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F 0811 : 2002  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本船舶標準協会 (JMSA) から、

工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国

土交通大臣が制定した日本工業規格である。 

ISO 8846 : 1990 (Small craft−Electrical devices−Protection against ignition of surrounding flammable gases) 

を基礎として用いた。 

JIS F 0811には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考) 参考文献 

附属書1(規定) 非密封機器に対する爆発引火試験の改善方式(試験装置及び試験方法の概要) 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

F 0811 : 2002  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 2 

3.1 可燃性炭化水素混合物 (flammable hydrocarbon mixture)··························································· 2 

3.2 引火防止構造電気機器 (ignition-protected device) ··································································· 2 

3.3 点火源 (ignititon source) ··································································································· 2 

3.4 正常の作動状態 (normal operating coinditions) ········································································ 2 

4. 試験プログラム ··············································································································· 2 

4.1 外表面温度試験 ············································································································· 2 

4.2 気密性試験及び爆発引火試験 ···························································································· 2 

5. 外表面温度試験 ··············································································································· 2 

6. 気密性試験−密封機器 ······································································································ 2 

6.1 試験装置 ······················································································································ 2 

6.2 試験方法 ······················································································································ 3 

7. 爆発引火試験−非密封機器 ································································································ 3 

7.1 試験装置 ······················································································································ 3 

7.2 試験の準備 ··················································································································· 3 

7.3 試験方法 ······················································································································ 7 

7.4 非密封機器に関する特記事項 ···························································································· 7 

8. 表示 ······························································································································ 8 

附属書A(参考) 参考文献 ·································································································· 9 

附属書1(規定) 非密封機器に対する爆発引火試験の改善方式 (試験装置及び試験方法の概要) ···· 10 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 ······························································· 13 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 0811 : 2002 

舟艇−電気機器−周囲の可燃性 

ガスへの引火防止 

Small craft−Electrical devices−Protection against ignition of 

surrounding flammable gases 

序文 この規格は,1990年に第1版として発行されたISO 8846, Small craft−Electrical devices−Protection 

against ignition of surrounding flammable gasesを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格であ

る。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,舟艇で使用する電気機器が周囲の可燃性ガスに引火させずに爆発環境下で作

動できるようにするための試験方法及び設計要件について規定する。ただし,JIS C 0930の規定による耐

圧防爆又は防爆の電気器具を要求するものではない。 

この規格は,水素と空気の混合気体中で作動する機会がある製品又は部品への引火防止構造を扱うもの

ではなく,試験中の電気機器に関係ない静電気,落雷,その他の外部の要因による引火を扱うものでもな

い。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 8846 : 1990 Small craft−Electrical devices−Protection against ignition of surrounding 

flammable gases (MOD)  

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格はその最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 0930 電気機器の防爆構造総則 

備考 IEC 60079-0 Electrical apparatus for explosive gas atmospheres Part 0 : General requirements, 

am-1 (2000-04) からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 0931 電気機器の耐圧防爆構造 

備考 IEC 60079-1 Electrical apparatus for explosive gas atmospheres Part 1 : Construction and 

verification test of flameproof enclosures of electrical apparatusからの引用事項は,この規格

の該当事項と同等である。 

JIS C 0935 電気機器の本質安全防爆構造 

備考 IEC 60079-11 Electrical apparatus for explosive gas atmospheres Part11 : Intrinsic safety "i" から

