サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

F 7011 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が改正した日本工

業規格である。これによって,JIS F 7011 : 1995は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,国際規格の整合を図るために,原国際規格の技術的内容を変更することなく採用し,

附属書に規定した。また,旧JISの内容を一部改正し,本体に規定した。 

JIS F 7011は,本体及び次に示す附属書で構成されている。 

附属書(規定) 船用焼却装置 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 7011 : 1998 

船内焼却炉装備基準 

Shipbuilding−Application of incinerator for marine use 

1. 適用範囲 この規格は,船内に専用の廃油及び可燃性固形廃棄物の焼却炉(ただし,固形廃棄物専用

焼却炉を除く。以下,焼却炉という。)を装備する場合の一般的な装備基準について規定する。 

備考1. 構造に関する事項は,該当する規則による。 

2. 国際規格ISO 13617 Shipbuilding−Shipboard incinerators−Requirementsに適合する焼却装置の

装備基準は,附属書による。 

2. 焼却方式 焼却の方式は,主に次のとおりとする。 

a) 重力滴下方式 

b) 圧力噴霧方式 

c) 遠心噴霧方式 

3. 焼却炉の性能 

3.1 

焼却炉本体の性能表示の表し方 焼却炉本体の性能は,次によって表す。 

a) 処理熱量 (J/h) 

b) 処理可能な廃油の含水率 (%) 

c) 固形物焼却量 (kg/h) 

3.2 

廃油の含水率 廃油の含水率は,焼却する前の廃油の含水率を示し,50%以内とすることが望まし

い。 

3.3 

固形廃棄物の種類 固形廃棄物の種類は,ウエス,木,スラッジなどとする。 

備考 プラスチックなどの高発熱性物質は含まない。 

3.4 

制御及び安全・警報装置 制御及び安全・警報装置は,次による。 

a) 制御方法 各附属機器の発停,点火及び消火は手動とする。 

b) 安全・警報装置 次の項目で警報を発するものであり,かつ,*印を付けた項目については自動的に

焼却炉運転を中止するものでなければならない。 

なお,適用する規則などを満足しなければならない。 

*1) 失火 

*2) 焼却炉入口油温低下(圧力噴霧式バーナの場合だけ) 

 3) 噴霧用蒸気(空気)圧力低下(圧力噴霧式バーナ及び遠心噴霧式バーナの場合だけ) 

 4) 油圧力低下(圧力噴霧式バーナの場合だけ) 

*5) 排ガス温度上昇 

 6) 電源喪失 

background image

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 7) 送風機停止 

備考 固形物を投入する場合,逆火が生じない構造とする。 

3.5 

予備品 焼却炉の予備品は,次のものを含み製造所基準の範囲内とする。 

a) Oリング及びパッキン 

b) 各種軸受 

c) こし網 

3.6 

表示 焼却炉の銘板などに,次の事項を記載する。 

a) 焼却炉本体の性能 

b) 運転注意事項 

c) 製造業者名又はその略号 

d) 製造番号又はその略号 

e) 製造年月日又はその略号 

4. 焼却炉装置の計画 

4.1 

焼却炉装置の計画 焼却炉装置の計画は,4.2及び4.3の基準を目安として計画する。 

4.2 

処理熱量を決定する方法 処理熱量Qは,次の式による。 

Q=V×21 000÷5.5÷0.8 

ここに, Q: 処理熱量 (kJ/h) 
 

V: 焼却廃油量 (L/D) 

V=17.79×10−3×主機出力 (kW) 

参考 この式は,日本舶用機関学会の“ディーゼル船廃油焼却炉装備基準(改訂)”の式を引用した。 

4.3 

焼却作業時間及び焼却炉運転時間 焼却作業時間及び焼却炉運転時間の合計は,表1による。 

表1 焼却作業時間及び焼却炉運転時間 

作業項目 

焼却作業時間及び焼

却炉運転時間の合計 

備考 

廃油タンクへの移送 

15〜30分間 

廃油移送ポンプで移送 

廃油タンクでの澄まし作業及び水切り作業 12時間 

蒸気で過熱して澄ました後,廃油量の12〜13を水切りする 

A重油を使用して焼却点火 

15分間 

廃油焼却 

5.5時間 

固形物の焼却 

1時間 

焼却後のライン洗浄 

5〜15分間 

A重油を使用する 

炉の冷却 

20〜30分間 

送風機を使用する 

4.4 

焼却炉装置の船内ぎ装 

4.4.1 

焼却炉装置の船内系統図 焼却炉装置の船内における系統図の一例を参考図1に示す。 

4.4.2 

配置及び廃棄物運搬 配置及び廃棄物運搬は,次による。 

a) 周囲温度が上がらないように通風などの措置をとる。 

b) 廃棄物運搬及び点検・整備に支障がないようにスペースを考慮する。 

c) 排ガス管系は,管の表面温度上昇に対して十分に考慮を払う。 

background image

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この参考図1は,本体に関連する事項を補足するものであって,規定の一部ではない。 

参考図1 船内焼却炉系統図 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 船内試験 焼却炉の船内試験は,次による。 

a) 運転試験及び検査 

b) 安全・警報装置の作動試験 

6. 運転注意事項 焼却炉の運転注意事項は,次による。 

a) 廃油の水切り作業を十分に行う。 

b) 運転中は,換気に注意する。 

c) こし器の目詰りに注意する。 

d) 運転終了後は管系をA重油で洗浄し,炉の冷却完了後,送風機は停止する。 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書(規定) 船用焼却装置 

