F 2001:2017
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類······························································································································· 2
4.1 種類の区分 ··················································································································· 2
4.2 呼び寸法 ······················································································································ 2
5 寸法······························································································································· 2
6 材料······························································································································· 2
7 構造······························································································································· 2
8 製造及び検査 ··················································································································· 2
9 表示······························································································································· 2
附属書A(参考)溶接鋼製ボラードの強度評価の基準 ································································· 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本
船舶技術研究協会(JSTRA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS F 2001:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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船舶及び海洋技術−ボラード
Ships and marine technology-Bollards
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 13795を基に,対応する部分については対応国際規
格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定され
ていない規定項目を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。変更の一覧表に
その説明を付けて附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,通常の係留及びえい(曳)航要件を満たすための,外洋航行船への設置に適した溶接鋼ボ
ラード(以下,ボラードという。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 13795:2012,Ships and marine technology−Shipʼs mooring and towing fittings−Welded steel
bollards for sea-going vessels(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
IMO Circular MSC/Circ.1175,Guidance on shipboard towing and mooring equipment
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
安全使用荷重,SWL(safe working load)
通常の使用条件において適用される,ロープにかかる最大荷重。
3.2
TOW
ボラードに繋げるためのえい航索の先端にアイスプライスを用いることによって,えい航船が引っ張る
ボラードにかかる,ロープへの最大荷重。
2
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4
種類
4.1
種類の区分
ボラードは,その構造によって次の二つのタイプに分類する。
− タイプA−小形ベースプレート
− タイプB−大形ベースプレート
4.2
呼び寸法
ボラードの呼び寸法Dn(表1及び表2参照)は,基本系列の優先番号から選んだ最も近い番号を単位と
して,ポストの外径に対する基準で示される(mm)。同一ポスト直径のボラードについては,SWLが異な
るため呼び寸法の後に英字が付く。
呼び寸法(Dn):100,125,150,200,250,250S,300,300S,350,350S,400,400S,450,450S,500,
500S,550,550S,600,710及び800
5
寸法
詳細は,次による。
− タイプA:表1及び図1
