サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

F 7008 : 2001  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶

標準協会 (JMSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS F 7008 : 1996は改正され,この規格に置き換えられる。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 7008 : 2001 

管系保温−防熱基準 

Standard specification of thermal insulation for piping 

1. 適用範囲 この規格は,一般管,ヒートトレース管及びタンクの保温,船舶機関室内の排ガス管及び

煙路の防熱並びに通風ダクトの防露に関する設計基準及び施工基準について規定する。 

備考1. 一般管とは,蒸気管,潤滑油管,燃料油管,熱媒油管,給水管及び温水管をいう。 

2. 排ガス及び煙路については,煙突内も含める。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 9504 人造鉱物繊維保温材 

JIS G 3302 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 

JIS G 3313 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 

JIS R 3414 ガラスクロス 

3. 設計基準 

3.1 

施工範囲 保温及び防熱は,内部流体の温度が60℃以上の管系に施工し,防露は露の滴下によって

害を及ぼす箇所に施工する。ただし,冷却清水管は除く。 

3.2 

温度条件 保温材厚さは,機関室温度が35℃のとき,保温材表面温度を55℃を条件として設計する。 

3.3 

保温材の厚さの計算式 保温材の厚さは,次の式による。 

1

0

1

1

1

)

(

1

1

2

)

(

2

d

d

d

n

d

Q

r

s

r

o

=

+

=

α

θ

θ

π

λ

α

θ

θ

π

 ············································ 基本式 

=

r

s

s

o

d

d

n

d

θ

θ

θ

θ

α

λ

2

1

0

1

1

 ····················································· 応用式1 

r

s

s

o

d

d

n

d

θ

θ

θ

θ

α

λ

2

1

0

1

1

 ··················································· 応用式2 

ここに, 

Q: 通過熱量 (W/m) 

d0: 保温材内径 (m) 

d1: 保温材外径 (m) 

λ: 保温材熱伝導率 (W/mK) 

α: 表面の熱伝導率 (W/m2K) 

θo: 内部温度 (℃) 

θr: 外部(室内)温度 (℃) 

ln: 自然対数 

θs: 保温材表面温度 (℃)  

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考1. 基本式の左辺は,管内から管表面に伝達する熱量を示し,右辺は,機関室と保温材との熱伝

達による放散熱量を示す。 

2. 応用式1は,基本式を変形させたものである。 

3. 保温材の厚さは,応用式2の左辺の値(管の外径別,保温材の厚さ別)を求め,次に右辺の

値を求めてから左辺と右辺の値を比較し,左辺値>右辺値で,かつ,左辺値≒右辺値となる

左辺値(近い値でよい。)から導き出す。 

4. 適用材料 

4.1 

保温材の種類 保温材の種類及びそれらの適用材料は,表1による。 

表1 保温材の種類 

保温材の種類 

適用材料 

ロックウール保温板 

JIS A 9504のロックウール 

ロックウール保温筒 
グラスウール保温板 

JIS A 9504のグラスウール 

グラスウール保温筒 

備考 保温材は,通常ロックウール又はグラスウールを

用いて製造するが,これらと同等以上の保温効果
があると認められる材料を使用してもよい。 

なお,石綿材は使用してはならない。 

4.2 

外皮材の種類 外皮材の種類及びそれらの適用材料は,表2による。 

表2 外皮材の種類 

外皮材の種類 

適用材料 

亜鉛めっき鋼板 

JIS G 3302の溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯又は
JIS G 3313の電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 

ガラスクロス 

JIS R 3414のガラスクロス 

アルミニウムはく付
きガラスクロス 

− 

綿帆布 

− 

備考 外皮材は,通常上記のものとするが,これらと同等以上の効果が

あると認められる材料を使用してもよい。 

5. 施工基準 

5.1 

用途別施工基準 施工基準は,通常用途別とし,次による。 

なお,各保温材の厚さは,表4,表5,表7,表8,表9及び表10によることが望ましい。 

a) 排ガス管及び煙路の防熱 排ガス管及び煙路の防熱に関する施工箇所及び適用材料は表3のとおりと

し,施工の一例を図1に示す。 

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3 排ガス管及び煙路の防熱に関する施工箇所及び適用材料 

施工箇所 

適用材料 

保温材 

外皮材 

管 

煙突甲板まで 

ロックウール保温板 
ロックウール保温筒 

亜鉛めっき鋼板又はアルミニウムはく
付きガラスクロス 

煙突内 
(煙突甲板上2mまで) 

