2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
F 0044-1991
舟艇用語−帆装
Pleasure boat−Vocabulary−Rigs
1. 適用範囲 この規格は,スポーツ及び娯楽用の舟艇(1)の主な用語について規定する。
注(1) 小形船の総称。
備考 スポーツ及び娯楽用の舟艇のことを,“プレジャーボート”と呼ぶことがある。
2. 分類 用語の分類は,次のとおりとする。
2.1
帆装
(1) 帆の張り方
(2) マスト
(a) マスト・ブームなど
(b) マストなどの附属部品
(3) リギン(索具)
(a) スタンディングリギン(静索)
(b) ランニングリギン(動索)及びそのぎ装品
(4) 帆の種類及び各部名称
(a) 帆の種類
(b) 帆の各部名称
(5) 帆の備品
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。
なお,参考のために対応英語及び慣用語を示す。
備考 定義欄の挿絵は,一例を示す。
3.1
帆装
(1) 帆の張り方
2
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
101
リグ
マストと帆との組合せ形式。
rig
102
キャットリグ
マストが1本で,これに1枚の帆を張る帆装形式。
cat rig
103
スループリグ
マストが1本で,これにメインセールとジブセール
とを張る帆装形式。
sloop rig
104
カッターリグ
マストが1本で,これにメインセールとジブセール2
枚とを張る帆装形式。
cutter rig
105
ヨールリグ
ミズンマストがだ(舵)柱の後方にあり,2本のマス
トに縦帆を張る帆装形式。
yawl rig
106
ケッチリグ
ミズンマストがだ(舵)柱の前方にあり,2本のマス
トに縦帆を張る帆装形式。
ketch rig
107
スクーナーリグ
2本以上のマストをもち,メインマスト及びフォアマ
ストに縦帆を張る帆装形式(図1参照)。
schooner rig
108
スタンディング
ラグリグ
ガフが,マストの前方に突き出ていて,ガフがマス
トには固定されていない帆装形式。
standing rug rig
109
マルコニーリグ
艇の長さに比して高いマストに縦帆を張る帆装形式。 marconi rig
110
ガフリグ
ガフをもつ帆装形式(図1参照)。
gaff rig
111
リーフ
風の強さに応じて帆を縮めること。
reef
112
マストヘッドリ
グ
ジブセールが,マスト頂部から展開できる帆装形式。 mast head rig
113
フラクショナル
リグ
ジブセールが,マスト上部中間から展開できる帆装
形式。
fractional rig
3
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) マスト
(a) マスト・ブームなど
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
201
マスト
帆を展開するための柱の総称。
mast
202
メインマイト
主となるマスト(図1参照)。
main mast
203
フォアマスト
メインマストの前方にあるマスト(図1参照)。
fore mast
204
ミズンマスト
メインマストの後方にあるマスト(図2参照)。
mizzen mast
205
ブーム
マスト,ステイなどにその前端を取り付けて,帆の
フットを装着し展開するための円材(図1参照)。
boom
206
ヤード
マストにその中央部を取り付けて,帆のヘッドを装
着し四辺形の横帆を展開するための円材。
yard
207
ガフ
マストにその前端を取り付けて,帆のヘッド及びピ
ークを装着し四辺形の縦帆を展開するための円材
(図1参照)。
gaff
208
スピネーカポー
ル
マストにその一端を取り付けて,スピネーカを展開
するための円材(図5参照)。
spinnaker pole
209
バウスプリット
船首から前方へ張り出した円材で,フォアステイ又
はヘッドステイを取り付けて帆を展開できるように
したもの。
bow sprit
図1
図2
4
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(b) マストなどの附属部品
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
210
マストヘッド金具 マストなどの頂部の金具(図3参照)。
mast head fitting
211
スプレッダ
シュラウドの開き角度を大きくし,マストの横方向
強度を増やすために,マストの両側面から張り出し
た部材(図3参照)。
spreader
212
ジャンパストラ
ット
主にマスト上部の前後方向の強度を増すためにマス
ト前面から張り出した部材。
jumper strut
213
マストタング
ステイ及びシュラウドを固定するためにマストに取
り付けられた舌状の金具,又はその用に共するもの
(図3参照)。
mast tong
図3
5
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
214
マストヒール
マストの下端に取り付ける金具(図3参照)。
mast heel
215
マストステップ
マストヒールを受ける台座(図3参照)。
mast step
216
ダースネック
ブームの開き角度を自由に変えるために,ブームの前
端部をマストに取り付ける金具(図3参照)。
gooseneck
217
ブームエンド金具 ブームの後端部の金具。
boom end fitting
218
セールトラック
セールを揚降するためにマスト後面に取り付けられ
た,レール状の金具。
sail truck
(3) リギン(索具)
(a) スタンディングリギン(静索)
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
301
ステイ
マストを前後方向に支えるワイヤロープの総称。
stay
302
フォアステイ
マストの前方で支えるステイ(図3参照)。
fore stay
303
バックステイ
マストの後方で支えるステイ(図3参照)。
back stay
304
ボブステイ
バウスプリットを下方へ支える索。
bob stay
305
スプリングステイ マスト間に張られる索。
spring stay
306
シュラウド
マストを正横方向に支持する索(図3参照)。
shroud
307
リギンスクリュー ステイ及びシュラウドを張りつめるための装置(図3
参照)。
rigging screw
ターンバックル
6
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(b) ランニングリギン(動索)及びそのぎ装品