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 

可燃性炭化水素混合物 (flammable hydrocarbon mixture)  プロパン及び空気が爆発下限 (LEL) と爆

発上限 (UEL) との間の割合(容積百分率)にあり,何らかの手段で点火すると爆発する混合物。プロパ

ン及び空気を使用して行う試験は,船舶用の燃料と空気との混合物で,LELとUELとの間にある混合物

を使用して行う試験と同等とみなす。 

3.2 

引火防止構造電気機器 (ignition-protected device)  4.に示す試験プログラム要件に合致する電気機

器。 

3.3 

点火源 (ignititon source)  

a) 点火させるだけのエネルギーをもつアークを発生させるおそれがあるすべての電気接点,整流子若し

くはブラシ装置又は集電管及びブラシ。 

b) 可燃性混合物を点火させるのに十分な温度で作動する可能性がある抵抗器その他の部品又は表面。 

3.4 

正常の作動状態 (normal operating conditions)  電気機器の作動状態のうち,定格電流の400%までの

最大可能負荷状態(回路遮断器,スイッチその他の類似物)及び製品の製作者が規定する過電流保護装置

で保護された回路をもつモータのロータ停動状態を含むすべての作動状態。 

4. 試験プログラム 

4.1 

外表面温度試験 作動中に電気機器の外表面温度が周囲温度より100℃以上高くなるような電気機

器は,5.の外表面温度試験を実施しなければならない。定格が連続運転でなく,かつ,瞬時に作動するス

イッチと接続されているエンジンのスタータのような電気機器,推進装置トリムモータ及びその他の間欠

運転装置についてはこの試験は行わない。 

4.2 

気密性試験及び爆発引火試験 作動中に火花又はアークを発生するおそれがある電気機器(スイッ

チ,リレー,発電機,ヒューズ,ディストリビュータ,スタータなど)は,密閉されているとみなすこと

ができる場合,6.の気密性試験によって又は密閉されていない場合,7.の爆発引火試験によって試験しなけ

ればならない。 

5. 外表面温度試験 外表面温度試験は,次による。 

5.1 

供試電気機器を,初期温度60℃±2℃の密閉防熱した空気循環式の炉の中に置く。炉中に置いた供試

電気機器の発熱のほかに適切に熱を加え,炉の中の温度を60℃±2℃の一定温度に保持する。 

5.2 

試験の電源電圧は,温度上昇を最大にするよう,供試電気機器の呼び電圧の80%〜120%の範囲で調

節を行う 

5.3 

供試電気機器は,電流が最大になるようなモードで7時間以上連続して作動しなければならない。 

5.4 

供試電気機器外表面の任意の点で測定したときの最高許容表面温度は,200℃とする。 

6. 気密性試験−密封機器 運転中に火花又はアークを発生する可能性がある電気機器は,その電気機器

が気密で周囲の気体が中に侵入するおそれがないと考えられる場合には,6.1及び6.2によって試験を行う。 

6.1 

試験装置 図1に示す水槽を用いる。 

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F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 密封機器用水槽 

