F 2053:2017
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類······························································································································· 1
4.1 種類の区分 ··················································································································· 1
4.2 呼び寸法 ······················································································································ 2
5 寸法······························································································································· 2
6 材料······························································································································· 2
7 構造······························································································································· 2
8 製造及び検査 ··················································································································· 2
9 表示······························································································································· 2
附属書A(参考)クローズドチョックの強度評価の基準 ······························································ 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本船舶技術研究協会(JSTRA)
から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経
て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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船舶及び海洋技術−クローズドチョック
Ships and marine technology-Shipʼs mooring and towing fittings-
Closed chocks
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 13729を基に,対応する部分については対応国際規
格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定され
ていない規定項目を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。変更の一覧表に
その説明を付けて附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,船舶の係留及びえい(曳)航ロープに用いるクローズドチョックの形状,寸法及び技術的
要件について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 13729:2012,Ships and marine technology−Shipʼs mooring and towing fittings−Closed chocks
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
IMO Circular MSC/Circ. 1175,Guidance on shipboard towing and mooring equipment
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
安全使用荷重,SWL(safe working load)
通常の使用条件において適用される,ロープにかかる最大荷重。
4
種類
4.1
種類の区分
クローズドチョックは,その設置場所によって次の二つのタイプに分類する。
2
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− タイプA−デッキ取付形クローズドチョック
− タイプB−ブルワーク取付形クローズドチョック
4.2
呼び寸法
クローズドチョックの呼び寸法L×H×Dは,チョック開口部の幅,高さ及び深さに対する基準で示す。
同一サイズで異なるSWLのクローズドチョックについては,呼び寸法の後に英字が付く。呼び寸法は,
次のとおり。
250×200×214,300×250×286,350×250×333,400×250×381,450×250×381,500×250×381,
400×250×428,450×250×428,500×250×428,500×400×428,500×250×525S,500×400×525S,
500×250×525,500×400×525
5
寸法
詳細は,次による。
− タイプA:表1及び図1
− タイプB:表2及び図2
6
材料
クローズドチョックの製造には,次の材料を使用する。
− チョック:235 MPa以上又は同等の降伏点をもつ鋳鋼材
鋳鋼の炭素含有量は,溶接性を考慮して0.23 %以下とする。
注記 1 MPa=1 N/mm2
7
構造
クローズドチョックのシートは,実際の荷重方向を考慮して設計する。シートと船体との溶接接合は,
塑性変形又は割れが生じることなく,船体構造へクローズドチョックの最大荷重を確実に伝達する。
8
製造及び検査
8.1
溶接部を含め,クローズドチョックの表面には,目に見えるきず又は欠陥があってはならない。
8.2
ロープに接する全ての面には,摩耗によってロープを損傷させる可能性の高い表面の粗さ又は凹凸
があってはならない。
8.3
クローズドチョックは,防食保護塗料で外部を塗装する。
9
表示
9.1
IMO Circular MSC/Circ.1175に従って,船長の指針用に,船上に備え付けられるえい航及び係留計
画書に示されたクローズドチョックの使用には,SWLを表示する。
9.2
9.1のSWLは,シート及びデッキ補強を考慮して判断し,えい航及び係留計画書に表示する。
9.3
クローズドチョックは,溶着ビード又は同等物によってSWLを明確に表示する。SWLはキロニュ
ートン(kN)又はトン(t)表示とし,操作中に目立つように設置する。