ガラスクロス 

フランジ
継手 

ロックウール保温板 アルミニウムはく付きガラスクロス又

はガラスクロス 

備考1. 保温材は,脱落しないように固縛する。 

2. きっ甲金網は,必ずしも使用しなくてもよい。 
3. 煙突甲板上2m以上の煙突内は,防熱しない。 
4. アルミニウムはく付きガラスクロスについては,燃料油などの含浸及び火災の危険性

がない場合には,アルミニウムはくの付いていないものを使用してもよい。 

図1 排ガス管及び煙路の防熱の施工例 

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表4 機関室内の排ガス管及び煙路の保温材の厚さ 

単位 mm 

呼び径 

内部流体温度 

250℃以下 

250℃を超え
300℃以下 

300℃を超え
350℃以下 

350℃を超え
400℃以下 

400℃を超え
450℃以下 

450℃を超え
500℃以下 

100以下 

50 

(40) 

50 (40) 

65 

(40) 

75 (50) 

90 

(50) 

100 (50) 

100を超え 

200以下 

65 

(40) 

90 

(50) 

115 

(50) 

200を超え 

300以下 

75 

(40) 

100 

(50) 

300を超え 

400以下 

400を超え 

500以下 

115 

(50) 

125 

(50) 

500を超え 

600以下 

600を超え 

700以下 

700を超え 

800以下 

800を超え 

1 500以下 

100 (50) 

140 (50) 

備考1. 括弧内は,フランジ継手の保温材の厚さを示す。 

2. 保温材厚さは,ロックウールを使用した場合を基準として算定してあるので,その他の保温材を使用す

る場合は3.3の計算式によって算定する。 

表5 煙突内の排ガス管及び煙路の保温材の厚さ 

単位 mm 

呼び径 

内部流体温度 

250℃以下 

250℃を超え
300℃以下 

300℃を超え
350℃以下 

350℃を超え
400℃以下 

400℃を超え
450℃以下 

450℃を超え
500℃以下 

100以下 

40 

(40) 

40 (40) 

50 

(40) 

65 (40) 

75 

(40) 

90 (40) 

100を超え 
 

200以下 

50 

(40) 

75 

(40) 

100 

(40) 

200を超え 
 

300以下 

65 

(40) 

90 

(40) 

300を超え  400以下 

400を超え  500以下 

100 

(40) 

115 

(40) 

500を超え  600以下 
600を超え  700以下 
700を超え  800以下 

800を超え 1 500以下 

90 (40) 

125 (40) 

備考1. 括弧内は,フランジ継手の保温材の厚さを示す。 

2. 保温材厚さは,ロックウールを使用した場合を基準として算定してあるので,その他の保温材を使用す

る場合は3.3の計算式によって算定する。 

b) 一般管の保温 一般管に関する施工箇所及び適用材料は,表6のとおりとし,施工の一例を図2に示

す。また,保温材の厚さは表7によることが望ましい。 

表6 一般管に関する施工箇所及び適用材料 

施工箇所 

適用材料 

保温材 

外皮材 

管 

グラスウール保温板又は
グラスウール保温筒 

ガラスクロス 

フランジ継手 

グラスウール保温板 

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2 一般管の保温の施工例 

表7 一般管の保温材の厚さ 

単位mm 

呼び径 

内部流体温度 

115℃以下 

115℃を超え
185℃以下 

185℃を超え
205℃以下 

205℃を超え
250℃以下 

250℃を超え
300℃以下 

10以下 

10 

(10) 

10 (10) 

