F 3303:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 2
5 材料······························································································································· 3
6 製造方法························································································································· 3
7 熱処理···························································································································· 4
8 性能······························································································································· 4
8.1 チェーン用材料の機械的性質 ··························································································· 4
8.2 耐切断性 ······················································································································ 6
8.3 耐力 ···························································································································· 6
8.4 外観 ···························································································································· 6
8.5 第3種チェーンのリンクの機械的性質················································································ 6
9 検査······························································································································· 7
10 構成,構造,形状及び寸法 ······························································································· 7
10.1 一般 ··························································································································· 7
10.2 構成 ··························································································································· 7
10.3 構造及び形状 ··············································································································· 7
10.4 寸法 ··························································································································· 7
11 許容差 ·························································································································· 8
11.1 各種リンクの径 ············································································································ 8
11.2 5リンクの長さ ············································································································· 8
11.3 端末リンクの外長及び外幅 ····························································································· 8
11.4 チェーン用部品の径 ······································································································ 8
11.5 その他の寸法 ··············································································································· 8
12 リンク及びシャックルの寸法の範囲 ··················································································· 8
13 呼び寸法 ······················································································································· 9
14 連結 ····························································································································· 9
15 製品の呼び方 ················································································································· 9
16 表示 ····························································································································· 9
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶
技術研究協会(JSTRA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによってJIS F 3303:1993は改正されこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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フラッシュバット溶接アンカーチェーン
Ships and marine technology-Flash butt welded anchor chain
序文
この規格は,2008年に第3版として発行されたISO 1704を参考に我が国の事情を考慮して,作成した
規格である。
ISO 1704は,スタッドリンクアンカーチェーンの互換性の確保を目的に基準寸法について統一化した国
際規格であるが,国際基準及び国際規則と相違があり,ISO 1704の規定を変更することなく採用すること
はできない。また,制定時から製品の種類,検査,表示などについて規定した製品規格としている。この
ためにこれらの状況を考慮してISO 1704を参考に我が国の事情を考慮して作成した。
この規格は,1951年に制定され,その後9回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1993年に
行われたが,その後の国際単位系(SI)の採用,主要船級規則との整合,試験方法など現品の実状に対応
するために改正した。
1
適用範囲
この規格は,船舶,港湾施設などで用いるフラッシュバット溶接アンカーチェーン(以下,チェーンと
いう。)及びチェーン用部品の設計,製造などにかかわる種類,材料,性能,検査などの要求事項について
規定する。
船舶及び海洋技術に該当する可能性のある法令,規則及び基準に確実に従わなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 1352 テーパピン
JIS F 0013 造船用語−船体−外ぎ装
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3105 チェーン用丸鋼
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 5101 炭素鋼鋳鋼品
JIS H 8619 電気すずめっき
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法
