F 1021:2012 (ISO 15085:2003,Amd.1:2009)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般要求事項 ··················································································································· 4
5 安全器具 ························································································································· 5
6 要求事項の一覧表 ············································································································· 6
7 滑り止め表面に対する具体的な要求事項 ··············································································· 7
8 足止めに対する要求事項 ···································································································· 8
9 手すりに対する要求事項 ···································································································· 9
10 高,低ガードレール及びガードラインの共通要求事項··························································· 10
11 ガードレール又はガードラインの詳細な強度要求事項 ··························································· 15
12 ガードラインの詳細要求事項 ··························································································· 15
13 フッキングポイントに対する要求事項 ··············································································· 17
14 ジャックラインの取付部 ································································································· 17
15 高速艇におけるボディーサポート ····················································································· 18
16 再乗艇の手段 ················································································································ 18
17 オーナ用マニュアル ······································································································· 19
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶
技術研究協会(JSTRA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS F 1021:1992は改正されこの規格に置き換えられ,また,JIS F 1022:1992は廃止され,
この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
F 1021:2012
(ISO 15085:2003,Amd.1:2009)
舟艇−乗員の落水防止及び再乗艇に関する要求事項
Small craft-Man-overboard prevention and recovery
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 15085及びAmendment 1(2009)を基に,技術的内
容を変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,追補(amendment)については,編集し,
一体とした。
1
適用範囲
この規格は,舟艇の通常の使用状態で,乗員に対して舟艇内で占有する場所から舷外への落水予防,乗
員が落水した場合の再乗艇に対する安全装置及び設備に関する設計,構造及び強度要件について規定する。
この規格は,船体の長さ24 m以下の舟艇に適用し,個々又はこれらの要求事項をこの規格の目的を達
成するために用いる。
次のタイプのボートは,適用外とする。
− 水辺の遊戯具
− カヌー,カヤック,幅1.1 m未満のその他のボート
− JIS F 1030の規定によるパーソナルウォータークラフト(PWC)
