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(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 流体の種類と最高使用圧力との関係 ····················································································· 2
5 構造,形状及び寸法 ·········································································································· 4
6 材料······························································································································· 4
7 検査······························································································································· 4
8 製品の呼び方,略号及び略号の表示方法 ··············································································· 4
8.1 製品の呼び方及び略号 ···································································································· 4
8.2 略号の表示方法 ············································································································· 5
8.3 略号構成の例 ················································································································ 6
9 表示······························································································································· 8
附属書A(参考)ユニオン ···································································································· 15
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本船舶技術研究協会(JSTRA)
から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経
て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS F 7343:2010,JIS F 7381:2010,JIS F
7387:2010,及びJIS F 7390:2010は廃止され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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船舶及び海洋技術−船用青銅コック
Ships and marine technology-Bronze cocks for ships
序文
この規格は,船舶に用いる青銅コックに関して規定した,JIS F 7343:2010,JIS F 7381:2010,JIS F
7387:2010,及びJIS F 7390:2010の4規格を,他の船用弁規格の体系化を図り整理統合を行ったものであ
る。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,船の給水管,蒸気管,燃料油管,潤滑油管,貨物油管,圧縮空気管などの配管系統で蒸気,
清水,油,空気などの流体制御に用いる青銅コックについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0205-1 一般用メートルねじ−第1部:基準山形
JIS B 0205-2 一般用メートルねじ−第2部:全体系
JIS B 0205-3 一般用メートルねじ−第3部:ねじ部品用に選択したサイズ
JIS B 0205-4 一般用メートルねじ−第4部:基準寸法
JIS B 2240 銅合金製管フランジ
JIS F 7102 船舶機関部管系用ガスケット及びパッキン使用基準
JIS F 7400 船用弁及びコックの検査通則
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条
JIS H 3250 銅及び銅合金の棒
JIS H 3260 銅及び銅合金の線
JIS H 5120 銅及び銅合金鋳物
3
種類
コックの種類及び主要な区分項目は,表1による。
