F 0904:2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶
標準協会(JMSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標
準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS F 0904:1981
は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS F 0904には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) 測定結果 様式1
附属書2(規定) 測定結果 様式2
附属書3(規定) 測定結果 様式3
附属書4(規定) 測定結果 様式4
附属書5(参考) 詳細な騒音レベル測定を必要とする場合の測定要領
F 0904:2002
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ················································································ 1
2. 引用規格 ················································································ 1
3. 測定の目的 ·············································································· 1
4. 測定条件 ················································································ 1
4.1 船舶の状態 ············································································· 1
4.2 機器の運転状態 ········································································· 1
4.3 その他 ················································································· 1
5. 測定要領 ················································································ 1
5.1 計測器 ················································································· 1
5.2 使用する聴感補正回路及び測定値の表示法 ················································· 1
5.3 使用する動特性及び指示値の読み方 ······················································· 2
5.4 マイクロホンの使用方法·································································································· 2
5.5 測定場所 ··············································································· 2
6. 測定結果のとりまとめ方法 ································································ 3
6.1 記載する事項 ··········································································· 3
6.2 機関室代表騒音レベル ··································································· 4
附属書1(規定) 測定結果 様式1 ·························································· 5
附属書2(規定) 測定結果 様式2 ·························································· 6
附属書3(規定) 測定結果 様式3 ·························································· 8
附属書4(規定) 測定結果 様式4 ·························································· 9
附属書5(参考) 詳細な騒音レベル測定を必要とする場合の測定要領 ··························· 10
解説 ······················································································ 15
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日本工業規格 JIS
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機関部の騒音レベル測定方法
Shipbuilding-Measurement of noise level on board vessels (machinery part)
1. 適用範囲 この規格は,一般商船の海上試運転時における機関部の騒音レベルの測定方法について規
定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1502 普通騒音計
JIS C 1505 精密騒音計
3. 測定の目的 この測定は,船舶機関室内の監視,操縦,一般保守作業などを行う場所の騒音レベルを
把握するために行う。
4. 測定条件
4.1
船舶の状態 船舶は,海上運転時でバラスト又は満載喫水状態とし,直進航行時とする。
4.2
機器の運転状態 主機関は,常用出力とし,これに必要な各補機器が正常に運転されている状態と
する。
なお,間欠運転機器は,停止した状態が望ましい。
4.3
その他
a) 機関室天窓がある場合には,これを閉鎖する。