− JIS F 1051-1〜JIS F 1051-3の規定による船体の長さ8 m未満の膨脹式ボート。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 15085:2003,Small craft−Man-overboard prevention and recovery及びAmendment 1:2009(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS F 0081 舟艇−主要データ
注記 対応国際規格:ISO 8666:2002,Small craft−Principal data(IDT)
JIS F 1030 舟艇−パーソナルウォータークラフト(PWC)−構造及びシステム搭載時の要求事項
注記 対応国際規格:ISO 13590:1997,Small craft−Personal watercraft−Construction and system
installation requirements(IDT)
JIS F 1051-1 膨脹式ボート−第1部:最大出力4.5 kW以下のボート
注記 対応国際規格:ISO 6185-1:2001,Inflatable boats−Part 1: Boats with a maximum motor power
2
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rating of 4.5 kW(IDT)
JIS F 1051-2 膨脹式ボート−第2部:最大出力4.5 kW以上15 kW以下のボート
注記 対応国際規格:ISO 6185-2:2001,Inflatable boats−Part 2: Boats with a maximum motor power
rating of 4.5 kW to 15 kW inclusive(IDT)
JIS F 1051-3 膨脹式ボート−第3部:最大出力15 kW以上のボート
注記 対応国際規格:ISO 6185-3:2001,Inflatable boats−Part 3: Boats with a maximum motor power
rating of 15 kW and greater(IDT)
ISO 12217:2002 (All parts),Small craft−Stability and buoyancy assessment and categorization
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
設計区分(design category)
その状態の中であるボートの使用が適切であるとみなされる,海面と風との状況を表したもの。
適用する設計区分は,表1による。
表1−設計区分の定義
設計区分
風速(ビューフォート階級)
有義波高 m
A−“外洋”
8を超え
4を超え
B−“オフショア”
8以下
4以下
C−“インショア”
6以下
2以下
D−“平水”
4以下
0.3以下
3.2
船体の長さ(length of hull)
LH
JIS F 0081の規定による船体の長さ。
注記 船体の長さはメートル(m)で表示。
3.3
帆船(sailing boat)
主な推進手段としてセール(帆)を使うように設計された舟艇。JIS F 0081に規定している。
3.4
非帆船(non-sailing boat)
帆船の定義に一致しない舟艇。
例 モータボート,ローボート。
3.5
高速艇(high-speed boat)
最高速度が
H
10Lノット以上又は25ノット以上のいずれかに該当するモータボート。
3.6
作業甲板(working deck)
舟艇の通常の使用状態において,乗員が起立又は歩行する舟艇製造業者が指定した外部の場所。
3
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注記1 作業甲板は,通常は,通常ボートの硬い表面,甲板,天蓋,上部構造,フライブリッジなど
で構成する。また,トランポリン及びネットのような柔らかい部分の場合もある。
注記2 ある舟艇では,作業甲板は,コックピット,ストロングポイントに近づくためだけの船首甲
板に限定することがある。
注記3 舟艇製造業者が特に言及しない場合は,前後方向で25°,又は左右方向で30°以上傾斜して
いる場所は作業甲板ではない。
3.7
滑り止め表面(slip-resistant surface)
意図的な準備,機械加工,貼付け,成形などをした表面で,足(靴)と甲板の表面との間の摩擦を増加
するようにしたもの。
例 ノンスリップペイント,ダイヤ模様の成形甲板,ノンスキッドカバー,塗装なしの木製甲板,ト
ランポリン。
3.8
足止め(foot-stop)
機械加工,成形又はぎ装,甲板を切削若しくは突起物の設置又はその他の方法で,ボートが傾斜又は横
揺れしたりしたとき,足元を防御又はサポートする装置(物)。
例 トーレール,ブルワーク,コーミング。
3.9
ガードレール(guard-rail)
乗員の舷外への落水を防ぐ,固定された剛性のある構造物。
注記 補間的なライン/レール(箇条10)は,フレキシブルな場合もある。
例 木製又は金属製の堅いレール。
3.10
ガードライン(guard-line)
乗員の舷外への落水を防ぐ,固定された剛性のある構造物又はスタンションで支えられた,フレキシブ
ルなラインによって,構成されたシステム。
注記 補間的なライン/レール(箇条10)は,フレキシブルな場合もある。
3.11
スタンション(stanchion)
ガードレール若しくはガードラインを支える垂直に立っている棒又は柱。
