日本工業規格
JIS
F
7002-
1992
船用機関回転計
Ships
−Tachometer for engine
1.
適用範囲 この規格は,船の機関に使用する回転積算計及び回転速度計(以下,回転計という。)の種
類及びその装備について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7537
すえ付形遠心式回転速度計
JIS F 8520
船用無接触式プロペラ軸回転計
JIS F 8521
船用電気式プロペラ軸回転計
2.
用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,次のとおりとする。
(1)
呼び径(回転計の大きさ) 遠心式及び電磁式回転速度計では,目盛板の可視直径を mm 単位で表し
たもの。
(2)
入口軸 回転計に直結の回転伝達軸。
備考 たわみ軸装備のものでは,たわみ軸の原動機と結合される回転伝達軸を入口軸とし,ベルト掛
けのものでは,回転計のプーリ取付軸を入口軸とする。
(3)
回転比 (R) 遠心式及び電磁式の回転速度計について,次の式によって与えられる。
入口軸回転速度
)
する目盛値(回転速度
入口軸回転速度に対応
=
R
3.
種類 回転計の種類は,次の 4 種類とする。ただし,このうち 2 種類又は 3 種類を組み合わせたもの
でもよい。
(1)
回転積算計
(2)
遠心式回転速度計
(3)
電磁式回転速度計
(4)
電気式回転速度計
4.
構造,形状及び寸法
4.1
回転積算計 回転積算計の機構は,機械的で主に機関の総回転数を積算できるもので,往復駆動式
と回転駆動式とがある。
また,回転方向指示器と組み合わせたものでもよく,その駆動方式による種類は,
表 1 により,その形
状及び寸法を,
参考図 1∼4 に示す。
2
F 7002-1992
表 1 回転積算計の駆動方式による種類
種類
けた数
支持方法
最大積算回転数
備考
往復駆動
レバー式
7
けた
据付け形
−
参考図 1 参照
たわみ軸式
参考図 2 参照
回転駆動
直結式
7
けた又は
8
けた
据付け形
毎分 300 回
参考図 3 又は 4(回転方
向指示器付き)参照
備考1. 往復駆動式は,機関回転数対レバー往復回数の比によって往復1カウント又は2カウント
とする。
2.
回転駆動式は,機関回転数対入口軸回転数の比によって積算比を設定する。
3.
回転方向指示器は,機関の回転によって計器指針が回転され,機関の回転を機械的に表
示できるもので,指針は前進時と後進時とで,その回転方向を反対にし,指針の回転速
度は機関の回転速度とするのがよい。
4.
回転方向指示器の指針回転方向の矢印及び文字の色は,前進に属するものは黒,後進に
属するものは赤とする。
4.2
遠心式回転速度計 遠心式回転速度計は,機関の瞬時回転速度(毎分回転数)を指示するもの,及
び回転方向も同時に指示することができるもので,その駆動方式による種類は
表 2 により,その形状及び
寸法を
参考図 5∼9 に示す。
表 2 遠心式回転速度計の駆動方式による種類
種類
呼び径 取付姿勢 支持方法 目盛板の最大
目盛の設定方
法
最大目盛に対応する入
口軸の回転速度範囲
備考
70
100
据付け形
原則として 300∼4 800rpm
の間に定める
参考図 5 参照
直結式
150
原則として 250∼4 000rpm
の間に定める。
参考図 6 参照
回転方向指示器及び回転
積算計付き
70
90
100
120
計器板取
付け形
原則として 300∼1 800rpm
の間に定める。
参考図 7 参照
たわみ軸式
150
据付け形
原則として 250∼1 800rpm
の間に定める。
参考図 8 参照
回転方向指示器及び回転
積算計付き
ベルト式 100
立形
据付け形
定格,又は常
時 使 用 回 転
速度の約 1.4
倍 と し て も
よい。
原則として 400∼2 000rpm
の間に定める。
参考図 9 参照
ベルトの線速度は,毎秒
10m
を超えないのがよい。
備考 回転方向指示器の仕様は,表 1 の備考 3.及び備考 4.による。
4.3
電磁式回転速度計 電磁式回転速度計は,機関の瞬時回転速度(毎分回転数)を指示するもの,及