b) 機関室出入口の扉,窓などは,閉鎖して測定を行う。また,機関室の壁で囲まれた室内を測定する場
合には,各とびらを閉鎖し,人のいない状態とする。ただし,人払いが不可能な場合には,静粛を要
求し,在居人数を測定結果に付記しなければならない。
例 機関制御室,工作室など。
5. 測定要領
5.1
計測器
a) JIS C 1502 に規定する普通騒音計又はJIS C 1505に規定する精密騒音計若しくはこれと同等又はそ
れ以上の性能をもつ騒音計及び周波数分析器を使用する。
b) 騒音計は,計量法による検定に合格したものでなければならない。
5.2
使用する聴感補正回路及び測定値の表示法
a) 測定は,騒音レベルで行うが,特に指定した箇所は周波数分析を行う。
b) 騒音レベルは,聴感補正回路のA特性を使用し,測定値は“dB(A)”で表示する。
c) 周波数分析は,次による。
2
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1) 周波数分析は,A特性又はC特性のいずれかとし,表1に示す中心周波数によるオフターブバンド
分析とする。
なお,C特性で分析した場合には,音圧レベルを併記するのが望ましい。
表1 オクターブバンド中心周波数
中心周波数(Hz)
63
125
250
500
1 000
2 000
4 000
8 000
2) 測定値は,デシベル(dB)で表示する。
なお,分析をA特性で行った場合には,特性名“(A)”を“dB”の後に付ける。
5.3
使用する動特性及び指示値の読み方
a) 動特性 緩(slow)を使用する。
b) 指示の読み方 指示針の振れが大きいときは,その最小レベル及び最大レベルを明記し,その中央値
で代表させる。この場合の表示方法は,次による。
例 80 (73,89)dB(A)
最大レベル
最小レベル
中央値(必ずしも最大レベルと最小レベルの平均とは限らない。)
5.4
マイクロホンの使用方法
a) マイクロホンの高さは,床面から約1.2 mとする。
b) マイクロホンの方向は,水平とし,機関室中央方向とする。
c) 風速の影響のある場所は,なるべく避ける。避けられない場合には,マイクロホンにウインドスクリ
ーンを設ける。
d) ダイナミックマイクロホンを使用する場合には,特に磁場(変圧器,発電機,電動機など)に注意し
なければならない。
5.5
測定場所 測定しなければならない場所を,表2に示す。
3
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表2 測定場所
番号
場所
マイクロホン方向
オクターブバン
ド分析の有無
備考
1
主機関又はエンジン
オープニング周り
(各デッキ)
主機関又はエンジ
ンオープニング中
央方向
×
1〜4は,主機関又はオープニングエンドか
ら約1 mのところ
2
機関室最上段中央
機関室下方向
×
機関室ケーシング内最上段中央で機関室を
見下ろすことのできる場所
3
機関制御室中央
機関室中央方向
○
4
工作室中央
機関室中央方向
○
5
バーナ前
ボイラ
×
ボイラ運転時だけ
6
主配電盤前
機関室中央方向
×
機関制御室内設置の場合は不要
7
主機操縦装置前(機
側)
主機関
×
8
油清浄機室
機関室中央方向
×
9
機関室出口
機関室中央方向
×
10
その他
機関室中央方向
×
作業又は監視をする場所
備考 詳細な騒音レベル測定を必要とする場合の測定要領を附属書5(参考)に示す。
6. 測定結果のとりまとめ方法
6.1
記載する事項 測定結果には,附属書1〜4を参照のうえ,最低次の内容を記載する。
a) 測定船の概要 船名,船種,トン数(DWT及びGT),寸法(垂線間長Lpp×形幅B×深さD×満載喫
水d×機関室長l),船級
b) 測定時の一般条件 喫水,天候,海面状態及び風速
c) 機関部騒音源機器要目及び測定時の運転状態
例 主機関,プロペラ,発電機,強圧送風機,空気圧縮機など
d) 使用計測器 計器の種類,準拠規格,形式,製造業者名
e) 測定結果 附属書2に準拠し,次の内容を記載する。
1) 機関室代表騒音レベル
2) 測定場所
3) 測定レベル(騒音レベル及びオクターブバンド分析結果)
4) 音のフィーリング(耳判断),その他の特記事項
f) 騒音周波数分析図 周波数分析した結果を図示する場合,C特性で測定したオクターブバンドレベル
は,附属書3による。また,A特性で測定した場合には,附属書4による。
g) 測定位置 e)に対応させた測定位置図を記載する。これは,概略の位置及び寸法の分かるものが望ま
しい。
例 機関室配置図に測定位置を記入したもの。
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6.2
機関室代表騒音レベル 機関室内騒音を代表する騒音レベルは,次のように定義する。
− 測定場所(表2参照)の主機関又はエンジンオープニング周りの測定騒音レベルのうち,上甲板下
2層(1) 合計8点の平均騒音レベルをもって測定船の機関室代表騒音レベルとする。
なお,平均騒音レベルの算出に使用した測定数値を○で囲む。
注(1) 上甲板下2層がとれない場合は1層とする。
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附属書1(規定) 測定結果 様式1
船
種
ト
ン
数
DWT
GT
船
級
寸
法 Lpp B D d 機関室長さ l
× × × m
測定日時 平成 年 月 日 時 分〜
本船の状態 C.S.O・M.C.O・M/E STOP( ) BALLAST・FULL DRAFT(喫水 m)
天 候
海面状態
風
速
m/s
使用計測器
騒
音
計
準拠規格
オクターブバンド分析器
準拠規格
形
式
製造業者名
要 目
測定時の運転状態
備 考
項 目
台 数
容 量
使用台数
負 荷 状 態
主
機
型 式
連続出力
kW/ rpm
常用出力
kW/ rpm
過給機
(ディーゼル船
だけ)
型式
rpm
プ
ロ
ペ
ラ
型式:
翼数:
発電機
T/G
kW/ rpm
kW
D/G
kW/ rpm
kW
主・補ボイラ
機関室
通風機
給
排
空気圧縮機
Fd. W. P. & T.
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附
属
書
2
(
規
定
)
測
定
結
果
様
式
2
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附属書3(規定) 測定結果 様式3
位置番号( ) 測定場所:
9
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附属書4(規定) 測定結果 様式4
S.No.