Shipbuilding−Shipboard incinerators−Requirements 

序文 この附属書は,1995年に第1版として発行されたISO 13617-1995, Shipbuilding−Shipboard 

incinerators−Requirementsを元に翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成したもの

で規定の一部である。 

 なお,この附属書で下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 

1.1 

この規格は,船舶の通常の業務に伴って生じるガーベジやその他の船内廃物〔保守廃物,運航廃物,

生活廃物及び貨物関連廃物[ただし,1973年の船舶からの汚染の防止のための国際条約及び1978年議定

書(以下,MARPOL73/78という。)の附属書IIとIIIに定義された物質で汚れた貨物関連廃物を除く。]〕

を焼却する焼却装置の設計,製造,性能,運転,機能及び試験に関するものである。 

1.2 

この規格は,焼却装置1基当たりの容量が1 160 kW以下の焼却プラントに適用する。 

1.3 

この規格は,化学薬品,製造上生じる残物などの産業廃物を焼却するような特殊な焼却船に装備す

る焼却システムには適用しない。 

1.4 

この規格は,焼却装置への給電,焼却装置用の据付け基礎及び焼却装置用の煙路については取り扱

わない。 

1.5 

この規格は,排出に関する要求事項を附属資料A1.に,防火に関する要求事項を附属資料A2.に示す。

排熱回収装置を組み込んだ焼却装置に関する規定及び排ガス温度に関する規定をそれぞれ附属資料A3. 

及び附属資料A4.に示す。 

1.6 

この規格は,有害物質とそれに関する操作及び機器を対象としてもよいが,この規格の使用に関連

するすべての安全問題を取り扱うことは,この規格の主意ではない。適切な安全面の手法と健康面の手法

を確立し,この規格の使用に先立って,寄港予定地の規制も含めどんな法的規制が適用されるかを判断し

ておくことは,この規格の使用者の責任である。 

2. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

2.1 

船舶 (Ship)  海洋環境で運航しているあらゆる型の船舟類。これには,水中翼船,エアクッション

艇,潜水船,浮揚機器及び固定され,又は浮揚しているプラットホームを含む。 

2.2 

焼却装置 (Incinerator)  家事廃物に類似した組成の固状廃物及び船舶の運航によって生じる液状廃

物を焼却する船上設備。例えば,生活廃物,貸物関連廃物,保守廃物,運航廃物,貨物残し(滓),漁具な

どがこれらの廃物に当たる。これらの船上設備は,発生する熱エネルギーを回収利用する設計としても,

利用しない設計としてもよい。 

2.3 

ガーベジ (Garbage)  MARPOL 73/78附属書Vで定義されるように,生鮮魚及びその一部を除き,

船舶の通常の運航に伴って生じるすべての種類の食生活上,船内生活上及び運航上生じる廃物。 

2.4 

廃物 (Waste)  役に立たないもの,不用のもの又は余分なものであって,捨ててしまうもの。 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.5 

食物廃物 (Food wastes)  船内の主として調理室及び食堂で発生する,腐敗した又は腐敗していない

食料関連の廃物で,果物,野菜,乳製品,家きん(禽)肉製品,獣肉製品,食物の切れ端,食物くず及び

これらによって汚れたすべての物品。 

2.6 

プラスチック (Plastic)  1種類以上の合成有機高重合物を主成分として含み,重合物の製造時又は

完成品の製作時に熱及び/又は圧力で成形される固状の物質。プラスチックの物性は,堅くてもろ(脆)