3.12
パルピット(pulpit)
ガードレール又はガードラインに代わる,延長又は固定されたフレーム。
例 ステムパルピット,マストパルピット,スターンパルピット。
注記 通常,舟艇の前方にあり,プッシュピットは後方にある。
3.13
コーミング(coaming)
閉囲区画への水の打ち込みを防ぐために設ける甲板又は上部構造の囲壁盛部分。
4
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3.14
手掛かり(handhold)
本来の意図した主要な機能ではないが,舷外への落水の危険を防ぐために手でつかむことができるボー
トの全ての部分。
例 ハンドル,シュラウド,シートの縁,クリート,風防の上縁,ステアリングホイル,セーリング
ディンギーの足止め帯。
3.15
フッキングポイント(hooking point)
アイ,金物又はその他の部品で,それらの主要な機能ではない場合においても,セーフティハーネスを
引っ掛けてその周りの作業甲板を動き回るための(引っ掛ける)もの,例えば,ジャックライン,シュラ
ウド,ロッドチェインプレート。
3.16
ジャックライン(jack-line)
セーフティハーネスを引っ掛けて,乗員がその長さの周りの作業甲板を動き回るための,フレキシブル
なライン又は固定された棒。
3.17
再乗艇の手段(reboarding means)
他の援助を受けずに再乗艇するための,固定若しくはフレキシブルな金物又は船体の一部。
3.18
ストロングポイント(strong point)
次のいずれかの目的で使われる箇所で,その箇所は他の用途と併用してもよい。
− 投揚びょう(錨)
− 係留
− えい航又は被えい航
4
一般要求事項
4.1
作業甲板の機能
次の場所には,作業甲板,キャビン又はその両方を通過して近づくことができるようにしなければなら
ない。
− 緊急操だ(舵)を含む操だ(舵)(箇所)
− ストロングポイント
− セールの操作及びトリミング
− 船室又はキャビン
− 機関室区画
適切な場合,ボート製造業者が意図する作業甲板の文書又はスケッチをオーナ用マニュアルに記載しな
ければならない。
4.2
防止の方法
作業甲板から舷外への落水防止は,舟艇のタイプ又はデザイン,及び使用目的を考慮して,選ばれた設
計区分の範囲内で,表3又は表4による関連オプションの一つを適用して装備しなければならない。
舟艇の特定の場所には,異なるオプションを適用してもよい。
5
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4.3
デッキの最小幅
安全に足を運べるように,舷端につながる作業甲板部分は前後又は左右の両方向に対して
− 障害物がなく連続的で,舟艇が正立のときは横方向の傾斜は15°以内でなければならない。
− 幅は少なくとも,設計区分Dでは100 mm,設計区分Cでは120 mm,設計区分A又は設計区分Bで
は150 mmでなければならない。
次の箇所から直角に測って
− 足止めの内側の線まで 又は
− 足止めがない場合は,甲板の横方向の舷端まで。
注記 上記の要求事項では,幅が足りない部分の甲板は,作業甲板ではない,隣接する広い甲板又は
後部コックピットのコーミングは,サイドデッキの要求事項である。例えば,必要に応じて箇
条10によって,ガードレールの高さを定めている。
4.4
作業甲板の連続性
作業甲板面は,連続していなければならず,これは内部の通路も含む。
上下方向の変化又は障害物を乗り越えなければならないときは,特別な配慮が必要である。ステップの
高さ500 mm以上[図1 a)参照]及び長さ又は高さが500 mm以上[図1 b)及び図1 c)参照]の障害物は避
けなければならない。
単位 mm
a) ステップ
b) 長い障害物
c) 高い障害物
図1−4.4の要求事項によるイラスト
5
安全器具
安全器具に対する要求事項は,箇条6による。
表2は,9種類の異なる安全器具及びそれぞれの要求事項が規定されている箇条番号を示す。
6
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表2−安全器具の一覧
番号
安全器具の名称
規定されている箇条
1
滑り止め表面
7
2
足止め
8
3
手すり
9
4
低いガードレール又は低いガードライン(h≧450 mm)
10及び11
5
高いガードレール又は高いガードライン(h≧600 mm)
11及び12
6
フッキングポイント
13
7
ジャックライン固着ポイント
14
8
高速艇乗員のボディーサポート(必要な場合)
15
9
再乗艇の器具,仕様
16
注記 安全器具は,重要度の順に並べているわけではない。番号1〜5は甲板から上方に
ある安全器具で,番号8は高速艇だけに適用。番号9は,全ての艇に要求される
安全器具である。
6
要求事項の一覧表
6.1
一般
要求事項は,表3及び表4に示す。それぞれの設計区分に対して要求される安全器具は“○”印で示す。
必要に応じてそれぞれの安全器具は,関連する各箇条の要求事項を全て満たさなければならない。
6.2
非帆船に対する要求事項
設計区分Bは,舟艇製造業者が選択可能な二つのオプション(2及び3)を用いることができる。
注記 表3の異なるオプションは,広い幅のデザインに対する柔軟性を与えている。
表3−非帆船に対する要求事項
安全装置
番号
オプション
1
2
3
4
5
6
設計区分
A
B
LH>8.5 m
B
LH≦8.5 m
B
C
D
滑り止め表面
1
○
○
○
○
○
○
足止め
2
○
○
○
○
−
−
手すり
3
○
○
○
○
○
○
