F 0413
:2004
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人 日本船
舶標準協会(JMSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS F 0413:1996 は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
F 0413
:2004
(2)
目 次
ページ
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
1
3.
定義
1
4.
適用基準
1
日本工業規格
JIS
F
0413
:2004
船内可聴信号器及び表示灯適用基準
Shipbuilding - Audible and visual apparatus for alarms and signalings -
Application
1.
適用範囲 この規格は,船内における警報及び通信装置として用いる各種可聴信号器及び表示灯の適
用基準並びに供給電源の種類及び電源喪失警報の適用基準について規定する。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS F 8078
船用電気設備第 203 部システム設計−可聴及び可視信号
JIS F 0412
船舶機関部機器類の警報及び表示の方式
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a)
非常警報 人命又は船にとってさし迫った危険が存在し直ちに行動をとらなければならない警報。
b)
プライマリ警報 非常状態を防ぐために素早い注意が必要であることを示す警報。
c)
セカンダリ警報 非常警報及びプライマリ警報に含まれないその他の警報。
d)
全船非常警報 非常の場合に船内の乗客及び乗組員全員を非常招集場所に招集する警報。
e)
火災警報 非常警報の一種であり,火災の場合に乗組員を召集する警報。
f)
火災検知警報 プライマリ警報の一種であり,船橋,火災制御場所又はその他の場所にいる乗組員に
火災が検知されたことを知らせる警報。
g)
制御装置故障警報 プライマリ警報の一種であり,自動又は遠隔制御装置の故障を示す警報。例えば,
船橋推進制御故障警報。
h)
パーソナル警報 プライマリ警報の一種であり,機関室に一人で当直しているときに,その当直者の
安全を確認するための警報(デッドマンアラーム)
。
i)
回転灯 全周に注意を喚起するため,反射鏡の回転などで強い光ぼう(芒)を回転させる灯器。
j)
せん光灯 注意を喚起するために電気的にせん光を発する灯器。
4.
適用基準 可聴信号器及び表示灯の適用基準は,各装置及び装備場所に使用する信号器形式,信号形
式,表示灯の色別,電源の種類及び電源喪失警報によって,
表 1 のとおりとする。
2
F 0413
:2004
表 1 可聴信号器及び表示灯の適用基準
適用基準
警報・通
信の区分
装置の
区分
装置名称
装備場所
信号器形式
信号形式
表 示 灯
の色別
電 源 の
種類
電源
喪失警報
甲板上
エアホーン(
1
)
,
ピストンホーン(
1
)
,
モーターサイレン(
1
)
,
及び/又は電子ホーン(
1
)
−
船橋,居室,
居住区通路,
機関制御室
ベル
及び/又は
ブザー
乗組員通常
作業場所
(か
じ取機室等)
ベル
赤
1.
エアホーン
2.
モータサイレン
3.
電子ホーン
−
機関室
1
∼3 共通 ベル(
2
)
赤
全船非常警報
ポンプ室
エアホーン
断続音
(短音 7 回
長音 1 回の繰
返し)
コード 1.a 又
はコード 1.b
−
主電源
及び
非常電源
あり
船橋,居室,
居住区通路,
機関制御室
ベル
及び/又は
ブザー
乗組員通常
作業場所(
か
じ取機室等)
ベル
連続音
コード 2
又は
コード 1.b
赤
1.
エアホーン
2.
モータサイレン
3.
電子ホーン
−
機関室及び
居住区火災
警報
機関室
1
∼3 共通 ベル(
2
)
連続音
コード 2
又 は 高 低 連
続音
コード 3.c
コード 3.d
赤
貨物倉
火災警報
船橋,
機関制御室
ベル
連続音
コード 2
又は
コード 1.b
赤
主電源
及び
非常電源
あり
機関制御室 ベル
連続音
コード 2
赤
1.
モータサイレン
2.
エアホーン
機関室
消火剤
放出警報
機関室
3.