− タイプB:表2及び図2
6
材料
ボラードの製造には,次の材料を使用する。
− プレート:235 MPa以上の降伏点をもつ溶接可能な鋼板
− ポスト:235 MPa以上の降伏点をもつ溶接可能な鋼板又は同等の鋼管
注記 1 MPa=1 N/mm2
7
構造
7.1
ボラードポストは,鋼管によって構成するか,又はプレートによって形成する。
7.2
フィンは,係留及びえい航索からのポストへの荷重を低減するために可能な限り低くロープを保つ
よう設置する。
7.3
ストッピングオフロープ又はチェーンを繋ぐためのアイプレートを供給する。
8
製造及び検査
8.1
ボラードの全ての表面には,目に見えるひび又は欠陥があってはならない。
8.2
ロープに接する全ての表面には,摩耗によってロープを損傷させる可能性の高い表面の粗さ又は凹
凸があってはならない。
8.3
ボラードの外面は,防食保護仕上げ塗装とする。
8.4
8字巻き留めにおける係留索の保持力を高めるために,低摩擦表面塗装を行わないことが望ましい。
9
表示
9.1
IMO Circular MSC/Circ.1175に従って,船長の指針用に,船上に備えられたえい航及び係留計画書
に使用目的に応じたボラードのSWLを記載する。
9.2
9.1のSWLは,基礎及びデッキ補強を考慮して判断するものとし,えい航及び係留計画書に表示す
3
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る。
9.3
ボラードは,溶着ビード又は同等物によってSWLを明確に表示する。SWLはキロニュートン(kN)
又はトン(t)表示とし,器具の操作中に目立つように設置する。
9.4
ボラードが係留及びえい航の両方に使用される場合,次のように表示する。
係留及びえい航の両方のSWLを表示する。
例1 SWL XXX t又はkN
例2 TOW XXX t又はkN
単位 mm
a
エッジ平滑研削
b
SWL表示
図1−タイプA
4
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表1−タイプAボラードの寸法及びSWL
単位 mm
呼び
寸法
Dn
D1
D2
D3
D4
H1
H2
H3
H4
b
L
E
t
t1
t2
R
150
165.2
185
−
80
330
90
70
60
155
400
−
8.0
6
6
40
200
216.3
240
−
130
395
115
70
60
205
500
−
8.0
6
6
50
250S 267.4
290
−
160
505
135
90
75
250
630
−
10.0
8
7
60
250
267.4
290
−
160
505
135
90
75
250
630
−
12.0
9
8
60
300S 318.5
340
150
185
600
150
110
85
290
800
300
12.0
9
9
70
300
318.5
340
150
185
600
150
110
85
290
800
300
21.5
16
9
70
350S 355.6
380
170
220
685
175
130
105
340
890
350
14.0
10
9
80
350
355.6
380
170
200
685
175
130
105
340
890
350
26.0
19
11
80
400S 406.4
430
190
250
730
185
145
115
380
1000
380
15.0
11
11
85
400
406.4
430
190
230
730
185
145
115
380
1000
380
28.0
20
13
85
450S 457.2
480
210
285
770
195
160
120
425
1100
410
14.5
11
11
90
450
457.2
480
210
265
770
195
160
120
425
1100
410
29.0
21
14
90
500S 508.0
530
235
320
830
230
200
150
480
1250
460
14.5
11
11
100
500
508.0
530
235
295
830
230
200
150
480
1250
460
32.0
23
16
100
550S 558.8
580
255
350
900
270
200
180
520
1380
540
21.0
16
11
110
550
558.8
580
255
330
900
270
200
180
520
1380
540
31.0
22
16
110
600
609.4
630
280
365
950
300
200
200
560
1550
600
33.0
23
16
120
呼び寸法
Dn
溶接脚長a)
SWL b)
計算質量c)
(kg)
係留用
(8字巻き留め)
えい航用
(アイスプライス)
z1
z2
ロープ1本使用
ロープ2本使用
(kN)
(t)
(kN)
(t)
(kN)
(t)
150
3.5
3.5
54
5.5
49
5.0
98
10
29
200
3.5
3.5
82
8.4
65
6.7
128
13
46
250S
5.5
4
127
13
108
11
215
22
91
250
5.5
4
156
16
134
14
265
27
107
300S
10.5
4
186
19
161
16
352
36
166
300
10.5
4
332
34
306
31
608
62
281
350S
7
4
244
25
216
22
491
50
241
350
12.5
5
443
45
418
43
834
85
431
400S
8
5
326
33
269
27
657
67
322
400
12.5
6
594
61
521
53
1040
106
570
450S
8
7
382
39
292
30
765
78
379
450
12
7
753
77
612
62
1216
124
712
500S
8
5
457
47
326
33
912
93
465
500
12.5
8
992
101
757
77
1511
154
960
550S
11.5
5
781
80
541
55
1560
159
