F 1037:2003 (ISO 15584:2001)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶標準協会(JMSA)から,工
業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土
交通大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 15584:2001,Small craft−Inboard
petrol engines−Engine-mounted fuel and electrical componentsを基礎として用いた。
F 1037:2003 (ISO 15584:2001)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ······················································································· 1
1. 適用範囲 ················································································ 1
2. 引用規格 ················································································ 1
3. 定義 ···················································································· 2
3.1 機関据付形 (engine-mounted) ····························································· 2
3.2 電気系コンポーネント (electrical component) ··············································· 2
3.3 ガソリン (petrol) ······································································· 2
3.4 火花点火機関 (spark-ignition engine) ······················································ 2
3.5 手が届く (accessible) ···································································· 2
4. 一般 ···················································································· 2
5. 機関の燃料系コンポーネント ······························································ 2
5.1 一般要求事項−配管,ホース,燃料ポンプ,燃料フィルタ及びそれらの接続 ··················· 2
5.2 気化器及び/又はスロットルボディ ······················································· 3
5.3 条件設定手順 ··········································································· 3
5.4 燃料漏れ試験 ················································································································ 4
6. 機関の電気システム及びコンポーネント ···················································· 4
6.1 一般要求事項 ··········································································· 4
6.2 ディストリビュータ ····································································· 4
6.3 高電圧(二次側)点火系の配線−耐電圧漏電試験 ··········································· 5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 1037:2003
(ISO 15584:2001)
舟艇−ガソリン用船内機及び船内外機−
機関据付形の燃料系及び電気系コンポ−ネント
Small craft−Inboard petrol engines−
Engine-mounted fuel and electrical components
序文 この規格は,2001年に第1版として発行されたISO 15584:2001,Small craft−Inboard petrol engines
