サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

F 7103 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が改正した日本工

業規格である。 

これによって,JIS F 7103 : 1992は改正され,この規格に置き換えられる。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 7103 : 1999 

船用機関入口用潤滑油管系 

及び燃料油管系のこし器 

Shipbuilding−Marine engines' strainers for lubricating and fuel oil 

1. 適用範囲 この規格は,船用機関の潤滑油管系及び燃料油管系に使用する機関入口用自己洗浄式こし

器並びに非自己洗浄式こし器(以下,こし器という。)の種類,装備基準及び表示について規定する。 

備考1. この規格は,JIS F 7201(船用こし器−使用基準)に規定されていない潤滑油2次こし器,燃

料油2次及び3次こし器に適用する。 

2. この規格には,JIS F 7202(船用複式油こし),JIS F 7203(造船一機械室及び軸室ビルジ用マ

ッドボックス設計の一般特性),JIS F 7206(造船−ローズボックス),JIS F 7208(船用H形

油こし),JIS F 7209(船用単式油こし),JIS F 7220(船用鋳鉄Y形こし)及びJIS F 7225(船

用鋼板製単式油こし)は含まない。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品 

JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品 

JIS G 5502 球状黒鉛鋳鉄品 

JIS H 4551 ニッケル及びニッケル合金板及び条 

JIS K 2205 重油 

JIS K 2215 内燃機関用潤滑油 

JIS K 6811 ポリアミド樹脂(ナイロン6, 66)板及び棒の寸法 

JIS L 3201 羊毛長尺フェルト 

JIS R 3413 ガラス糸 

JIS Z 2550 機械構造部品用焼結材料 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 自己洗浄式こし器 目詰まりしたエレメントを手動又は自動で通油を止めることなく洗浄できる機構

をもったこし器。一般に,表面ろ過方式(サーフェイスフィルトレーション)を採用している。エレ

メントは,ゴーズワイヤ,ノッチワイヤ,多孔板など厚さが薄いものでできており,こし器内で自己

洗浄しやすくなっている。 

background image

F 7103 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 非自己洗浄式こし器 目詰まりしたエレメントを洗浄できる機構をもっていないこし器。表面ろ過方

式及び深層吸着ろ過方式(ディープフィルトレーション)の両方式がある。表面ろ過方式を採用して

いるこし器は,目詰まりしたエレメントを開放洗浄することによって繰り返し使用できるが,深層吸

着ろ過方式を採用しているこし器は,エレメントの材料に繊維質を使用し,流体が繊維層を浸透して

ろ過されるため,ろ過能力に優れているが,目詰まりしたエレメントは洗浄できず,新しいものと交

換する必要がある。 

4. 種類 こし器は,自己洗浄式こし器と非自己洗浄式こし器とに大別し,エレメントの洗浄方式によっ

て表1による。 

表1 種類及び洗浄方式 

こし器
の種類 

エレメントの 
洗浄方式 

洗浄方式の説明 

自己洗
浄式こ
し器 

逆流洗浄式 

エレメントを粒子捕そく(捉)面の反対側から,ろ過後の油又は圧縮空気によって洗浄
し,捕そく粒子は,逆洗油と共にこし器外で処理するか,こし器内のドレンだめにため
る。 

なお,この方式には,手動逆洗と自動逆洗とがある。また,エレメントが目詰まりし

たとき又はタイマ制御で逆洗するものを間欠逆洗式といい,エレメントの目詰まりに関
係なく通油中に連続して逆洗するものを連続逆洗式という。 

スクレーパ式 

エレメント本体を回転させ,捕そく粒子をスクレーパ(こて)でこすりとる。 

遠心式 

こし器本体内部に回転体を装備し,自己液で高速回転させ遠心分離で不純物を除去する
が,たい(堆)積した不純物は,開放洗浄で除去する。 

非自己
洗浄式
こし器 

分解洗浄式 

こし器本体を開放し,目詰まりしたエレメントを洗油などで洗浄する。 

エレメント交換
式 

エレメント本体がガラス糸,フェルトなどで作られていて,エレメントが目詰まりした
場合,エレメント本体ごと交換する。 

備考 同一の洗浄方式でも,通油量によって単筒式と多筒式とがあるが,ここでは,こし器の種類としては取り扱わ

ない。 

background image

F 7103 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 使用基準 こし器の管系統別使用基準は,表2による。 

表2 こし器の管系統別使用基準 

管系統 

使用区分 

ろ過能力 
(参考) 

エレメント 

本体材料 

種類 

材料 

潤滑油系 
(JIS K 2215の船用2
種の3号,4号,3種の
3号,4号) 

