F 0408 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が制定した日本工
業規格である。
この規格の一部が技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。運輸大臣及び日本工業標準調査会は,こ
のような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録
出願にかかわる確認について責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 0408 : 1999
船舶−機関制御室の空調
及び通風基準
Standard of air-conditioning and ventilation of machinery control-rooms
on board ships−Design conditions and basis of calculations
序文 この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 8862, Air-conditioning and ventilation of machinery
control-rooms on board ships−Design conditions and basis of calculationsを翻訳し,技術的内容を変更すること
なく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に引用されている規定項目を日本工業規格として追加
した。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応する国際規格にない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,船舶の機関制御室の空調及び通風に対する設計要件及びその計算方法につい
て規定する。この規格の適用範囲は,推進機関の制御室と同じような区画にも適用できる。
備考1. この規格の使用者は,この規格の要求事項を遵守すると同時に,対象とする個々の船舶が適
用を受けるべき法令の要求事項や規則類を確実に守るように注意することが望ましい。
2. この規格の5.1(伝達熱)の計算式,5.2(太陽熱)の計算式,5.3(人体からの放熱量),表
5.1,表5.3,表5.4及び表5.5は,ISO 7547から引用した。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格を構成する
ものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
ISO 7547 : 1985, Air-conditioning and ventilation of accommodation spaces on board ships−Design
conditions and basis of calculations
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
a) 機関制御室 推進機械の主警報表示装置及び制御装置を装備した区画。
4. 設計条件
4.1
一般 設計条件は以下とする。
外気温度 +35℃,相対湿度 70%
室内温度 +27℃
機関室温度 +45℃
備考 上記温度は,乾球温度を示す。
2
F 0408 : 1999
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4.2
対象人数 特に客先の指示がない場合,機関制御室内の対象人数は3人とする。
5. 熱収支の計算 熱収支計算は,次の項目を考慮する。
a) 伝達熱(φ)
b) 太陽熱(φS)
c) 人体からの熱
d) 電灯及び他の熱源からの熱
5.1
伝達熱
5.1.1
計算方法 式(5.1)は,各表面からの伝達熱の収支計算φ (W) に適用する。
φ=∆T{(κv・Av)+(κg・Ag)} ···················································· (5.1)
ここに,
∆T: 室内の温度差 (K) (5.1.2参照)
κv: 表面積Avに対する総熱伝達率 [W/ (m2・K)] (5.1.3参照)
Av: 表面積 (m2),ただし,げん(舷)窓及び角窓は除く。
κg: 表面積Agに対する総熱伝達率 [W/ (m2・K)] (5.1.3参照)
Ag: げん窓及び角窓の表面積 (m2)
5.1.2
隣接する内部区画との温度差 室内の温度差∆T (K) は,内部区画の空調されたときと空調されて
いないときの温度差をいう。表5.1参照。
表5.1 隣接する内部区画との温度差
単位K
甲板又は隔壁
∆T
夏期
冬期
加熱装置付きのタンクに接した甲板
43
17
ボイラ室に接した甲板及び隔壁
28
機関室に接した甲板及び隔壁
18
加熱装置のないタンク,貨物区画及び同等区画に接した甲板及び隔壁
13
42
公衆便所に接した甲板及び隔壁
6
0
通路に接した隔壁
2
5
5.1.3
総熱伝達率 総熱伝達率κW/ (m2・K) は,表5.2及び表5.3に示す。
特に指定のない限り,表5.2又は表5.3で求められた総熱伝達率κを使用すること。
その他の場合における総熱伝達率の計算方法は,5.1.4に示す。
表5.2 総熱伝達率
表面
総熱伝達率κ
W/ (m2・K)
機関室との間の制御室隔壁及び天井
0.8
機関室との間の床
1.2
窓
2.5
3
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表5.3 総熱伝達率
表面
総熱伝達率κ
W/ (m2・K)
太陽光線にさらされない暴露甲板及び船側及び外部の隔壁
0.9
機関室,貨物区画又は空調されない区画に接する甲板及び隔壁
0.8
ボイラ室又は機関室内のボイラに接する甲板及び隔壁
0.7
外気と接する甲板又は太陽光線にさらされる暴露甲板及び加熱されるタンクに接する甲板