ISO 1704:2008,Ships and marine technology−Stud-link anchor chains
2
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS F 0013によるほか,次による。
3.1
チェーン連(chain-shot)
リンクから成るチェーンケーブルを構成している1本の長さ。通常は,長さ27.5 m又は25 mを標準と
している。
3.2
普通リンク(common link又はcommon stud link)
チェーン連を構成する基本的なリンク。スタッド付及びスタッドなしの2種類がある。
3.3
拡大リンク(enlarged stud link)
連結用シャックルを用いるチェーン連の場合,チェーン連の端末リンクと普通リンクとの間に用いる普
通リンクよりも大形のリンク。その径は普通リンクの径の1.1倍。
3.4
端末リンク(end link)
連結用シャックル及びエンドシャックルを連結する場合に,チェーン連の端に用いるスタッドなしのリ
ンク。その径は,普通リンクの径の1.2倍又は1.1倍。
3.5
チェーン用部品(chain accessories)
チェーンを構成する連結用シャックル,ケンタシャックル,エンドシャックル及びスイベル。
3.6
連結用シャックル(joining shackle)
チェーン連の端が,端末リンクで構成されたチェーン連を連結するために使うシャックル。
3.7
ケンタシャックル(kenter shackle)
普通リンクで構成するチェーン連を連結するために使うシャックル。
3.8
エンドシャックル(end shackle)
アンカーを連結するために使う大きなシャックル。
3.9
スイベル(swivel)
回転運動によって,チェーンケーブルの過度のねじれを防ぐことができるようにした部品。一般には,
チェーンケーブルの端に取り付けられる。
4
種類
チェーンの種類は,種別及び略号によって,表1による。
3
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表1−チェーンの種類
種別
略号
スタッド付チェーン
第1種
ST1
第2種
ST2
第3種
ST3
スタッドなしチェーン
SH
5
材料
チェーンの材料は,表2によるほか,次による。
a) チェーンの各種リンクは,1連を通じて同一材料を用いて製造するのがよい。
b) 端末リンク及び拡大リンクを鋳鋼製とする場合は,第1種チェーンはJIS G 5101のSC410又はSC450
とする。また,この場合の機械的性質はJIS G 5101の規定による。第2種チェーン及び第3種チェー
ンにあっては,表3の第2種チェーン用鋳鋼品又は第3種チェーン用鋳鋼品とする。
c) 各種リンク,シャックル,スイベル及びスタッドの材料は,第1種チェーンに対しては第2種チェー
ンのものを,第2種チェーンに対しては第3種チェーンのものを用いてもよい。
d) 各種リンクにJIS G 3101のSS400を使用する場合は,JIS G 3101の機械的性質を満足しなければなら
ない。
e) 必要な場合,この規格に規定しない元素を添加することができる。
表2−チェーンの材料
チェーンの
構成部分
チェーンの種類
スタッド付チェーン(ST)
スタッドなしチェーン
(SH)
第1種
第2種
第3種
各種リンク
JIS G 3105のSBC300
及びJIS G 3101の
SS400
JIS G 3105のSBC490
JIS G 3105のSBC690
JIS G 3105のSBC300
及びJIS G 3101の
SS400
シャックル
及び
スイベル
リンクと同一材料
リンクと同一材料若し
くは表3の第2種チェー
ン用鋳鋼品又はJIS G
4051のS38C〜S50C
リンクと同一材料又は
表3の第3種チェーン用
鋳鋼品
スタッド
リンクと同一材料,機
械構造用炭素鋼鋼材,
炭素鋼鋳鋼品又は可鍛
鋳鉄品
チェーン用材料若しくは圧延鋼材,鋳鋼品又は鍛
鋼品
可鍛鋳鉄及びねずみ鋳鉄は用いてはならない。
−
すべての材料は,表3による機械的性質を満足しなければならない。
6
製造方法
チェーンは,フラッシュバット溶接で製造するほか,次による。
a) スタッドをはめ込む場合には,リンクの中央位置にリンクと直角に適切に圧着しなければならない。
ただし,スタッドの取付け位置は,1連のチェーンの両端のリンクに対してはこの限りではない。
b) シャックル及びスイベルは,鍛造又は鋳造によって製造しなければならない。
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熱処理
チェーン及びチェーン用部品は,適切な熱処理を施すほか,次による。
a) 十分に予熱を行った後,フラッシュバット溶接した第1種チェーン,第2種チェーン及びスタッドな
しチェーンに対しては,熱処理を省略してもよい。
b) 第2種チェーンに第3種チェーンの材料を使用する場合は,適切な熱処理を施さなければならない。
8
性能
8.1
チェーン用材料の機械的性質
チェーン用材料の機械的性質は,表3による。
なお,スタッド用材料については,機械的試験を省略できる。