2次こし器 50μm 

ゴーズワイヤ 
ノッチワイヤ 
ウェッジワイヤ 

JIS G 4303の 
SUS304, 
SUS316L 

JIS G 5501のFC200(1), 
JIS G 5502のFCD400-15(1), 
JIS G 5101のSC450, 
JIS G 3101のSS400, 
又は 
JIS G 4303のSUS304 

多孔板 

JIS H 4551の 
NNCP 

合成樹脂 

JIS K 6811の 
ポリアミド樹脂 

燃料油系 
(JIS K 2205の3種3
号のC重油) 

2次こし器 

及び 

3次こし器 

30〜50μm 
5〜10μm 

ゴーズワイヤ,
ノッチワイヤ,
ウェッジワイヤ 

JIS G 4303の 
SUS304, 
SUS316L 

多孔板 

JIS H 4551の 
NNCP 

合成樹脂 

JIS K 6811の 
ポリアミド樹脂 

焼結金属 

JIS Z 2550の 
SMS, SMK 

繊維質 

JIS R 3413の 
ガラス糸 
JIS L 3201の 
羊毛長尺フェル
ト 
セルロース 

注(1) JIS G 5501のFC200, JIS G 5502のFCD400-15は,燃料油,潤滑油の温度及び圧力によって使用制限がある。 
備考1. 使用区分の2次及び3次こし器については,参考図1〜参考図3を参照。 

2. ろ過能力については,機関製造業者の推奨による。 
3. ろ過能力に対するこし器の目開きについては,こし器製造業者の推奨による。 
4. エレメントの材料及び本体材料は,代表例を示し,品質がこれと同等以上のものを用いることができる。 

参考 こし器本体材料の適用に際しては,船級協会によって制約が異なるので解説を参照。 

background image

F 7103 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6. 附属品 こし器に装備する附属品は,表3による。 

表3 附属品 

附属品 

装備対象 

装備位置 

備考 

圧力計又は差圧
計及び差圧スイ
ッチ(2) 

潤滑油,燃料油
の2次及び3次
こし器に装備 

検出部は,こし器出入口,
表示部は,こし器本体又は
船内設定場所 

警報設定値は,58.8〜98.1kPa(ゲー
ジ圧)(参考) 

逆洗油用こし器 

潤滑油2次こし
器に装備(自己
洗浄式こし器だ
け) 

船内配管部又はこし器本体 容量及び目開きは,製造業者推奨値 

シールポット 

高粘度の燃料油
用こし器だけに
装備 

検出部から計器部の間に設
置 

エチレングリコール封入 

チームジャケッ
トは保温トレー
ス 

こし器本体 

逆洗作動カウン
タ 

(3) 

逆洗作動制御盤 

バイパスこし器 

(3) 

注(2) 必要な場合だけ装備する。 

(3) 受渡当事者間の協定による。 

7. 予備品 こし器の予備品は,次のとおりエレメント,ばね,軸受及びb)以外の電気部品については,

受渡当事者間の協定による。 

a) Oリング及びパッキン 

b) ヒューズ及び電球 

8. こし器の性能 

8.1 

こし器の性能表示事項 こし器の性能に関する表示事項は,次による。 

a) 通油量 (m3/h) 

b) ろ過能力(絶対ろ過粒度μm又は呼びろ過粒度μm) 

なお,呼びろ過粒度を採用した場合は,粒子捕そく効率を併記する。 

c) 最高使用圧力(ゲージ圧) (MPa) 

d) 最高使用温度 (℃) 

8.2 

粒子捕そく(捉)効率 こし器の粒子捕そく効率は,次の式による。 

2

1

1

100

m

m

E=

ここに, 

E: 粒子補そく効率 (%) 

m1: こし器出口側のテストダスト(4)質量 (g) 

m2: こし器入口側のテストダスト(4)質量 (g) 

