F 8459:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶
標準協会(JMSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS F 8459:1983は改正され,この規格に置き換えられる。
F 8459:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 性能 ······························································································································ 1
5. 構成及び構造 ·················································································································· 2
5.1 構成 ···························································································································· 2
5.2 構造 ···························································································································· 2
6. 材料 ······························································································································ 4
7. 防食処理,電食防止及び表面処理 ······················································································· 4
7.1 防食処理 ······················································································································ 4
7.2 電食防止 ······················································································································ 4
7.3 表面処理 ······················································································································ 4
8. 試験及び検査 ·················································································································· 4
8.1 形式試験項目及び順序 ···································································································· 4
8.2 受渡検査項目及び順序 ···································································································· 5
8.3 形式試験 ······················································································································ 5
9. 製品の呼び方 ·················································································································· 5
10. 表示 ···························································································································· 5
11. 適合電球の表示·············································································································· 6
12. 取扱い上の注意事項 ······································································································· 6
13. 警告表示 ······················································································································ 6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 8459:2003
船用探照灯
Shipbuilding─Searchlights
1. 適用範囲 この規格は,船で用いる電源電圧250 V以下の白熱電球を光源とする探照灯(以下,灯器
という。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0617-2 電気用図記号 第2部:図記号要素,限定図記号及びその他の一般用途図記号
JIS C 2805 銅線用圧着端子
JIS C 3410 船用電線
JIS C 7709-1 電球類の口金・受金及びそれらのゲージ並びに互換性・安全性 第1部 口金
JIS C 8105-1 照明器具−第1部:安全性要求事項通則
JIS C 8105-3 照明器具−第3部:性能要求事項通則
JIS F 8008 船用電気照明器具通則
JIS H 8601 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜
JIS H 8610 電気亜鉛めっき
JIS H 8617 ニッケルめっき及びニッケル−クロムめっき
JIS R 3206 強化ガラス
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
3. 種類 灯器の種類は,種類,形式,適合電球及び保護等級によって表1による。
表 1 種類
種類
形式
定格電圧V
適合電球
保護等級
定格電圧V
定格消費電力W
C種,D種
又はE種
20形
250
100,110,115
又は220
500
IP 44
30形
1 000
40形
2 000
60形
3 000
備考1. 種類は,灯器の操作方式を示し,C種に室内操作形,D種は器側操作形,E種は電動式遠隔
操作形を表す。
2. 形式は反射鏡の有効径 (cm) によって灯器の大きさを表す。
3. 適合電球の定格消費電力Wは,参考表による。
4. 性能 灯器の性能は,JIS F 8008の4.(一般要求事項)の規定によるほか,次による。
a) 基準周囲温度 基準周囲温度の限度は,35 ℃とする。
2
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 外被の保護性能 外被の保護性能は表1の保護等級を満足しなければならない。
c) 配光 配光は,表2による。
表 2 配光
形式
光柱光度 cd
光柱角度
20形
250 000 以上
約6
30形
800 000 以上
40形
1 800 000 以上
60形
4 000 000 以上
d) ふ仰及び旋回角 ふ仰及び旋回角は,表3による。
表 3 ふ仰及び旋回角
単位 度
種類
ふ仰
仰角
旋回角
C種
30 以上
15 以上
左右 各180 以上
D種
45 以上
30 以上
E種
30 以上
15 以上
左右 各165 以上
e) 温度上昇 灯体を水平投光状態に置き,適合電球を定格電圧で点灯し,各部の温度が飽和点に達した
ときの各部の温度上昇値は,表4に示す値以下とする。
表 4 温度上昇
単位 ℃
測定箇所
温度上昇値
反射鏡中央
195
前面ガラス外面中央
130
外部電線接続端子
50
5. 構成及び構造
5.1
構成 灯器の構成は,通常,次による。
a) C種は,灯体,前ふた,前面ガラス,反射鏡,ソケット部,支持腕,ふ仰操作腕,取付台,ふ仰固定
ハンドル,旋回固定ハンドル,ふ仰・旋回操作ハンドルなどで構成する。
b) D種は,灯体,前ふた,取手,前面ガラス,反射鏡,ソケット部,ふ仰固定ハンドル,旋回固定ハン
ドル,支持腕,取付台などで構成する。
c) E種は,灯体,前ふた,前面ガラス,反射鏡,ソケット部,支持腕,ふ仰操作腕,駆動装置などで構
成する。
5.2
構造 灯器の構造は,JIS F 8008の5.(構造)の規定によるほか,次による。
なお,灯器の一例を参考図2〜4に示す。
a) 灯器は,点検,調整及び操作が容易に行える構造とする。
b) 灯器には,浸入した水が自然に流出するように適切な位置に水抜穴を設けてもよい。
c) 灯器のふ仰及び旋回は円滑で,通常,ストッパ機構をもつものとし,また,任意の位置において確実
に保持できる構造とする。操作方法は,D種は灯体後部の操作取手によって,C種は室内から操作ハ
ンドルによって,E種は操作盤によって遠隔操作できる構造とする。
d) ソケット支持機構は,反射鏡に対して電球の高さ又は向きが容易に調節できる構造とする。
e) 照射光線の集光及び拡散は,容易に行えるものとし,任意の調整点において確実に保持できる構造と
する。
3
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f)
反射鏡は,良質のガラスに適切なめっきと塗装を施した,耐熱,耐寒,耐食性をもつ回転放物面形裏
面鏡とし,各部の寸法は,表5によるものを推奨する。
表 5 反射鏡の寸法
単位 mm
形式
有効直径
外径
焦点距離
周縁部の厚さ
20形