表3−チェーン用材料の機械的性質
チェーンの種類
材料名称
引張試験
衝撃試験
降伏点
又は耐力
(N/mm2)
引張強さ
(N/mm2)
伸び
(L=5d)
(%)
絞り
(%)
試験温度
(℃)
最小平均吸収
エネルギー値
(J)
第1種チェーン,
スタッドなしチ
ェーン
SBC300
チェーン用鋳鋼品
チェーン用鍛鋼品
−
300以上
30以上
−
−
−
第2種チェーン
SBC490
チェーン用鋳鋼品
チェーン用鍛鋼品
295以上
490〜690
22以上
−
0
27
第3種チェーン
SBC690
チェーン用鋳鋼品
チェーン用鍛鋼品
410以上
690以上
17以上
40以上
0
60
JIS G 3105の規定による機械的性質は,第2種チェーンのSBC490に適用してはならない。
SBC490で箇条7の規定による熱処理を施す場合には,衝撃試験を省略しても差し支えない。
注記 材料名称はJIS G 3105の規定によるものを示す。
8.1.1
供試材及び試験方法(試験片及びサンプリング)
8.1.1.1
チェーン用丸鋼の供試材
チェーン用丸鋼の供試材は,50 tを超えない丸鋼(同一溶鋼に属し製造工程を同じくするもの)を1ロ
ットとし,ロットごとに当該ロット中の最大の径のものから1個採取し,引張試験片1個及び衝撃試験片
一組(3個)を採取する。
なお,熱処理を施すチェーンの供試材は,チェーンと同一条件の熱処理を行わなければならない。ただ
し,SBC300及びSBC490については圧延のままでもよい。
8.1.1.2
チェーン用鋳鋼品の供試材
チェーン用鋳鋼品の供試材は,同一溶鋼に属し,同一熱処理条件の鋳鋼品ごとに鋳鋼品本体から1個採
取する。ただし,本体に付着して鋳造した本体と同一断面積以上のものとすることができる。
試験片は,上記の供試材から,引張試験片1個及び衝撃試験片一組(3個)を採取する。
8.1.1.3
チェーン用鍛鋼品の供試材
チェーン用鍛鋼品の供試材は,同一溶鋼に属し,同一熱処理条件の鍛鋼品ごとに鍛鋼品本体から1個採
取する。ただし,鍛造工程における適切な時期に本体から採取するか,又は本体と同程度の鍛錬効果を与
5
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えたものとすることができる。この場合の供試材の熱処理は,本体に与えられたものと同一条件とする。
試験片は,上記供試材から引張試験片1個,及び衝撃試験片一組(3個)を採取する。
8.1.1.4
試験片(引張試験及び衝撃試験)
引張試験片及び衝撃試験片は,表4及び図1によるほか,次による。
a) 衝撃試験片の切欠きは,ほぼ半径方向と一致させる。
b) 試験片の長さ方向を圧延方向に平行に採取する。
c) 試験片は,図1に示すとおり,供試材の外周から直径の1/6の箇所又はその近傍から採取する。
表4−引張試験片及び衝撃試験片
材料記号
SBC300
第1種チェーン用鍛鋼品
第1種チェーン用鋳鋼品
SBC490
第2種チェーン用鍛鋼品
第2種チェーン用鋳鋼品
SBC690
第3種チェーン用鍛鋼品
第3種チェーン用鋳鋼品
引張試験片
JIS Z 2201の14A号
衝撃試験片
−
JIS Z 2242のVノッチ試験片
図1−引張試験片及び衝撃試験片
8.1.2
判定
試験の判定は,次による。
a) 引張試験 表3の規定を満足しなければならない。
b) 衝撃試験 表3の規定を満足しなければならない。ただし,一組の試験片のうち2個以上の試験片の
吸収エネルギー値が規定の最小平均吸収エネルギー値未満の場合,又はいずれか1個の試験片の値が
規定の最小平均吸収エネルギー値の70 %未満の場合は,不合格とする。
8.1.3
再試験
再試験は,次による。
a) 引張試験結果が,この規格の規定に合格しなかった場合は,その試験片を採取した鋼材から更に2個
の試験片を採取して再試験を行うことができる。この場合の成績がすべての規定に合格したときは,
同一ロットに属する鋼材はすべて合格とする。
b) 衝撃試験結果がこの規格の要求事項に適合せず,不合格となった場合で,次の1) 又は2) に掲げる場
合以外には,試験片を採取した鋼材と同じ鋼材から更に一組の試験片を採取して再試験を行うことが
できる。この場合,不合格になった試験片の値を含めて合計6個の試験片の吸収エネルギーの平均値
が規定の最小平均吸収エネルギー値以上であり,かつ,これらの試験片のうち規定の最小平均吸収エ
ネルギー値より低い試験片の数,及び規定の最小平均エネルギー値の70 %より低い試験片の数がそれ
6
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ぞれ2個以下及び1個以下であれば,試験片を採取した鋼材と同一ロットに属する鋼材は合格とする。
1) 試験片すべてについて規定の最小平均吸収エネルギー値に達しない場合。
2) いずれか2個の試験片について規定の最小平均吸収エネルギー値の70 %に達しない場合。
3) 熱処理を行った材料の機械試験が不合格となった場合は,その材料に再度熱処理を行った後,再試
験を行うことができる。この場合,他のすべての試験を含めなければならない。
8.2
耐切断性