いものから柔らかくて弾性に富むものまである。プラスチックは包装用材(気密包装材,瓶,容器及びラ

イナー材),造船用材(グラスファイバ,ラミネート材,壁材,配管材,絶縁材,床材,敷物,織物,塗料,

仕上げ材,接着剤,電気・電子部品),使い捨て食器,コップ,袋,シート,浮き,漁網,締め具,ロープ,

索を含む種々の船舶関連用途に用いられる。 

2.7 

生活廃物 (Domestic waste)  すべての食物廃物,汚物及び船内生活空間で発生する廃物。 

2.8 

貨物関連廃物 (Cargo-associated waste) 貨物の保管及び取扱いのために船内で用い,結果として廃物

となったすべてのもの。貨物関連廃物には,ダンネージ,パレット,ライニング材及びパッキング材,ベ

ニア板,紙,ボール紙,線材,鋼帯を含む。 

2.9 

保守廃物 (Maintenance waste)  船舶の保守及び運転に伴い,機関部及び甲板部で集められる物質。

すす,機器沈殿物,はく(剥)離した塗料,甲板清掃廃物,油布など。 

2.10 運航廃物 (Operational wastes)  すべての貨物関連廃物,保守廃物(灰やクリンカを含む。)及び2.13

で定義される貨物残し(滓)。 

2.11 スラッジ油 (Sludge oil)  燃料油及び潤滑油の分離器からのスラッジ,主機及び補機からの潤滑油廃

油,ビルジ用油水分離機,油滴受けなどからの廃油。 

2.12 油布 (Oily rages)  条約の附属書Iで統制される油のし(滲)み込んだ布きれ。汚染布とは,MARPOL 

73/78の他の附属書で定義される有害物質のし(滲)み込んだ布きれ。 

2.13 貨物残し(滓) (Cargo residues)  この規格においては,正規の貨物倉に置けない半端貨物(積みあ

ふれ及び荷こぼれ)及び荷揚げ完了後貨物船倉,他の場所に残る半端貨物(揚げ残り及び荷こぼれ)。ただ

し,貨物残し(滓)は,少量であると想定する。 

2.14 漁具 (Fishing gear)  海洋生物又は淡水生物の捕獲又は捕獲のための対象物制御を目的として,水上

又は水中に設置する物理的な器具又はその一部。 

3. 材料と製造 

3.1 

焼却装置の個々の部分に使用する材料は,他の船用補機同様,耐熱性,機械的性質,酸化,腐食な

どの観点から,意図する用途に適したものとしなければならない。 

3.2 

燃料油配管及びスラッジ油配管は,適切な強度をもつ継目無鋼管とし,かつ,主管庁の要求を満足

しなければならない。バーナ部には,短い長さの鋼製,焼なまし銅ニッケル製,焼なましニッケル銅製又

は焼なまし銅製の管及びチューブを使用してもよい。非金属材料は,燃料ラインに使用してはならない。

外径60mm以下のバルブ及び管継手はねじ込み式としてもよいが,外径33mm以上の圧力ラインにはねじ

込みユニオンを使用してはならない。 

3.3 

すべての回転機構部,運動機構部及び露出電気部は,すべて不測の接触に対して保護しなければな

らない。 

3.4 

焼却装置の壁面は,断熱耐火れんが又は断熱耐火材及び冷却システムによって保護しなければなら

ない。通常運転中に人体が接触する焼却装置ケーシングの外表面温度は,周囲温度より20℃を超えて高く

なってはならない。 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.5 

耐火材は,熱衝撃や通常の船舶の振動に耐えるものでなければならない。耐火材設計温度は,燃焼

室設計温度の20%増しとしなければならない(4.1参照)。 

3.6 

焼却システムは,システム内部の腐食が極力小さくなるように設計しなければならない。 

3.7 

液状廃物焼却の装備をもつシステムについては,補助バーナなどによって,点火の安全及び燃焼の

保持を確実なものとしなければならない。 

3.8 

燃焼室は,耐火材及び断熱材を含むすべての内部部材が容易に保守できるように設計しなければな

らない。 

3.9 

燃焼は,負圧下で行わなければならない。すなわち,どのような場合にも炉内圧は,焼却装置を設

置している室内の気圧より低くしなければならない。負圧確保のため,排ガス用排風機を装備してもよい。 

3.10 手作業又は自動的に焼却炉内へ固状廃物の投入を行ってもよい。いずれの場合にも,火災発生のお

それのないものとし,作業者に危険が及ぶことなく投入ができなければならない。 

例えば,手作業による投入の場合には,投入扉が開いている限り投入空間を燃焼函から確実に隔離する

ような投入ロックを設けてよい。 

投入ロックによらない場合には,焼却装置がガーベジを燃焼して運転中,又は炉内温度が220℃を超え

ている間は,投入扉が開かないようなインタロックを設けなければならない。 

3.11 廃物供給機構を備える焼却装置は,投入物を確実に燃焼室へ移動させるようにしなければならない。

そのようなシステムは,作業者及び環境が危険にさら(曝)されないような設計としなければならない。 

3.12 燃焼の進行中又は炉内温度が220℃を超えている間は,灰出し扉が開かないようインタロックを設け

なければならない。 

3.13 焼却装置には,燃焼室内の燃焼プロセスや廃物堆積状況を目視して制御ができるよう,安全な燃焼

室監視窓を設けなければならない。監視窓は,熱,火炎及び粒子を遮断するものとしなければならない。

安全な監視窓の一例として,金属枠付きの耐熱ガラスがある。 

3.14 電気関連要求事項 

3.14.1 IEC規格 (International Electrotechnical Commision Standards),特にIEC 92“船用電気設備” (Electrical 

Installation in Ships) は,この装置に適用できる。 

3.14.2 電気設備に関する要求事項は,制御器,安全装置,ケーブル及びバーナを含むすべての電気機器並

びに焼却装置に適用しなければならない。 

3.14.2.1 断の位置でロックが可能な断路手段を,焼却装置近傍で人が近づける場所に設置し,焼却装置を

すべての電源から切り放せるようにしなければならない。この断路手段は,焼却装置の一部とするか又は

焼却装置に隣接させなければならない(5.1参照)。 

3.14.2.2 すべての非絶縁の帯電金属部は,不測の接触を防ぐように保護しなければならない。 

3.14.2.3 電気機器は,機能喪失した場合に燃料供給を遮断するように装備しなければならない。 

3.14.2.4 制御回路に組み込む各々の安全装置の電気接点は,すべて直列接続としなければならない。ただ

し,特定の装置が並列に接続される場合には,特別の考慮をしなければならない。 

3.14.2.5 すべての電気部品及び電気装置は,制御システムの供給電圧と整合のとれた定格電圧をもたなけ

ればならない。 

3.14.2.6 暴露部の電気装置及び電気機器は,すべてIEC 92-201の表Vに従わなければならない。 

3.14.2.7 すべての電気式及び機械式制御装置は,国家的に認定された試験機関によって国際規格に従って

試験を行い,かつ,認定された型式のものでなければならない。 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.14.2.8 制限器/一次安全制御器が,燃焼ユニットへの燃料供給を遮断する回路を直接断とするように,