6.2 

試験方法 試験方法は,次による。 

6.2.1 

供試電気機器を室温で水槽中に沈め,漏れが考えられる箇所がその頂部で,水面下340mm〜370mm

になるような姿勢に置く。試験は必要に応じて,漏れが考えられるすべての箇所に対して実施する。試験

時間は姿勢を変えるごとに15分とする。 

6.2.2 

試験時間を通じて,試験中の供試電気機器に漏れがある証拠として,泡又は泡の流れが発生してい

るかどうかを注意深く観察する。 

6.2.3 

泡が,供試電気機器の電気部分から発生していることを認めた場合には,その供試電気機器は非密

封機器と考え,7.によって試験を行わなければならない。 

6.2.4 

泡が認められない場合には,その供試電気機器を水槽から取り出し,外面を乾燥する。 

6.2.5 

その供試電気機器を,内部検査のために分解する。 

6.2.6 

供試電気機器の内部に水が見られない場合には,その供試電気機器は密閉された引火防止構造とし

て認められる。水が見られる場合には、7.によって試験を行わなければならない。 

7. 爆発引火試験−非密封機器 7.1〜7.4による試験は,運転中に火花又はアークを発生する可能性があ

り,かつ,開放されていて周囲の気体が内部に侵入するおそれがあると考えられる電気機器について行う

ものとする 

6.による試験を実施した後で非密封機器と判定した電気機器は,7.1〜7.4に示す爆発引火試験を実施しな

ければならない。 

7.1 

試験装置 大形の非密封機器には図2に示す試験装置,小形の非密封機器には図3に示す試験装置

を用いるものとする。試験チャンバには圧力逃がしふたを設けなければならない。 

7.2 

試験の準備 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.1 

プロパン及び空気の可燃性混合気体を,内径1.5mm〜6.5mmの固い管又は柔軟な管を通して供試

電気機器に導入する手段を設ける。管の内径は,供試電気機器を1分間に2回以上発火させる割合で試験

を維持できるだけの最小内径を基準として選択する。混合気体のサンプルを供試電気機器から分析器に供

給する管(図2参照)は,内径を1.5mmとし,長さを150mm以上としなければならない。 

7.2.2 

混合気体を必要な速度で導入するだけの大きな開口をもたない供試電気機器は,自由端を試験チャ

ンバ内に開いた長さ150mm以上の銅管による通気管を設けなければならない。その通気用銅管の内径は,

供試電気機器の吸気に必要な内径と同じにしなければならない。 

7.2.3 

電気機器への給気管及び供試電気機器からガス分析器への供給管の両方とも直接取り付けるには

供試電気機器が小さすぎる場合は,ティー金物を設けてそれらの管を接続し,供試電気機器にはそのティ

ー金物から長さ150mm以上,内径1.5mmの硬い管又は軟らかい管1本を入れるようにする(図3参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(1) 多発か単発かは,オプション。 

図2 大形の非密封機器用試験装置 

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F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(1) 多発か単発かは,オプション。 

