2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 8070-1986
(IEC 92-307-1980)
船用電気設備 第307部
機器−電熱器及び調理器具
Electrical Installations in Ships Part 307
Equipment−Heating and Cooking Appliances
まえがき IEC 92(船用電気設備)は,航洋船の電気設備に関し,現在採用されている優れた実行手段を
極力取り入れ,また,現行規則類との調和をできるだけ図りながら,国際規格の一系列を構成している。
これらの規格は,SOLAS(海上人命安全条約)の要求に対する具体的な解釈及び補充を行っている規定で
あり,将来制定されるかもしれない規則類に対する指針でもある。
また,船主,造船所及びその他関係機関が採用する実行手段に対する手引きとなるものである。
1. 適用範囲 この規格は,船舶に使用される電熱器及び調理器具に適用する。
参考 この翻訳規格の内容と他のJISの内容とに相違がある場合,特にIEC 92によると指定された場
合を除き,相違する内容の適用に当たっては,当事者間の協議による。
引用規格:
JIS F 8061 (IEC 92-101) 船用電気設備 第101部 定義及び一般要求事項
JIS F 8062 (IEC 92-201) 船用電気設備 第201部 システム設計−一般
2. 一般要求
2.1
発熱素子 発熱素子は,通常の使用状態で達する最高温度において,耐久性のある材料のもので,
かつ,容易に取替えができるように配置しなければならない。
2.2
内部接続
2.2.1
発熱素子間の電気的接続は,発熱素子自体の接合によるか又は想定される最高温度で端子及び接続
導体が劣化しないような構造でなければならない。
2.2.2
発熱素子とスイッチ間及び電源用ケーブルの接続は,適当な端子を用いて行わなければならない。
接続は,端子及びスイッチが設計値を超える温度とならないようにしなければならない。JIS F 8061 (IEC
92-101) (船用電気設備 第101部 定義及び一般要求事項)による周囲温度では,電源用ケーブル(内
部接地も含めて)の端子温度は75℃を超えてもよい。この場合,これらの端子には,はっきりとラベルを
設けておかなければならない。
2.2.3
発熱素子間及び発熱素子と絶縁ケーブル接続用の端子間の接続は,自己支持のもの又は強固に固定
されたものを除いて,適当な不燃性材料で連続して絶縁しなければならない。
2.2.4
裸接続体は,耐食性の材料のものとし,発生した温度に対して適当なもので,かつ,自己支持のも
のでなければならない。裸接続体の支持物は,2.3項に適合しなければならない。
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F 8070-1986 (IEC 92-307-1980)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2.2.5
磁器製ビーズは,接続部が動かないように固定されるか支持されていて,通常の使用状態で破損し
ないようになっている場合に限って使用できる。
2.3
充電部の支持 発熱素子,裸接続体又は端子などで加熱されるすべての充電部は,耐湿性のものか
又は湿気の浸入に対して有効に保護された不燃性材料の上に取り付けなければならない。
2.4
充電部の保護 発熱素子は,適当に防護しなければならない。ガードは,丈夫な構造のもので,い
かなる導電部とも接触しないように取り付けなければならない。保護ガードの開口は,標準試験指を用い
たとき,発熱素子に触れたり短絡しないように十分狭いものでなければならない。調理器具の充電部は,
調理用具が接触しないように保護しなければならない。液体や食物がこぼれたりあふれて,短絡又は絶縁
の劣化を生じないようにしなければならない。
2.5
露出部分の温度限界
電熱及び調理器具は,使用の際に操作しなければならない部分が,次の表に示された値を超える温度ま
で加熱されないような構造でなければならない。
ハンドル,握り及び類似の部品の材料
通常の使用中手で握っている時
間中における最高温度 ℃
長い時間
短い時間
金属
55
60
磁器,ガラス材料,形造物,ゴム又は木
65
70
周囲温度については,JIS F 8061 (IEC 92-101) を参照。
クッキングレンジの中にこぼれた液体を受ける引出しのハンドルのように,通常素手で操作することの
ない部分は,更に高温になってもよい。
2.6
電熱及び調理用器具の制御 制御スイッチは,“開”の位置にあるとき,すべての非接地極にある発
熱素子を切り離さなければならない。
2.7
制御装置の位置 器具の内部又は近くに取り付けられたヒューズ,スイッチ及びその他の制御用素
子の位置は,それらの設計値を超える温度となることなく,かつ,点検のため近付くことができるもの(例
えば別個のカバーを外して)でなければならない。
2.8
接地 移動形又は固定形を問わず,器具には,金属枠組を接地する適当な端子を備え,かつ,これ
らの端子は,有効に接地しなければならない。
2.9
定格銘板 器具には少なくとも製造業者名とその所在地,形式,定格電圧,定格入力並びに必要に
応じ電源の性質及び周波数を明りょうに,かつ,消えないように表示しなければならない。
2.10 絶縁試験
2.10.1 器具は,その制御装置を含めて,冷却状態で製造業者によって試験され,かつ,すべての導電部と
金属枠間に1分間25〜100Hzの周波数の1 000Vに定格電圧の2倍を加算した交流電圧(最低1 500V)を
加え,これに耐えなければならない。
2.10.2 移動器具においては,スイッチで別々に切り離すことができる各発熱素子に対し,漏えい電流は
1mAを超えず,また固定器具に対しては,1mA又はkW定格入力ごとに1mAのいずれか大きい値を超え
てはならない。
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F 8070-1986 (IEC 92-307-1980)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 調理設備に対する特殊要求
3.1
調理室の電熱及び調理器具の外被 調理場所に取り付けられる調理器具,電熱器具及びそれらの制
御装置は,少なくともIP44[JIS F 8062 (IEC 92-201) (船用電気設備 第201部 システム設計−一般)
の表Vを参照]の保護等級をもったものでなければならない。外被は耐食性のもので,かつ,1個以上の
排水口を備えなければならない。
3.2
電熱用と調理用器具が一つにまとめられている器具の電気的分離 電熱用と調理用器具が一つにま
とめられている器具は,両部分の充電部が機械的に分離され,かつ,片方の部分の構成要素を取り替える
とき,他の部分の充電部に触れないような構造でなければならない。
3.3
安定性 移動形調理器具は,容易に倒れないような形状にするか,又は重量配分されたものでなけ
ればならない。
4. 暖房器具に対する特殊要求
4.1
暖房器具の形式 暖房器具は,発熱素子が見える形式のものを除き,対流形で固定装備形のもので
なければならない。かつ,火災の危険がないように設計し,装備されなければならない。
暖房器具は,もし温度が許容限度を超えるときには,電流を遮断する手段を備えることが望ましい。
4.2
暖房器具の構造 暖房器具は,耐久性のあるもので,かつ,すべての部品は強固な構造のものでな
ければならない。すべてのねじ及びナット類は,有効な緩み止めが施されていなければならない。
4.3
暖房器具の設計 暖房器具は,衣類やその他の可燃性材料など火災の危険を生じるようなものをそ
の上に容易に置くことができないように設計するか,又は保護して装備されなければならない。