−Engine-mounted fuel and electrical componentsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく
作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,艇長24 m以下の舟艇において燃料漏れを最小限に押さえ,周囲の可燃性ガ
スへの引火を防止することを目的に,船内据付形ガソリン機関(船内機及び船内外機)に取り付けている
燃料系及び電気系コンポーネントに関する設計要件並びに設置要件について規定する。
次の機関には,この規格を適用しない。
− ISO 13590 (JIS F 1030) の定義によるパーソナルウォータークラフトの機関(参考文献参照)
− 船外機
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 15584:2001,Small craft−Inboard petrol engines−Engine-mounted fuel and electrical
components (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの
規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付
記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
ISO 10088 Small craft−permanently installed fuel system and fixed fuel tanks
JIS F 0811:2002 舟艇−電気機器−周囲の可燃性ガスへの引火防止
備考 ISO 8846:1990,Small craft−Electrical devices−Protection against ignition of surrounding
flammable gasses. からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS F 4328 舟艇−ガソリン機関の火炎逆流制御
備考 ISO 13592,Small craft−Backfire flame control for petrol enginesがこの規格と一致している。
JIS F 7151:1999 舟艇−耐火性燃料ホース
備考 ISO 7840:1994,Small craft−Fire-resistant fuel hosesからの引用事項は,この規格の該当事項
2
F 1037:2003 (ISO 15584:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
と同等である。
JIS K 6258:1993 加硫ゴムの浸せき試験方法
備考 ISO 1817:1985,Rubber,vulcanized−Determination of the effect of liquidsからの引用事項は,
この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 2371:2000 塩水噴霧試験方法
備考 ISO 9227:1993,Corrosion tests in artificial atmospheres−Salt spray testsからの引用事項は,こ
の規格の該当事項と同等である。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1
機関据付形 (engine-mounted) 機関製造業者が舟艇用機関に恒久的に取り付けるコンポーネントで
あり,運転中は所定の位置から動かないものをいう。
3.2
電気系コンポーネント (electrical component) 電力によって作動するコンポーネント,又は機械的
作動によって電力を発生するコンポーネント。
3.3
ガソリン (petrol) 大気圧下では液体である火花点火機関に用いる炭化水素燃料,又は複数種類の炭
化水素燃料の混合物。
3.4
火花点火機関 (spark-ignition engine) 電気火花を利用して点火を行う機関。
3.5
手が届く (accessible) 点検,取外し又は整備に際し,恒久的な舟艇構造物を除去しなくても手が届
く。
4. 一般
4.1
気化器,燃料フィルタ,燃料ポンプ,燃料ホース,パイプなどの機関据付形のコンポーネントは,
製造業者の指示書類に基づいて据え付けたとき,機関室内への燃料の漏れを最小にし,かつ,5. の規定を
満足しなければならない。
4.2
ガソリン及び混合気に着火することが可能で,外部的又は内部的に火花を生じることのできる機関
据付形の電気系コンポーネント(サーキットブレーカ,スイッチ,ソレノイド,オルタネータ,ジェネレ
ータ,ボルテージレギュレータ及び電気モータ)は,JIS F 0811及び6. の規定による引火防止機能を備え
ていなければならない。
4.3
製造業者は,取扱説明書を設置しなければならない。
5. 機関の燃料系コンポーネント
5.1
一般要求事項−配管,ホース,燃料ポンプ,燃料フィルタ及びそれらの接続
5.1.1
燃料ポンプと気化器との接続又は燃料ポンプとスロットルボディ用の燃料噴射部品との接続は,
− 銅又は銅合金,ステンレス鋼,耐食性の表面処理を施した鋼製の金属パイプ。又は