電子ホーン
連続音
コード 2
−
貨物倉
消火剤
放出警報
貨物倉
モータサイレン
又は
エアホーン
連続音
コード 2
−
ポンプ室
消火剤
放出警報
ポンプ室
エアホーン
連続音
コード 2
−
船橋
ベル
非常警報
警報装置
動力水密
すべり戸
閉鎖警報
すべり戸
両側
ホーン
又はクラクション
連続音
コード 2
赤(
3
)
非常電源
又は
蓄電池
電源
なし
3
F 0413
:2004
表 1 可聴信号器及び表示灯の適用基準(続き)
適用基準
警報・通
信の区分
装置の
区分
装置名称
装備場所
信号器形式
信号形式
表 示 灯
の色別
電 源 の
種類
電源
喪失警報
船橋
−
居室,公室
ブザー
断続音
コード 3
赤
機関制御室 ブザー
断続音
コード 3
−
1.
電子ホーン
2.
エアホイッスル
機関部
警報
機関室
3.
モータサイレン
断続音
コード 3
赤(回転
灯又はせ
ん光灯)
かじ取機
警報
船橋,
機関制御室
ブザー
断続音
コード 3
−
自動又は遠
隔制御装置
故障警報
船橋,
機関制御室
ブザー
断続音
コード 3
−
ビルジ警報 船橋,
機関制御室
ブザー
断続音
コード 3
−
機関士一斉
呼出し警報
公室,
機関士居室
付近
ブザー
断続音
コード 3
赤
パーソナル警
報(機関部)
船橋,
機関長室
ブザー
断続音
コード 3
赤
非常又はプ
ライマリ警
報又は各種
検知装置の
故障,又は
それらの電
源喪失を表
示する警報
船橋,
機関制御室
ブザー
断続音
コード 3
−
ガス検知
警報
(
塩素ガス)
船橋,
機関制御室
ベル
連続音
コード 2
赤
ガス検知
警報(塩素
ガス以外)
船橋,
機関制御室
ブザー
断続音
コード 3
赤
船橋
赤
火災検知警報
機関制御室
ブザー
連続音
コード 2
−
プライマリ警報
警報装置
貨物警報(
4
)
船橋,荷役
制御場所,
機関制御室
ブザー
断続音
コード 3
−
主電源
及び
非常電源
あり
糧食冷蔵庫
救助警報
船橋
調理室
ベル 又は
ブザー
連続音
コード 2
赤
エレベータ
警報
船橋,
機関制御室
ベル 又は
ブザー
セカンダリ警報の一例
(
5
)
警報装置
貨物冷凍倉
救助警報
船橋,
機関制御室
ベル又は
ブザー
連続音
コード 2
赤
非常電源
又は
蓄電池電
源
なし
4
F 0413
:2004
表 1 可聴信号器及び表示灯の適用基準(続き)
適用基準
警報・通
信の区分
装置の
区分
装置名称
装備場所
信号器形式
信号形式
表 示 灯
の色別
電 源 の
種類
電源
喪失警報
ジャイロコ
ンパス
無電圧警報
船橋
ブザー
連続音
コード 2
赤
オートパイ
ロット
無電圧警報
船橋
ブザー
連続音
コード 2
赤
航海灯
表示器警報
船橋
ブザー
連続音
コード 2
赤
セカンダリ警報の一例
(
5
)
だ(舵)角
指示器無電
圧警報
船橋
ブザー
連続音
コード 2
−
船橋,
機関制御室
ブザー 又は
ベル
エンジンテレ
グラフ,サブ
エンジンテレ
グラフ
機関室
ゴング 又は
ホーン
連続音
コード 2
−
主 電 源
及び
非 常 電
源
あり
機関室パトロ
ール員呼出し
機関室
機関制御室内
電話呼出し
機関室
“機関部警報”を兼用する。
船橋,
機関制御室
ブザー 又は
ベル
断続音
コード 3.a
−
居室,
公室
ブザー 又は ベル
(電話器に内蔵)
断続音
コード 3.a
−
機関室,
かじ取機室,
非常発電機室
ホーン 又は
ベル
断続音
コード 3.a
白
共電式
電話
ポンプ室
エアホーン又は
エアホイッスル
断続音
コード 3.a
−
蓄 電 池
電源
−
船橋,
機関制御室
ブザー 又は
ベル
断続音
コード 3.a
−
居室,
公室
ブザー 又は ベル
(電話器に内蔵)
断続音
コード 3.a
−
自動交換
電話
機関室,
かじ取機室,
非常発電機室
ホーン 又は
ベル
断続音
コード 3.a
白
通信信号
通信装置
病室呼出し 船橋,
船医室
ブザー
連続音
コード 2
赤
主電源
又は
非常電源
−
注(
1
)
本船の汽笛を兼用するものとする。
(
2
)
機関室のベルについては,騒音レベルが高い場所での補完用として用いる。
(
3
)
動力水密すべり戸の閉鎖警報は完全に“開”状態を示す赤の表示灯を完全に“閉”状態になるまで点滅させ
る。完全“閉”状態にて別の緑の表示灯を点滅させる。
(
4
)
貨物警報とは,貨物の異常又は貨物の保全もしくは安全に関するシステムの異常を表示する警報を
いう。
(
5
)
セカンダリ警報は一般に整備される一例を示す。
備考 1. 火災警報の信号器は,全船非常警報のものを兼用してもよい。ただし,その場合,火災警報の信
5
F 0413
:2004
号形式は,全船非常警報と区別する連続音とする。
2.