例 SWL XXX t又はkN
3
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単位 mm
1
クローズドチョック
SWL表示は,通常,クローズドチョックのシート上又は船殻構造上に表示する。
この図に示していないエッジ及びコーナーの半径は,25 mm以上とする。
図1−タイプA,デッキ取付形クローズドチョック
4
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表1−タイプAの寸法及びSWL
単位 mm
呼び寸法
L×H×D
l1
l2
l3
l4
H1
H2
H3
R
R1
R2
R3
250×200×214
488
453
76
265
427
368
108
100
219
160
108
300×250×286
614
565
89
330
551
481
144
125
282
212
144
350×250×333
716
660
114
403
601
525
168
125
308
232
168
400×250×381
820
754
139
475
652
553
192
125
335
236
192
450×250×381
870
804
164
524
652
553
192
125
335
236
192
500×250×381
920
854
189
574
652
553
192
125
335
236
192
400×250×428
870
796
139
500
701
609
216
125
360
268
216
450×250×428
920
846
164
550
701
609
216
125
360
268
216
500×250×428
970
896
189
600
701
609
216
125
360
268
216
500×400×428
970
896
176
600
851
759
216
200
435
343
216
500×250×
525S
1068
1000
190
652
798
675
264
125
409
286
264
500×400×
525S
1068
1000
193
652
948
825
264
200
484
361
264
500×250×525
1074
1000
176
652
801
680
264
125
412
291
264
500×400×525
1074
1000
179
652
951
830
264
200
487
366
264
呼び寸法
L×H×D
R4
R5
R6
d1
T
溶接
脚長a)
SWL b)
ワイヤ
ロープ直径c)
(推奨)
計算
質量d)
(kg)
z1
(kN) (t)
250×200×214
86
150
128
108
22
6
226
23
18
73
300×250×286
118
180
154
144
26
6.5
422
43
24
142
350×250×333
138
200
170
168
30
7.5
549
56
28
222
400×250×381
156
250
214
192
36
9
687
70
32
310
450×250×381
156
250
214
192
36
9
706
72
32
322
500×250×381
156
250
214
192
36
9
765
78
32
337
400×250×428
178
250
212
216
38
9.5
883
90
36
434
450×250×428
178
250
212
216
38
9.5
912
93
36
452
500×250×428
178
250
212
216
38
9.5
932
95
36
472
500×400×428
178
250
212
216
38
9.5
893
91
36
528
500×250×
525S
224
320
280
264
40
10
1148
117
44
657
500×400×
525S
224
320
280
264
40
10
1158
118
44
724
500×250×525
218
320
274
264
46
11.5
1413
144
44
753
500×400×525
218
320
274
264
46
11.5
1383
141
44
825
注a) 同じ溶接容積/強度に基づいて溶接方法を変更してもよい。
b) 表示のSWLは参考値。これらは附属書Aに記載した荷重に基づいている。SWLは実際の荷重条件に従って調
整してもよい。実際の表示はユーザーと製造業者との間で同意するものとする。
c) ワイヤロープ直径(推奨)は,12倍のチョックを通るロープの曲げ比に基づいた参考値。
d) 計算質量は参考値。
5
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単位 mm
1
クローズドチョック
θ
曲面終端によって制限される角度を導く最大使用角度(参照用)
a
SWL表示
SWL表示は,チョック上,又はチョック近くの船殻構造上に表示する。
この図に示していないエッジ及びコーナーの半径は,25 mm以上とする。
図2−タイプB,ブルワーク取付形クローズドチョック
6
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表2−タイプBの寸法及びSWL
単位 mm
呼び寸法
L×H×D
l1
l2
H1
H2
R
R1
R2
R3
R4
R5
250×200×214
516
441
466
306
100
233
153
108
96
150
300×250×286
638
554
588
410
125
294
205
144
128
180
350×250×333
736
646
636
449
125
318
224.5
168
150
200
400×250×381
834
736
684
450
125
342
225
192
172
250
450×250×381
884
786
684
450
125
342
225
192
172
250
500×250×381
934
836
684
450
125
342
225
192
172
250
400×250×428
882
778
732
515
125
366
257.5
216
194
250
450×250×428
932
828
732
515
125
366
257.5
216
194
250
500×250×428
982
878
732
515
125
366
257.5
216
194
250
500×400×428
982
878
882
665
200
441
332.5
216
194
250
500×250×
525S
1078
976
828
551
125
414
275.5
264
240
320
500×400×
525S
1078
978
978
701
200
489
350.6
264
240
320
500×250×525
1078
976
828
554
125
414
277
264
238
320
500×400×525
1078
978
978
704
200
489
352
264
238
320
呼び寸法
L×H×D
R6
d1
d2
T
θ
溶接脚長a)
SWL b)
ワイヤロー
プ直径c)
(推奨)
計算質量d)
(kg)
z1
z2
(kN)(t)
250×200×214
138
108
80
12
44°
6
5
226
23
18
49
300×250×286
164
144
100
16
44°
8
6.5
422
43
24
100
350×250×333
182
168