− JIS F 7151の規定を満足する燃料ホースで恒久的な継手,例えば,スリーブ又はねじ込みの差し
込みをもつものでなければならない。
5.1.2
機関据付形の燃料系コンポーネントは,ISO 10088の耐火試験によって試験したとき,自由燃焼中
の炎で2.5分間の暴露に耐えなければならない。
気化器は,この規定から除外する。
3
F 1037:2003 (ISO 15584:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.1.3
燃料系の各コンポーネント及びシステム全体は,−10 ℃〜+80 ℃までの周囲温度において,故障
及び漏れを生じることなく運転可能でなければならない。また,−30 ℃〜+80 ℃までの周囲温度におい
て,故障及び漏れを生じることなく保管できなければならない。
5.1.4
すべての機関据付形燃料系コンポーネントの開口部は,空気吸入システム通路内に設置しなければ
ならない。ただし,JIS F 4328の規定によるフレームアレスタを備えている場合は,その限りではない。
5.1.5
燃料ポンプのダイヤフラムの故障又は燃料圧逃し弁の作動によって,機関室内に燃料が流出しては
ならない。
5.1.6
気化器を装着している機関の燃料ポンプの燃料供給圧は,70 kPaを超えてはならない。
5.1.7
燃料フィルタは,機関に安全に設置され,かつ,燃料パイプ又はホースから耐振性を考慮して取り
付けなければならない。
5.1.8
燃料フィルタにドレンを設ける場合には,Oリング又はガスケット付きの平行ねじ若しくはテーパ
ねじを用いなければならない。
5.1.9
すべての燃料系統の接続部は,手が届かなければならない。
5.2
気化器及び/又はスロットルボディ 気化器及び燃料噴射装置のスロットルボディは,
− JIS F 4328の規定によるフレームアレスタを装備しなければならない。ただし,リードバルブを備え
た2サイクル機関又は逆火の炎が吸気システムを経由しないような吸入システムで,JIS F 4328に規
定した要件を満足する場合には,この限りではない。
− 気化器及び燃料噴射装置用スロットルボディのベント又はエアブリードは,空気吸入システム内に構
成しなければならない。ただし,JIS F 4328の要求による逆火の炎を制御する能力をもち,更に,こ
の規格に規定する他の要件を満足する場合には,この限りではない。
− 逆火の圧力波又は空気の逆流によって,燃料が外部に流出してはならない。
回収された燃料は,始動後に機関吸入システムへ還流しなければならない。
− 気化器又はスロットルボディの外側に通じるガスケット,Oリングなどは毛管作用のないもの,すな
わち,燃料を吸収しない材料を使用しなければならない。
− 設計上の姿勢から,任意の方向に12度傾いた状態でも作動可能であり,かつ,5.3の要求による燃料
漏れ制限を超えてはならない。
5.2.1
気化器は,フロート機構を損なうことなく,80 kPa(ゲージ圧)の燃料供給圧に耐えなければなら
ない。
5.2.2
燃料噴射用スロットルボディは,インジェクタ及びレギュレータ組立品から漏れを生じることなく
350 kPa(ゲージ圧)の燃料供給圧に耐えなければならない。
5.3
条件設定手順 気化器及び燃料噴射用スロットルボディは,次の条件及び手順によって試験したと
き,5.4の燃料漏れ規定を満足しなければならない。
気化器又はスロットルボディを−30 ℃の温度下に48時間保管し,その後室温に戻す。
そして,
− 通常の作動姿勢にて,垂直加速度のピークが127〜167 m/s2(1)で,ベース間隔が6 ms以上となる半正
弦波の衝撃パルスを,1分間に80サイクル以下の割合で1 000サイクル加える。
上記衝撃試験の後,定常状態での燃料供給量の変化率が±5 %を超えてはならない。また,各コン
ポーネントに構造的又は機械的な故障が生じてはならない。
− キャブレタ又はスロットルボディを,インテークマニホールド又は開口部のないフランジに取り付け,
更に,JIS F 4328に規定するフレームアレスタ,燃料配管及び負圧管を取り付ける。
4
F 1037:2003 (ISO 15584:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
燃料配管用及び負圧管用の開口部は,ふさいだ状態にしてもよい。それらを5 %の塩水を用いてJIS
Z 2371の11.1によって,35 ℃で96時間の塩水噴霧試験を実施する。塩水噴霧試験中は24時間に1
度の割合で,各リンク類の全作動領域を一通り動かす。
上記試験の後にすべての可動部品は,その機能を損なうことなく作動しなければならない。
注(1) 9.80665 m/s2 = 1G
5.4
燃料漏れ試験 次の方法によって燃料漏れ試験を行ったとき,キャブレタ又はスロットルボディ及
び空気吸入系から外部に30秒間で5 cm3以上の燃料が流出してはならない。
− キャブレタに燃料流入遮断弁が付いている場合には,そのバルブを全開流入の状態に,また,スロッ
トルボディ用のインジェクタには燃料が連続して流れる状態にする。
− スロットルプレート(2)は,全閉と全開との中間位置に固定する。マルチスロートキャブレタ(3)又は第
1スロットルプレート(2)の動作に応じて稼働する第2スロットルプレート(2)を備えたスロットルボデ