制御回路を設計しなければならない。 

3.14.3 過電流保護 

3.14.3.1 給電導体より細い連結線導体には,IEC規格に従って,いずれかの制御箱への連結線導体のうち,

最も細いものを基準にした過電流保護を設けなければならない。 

3.14.3.2 連結線の過電流保護は,細い導体が太い導体に接続する部分に位置させなければならない。ただ

し,連結線導体のうち,最も細いものを基準とする場合又はIEC規格の要求に従う場合には,全体を過電

流保護する方法も認められる。 

3.14.3.3 過電流保護装置は,人が近づける位置に置き,機能が識別できなければならない。 

3.14.4 電動機 

3.14.4.1 すべての電動機は,IEC 529に従って,設置場所の環境に合う外被とし,最低IP44としなければ

ならない。 

3.14.4.2 電動機には,IEC 92-301に従って,所要の情報を記載した耐食銘板を設けなければならない。 

3.14.4.3 電動機には,IEC 92-202に従って,製造業者が指示する方法に基づき,熱式保護器,過電流保護

装置又は両者兼備のいずれかの手段による運転保護を設けなければならない。 

3.14.4.4 電動機は連続定格とし,設計周囲温度は45 ℃以上としなければならない。 

3.14.4.5 すべての電動機は,枠と一体形又は枠に固定された端子箱の中に,端子リード又は端子ねじを設

けなければならない。 

3.14.5 点火システム 

3.14.5.1 自動電気点火を行う場合は,高圧スパーク,高エネルギー電気スパーク又は電熱コイルによらな

ければならない。 

3.14.5.2 点火トランスは,設置場所の環境に合った外被とし,最低IEC 529のIP44としなければならな

い。 

3.14.5.3 点火ケーブルは,IEC 92-503の要求を満足しなければならない。 

3.14.6 配線材 

3.14.6.1 すべての焼却装置用配線は,IEC 92-352に従って選定しなければならない。 

3.14.7 ボンディングと接地 

3.14.7.1 焼却装置の主要な金属製の枠又は組立品について,接地の手段を設けなければならない。 

3.14.7.2 電気部品及び電気装置の通電されない外被,枠及びそれらに同等の部分は,すべて焼却装置の主

要な金属製の枠又は組立品にボンディングしなければならない。組込みによってボンディングされること

になる電気部品には,別途ボンディング導体を設ける必要はない。 

3.14.7.3 電気部品又は装置のボンディングに絶縁被覆線を使う場合,被覆の色は緑の無地又は緑と黄の縞

としなければならない。 

4. 運転上の要求事項 

4.1 

焼却システムは次の条件で運転するように設計し,製造しなければならない。 

燃焼室燃焼ガス出口最高温度 

1 200 ℃ 

燃焼室燃焼ガス出口最低温度 

850 ℃ 

燃焼室の予熱温度 

650 ℃ 

バッチ投入式焼却装置については,予熱の要求はない。ただし,そのような焼却装置は,実際の燃焼空

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

間の温度が起動後5分以内に600 ℃に達するように設計しなければならない。 

点火前のプリ・パージ 

:燃焼室及び煙路の容積の4倍以上の換気 

 ただし,15秒以上 

再起動時 

:同上 

燃料油遮断後のポスト・パージ :燃料油弁遮断後15秒以上 

焼却装置排出ガス 

:O2 6 %以上 

4.2 

燃焼室の外表面には,身体的接触に対する遮へい(蔽)を設け,通常の作業状態にある作業者が,

極端な熱(周囲温度より20 ℃を超えて高い温度)にさらされたり,60 ℃を超える温度の表面に直接接触

することのないようにしなければならない。これを達成する方法の例として,空冷ジャケット及びエキス

パンド・メタル製ジャケットがある。 

4.3 

焼却システムは,ガスや煙が周辺に漏れることがないよう,燃焼室を負圧にして運転するようにし

なければならない。 

4.4 

焼却装置には,ユニット上の目立つ位置に警告銘板を取り付け,運転中みだりに燃焼室への扉を開

けないよう,及びガーベジを過投入しないよう警告しなければならない。 

4.5 

焼却装置には,ユニット上の目立つ位置に指導銘板を取り付け,次の内容を明確に示さなければな

らない。 

4.5.1 

焼却装置起動前の,灰やスラグの燃焼室からの除去と燃焼空気用開口部の清掃(当てはまる部分に

ついて)。 

4.5.2 

運転要領と取扱い説明 これには起動要領,通常停止要領,非常遮断要領及びガーベジ投入要領を

含まなければならない(当てはまる部分について)。 

4.6 

ダイオキシンの形成を防ぐため,燃焼ガスは焼却装置の直後で350 ℃以下に急冷しなければならな

い。 

5. 運転の制御 

5.1 

焼却装置の近傍に設置した単一の断路器によって,焼却装置全体をすべての電源から遮断できるよ

うにしなければならない(3.14.2.1参照)。 

5.2 