チェーンの耐切断性は,次による。
a) 任意に抜き取った3個以上のリンクから構成する連鎖について,切断試験を行う。
なお,熱処理が必要なチェーンは,熱処理を施した後に試験を行う。
b) 供試材の連鎖は,チェーン4連ごとに一組を採取する。ただし,1連の長さが10.1に規定する標準長
さよりも長い,又は短い場合は,チェーン長さ110 mごとに一組を採取する。
c) 連鎖は,その種類に応じて表6に掲げる切断試験荷重を数秒間加えた場合,これに耐えなければなら
ない。ただし,呼び径が表6の値に達しないもの,又は表6の径の中間にあるものの切断試験荷重は,
表7によって算出する。
d) c) の試験に合格しない場合は,連鎖を採取した1連のチェーンから,更に一組の連鎖を採取して再試
験を行い,これに合格した場合は,他の3連を含め合格とする。再試験にも不合格の場合は,試験片
を採取した1連のチェーンを不合格とし,残りの3連についてそれぞれの連ごとにa)〜c) によって,
切断試験を行う。これらの試験結果のうち,一つでも不合格の場合は,残りの3連すべてのチェーン
は不合格とする。
e) d) の再試験のために失われたリンクを補充する場合は,補充するリンクと同じ方法で製造された連鎖
について,c) の切断試験を行いこれに合格しなければならない。
8.3
耐力
チェーン及びチェーン用部品の耐力は,次による。
a) チェーンの耐力は,それぞれの連ごとに行い,その種類に応じて表6に掲げる耐力試験荷重を加えて
試験したとき,裂けきず,切断その他の異状があってはならない。ただし,呼び径が表6の値に達し
ないもの,又は表6の径の中間にあるものの耐力試験荷重は,表7によって算出する。
なお,熱処理されるチェーンは,熱処理後に試験を行う。
b) a) の試験に合格しなかった場合は,異状があったリンクを取り換えて,1回に限り再試験を行うこと
ができる。ただし,リンクの総数の5 %以上に異状があった場合は,再試験を行うことはできない。
c) チェーン用部品の耐力は,連結されるチェーンの種類及び径に応じて表6に規定する耐力試験荷重を
加えて試験したとき,裂けきず,切断その他の異状があってはならない。この試験は,チェーンと連
結してその試験と同時に行うか,又はそれによって連結されるチェーンの径が同一のものを連結して
行うことができる。
8.4
外観
チェーン及びチェーン用部品の外観は,次による。
a) き裂,ノッチ,不純物など使用上有害な欠陥があってはならない。
b) a) 以外の軽微な表面欠陥がある場合は,グラインダによって,部分的に除去することができる。この
場合,周囲となだらかになるように補修し,その深さはチェーンの呼び径の5 %以内とすることが望
ましい。
8.5
第3種チェーンのリンクの機械的性質
7
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第3種チェーンのリンクの機械的性質は,次による。
a) 4連のチェーンのうち,切断試験のための連鎖を採取しなかった1連のチェーンから,任意に抜き取
った1個又は2個のリンクを選ぶ。その溶接部以外の箇所から1個の引張試験片及び一組(3個)の
衝撃試験片,更に溶接部が切欠き部の中心になるように一組(3個)の衝撃試験片を採取して試験を
行う。試験の結果,溶接部以外の箇所から採取した試験片に対しては,その成績が表3の規定値以上,
また,溶接部から採取した衝撃試験片は,0 ℃で試験を行い,その3個の吸収エネルギーの平均値が
50 J以上でなければならない。
b) 引張試験又は衝撃試験結果が不合格の場合は,8.1.3の規定によって,再試験を行うことができる。
c) b) の再試験の結果が不合格の場合は,その試験を行った1連のチェーンは不合格とし,残りのチェー
ンはそれぞれの連ごとにリンクの機械的検査を行い,個々に合否を決定する。
9
検査
チェーン及びチェーン用部品の検査は,次の項目について実施し,箇条5,箇条10及び箇条11の要求
事項を満足するとともに,箇条8によって試験を行ったとき,それぞれの性能を満足しなければならない。
a) 構成,構造,形状及び寸法検査
b) 材料検査
c) 切断検査
d) 耐力検査
e) 外観検査
f)
第3種チェーンのリンクの機械的性質検査
10 構成,構造,形状及び寸法
10.1 一般
チェーンの構成,構造,形状及び寸法は,図2〜図4によるほか,10.2〜10.4による。
10.2 構成
チェーンは,箇条3に規定するリンクなどによって構成する。1連の長さは一端におけるリンクの内側
外端から他端におけるリンクの内側外端までの距離をいい,長さは3.1の規定によることが望ましい。た
だし,チェーン1連の長さは,連結用シャックル又はケンタシャックルを含む長さとしてもよい。チェー
ンそれぞれの連におけるリンクの総個数は,奇数としなければならない。ただし,スイベルを含む場合は,
この限りでない。
10.3 構造及び形状
各種リンク及びチェーン用部品の構造,形状及び寸法は,図2による。
なお,エンドシャックルの外幅B1寸法は,表8による。
10.4 寸法
10.4.1 一般
リンク及びチェーン用部品の呼び径dは,これらの湾曲部での公称直径を示す。普通リンクの呼び径d