び回転方向を同時に指示することができるもので,駆動方式による種類は
表 3 により,その形状及び寸法
を,
参考図 10∼14 に示す。
3
F 7002-1992
表 3 電磁式回転速度計の駆動方式による種類
種類
呼び径 取付姿勢 支持方法 目盛板の最大
目盛の設定方
法
最大目盛に対応する
入口軸の回転速度範
囲
備考
90
150
立形
参考図 10 参照
回転積算計付き
吊形
直結式
200
立形
原則として 150∼
2 400rpm
の間に定め
る。
参考図 11 又は 12 参照
回転積算計付き
たわみ軸式 150
立形
据付け形 定格,又は常時
使用回転速度
の約 1.4 倍と
し,前進及び後
進とも同じと
してもよい。
原則として 150∼
1 800rpm
の間に定め
る。
参考図 13 又は 14(回転積
算計付き)参照
備考 一方回転機関に使用する場合には,前進及び後進の表示をせず,一方回転目盛とする。
4.4
電気式回転速度計 電気式回転速度計は,機関の瞬時回転速度(毎分回転数)を指示するもの,及
び回転方向を同時に指示することができるもので,駆動方式による発信器の種類は
表 4 により,その形状
及び寸法を
参考図 15∼23 に示す。
また,受信器の種類形式,形状及び寸法は,JIS F 8521 の規定による。
表 4 電気式回転速度計の駆動方式による種類
種類
検出方式
支持方法
備考
ねじ込固定形
一方回転指示用,
参考図 15 参照
無接触式
周波数
据付け形
前進及び後進指示用,
参考図 16 参照
周波数
袋ナット固定形
据付け形
交流電圧
フランジ取付け形
一方回転指示用,
参考図 17∼20 参照
据付け形
直結式
直流電圧
フランジ取付け形
前進及び後進指示用,
参考図 21 及び 22
参照
たわみ軸式
交流電圧
据付け形
一方回転指示用,
参考図 23 参照
備考 無接触式の前進及び後進指示用発信器及び受信器については,JIS F 8520 の規定に
よる。
5.
性能
5.1
回転積算計の積算精度は,次による。
(1)
往復駆動回転積算計では,規定角度で最高往復速度を含む種々の往復速度で 5 000 回レバーを往復さ
せたとき,回転積算計の表示は 5 000±1 であること。
(2)
回転駆動回転積算計では,最高回転速度を含む種々の回転速度で前進及び後進方向に 5 000 回回転さ
せたとき,回転積算計の表示は 5 000±1 であること。
5.2
遠心式及び電磁式回転速度計の性能は,次による。
(1)
指示精度 これらの回転速度計の指示値の許容差は最大目盛値の±1%とし,指針の振れは最大目盛値
の 1%以内とする。ただし,前進及び後進を指示する回転速度計では,指示値の許容差は前進最大目
盛値と後進最大目盛値との和の±1%とし,指針の振れは前進最大目盛値と後進最大目盛値との和の
1%
以内とする。
(2)
耐振性 耐振性は,次による。
(a)
共振 回転速度計に振動数 5∼16.7Hz,複振幅 0.75mm の振動を 3 軸方向(上下,左右,前後)に加
え,有害な共振点がないこと。
(b)
定振動 (a)において共振が認められる軸方向については,もっとも有害とみられる共振振動数で複
4
F 7002-1992
振幅 0.75mm の振動を 15 分間,また,共振が認められない軸方向については,振動数 16.7Hz で複
振幅 2mm の振動を 30 分間加えた後,(1)の性能を満足すること。
(3)
耐久性 回転速度計は,最大目盛値の回転速度で連続 10 時間運転したとき,(1)の性能を満足するこ
と。
5.3
電気式回転速度計の性能は,JIS F 8521 の 3.(性能)の規定を満足しなければならない。
6.
検査
6.1
回転積算計の積算精度検査は,5.1(1)又は(2)の規定によって行われ,これに適合しなければならない。
6.2
遠心式及び電磁式回転速度計の性能検査は,JIS B 7537 の 7.4(性能検査)の規定による。
6.3
電気式回転速度計の性能検査は,JIS F 8521 の 7.3(釣合い検査)
,7.4(摩擦検査)
,7.5(指示精度検
査)
,7.6(制動検査)
,7.7(零位検査)
,7.15(絶縁抵抗検査)及び 7.16(耐電圧検査)の規定による。
7.
