E 5301:2018
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 構造,形状及び寸法 ·········································································································· 3
4.1 放熱器主要名称 ············································································································· 3
4.2 コア形式 ······················································································································ 4
4.3 冷却装置の主要名称 ······································································································· 6
4.4 放熱器の主要寸法 ·········································································································· 7
5 技術要求項目 ··················································································································· 8
5.1 提示項目の定義 ············································································································· 8
5.2 発注者の提示項目 ·········································································································· 8
5.3 製造業者の提示項目 ······································································································ 12
6 性能······························································································································ 13
7 試験······························································································································ 13
7.1 試験の種類 ·················································································································· 13
7.2 試験項目 ····················································································································· 13
7.3 試験方法 ····················································································································· 13
8 表示······························································································································ 17
E 5301:2018
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
鉄道車輌工業会(JARI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規
格である。
これによって,JIS E 5301:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
E 5301:2018
鉄道車両−放熱器
Rolling stock-Radiator
1
適用範囲
この規格は,鉄道車両に用いる機関の冷却水・潤滑油及び液体変速機の作動油を冷却する放熱器・冷却
装置について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS E 4001 鉄道車両−用語
JIS E 4031 鉄道車両用品−振動及び衝撃試験方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS E 4001によるほか,次による。
3.1
放熱器
作動流体を冷却する熱交換器の総称。作動流体の種類によって水用放熱器又は油用放熱器に分類される。
3.2
水用放熱器,ラジエータ