低いガードレール又は低いガードライン
4
−
−
○
−
−
−
高いガードレール又は高いガードライン
5
○
○
−
−
−
−
フッキングポイント
6
○
−
−
○
−
−
高速艇のボディーサポート(必要な場合)
8
○
○
○
○
○
○
再乗艇の方法
9
○
○
○
○
○
○
注記1 全ての設計区分において,更に上位の設計区分の要求事項を適用できる。
注記2 箇条13の要求事項に適合する手すりは,フッキングポイントとして用いることができる。
注記3 設計区分の最低要求事項だけ満たしている場合,オプションはミックスできる。
例 作業甲板端から300 mm以内にある手すりの要求事項を満たす前部ガードレール及び後部手すり。
6.3
帆船に対する要求事項
舟艇製造業者は,次のオプションを用いることができる。設計区分Bでは舟艇のサイズによって,二つ
のオプションがある(2及び3)。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
設計区分Cでは舟艇のサイズ及びタイプによって,四つのオプションがある(2,3,4及び5)。
注記 表4の異なるオプションは,広い幅のデザインに対する柔軟性を与えている。
表4−帆船に対する要求事項
安全装置
番号
オプション
1
2
3
4
5
6
設計区分
A
B及びC
LH>8.5 m
B及びC
LH≦8.5 m
C a)
日中
C b)
D
滑り止め表面
1
○
○
○
○
○
○
足止め
2
○
○
○
○
−
−
手すり
3
○
○
○
○
○
○
低いガードレール又は低いガードライン
4
−
−
○
−
−
−
高いガードレール又は高いガードライン
5
○
○
−
−
−
−
フッキングポイント(注記2参照)
6
○
○
○
○
−
−
ジャックライン固着ポイント
7
○
○
○
−
−
−
再乗艇の方法
9
○
○
○
○
○
○
注記1 全ての設計区分において,更に上位の設計区分の要求事項を適用できる。
注記2 箇条13に適合する手すりは,フッキングポイントとして用いることができる。また,転覆反転し
た多胴艇のフッキングポイントの要求事項は,13.2参照。
注記3 区分の最低要求事項だけ満たしている場合,オプションはミックスできる。
注a) オプション4は,日中だけ(夜間は不可)航行する帆船に限定する。これはオーナ用マニュアルに記
載しなければならない。
b) オプション5は,帆船に限定する。転覆若しくは横転からの復原力又はISO 12217による浮力を備え
ても装備する。
例 作業甲板端から300 mm以内にある手すりの要求事項を満たす前部ガードレール及び後部手すり。
7
滑り止め表面に対する具体的な要求事項
7.1
一般
作業甲板部は,滑り止めを施さなければならない。これらの表面は,連続する必要はない。ただし,滑
り止め間の間隔は,次の値を超えてはならない。
− 非ガラス面に対して75 mm
− ガラス面に対してこの部分の横方向に箇条8による足止めがない場合500 mm
注記1 “ガラス面”とは,ガラス,アクリル,ポリカーボネートなどのような透過材料でカバー
された表面をいう。
注記2 2番目の要求事項は,デッキハッチ500 mm×500 mmで,滑り止めの表面ではなく,かつ,
その上に乗ることがある一例を示す。また,600 mm×600 mmのハッチは,滑り止めのパ
ッチを要する。
セーリングディンギーでは,全ての箇所に滑り止めを必要とするものではない。歩行可能とみなされる
箇所である。
7.2
トランポリン及びネットに対する要求事項
作業甲板の一部となるトランポリン及びネットは,滑り止めの性質がなければならない。
作業甲板内にある深さ1 m以上及びハッチ又は蓋でカバーされていない全ての開口は,箇条9のガード
レールで閉囲するか,又はトランポリン又はネットを備えなければならない。
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 カタマランの船体と船体との間の隙間。
トランポリン又はネット及び船体の接合部は,足が挟まれる構造であってはならない。
トランポリン又はネット及び船体の接合部は,十分な強度をもち,3 000 N/m2の等分布荷重,又は最大
搭載人員の50 %の荷重のどちらか小さい方の荷重を支えることができなければならない。
8
足止めに対する要求事項
8.1
一般
図2は,足止めの一例を示す。
箇条6で要求する足止めは,8.2〜8.7の要求事項に適合しなければならない。
8.2
足止めの設置
足止めは,できるだけ作業甲板の外縁に取り付けなければならない。
次の場合,足止めは要求しない。
− 転覆後復原可能なセーリングディンギー
− 舟艇が航行中,乗員が歩行せずに着座だけとされている作業甲板部。例えば,乗員が航行中に歩行す
る帆船のデッキ端のような箇所
− モノハル艇の作業甲板の最後端(前後軸に対して直角),例えば,トランサムの上面
− マルチハル艇の作業甲板の硬い部分の最後端(前後軸に対して直角)
− マルチハル艇の前後のビーム(前後軸に対して直角)
8.3
足止めの最小高さ及び角度
隣接する作業甲板から足止めの上縁までの高さは,次の寸法よりも小さくしてはならない。
− 設計区分Cの舟艇に対して
− 帆船では25 mm,
− 非帆船では19 mm,
− 設計区分A及び設計区分Bの舟艇に対して
− 帆船では30 mm,
− 非帆船では25 mm。
これらの高さは,最小寸法値であり,足止めの内側の最高点よりも100 mm以内の甲板の最高点までを
甲板に垂直に測定する[図2 a)参照]。
足止めの内側のエッジが5 mm以上のRで丸めている場合,高さはRが始まる箇所までの距離を甲板か