(2) 場所がある場合,圧力変換器を使用する。 

図3 小形の非密封機器用試験装置 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.4 

供試電気機器の接点若しくは試験のために取り付けられた点火プラグ又は点火プラグ状のものに

は,ギャップを設けて火花を飛ばすようにする必要がある。ギャップの大きさは,規定された混合気体を

一貫して着火させるだけの大きさとするのが望ましく,可能な場合2.5mmとするのがよい。この火花ギャ

ップは,供試電気機器の中で通常火花が発生する部分にできるだけ近くに設けなければならない。例えば,

電動機では点火プラグは整流子の端に取り付けなければならない。 

7.2.5 

試験チャンバ点火装置は,単発火花装置として周囲の混合気体に容易に引火するようにしなければ

ならない。 

7.2.6 

供試電気機器内部で引火したことは,通常,爆発音を検知することによって確認できる。破裂音及

び打撃音がはっきりと聞こえない場合には,供試電気装置内の圧力上昇を調べる手段を設けるか,長さ

20mm以下,内径6.5mm以下の供給管を通してせん光又は燃焼を観察する手段を設ける(図3参照)。こ

の場合供試電気機器に大きな穴をあけて透明な管を接続する。その穴は,十分大きくして,燃焼が消えず

に透明管内に伝えられなければならない。 

7.3 

試験方法 

7.3.1 

容積比でプロパン (4.75±0.25) %を空気に混ぜた混合気体を試験チャンバに満たす。この試験チャ

ンバ内の混合比は,全試験サイクルの間保持する。 

7.3.2 

圧力変換器の指示値を見ながら混合気を変化させて最大の圧力上昇を得るように決定した混合気

体を供試電気機器に満たす。この混合比は,試験の間保持する。利用できる空間が狭く最も小さい圧力変

換器さえ取り付けることができない場合には,容積比で空気に対するプロパン (4.25±0.25) %の混合比を

使用し,供試電気機器にプロパン−空気の混合気体を供給する透明管を通して見えるせん光によって燃焼

を確認しなければならない(図3参照)。 

7.3.3 

適正な混合が確定した後,注入を止めて供試電気機器の混合気体に火花で点火する。供試電気機器

の混合気体に点火しようとしてもできない場合には,7.3.1の段階に戻って装置と試験チャンバから気体を

追い出し,7.3.1〜7.3.4の段階だけを繰り返す。全試験を繰り返すことはしない。 

7.3.4 

供試電気機器内の燃焼を確認する。 

7.3.5 

7.3.1〜7.3.4の段階を,更に9回連続して繰り返す。 

7.3.6 

10回の爆発引火試験の後に,単発火花で試験チャンバの混合気体に点火し,それが非常に可燃性

の強いことを確認する。試験チャンバ内の混合気体に点火しようとしてもできない場合には,供試電気機

器及び試験チャンバから気体を追い出し,試験手順の中の10サイクル部分について7.3.1〜7.3.4の操作を

繰り返す。全試験を繰り返すことはしない。 

7.3.7 

更に連続して4回7.3.1〜7.3.6の操作を繰り返す。電気機器が着火しても試験チャンバ内に引火し

ない場合には(段階7.3.6),その電気機器は引火防止構造とする。 

7.4 

非密封機器に関する特記事項 

7.4.1 

スタータ スタータを試験するとき,ピニオン歯車は,モータ部分に通電するときの通常の作動位

置に置かなければならない。ピニオン歯車が引っ込んだ位置でも突き出た位置でもモータ部分に通電でき

る場合には,スタータはピニオン歯車の両方の位置で試験しなければならない。 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.4.2 

ディストリビュータ ロータの接点を修正して,火花ギャップを2.5mmまで広げる。ギャップに

放電するときに必要な部品を接続する。各サイド電極からの高圧リード線はアースへ終端する。ロータの

接点とサイド電極のしんを合わせる。ディストリビュータの試験は,5回の延長点火サイクルで構成しな

ければならない。各延長点火サイクルでは,7.3.1〜7.3.3に示すようなディストリビュータの混合気体が点

火した後,更に5分間火花を維持しなければならない。その間にチャンバの混合気体が引火すれば,その

ディストリビュータは,不合格としなければならない。 

7.4.3 

本質安全構造の電気機器 JIS C 0935が規定しているように,通常の運転中に生じる火花のエネル

ギーが小さい電気機器は,本質安全構造の電気機器と考えることができる。本質安全構造の電気機器とは,

最大出力の運転条件における電流が非常に小さいために,7.4.3.1に規定する混合気体を引火させるだけの

量の熱エネルギーを絶対に放出できないような電気機器と定義する。 

7.4.3.1 

本質安全構造の電気機器でも,通常この規格による試験を免除されない。なぜなら,この電気機

器を流れるパワーレベルは,回路を共有する構成要素のインピーダンスによっても,電源によっても変わ

るからであり,更に,誘導,容量及び電圧の変動に複数の装置並びに並列運転が加わると,これらすべて

が電気機器を流れるエネルギーを変える可能性があるからである。 

7.4.3.2 

使用するパラメータが既知で変動せず,かつ,最大エネルギーの状態が厳密に定義されている場

合には,電気機器の物理的試験を省くことができる。電気機器内部の火花発生部分におけるエネルギー放

出の絶対的な最大値が0.24mJを超えることがなければ,その電気機器は爆発雰囲気内で使用することが認

められる。 

8. 表示 

8.1 

この規格に適合している電気機器には, "MARINE" の語とともに規格の番号“JIS F 0811又はISO 

8846”を表示しなければならない。 

なお,配置は,適切な位置に行う。 

8.2 

表示は,できるだけ耐久性があるものとしなければならない。 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考) 参考文献 

a) IEC 60079-0 : 1983 Electrical apparatus for explosive gas atmospheres.  

Part 0 : General requirements. Amendment No.1(1987), Amendment No.2(1991) 

b) IEC 60079-11 : 1984 Electrical apparatus for explosive gas atmospheres.  

Part 11 : Intrinsic safety "i" . 

