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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 0809-1991 

船用操だ装置− 

海上試運転時の試験方法 

Ships' steering gear−Test method at sea trial 

1. 適用範囲 この規格は,船の海上試運転時に行う操だ装置の試験方法について規定する。 

備考 この規格は,通常の油圧式動力駆動の操だ装置をもつ船舶の,一般的な試験方法について規定

したもので,船舶の大きさ,航行区域,操だ装置の種類などによってこの規格により難い場合

は,この規格に準じて行う。 

2. 試験の種類 操だ装置の試験の種類は,次による。 

(1) 主操だ装置の操だ能力試験 

(2) 補助操だ装置の操だ能力試験 

(3) 動力装置の切換えを含めた動力装置の作動試験 

(4) 一つの油圧駆動システムの切離し試験 

(5) 代替動力の供給試験 

(6) 二組の制御システムの相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 

(7) 制御システムと操だ機区画に設けられる制御装置との相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 

(8) 油圧駆動システムの再充てん装置の試験 

(9) 船橋と操だ機区画との間の通信装置の作動試験 

(10) 警報装置,だ角指示器及び動力装置の運転表示装置の効力試験 

(11) 自動操だと手動操だとの相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 

(12) 安全装置の作動試験 

(13) 制止手段の確認試験 

3. 試験方法 

3.1 

主操だ装置の操だ能力試験 この試験は,船が満載喫水状態で,かつ,主機の連続最大出力で前進

中,かじを片げん35度から反対げん35度まで操作し,規定時間内に片げん35度から反対げん30度まで

転だできる能力があることを確認する。 

油圧ポンプの構成に応じ,また,3.6に規定する制御システムの試験を兼ねた代表的な試験の組合せ例を

表1に示す。ただし,満載喫水状態で試験を行うことが困難な船舶では,他の適当な喫水状態で行っても

よい。 

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F 0809-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 

(1) 油圧ポンプ1台の場合 

制御システム 

NO.1 

NO.2(1) 

操だ法 

注(1) 2系統の制御システムをもつ場合に適用する。 
(2) 油圧ポンプが2台で,その各々が規定の主操だ能力をもつ場合

(1ポンプスタンバイ方式) 

制御システム 

NO.1 

NO.2 

油圧ポンプ 

NO.1 

NO.2 

操だ法 

(3) 油圧ポンプが2台で,その合計能力が規定の主操だ能力をもつ

場合(ポンプ並列運転方式) 

制御システム 

NO.1 

NO.2 

油圧ポンプ 

NO.1及びNO.2 

NO.1及びNO.2 

操だ法 

3.2 

補助操だ装置の操だ能力試験 この試験は,船が満載喫水状態で,かつ,主機の連続最大出力時の

速力の21又は7ノットのうちの大きい方の速力で前進中,かじを片げん15度から反対げん15度まで操作

し,規定時間内に転だできる能力があることを確認する。 

油圧ポンプの構成に応じ,また,3.7に規定する制御システムの試験を兼ねた代表的な試験の組合せ例を

表2に示す。ただし,満載喫水状態で試験を行うことが困難な船舶では,他の適当な喫水状態で行っても

よい。 

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F 0809-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 

(1) 主操だ装置として油圧ポンプ1台の場合の補助操だ装置としての試

験 

補助操だ装置

の形式 

動力式補助油圧ポンプによる

場合 

人力式補助油圧ポンプによる

場合 

制御システム 操だ機区画内の機側制御装置 

− 

操だ法 

(2) 主操だ装置として油圧ポンプが2台で,その各々が規定の主操だ能力

をもつ場合(1ポンプスタンバイ方式),又は主操だ装置として,油
圧ポンプが2台で,その合計能力が規定の主操だ能力をもつ場合(ポ
ンプ並列運転方式)は,いずれの場合にも補助操だ装置を必要としな
い。これらの場合には,3.7に規定する補助操だ能力を確認するため
の試験による。 