ィの場合には,燃料のくみ出しを防止するため,第2スロットルプレート(2)が50 %以上開かないよう
に第1スロットルプレート(2)の位置を決めてもよい。
機関を始動させずに,通常のクランキング回転速度で30秒間クランキングする。
注(2) “スロットルプレート”は,“スロットルバルブ”ともいう。
(3) “マルチスロートキャブレタ”は, 複数の通路やバルブをもつキャブレタを示す。
6. 機関の電気システム及びコンポーネント
6.1
一般要求事項
6.1.1
電気系統の直流マイナス側接地は,次の2種類とする。
− 完全に絶縁した接地帰路,又は
− グランド接地帰路
6.1.2
すべての電気系コンポーネントは,機関のできるだけ高い位置に装着しなければならない。ただし,
始動用モータ及びディストリビュータの位置は,基本機関製造業者によるものとする。
6.1.3
イグニッションコイル及びマグネトは,それらの高電圧キャップの周囲に水がたまらないように取
り付けるか又は保護していなければならない。
6.1.4
電気系コンポーネントに対し,JIS F 0811の規定による引火防止機能が義務付けられていて,その
ための保護カバーを装着している場合には,機関を使用する際に保護カバーが所定の位置に装着されてい
なければならないことを明記した恒久的な警告表示を,そのコンポーネントに張り付けるか,又は,その
コンポーネントに適切な言語,若しくは記号で明確に表示しなければならない。
6.2
ディストリビュータ
6.2.1
ディストリビュータが稼働する場合には,JIS F 0811の規定による引火防止要件を満足していなけ
ればならない。ディストリビュータのキャップを固定する手段は,燃料と空気との混合気が内部で爆発し
ても,キャップがシール面から浮き上がることを防止できるものでなければならない。試験中の高電圧(二
次側)点火系の配線には,機関が作動するときと同様に端子カバーブーツが取り付けられたディストリビ
ュータキャップタワーを所定の位置に装着しなければならない。
6.2.2
ベント又はドレン用の開口部には,効果的なフレームアレスタで保護するか又は同等の引火防止機
能を確保できる形状としなければならない。
5
F 1037:2003 (ISO 15584:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2.3
高電圧(二次側)点火系の配線とディストリビュータキャップタワーとの接続部は,カバーブーツ
を所定の位置に取付けずに,タワーの軸方向に最低27 Nの引張荷重を配線に加えてもそれに耐えなければ
ならない。
6.2.4
所定の位置に取り付けた端子カバーブーツは,高電圧点火系配線の外側及びディストリビュータキ
ャップタワーの外側に防水機能をもち,かつ,6.3.1に規定する耐電圧漏電試験の要求事項を満たさなけれ
ばならない。また,ディストリビュータキャップタワーの外部との密閉性は,ブーツがタワーの底にある
キャップ表面に接触する前に,その効果を得ることができる構造としなければならない。
6.3
高電圧(二次側)点火系の配線−耐電圧漏電試験
6.3.1
高電圧(二次側)点火系の配線は,高電圧線の絶縁体,ディストリビュータキャップ端子タワー及
び点火プラグのセラミック絶縁体の各外部に防水機能をもたなければならない。すなわち,質量比3 %の
接地した塩水中の水面下30〜50 mmの位置に接続部を2時間水没させた状態で,50〜60 Hzで20 kVピー
ク (14 kV r.m.s) の電圧を導線に与えても漏電してはならない。
電圧は,高電圧の自由端に接地している塩水間に,毎秒500 Vピーク (355 V r.m.s) の割合で与えること
とする。
6.3.2
試験は,6.3.2.1〜6.3.2.3の条件下で行わなければならない。
6.3.2.1
高電圧点火用配線の防水シールは,125 ℃±2 ℃の温度下で40時間保管し,次に室温において
点火プラグとディストリビュータキャップタワーとの着脱を10回行う。その後,6.3.1の耐電圧漏電試験
の規定を満足しなければならない。
6.3.2.2
高電圧点火用配線の防水シールは,JIS K 6258 による試験液Cを入れたガラス容器内に,試験液
上方25 mm±5 mmの位置につり下げた状態で密封し,30時間室温で保管する。次に容器から取り出し,
点火プラグとディストリビュータキャップタワーとの着脱を10回行う。その後,6.3.1の耐電圧漏電試験
の規定を満足しなければならない。
6.3.2.3
高電圧点火用配線の防水シールは,125 ℃±2 ℃に保持したJIS K 6258による試験油No.3の中
に40時間浸せきする。その後,試験油から取り出して室温まで冷却し,余分な試験油を取り除く。次に点
火プラグとディストリビュータキャップタワーとの着脱を10回行う。その後,6.3.1の耐電圧漏電試験の
規定を満足しなければならない。
6.3.2.1,6.3.2.2及び6.3.2.3の試験は,それぞれ異なる高電圧点火用配線で試験を実施する。
参考文献
[1] ISO 10133:2000 Small craft−Electrical systems−Extra-low-voltage d.c. installations
[2] ISO 13590:2000 Small craft−Personal watercraft−Construction and system installation requirements