F 2431 : 1998 (ISO 5779 : 1987)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が制定した日本工
業規格である。
JIS F 2431には,次の附属書がある。
附属書A 設計圧力の計算
附属書B 角窓の位置決定用グラフ
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 2431 : 1998
(ISO 5779 : 1987)
造船−角窓−位置決定
Shipbuilding−Ordinary rectangular
windows−Positioning
序文 この規格は,1987年に発行されたISO 5779,Shipbuilding−Ordinary rectangular windows−Positioning
を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
規格の運用に当たっては,現段階において船用の窓に関する用語の統一化が図られていないために規格本
体において不適切な表現の用語がある。したがって,原国際規格を参照することが望ましい。
1. 適用範囲及び適用分野 この規格は,国際航海に従事する客船及び貨物船に適用することができる
JIS F 2421に従って製造した角窓の,法規に基づく位置決定について規定する。
附属書A及びBは,この規格の一部である。附属書Aは,設計圧力の計算式を示し,附属書Bは,設
計圧力の計算方法を元にしながら,角窓の位置決定を単純化したグラフで示したものである。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 5779 Shipbuilding−Ordinary rectangular windows−Positioning
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの規格はその最新版を適用する。
JIS F 2421 造船及び海洋構造物−船用角窓
備考 ISO 3903, Shipbuilding and marine structures−Shipsʼ ordinary rectangular windowsが,この規格
と一致している。
1966年の国際満載喫水線条約 (LL1966) ,国際海事機関 (IMO)
規定3,船楼及び甲板室の端部隔壁の強度,国際船級協会連合 (IACS)
3. 位置決定の条件
3.1
全般 角窓の位置決定は,国際条約及び基準,各国関係官庁並びに船級協会の規則類に従って行わ
なければならない。
3.2
位置決定 船の角窓の位置は,次の各項によって変わる。
a) 船の長さLと角窓下縁(1)の夏期満載喫水線S上の高さy(附属書BのグラフNo.1〜No.4参照)に関連
づけられた角窓の位置。木材満載喫水線を指定している場合には,この高さは夏期木材満載喫水線か
ら角窓下縁まで測らなければならない。
b) 角窓が取り付けられる船楼及び甲板室の壁の性質と向き,すなわち,
2
F 2431 : 1998 (ISO 5779 : 1987)
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− 前壁
− 側壁
− 後端壁
注(1) 角窓下縁は,ガラス開口の下端と定義する。
3.3
角窓の位置の制限 角窓を取り付けてはならない位置は,3.3.1及び3.3.2を参照する。
3.3.1
角窓は,乾玄甲板より下,船楼の第一層又は船側から1.2m以内に側壁がある甲板室の第一層には
取り付けてはならない。
3.3.2
3.3.1で規定した位置とグラフNo.1で求めた曲線(附属書B参照)の下部との間には窓を設けては
ならない。
3.4
シャッタ
3.4.1
乾玄甲板下の場所に通じる第一層の甲板室では,角窓にはすべで恒久的にシャッタを取り付けなけ
ればならない。
3.4.2
閉囲した第一層の船楼又は乾玄甲板下の場所に直接出入りできる第二層の場所に設ける角窓には,
すべで恒久的に取り付けたシャッタで保護しなければならない。
3.4.3
国の管轄官庁が承認する場合には,3.4.1及び3.4.2に示す恒久的に取り付けたシャッタの代わりに,
持ち運び式のシャッタを使用することができる。
備考 シャッタはJIS F 2421に規定する角窓の構成部品ではなく,追加部品であって,角窓の外側又
は内側に取り付ける。
4. 強度制限 角窓の使用に関して3.3に規定した制限のほかに,角窓の許容最低位置は,船に働く外力
に関連した角窓の強度によっても変わる。
4.1
外力の計算 予想される最大の外力(設計圧力)は,附属書Aに示す計算方法で求める。
4.2
極限の位置 設計圧力が,個々の角窓の種類と大きさによって決まる最高許容圧力(表1参照)よ
り大きい船内の場所には,角窓を設けてはならない。
3
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表1 JIS F 2421による角窓の最高許容圧力
