針,ハンドルなどは,金属又はJIS F 0701による合成樹脂を用いる。
7. 検査
7.1
検査項目及び順序 ランプ式テレグラフの検査は,次の順序によって同一品について行う。ただし,
*印が付けてある検査項目については,同一製造業者の同一設計による最初の製品について行い,次回以
降は省略することができる。
なお,e)〜h)の検査は,本体8.による。また,b)及びi)の検査は,各構成機器を接続し,定格電圧及び定
格周波数で行い,b)〜e)の検査は器具を正規の取付状態で行う。
a) 構造検査
b) 指示検査
c) 電源変動検査
*d) 温度性能検査
*e) 振動検査
f)
外被の保護性能検査
*1) 危険な箇所への接近・外来固形物に対する保護性能検査
2) 液体に対する保護性能検査(ただし,埋込形,卓上形は除く。)
g) 絶縁抵抗検査
h) 耐電圧検査
i)
耐ノイズ検査
7.2
構造検査 構造検査は,構造,寸法及び材料を検査し,いずれも5.及び6.の規定に適合しなければ
ならない。
7.3
指示検査 指示検査は,3.a)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
7.4
電源変動検査 電源変動検査はJIS F 0808の4.15(電源変動試験)の規定によって行い,3.b)の規定
に適合しなければならない。ただし,厳しさ及び組合せは,次による。
a) 交流を電源とする場合は,附属書表3による。
b) 直流を電源とする場合は,電圧変動±10%,変動時間600sとする。
21
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表3 電源変動
組合せ
番号
変動時間 600s
組合せ
番号
変動時間 3s
電圧変動 % 周波数変動 %
電圧変動 % 周波数変動 %
1
+10
+5
4
+20
+10
2
+10
−5
5
−20
−10
3
−10
−5
備考1. 組合せ番号4及び5については,ハンドルを任意の位置(例えば,AHEAD,
HALF)に固定する。
2. 3秒の変動を与えたとき指示精度を保持し,かつ,異常なうなりを生じて
はならない。
7.5
温度性能検査 温度性能検査は,JIS F 0808の4.4[高温乾燥試験(漸変)]の規定によって行い,3.c)
の規定に適合しなければならない。ただし,厳しさは試験温度55±2℃,試験時間2時間とする。
7.6
耐ノイズ検査 耐ノイズ検査は,3.d)の規定によって行い,それに適合しなければならない。
参考 検査方法の詳細は,JMS 9812[船用自動化機器の電気的ノイズ基準(耐ノイズ基準)]参照
8. 製品の呼び方 ランプ式テレグラフの呼び方は,規格の名称又は規格番号,形式及び文字板の大きさ,
通信方式,操作方式及び表示方式による。また,発信器及び受信器を区別し,それを記号で呼ぶときは,
発信器はT,受信器はRとする。
例1. 船用電気式エンジンテレグラフ・床上形・200形・一方向通信方式ハンドル・白熱電球
例2. JIS F 8523 P200S HLP
9. 表示 本体10.による。
関連規格:JMS 9812 財団法人日本船舶標準協会規格:船用自動化機器の電気的ノイズ基準(耐ノイズ基
準)
22
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書参考図1 エンジンテレグラフ発信器
(ハンドル式)
23
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書参考図2 エンジンテレグラフ受信器
(切換スイッチ式)
24
F 8523 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 押ボタンは照光式とする。
附属書参考図3 エンジンテレグラフ受信器
(押ボタン式)
電気部会 通信計測装置専門分科会 構成表
氏名
所属
(専門分科会長)
吉 田 勲
エヌケーケー総合設計株式会社
(委員)
高 木 康 光
川崎重工業株式会社
長 澤 喜代徳
株式会社倉本計器精工所
中 島 隆
株式会社エヌゼットケイ
岩 田 肇
株式会社布谷計器製作所
山 本 敏 範
大阪布谷精器株式会社
(事務局)
冨 永 恵 仁
財団法人日本船舶標準協会