を基にしたすべての寸法は,チェーン及びシャックルに表6の規定による耐力試験荷重を加えた後に測定
しなければならない。
チェーンの長さ及び五つのリンク長さの測定は,表6の規定による耐力試験荷重を加えた後に若干の張
力をかけた状態で行わなければならない。
8
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10.4.2 各種リンク
普通リンク,拡大リンク及び端末リンクの内側半径は,各リンク又はシャックルが互いに適合し,円滑
に動かなければならない。
10.4.3 シャックル保持テーパピン
シャックルに使用する保持ピンは,テーパが直径の1/50のテーパをもつ,テーパピンとする。
呼び寸法及び長さは,図3に示す。テーパピンのその他の要件,例えば,端末の半径,円すい(錐)の
許容差及び表面仕上げについては,JIS B 1352による。
テーパピンは,ステンレス鋼又は炭素鋼のすずめっきとしなければならない。すずめっきを施す場合に
は,JIS H 8619の4.2の参考表1(使用環境,使用環境条件及び記号)の使用環境Aに従って溶融めっき
法又は電気めっき法による。
11 許容差
11.1 各種リンクの径
各種リンクの湾曲部における径の負の許容差は,そのリンクの必要径に応じて表5による。正の許容差
は,必要径の5 %又は1.5 mmのうちのどちらか大きい方とする。
なお,湾曲部の断面積は,負の許容差は認めない。
表5−寸法許容差
単位 mm
必要径
許容差
40以下
1
40超え
84以下
2
84超え 122以下
3
122超え
4
各種リンクの湾曲部以外の径の許容差は, %又は mmとする。
溶接部の径の許容差は, %とする。
11.2 5リンクの長さ
5リンクの長さとは,普通リンク5個の連結した長さとし,標準長さは,d×22とする。
5リンクの長さの許容差は, %とする。
11.3 端末リンクの外長及び外幅
端末リンクの外長及び外幅の許容差は,シャックルとの連結を考慮して, %とする。
11.4 チェーン用部品の径
チェーン用部品の径の許容差は, %とする。
11.5 その他の寸法
その他の寸法許容差は,±2.5 %とする。
12 リンク及びシャックルの寸法の範囲
寸法の範囲は,表6による。
注記 呼び径dの範囲は,一般には,国際船級協会連合(IACS)を構成している船級協会によって規
定されている。
+5
0
+1.5
0
+15
0
+2.5
0
+5
−2.5
+5
0
9
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13 呼び寸法
呼び寸法は,次による。
a) 普通リンクの呼び寸法は,普通リンクの呼び径dを用いて表す。
b) その他のリンク,シャックル及びスイベルの呼び寸法は,普通リンクの呼び径dを用いて表す。
c) チェーンの呼び寸法は,普通リンクの呼び寸法を用いて表す。
14 連結
リンク,シャックル及びスイベルを連結する場合の使用例を,図5に示す。
15 製品の呼び方
チェーンの呼び方は,規格の名称又は規格番号,種類(又は種類記号)及び呼び径による。
例1 フラッシュバット溶接アンカーチェーンスタッド付第2種32
例2 JIS F 3303 ST2-32
例3 フラッシュバット溶接アンカーチェーンスタッドなし32
例4 JIS F 3303 SH-32
16 表示
この規格のすべての要求事項に適合したチェーン両端のリンク及びチェーン用部品には,それぞれ次の
事項を刻印する。表示位置の例は,参考図1を参照。
a) 種類(第1種,第2種又は第3種の区別を表示する。例 第3種の場合III)
b) チェーンの呼び径
c) 製造年月又は製造番号(検査番号)
d) 製造業者名又はその略号
参考図1−表示位置の例
10
F 3303:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−チェーンの切断試験荷重,耐力試験荷重及び標準質量
呼び
径
d
mm
スタッド付チェーン
スタッドなしチェーン
第1種チェーン
第2種チェーン
第3種チェーン
チェーン
1 mの質量
切断試
験荷重
耐力試
験荷重
チェーン
1 mの
質量
切断試験
荷重
耐力試験
荷重
切断試験
荷重
耐力試験
荷重
切断試験
荷重
耐力試験
荷重
(kN)
(kN)
(kN)
(kN)
(kN)
(kN)
(kg)
(kN) (kN)
(kN)
16
107
76
150
107
216
150
5.606
95
47
5.56
17.5
127
89
179
127
256
179
6.707
113
57
6.66
19
150
105
211
150
301
211
7.906
133
67
7.84
20.5
175
123
244
175
349
244
9.203
155
78
9.14
22
200
140
280
200
401
280
10.60
178
89
10.52
24
237
167
332
237
476
332
12.61
213
107
12.52
26
278
194
389
278
556
389
14.80
250
125
14.72
28
321
225
449
321
642