補助操だ能力を確認するための試験 

制御システム 

操だ機区画内の機側制御装置 

油圧ポンプ 

NO.1 

NO.2 

操だ法 

3.3 

動力装置の切換えを含めた動力装置の作動試験 この試験は,主操だ装置又は補助操だ装置の操だ

能力試験のときに確認を行う。 

3.4 

一つの油圧駆動システムの切離し試験 この試験は,動力装置の1個又は管系に単一損傷を生じた

後に,操だ能力を保持又は迅速に回復できるように損傷部を切り離すことができることを確認する。ただ

し,総トン数10 000トン以上の油槽船,液化ばら積船及び危険化学品ばら積船の操だ装置は,主操だ装置

の油圧駆動システムの一部での単一損傷(チラー,コドランドなどの損傷及びラダーアクチュエータの焼

付けを除く。)によって,操だ能力を喪失した場合,油圧駆動システムの損傷後,規定時間内に操だ能力を

回復することができることを確認するため,次の試験を行う。 

(1) 総トン数10 000トン以上の油槽船,液化ばら積船及び危険化学品ばら積船を除く船舶の場合 

(a) 主操だ装置として,油圧ポンプが2台で,その各々が規定の主操だ能力をもつ場合(1ポンプスタ

ンバイ方式) NO.1又はNO.2油圧ポンプとNO.1又はNO.2制御システムとを運転中,そのポン

プを停止し,バルブ類を操作して,運転中の動力装置及び油圧管装置を切り離す。その後他方の油

圧ポンプを運転し,作動可能の状態を確認する。 

(b) 主操だ装置として,油圧ポンプが2台で,その合計能力が規定の主操だ能力をもつ場合(ポンプ並

列運転方式) NO.1及びNO.2油圧ポンプとNO.1又はNO.2制御システムとを運転中,一方の油

圧ポンプを停止し,バルブ類を操作して,一方の動力装置及び油圧管装置を切り離すことによって,

他方の油圧駆動システムが作動可能の状態を確認する。 

F 0809-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 総トン数10 000トン以上の油槽船,液化ばら積船及び危険化学品ばら積船の場合 

(a) 主操だ装置として,独立かつ分離した二組の油圧駆動システムをもち,いずれのシステムによって

も規定の主操だ能力をもつ場合 NO.1又はNO.2油圧駆動システムを運転中,一方の運転中の油圧

駆動システムを切り離し,他方の油圧駆動システムを運転し,作動可能の状態を確認する。 

(b) 主操だ装置として,二組の同等の能力の油圧駆動システムをもち,その各々の油圧ポンプの運転で

規定の主操だ能力をもつ場合 NO.1又はNO.2油圧ポンプとNO.1又はNO.2制御システムを運転

中,油タンクのレベルスイッチを操作して油面低下の状態をつくり,一方の油圧駆動システム又は

動力装置及び油圧管装置が自動的に切り離され,他方の油圧駆動システムが作動可能の状態を確認

する。 

(c) 主操だ装置として,二組の同等の能力の油圧駆動システムをもち,すべての油圧ポンプを運転する

ことによって規定の主操だ能力をもつ場合 NO.1及びNO.2油圧ポンプとNO.1又はNO.2制御シ

ステムを運転中,油タンクのレベルスイッチを操作して油面低下の状態をつくり,一方の油圧駆動

システム又は動力装置及び油圧管装置が自動的に切り離され,他方の油圧駆動システムが作動可能

の状態を確認する。 

3.5 

代替動力の供給試験 この試験は,主動力源が喪失したときにも,動力装置及びその動力装置に接

続する制御システム並びにだ角指示器に,自動的,かつ,規定時間内に代替動力(通常,非常用発電機を

使用)を供給できることを確認する。 

3.6 

二組の制御システム相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 この試験は,主操だ装置又は

補助操だ装置の操だ能力試験のとき確認を行う。 

3.7 

制御システムと操だ機区画に設けられる制御装置の相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 

この試験は,補助操だ装置の操だ能力試験のとき確認を行う。 

3.8 

油圧駆動システムの再充てん装置の試験 この試験は,貯蔵タンクから適当な方法で,油圧駆動シ

ステムに油を補給できることを確認する。 

なお,この試験は,係留時,又は入きょ(渠)時に実施してもよい。 

3.9 

船橋と操だ機区画との間の通信装置の作動試験 この試験は,通信装置の作動確認を行う。 

なお,この試験は,係留時,又は入きょ時に実施してもよい。 

3.10 警報装置,だ角指示器及び動力装置の運転表示装置の効力試験 この試験は,その作動及び表示確

認を行う。 

なお,この試験は,係留時,又は入きょ時に実施してもよい。 

3.11 自動操だと手動操だとの相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 この試験は,切換え(自