コックの種類,種類の記号,適用名称,呼び径及び試験圧力は,表2による。
2
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表1−コックの種類及び主要な区分項目
コックの種類
呼び圧力
適用構造
接続管部の構成
詳細構造の
参照図
旧規格番号
(参考)
ニップル形
くい込形b)
フランジ形コ
ック
5K
二方形
−
−
図1
JIS F 7381
三方形
コックa)
(ユニオン
形)
16K
片ユニオン
○
○
図2
JIS F 7387
両ユニオン
○
○
図3
圧力計コック
20K
G1/2形
○
○
図4
JIS F 7343
G3/8形
○
○
錠付コック
−
−
−
−
図6
JIS F 7390
注記 ○印部は,該当する構成を選択できることを示す。
注a) ユニオン部の構造の例は,附属書Aに示す。
b) くい込形は,銅管に対して適用することができる。
4
流体の種類と最高使用圧力との関係
コックの流体の種類と最高使用圧力との関係は,表3による。
3
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表2−コックの種類,種類の記号,適用名称,呼び径及び試験圧力
コックの種類
種類の記号
適用名称
呼び径
試験圧力MPa
6
10 15 20 25 32 40 50 65
すり合わせ面の
水漏れ検査
本体の
水圧検査
フランジ形コック
FCB
二方コック
− − − − ○ ○ ○ ○ ○
0.55
0.75
FCB-L
L形三方コック
FCB-T
T形三方コック
コック
片ユニオン FCB-SAS, -SAC
A栓形,ニップル形
呼び径
呼び径
FCB-SBS,-SBC
B栓形,ニップル形
6
10 15 20
6
10 15 20
FCB-SABC
A栓形,くい込形
○ ○ ○ ○ − − − − −
2.2
1.76
3.0
2.4
FCB-SBBC
B栓形,くい込形
両ユニオン FCB-UAS, -UAC
A栓形,ニップル形
○ ○ − − − − − − −
2.2
3.0
FCB-UBS,UBC
B栓形,ニップル形
FCB-UABC
A栓形,くい込形
FCB-UBBC
B栓形,くい込形
圧力計コック
FCBG-C
ニップル形
− − − − − − − − −
2.2
3.0
FCBG-BC
くい込形
錠付コック
FCBJ
−
− ○ ○ ○ ○ − − − −
0.2
0.2
表3−流体の種類と最高使用圧力との関係
単位 MPa
流体の種類
最高使用圧力
コックの種類
フランジ形コック
コック
圧力計コック
錠付コック
呼び径
6,10
15,20
水及び油
0.5
−
−
−
−
油及び脈動水
−
1.6
1.3
−
−
120 ℃以下の静流水
−
2.0
1.6
−
−
飽和蒸気
−
1.0
0.5
−
−
水,油,空気及び飽和蒸気
−
−
−
2.0
−
潤滑油
−
−
−
−
0.15 a)
注記1 流体の状態で温度の記載のないものは,おおむね80 ℃以下で使用する。
注記2 圧力計コックを飽和蒸気に用いる場合には,サイフォン用管を用いて温度を50 ℃程度に下げた状態で使用するものとする。
注a) 小出しタンク用
4
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5
構造,形状及び寸法
青銅コックの構造,形状及び寸法は図1〜図4及び図6によるほか,次による。
a) フランジは,JIS B 2240の規定による。
b) 本体肉厚aの許容差は,10
15
−
+ %とする。ただし,許容差の計算値が0.5 mm未満の場合は,許容差は
0.5 mmとする。
c) 図の寸法表に記載のねじの呼びは,JIS B 0205-1〜JIS B 0205-4の規定による。
d) 継手に使用するユニオンは,附属書A参照。
e) 呼び圧力16K,20Kのコックの銅管ユニオンは,くい込み形とすることができる。
6
材料
青銅コックの材料は,次による。
a) 本体及び栓は,図1,図2,図3,図5及び図6に規定された材料を使用する。部品名称欄に太字で示
した部品は,規定した材料を用いる。
b) その他の部品は,図に記載の材料とするのが望ましい。
7
検査
青銅コックの検査は,JIS F 7400によって,次のa)〜e)について行う。
なお,圧力検査は,e)の1)及び2)とし,表2に示す試験圧力によって行う。
a) 材料検査
b) 外観検査
c) 寸法検査
d) 組立検査
e) 圧力検査
1) すり合わせ面水漏れ検査
2) 本体水圧検査
なお,呼び径50以下の青銅コックは,本体水圧検査に代えて,空気圧力0.6 MPaの本体空気圧検査とす
ることができる。ただし,この検査を行う場合には,形式別,呼び径及び圧力別に,事前に各コック規定
の水圧による代表試験の自主検査に合格し,その記録を保管する。また,すり合わせ面水漏れ検査に代え
て,空気圧力0.6 MPaによるすり合わせ面水漏れ検査とすることができる。
8
製品の呼び方,略号及び略号の表示方法
8.1
製品の呼び方及び略号
青銅コックの呼び方は,規格の名称,呼び圧力,呼び径,コックの種類及び材料系列記号,又はこれら
の略号を用いて表4に示す。
5
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表4−製品の呼び方及び略号
製品の呼び方
略号
船用青銅 5K-25
フランジ形コック
FCB525
船用青銅 5K-25
フランジ形L形三方コック
FCB525L
船用青銅 5K-40
フランジ形T形三方コック
FCB540T