449
17.17
290
145
17.08
30
368
257
514
368
735
514
19.71
332
174
19.60
32
417
291
583
417
833
583
22.43
379
189
22.28
34
−
−
655
468
937
655
25.32
428
214
25.16
36
−
−
732
523
1 050
732
28.38
480
239
28.20
38
−
−
812
581
1 160
812
31.62
533
267
31.44
40
−
−
896
640
1 280
896
35.04
591
296
34.80
42
−
−
981
703
1 400
981
38.63
652
327
38.40
44
−
−
1 080
769
1 540
1 080
42.40
716
358
42.00
46
−
−
1 170
837
1 680
1 170
46.34
783
391
46.00
48
−
−
1 270
908
1 810
1 270
50.46
852
426
50.00
50
−
−
1 370
981
1 960
1 370
54.75
925
462
54.40
52
−
−
1 480
1 060
2 110
1 480
59.22
−
−
−
54
−
−
1 590
1 140
2 270
1 590
63.86
−
−
−
56
−
−
1 710
1 220
2 430
1 710
68.68
−
−
−
58
−
−
1 810
1 290
2 600
1 810
73.67
−
−
−
60
−
−
1 940
1 380
2 770
1 940
78.84
−
−
−
62
−
−
2 060
1 470
2 940
2 060
84.18
−
−
−
64
−
−
2 190
1 560
3 130
2 190
89.70
−
−
−
66
−
−
2 310
1 660
3 300
2 310
95.40
−
−
−
68
−
−
2 450
1 750
3 500
2 450
101.3
−
−
−
70
−
−
2 580
1 840
3 690
2 580
107.3
−
−
−
73
−
−
2 790
1 990
3 990
2 790
116.7
−
−
−
76
−
−
3 010
2 150
4 300
3 010
126.5
−
−
−
78
−
−
3 160
2 260
4 500
3 160
133.2
−
−
−
81
−
−
3 380
2 410
4 820
3 380
143.7
−
−
−
84
−
−
3 610
2 580
5 160
3 610
154.5
−
−
−
87
−
−
3 850
2 750
5 500
3 850
165.8
−
−
−
90
−
−
4 090
2 920
5 840
4 090
177.4
−
−
−
92
−
−
4 260
3 040
6 080
4 260
185.4
−
−
−
95
−
−
4 510
3 230
6 440
4 510
197.6
−
−
−
97
−
−
4 680
3 340
6 690
4 680
206.1
−
−
−
100
−
−
4 940
3 530
7 060
4 940
219.0
−
−
−
102
−
−
5 120
3 660
7 320
5 120
227.8
−
−
−
105
−
−
5 390
3 850
7 700
5 390
241.4
−
−
−
107
−
−
5 570
3 980
7 960
5 570
250.7
−
−
−
111
−
−
5 940
4 250
8 480
5 940
269.8
−
−
−
114
−
−
6 230
4 440
8 890
6 230
284.6
−
−
−
11
F 3303:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−チェーンの切断試験荷重,耐力試験荷重及び標準質量(続き)
呼び
径
d
mm
スタッド付チェーン
スタッドなしチェーン
第1種チェーン
第2種チェーン
第3種チェーン
チェーン
1 mの質量
切断試
験荷重
耐力試
験荷重
チェーン
1 mの
質量
切断試験
荷重
耐力試験
荷重
切断試験
荷重
耐力試験
荷重
切断試験
荷重
耐力試験
荷重
(kN)
(kN)
(kN)
(kN)
(kN)
(kN)
(kg)
(kN) (kN)
(kN)
117
−
−
6 510
4 650
9 300
6 510
299.8
−
−
−
120
−
−
6 810
4 850
9 720
6 810
315.4
−
−
−
122
−
−
7 000
5 000
9 990
7 000
326.0
−
−
−
124
−
−
7 200
5 140
10 280
7 200
336.7
−
−
−
127
−
−
7 490
5 350
10 710
7 490
353.2
−
−
−
130
−
−
7 800
5 570
11 140
7 800
370.1
−
−
−
132
−
−
8 000
5 720
11 420
8 000
381.6
−
−
−
