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F 0054 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,運輸大臣が制定した日本工

業規格である。 

この規格の一部が技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。運輸大臣及び日本工業標準調査会は,こ

のような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録

出願にかかわる確認について責任はもたない。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

F 0054 : 2000 

舟艇用語一運航技術 

Small craft−Terminology−Operation techniques 

1. 適用範囲 この規格は,スポーツ及び娯楽用の舟艇(1)の運航技術に関して,通常使用されている主な

用語及び定義について規定する。 

注(1) 小形船の総称 

備考 スポーツ及び娯楽用の舟艇のことを,“プレジャーボート”と呼ぶことがある。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS F 0011 造船用語(船体一般編) 

JIS F 0045 舟艇用語−船体 

JIS F 0048 舟艇用語−帆走 

3. 分類 用語の分類は,次による。 

a) 航海 

1) 船位 

2) 航法 

3) 当直 

b) 操船 

1) 結索及び停泊 

2) 航行船特性 

3) 操船法 

C) 船舶の種類及び灯火 

1) 船舶の種類 

2) プレジャーボートが夜間表示しなければならない灯火 

d) 緊急事態 

1) 海難 

2) 救助 

4. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。 

なお,参考のために慣用語及び対応英語を示す

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F 0054 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.1 

運航技術 

a) 航海 

1) 船位 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

1101 

方位 

ある地点から物標を見る方向。コンパス上の角度で表し
たり,船首尾線などを基準とする。 

bearing 

ベアリング 

1102 

子午線 

地球を地球の両極を通る平面で切ったときの円周線。 

meridian 

1103 

海里 

緯度1分に対する子午線の弧の長さで1 852m。1時間に1
海里航走する速力を1ノットという。 

nautical mile 

マイル 

1104 

位置の線 

測定者が必ずその線上にいるという線で,ある物標から
の方位を測定したとき,その方位線が位置の線となる。 

a line of position 
 (LOP)  

ロップ 

1105 

クロス方位
法 

2本以上の方位による位置の線の交点によって位置を求
める方法。 

cross bearing 

クロスベア
リング 

1106 

重視線 

二つの物標が重なって見える方位線。 

transit line 

トランジッ
トライン 

2) 航法 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

1201 

沿岸航法 

地形,物標,航路標識,測深などによって船位を測定し
ながら航行する航法。 

coastal piloting,  
coastal navigation 

コースティ
ング 

1202 

推測航法 

経緯度の分かっている過去の点からの針路及び航行距離
によって現船位を推測しながら航行する航法。 

dead reckoning 

デドレコ 

1203 

天文航法 

太陽,月,星などの天体の高度,方位を六分儀などで観
測することによって船位を測定しながら航行する航法。 

celestial navigation 

1204 

電子航法 

GPS,レーダ,ロラン,無線方位測定機などの電子機器に
よって船位を測定しながら航行する航法。 

electronic 
navigation 

3) 当直 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

1301 

航海日誌 

船舶の運航に関する事項を記載する日誌。 
発着港名,機関使用状況,針路記録,船位情報,船内作
業状況,気象・海象の状況,海難の発生などを記録する。 

log-book 

ログブック 

1302 

当直 

交代で持ち場について当番を行うこと。 

watch 

ワッチ 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 操船 

1) 結索及び停泊 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

2101 

結索 

ロープ(索)の結び方(図1参照)。 

備考 一般的な検索法は,結びやすくて解けにくく,

しかも解こうとすれば,すぐ解けるように工夫
されている。 

knots 

2102 

係留索 

船舶を係留するために使う索の総称(図2参照)。 

mooring lines 

2103 

びょう泊 

船舶がいかりの係駐力によって停泊している状態。1個の
いかりを船首から投入して停泊する方法を単びょう泊,2
個のいかりを左右離して船首から投入し,それらの間に
船を停泊させる方法を双びょう泊又は2びょう泊という。 