位置番号( ) 測定場所:
10
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附属書5(参考) 詳細な騒音レベル測定を必要とする場合の測定要領
この附属書(参考)は,詳細な騒音レベルを必要とする場合の測定要領について記述するものであり,
規定の一部ではない。
1. 適用範囲 この附属書は,機関部機器周りの騒音測定及び室又は区画壁などの遮音(防音)効果を確
認するための測定要領について示す。
2. 測定要領
2.1
マイクロホンの位置と方向 マイクロホンの位置と方向は,次のとおりとするが,測定点が2点以
上ある場合には,相互に2 m以上,また,反射面とは少なくとも1 m以上離れた点を選ぶものとする。
a) 騒音源機器周り 騒音源機器周りのマイクロホンの位置及び方向は,附属書5表1による。
附属書5表1 機器周りマイクロホンの位置及び方向
機器の大きさ
マイクロホンの位置
マイクロホンの方向
備考
対象物からの距離
高さ
中・小形機器
(最大寸法0.5 m未満)
表面から0.3 m
機器方向
計測用紙に特記する。
大形機器
(最大寸法0.5m以上)
表面から1m
原則1.2m
備考 減圧弁などは,中形・小形機器に準じる。
b) 通風管,吸気・排気管など 通風管,吸気・排気管などの空気流の影響が考えられる箇所の音源騒音
測定は,附属書5図1に示すように開口端空気流方向に対し,約30度の方向で1 mのところにマイ
クロホンを設置し,風速の影響を避けるように配慮して,開口端方向とする。
なお,風速の影響が避けられない場合は,ウインドスクリーンを装着するなどの配慮をする。
附属書5図1 空気流のある場合のマイクロホンの位置及び方向
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c) 遮音(防音)効果確認測定 遮音(防音)効果確認測定は,附属書5図2に示すように測定対象パネ
ル中央で,面対称の位置にマイクロホンを設置し,方向は,壁面に対し垂直とする。
壁からの距離は,詳細測定の場合は各15 cm,概略測定の場合は,各1 mとする。
附属書5図2 遮音(防音)効果確認のためのマイクロホンの位置及び方向
2.2
測定場所 タービン船及びディーゼル船の測定場所の例を参考表2〜3に示す。
附属書5表2 測定場所例
番号
場所
タービン船
ディーゼル船
1
主機周り
中速エンジンを主機とする場合,減速歯
車周りを追加測定する(エンジン周り測
定は,上図のように1台4点を原則とす
る。)。
2
船尾(プロペラ)
ローワフロア(最下甲板)
(船尾音測定)
3
操だ(舵)機室
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附属書5表2 測定場所例(続き)
番号
場所
タービン船
ディーゼル船
4
ディーゼル発電機
運転中のものに対して測定する。
5
ターボ発電機
運転中に主止め弁操作側で測定する。
6
主機関用ターボチ
ャージャ(ディー
ゼル船)だけ
a) 1台の場合の例
b) 2台以上の場合の例
7
機関室通風機
a) 吸気・排気通風機は,運転中のものをすべて測定し,その位置は次の図による。
b) 通風機が通風機室内に設けられる場合には,その室内の騒音レベルも併せて測
定する。また,吸気・排気口についてもできる限り上記と同様に測定すること
を原則とする。
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附属書5表2 測定場所例(続き)
番号
場所
タービン船
ディーゼル船
8
タービン駆動各種
ポンプ
例 給水ポンプ,C.O.P. & T., P.W.B.P & T.etc.
運転中に主そく(塞)止め弁操作側で測定する。
9
強圧送風機
運転中のものは,すべて測定する。
10
空気圧縮機
駆動中の空気圧縮機の空気吸入側で測定する。
11
イナートガスファ
ン(タンカーだけ)
12
造水装置
13
その他
その他騒音を発生する機器周りを測定する。
例1. 減圧弁
例2. 耳で感じる騒音源機器
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附属書5表3 遮音(防音)効果測定場所例
番号
場所
タービン船
ディーゼル船
1
機関制御室壁
測定条件
a) 各とびらは閉の状態で,室内には人のいないこととする。ただし,人の居る場
合には,測定結果に人数を明記する。
b) 測定場所は各とびら,各側壁,天井,床,ガラス壁などの中央とし,測定点は
壁対称に各1点とする。
2
工作室防音壁
密閉区画室で
ない場合は測
定不要
3
上甲板
機関部及び居住
区壁
測定条件
a) 各とびらは閉の状態とする。
b) 測定場所は,各とびら内外,船首,左玄,船尾,右玄各壁の中央で,壁対称に
各1点とする。
なお,居室の床が機関室に直接接する部屋は,次の図のように内外各1点測
定する。
4
ケーシングトップ
機関部及び居住
区壁
ケーシング内
で一番高い所
5
機関部と接する居
住区床
備考1. それぞれの測定条件で測定することが望ましい。
2. 測定する場合には,オクターブバンド分析も行う。