装備機器へのすべての電源を遮断する非常停止スイッチを,区画の外に設けなければならない。非

常停止スイッチは,燃料ポンプへのすべての電源も遮断することができなければならない。排ガス用排風

機を備える焼却装置については,排風機は焼却装置に取り付けられた他の機器とは独立に再起動可能とし

なければならない。 

5.3 

制御機器は,次に示す機器に機能不全が生じた場合,運転の継続を阻止し,燃料の供給を遮断する

よう設計しなければならない。 

5.3.1 

安全用温度スイッチと通風不全 

5.3.1.1 

排ガス温度制御器を一つ設け,センサを一つ排ガスダクト内に設置して,排ガス温度が当該設計

に関して製造業者が設定した温度を超えた場合に,バーナへの燃料遮断を行うようにしなければならない。 

5.3.1.2 

燃焼室温度制御器を一つ設け,センサを一つ燃焼室内に設置して,燃焼室温度が最高制限温度を

超えた場合に,バーナへの燃料遮断を行うようにしなければならない。 

5.3.1.3 

燃焼室内の通風及び負圧を監視するため,負圧スイッチを一つ設けなければならない。この負圧

スイッチの目的は,運転中焼却装置内に十分な通風及び負圧があるのを確認することである。負圧が大気

圧まで上昇する前に,バーナのプログラム・リレー回路を断とし,警報を発生させなければならない。 

10 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3.2 

火炎喪失と燃料油圧 

5.3.2.1 

焼却装置には,火炎検知素子及び関連機器から成る火炎保安制御装置を設け,点火失敗及び燃焼

中の火炎喪失が生じた場合に,ユニットへの燃料を遮断させなければならない。火炎保安制御装置は,構

成要素のいずれかが機能不全に陥った場合に,保護遮断が行われるように設計しなければならない。 

5.3.2.2 

火炎保安制御装置は,火炎喪失後4秒以内に燃料弁を閉止することができなければならない。 

5.3.2.3 

火炎保安制御機能は,燃料を供給して火炎形成するため,10秒以内の点火試行期間を設けなけれ

ばならない。10秒以内に火炎が形成されない場合,バーナへの燃料供給を直ちに自動的に遮断しなければ

ならない。 

5.3.2.4 

火炎保安制御機能が点火失敗,火炎喪失又は構成要素の機能不全のいずれかで作動した場合,1

回に限り自動再起動をさせてよい。これが成功しなかった場合には,火炎保安制御装置を手動でリセット

しなければ再起動できないようにしなければならない。 

5.3.2.5 

スタック・スイッチやオープン・バイメタルら(螺)旋で働くパイロスタットのようなサーモス

タット形式の火炎保安制御装置を用いてはならない。 

5.3.2.6 

燃料油の圧力が製造業者の設定する値より下がった場合には,プログラム・リレーを機能停止さ

せなければならない。これは,燃料として用いるスラッジ油にも適用する(燃焼過程にとって圧力が重要

な場合又はポンプがバーナに組込み式でない場合に適用する。)。 

5.3.3 

電源喪失 焼却装置の制御盤及び警報盤(遠隔警報盤を除く。)への電源が喪失した場合には,シ

ステムは遮断しなければならない。 

5.4 

燃料供給 2個の燃料遮断弁を各バーナへの燃料供給ラインに直列に設けなければならない。多重バ

ーナの場合は,燃料供給主管に1個及び各バーナ部に1個とする。2個の燃料遮断弁が同時に作動するよ

う電気接続は,並列としなければならない。 

5.5 

警報 

5.5.1 

機側警報システム又は中央警報システムへの接続用に,可聴警報用出力端子を1個設けなければな

らない。 

警報が発生した場合には,可視指示器で警報原因を表示しなければならない(指示器は,2個以上の警

報原因を兼用で表示してもよい。)。 

5.5.2 

可視指示器は,警報が保護遮断によるものの場合には,手動リセットを必要とするように設計しな

ければならない。 

5.6 

油バーナ遮断後は,燃焼箱が十分冷えるような対策を設けなければならない(これを達成するため

の一例として,排風機及びエジェクタの運転を継続させるよう設計する。この方法は,手動非常停止の場

合には適用しない。)。 

6. その他の要求事項 

6.1 

書類 図面,回路図,予備品表などを具備する完全な取扱い/保守説明書を焼却装置ごとに支給し

なければならない。 

6.2 

据付け すべての装置及び構成要素は,船舶に据え付けた状態で,船舶の直立状態及び15度までの

横傾斜状態並びに22.5度までのローリング及び7.5度までのピッチングが並存する状態において使用する

ことができるものでなければならない。 

6.3 

焼却装置 

11 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3.1 

焼却装置には,安全な点火と完全な燃焼を確実なものとするのに十分なエネルギー源を装備しなけ

ればならない。燃焼は,ガス及び煙の周辺への漏出を防ぐことを確実なものとするのに十分な負圧の燃焼