137
−
−
8 510
6 080
12 160
8 510
411.0
−
−
−
142
−
−
9 030
6 450
12 910
9 030
441.6
−
−
−
147
−
−
9 560
6 840
13 660
9 560
473.2
−
−
−
152
−
−
10 100
7 220
14 430
10 100
506.0
−
−
−
157
−
−
10 640
7 600
15 200
10 640
539.8
−
−
−
162
−
−
11 170
7 990
15 970
11 170
574.7
−
−
−
表7−チェーンの試験荷重及び質量
チェーンの種類
切断試験荷重(N)
耐力試験荷重(N)
チェーン1 mの質量(kg)
スタッドなしチェーン
370 d2
184 d2
0.021 7 d2
第1種チェーン
9.81 d 2 (44−0.08 d)
6.86 d 2 (44−0.08 d)
0.021 9 d 2
第2種チェーン
13.73 d 2 (44−0.08 d)
9.81 d 2 (44−0.08 d)
0.021 9 d 2
第3種チェーン
19.61 d 2 (44−0.08 d)
13.73 d 2 (44−0.08 d)
0.021 9 d 2
この表は,呼び径が表6の値に達しないもの,又は表6の径の中間にあるチェーンの切断試験荷重及び
耐力試験荷重並びに単位長さ当たりの質量の算出に用いる。dは,呼び径(mm)とする。
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F 3303:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表8−エンドシャックルのB1の寸法
単位 mm
呼び径
d
B1
呼び径
d
B1
呼び径
d
B1
16
17.5
19
20.5
22
24
26
28
30
32
34
36
38
40
42
44
46
48
50
52
95
104
112
118
125
134
143
151
160
169
180
187
196
210
219
226
236
244
255
263
54
56
58
60
62
64
66
68
70
73
76
78
81
84
87
90
92
95
97
100
273
283
293
303
314
324
334
344
354
369
384
394
410
425
440
455
465
480
490
505
102
105
107
111
114
117
120
122
124
127
130
132
137
142
147
152
157
162
516
531
541
561
576
591
606
617
627
642
657
667
692
718
743
768
793
819
φ52 mm以上はB1=5.05 dとする。
a) 普通リンク
b) 拡大リンク
c) 端末リンク
図2−スタッド付チェーンリンク及びチェーン用部品の構造,形状及び寸法
13
F 3303:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) スイベル
e) 連結用シャックル
f) ケンタシャックル
g) エンドシャックル
注a) B1の寸法は,表8に示す。
A
B
a
b
b1
b2
c
f
k
l
l1
R
r2
6 d
4.2 d
0.67 d 1.52 d
1.1 d
0.73 d 約0.415 d 0.106 d
0.73 d
0.5 d
約0.915 d
4.4 d
0.36 d
注記 dは,チェーンの呼び径を示す。
図2−スタッド付チェーンリンク及びチェーン用部品の構造,形状及び寸法(続き)
14
F 3303:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
注記 テーパピン装着後,鉛栓を詰める。
a) ケンタシャックルの場合
b) 連結用シャックル及びエンドシャックルの場合
d1の寸法表
アンカーチェーンの呼び径d
19
〜
28
30
〜
38
40
〜
46
48
〜
54
56
〜
62
64
〜
70
73
〜
78
80
〜
87
90
〜
102
105
〜
114
117
〜
122
124
〜
137
142
〜
152
シャックル
の種類
連結用シャックルd1
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
ケンタシャックル及び
エンドシャックルd1
8
10
12
14
16
20
22
24
26
28
30
32
34
図3−テーパピン
a) 普通リンク
b) 端末リンク
c) 連結用シャックル
d) エンドシャックル
図4−スタッドなしチェーンリンク及びチェーン部品の構造,形状及び寸法
15
F 3303:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 連結用シャックルを使用した連鎖の連結例
b) ケンタシャックルを使用した連鎖の連結例
c) チェーンとアンカーとの連結例
図5−リンク,シャックル及びスイベルを連結する場合の使用例