10 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定) 非密封機器に対する爆発引火試験の改善方式 

(試験装置及び試験方法の概要) 

B.1 要旨 JIS F 0811作成に当たり,ISO 8846の規定による非密封電気機器に対する爆発引火試験の実施

の可否を評価するために国内において性能確認試験を実施した。附属書1では,性能確認試験を実施した

際,ISO 8846の規定による非密封電気機器に対する試験について,改善方式による試験を実施したので,

今後試験を検討,実施する場合の一方法として採用するのがよい。 

B.2 爆発引火試験 

B.2.1 試験方法 試験は,IEC 60079-1対応の耐圧防爆試験装置のガス混合装置を使用し,この規格性能確

認試験(評価)用として製作した試験チャンバに爆発性試験ガス (LPG) を導入し,試験チャンバ内に置

かれた供試電気機器の内部爆発を発生させることによって,試験チャンバ内のガスに点火,爆発を誘発し

ないか否かを試験によって確認する。 

B.2.2 試験装置及び使用機器 試験装置及び使用機器は,次による。 

a) 試験装置 

試験ガス混合装置 耐圧防爆試験装置 JIS C 0931対応 

試験チャンバ 約1m四方の試験チャンバと,その内部にプラスチックバックを使用したインナー試

験チャンバをもつ二重構造とした(以下,試験チャンバとする。附属書1図1参照)。 

点火装置 単発火花点火装置(単発火花発生装置及び点火プラグを使用) 

b) 試験ガス 

プロパンガス 4.50±0.25vol%(LPG使用)常温 

c) 計測機器 

ガス濃度分析 赤外線ガス分析計及びガス検定器 

標準プロパンガス (5.05%) ガス濃度分析計校正用 

圧力測定 圧力変換器,動ひずみ測定器及び記録計 

B.2.3 試験手順 試験手順は,次による。 

a) 供試電気機器を試験チャンバの中に置き,試験チャンバ及び供試電気機器内に試験ガスを導入する。 

b) 試験ガスを満たした状態で,供試電気機器内部のガスに着火する。 

供試電気機器内部からの爆発によって,試験チャンバ内の試験ガスの引火の有無を確認する。 

試験は連続して10回繰り返す。 

c) 連続する10回の試験において,試験チャンバ内の試験ガスへの引火がないことを確認した後,供試電

気機器の入った試験チャンバの試験ガスに,外部点火源によって着火し,試験に使用された試験ガス

が爆発性であり,試験が有効であったことを確認する。 

d) 上記の爆発引火試験(10回1セット)を5回繰り返し実施する(合計50回の爆発引火試験を実施す

る。)。 

試験チャンバ内の可燃性ガスへの引火が確認されなかった場合,引火防止構造の電気機器とみなされ

る。 

11 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.4 附属書B(規定)の取扱い この試験方法は,試験チャンバ内部にプラスチックバックを使用した

インナーチャンバを設けることによって,試験の安全性に配慮した方法である。本体7.と同様に扱うこと

とする。 

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1

2

F

 0

8

11

 : 

2

0

0

2

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1図1 試験装置の概略 

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13 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

JIS F 0811:2002 舟艇−電気機器−周囲の可燃性ガスへの引火防止 

ISO 8846:1990 舟艇−電気機器−周囲の 

可燃性ガスへの引火防止 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技
術的差異の項目ごとの評
価及びその内容 
 表示箇所: 
 表示方法: 