室内で行わなければならない(5.3.1.3参照)。 

6.3.2 

各バーナの下方及び点検が必要なポンプ,こし器などの下方には,油滴受けを取り付けなければな

らない。 

7. 試験 

7.1 

原型試験 同一設計ごとの原型に対して作動試験を行い,すべての試験の結果を示す完全な試験報

告書を作成しなければならない。すべての制御機器が適切に設置されており,制御器及び安全装置を含む

焼却装置のすべての部分が満足できる作動状態にあることが確認されるよう試験を行わなければならない。

試験は,7.3に記す項目を含まなければならない。 

7.2 

工場試験 組立が完了している場合には,すべての制御機器が適切に設置されており,制御機器及

び安全装置を含む焼却装置のすべての部分が満足できる作動状態にあることを確認できよう,各ユニット

ごとに作動試験を行わなければならない。試験は,7.3に記す項目を含まなければならない。 

7.3 

据付け後試験 すべての制御用部品が適切に据え付けられており,制御機器及び安全装置を含む焼

却装置のすべての部分が満足できる作動状態にあることを確認できるよう,船舶への据付け後に作動試験

を行わなければならない。 

7.3.1 

火炎保安 火炎喪失及び点火失敗を起こさせて,火炎保安システムの作動を確認しなければならな

い。可聴警報(あてはまる場合)及び可視指示器の作動を確認しなければならない。遮断に要する時間を

確認しなければならない。 

7.3.2 

リミット制御器 リミット制御器の作動による遮断を確認しなければならない。 

7.3.2.1 

油圧リミット制御 燃料油の圧力が安全燃焼に必要な値より下がった場合,保護遮断が作動しな

ければならない。 

7.3.2.2 

その他のインタロック その他のインタロックについては,焼却装置の製造業者が定める適正な

作動に関して試験を行わなければならない。 

7.3.3 

燃焼制御器 燃焼制御器は,安定,かつ,円滑な作動をしなければならない。 

7.3.4 

プログラム制御器 プログラム制御器が意図したとおりに焼却装置を制御することを確認しなけ

ればならない。プリ・パージ,点火,ポスト・パージ及び調節が適正に行われることを確認しなければな

らない。ストップ・ウオッチを用いて間隔を確認しなければならない。 

7.3.5 

燃料供給制御 2個の燃料遮断弁が,すべての運転条件及び遮断に関し,満足に作動しなければな

らないことを確認しなければならない。 

7.3.6 

低電圧試験 低電圧試験を実施し,電圧低下で焼却装置の機能不良が起こる前に,バーナへの燃料

供給が自動閉止することを実証しなければならない。 

7.3.7 

スイッチ すべてのスイッチが適正に作動することを確認しなければならない。 

8. 証明 

8.1 

焼却装置がこの規格に従って組み立てられたことを示す製造業者証明を用意しなければならない

(書状,証明書又は取扱説明書内記載のいずれかによる。)。 

9. 表示 

12 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.1 

各焼却装置は,次の事項を恒久的な方法で表示しなければならない。 

9.1.1 

製造業者名又は商標 

9.1.2 

焼却装置の様式,形式,型番又は製造業者による呼称 

9.1.3 

容量−焼却装置の正味設計発熱量を熱単位/時間単位で表示しなければならない。例えば,kW,

MJ/h。 

10. 品質保証 

10.1 焼却装置は,この規格の要求に適合していることを確実なものとする方法によって,設計,製造及

び試験を行わなければならない。 

13 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A1. −容量1 160 kW以下の船用焼却装置の排出基準 

用意すべき最低限の情報 

A1.1 船用焼却装置1基ごとにIMO型式承認証明書が要求される。証明書を取得するためには,焼却装置

はIMO承認規格に合わせて設計・製造しなければならない。各型式について,工場又は承認された試験

設備において,主管庁の責任の下で所定の型式承認試験を行わなければならない。 

参考:IMOは,国際海事機関 (International Maritime Organization) の略称である。 

A1.2 型式承認試験は,次の事項の測定を含まなければならない。 

最大容量 

:kW 

  kg/h(特定の廃物について) 

  kg/h(バーナ1本当たり) 

パイロット燃料消費量 

:kg/h(バーナ1本当たり) 

燃焼室又は燃焼域内のO2平均濃度 

:% 

燃焼ガスのCO平均量 

:mg/MJ 

すす平均濃度数 

:バカラック数又はリンゲルマン数 

燃焼室燃焼ガス出口平均温度 

:℃ 

灰中の未燃分の量 

:質量% 

A1.3 試験運転時間 

スラッジ油燃焼 

:6−8時間 

固状廃物燃焼 

:6−8時間 

A1.4 型式承認試験の燃料/廃物の仕様(質量%) 