JIS F 2421による角窓
最高許容圧力 P
kPa
種類
数
呼び寸法 mm
ガラス厚さ(1)mm
1
300×425
10
99
2
355×500
10
71
3
400×560
12
80
4
450×630
12
63
E,重
5
500×710
15
80
6
560×800
15
64
7
900×630
19
81
8
1 000×710
19
64
1
300×425
8
63
2
355×500
8
45
3
400×560
8
36
4
450×630
8
28
F,軽
5
500×710
10
36
6
560×800
10
28
7
900×630
12
32
8
1 000×710
12
25
9
1 100×800
15
31
注(1) 特殊な場合は,くもりガラスにはさらに厚いガラスを使用しなけ
ればならない。
JIS F 2421参照
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附属書A 設計圧力の計算
(この附属書は,規格の構成部分である。)
A.0 序文 JIS F 2421による角窓の位置決定をする場合に守るべき設計圧力は,A.1の計算式によって決ま
る。この計算式は,LL1966の第18規則によって開口部を保護する場合に船楼及び甲板室が受ける荷重を
計算するとき一般に使用するものであるが,これを船の角窓の位置決定の基本として使用する。
A.1 計算式
備考 この計算式は,IACSの規定S3から採用したものである。設計圧力P (kPa) は,次の式によっ
て得られる。
P=10a (bf−y) c
ここに, a: 高さ係数(A.1.1参照)
b: 船の長さ方向の分布係数(A.1.2参照)
f: 確立係数(A.1.3参照)
y: 夏期満載喫水線Sから角窓の下縁までの鉛直距離 (m) 又は木材
満載喫水線が指定されているときは,夏期木材満載喫水線から
角窓の下縁までの高さ (m)
c: 幅係数(A.1.4参照)
A.1.1 高さ係数の計算
表2の式に使用する記号:
L及びL1:船の長さ (m)
ただし,LL1966/IMOの第3(1)の規則の定義による(L1は300mより大きくとる必要はない。)。
x:対象としている隔壁と船尾垂線 (AP) との間の距離 (m) (附属書B参照)。
備考 船楼又は甲板室の側壁に関しては,それを0.15L以下のほぼ等しい長さに細分し,xは,それぞ
れの部分の中心とAPとの間の距離をとらなければならない。
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表2 高さ係数aの計算式
船楼及び甲板室の角窓の位置
a
前壁,非保護
最下層(1)
120
0.2
1L
+
第二層
120
0.1
1L
+
第三層
150
5.0
1L
+
前壁,全層保護
側壁,全層
後端壁,全層
船体中央より後
L
x
L
8.0
000
1
7.0
1−
+
船体中央より前
L
x
L
4.0
000
1
5.0
1−
+
注(1) 最下層とは,通常,規則上の深さDを測るための最上
層全通甲板の直上の層をいう。ただし,最小乾玄より
大きい乾玄が指定されている場合には,この層を上部
層として定義することを管轄官庁に任せることができ
る。“過度の乾玄”とは,最小表定乾玄より船楼の標準
的な一層の高さ以上大きい乾玄をいうことが望まし
い。
A.1.2 船の長さ方向の分布係数bの計算
表3 分布係数6の計算式
x/L
b
≦0.45
2
2.0
45
.0
/
0.1
+
−
+
b
C
L
x
>0.45
2
2.0
45
.0
/
5.1
0.1
+
−
+
b
C
L
x
表3の式に使用する方形係数
方形係数Cbは,貨物船では夏期満載喫水線に対応する型喫水d,また,客船では最深区画型喫水におい
て,長さL及び最大型幅Bを基に計算した方形係数である。
d
B
L
d
Cb
×
×
=
における型排水量
喫水
ここに,型排水量はm3で,またL,B及びdはmで表す。
Cbとしてとる値は,0.60から0.80までの範囲とする。ただし,船体中央より前の後端壁を考える場合に
は,Cbを0.80より小さくする必要はない。
A.1.3 確立係数fの計算
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表4 確率係数fの計算式
L
m
f
L≦150
−
−
−
2
300
150
1
10
L
e
L
L
150<L≦300
300
10
L
e
L
−
L>300
11.03
備考 表4の式で,eは自然対数の底である。
表5 確率係数fの計算値
L
f
L
f
L
f
L
f
L
f
20
0.89
65
4.42
110
7.16
155
9.25
220
10.57
25
1.33
70
4.76
115
7.43
160
9.39
230
10.68
30
1.75
75
5.09
120
7.68
165