anchoring 

2104 

いかりかき 

いかりが海底にしっかりと食い込んでいるかいないかの
程度。 

2105 

走びょう 

びょう泊中,風潮・波浪などによる外力がいかりの係駐
力(把駐力)を上回り,船がいかりをひきずる状態。 

dragging anchor 

2) 航行船特性 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

2201 

惰力 

船の速力又は針路を変えようとするとき,慣性によって
船がもとの状態をしばらく保とうとする力。回頭惰力,
発動惰力,停止惰力,反転惰力など。 

momentum, inertia 

2202 

最短停止距
離 

モータボートの場合,船が全速前進中に機関を全速後進
にしたとき,船が停止するまでに要する距離。 

shortest 

stopping 

distance,  
minimum 

head 

reach 

2203 

旋回径 

船が転だしてから船首方位が180°変化したときの船体
重心と原針路との間の垂直距離(JIS F 0011参照)。 

tactical 

diameter, 

maximum transfer 

2204 

旋回圏 

船が前進中転だして360°回転する間に船の重心が描く
運動軌跡(JIS F 0011参照)。 

turning circle 

2205 

キック 

直進している船が舵を切って回頭を始めたとき船尾が原
針路から旋回の外側に偏出する現象若しくは偏出する横
距離。 

(stern) kick 

2206 

耐航性 

船が海に出て風や波に立ち向かうことのできる性能(安
全に航行することができる能力)。 

seaworthiness 

たん(堪)航
性 

2207 

復原性 

船が外力に抵抗して直立の姿勢を保とうとする性能(JIS 
4F 0011参照)。 

stability 

復原力 

2208 

ブローチン
グ 

船尾後方から波を受け,船が大きく傾斜する状態(JIS F 
40045参照)。 
セールボートの場合は,強風下を追風で航走中に,船首
が風上にもっていかれて横倒しになる状態(JIS F 0048
参照)。 

broaching, 
broaching to 

2209 

ピッチポー
ル 

セールボートの場合で,荒天時の砕けた追い波によって,
船尾が持ち上げられ船首から水面下に沈んで転覆する状
態。 

pitchpole 

2210 

ノックダウ
ン 

セールボートの場合で,突風及び高波のために横倒しに
なる状態(JIS F 0048参照)。 

knock down 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 操船法 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

2301 

針路の保持 

船首方向の重視目標その他の目標物によって,若しくは
コンパスによって,船の針路のずれを知り,船が一定の
針路を保持して航行する状態。 
備考 もし針路から外れたなら,ずれの少ないうちに小角

度の転だによって修正する。 

course 

keeping, 

course holding 

2302 

港内運用 

港内では制限水路,行き合い船の相互作用などの条件が
重なることに注意し,操船・運用をする方法。 
備考 小回りの方法,投びょう回頭法などの習得すべき運

用技術があり,速力の制御を的確に行う必要があ
る。 

2303 

荒天操船 

荒天時の航海で,風浪の方向と船の針路を適切な角度に
保持し,速力をかじが効く程度に落として船の動揺を減
少させる操船方法。 
備考 一般的に風浪を船首から20°〜30°方向から受け

るようにするのがよい。 

handling in heavy 
weather 

2304 

ヒーブツー 

風波を斜め前方から受けて,セールのトリム及びリーヘ
ルムによって船を一時留める方法(JIS F 0048参照)。 

heave to 

ちちゅう 

2305 

シーアンカ
ー 

荒天時に船首若しくは船尾から流し,船を風向及び波向
に対して平行な向きに保持させる操船方法。 

sea anchor 

海びょう 

c) 船舶の種類及び灯火 

1) 船舶の種類 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

3101 

動力船 

機関を用いて推進する船舶。 
(海上衝突予防法第三条第2項参照。) 

power-driven vessel 

3102 

帆船 

帆だけを用いて推進する船舶及び機関のほか,帆を用い
て推進する船であって帆だけを用いて推進する船舶。 
(海上衝突予防法第三条第3項参照。) 

sailing vessel 

3103 

漁ろうに従
事している
船 

船舶の操縦性能を制限する網,縄その他の漁具を用いて
漁ろうをしている船舶。 
(海上衝突予防法第三条第4項参照。) 

vessel engaged in 
fishing 

3104 

運転不自由
船 

船舶の操縦性能を制限する故障その他の異常な事態が生
じているため,他の船舶の進路を避けることができない
船舶。 
(海上衝突予防法第三条第6項参照。) 

vessel not under 
command 

3105 

操縦性能制
限船 

船舶の操縦性能を制限する作業に従事しているため,他
の船舶の進路を避けることができない船舶。 
(海上衝突予防法第三条第7項参照。) 

vessel restricted in 
her ability to 
manoeuvre 

3106 

追い越し船 

他の船舶の正横後22度30分より後ろからその船舶を追
い越す船舶。 
(海上衝突予防法第十三条第2項参照。) 

over taking vessel 

3107 

避航船 

他の船舶の針路を避けなければならない船舶のことで,
できる限り早めにそして大幅に避航動作をとらなくては
ならない。 
(海上衝突予防法第十六条第1項参照。) 

give-way vessel 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

参考 

3108 

保持船 

他の船舶が避けなくてはならない船舶で,針路速力を保
持しなければならない。 
(海上衝突予防法第十七条第1項参照。) 

stand-on vessel 

3109 

雑種船 

汽艇,はしけ,端舟,その他ろかいをもって運転する船
舶で,主として港内で用いられる船舶。 
(港則法第三条第1項参照。) 