10 (10) 

10 (10) 

10 (10) 

10を超え 

20以下 

20 

(20) 

20 (20) 

25 (25) 

40 

(40) 

20を超え 

50以下 

25 

(25) 

30 (25) 

50を超え 

80以下 

40 

(40) 

50 

(40)  

80を超え 100以下 

25 

(25) 

30 

(25) 

100を超え 150以下 

150を超え 200以下 

25 

(25) 

200を超え 250以下 

40 

(25) 

250を超え 300以下 

65 (50) 

備考1. 括弧内は,フランジ継手の保温材の厚さを示す。 

2. 保温材の厚さは,グラスウールを使用した場合を基準として参考に作成してあるので,

その他の保温材を使用する場合は,3.3の計算式によって算出する。 

c) ヒートトレース管の保温 一般管においてヒートトレースを必要とする管に関する施工箇所及び適用

材料は,表8のとおりとし,施工の一例を図3に示す。 

なお,保温材の厚さは,ヒートトレース管の口径及び温度に従い,表7の値によってもよい。 

表8 一般管においてヒートトレースを必要とする管に関する施工箇所及び適用材料 

単位mm 

施工箇所 

適用材料 

参考 

保温材 

外皮材 

保温材の厚さ 

管 

グラスウール保温板又は 
グラスウール保温筒 

ガラスクロス 

25 

フランジ継手 

グラスウール保温板 

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図3 ヒートトレース管の保温の施工例 

d) 通風ダクトの防露 冷房用の通風ダクトで,保温及び防露が必要な部分の施工箇所及び適用材料は,

表9のとおりとし,施工の一例を図4に示す。 

表9 冷房用の通風ダクトで,保温及び防露が必要な部分の施工箇所及び適用材料 

単位mm 

施工箇所 

適用材料 

参考 

保温材 

外皮材 

保温材の厚さ 

冷房用通風ダクト 

アルミニウムはく付きグラス
ウール保温板 

なし 

25 

グラスウール保温板 

ガラスクロス又は綿帆布 

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図4 通風ダクトの防露の施工例 

e) タンクの保温 保温を必要とするタンクの適用材料は,表10のとおりとし,施工の一例を図5に示す。 

表10 保温を必要とするタンクの適用材料 

単位mm 

施工箇所 

適用材料 

参考 

保温材 

外皮材 

保温材の厚さ 

タンク 

グラスウール保温板 

亜鉛めっき鋼板 

25 

アルミニウムはく付き
グラスウール保温板 

なし 

background image

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図5 タンクの保温の施工例 

5.2 

防露対策 海水管及び冷却水管などで,露の滴下によって電気機器などに支障をきたすおそれがあ

る部分には,ガラスクロス又は綿帆布などで防露対策を施す。 

5.3 

塗装 水滴などから保温材を保護するために,必要に応じて保温材に表面塗装を施す。ただし,亜

鉛めっき鋼板を外皮材として用いている部分及びアルミニウムはく付き保温材の部分は除く。 

5.4 

人体保護のための防熱 ドレントラップ出口及び安全弁出口ラインなどで,常時人が触れ人体に危

害を及ぼすおそれがある場所には,ガラスクロス,綿帆布などで防熱を施す。 

F 7008 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

関連規格 JIS A 9501 保温保冷工事施工標準 

機関部会 機関ぎ装専門分科会 構成表 

氏名 

所属 

(専門分科会長) 

秋 本 義 紀 

住友重機械工業株式会社 

(委員) 

中 村 順 造 

財団法人日本海事協会 

岩 野 淳 一 

日本郵船株式会社 

岡 庭 壮重郎 

石川島播磨重工業株式会社 

花 崎   襄 

川崎重工業株式会社 

大 島 伸 治 

日本鋼管株式会社 

熊 谷   猛 

日立造船株式会社 

伊 藤 政 美 

三井造船株式会社 

野 津 康 生 

三菱重工業株式会社 

(事務局) 

仁 平 一 幸 

財団法人日本船舶標準協会