120
18
55°
9
7
549
56
28
141
400×250×381
230
192
120
20
47°
10
8
687
70
32
184
450×250×381
230
192
120
20
47°
10
8
706
72
32
194
500×250×381
230
192
120
20
47°
10
8
765
78
32
202
400×250×428
228
216
120
22
56°
10
9
883
90
36
264
450×250×428
228
216
120
22
56°
10
9
912
93
36
276
500×250×428
228
216
120
22
56°
10
9
932
95
36
288
500×400×428
228
216
120
22
56°
10
9
893
91
36
311
500×250×
525S
296
264
120
24
53°
10
9.5
1148
117
44
379
500×400×
525S
296
264
120
24
53°
10
9.5
1158
118
44
408
500×250×525
294
264
120
26
53°
10
10.5
1413
144
44
405
500×400×525
294
264
120
26
53°
10
10.5
1383
141
44
442
注a) 同じ溶接容積/強度に基づいて溶接方法を変更してもよい。
b) 表示のSWLは参考値。これらは附属書Aに記載した荷重に基づいている。SWLは実際の荷重条件に従って調
整してもよい。実際の表示はユーザーと製造業者との間で同意するものとする。
c) ワイヤロープ直径(推奨)は,12倍のチョックを通るロープの曲げ比に基づいた参考値。
d) 計算質量は参考値。
7
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附属書A
(参考)
クローズドチョックの強度評価の基準
A.1 一般
クローズドチョックの強度は,有限要素モデル分析で評価し,次の設計基準に基づいて測定する。
A.2 荷重
クローズドチョックは,水平(図A.1)及び垂直(図A.2及び図A.3)荷重ケースに耐えられるように設
計する。
水平及び垂直荷重は個別に考慮し,両荷重を同時には考慮しない。
A.2.1 ケース1−水平荷重(タイプA及びタイプB)
P
係留力又はえい航力
注記 クローズドチョックによって180°(θ=0°)方向が変わったロープによる荷重を考慮する。
図A.1−水平荷重(タイプA及びタイプB)
8
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A.2.2 ケース2−垂直荷重(タイプA)
P
係留力又はえい航力
a
船側
注記 クローズドチョックによって方向が変わったロープによる荷重を考慮する。
垂直下方:船外90°下方,船内30°下方
垂直上方:船外30°上方,船内15°上方
図A.2−タイプAの垂直荷重−デッキ取付形クローズドチョック
A.2.3 ケース3−垂直荷重(タイプB)
a) 傾斜のないブルワーク取付形クローズドチョック
P
係留力又はえい航力
注記 クローズドチョックによって方向が変わったロープによる荷重を考慮する。
垂直下方:船外90°下方,船内30°下方
垂直上方:船外30°上方,船内15°上方
図A.3−タイプBの垂直荷重−ブルワーク取付形クローズドチョック
9
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b) 傾斜のあるブルワーク取付形クローズドチョック
P
係留力又はえい航力
注記 クローズドチョックによって方向が変わったロープによる荷重を考慮する。
垂直下方:船外90°下方,船内θは,表2の数値を超えない。
(β=傾斜60°の場合は,αが下表の数字を超えない。)
呼び寸法(mm)
L×H×D
最大有効角(°)
α
250×200×214
14
300×250×286
14
350×250×333
25
400×250×381
17
450×250×381
17
500×250×381
17
400×250×428
26
450×250×428
26
500×250×428
26
500×400×428
26
500×250×525S
23
500×400×525S
23
500×250×525
23
500×400×525
23
垂直上方:船外30°上方,船内15°上方
図A.3−タイプBの垂直荷重−ブルワーク取付形クローズドチョック(続き)
A.3 荷重及び応力基準
SWLの下,次の応力基準を採用する。
− 複合応力は材料の降伏応力の85 %に制限する。
A.4 摩耗代及び腐食予備厚
腐食代は,安全係数1)及び2 mmの摩耗代に既に含まれている。
注1) 安全係数は,A.3における制限された応力基準のことである。
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F 2053:2017
参考文献
IACS UR A2,Shipboard fittings and supporting hull structures associated with towing and mooring on
conventional vessels
OCIMF,Mooring Equipment Guidelines (MEG 3)
ISO 4990,Steel castings−General technical delivery requirements
ISO 2408,Steel wire ropes for general purposes−Minimum requirements
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F 2053:2017
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS F 2053:2017 船舶及び海洋技術−クローズドチョック
ISO 13729:2012,Ships and marine technology−Shipʼs mooring and towing fittings−
Closed chocks
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 表示
クローズドチョックの
表示について規定
9
JISとほぼ同じ。
追加
ISO規格では,SWLの表示単位を
トン(t)と規定しているが,JISで
は国内関係者の利便性を図り,キロ
ニュートン(kN)を追加した。
単位の追加だけであるため,技術
的差異はなし。技術的要件の追加
ではないため,国際提案は考えな
い。
図1
タイプA,デッキ取付
形クローズドチョック
Figure
1
JISとほぼ同じ。
変更
図1に対応する表1に記載の数値の
うち,l3の整合が取れないため,JIS
の作成過程にて,図を編集した。
技術的差異はなし。ISO規格の定
期見直し時に,必要であれば,修
正を提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 13729:2012,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
F
2
0
5
3
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1
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