F 2202 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が改正した日本工
業規格である。これによってJIS F 2202 : 1995は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際規格との整合を図るために,対応国際規格の技術的内容を変更することなく本体
に規定し,さらにJISとして必要な規定内容を追加した。また,旧JISの内容を一部改正し,附属書に規
定した。
JIS F 2202は,本体及び次に示す附属書で構成されている。
附属書(規定) シャックル形トッピングブラケット
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 2202 : 1998
デリックトッピングブラケット
Derrick topping brackets
序文 この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 8314, Shipbuilding and marine structures−Trunnion
pieces for span bearings and lead block bearingsを元に,対応する部分については対応国際規格を翻訳し,技
術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に規定され
ていない規定内容を日本工業規格として追加している。
附属書には,従来,日本工業規格で規定していた規格を規定した。
なお,この規格で点線で下線を施してある部分は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は.船舶のデリックブームの操作で使用されるトラニオンピース(デリックトッ
ピングブラケット)の寸法,材質,スパン軸受及び揚貨索導滑車軸受の組立てのためのボルトの位置を規
定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
ISO 286/1 ISO system of limits and fits−Part 1 : Bases of tolerances, deviations and fits(1)
ISO 630 Structural steels−Plates, wide flats, bars, sections and profiles
ISO 683/1 Heat-treatable steels, alloy steels and free-cutting steels−Part 1 : Direct-hardening unalloyed and
low-alloyed wrought steel in form of different black products
ISO 8147 Shipbuilding and marine structures−Derrick rigs and component parts−Vocabulary(2)
ISO 6043 Shipbuilding and marine structures−Eye and fork assemblies under tension load−Main
dimensions
注(1) 現在草案の段階(ISO/R 286-1962の一部改正)
(2) 現在原案審議中
3. 定義 この規格で用いる用語の定義は,ISO 8147による。ただし,この規格ではトラニオンピースは
デリックトッピングブラケットとも呼称する。
4. 種類
4.1
形式 トラニオンピースは,次の3種類に区分する。
− A形:下部アイ付き
− B形:中央部アイ付き
− C形:上部及び下部の2個のアイ付き
2
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2
呼び寸法 トラニオンピースの呼び寸法は,参照及び発注に仕様するためのもので,単位なしの数
値とする。この数値は,アイの許容荷重をkNで表した数値から求める。
5. 材質
5.1
トラニオンピース トラニオンピースは,ISO 630のFe 430以上の品質の鋼によって製作されなけ
ればならない。
5.2
ボルト又はピン ボルト又はピンは,ISO 630のFe 430以上の品質の鋼によって製作されなければ
ならない。
5.3 高品質品 焼入れ鋼を使用する必要がある場合には,その材質はISO 683/1によらなければならない。
6. 寸法 トラニオンピースの寸法は図1,図2及び表1,表2による。
備考 表1及び表2の寸法b,d4,d5,d6,r2及びr3の値は,ISO 6043による。
6.1
A形及びB形の主要寸法
図1 トラニオンピースA形及びB形の形状
表1 A形及びB形の呼び寸法と各部寸法
単位 mm
呼び寸法 アイにかかる
許容荷重 kN
b
d2
d3
d4
e
h
r1 ボルト径(3)
d1
2
20
22 34 65 24 75 90 25
32
4
40
30 42 80 33 95 110 33
40
6
63
40 47 90 42 110 130 42
45
8
80
45 52 100 48 120 150 48
50
10
100
50 57 110 52 130 170 52
55
12
125
55 62 120 56 140 190 56