787
550
11.5
8
1131
115
812
83
1619
165
1123
600
11.5
8
1401
143
948
97
1839
193
1391
注記 アイプレートの取付位置には自由度をもたせる。
注a) 同一の溶接容積/強度に基づき,面取り溶接が可能。
b) 表示のSWLは参考値。これらは附属書Aに記載した荷重に基づいている。
c) 計算質量は参考値。
5
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単位 mm
図2−タイプB
6
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表2−タイプBボラードの寸法及びSWL
単位 mm
呼び寸法
Dn
D1
D2
H1
H2
h1
h2
b
L
L1
E
t
t1
t2
R
100
114.3
145
207
50
40
−
165
250
445
70
10
6
7
−
125
139.8
180
258
60
50
−
195
315
540
100
10
6
8
−
150
165.2
185
320
80
62
70
225
400
670
145
8.0
8
6
40
200
216.3
240
365
85
67
70
290
500
860
160
8.0
8
6
50
250S
267.4
290
470
100
79
90
360
630 1065
215
10.0
8
7
60
250
267.4
290
470
100
79
90
360
630 1065
215
12.0
11
8
60
300S
318.5
340
575
125
95
110
430
800 1300
325
12.0
9
9
70
300
318.5
340
575
125
95
110
430
800 1300
325
21.5
20
9
70
350S
355.6
380
655
145
119
130
480
890 1475
360
14.0
13
9
80
350
355.6
380
655
145
108
130
480
890 1475
360
26.0
23.5
11
80
400S
406.4
430
705
160
133
145
550 1000 1630
400
15.0
13.5
11
85
400
406.4
430
705
160
121
145
550 1000 1630
400
28.0
26
13
85
450S
457.2
480
745
170
144
160
620 1100 1810
430
14.5
13
11
90
450
457.2
480
745
170
131
160
620 1100 1810
430
29.0
26
14
90
500S
508.0
530
790
190
162
200
690 1250 2040
500
14.5
13
11
100
500
508.0
530
790
190
146
200
690 1250 2040
500
32.0
29
16
100
550S
558.8
580
840
210
176
200
750 1380 2240
560
21.0
19
11
110
550
558.8
580
840
210
167
200
750 1380 2240
560
31.0
28
16
110
600
609.4
630
875
225
182
200
820 1550 2490
660
33.0
28
16
120
710
711.2
840
1322
260
220
350
960 1750 2840
710
25
24
12
255
800
812.8
940
1507
295
255
370
1100 2000 3240
810
26
25
12
255
7
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表2−タイプBボラードの寸法及びSWL(続き)
単位 mm
呼び寸法
Dn
溶接脚長a)
SWL b)
計算質量c)
(kg)
係留用
(8字巻き留め)
えい航用
(アイスプライス)
z1
z2
z3
z4
ロープ1本使用
ロープ2本使用
(kN)
(t)
(kN)
(t)
(kN)
(t)
100
3
3
6
4
36
3.7
33
3.4
66
6.7
18.9
125
3
3
6
4
45
4.6
41
4.2
82
8.4
29.4
150
3
3
6
4
54
5.5
49
5.0
98
10
45
200
3
3
6
4
82
8.4
65
6.7
128
13
68
250S
3
3.5
6
4
127
13
108
11
216
22
119
250
4
4.5
8
6
156
16
134
14
265
27
150
300S
4
5
8
6
186
19
161
16
353
36
203
300
4
8
12
10
332
34
306
31
608
62
383
350S
4
5.5
8
6
244
25
216
22
491
50
333
350
5
10
14
12
443
45
418
43
834
85
582
400S
5
5.5
8
7
326
33
269
27
657
67
441
400
6
11
16
13
594
61
521
53
1040
106
793
450S
7
5.5
8
7
382
39
292
30
765
78
517
450
7
11
16
13
753
77
612
62
1216
124
979
500S
5
5.5
8
7
457
47
326
33
912
93
631
500
8
12
17
15
992
101
757
77
1511
154
1321
550S
5
8
12
10
781
80
541
55
1560
159
1059
550
8
11
17
14
1131
115
812
83
1619
165
1530
600
8
11
17
14
1401
143
948
97
1893
193
1850
710
8
10
16
12
895
91
806
82
1612
164
2252
800
8
10
16
12
1103
113
1000
102
1999
204
3071
