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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 4326-1995 

舟艇−推進機遠隔操作装置 

Small crafts−Propulsive remote control systems 

1. 適用範囲 この規格は,長さ24m未満,かつ,総トン数20トン未満の舟艇に搭載する推進機の前後

進及び増減速の遠隔操作装置(以下,装置という。)について,コントロール操作レバーから推進機側アー

ムまでのその装置全体及び主要構成要素について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS F 4323 舟艇−スタート‐イン‐ギヤ‐プロテクション−装備基準 

JIS F 4325 舟艇−プッシュプルコントロールケーブル 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義を,次に示す。 

(1) コントロールヘッド 推進機の増減速,前後進をコントロールする遠隔操作部。水平面上に据付ける

ように設計した遠隔操作部をトップマウント,垂直面に据付けるように設計したものをサイドマウン

トという。 

(2) コントロール操作レバー コントロールヘッドに装備された操作レバー。 

コントロール操作レバーは,次の三つに分類する。 

(a) スロットル操作レバー 推進機の増減速をコントロールするために構成された操作レバー。 

(b) シフト操作レバー 減速逆転機の前進−中立−後進を切り換える操作レバー。 

(c) シングルレバー形操作レバー(シフト・スロットル共通操作レバー) 1本のレバー操作によって,

中立から1方向の運動が,前後進切り換えから増減速コントロールへ連続的に制御でき得るように

構成された操作レバー。 

(3) シングルステーション 推進機1機に対し,コントロールヘッドが舟艇に1か所しかないもの。 

(4) マルチステーション 推進機1機に対し,コントロールヘッドが舟艇に2か所以上あるもの。 

(5) 推進機側アーム 推進機側に組み込まれ,前後進・増減速をコントロールするためのアーム。 

3. 種類 装置の種類は,構造によって分類し,図1のとおりとする。 

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F 4326-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 舟艇用推進機遠隔装置の種類 

プッシュプルコントロールケーブル式 

4. 性能 装置は,次の諸性能を備えていなければならない。 

(1) 耐腐食性 装置に含まれる部品は,外観を腐食から保護していなければならない。 

(2) 耐久性 装置全体は,圧力・振動・衝撃・動揺の諸条件に耐えられるよう設計していなければならな

い。 

(3) 推進機が2台のときの操作性 推進機が同時に操作するように取り付けられたコントロールヘッドは,

それぞれのレバーの操作角度が同じときに,前後進及び増減速のエンジン回転速度は,操船に差し支

えない程度に,左右の差を調整しなければならない。 

(4) 操作性 装置は,操作に支障をきたす時間遅れがなく,過大な操作力を必要とせず,全作動範囲にお

いて一人で容易に操作ができること。 

(5) 出力ストロークの値 推進機側アームの接合する点の装置の出力ストロークは,60〜73mmが望まし

い。 

(6) 耐荷重性 コントロールヘッドは,7.(1)による試験に満足しなければならない。 

(7) 操作レバーの強度 サイドマウントシングルレバー形操作レバーは,7.(3)による試験に満足しなけれ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ばならない。 