動操だ装置をもつ場合)及び各制御の作動確認を行う。 

3.12 安全装置の作動試験 この試験は,過圧防止用逃し弁などの安全装置の作動ができることを確認す

る。 

なお,この試験は,係留時,又は入きょ時に実施してもよい。 

3.13 制止手段の確認試験 この試験は,制止手段によって,かじが制止できることを確認する。 

なお,この試験は,係留時に実施してもよい。 

4. 計測項目及び判定基準 

4.1 

主操だ装置の操だ能力試験 主操だ装置の操だ能力試験における計測項目及び判定基準は,表3に

よる。 

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表3 

計測項目 

判定基準 

(1) 転だ時間 

片げん35°から反対げん30°までの時間 

28秒以内 

(2) 最大油圧 

最高使用圧力以下 

(3) 電動機の最大電流 

電動機仕様範囲内 

4.2 

補助操だ装置の操だ能力試験 補助操だ装置の操だ能力試験における計測項目及び判定基準は,表4

による。 

表4 

計測項目 

判定基準 

(1) 転だ時間 

片げん15°から反対げん15°までの時間 

60秒以内 

(2) 最大油圧 

最高使用圧力以下 

(3) 電動機の最大電流 

電動機仕様範囲内 

4.3 

動力装置の切換えを含めた動力装置の作動試験 動力装置の作動試験は,動力装置の作動が良好で

なければならない。 

4.4 

一つの油圧駆動システムの切離し試験 

(1) 総トン数10 000トン以上の油槽船,液化ばら積船及び危険化学品ばら積船を除く船舶の場合の試験に

おける確認項目は,表5による。 

表5 

方式 

確認項目 

(a) 1ポンプスタンバイ方式 

迅速に切離し操作ができ,作動可能の状態に回
復することを確認する。 

(b) ポンプ並列運転方式 

迅速に切離し操作ができ,作動可能の状態を保
持できることを確認する。 

(2) 総トン数10 000トン以上の油槽船,液化ばら積船及び危険化学品ばら積船の場合の,試験における計

測項目及び判定基準は,表6による。 

表6 

計測項目 

判定基準 

(a) 主操だ装置として,独立,かつ,分離した二組の油圧駆動シス

テムをもち,いずれのシステムによっても規定の主操だ能力を
もつ場合 

切り離され,作動可能の状態に回復するまでの時間 

45秒以内 

(b) 主操だ装置として,二組の同等の能力の油圧駆動システムをも

ち,各々の油圧ポンプで規定の主操だ能力をもつ場合 

自動的に切り離され,作動可能の状態を回復するまでの時間 

(c) 主操だ装置として,二組の同等の能力の油圧駆動システムをす

べての油圧ポンプを運転することによって規定の主操だ能力を
もつ場合 

自動的に切り離され,作動可能の状態を保持できるまでの時間 

4.5 

代替動力の供給試験 代替動力の供給試験における計測項目及び判定基準は,表7による。 

表7 

計測項目 

判定基準 

主電源が喪失してから,代替動力が供給され,操
だ能力が回復するまでの時間 

45秒以内 

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4.6 

二組の制御システムの相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 二組の制御システムの相互

の切換え試験を含めた制御装置の作動試験は,その作動が良好でなければならない。 

4.7 

制御システムと操だ機区画に設けられる制御装置の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 制御

システムと操だ機区画に設けられる制御装置の切換え試験を含めた制御装置の作動試験は,その作動が良

好でなければならない。 

4.8 

油圧駆動システムの再充てん装置の試験 油圧駆動システムの再充てん装置の試験は,その操作が

良好でなければならない。 

4.9 船橋と操だ機区画との間の通信装置の作動試験 船橋と操だ機区画との間の通信装置の作動試験は,

その作動が良好でなければならない。 

4.10 警報装置,だ角指示器及び動力装置の運転表示装置の効力試験 警報装置,だ角指示器及び動力装

置の運転表示装置の効力試験は,その作動が良好でなければならない。 

4.11 自動操だと手動操だとの相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験 自動操だと手動操だとの

相互の切換え試験を含めた制御装置の作動試験における計測項目及び判定基準は,表8による。 

表8 

計測項目 

判定基準 

自動操だから手動操だへの切換えに要する時間
(自動操だ装置をもつ場合) 

任意のだ角においても,2
回以内の操作で3秒以内 

4.12 安全装置の作動試験 安全装置の作動試験は,安全装置の作動が良好でなければならない。 

4.13 制止手段の確認試験 制止手段の確認試験は,制止手段によって,かじが確実に制止できなければ

ならない。 

5. 記録 試験結果は,受渡当事者間で協議して定めた様式に従って記録し,その記録には,試運転時の

船の航行状態(喫水,船速,海象,気象)を記録する。 

船舶部会 甲板補機専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

久 米   宏 

財団法人日本海事協会 

佐々木 博 通 

運輸省海上技術安全局 

奥 村 吉 男 

日本郵船株式会社 

草 野   博 

財団法人日本船舶標準協会 

奥 山 孝 志 

社団法人日本中型造船工業会 

川 添   強 

三菱重工業株式会社長崎造船所 

岸 本   衛 

住友重機械工業株式会社 

長谷川 照 一 

日本鋼管株式会社鶴見造船所 

夫津木   武 

辻産業株式会社 

三 浦 晶一郎 

株式会社エンジニアリング東海 

村 上 伸 夫 

株式会社福島製作所 

斉 藤 忠 文 

三井造船株式会社 

徳 丸   薫 

石川島播磨重工業株式会社 

古 川 英 夫 

株式会社上野運輸商会 

山 名 俊 茂 

大阪商船三井船舶株式会社 

岡 沢   治 

川崎重工株式会社 

百合草 正 韶 

社団法人日本旅客船協会 

(事務局) 

小 林 秋 穂 

工業技術院標準部機械規格課 

山 形 智 幸 

工業技術院標準部機械規格課