注記 アイプレートの取付位置には自由度をもたせる。
注a) 同一の溶接容積/強度に基づき,面取り溶接が可能。
b) 表示のSWLは参考値。これらは附属書Aに記載した荷重に基づいている。
c) 計算質量は参考値。
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F 2001:2017
附属書A
(参考)
溶接鋼製ボラードの強度評価の基準
A.1 一般
ボラードの強度は,有限要素モデル分析及び単純支持梁理論計算で評価し,次の設計基準に基づいて測
定する。
A.2 荷重
A.2.1 ボラードは,係留及び/又はえい航索によってかかる荷重に耐えられるように設計する。ボラード
上の2本のロープを使用する場合,各ロープへの最大適用可能荷重は,表1及び表2のSWL欄の“ロー
プ2本使用”に記載したとおりに規定される。ロープは,ポストの曲げ応力を低減させるために可能な限
り低く巻き留めなければならない。
注記 通常の係留実践では,ボラード当たり1本の係留索だけが取り付けられている。
A.2.2 ボラード周辺で8字に巻き留められたロープによる荷重Pは,2Pの合成荷重をもたらす。
A.2.3 2本のロープを使用する場合,ポストの最低部分におけるせん(剪)断荷重として4Pの荷重をか
けることが可能である。
A.2.4 ボラードは,次の荷重ケースに耐えられるように設計する。
A.2.4.1 ケース1−係留索による曲げ荷重
ベースプレートより上のH4/5の位置にかかるPによってもたらされる曲げ力に耐えられるように設計
する(図A.1参照)。
P
係留力
Pa Pによってもたらされる反力
a
船側
図A.1−係留索による曲げ荷重
A.2.4.2 ケース2−係留索によるせん断荷重
2本のロープを使用する場合,ポストの最低部分における2本の係留索にかかる4Pによってもたらされ
るせん断力に耐えられるように設計する(図A.2参照)。
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F 2001:2017
a) ロープ1本使用
b) ロープ2本使用
P
係留力
Pa Pによってもたらされる反力
a
船側
図A.2−係留索によるせん断荷重
A.2.4.3 ケース3−えい航索による曲げ荷重
ベースプレートより上のH4/5の位置にかかるPによってもたらされる曲げ力に耐えられるように設計
する(図A.3参照)。
P
えい航力
a
船側
b
アイスプライス
図A.3−えい航索による曲げ荷重
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F 2001:2017
A.3 荷重及び応力基準
SWLの下,次の応力基準を採用する。
− 曲げ応力を材料の降伏応力の85 %に制限する。
− せん断応力を材料の降伏応力の60 %に制限する。
A.4 寸法許容差,摩耗代及び腐食予備厚
A.4.1 寸法許容差
許容差の下限は,ポスト及びベースプレート用の管又は鋼板に対して次のように使用する。
− D:−1 %
− t:−3 %
A.4.2 摩耗代
強度計算については,ロープが表面を擦る場合,2 mmの摩耗を総厚から差し引く。
A.4.3 腐食予備厚
摩耗代は,安全係数1)及び2 mmの摩耗代に既に含まれている。
注1) 安全係数は,A.3における制限された応力基準のことである。
A.5 曲げ半径
ワイヤロープについては,通常,12の最小曲げ比を推奨し,合成ロープについては,各特定用途に対し
て製造業者の許容最小曲げ半径の指針を参考にする。
参考文献
ISO 2408,Steel wire ropes for general purposes−Minimum requirements
IACS UR A2,Shipboard fittings and supporting hull structures associated with towing and mooring on
conventional vessels
OCIMF,Mooring Equipment Guidelines (MEG 3)
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F 2001:2017
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS F 2001:2017 船舶及び海洋技術−ボラード
ISO 13795:2012,Ships and marine technology−Shipʼs mooring and towing fittings−
Welded steel bollards for sea-going vessels
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 種類
4.2 呼び寸法
4
JISとほぼ同じ。
追加
JISでは対応国際規格で規定されてい
ない,呼び寸法100,125,710及び800
を追加した。
対応国際規格は,我が国内で実績のあ
るこの追加要件を規定していないた
め,国内利害関係者の利便性を図った。
日本独自の呼び寸法であるため,国際
規格として提案は実施しない。
9 表示
ボラードへのSWL
表記
JISとほぼ同じ。
追加
対応国際規格が規定するトン(t)表記
に加え,キロニュートン(kN)表記を
加えた。
国内で浸透している表記を加えただけ
であり,国際規格としての提案は実施
しない。
表2
タイプBボラード
の寸法及びSWL
Table 2
JISとほぼ同じ。
追加
JISでは対応国際規格で規定されてい
ない,呼び寸法100,125,710及び800
を追加した。
対応国際規格は,我が国内で実績のあ
るこの追加要件を規定していないた
め,国内利害関係者の利便性を図った。
日本独自の呼び寸法であるため,国際
規格として提案は実施しない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 13795:2012,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
F
2
0
0
1
:
2
0
1
7