ら測らなければならない[図2 b)参照]。
舷外へ滑り出ないように,足止めの内面の角度(又は接線の角度)は垂直より30°以内とする[図2 c)
参照]。ただし,非帆船に限り8.4による足止めでよい。
8.4
傾斜面のある足止め
設計区分C及び設計区分Dの非帆船には傾斜した足止めを用いる。これらの角度は,水平から20°以
上としなければならず,高さは8.3による[図2 d)参照]。また,この傾斜面には滑り止めを施さなければ
ならない。
8.5
甲板と足止め間との隙間の最大値
甲板と足止めレベルとの間に垂直な隙間がある場合には,その間に足が滑り込まないように甲板のレベ
ルと足止め下端との間の隙間は40 mmを超えてはならない[図2 e)参照]。
例 作業甲板に平行な柔らかな/硬いライン。
9
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8.6
足止め付近での作業甲板レベルの連続性
足止めの効果が確保できるように,足止めから100 mm以内の作業甲板レベルに高さ15 mm以上の段差
を付けてはならない[図2 a)参照]。
単位 mm
a)
b)
c)
d)
e)
1
デッキレベルよりも離れた足止め
a
フィレットの半径R>5 mm
b
hは8.3による。
図2−8.3,8.4,8.5及び8.6の要求事項の図示
8.7
足止めレールの切れ目
足止めレールの切れ目は,支柱,パルピットの足,クリートなどの部分又は水抜き部では認められる。
ただし,各隙間と隣り合う部品又は足止めレールの端までの長さは100 mmを超えてはならない。この距
離は,足止めの平均ラインと平行に測らなければならない。
足止めの機能をもつ取付け部品は,局部的な足止めとみなす。
例 支柱,パルピット脚,クリート。
9
手すりに対する要求事項
9.1
一般
箇条6による手すりは,9.2及び9.3の要求事項を満足しなければならない。
9.2
サイドデッキでの位置
作業甲板の外側端から300 mm内側の間に設置する手すりは,デッキレベル上少なくとも350 mm以上
の高さがなければならない。ただし,隣接する上部構造物よりも高い位置になってはならない。
作業甲板の外側端から300 mm以上の間に設置する手すりには高さの制限はない。
図3は,この要求事項を示す。
注記 この要求事項は,狭い通路では立位だけしか通過できないことによる。したがって,低い手す
りには手が届かない。
10
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作業甲板の外縁に沿った通路では,隣接する二つの手すり間の最大間隔は1.5 mを超えてはならない。
単位 mm
a
ある程度の高さ
図3−9.2の要求事項の図示
9.3
強度
手すりは,製造段階,設置状態で崩れることなく,1 500 Nの水平荷重に耐えなければならない。この要
求事項は,試験又は計算によって確認できる。
10 高,低ガードレール及びガードラインの共通要求事項
10.1 一般
箇条6のオプションに従って,ガードレールの要求事項が規定され,低いガードレール/低いガードラ
イン(h≧450)又は高いガードレール/高いガードライン(h≧600)共にその詳細は10.2の規定による。
ガードレールは,10.3,10.6及び10.8による横方向以外の場合は,作業甲板の外周を完全に閉囲しなけ
ればならない。
10.2 ガードレール又はガードラインの高さ
低いガードレール/低いガードラインの高さは,少なくとも450 mmとしなければならない。
高いガードレール/高いガードラインの高さは,少なくとも600 mmとしなければならない。
作業甲板レベルに不連続がある場合,最も低いガードレール/ガードライン及び甲板又は足止め,コー
ミング,ブルワークなどとの上下方向の隙間は,次の寸法よりも大きくしてはならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 低いガードレール/低いガードラインに対して560 mm[図4 a)参照]
− 高いガードレール/高いガードラインの中間ラインに対して380 mm[図4 b)参照]。
メインデッキ上でこの隙間の途切れは,ガードレール/ガードラインに平行に,同方向に沿って600 mm
を超えてはならない[図4 a)及び図4 c)参照]。
10.3 中間ラインの垂直方向の隙間及び最大隙間
非帆船では,硬質な高いガードレール及びパルピットでは中間ラインを付ける必要はない。
高いガードレール/高いガードラインは,中間ラインを付ける必要がある。この中間ライン,デッキ,
足止め,コーミング,ブルワークなどの上下方向との隙間は300 mmよりも大きくしてはならない。
代替手段として,中間ラインは380 mm以内の寸法で,二つの隣接する保護部の隙間を埋めるいかなる
方向のどのようなものでも置き換えることができる[図4 c)参照]。
例 足元のスペースの狭いパルピット,三脚パルピットなど。
単位 mm
a)
b)
c)
1
低いガードライン(450 mm)
2
高いガードライン(600 mm)
3
中間ライン
図4−10.2及び10.3の要求事項の図示
10.4 高い箇所からの落水の危険性
ガードライン/ガードレールによって,舷外への落水が保護されているが,作業甲板よりも高い箇所か
らの落水の危険はある。
したがって,
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 隣接する部分からH1以上高い場所にある作業甲板は,全て少なくとも箇条8にある足止めを備えなけ
ればならない。
− 隣接する部分からH2以上高い場所にある作業甲板は,全て少なくとも箇条8にある足止めを備え,か