200 以上
220 以上
100±5
4 以上
30形
300 以上
330 以上
150±6
5 以上
40形
400 以上
430 以上
200±6
6 以上
60形
600 以上
640 以上
254±6
7 以上
g) 前面ガラスは,JIS R 3206の規定による平面強化ガラスとし,各部の寸法は,表6による。
表 6 前面ガラスの寸法
単位 mm
形式
外径
厚さ
20形
210 以上
5 以上
30形
310 以上
40形
415 以上
60形
620 以上
h) 絶縁距離はJIS C 8105-1の第11章(絶縁距離)の規定による。
i)
灯器には,端子盤及び保護接地端子を内蔵する。
j)
端子盤の端子は,JIS C 2805の規定による銅線用絶縁被覆付圧着端子が取り付けられる構造が望まし
い。
k) 灯器には,適切な位置に保護接地端子を設けるか,容易に,かつ,確実に保護接地できる構造とする。
また,端子盤の端子のうち1端子に保護接地記号を付け,灯器に接地してもよい。
なお,保護接地端子を設ける場合は,JIS C 0617-2の規定による保護接地の記号**を表示するの
がよい。
l)
灯体の内部配線は,表7に示す公称導体断面積をもつ耐熱可とう電線を使用するのがよい。また,可
とうより銅線に耐熱絶縁チューブを被せたものを使用してもよい。
表 7 灯体の内部配線用電線
単位 mm2
形式
公称導体断面積
20形
1.5以上
30形
2.5以上
40形
4以上
60形
6以上
m) キャブタイヤコードを附属する場合は,JIS C 3410の規定による表8に示すものを取り付ける。
表 8 キャブタイヤコードの種類
形式
キャブタイヤコード
20形
0.6/1 kV TPNP−1.5以上
30形
0.6/1 kV TPNP−2.5以上
40形
0.6/1 kV TPNP−4以上
60形
0.6/1 kV TPNP−6以上
n) コードの引込部は,コードの屈曲などによる損傷を保護するため,保護ゴムさや又は適切な保護装置
を施す。
4
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考 JMS 8806(船用キャブタイヤコードの保護ゴムさや)参照。
6. 材料 灯器の材料は,JIS F 8008の6.(材料)の規定によるほか,表9による。
表 9 材料
部品名称
材料
灯体
黄銅,ステンレス鋼板,アルミニウム合金
又は鋼板
前ふた
支持腕及び操作腕
黄銅,鋼又はアルミニウム合金
固定ハンドル(暴露部)
黄銅,鋳鉄,アルミニウム合金又は合成樹脂
固定ハンドル(室内部)
黄銅,アルミニウム合金又は合成樹脂
操作取手及び操作ハンドル
合成樹脂,合成ゴム又は堅木
取付台
黄銅,鋳鉄,鋼又はアルミニウム合金
反射鏡
ガラス
前面ガラス
強化ガラス
ソケット絶縁物
磁器又は耐熱性絶縁材料
7. 防食処理,電食防止及び表面処理
7.1
防食処理 金属部分には,次のいずれかの防食処理を施す。
a) 防食めっきは,JIS H 8610若しくはJIS H 8617によるか,又はこれらと同等以上とする。
なお,電気亜鉛めっきの場合は,めっきを施した後に有効な防食塗装を施すのがよい。
b) アルミニウム合金に対する防食化成皮膜処理は,JIS H 8601による陽極酸化皮膜処理を施し,鋼に対
してはりん酸塩処理を施すのがよい。
c) 防食塗装は,塗装(装飾的塗装)の下地処理として施す。黄銅に対してはウォッシュプライマー塗装,
鋼及び鋳鉄に対してはプライマー塗布とするのが望ましい。
7.2
電食防止 アルミニウム合金と異種金属とが接触する箇所には,JIS F 8008の7.(異種金属間接触部
の電食防止)の規定による電食防止処理を施す。
7.3
表面処理 灯器の表面処理は,次による。
a) 灯体などの金属部に施す塗装は,良質のフタル酸,メラミン系などの難燃性塗料を用いる。また,塗
装色は,JIS Z 8721の7.5BG7/2とするのが望ましい。ただし,灯体内面は,黒色(つや消し)塗装と
する。
なお,合成樹脂材料には,塗装を施さなくてもよい。
8. 試験及び検査 灯器の試験及び検査は,JIS F 8008の8.(検査)の規定によるほか,次による。
8.1
形式試験項目及び順序 形式試験は,次の項目及び順序によって同一品について行う。
なお,試験は,同一製造業者の同一設計による最初の製品とする。
a) 構造
b) 材料
c) 防食処理,電食防止及び表面処理
d) 振動
e) 配光(1)
f)
外被の保護性能
5
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 危険な箇所への接近及び外来固形物に対する保護性能
2) 液体に対する保護性能
g) 動作
h) 温度
i)
耐熱衝撃
j)
絶縁抵抗
k) 耐電圧
注(1) 別の供試品を使用してもよい。
8.2
受渡検査項目及び順序 灯器の受渡検査項目及び順序は,次による。
a) 構造検査
b) 点灯検査
c) 動作検査
d) 絶縁抵抗検査
e) 耐電圧検査
8.3
形式試験 灯器の形式試験は,JIS C 8105-3及びJIS F 8008の4.(一般要求事項)の規定によるほか,
次による。
a) 構造 灯器の構造について行い,5.2の規定に適合することを確認する。
b) 材料 灯器の材料について行い,6. の規定に適合することを確認する。