船用青銅 16K-6
コックS形A栓銅管用ユニオン
FCB166SAC
船用青銅 16K-6
コックS形A栓鋼管用ユニオン
FCB166SAS
船用青銅 16K-10
コックU形B栓銅管用ユニオン
FCB1610UBC
船用青銅 16K-10
コックU形B栓銅管用くい込み形ユニオン
FCB1610UBBC
船用青銅 20K-3/8
圧力計コック銅管用ユニオン
FCBG203/8C
船用青銅 20K-1/2
圧力計コック銅管用くい込み形ユニオン
FCBG201/2BC
船用青銅 10
錠付コック
FCBJ10
8.2
略号の表示方法
略号の表示方法は,次による。
なお,□は,表示桁数を表すが,表示桁数が少ない場合,又はその略号がない場合は,左に詰めて表示
する。
□ □ □ □ □□ □□ □□□□□
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
① 船用品略号
F:船用品を示す
② 種類略号
C:コック
③ 本体材料記号
B:青銅
④ 用途又は形状略号
G:圧力計コック
J:錠付コック
(フランジ形コック及びコックは,略号なしとする。)
⑤ 呼び圧力略号
例 5:呼び圧力5Kのもの
16:呼び圧力16Kのもの
20:呼び圧力20Kのもの
(錠付きコックは,略号なしとする。)
⑥ 呼び径略号
例 6:呼び径6のもの
25:呼び径25のもの
(圧力計コックは,略号なしとする。)
⑦ 特殊表示記号
L:三方コックで栓の穴方向がL形のもの
T:三方コックで栓の穴方向がT形のもの
SAC:S形,A栓,銅管用ユニオン
SBC:S形,B栓,銅管用ユニオン
SAS:S形,A栓,鋼管用ユニオン
SBS:S形,B栓,鋼管用ユニオン
SABC:S形,A栓,銅管用くい込み形ユニオン
SBBC:S形,B栓,銅管用くい込み形ユニオン
UAC:U形,A栓,銅管用ユニオン
UBC:U形,B栓,銅管用ユニオン
6
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UABC:U形,A栓,銅管用くい込み形ユニオン
UBBC:U形,B栓,銅管用くい込み形ユニオン
3/8C:3/8形,銅管用ユニオン
3/8BC:3/8形,銅管用くい込み形ユニオン
1/2C:1/2形,銅管用ユニオン
1/2BC:1/2形,銅管用くい込み形ユニオン
8.3
略号構成の例
略号構成の例を,次に示す。
例1 船用青銅5Kフランジ形コック,呼び径25のもの
F
C
B
5
25
呼び径略号で,呼び径25を示す。
呼び圧力略号で,呼び圧力5Kを示す。
本体材料記号で,青銅を示す。
種類略号で,コックを示す。
船用品略号で,船用品を示す。
例2 船用青銅5Kフランジ形L形三方コック,呼び径25のもの
F
C
B
5
25
L
特殊表示記号で,三方コックで栓の穴の方向がL形のものを
示す。
呼び径略号で,呼び径25を示す。
呼び圧力略号で,呼び圧力5Kを示す。
本体材料記号で,青銅を示す。
種類略号で,コックを示す。
船用品略号で,船用品を示す。
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例3 船用青銅16Kコック,呼び径6,S形,A栓,銅管用ユニオンのもの
F
C
B
16
6
SAC
特殊表示記号で,S形,A栓,銅管用ユニオンを示す。
呼び径略号で,呼び径6を示す。
呼び圧力略号で,呼び圧力16Kを示す。
本体材料記号で,青銅を示す。
種類略号で,コックを示す。
船用品略号で,船用品を示す。
例4 船用青銅20K圧力計コック,3/8形,銅管用ユニオンのもの
F
C
B
G
20 3/8
C
特殊表示記号で,銅管用ユニオンを示す。
特殊表示記号で,圧力計接続部のねじの呼びG3/8を示す。
呼び圧力略号で,呼び圧力20Kを示す。
用途又は形状略号で,圧力計コックを示す。
本体材料記号で,青銅を示す。
種類略号で,コックを示す。
船用品略号で,船用品を示す。
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例5 船用青銅 錠付コック,呼び径15のもの
F
C
B
J
15
呼び径略号で,呼び径15を示す。
用途又は形状略号で,錠付コックを示す。
本体材料記号で,青銅を示す。
種類略号で,コックを示す。
船用品略号で,船用品を示す。
9
表示
青銅コックには,次の表示を施す。
a) 青銅コックの本体の側面又は表面に,表5の事項を表示する。
b) 青銅コックの種類,用途及び形状は,包装,こん(梱)包などの見やすい場所に表示する。
c) コックの栓の穴の方向を示す矢印(A栓,B栓の区別)をレバーに表示する。ただし,フランジ形コ
ックの栓の通路方向を示す印(L形,T形の区別)を栓の頭部に溝を切り込んで表示する。
表5−表示事項
呼び圧力
コックの種類
表示事項
5K
フランジ形コック
呼び圧力及び呼び径
製造業者名又はその略号
製造年月又はその略号
穴の方向を示す矢印
16K
コック
呼び圧力及び呼び径
製造業者名又はその略号
製造年月又はその略号
穴の方向を示す矢印
注記 本体に表示しにくいものは,荷札などに表示してもよい。
20K
圧力計コック
呼び圧力
製造業者名又はその略号
製造年月又はその略号
注記 本体に表示しにくいものは,荷札などに表示してもよい。
−
錠付コック
呼び径
製造業者名又はその略号
製造年月又はその略号
注記 本体に表示しにくいものは,荷札などに表示してもよい。
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