(V)JISと国際規
格との技術的差
異の理由及び今
後の対策 

項目番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内
容 

1.適用範囲 

・舟艇に使用する電気

機器が周囲の可燃性
ガスに引火させずに
爆発環境下で作動で
きるようにするため
の試験方法及び設計
要件について規定 

ISO 8846 

1. ・JISに同じ 

MOD/変更 

− 

・防爆に関する

規格は,JISが
制定されてい
るので,採用
した。 

・JIS C 0930で扱う防

爆ではない。 

・IEC 60079-0に

よる防爆では
ない。 

2.引用規格 

・JIS C 0930 
・IEC 60079-0 
・JIS C 0935 
・IEC 60079-11 

ISO 8846 

− 

− 

MOD/追加 

− 

・JIS化されてい

るので,引用
規格として追
加した。 

・ISOには引用規

格の記載がな
いが,規格票の
様式に基づき
追加した。 

3.定義 

・3.1可燃性炭化水素混

合物 

・3.2引火防止構造電気

機器 

・3.3点火源 
・3.4正常の作動状態 

ISO 8846 

2. ・JISに同じ 

IDT 

− 

− 

4.試験プログ
ラム 

・4.1外表面温度試験 

周囲温度より100℃
以上高くなる電気機
器は5.によって外表
面温度試験を行う。 

・4.2気密性試験及び 

  爆発引火試験 
火花又はアークを発
生する可能性がある
機器は6.によって密
閉されていない場合
7.の爆発引火試験を
行う。 

ISO 8846 

3. ・3.1外表面試験

は,4.によって
行う。 

・3.2火花又はア

ークを発生す
る可能性があ
る機器は5.によ
って密閉され
ていない場合6.
の爆発引火試
験を行う。 

・3.3周囲温度よ

って100℃以上
高くなる電気
機器は5.によっ
て外表面温度
試験を行う。 

IDT 

・編集上規定順

序を変更 

・JISとして容易

に解釈できる
よう変更し
た。 

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14 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技
術的差異の項目ごとの評
価及びその内容 
 表示箇所: 
 表示方法: 

(V)JISと国際規
格との技術的差
異の理由及び今
後の対策 

項目番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内
容 

5.外表面温度
試験 

・60±2℃の炉におく7

時間連続作動 
最高許容温度は
200℃ 

ISO 8846 

4. ・JISに同じ 

IDT 

− 

− 

6.気密性試験
−密封機器 

・供試機器を図1の水

槽に沈め泡が出ない
場合は密封機器で,
出る場合は非密封機
器で7.によって試験
を行う。 

ISO 8846 

5. ・JISに同じ 

IDT 

− 

− 

7.爆発引火試
験−非密封機
器 

・試験装置及び試験方

法について規定。 

ISO 8846 

6. ・JISに同じ 

IDT 

− 

− 

・スタータ,ディスト

リビュータ,本質安
全構造の電気機器に
ついての特記事項。 

8.表示 

・この規格に適合した

電気機器には 
"MARINE" の語を
表示。 

ISO 8846 

7. ・この規格に適合

した電気機器に

"MARINE" 

の語を表示。 

MOD/追加 ・JIS Fの規格番

号を追加 

・この規格は,

JISであるた
め。 

・規格番号JIS F 0811

又はISO 8846を表
示。 

・規格番号JIS F 

0811又はISO 
8846を表示 

附属書A 
(参考) 
参考文献 

・IEC 60079-0 
・IEC 60079-11 
・JIS C 0930 
・JIS C 0935 

ISO 8846 

附属
書A 

・IEC 60079-0 
・IEC 60079-11 

MOD/追加 

− 

・JISが制定され

ているので,
追加した。 

附属書1 
(規定) 
非密封機器に
対する爆発引
火試験の改善
方式 

・プラスチックバック,

クリアチューブを採
用した改善方式によ
る試験方法。 

ISO 8846 

− 

− 

MOD/追加 ・試験方法は,

ほぼ同等であ
るが,プラス
チックバック
を用いて試験
チャンバを小
さくするなど
安全面に配慮
を加えてい
る。 

・ISO 8846は,

1m四方の試
験チャンバに
プロパンガス
を充てんし,
爆発を起こす
など大気開放
形の試験を想
定している国
内では地理的
条件などによ
って危険を伴
い,また,騒
音も大きいの
で,改善方式
による試験方
法が必要であ
る。 

・ISOへ提案済 

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15 

F 0811 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

− IDT ………………技術的差異がない。 
− MOD/追加………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− MOD/変更………国際規格の規定内容を変更している。 

2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

− MOD………………国際規格を修正している。