c) 防食処理,電食防止及び表面処理 防食処理,電食防止及び表面処理について,7.の規定に適合する
ことを確認する。
d) 外被の保護性能 外被の保護性能は,4. b) の規定に適合することを確認する。
e) 動作 動作は,灯器をふ仰及び旋回させて行い,4. d) の規定に適合することを確認する。
f)
温度 温度は,4. e) の規定によって行い,それに適合することを確認する。
g) 配光 配光は,適合電球を適合電球の定格電圧で点灯し,表10に示す距離で測定し,4. c) の規定に
適合することを確認する。
表 10 測定距離
単位 m
形式
距離
20形
10以上
30形
15以上
40形及び60形
20以上
9. 製品の呼び方 灯器の呼び方は,規格の名称,種類,形式及び適合電球の定格電圧による。
なお,規格の名称の代わりに規格番号を用いてもよい。
例1. 船用探照灯 C種20形 100 W
2. JIS F 8459 C-20-100 V
10. 表示 灯器の見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。
a) 規格の名称,種類及び形式
b) 定格電圧及び適合電球の定格消費電力
6
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 保護等級
d) 製造業者名又はその略号
e) 製造年又はその略号
f)
質量(kg)
11. 適合電球の表示 適合電球以外の電球を誤って使用されるおそれが予想される場合には,10. b) の表
示とは別に,灯器の内部の見やすいところに容易に消えない方法で,適合電球の形式又は電球の定格電圧
(V)及び定格消費電力(W)などを表示するのがよい。
なお,適合電球の定格電圧の表示は,当事者間の協定による。
適合電球を表示する場合の参考例を,次に示す。
参考例 船用探照灯電球 100 V 500 W
12. 取扱い上の注意事項 灯器には,使用時,点検・整備時などにおける感電,やけど,けがなどの人的
障害を起こさないための注意事項を記載した取扱説明書,施行説明書などを添付する。
なお,点灯中に操作などで手が触れるおそれがある灯器の表面で,温度が60 ℃を超える場合には,高
温注意を喚起する注意銘板を,また,操作時に手をはさむおそれがある場合には,手ばさみ注意を喚起す
る注意銘板を灯器の見やすいところに取り付ける。
参考 JMS 0071 船用電気器具の警告表示に関する指針 参照。
13. 警告表示 警告表示は灯器の見やすいところに,容易に消えない警告ラベルで表示するのがよい。
なお,警告ラベルの例を参考図1に示す。
a) 感電
b) やけど
c) 手ばさみ
(地色 黄色)
(上部枠内の地色 黄色)
(上部枠内の地色 黄色)
参考図 1 警告ラベルの例
参考 JMS 0071 船用電気器具の警告表示に関する指針(5.3警告表示の方法)参照。
関連規格 JMS 0071 日本船舶標準協会規格:船用電気器具の警告表示に関する指針
JMS 8806 日本船舶標準協会規格:船用キャブタイヤコードの保護ゴムさや
7
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
灯体
2
前ふた
3
反射鏡
4
操作取手
5
支持腕
6
操作腕
7
前面ガラス
8
取付台
9
旋回固定ハンドル
10
ふ仰固定ハンドル
11
操作ハンドル
12
振れ止め金具又は化粧板
参考図 2 C種20形,30形,40形及び60形
8
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
灯体
2
前ふた
3
反射鏡
4
操作取手
5
旋回固定ハンドル
6
前面ガラス
7
ふ仰固定ハンドル
8
支持腕
9
取付台
参考図 3 D種20形,30形,40形及び60形
9
F 8459:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
部品番号
部品名称
1
灯体
2
前ふた
3
反射鏡
4
支持腕
5
操作腕
6
前面ガラス
7
駆動装置箱
8
電線貫通金物
参考図 4 E種20形,30形,40形及び60形
10
F 8459:2003
定格消費電力
W
呼称電圧
V
ガラス球
長さ
mm
光中心距離
mm
口金
初特性
静止寿命
h
形状
適用探照灯
形式
径 mm
消費電力 W 水平光度 cd
500
100,110,115
又は220
G 80
80±1
120±5
55±1
P28s/25
500± 50
1 500 以上
100 以上
図1
20形
1 000
G 110
110±2
170±5
115±3
E39/45
1 000±100
3 000 以上
100 以上
図2
30形
2 000
G 150
150±3
256±5
140±4
G19/51×60
2 000±200
8 000 以上
100 以上
図3
40形
3 000
G 200
200±3
331±5
195±5
G19/51×60
3 000±300 12 000 以上
100 以上
図3
60形
備考1. 口金は,JIS C 7709-1の規定による。
2. フィラメントは,平面集光形とする。
単位 mm
単位 mm
単位 mm
図1
図2
図3
参考表 船用探照灯電球
1
0
F
8
4
5
9
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。