0.6
げん窓,角窓(1枚ガラス)
6.5
げん窓,角窓(2重ガラス)
3.5
通路に接する隔壁(防音設備のない場合)
2.5
通路に接する隔壁(防音設備のある場合)
0.9
5.1.4
総熱伝達率の計算 総熱伝達率κは,式(5.2)を使用すること。
∑
∑
+
+
+
=
μ
λ
α
κ
b
L
1
1
M
M
d
······················································ (5.2)
ここに,
κ: 総熱伝達率 [W/ (m2・K)]
α: 空気の熱伝達率 [W/ (m2・K)]
α=80W/ (m2・K):強風にさらされる外面に対し適用 (20m/s)
8W/ (m2・K):風にさらされない内面に適用 (0.5m/s)
d: 材料の厚さ (m)
λ: 熱伝導率 [W/ (m2・K)]
ML: 空気の透き間に対する断熱係数 [(m2・K) /W]
Mb: 各層の材質の違いによる断熱係数 [(m2・K) /W]
μ: 鋼製構造物に対する修正係数
μ=図5.1による防熱に対しては1.2
図5.2による防熱に対しては1.45
図5.1 防熱板の厚さ
図5.2 型板の防熱板の厚さ
断熱係数MLは,換気されない空気層の断熱係数とする。表5.4参照。
4
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表5.4 換気されない空気層の断熱係数
空気層の境界面
空気層の厚さ
a(1)mm
断熱係数
m2・K/W
両面が熱放射能力(2)の高い状態
5
0.11
20
0.15
200
0.16
片面が熱放射能力の高い状態,片面が熱放射能力の低い状
態
5
0.17
20
0.43
200
0.47
両面が熱放射能力の低い状態
5
0.18
20
0.47
200
0.51
張合せ面が熱放射能力の高い状態
0
0.09
注(1) 図5.1及び図5.2参照。
(2) アルミホイルの表面又は磨かれた表面の熱放射能力は低いものとみなし,他の表面の熱
放射能力は高いものとみなす。
5.1.5
伝達面積 隔壁,甲板及び船側の熱伝達面積は,鋼板から鋼板までを考慮する。
5.2
太陽熱 太陽熱φS (W) は,式(5.3)を使用すること。
φS=Σ (Av・κ・∆Tr) +Σ (Ag・Gs) ······················································ (5.3)
ここに,
Av: 直射日光にさらされる面積 (m2) (げん窓及び角窓は含ま
ない)。
κ: 総熱伝達率で,前述の5.1.3又は5.1.4による。
∆Tr: 直射日光によって上昇した表面温度(外気温+35度以上)
で次に示す。
∆Tr= 16K:明るい色の垂直面
29K:暗い色の垂直面
12K:明るい色の水平面
32K:暗い色の水平面
Ag: 直射日光にさらされたガラスの表面積 (m2)
Gs: ガラス表面からの熱収支 (m2)
Gs=クリアグラスの表面に対しては350W/m2
くもりガラスの表面に対しては240W/m2
備考 張り出した甲板又は太陽光線の角度45度で計算される遮へい物などの理由によって,日陰とな
った表面はAvに含まない。
5.3
人体からの放熱量 室内温度27℃において,人体から発散される顕熱及び潜熱の値は,表5.5に示
す。
表5.5 動作及び放熱量
動作
熱の種類
放熱量
W
座って休んでいる状態
顕熱
55
135
潜熱
80
普通又は重労働
顕熱
140
390
潜熱
250
機関制御室における人体から発散される顕熱及び潜熱の値は,表5.5の動作の“座って休んでいる状態”
による。
5.4
電灯及び他の熱源からの侵入熱量 一般の電灯からの放熱は,客先指示のない限り,10W/m2とする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
また,電気器具からの放熱は,その電気器具を正常状態で使用したときに発生する最大熱負荷の値とす
る。
電気器具の装備位置に関しては,各電気器具の最大侵入熱量及び連続侵入熱量を考慮に入れること。
ここに,電気器具からの放熱は7kWとする。ただし,大容量の発電機を装備する場合は,別途考慮する
必要がある。
6. 空気量の計算
6.1
制御室の容積 コンソール,キャビネット,家具,常設機器の容積は,制御室の総容積から差し引
いてはならない。
6.2
供給空気量 制御室への空気供給量は下記条件の大きい方の値を使用して計算する。
a) 4.1の状態を維持するための空気量
b) 外部からの空気量は,1人当たり0.008m3/s以下になってはならない。
6.3
供給空気の温度 制御室への供給空気の温度は,その制御室の平均温度よりも10℃以下にしてはな
らない。また,暖房に対しては,その制御室の平均温度よりも23℃以上高くしてはならない。
6.4
空気バランス このシステムは,室内圧力を大気圧に保たなければならない。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原案担当作業分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
柿 原 実
株式会社エイ・ディー・ディー
穂 森 繁 弘
財団法人日本海事協会
鈴 木 博 信
社団法人日本舶用工業会
川 嶋 民 夫
日本郵船株式会社
杉 山 知 徳
石川島播磨重工業株式会社
秋 本 義 紀
住友重機械工業株式会社
柴 田 菊 夫
NKK
熊 谷 猛
日立造船株式会社
池 田 敏
三井造船株式会社
林 洋一郎
三菱重工株式会社
筏 継 雄
ダイハツディーゼル株式会社
桶 谷 敏 行
株式会社新潟鐵工所
大 島 宗 紀
阪神内燃機工業株式会社
西 村 孝 明
ヤンマーディーゼル株式会社
小宮山 豊 海
株式会社赤阪鐵工所
杉 田 英 二
株式会社アイ・イー・エム
鹿 股 信 幸
運輸省海上技術安全局
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
(事務局)
小 郷 一 郎
財団法人日本船舶標準協会