スラッジ油組成 

:重油からのスラッジ油 75 % 

 潤滑油の廃油      5 % 

 乳濁水分       20 % 

固状廃物(クラス2)の組成 

:食物廃物       50 % 

 乾燥ごみ       50 % 

 乾燥ごみの内訳   紙      約30 % 

           ボール紙   約40 % 

            布      約10 % 

            プラスチック 約20 % 

上記の混合物は,水分50 %以下,不燃固体7 %以下となる。 

廃物のクラス 

引用:アメリカ焼却装置協会 (Incinerator Institute of America) による廃物の等級 

クラス0 無水ごみ 紙,ボール紙,木箱,可燃性の床ごみなどの非常に燃えやすい廃物の混合物。その

うち,紙,プラスチック袋,コーティング紙,ラミネート紙,段ボール,油布,プラスチック片及びゴム

片は質量で10 %以下。 

このタイプの廃物は,10 %以下の水分と5 %以下の不燃固体とを含み,燃焼時の発熱量は約19 700 kJ/kg

である。 

クラス1 乾燥ごみ 紙,カートン紙,木くず,植物の葉,可燃性の床ごみなどの可燃性の廃物の混合物。

調理室及びカフェテリアからの廃物は質量で20 %以下で,紙,プラスチック廃物,ゴム廃物は,ほとんど

含まない。このタイプの廃物は,25 %の水分と10 %の不燃固体とを含み,燃焼時の発熱量は約15 100 kJ/kg

14 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

である。 

クラス2 多湿ごみ 乾燥ごみとガーベジとの質量でほぼ等量の混合物。このタイプの廃物は,旅客船の

客室に特有のもので,50 %以下の水分及び7 %以下の不燃固体とを含み,燃焼時の発熱量は約10 000 kJ/kg

である。 

クラス3 ガーベジ 食堂,カフェテリア,調理室,病室及びこれらに類する設備からの,動物及び野菜

の廃物で構成される。このタイプの廃物は,70 %以下の水分及び5 %以下の不燃固体とを含み,燃焼時の

発熱量範囲は約2 300 kJ/kgである。 

クラス4 水中生物と動物の遺骸 動物を貨物として運搬する船舶からの死骸,内臓及び固体有機廃物か

ら成り,85 %以下の水分及び5 %以下の不燃固体とを含み,燃焼時の発熱量範囲は約2 300 kJ/kgである。 

クラス5 副産廃物 船内作業によって生じる液状又は半液状の廃物で,タール,塗料,溶剤,スラッジ,

油,廃油など。発熱量は,処理される個々の物質により決定しなければならない。 

クラス6 固状副産廃物 工業生産活動によって生じる廃物で,ゴム,プラスチック,木材などの廃物。

発熱量は処理される個々の物質によって決定しなければならない。 

熱量 

野菜及び腐敗しやすい物 

紙 

布きれ 

プラスチック 

油性スラッジ 

汚物スラッジ 

 5 700 kJ/kg 

14 300 kJ/kg 

15 500 kJ/kg 

36 000 kJ/kg 

36 000 kJ/kg 

3 000 kJ/kg 

密度 

紙(ばら) 

多湿ごみ(水分75 %) 

乾燥ごみ 

木片 

おが屑 

 50 kg/m3 

720 kg/m3 

110 kg/m3 

190 kg/m3 

220 kg/m3 

船内で生じる一般の廃物の密度は,押し固めない状態で約130 kg/m3である。 

A1.5 型式承認試験で確認すべき要求排出基準 

燃焼室内のO2平均濃度 

燃焼ガスのCO平均量 

すす平均濃度数 

:6−12 % 

:200 mg/MJ以下 

:バカラック数3以下又はリンゲルマン数1以下 

 (起動時などごく短い時間に限り,高いすす濃度でも差し支えない。) 

残灰中の未燃分 

:10質量%以下 

燃焼室燃焼ガス出口温度 

:900−1 200 ℃ 

実際の燃焼室/燃焼域を高温にすることは,プラスチック,他の合成材料の焼却を含め,ダイオキシン,

揮発性有機化合物 (VOC) 及びもろもろの排出物を最小限に抑えながら完全で無煙の焼却を達成するため

の絶対条件である。 

A1.6 燃料に関連した排出 

15 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A1.6.1 焼却技術が適切であっても,焼却装置からの排出物は被焼却物のタイプに依存する。例えば,船舶

が高硫黄燃料を補給した場合,分離器からのスラッジ油は焼却装置で燃やされるとSOxの排出につながる。

ただし,焼却装置からのSOx放出量は,主機や補機からの排ガス中のSOx排出量の1 %未満にしかならな

い。 

A1.6.2 主要有機成分 (POC) は連続的な計測ができない。特に,POC,塩化水素,廃物分解効率を連続的

に遠隔で計測できる計測機器は現在存在しない。このような計測は,採取試料を実験室に送って分析する

方法 (grab sample approach) しかない。有機物(破壊されていない廃物)の場合,実験室での作業は完了ま

でにかなりの時間を要する。 

したがって,連続的な排出制御は二次的な計測方法で確かめるしかない。 

A1.6.3 船内操作と排出制御 IMO型式承認付き船用焼却装置に関しては,排出の制御及び監視を次の事

項に限定しなければならない。 

.1 燃焼室内O2濃度の制御及び監視(スポット・チェックだけ) 