つ,デッキの外周にあるものと同じ高さのガードライン/ガードレールを備えなければならない(図
5参照)。
単位 mm
a) 実際の高さ<H1:要求事項なし
b) 実際の高さ>H1:足止めの要件
c) 実際の高さ>H2:足止め及びガードレール/ガードラインの要件
1
足止め
2
ガードレール/ガードライン
図5−10.4の要求事項の図示
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H1及びH2はガードレール/ガードラインの高さによって,表5による。
表5−ガードレール/ガードラインの高さによるH1及びH2の値
単位 mm
ガードレール/
ガードラインの高さ
H1
H2
450
700
1 200
600
900
1 500
注記 フライングブリッジでは製造業者が定める作業甲板は,通常,フライングブリッジでの床面で
ある。
ガードライン/ガードレールの平均方向に直角に300 mmよりも内側の部分で水平投影面積をもつ箇所
は,上記の要求事項を考慮しなければならない。
10.5 ガードレール/ガードラインの開口部
ガードレール/ガードラインの開口部分は,乗員の乗降又は装備品の上下架に必要であり,この開口部
分に恒久的に固定し,容易に扱える可動部分が組み込まれている場合に認められる。これらの区画は,容
易に開放できる構造であってはならない。
セール(帆)の運搬のための開口部分は,ガードレール/ガードラインが横方向に隙間がなく,レール
間のスペースが150 mmを超えない場合には,そのまま認めることができる。
10.6 帆船の前部パルピット
バウパルピットは,切れ目があってもよい。ただし,バウパルピット間及び舟艇のいかなる部分との切
れ目は360 mm以内でなければならない。
この要求事項は,360 mmの円(板)を切れ目の間に通すことによって確認できる。この方法は,図6
に示す。
単位 mm
図6−10.6の要求事項の図示
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10.7 帆船(セールボート)のトランサムガードレール/ガードライン
10.7.1 高いガードレール/高いガードラインが要求される舟艇
− トランサム又はガードラインサポートに沿っている後部パルピットの高さは,少なくとも600 mmと
しなければならない。
− 横方向のラインは,次の場合,10.1,10.2,10.3及び12.2.1の要求事項に適合する必要はない。
− ラインの高さは,10.1,10.2及び10.3のいかなるシート部分よりも上方に少なくとも450 mmであ
る。
− ラインの高さは,コックピット底部のいかなる部分よりも上方に少なくとも800 mmである。
− 横方向のグリップラインにおいて600 mm以上の高さがあり,ライン端末から1 250 mm以上離れて
いない箇条9に適合する手すり。
− 二つの隣接するサポート間の水平距離は,2 500 mmを超えない。
図7参照。
10.7.2 低いガードレール/低いガードラインが要求される舟艇
− トランサム又はガードラインサポートに沿っている後部パルピットの高さは,少なくとも450 mm。
− 横方向のラインは,次の場合,10.1,10.2,10.3及び12.2.1の要求事項に適合する必要はない。
− ラインの高さは,上記のいかなるシートの部分よりも上方に少なくとも300 mm。
− ラインの高さは,コックピット底部のいかなる部分よりも上方に少なくとも650 mm。
− 横方向のグリップラインにおいて600 mm以上の高さがあり,ライン端末から1 000 mm以上離れて
いない箇条9に適合する手すり。
− 二つの隣接するサポート間の水平距離は,2 000 mmを超えない。
図7参照。
10.8 セーリングカタマランの前部クロスビーム
セーリングカタマランでは,前部クロスビーム上を支えるワイヤ/ロッド及びスタンションは,その高
さが最低要求値からビームの端でゼロになったとき,ガードレール/ガードラインとみなすことができる。
このワイヤ/ロッドの中央での高さは,表4のガードレール/ガードライン高さのオプションに適合しな
ければならない。
同様に,船体外縁の縦方向のガードレール/ガードラインシステムの高さは,前部ビームにいくに従い,
ゼロとすることができる。ただし,横方向の手すりとみなされる箇所と縦方向のガードレール間との最大
間隔は,0.75 mを超えてはならない。
10.9 セーリングトリマランの船体の中央
セーリングトリマランでは,船体中央の作業甲板からの舷外への落水箇所がトランポリンである場合は,
ガードレール/ガードラインは不要である。このトランポリンは,これらのエリアで少なくとも700 mm
の幅がなければならない。
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単位 mm
1
後部コーミング
2
シートレベル(座面)
3
コクピットレベル
4
手すり(バックステー,レーダー支柱など)
図7−10.7の要求事項の図示−船尾方向のトランサム配置
11 ガードレール又はガードラインの詳細な強度要求事項
ガードレール/ガードラインは,その上部のどの位置においてもそれぞれの場所で脚部に沿って及びこ
れに直角に加えられた外力を支えることができ,次の全ての要求事項を満足しなければならない。
− 280 Nの水平荷重を加え,その位置でのたわみは,50 mm以下とする。このたわみは,ガードレール
及びそのサポートの両方のもので,ベースとトップとの間である。サポートとベースとの間に隙間が