5. 構造及び据付け 

5.1 

コントロール操作レバーの据付け位置 コントロール操作レバーの据付け位置は,次による。 

(1) 推進機が1台のとき スロットル操作レバーとシフト操作レバーが一つのコントロールヘッドにある

場合,右レバーがスロットル操作レバーであり,左レバーがシフト操作レバーであること。 

(2) 推進機が2台のとき 

(a) 左げん推進機用操作レバーは,右げん推進機用操作レバーの左側に置く。 

(b) 2台の推進機を同時操作するよう構成された操作レバーにおいて,左右の操作レバーの長さ,操作

角度などはできるだけ同一。 

(3) ステアリングホイールとコントロール操作レバーとの間隔は,どのレバー位置に対しても63.5mm以

上確保しなければならない。 

5.2 

コントロール操作レバーの構造 コントロール操作レバーの構造は,次による。 

(1) スロットル操作レバー 

(a) レバーの前方移動は,船速を上げる。 

(b) レバーの後方移動は,船速を下げる。 

(2) シフト操作レバー 

(a) レバーの前進位置は,舟艇を前進させる。 

(b) レバーの後進位置は,舟艇を後進させる。 

(c) レバー操作時,中立感触を有する。感触の大きさは,レバー操作時に支障のない程度とし,操縦者

が中立位置を十分認識できなければならない。 

(3) シングルレバー形操作レバー 

(a) レバーを中立位置から前進位置にすると,舟艇は前進し,さらに前方方向へ動かすにしたがって船

速を上げる。 

(b) レバーを中立位置から後進位置にすると,舟艇は後進し,さらに後方方向へ動かすにしたがって船

速を上げる。 

5.3 

コントロール操作レバーの識別 スロットル操作レバーは,赤色系で塗装を施す。シフト操作レバ

ーには,赤色系塗装を施してはならない。 

また,触覚によって,スロットルレバー,シフトレバーを識別できること。 

5.4 

マルチステーションコントロールヘッドの切換えによる誤操作防止 一方のコントロールヘッドを

操作し,次に,他方のコントロールヘッドを操作しようとする切換操作によって,急激なシフトの変化,

船速の変化があってはならない。 

5.5 

装置の構成部材の据付け 構成部材は,伝達される力を考慮して,船体構造に確実に固定させなけ

ればならない。 

5.6 

操作レバーを操作しない状態において,振動などの要因によって推進機の回転速度が大きく変化し

たり,シフトの前進・中立・後進が勝手に作動してはならない。 

5.7 

装置の操作において,操作に支障をきたす,がた,ひっかかり,機械的干渉があってはならない。 

5.8 

サイドマウントシングルレバー形操作レバーは,操作レバーを中立位置に保持する機構を装備する

ことが望ましい。 

保持機構は,操作レバーが中立に戻れば自動的にか(噛)み合い,中立から操作する場合は,手動でこ

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F 4326-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

のかみ合いを外す構造であること。 

6. 材料 装置の材料は,次による。 

(1) 材料が異なる構成部材は,電食に対して考慮されていなければならない。 

(2) プラスチック及びエラストマーは,紫外線の照射,塩水環境,燃料,油及び熱による劣化に耐えられ

るものを選択しなければならない。 

(3) 装置に使用される材料は,これらの材料が通常の海上における稼働の間に接触する可能性がある液体

又は化合物,例えば,グリース,潤滑油,作動油,通常レベルのビルジの溶解物,塩水,真水などに

よる劣化に耐えるものでなければならない。 

7. 試験及び検査方法 装置の試験方法及び検査は,次による。 

(1) コントロールヘッドの荷重試験 図2で指示されたA〜G方向に,それぞれ334 Nの荷重をかけたと

き,破損又は性能を損なう永久変形があってはならない。 

図2 コントロールヘッドの荷重試験方法 

(2) 温度条件試験 7.(1)の試験を実施する前に3サイクルの温度条件試験を実施しなければならない。 

なお,1サイクルの温度条件試験は次のとおりとする。 

21℃±2℃ 

3時間 

−34℃±2℃ 

3時間 

21℃±2℃ 

3時間 

71℃±2℃ 

3時間 

(3) 中立保持機構の試験 サイドマウントシングルレバー形操作レバーの中立保持機構の保持力は,操作

レバー上いずれの方向に334Nの荷重をかけたとき,かみ合いが外れず,その後の操作に支障ないこ

と。 

8. 表示 装置には,容易に消えない方法で次の事項を表示する。 

(1) 製造業者又はその略号 

(2) 種類 

(3) 製造年月又はその略号 

9. 取扱説明書及び予備品 装置には,取扱説明書及び必要と思われる予備品を備え付けなければならな

い。取扱説明書には少なくとも次の情報を掲載しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 取付要領 

(2) 操作要領 

(3) 推奨する取付け後の確認方法 

(4) 取扱い注意事項 

(5) もしも装備されているならば故障した場合の代替手段 

(6) 保守点検 

(7) 故障の原因と処置 

(8) 取付け・取扱いに必要な図面 

10. その他の要求事項 JIS F 4323及びJIS F 4325をこの規格と合わせて適用する。 

関連規格 ABYC P-14 RECOMMENDED PRACTICES AND STANDARDS COVERING PROPULSION 

CON‐TROL SYSTEMS[ABYC (American Boat and Yacht Council Inc.) の規格] 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

栗 原 宏 一 

日産自動車株式会社 

(委員) 

三 浦 明 純 

財団法人日本海事協会 

冨士原 康 一 

日本小型船舶検査機構 

村 山 雅 己 

社団法人日本船舶品質管理協会 

森 繁   泉 

社団法人日本マリーナ・ビーチ協会 

瀧 源 一 秀 

タキゲン製造株式会社 

中 村 正 和 

中村船具工業株式会社 

和田  榮一郎 

日発モース株式会社 

鳴 海 照 芳 

日産自動車株式会社 

岸   清 一 

マロール株式会社 

(事務局) 

小 郷 一 郎 

財団法人日本船舶標準協会 

冨 永 恵 仁 

財団法人日本船舶標準協会