装備 回転計の装備は,表 5 から必要なものを選定するが,取付方法については,図を参考として設
定する。
表 5 回転計の装備
機械別
種類
参考図
蒸気タービン主機
回転駆動式回転積算計(回転方向指示器付き)
4
遠心式回転速度計(回転方向指示器及び回転積算計付き)
6
電磁式回転速度計(回転積算計付直結式)
10
∼12
電磁式回転速度計(たわみ軸式)
13
電磁式回転速度計(回転積算計付たわみ軸式)
14
電気式回転速度計(周波数式)
15
∼18
電気式回転速度計(交流又は直流電圧式)
19
∼23
ディーゼル主機
往復駆動式回転積算計
1
回転駆動式回転積算計
2, 3
遠心式回転速度計(直結式)
5
遠心式回転速度計(回転積算計付直結式)
6
遠心式回転速度計(たわみ軸式)
7
遠心式回転速度計(回転方向指示器及び回転積算計付た
わみ軸式)
8
遠心式回転速度計(ベルト式)
9
電磁式回転速度計(回転積算計付直結式)
10
電磁式回転速度計(たわみ軸式)
13
電磁式回転速度計(回転積算計付たわみ軸式)
14
電気式回転速度計(周波数式)
15
∼18
電気式回転速度計(交流又は直流電圧式)
19
∼23
補機用原動機
遠心式回転速度計(直結式)
5
遠心式回転速度計(たわみ軸式)
7
遠心式回転速度計(積算計付たわみ軸式)
7
遠心式回転速度計(ベルト式)
9
電気式回転速度計(周波数式)
15
∼18
電気式回転速度計(交流電圧式)
19, 20, 23
5
F 7002-1992
参考図 1 回転積算計(往復駆動レバー式)
参考図 2 回転積算計(回転駆動たわみ軸式)
6
F 7002-1992
参考図 3 回転積算計(回転駆動直結式)
参考図 4 回転積算計(回転方向指示器付き)
備考1. 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注文のとき指示する。
2.
図 a は,入口軸にばねを介する場合を例示する。
7
F 7002-1992
参考図 5 遠心式回転速度計(直結式)
主要寸法
呼び径
A
B
C
D
E
F
d
70 70 83 72 22.5
25
75
以下
25
100 100 114 73 30 56
75
以下
25
備考 ばね接手先端形状及び E 寸法は,一例を示したもので,注文のとき指示する。
8
F 7002-1992
参考図 6 遠心式回転速度計(直結式)
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注
文のとき指示する。
9
F 7002-1992
参考図 7 遠心式回転速度計(たわみ軸式)
主要寸法
呼び径
A
B
C
D
d
取付穴数
70 70
105 94 83
4.5
又は 5.5
4
90 90
122
112
102
4.5
又は 5.5
4
100 100
135
125
114
4.5
又は 5.5
4
又は 6
120 120 170 155 135
4.5
又は 5.5
4
又は 6
備考1. 積算計を組み込むことがある。
2.
積算計の指示値は,5∼6 けたとし,用途によって次のとお
り分類する。
なお,取付寸法は,積算計なしと同一とする。
(1)
機関 1 000 回転ごとに 1 を表示する。
(2)
機関の定格回転数における時間を表示する。ただし,第 1
位は赤字とし,0.1 時間を表す。
10
F 7002-1992
参考図 8 遠心式回転速度計(たわみ軸式)
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注文のとき指示する。
11
F 7002-1992
参考図 9 遠心式回転速度計(ベルト式)
備考 ベルト車の位置は,向かって左側又は右側のいずれかを,注文のとき指示する。
12
F 7002-1992
参考図 10 電磁式回転速度計(直結式)
主要寸法
呼び径
A
B
C
D
E
90 90
102
165
216
115
150 150 170 178 243 121
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の
回転方向との関係は,注文のとき指示する。
13
F 7002-1992
参考図 11 電磁式回転速度計(直結式)
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注文のとき
指示する。
14
F 7002-1992
参考図 12 電磁式回転速度計(直結式)
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注文のとき
指示する。
15
F 7002-1992
参考図 13 電磁式回転速度計(たわみ軸式)
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注文のとき
指示する。
16
F 7002-1992
参考図 14 電磁式回転速度計(たわみ軸式)
備考 入口軸の回転方向と回転方向指示器指針の回転方向との関係は,注文のとき指
示する。
参考図 15 電気式回転速度計周波数式発信器(無接触式)
17
F 7002-1992
参考図 16 電気式回転速度計周波数式発信器(無接触式)
参考図 17 電気式回転速度計周波数式発信器(直結式)
18
F 7002-1992
参考図 18 電気式回転速度計周波数式発信器(直結式)
参考図 19 電気式回転速度計交流式発信器(直結式)
19
F 7002-1992
参考図 20 電気式回転速度計交流式発信器(直結式)
参考図 21 電気式回転速度計直流式発信器(直結式)
20
F 7002-1992
参考図 22 電気式回転速度計直流式発信器(直結式)
参考図 23 電気式回転速度計交流式発信器(たわみ軸式)