60
16
160
60 68 130 66 150 215 66
65
20
200
65 78 150 74 170 240 74
75
25
250
70 83 160 78 180 270 78
80
32
320
80 93 180 86 190 300 86
90
40
400
90 103 190 96 210 330 96
100
注(3) 8.組立参照
3
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2
C形の主要寸法
図2 トラニオンピースC形の形状
表2 C形の呼び寸法及び各部寸法
単位 mm
呼び寸法 許容荷重 kN
b
d2 d3 d5 d6
e
h
r2
r3
ボルト径
d1(4)
d5アイ d6アイ
16
100
63
50 68 130 52 42 150 215 55 45
65
20
125
80
55 78 150 56 48 170 240 60 50
75
25
160
100
60 83 160 66 52 180 270 65 55
80
32
200
125
65 93 180 74 56 190 300 70 60
90
注(4) 8.組立参照
6.3
許容差 寸法許容差は,ISO 286/1による基準許容差等級IT14に対応したものでなければならない。
7. 呼び方 トラニオンピース(ボルト又はピンを除く。)の参照及び注文の際には7.1及び7.2に示すと
おりの呼び方とする。
7.1
呼び方の構成要素 構成要素を次の順序で指示する。
a) 名称:トラニオンピース
b) 規格番号:JIS F 2202
c) 形,記号:A,B,C(4.1及び図1,図2参照)
d) 呼び寸法:(4.2及び表1,表2参照)
7.2
例 この規格による下部アイ付き,A形,呼び寸法12のトラニオンピースは,次のとおりの呼び方
とする。
トラニオンピース JIS F 2202-A12
8. 組立
8.1
図3は,組立の例だけを示したものである。軸受の構造及びボルトの構成を規定するものではない。
8.2
軸受ブラケットの設計は,各船級協会の規則によってそれぞれ決めなければならない。
8.3
ボルトは,適切な方法で固定されなければならない。ボルトの長さ及び形状は,軸受ブラケットの
設計に適合していなければならない。
4
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.4
組立で,座金を入れることはすべての形について任意とする。座金の位置は,デリックブーム固縛
位置によってトラニオンピースの上又は下のどちらでもよい。
備考1. ボルトの直径d1は,表1及び表2を参照。
2. このすき(隙)間は呼び寸法2に対して5 mm,呼び寸法40に対して10 mmまでの間とする。
図3 組立
5
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定) シャックル形トッピングブラケット
1. 適用範囲 この規格は,船の荷役に用いるシャックル形トッピングブラケット(以下,ブラケットと
いう。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 0205 メートル並目ねじ
JIS B 1181 六角ナット
JIS B 1351 割りピン
JIS G 3201 炭素鋼鍛鋼品
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 5102 溶接構造用鋳鋼品
JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条
3. 構造,形状及び寸法 ブラケットの構造,形状及び寸法は,附属書付図1及び附属書付図2のとおり
とする。
4. 材料 ブラケットの材料は,次の附属書付表1による。
附属書付表1 ブラケットの材料
部品番号
部品名称
材料
1
本体
JIS G 3201のSF440又は
JIS G 5102のSCW410
2
シャックル
JIS G 4051のS25C
3
ピン
4
六角ナット
棒鋼
5
座金
JIS H 3100のC2600P
6
ストッパ
鋼板
7
割りピン
黄銅線
8
グリースニップル 黄銅
9
つり上げアイ
棒鋼
備考1. 本体の材料は,炭素含有量を0.23 %以下とする。
2. S25Cは,JIS G 4051に参考として示されている
機械的性質を満足するよう適切な熱処理を施
す。
5. 外観検査 ブラケットの外観は,使用上有害な欠点がなく,確実な溶接が施され,各部の仕上がりは
滑らかでなければならない。
6. 製品の呼び方 ブラケットの呼び方は,規格の名称,規格番号及び呼びによる。
6
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 デリックトッピングブラケット JIS F 2202-37
附属書付図1 組立図(鋳鋼品の場合)
附属書付表2 各部寸法
単位 mm
呼び
本体
シャックル
つり上げアイ
B
h
l
l1
l2
r
d1
d
D
d1
h1
L
R
l
d5
r1
h5
l3
37 58 110 115 55 80 10 32 33 68 32 116 117 28 30
6 7.5 35 15
57 72 120 125 60 85 10 40 40 84 40 127 135 28 36