信号器形式で番号を付けたものは,機関室における信号器の船 1 隻分の使用の組合せの一例を示
す。
例 1.の場合
警報装置
信号器形式
全船非常警報
機関室及び
居住区火災警報
機関室消火剤放
出警報
機関部警報
エアホーン
○
○
−
−
モータサイレン
−
−
○
−
電子ホーン
−
−
−
○
ベル
○
○
−
−
エアホイッスル
−
−
−
−
3. “表示灯の色別”欄の表示灯は,信号器と一体形のもので,その信号器の作動を表示するものを
いい,
信号器と別置きするもの及び機関部警報のように一つの信号器で複数の警報表示灯を共用
するものは含まない。
4.
電源の種類は,可聴信号器及び表示灯の作動回路へ給電する船内電源の種類を示す。
また,主電源は主発電機の給電系統から給電する場合を,非常電源は非常発電機又は非常発電
機がない場合の蓄電池の給電系統から給電する場合を示す。
5.
信号形式の番号は,可聴信号の波形のコード番号を示す。
波形のコード番号は,
表 2 による。波形コード番号 3 の場合は,コード番号 3.a から 3.d の中か
ら選択する。
6.
可視警報及び表示の色は,JIS F 0412 による。
7. 船橋の可視警報及び表示は,調光装置等を設けて夜間作業に影響を与えないようにする。
8. 機関室等の周囲の騒音レベルが高い場所でいろいろな可聴警報,呼出信号の識別が規定とおり出
来ない場合は,消化剤放出警報を除き信号内容を示す可視警報,状態表示標識で補完することに
よって共通の信号器を適用してもよい。状態表示標識例を JIS F 8078 によって参考として示す
(参考図 1 参照)
。
6
F 0413
:2004
表 2 可聴信号波形
(Audible alarm and call waveforms)
コード
(AUDIBLE
CODE)
波形
(WAVEFORM)
備考
1.a
召集リストに従ったコード
1.b
(Specific codes per muster list.)
全船非常警報
(General emergency alarm)
2.
キャンセル又は認識されるまで連続
(Continuous until cancelled or accepted)
3.a
3.b
3.c
3.d
3.a
から 3.d の波形は複数の警報を識
別するためのものである。
プライマリ警報とセカンダリ警報
各々の波形は首尾一貫させ,変更し
てはならない。パルス周波数は 0.5Hz
と 2.0Hz の間の値とする。
Optional waveforms to provide
distinction betweenal alarms.
To be used consistently for primary
and secondary alarms.
Pulse frequency between 0.5 Hz and
2.0Hz.
7
F 0413
:2004
参考図 1 状態表示装置
全船非常警報(乗客)
全船非常警報(乗組員)
火災警報
ビルジ警報
機関部警報
機関部火災警
消化剤放出警
かじ取機警報
機関士呼出警報
電話呼
エンジンテレグラフ呼出
GAS
CL
GAS
xxx
塩素ガス検知警報
ガス検知警報(塩素ガスを除く)
注)×××には、ガスの記号を記す。