ある場合には,遊びがなくなるまで十分にサポートを傾け,たわみを測らなければならない。力を取
り去った後は,ガードレール及びサポートには永久たわみがあってはならない。
− 560 Nの水平荷重によって,破壊しない。
この要求事項に適合していることを計算又は試験によって,提示しなければならない。後者の場合,実
船上で行うか又はガードレール及びそのサポートをテストジグに装着して行わなければならない。
12 ガードラインの詳細要求事項
12.1 高いガードライン,低いガードライン及び中間ガードラインに対する要求事項
高いガードライン,低いガードライン及び中間ガードラインの強度は,表6による。
化成品で製作されたラインには,耐摩耗性がなければならず,耐摩耗保護を施さなければならない。特
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に支柱及びパルピットの支持点では,耐摩耗性の対策を施さなければならない。
化成品ラインの経年変化,紫外線(UV)又は磨耗に対する定期的検査又は交換が必要な場合,その検査,
交換の時期及びその内容は,オーナ用マニュアルに記載しなければならない(箇条17参照)。
表6−高いガードライン,低いガードライン及び中間ガードラインに対する要求事項のまとめ
設計区分
ガードラインの
最小限界強度
N
概略a)
1×9 AISI 316
鋼製ワイヤの直径
mm
概略a)
7×19 AISI 316
鋼製ワイヤの直径
mm
A
13 000
4
5
B及びC
9 000
3.5
4.5
注記 ここでの径はワイヤだけのものであり,カバーは含んでいない。
注a) 指示された直径のワイヤの抵抗は,ワイヤ製造業者が検査する。
ガードラインには,確実な保持ができるように常にテンションが加わった状態としなければならない。
ガードラインを形成する全ての部分は,取り付けた状態で,表6に規定する最小限界強度に耐えなけれ
ばならない。この要求事項は,試験又は計算によって,立証しなければならない。
12.2 スタンション又はガードラインサポートに対する要求事項
12.2.1 間隔
スタンション又はガードラインサポートの間隔は,2.2 mを超えてはならない。
12.2.2 強度
スタンション又はガードラインサポートは,その上部で,それぞれの方向に直角な次に示す外力を加え
たとき,適切な結果を得なければならない。
− 280 Nの水平荷重を加え,スタンション又はガードラインサポートに荷重がかかった状態のとき,荷
重点で50 mm以下のたわみである。スタンション及びベース間に隙間がある場合,遊びがなくなるま
で十分にスタンションを傾けた状態でたわみを測定しなければならない。力を取り除いてもスタンシ
ョン又はサポートに永久ひず(歪)みがあってはならない。
− 560 Nの水平荷重で破損しない。
上記の検査は,ラインを取り付けることなく,スタンション単独で行わなければならない。
この要求事項は,少なくとも装置の1サンプルに対して(スタンション又はガードラインサポート,ベ
ース,固定装置),試験又は計算によって立証することができる。試験の場合,たわみ及び強度は,実船上
で計測する必要はない。ただし,スタンション及びそのサポートは,ジグ上で試験することができる。
12.2.3 スタンション及びラインサポートの固着並びに配置
スタンション/ラインサポートは,機械的にそのサポートに固定しなければならない。ただし,ガード
ラインの引張力は,この要求事項を満足することを考慮していない。
ガードラインは,垂直及び水平方向にスタンション/ラインサポートによって,支えられていなければ
ならない。
ライフライン/ラインサポートは,甲板から高さ50 mm以上のどの箇所においても垂直方向に対して,
舷外に10°以上傾いてはならない。
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13 フッキングポイントに対する要求事項
13.1 一般
箇条6によるフッキングポイントの規定は,13.2〜13.4の要求事項を満足しなければならない。
13.2 位置
フッキングポイントの配置は,次による。
a) 主な通路ハッチ/ドアの端から1 m以内
b) 外部の操だ(舵)位置から2 m以内
c) 帆船(セールボート)のマストから2 m以内
d) 帆船(セールボート)のウインチ位置から2 m以内
e) ウインドラス又はえい航用ストロングポイントから2 m以内
フッキングポイントは,3 m以上離れてはならない。
設計区分A及び設計区分Bのマルチハルセーリングクルーザは,転覆した場合を想定して,それぞれの
脱出ハッチのそばに1個以上のフッキングポイントを備えなければならない。
13.3 寸法
ハーネスフックが正しく閉じるように,フッキングポイントの軸直径は,15 mm未満としなければなら
ない。
13.4 強度
フッキングポイントは,設計区分A及び設計区分Bでは6 000 Nの水平荷重に,設計区分Cでは3 600 N
の水平荷重にそれぞれ耐えなければならない。この要求事項は,試験又は計算によって立証できる。14.3
の強度を満足する場合には,フッキングポイントにジャックラインを取り付けることができる。
フッキングポイントは,その目的のためだけに特別な設計をする必要はないが,強度は満足しなければ
ならない。
例 クリート,パルピットの脚部,スタンションの基礎部分など。
14 ジャックラインの取付部
14.1 一般
箇条6にあるジャックラインの取付部は,次の要求事項を満足しなければならない。
14.2 取付け
ジャックラインの取付箇所は,デッキ上の左舷及び右舷に設け,ジャックラインを確実に支持しなけれ