9.52
240
10.78
35
2.17
80
5.41
125
7.93
170
9.65
250
10.86
40
2.57
85
5.72
130
8.18
175
9.77
260
10.93
45
2.96
90
6.03
135
8.42
180
9.88
270
10.98
50
3.34
95
6.32
140
8.65
190
10.09
280
11.01
55
3.71
100
6.61
145
8.88
200
10.27
290
11.02
60
4.07
105
6.89
150
9.11
210
10.43
300
11.03
備考 L≧300mでは,f=11.03。表中の中間値は,線形補間によって求める。
A.1.4 幅係数cの計算 幅係数cは,次の式によって計算する。
B
b
c
′
′
+
=
7.0
3.0
ここに,
b': 対象とする場所における甲板室の幅 (m)
B': 対象とする場所における暴露甲板上の船の実際の最大幅 (m)
b'/B': 0.25未満としてはならない。
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附属書B 角窓の位置決定用グラフ
(この附属書は,規格の構成部分である。)
B.0 緒言 この附属書は,設計圧力の計算方法を基にしながら,単純化したグラフの形で位置決定方法を
示す(B.1.6に続く備考2.〜4.も参照のこと。)。グラフNo.1〜No.4は,船内における角窓の位置に応じ,
JIS F 2421に従って取り付けることが許される級別を決定するために使用することができる。グラフによ
って,夏期満載喫水線Sから角窓の下縁までの最小距離を求めることができる。グラフに示す曲線は,そ
れぞれの級別の角窓が耐えられる最低圧力に基づいている。それらの値を表6に示す。グラフNo.1及び
No.2は,JIS F 2421のE級角窓に適用し,グラフNo.3及び4は,JIS F 2421のF級角窓に適用する。
表6 最高許容圧力P
JIS F 2421の角窓級別
最高許容圧力P
kPa
E
60
F
25
B.1 グラフの使用方法
B.1.1 縮尺図(一般配置図,側面図若しくは容積図又は同様の図面で,夏期満載喫水線を示している図面)
を使用する。
B.1.2 縦座標I〜Vの前後方向の位置を図に記入する。
B.1.3 縦座標の値,すなわち夏期満載喫水線S又は夏期木材満載喫水線上の高さを,対象としている角窓
の等級についてプロットする(これらの値は,グラフNo.1又はNo.3のどちらかによって求める。)。
B.1.4 プロットした縦座標の点を結んで一本の線を引く。この線が,それぞれの等級の角窓下縁の最低許
容位置となる。ただし,取付け位置が3.3.1及び3.3.2に示す制限を受けることは変わりはない。
B.1.5 前壁に取り付ける角窓の場合には,グラフNo.1及びNo.3の鎖線は,B.1.4で述べた適用曲線に加え
るべき付加高さを示す。したがって,これを加えた高さが,船楼又は甲板室の前壁に取り付けられるとき
のそれぞれの等級の角窓下縁に対する最低許容位置となる。
B.1.6 大形船の後端壁に使用するE級及びF級の角窓の場合には,グラフNo.2及びNo.4は実際の縦座標
を示す。行うべき手順はB.1.2〜B.1.4に示す手順と同じである。
図
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備考1. 3.2及び4.2に示す個々の制限は守らなければならない。
2. あらゆる船の長さについて,最も不利となる方形係数 (Cb=0.6) を選んだ。Cbが0.6の場合
と0.8の場合とでは,夏期満載喫水線上の高さの最低値と最高値の差が,一番端の縦座標I
で特に大きく,縦座標Vでもある程度大きくなる。その値は,それぞれ約3mと1mである。
3. 前壁の角窓の場合には,船側からの距離及び甲板面上の高さによる設計圧力の減少は考慮し
ない。
4. 夏期満載喫水線S上の高さの計算値は,縦座標IIとVの間でも,また縦座標IIIとIVの間で
も同様にわずか約0.5〜1.0mの差しかない。したがってそれぞれ対になった縦座標は,各グ
ラフの曲線では一緒になっている。
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居住区ぎ装専門分科会 構成表
氏名
所属
(専門分科会長)
国 貞 憲 文
川崎重工業株式会社
(委員)
井 上 雅 文
財団法人日本海事協会
叶 耕 治
三井造船株式会社
田 守 宣 昌
石川島播磨重工業株式会社
小 林 侑 二
常石造船株式会社
井 野 和 夫
日立造船株式会社
石 口 文 雄
三菱重工業株式会社
小 林 延 喜
クマタ工業株式会社
馬 場 裕 幸
株式会社高工社
青 木 善 光
シンワテック株式会社
石 神 俊 雄
森田金属工業株式会社
山 本 富 造
旭・スチール工業株式会社
山 中 和 夫
株式会社ダイリツ
(事務局)
冨 永 恵 仁
財団法人日本船舶標準協会