.2 燃焼室燃焼ガス出口温度の制御及び監視 

焼却過程の連続(自動)制御によって,上記2項目が制限値内に確実に保たれるようにしなければなら

ない。この運転形態によって,粉粒と残灰の中に有機物が痕跡しか含まれないようにすることができる。 

A1.7 合計容量が1 160 kWを超える焼却設備を備えた旅客船 

A1.7.1 この種の船舶においては,次のような状況が生じる可能性は高い。 

.1 プラスチックや合成物質の含有率が高い可燃性廃物の大量発生 

.2 長期連続運転される高容量の焼却プラント 

.3 この種の船舶は,環境変化に鋭敏な沿海区域を航行することが多い。 

A1.7.2 そのような高容量プラントからの燃料関連の排出にかんがみ,排ガス海水スクラバの設置が検討さ

れなければならない。この設置によって排ガスを効率よく洗浄し,塩化水素,SOx及び粉粒物の含有率を

最少化することができる。 

A1.7.3 窒素酸化物 (NOx) の規制は,船舶全体としての汚染,すなわち,主機,補機及びボイラなどから

の汚染に対する将来の規則との関連においてだけ検討されなければならない。 

A2. −焼却装置と廃物貯留区域の防火要求事項 

船舶の構造,配置及び防熱を考える場合,焼却装置の設置区域はA類機関区域(SOLAS第II-2章第3

規則19),廃物貯留区域は業務区域(SOLAS第II-2章第3規則12)の扱いとしなければならない。これら

の区域の火災の危険を最小とするため,SOLAS第II-2章を適用しなければならない。 

参考:SOLASは,海上人命安全条約 (International Convention for Safety of Life at Sea) の略称である。 

A2.1 36人を超える旅客を運送する旅客船 

.1 焼却装置の設置区域,焼却装置設置と廃物貯留の兼用区域及びそれらの区域からの排ガス煙路

には,第26規則2.2(12)を適用しなければならない。 

.2 廃物貯留区域とそれにつながるガーベジ・シュートには,第26規則2.2(13)を適用しなければ

ならない。 

A2.2 その他の船舶(36人以下の旅客を運送する旅客船を含む。) 

.1 焼却装置の設置区域,焼却装置設置と廃物貯留の兼用区域及びそれらの区域からの排ガス煙路

には,第44規則2.2(6)を適用しなければならない。 

.2 廃物貯留区域とそれにつながるガーベジ・シュートには,第44規則2.2(9)を適用しなければな

background image

16 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

らない。 

A2.3 暴露甲板(第II-2章第3規則17)上の焼却装置設置区域及び廃物貯留区域は,上記要求に適合する

必要はないが,下記に位置しなければならない。 

.1 可能な限り船尾側で, 

.2 居住区域,業務区域及び制御場所への出入口,空気取り入れ口及び開口から3 m以上離れてお

り, 

.3 危険区域又は危険区域の換気出口から水平距離で5 m以上離れた位置。 

.4 焼却装置と廃物貯留区域との間は,防火障壁構造で物理的に隔てられていない場合には,2m

以上隔てなければならない。 

A2.4 焼却装置の設置された閉囲区域内,焼却装置設置/廃物貯留の兼用区域内及び廃物貯留区域内には,

次の表に従って固定式火災検知/消火システムを設置しなければならない。 

自動スプリンクラシステム 

固定式消化システム 

固定式火災検知システム 

焼却装置設置/廃物貯留の兼用区域 

○ 

− 

− 

焼却装置の設置区域 

− 

○ 

○ 

廃物貯留区域 

○ 

− 

− 

A2.5 焼却装置又は廃物貯留区域が暴露甲板上に位置する場合には,その場所は二つの消火手段が使えな

ければならない。二つの消火手段とは,消火ホース,半可搬消火器,モニター又はこれらの消火器具のう

ちのいずか二つの組合せのいずれでもよい。固定消火システムも消火手段として認められる。 

A2.6 排ガス煙路は連続する煙突又はトランクによって適切な端末位置まで独立に導かなければならない。 

A3. −排熱回収装置を組み込んだ焼却装置 

A3.1 排ガスが排熱回収装置を通る焼却装置については,排ガスシステムはエコノマイザ管が空だ(焚)

き状態になっても焼却装置の運転が継続できるように設計しなければならない。必要な場合は,バイパス・

ダンパを設けてもよい。 

A3.2 焼却ユニットには,給水減少に対する可視警報及び可聴警報を装備しなければならない。 

A3.3 熱回収装置のガス側は,適切な清掃用機器を備えなければならない。外部伝熱面は,適切な点検の

ために人が近づけるようにしなければならない。 

A4. −排ガス温度 

A4.1 焼却装置の形式を決定するに当たっては,排ガス温度に関して考慮を払わなければならない。排ガ

ス温度は,煙道の構成材料選定の決定要因となる。排ガス温度が430 ℃を超える場合には,煙道の製作に

特殊高温用材料を使うことが要求されることもある。 

background image

17 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

容量1 160 kW以下の船用焼却装置のIMO型式承認証明書の様式 

18 

F 7011 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

秋 本 義 紀 

住友重機械工業株式会社船舶艦艇鉄構事業本部 

(委員) 

堀 田 孝 幸 

財団法人日本海事協会 

松 岡 弘 憲 

日本郵船株式会社工務グループ 

杉 山 知 徳 

石川島播磨重工業株式会社船舶海洋事業本部 

三 島 慎次郎 

NKK総合エンジニアリング事業部船舶・海洋本部 

稲 富 正 晴 

日立造船株式会社船舶・防衛事業本部 

伊 藤 政 美 

三井造船株式会社千葉事業所船舶・艦艇事業部 

鈴 木 博 己 

三菱重工業株式会社神戸造船所船舶・海洋部 

高 階 経 雄 

株式会社五光製作所目黒工場 

富 久 叡 一 

株式会社サンフレム設計課 

岡 井 一 博 

ボルカノ株式会社燃焼機事業部 

稲 井 俊 二 

三浦工業株式会社舶用事業部 

杉 田 英 二 

株式会社アイ・イー・エム 

鹿 股 信 幸 

運輸省海上技術安全局 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

久 保 明 博 

財団法人日本船舶標準協会