Miscellaneous 
vessel 

3110 

航行中の船
舶 

船舶が,びょう泊(係船浮標又はびょう泊している船舶
に係船している船舶を含む)をし,陸岸に係留し,又は
乗り揚げていない状態。 
(海上衝突予防法第三条第9項参照。) 

Vessel Underway 

2) プレジャーボートが夜間表示しなければならない灯火 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

3201 

灯火の種類 

図3.1参照。 

navigation lights 

航海灯 

3202 

帆船が表示
する灯火 

全長20m未満の帆船が表示する灯火は三色灯若しくは,
両色灯(若しくはげん灯)と船尾灯の組合せ(図3.2参照)。
機関を用いている帆船は動力船とみなされる。 

navigation lights for 
sail vessel less than 
20m 

3203 

動力船が表
示する灯火 

全長20m未満の動力船が表示する灯火はマスト灯,げん
灯(若しくは両色灯)と船尾灯の組合せ(図3.3参照)。
全長12m未満の場合は,マスト灯と船尾灯にかえて全周
灯でもよい(図3.4参照)。 

navigation lights for 
power-driven vessel 
less than 20m 

3204 

びょう泊中
に表示する
灯火 

スポーツ及び娯楽用の舟艇(プレジャーボート)を含め
びょう泊中の船舶が表示する灯火は,全周灯(図3.5参
照)。 

anchor light 

d) 緊急事態 

1) 海難 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

4101 

座礁 

船が岩礁又は浅瀬に乗り揚げる状態。 

run aground 

乗揚げ 

4102 

ディスマス
ト 

マストが折れた状態。 

dismast 

4103 

遭難通信 

海難が発生して他船又は陸上からの救助を求める場合の
通信。 

distress 
communications 

4104 

メイデイ 

船舶又は飛行機の国際無線通信電話の救助信号。4回連呼
する。 

mayday 

2) 救助 

番号 

用語 

定義 

参考 

対応英語 

慣用語 

4201 

EPIRB 

衛星を介して飛行機又は地上局に遭難位置を送信する機
能をもつ,小形発信器。 

Emergency Position 
Indicating Radio 
Beacon 

イーパブ,イ
パーブ 

4202 

イマージヨ
ンスーツ 

水中でも体温の低下を招かないよう工夫されたスーツ。 

immersion suit 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

参考 

4203 

曳航 

船舶が他の船舶などを曳航索によって引いて航行する状
態。 

tow 

4204 

落水者救助 

航行中,人が海中に転落した場合の救助のことで,一般
的な手順としては, 
a) 落水の発見者は船内に落水者が船のどちら側に落ち

たかを知らせる。 

b) 救命浮環若しくはそれに代わるものを投下する。 
c) 落水者側に舵を一杯にとるとともに機関をいったん

中立にしプロペラの回転を止める。 

d) 落水者を見失わないように見張りを行う。 
e) 落水者が船尾に移動したら,落水者に近づき引き揚

げる。 

マンオーバ
ーボート 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 結索 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2 係留索 

図3.1 灯火の種類 

図3.2 全長20m未満の帆船が表示する灯火 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図3.3 全長20m未満の動力船が表示する灯火 

図3.4 全長12m未満の動力船が表示する灯火 

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10 

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図3.5 びょう泊中に表示する灯火 

原案担当作業委員会 構成表 

氏名 

所属 

(専門分科会長) 

坂 元 謙 介 

日本小型船舶検査機構 

(委員) 

加 納 敏 幸 

日本小型船舶検査機構 

角   晴 彦 

社団法人日本外洋帆走協会 

村 越 義 明 

社団法人日本舟艇工業会 

玉 利 為 宇 

財団法人マリンスポーツ財団 

山 口 昭 雄 

株式会社アイ・エイチ・アイ・アムテック 

神 竹 幹 夫 

川崎重工業株式会社 

武 藤 憲 一 

タキゲン製造株式会社 

中 村 正 和 

中村船具工業株式会社 

勝 俣   威 

日産自動車株式会社 

長谷川   宏 

ヤマハ発動機株式会社 

谷   聖 志 

ヤマハ発動機株式会社 

本 田 哲 郎 

ヤンマー造船株式会社 

沼 田 隆 之 

横浜ヨット株式会社 

(関係者) 

前 田 雅 博 

ヤマハ発動機株式会社 

(事務局) 

小 郷 一 郎 

財団法人日本船舶標準協会 

長谷川 幸 生 

財団法人日本船舶標準協会