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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 0103-1995 

舟艇−海上試運転方法 

Small crafts−Test method at sea trials 

1. 適用範囲 この規格は,全長24m未満,かつ,総トン数20トン未満の,スポーツ及び娯楽用の舟艇

(膨張式ボート及び小形帆船を除く。)の海上試運転(以下,試運転という。)の方法について規定する。 

備考 この規定は一般的な海上試運転の方法について規定したもので,船種・船形・機関の種類など

によって,この規格により難い場合は,この規格に準じて試験を行うとする。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義を次に示す。 

(1) 軽荷状態 船体・機関などに附属する設備及び法定備品からなる船の状態。 

(2) 試運転状態 軽荷状態に乗員(操船及び計測に必要な最少人員),計測機器及び燃料油(常用タンクに

2

1を搭載した船の状態。 

(3) 連続最大出力 機関が安全に連続使用できる最大の出力。 

(4) マイルポスト 試運転の速力試験に使用するために陸岸に特に設けた標識。 

(5) 標柱間航走時間 マイルポスト間を航走するのに要する時間。 

3. 試運転及び海上試運転成績表 試運転は,5.に規定する試験の種類及び方法によって,あらかじめ作

られた試運転方案に従って行い,その結果を海上試運転成績表にとりまとめる。 

4. 試運転の状態 試験を行うときの舟艇の状態は,次の状態とする。 

(1) 試運転状態 

(2) 満載状態 

5. 試験の種類及び方法 

5.1 

速力試験 試運転状態及び満載状態にて,標柱間各1往復又はこれに代わる方法によって,連続最

大出力の41,42,43,44(又は許容回転速度に対する出力)について行う。 

5.2 

続航試験 満載状態にて,連続最大出力(又は,許容回転速度に対する出力)で,少なくとも1時

間行う。 

5.3 

燃料消費量試験 燃料消費量試験は,次による。 

(1) 試運転状態又は満載状態にて,連続最大出力(又は許容回転速度に対する出力)で,あらかじめ定め

られた時間連続して行う。 

(2) 試験中は主機の運転に直接関係がない補機は一般に使用しないが,やむを得ず使用する場合は,燃料

消費量の補正を行うことができる。 

(3) 内燃主機で,燃料消費量の保証は一般的に機関の陸上試験において行われるので,試運転でも参考に

F 0103-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

とどめる。 

5.4 

後進試験 試運転状態にて,連続最大出力(又は,許容回転速度に対する出力)で前進中,後進最

大を発令し,できるだけ速やかに後進最大への切り換え操作を行い,舟艇が停止するまで行う。 

5.5 

旋回試験 試運転状態にて連続最大出力の41,42,43,44(又は許容回転速度に対する出力)にて,

一定針路で前進中,転だ発令によって,だ角35度を取り,舟艇が360度回頭する状態まで行う。反対げん

方向の転だについても同様に行う。だ角35度がとれない場合(1)には,転だできる最大だ角にて行う。 

5.6 

操だ試験 試運転状態にて連続最大出力の41,42,43,44(又は許容回転速度に対する出力)にて前

進中,だ角が片げん35度の状態から反対げん35度になるまでの転だを行う。反対げん35度の状態からに

ついても同様に行う。 

また,だ角35度がとれない場合(1)には,転だできる最大だ角にて行う。 

注(1) 機械的にだ角35度がとれない場合のほか,過度の横滑りや外傾を起こし危険な航走状態となる

場合についても同様とする。 

5.7 

加速性試験 加速性試験は,次による。 

(1) 試運転状態にて,最低回転速度で,一定針路で前進中,発令によって瞬時にスロットルレバーを最大

に上げ,あらかじめ定められた機関回転速度に達するまで行う。 

(2) 試験中は艇の針路は一定に保つものとし,逆針路についても同様に行う。 

6. 測定項目及び測定方法 

6.1 

一般 測定に関する一般事項を次に示す。 

(1) 試運転方案に定められている諸試験に対して必要な測定を行う。 

(2) 測定器はあらかじめ検査し,正確なものを使用する。 

(3) 各試験状態(試運転及び満載)について喫水測定を行う。測定は原則として,試験実施前に行う。 

(4) 速力試験では,片航ごとに,標柱間航走時間,機関回転速度,排気温度及び船体トリム角について測

定する。 

(5) 続航試験では,機関回転速度及び排気温度について測定する。 

(6) 燃料消費量試験では,燃料消費量計測を行う。測定は流量計などによる。 

(7) 後進試験では,後進発令よりプロペラ逆転開始及び艇体停止までの各時間及び艇体停止までの距離に

ついて測定する。 

(8) 旋回試験では,転だ発令により,360度回頭するまでの時間及び旋回直径について測定する。 

(9) 操だ試験では,転だ開始から終了までの時間を測定する。 

また,転だ時の操だ装置の作動について異状の有無を確認する。 

(10) 加速性試験では,片航ごとに,ストップウォッチなどによりあらかじめ定められた機関回転速度に達

するまでの時間を測定する。 

(11) 諸測定のうち,特に注意を必要とするものについては,6.2以下に記載する。 

6.2 

喫水測定 喫水測定は次による。 

(1) 測定は,風,波,潮流の影響の少ない場所にて,静止又はこれに近い状態で行う。 

(2) 艇体の船首部及び船尾部に設けられた目盛を読み取るなどの方法にて,船首部及び船尾部についての

平均喫水を求める。 

6.3 

機関回転速度測定 回転計で読み取る。速力試験の場合は,片航ごとの標柱間航走中の平均回転速

度とする。 

F 0103-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.4 

排気温度測定 船外機装着艇などについては,測定を省略して差し支えない。 

6.5 

トリム角測定 傾斜測定用水準器などを用いて,航走中の角度を測定し,あらかじめ測定しておい

た停船中の角度との差を算出する。 

原案担当作業委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

杉 崎 昭 生 

東京商船大学 

(委員) 

木 内 大 助 

日本小型船舶検査機構 

大 橋 且 典 

社団法人日本外洋帆走協会 

関 根   勤 

社団法人日本舟艇工業会 

玉 利 為 宇 

財団法人マリンスポーツ財団 

池 尾 智 久 

アイ・エイチ・アイ・クラフト株式会社 

熊 沢 時 寛 

有限会社岡本造船所 

山 口 義 則 

川崎重工株式会社CP事業本部 

山 田 健 二 

西武自動車販売株式会社マリーン事業部 

瀧 源 一 秀 

タキゲン製造株式会社ウォーターフロント事業部 

中 村 正 和 

中村船具工業株式会社 

本 田   悟 

日産自動車株式会社マリーン事業部 

古河内 千 尋 

株式会社ヤナセ 

福 島 和 治 

ヤマハ発動機株式会社マリン事業本部 

山 本 啓 吉 

ヤンマー造船株式会社 

太 田 治 孝 

横浜ヨット株式会社 

(事務局) 

小 郷 一 郎 

財団法人日本船舶標準協会 

冨 永 恵 仁 

財団法人日本船舶標準協会