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
308
ハリヤード
帆を揚降するための索(図3参照)。
halyard
309
トッピングリフト ブームをつり上げる索(図3参照)。
topping lift
310
シート
帆の張出しを操作するロープ。
sheet
311
シートトラベラ
装置
シートを引き込むデッキ上の位置を調整するための
装置(図4参照)。
sheet travelling
equipments
312
ダウンホール
帆のタックを下方へ引く索。
down haul
カニンガム
313
クリューアウト
ホール
帆のクリューを後方へ引く索。
clew out haul
314
ブームバング
ブームを上下方向に調整し,又は支持する索具(図3
参照)。
boom vang
ブームジャッキ
図4
7
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
315
スピネーカフォ
アガイ
スピネーカポールを,下方に引き込む索(図5参照)。 spinnaker fore guy
316
スピネーカアフ
ターガイ
スピネーカポールを,後方に引き込む索(図5参照)。 spinnaker after guy
317
ラフフォイル
フォアステイのほぼ全長に渡って取り付けられたジ
ブセールのラフを支持する装置。
luff foil
ヘッドフォイル
318
リーフィングギア 縮帆するための装置。
reefing gear
319
ファーリングギア 帆を巻き取るための装置。
furling gear
図5
8
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(4) 帆の種類及び各部名称
(a) 帆の種類
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
401
メインセール
メインマストに張る帆(図1参照)。
main sail
メンスル
402
ジブセール
メインマストの前方に張る三角形の帆(図1参照)。 jib sail
ジブ
403
ゼノアジブ
メインセールに部分的に重なる大きいジブセール。
genoa jib
ゼノア
404
ヘッドセール
最前部のマスト前方に張る帆。
head sail
ヘッドスル
405
ミズンセール
ミズンマストに張る帆(図2参照)。
mizzen sail
ミズンスル
406
ステイセール
フォアステイとマストとの中間及びマストとマスト
との中間に展開する三角形の帆。
stay sail
ステイスル
407
スピネーカ
追風や横風に使用する軽い生地で作ったバルン状の帆。 spinnaker
スピン
408
ストームジブ
荒天用のジブセール。
storm jib
409
ストームトライ
セール
荒天時にメインセールの代わりに掲げる小さい帆。
try' sail
トライスル
410
縦帆
(じゅうはん)
艇の前後方向に展開できる形状の帆。
fore and aft sail
411
ガフセール
ガフを用いて展開する四辺形の縦帆。
gaff sail
ガフスル
412
横帆
(おうはん)
艇の横方向に展開できる四辺形の形状の帆。
square sail
9
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(b) 帆の各部名称
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
413
ラフ
帆の前縁(図6参照)。
luff
414
フット
帆の下縁(図6参照)。
foot
415
リーチ
帆の後縁(図6参照)。
leech
416
ヘッド
帆の上端部又は上縁部(図6参照)。
head
417
ピーク
帆の上端部(図6参照)。
peak
418
タック
ラフとフットとの交点(図6参照)。
tack
419
クリュー
フットとリーチとの交点(図6参照)。
clew
420
ローチ
帆のピークからクリューまで引いた直線とリーチと
で囲まれた部分(図6参照)。
roach
図6
10
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(5) 帆の備品
番号
用語
定義
参考
対応英語
慣用語
501
リーフポイント
リーフをするのに用いる帆のフットに平行に取り付
けた穴(図7参照)。
reef point
502
ピークボード
帆のピークに取り付ける板(図7参照)。
peak board
head board
ヘッドボード
503
ラフロープ
帆のラフに取り付けたロープ(図7参照)。
luff rope
504
フットロープ
帆のフットに取り付けたロープ(図7参照)。
foot rope
505
ボルトロープ
帆の周辺を補強するために取り付けられたロープ。
bolt rope
506
リーフライン
縮帆用のロープ。
reef line
507
クリングル
帆の隅などに金属(鳩目)又はロープで穴を作った
環(図7参照)。
cringle
508
ジブハンクス
ジブセールのフォアステイに取り付けるための金具
(図7参照)。
jib hanks
509
セールマーク
帆に張り付けた艇のクラス識別マーク(図7参照)。 sail mark
510
セールナンバー
帆に張り付けた艇の登録番号(図7参照)。
sail numbers
511
バテン
セールの帆走中の形状を整えるための,細長い板(図
7参照)。
batten
512
タックロープ
タックに付けられたロープ。
tack rope
513
クリューアウト
ホール
クリューを後方に引っ張るために取り付けられたロ
ープ(図7参照)。
clew out haul
図7
11
F 0044-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
船舶部会 舟艇専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
杉 崎 昭 生
東京商船大学
岡 田 光 豊
運輸省海上技術安全局
有 川 彰 一
日本小型船舶検査機構
小 郷 一 郎
財団法人日本船舶標準協会
鈴 木 龍 夫
社団法人日本舟艇工業会
玉 利 為 宇
財団法人日本モーターボート協会
工 藤 愼 一
トーハツ株式会社
栗 原 宏 一
日産自動車株式会社
坪 井 勇
三信工業株式会社
中 村 正 和
中村船具工業株式会社
伊 藤 仁
アイ・エイチ・アイ・クラフト株式会社
大 橋 且 典
社団法人日本外洋帆走協会
小 林 昇
ヤマハ発動機株式会社
駒 野 啓 介
横浜ヨット株式会社
東 森 俊 博
ヤンマー造船株式会社
(事務局)
小 林 秋 穂
工業技術院標準部機械規格課
山 形 智 幸
工業技術院標準部機械規格課