ばならない。このラインはボート運航に必要な作業甲板上における移動が可能なように,十分な長さがな
ければならない。
ジャックラインは,セクションに分けて取り付けることができる。ただし,それぞれのセクションの長
さは実用上問題があってはならない。取付部は,各セクションの端末になければならない。
14.3 強度
ジャックラインの取付部は,その位置で水平から上方30°までの方向に20 000 Nの荷重をかけたとき,
耐えなければならない。この要求事項は,試験又は計算によって立証することができる。
注記 ジャックラインの取付部は,この目的のために特別に設計する必要はない。
例 クリート,パルピットの脚部,スタンションのベース。
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15 高速艇におけるボディーサポート
15.1 一般
全ての設計区分の高速艇は,運航中に急旋回,急加速又は外洋での動揺時に舷外に投げ出されることを
防ぐために,乗員のサポートを装備しなければならない。
この要求事項は,舷外に投げ出されるのを防ぐことを考慮するだけで,作業甲板又はコクピット内の箇
所への倒れ込みは考慮していない。
次のオプションの一つが,乗員のサポートとして装備していなければならない。
− 箇条9の規定による一つの手すり,15.2の規定によるボディーサポート
− 箇条9の規定による二つの手すり,両手それぞれで同時につかむことができるもの
注記 少なくとも200 mmの間隔があり左右の手で握ることができるとき,二つの手すりはどのよ
うなものでもよい。
15.2 ボディーサポート
乗員が座っている場合のボディーサポートの高さは,座面の硬い底面から120 mmよりも低くしてはな
らない。座面にクッションがある場合には,十分に圧縮した状態で上記の寸法とする。
乗員が立位又はよりかかっている場合,ボディーサポートは背又は胴だけを支えることでよい。
乗員がまたがって座っている場合,ボディーサポートは,膝の動きに合わせたものとなる。
16 再乗艇の手段
16.1 一般
舟艇には,次のa)及びb)による再乗艇の手段が備えられていなければならない。
a) 水から再乗艇するための特定の手段として,例えば,はしご,ステップ,握り,ブラケットなどを備
えなければならない。又は
b) 船の特性(例 低い乾舷又は船体の一部による)として,水面から再乗艇のための特定の装備がない
状態で再乗艇できる場合には,再乗艇のための装備を備える必要はない。これは,JIS F 0081の規定
による,舟艇が軽荷状態mLCCで乾いた衣服の状態の体重が少なくとも75 kgの1名によって単独で実
施された物理的試験による。
16.2 再乗艇手段に対する要求事項
恒久的に固定されていない再乗艇のための特定の手段は,容易に近づくことができ,道具を使用するこ
となく,セッティングできなければならない。
特定の手段は,次による。
− 人の助けなしで,一人で使用可能
− 舟艇が静止状態で軽荷状態mLCCで当該手段の最下端が水面下300 mmよりも下方にあり,フットステ
ップとして使用できる。
16.3 オーナ用マニュアルに記載する一般的な情報
いかなる舟艇に対して再乗艇の方法は,オーナ用マニュアルに記載しなければならない。
16.4 再乗艇のための特定の手段を水面から利用できない舟艇に対する追加情報
落水者が再乗艇のための特定の手段を水面から利用できない舟艇に対する追加情報は,オーナ用マニュ
アルに記載しなければならない。その記載内容とは,再乗艇の手段に関する情報及び警告は,投びょう(錨),
係留,静止又は航行中の全ての状態で舟艇に恒久的に装備しなければならないことである。
これは,操だ(舵)ステーションの近くに,ラベルによって説明しなければならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
17 オーナ用マニュアル
舟艇に備えるオーナ用マニュアルは,この規格の細分箇条に要求されている,表7の規定を記載しなけ
ればならない。
表7−オーナ用マニュアルに対する要求事項
JIS F 1021に
おける細分箇条
オーナ用マニュアルにおいて要求される指示
4.1
必要な場合,オーナ用マニュアルに記載の文章又はスケッチは,舟艇製造
業者が定める作業甲板を指示。
6.3及び表4の
オプション4
オプション4が使われる場合,オーナ用マニュアルにおいて,この舟艇は
日中だけ使用可能で夜間は使用不可ということを記載する。
12.1
可能な場合,ガードラインの保守情報。これは化成品ワイヤの紫外線(UV)
劣化及び交換を要する摩耗状態を記載する。
16.3
いかなる舟艇における再乗艇方法を記載する。
16.4,関連部分
再乗艇の手段が水面から利用できない舟艇に関して:
再乗艇の手段に関する情報及び警告は,投びょう(錨),係留,静止又は航
行中の全ての状態で舟艇に恒久的に記載する。説明用のラベルが操だ(舵)
ステーションの近くにあることの警告。
参考文献
[1] JIS F 1040:2004 舟艇−開口要件−窓,ポートライト,ハッチ,デッドライト及びドア−強度と水密
性に関する要求基準
注記 対応国際規格:ISO 12216:2002,Small craft−Windows, portlights, hatches, deadlights and doors
−Strength and watertightness requirements(IDT)
[2] ISO 12401:2009,Small craft−Deck safety harness and safety line−Safety requirements and test methods