6 10
35 20
84 86 135 140 70 90 10 47 50 100 47 142 145 30 44
6 15
30 20
126 105 145 170 80 100 10 57 58 120 57 153 172 35 52
9 15
30 25
230 130 200 210 100 120 20 74 70 150 74 208 210 52 65
9 20
30 25
340 155 240 250 120 140 20 87 80 170 87 250 255 65 75
9 20
30 25
441 175 265 280 135 155 20 97 90 195 97 275 280 75 85
9 20
30 25
呼び
ピン
座金
ストツパ
割りピン 使用
荷重
(kN)
参考
(a) D1 B1 d2 ねじの
呼び
d3
(d4) H (h2) h3
S
t1 D2
t2
a1
b1
h4
計算
質量
(kg)
37 6.5 48 41 30
M24
19 202 10 60 18 14 58 5 23 10 14 5×35
37.3 12
57 8
58 50 38
M30
25 231 12 75 22 17 62 5 28 10 17
6.3×45
56.9 19
84 10
66 55 45
M36
30 268 15 85 25 20 68 5 32 12 20 8×50
84.3 30
7
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
呼び
ピン
座金
ストツパ
割りピン 使用
荷重
(kN)
参考
(a) D1 B1 d2 ねじの
呼び
d3
(d4) H (h2) h3
S
t1 D2
t2
a1
b1
h4
計算
質量
(kg)
126 10
75 65 55
M42
35 299 15 100 28 23 82 6 36 12 23 8×55
125.5 48
230 12
98 85 72
M56
46 392 18 115 38 29 125 6 45 14 29 10×70
229.5 101
340 12
110 95 85
M64
52 458 18 135 42 32 144 8 52 14 32 10×75
340.3 174
441 12
122 105 95
M72
60 507 18 150 46 38 165 8 65 16 38 10×85
441.3 22
備考1. d3部ねじは,JIS B 0205の規定による。
2. ナットは,JIS B 1181による。
3. 割りピンは,JIS B 1351の規定による。
4. 括弧内寸法は,参考のために示す。
附属書付図2 本体図(鋳鋼品の場合)
附属書付表3 本体寸法(鋳鋼品の場合)
単位 mm
呼び
本体
B
b1
b2
d1
h1
h2
l
l1
l2
l3
t3
r1
r2
r3
37
58
28
15
32
110
80
115
55
80
80
20
15
10
10
57
72
36
18
40
120
84
125
60
85
80
25
15
15
10
84
86
46
20
47
135
95
140
70
90
90
30
20
20
10
126
105
60 22.5
57
145
100
170
80
100
110
30
20
20
10
230
130
80
25
74
200
150
210
100
120
135
35
20
30
20
340
155
95
30
87
240
180
250
120
140
165
40
30
35
20
441
175
105
35
97
265
195
280
135
155
182.5
45
30
40
20
8
F 2202 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書参考表 トッピングブラケットと滑車との組合せ表
呼び 使用荷重
kN
適用滑車
デリック
ブームの
呼び
37
37.3
−
−
1 B 220 (SB 26)
SWL=137 kN
1 A 240 (SB 26)
SWL=172 kN
1
57
56.9
−
−
−
1 B 280 (SB 34)
SWL=22.1 kN
2
84
84.3
−
−
−
1 B 340 (SB 42)
SWL=34.3 kN
3又は5
126
125.5
−
1 A 430 (SB 42)
SWL=53.9 kN
2 A 340 (SB 46)
SWL=127 kN
1 B 340 (SB 42)
SWL=34.3 kN
5又は10
230
229.5
T 1 A 460 (SB 60)
SWL=108 kN
2 A 430 (SB 60)
SWL=206 kN
2 B 430 (SB 65)
SWL=245 kN
−
10又は15
340
340.3
T 1 B 460 (SB 75)
SWL=108 kN
2 B 430 (SB 65)
SWL=245 kN
−
−
15
441
441.3
T 2 A 460 (SB 85)
SWL=412 kN
−
−
−
15
備考1. 適用滑車欄の丸括弧内の数字は,滑車に付くシャックルの呼びを示す。
2. SWLは,滑車の使用荷重を示す。
3. 角括弧を付けた滑車を適用する場合には,トッピングブラケットにかかる計画荷重が上表の使用荷重より
小さいことを確認のうえ適用する必要がある。