 注(4) テストダストは,表4に示した酸化アルミナダストの中

の適当なものを用いるが,100〜110℃で1時間乾燥させ

たものとする。 

background image

F 7103 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表4 テストダスト 

種類 

50%平均粒子径 

μm 

グレード2 

6.9±0.5 

グレード3 

13.6±0.9 

グレード4 

30.1±2.3 

グレード5 

54.0±3.0 

8.3 

自己洗浄式こし器の耐久性 自己洗浄式こし器の耐久性は,機械的に105回以上連続逆洗作動し,し

ょう動部及び駆動部に異常があってはならない。 

8.4 

通過面積比 通過面積比は,エレメントの表面積と目開きの面積との比で表し,比率については,

製造業者の規格による。 

8.5 

ろ過性能の回復 逆洗動作終了後のこし器の圧力損失は,潤滑油用で34.3kPa(ゲージ圧),燃料油

用で9.8〜19.6kPa(ゲージ圧)とすることが望ましいが,逆洗動作終了後でも圧力損失が戻らない場合は

開放洗浄する必要がある。 

8.6 

逆洗動作時間 逆洗動作時間は,エレメントを十分に逆洗できる時間とし,自動逆洗式では差圧ス

イッチ及びタイマ制御で行う。手動逆洗式では,差圧計又は指示計の指示値が初期圧力損失近くまで回復

できる時間とする。 

8.7 

耐傾斜性 自己洗浄式こし器は,表5に示す船体傾斜角度を考慮に入れて設計しなければならない。 

表5 船体傾斜角度 

左右方向 

前後方向 

静的傾斜 

(横傾斜) 

動的傾斜 

(ローリング) 

静的傾斜 

(縦傾斜) 

動的傾斜 

(ピッチング) 

15° 

22.5° 

5° 

7.5° 

備考 左右方向と前後方向の傾斜は,同時に起こることを考慮する。 

9. 表示 こし器の銘板には,次の項目を表示する。 

a) こし器本体の性能 

b) 運転注意事項 

c) 製造業者名又はその略号 

d) 製造番号 

e) 製造年月又はその略号 

10. 装備計画 

10.1 自己洗浄式こし器 自己洗浄式こし器の装備計画は,次による。 

a) 逆洗油量 製造業者及び形式によって異なるが,通油量の5〜20%が一応の目安である。 

b) 初期圧力損失 流量及びエレメントの目開き,こし器本体の形状によって異なるが,潤滑油用で

34.3kPa(ゲージ圧),燃料油用で9.8〜19.6kPa(ケージ圧)が望ましい。 

c) 通油量 ポンプ吐出し量と同容量とする。 

d) ドレン油の回収方法 ドレン油の回収方法を参考例として参考図1〜参考図3に示す。 

10.2 非自己洗浄式こし器 非自己洗浄式こし器の装備計画は,次による。 

a) 初期圧力損失 自己洗浄式こし器と同一とする。 

F 7103 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 通油量 自己洗浄式こし器と同一とする。 

c) バイパス弁の設置 エレメント交換時に内燃機関への通油を止めることがないようバイパス弁を設け

る。ただし,複式を採用する場合は,バイパス弁を省略できる。 

11. 船内装備の注意事項 こし器の船内装備の注意事項は,次による。 

a) 開放,点検用つり金具の設備,十分な深さの油受けの設置及び周囲の作業空間を設ける。 

b) 燃料油管には,必要に応じてスチームトレース又は電気トレースを施す。 

c) スチームジャケットを設けた燃料油こし器には,人体保護のための防熱を施す。 

d) 逆洗油出口の配管には,背圧をなくし下降配管とする。 

e) こし器取合配管には,“ずれ”や“ねじれ”があってはならない。 

f) 

ぎ(艤)装工事期間中は,こし器内部の防せい(錆)処理を施す。 

関連規格 JIS F 7201 船用こし器−使用基準 

JIS F 7207 船用油こしの金網の使用基準 

ISO 4548-4 Methods of test for full-flow lublicating oil filters for internal combusion engines Part4 : 

Initial particle retension efficiency, life and cumulative efficiency 

background image

7

F

 7

1

0

3

 : 

1

9

9

9

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考図1 内燃主機関潤滑油管系統図 

background image

8

F

 7

1

0

3

 : 

1

9

9

9

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考図2 内燃主機関燃料油管系統図(加圧式) 

background image

9

F

 7

1

0

3

 : 

1

9

9

9

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考図3 発電機用内燃機関燃料油管系統図(加圧式) 

10 

F 7103 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

財団法人日本船舶標準協会 機関部会 機関ぎ装専門分科会 構成表 

氏名 

所属 

(専門分科会長) 

秋 本 義 紀 

住友重機械工業株式会社 

(委員) 

中 村 順 造 

財団法人日本海事協会 

岩 野 淳 一 

日本郵船株式会社 

杉 山 知 徳 

石川島播磨重工業株式会社 

花 崎   襄 

川崎重工業株式会社 

大 島 伸 治 

NKK総合エンジニアリング事業部 

熊 谷   猛 

日立造船株式会社 

伊 藤 政 美 

三井造船株式会社千葉事業部 

野 津 康 生 

三菱重工業株式会社神戸造船所 

(事務局) 

久 保 明 博 

財団法人日本船舶標準協会 

仁 平 一 幸 

財団法人日本船舶標準協会