冷却水を冷却する放熱器。機関で発生した熱は,機関の冷却水を介して放熱器から,大気に放出される。
3.3
油用放熱器,オイルクーラ
潤滑油及び作動油を冷却する放熱器。機関及び液体変速機で発生した熱は,機関の潤滑油及び液体変速
機の作動油を介して放熱器から,大気に放出される。
3.4
分割形放熱器
コアの両側にフランジ付きヘッダをもつ構造の放熱器。ヘッダ部を,タンクを内蔵する冷却装置の枠に
直接取り付ける。
3.5
一体形放熱器
コアの両側にタンクをもつ構造の放熱器。冷却装置の枠に組み付け,放熱器のパイプと冷却配管とを接
続する。
2
E 5301:2018
3.6
冷却水
機関で発生した熱を水用放熱器に伝える冷却作動流体。一般にクーラントと呼ばれ,清水に不凍液を混
ぜて使用する。不凍液の濃度が上がることによって,耐凍結性能は上がるが,冷却能力は低下する。
3.7
コア
作動流体と空気との間の熱交換を行う要素部。コアは作動流体を通すチューブ及び作動流体の熱を空気
に伝えるフィンで構成される。
3.8
コア形式
コアの構造形式。チューブの形状及びフィンの形状の組合せによって各種のコア形式がある。
3.9
コア寸法
コア幅,コア長さ及びコア奥行で表すコア部の寸法。
3.10
フィン
冷却能力を向上するため,放熱面積を広げる役割の薄い板状の“ひれ”。フィンの形状にはプレートフィ
ン及びコルゲートフィンの2種類があり,熱伝達性能を向上させるため,空気流れ方向にフィン部を切り
起こしたルーバ形状,波形に成型したウェーブ形状などがある。
3.11
冷却装置
放熱器が枠に組み込まれた構造。送風機とそれを駆動する装置とを組み合わせる。
3.12
設計圧力
冷却回路に組み込まれた放熱器に加わる最高使用圧力(脈動がある場合は,放熱器に加わる最高圧力。)。
3.13
試験圧力
製造業者が形式試験及び受渡試験時の中で行う加圧試験に加える圧力。
3.14
必要放熱面積
仕様を満足するために最低限必要な放熱面積。
3.15
設計放熱面積
設計した放熱器におけるコア部の空気に触れる総放熱面積。次の式によって求める。
(
)n
A
A
A
+
=
t
f
ここに,
A: 設計放熱面積(m2)
Af: 放熱器1個当たりのフィンの表面積(m2)
At: 放熱器1個当たりのチューブの空気側表面積(m2)
n: 放熱器使用個数
3
E 5301:2018
3.16
面積余裕率
設計した放熱器の放熱面積の余裕率。次の式によって求める。
100
1
f
×
−
=
n
A
A
S
ここに,
Sf: 面積余裕率(%)
A: 設計放熱面積(m2)
An: 必要放熱面積(m2)
3.17
バランス温度
冷却回路における作動流体の温度が平衡状態になったときの入口温度,又は出口温度。放熱面積の余裕
率が大きくなるに従い,仕様値よりも低い温度でバランスする。
3.18
前面面積
放熱器1個当たりのコア部の前面面積。次の式によって求める。
6
h
w
fr
10−
×
=
L
L
A
ここに,
Afr: 前面面積(m2)
Lw: コア幅(mm)
Lh: コア長さ(mm)
3.19
内部容量
放熱器及び冷却装置内部の空間を満たす作動流体の容量。
3.20
乾燥質量
放熱器及び冷却装置内部の作動流体を除いた質量。
4
構造,形状及び寸法
4.1
放熱器主要名称
分割形放熱器及び一体形放熱器の主要名称を,図1及び図2に示す。
1:コア
2:上部フランジ付ヘッダ
3:下部フランジ付ヘッダ
4:管寄せ板
5:フィン
6:チューブ
図1−分割形放熱器の主要名称
4
E 5301:2018
1:コア
2:上部タンク
3:下部タンク
4:上パイプ
5:下パイプ
6:管寄せ板
7:フィン
8:チューブ
図2−一体形放熱器の主要名称
4.2
コア形式
コア形式は,フィンアンドチューブ形とプレートアンドフィン形とに分類され,それぞれフィンにルー
バの有無がある。フィンアンドチューブ形にはプレートフィンアンドチューブ形及びコルゲートフィンア
ンドチューブ形があり,コルゲートフィンにはフィンの曲げが長方形状及びラウンド形状がある。各コア
形式の基本構造例を図3及び図4に示す。
a) プレートフィンアンドチューブ形(ルーバなし)
b) プレートフィンアンドチューブ形(ルーバあり)
図3−フィンアンドチューブ形(例)
5
E 5301:2018
c) コルゲートフィンアンドチューブ形(長方形状)
d) コルゲートフィンアンドチューブ形(ラウンド形状)
図3−フィンアンドチューブ形(例)(続き)
図4−プレートアンドフィン形(例)
6
E 5301:2018
4.3
冷却装置の主要名称
冷却装置は,送風機の駆動方法によって,電動式及び機械式の2種類に分類する。冷却装置の主要名称
を,図5に示す。
a) 電動式(例)
b) 機械式(例)
図5−冷却装置主要名称
7
E 5301:2018
4.4
放熱器の主要寸法
放熱器の主要寸法は,図6による。
h1: ノズルピッチ(取付けピッチ)
φa: ヘッダ取付け穴
h2: 全長さ
b: ヘッダ取付け部ずれ
h3: コア長さ
φd: 流体出入口径
W1: コア幅
d1: コア奥行
W2: 取付け幅ピッチ
d2: 全奥行
W3: ヘッダ幅
d3: ヘッダ取付け部厚さ
W4: 全幅
d4: ヘッダ取付けフランジ厚さ
α: ヘッダ取付け部傾き(長さ方向)
m: パッキン溝幅
β: ヘッダ取付け部傾き(幅方向)
n: パッキン溝深さ
ε: コアたわみ(幅方向)
a) 分割形(例)
h1: ノズルピッチ
h2: 全長さ
h3: コア長さ
h4: ノズル寸法
W1: コア幅
d1: コア奥行
d2: 全奥行
φd: ノズル外径
b) 一体形(例)
図6−放熱器主要寸法
8
E 5301:2018
5
技術要求項目
5.1
提示項目の定義
提示項目の定義は,次による。項目a)〜u) に記載したⒶ 〜Ⓤ 及びⓐ〜ⓤは,表1,表2及び図7の表
示に対応する。
なお,Ⓐ 〜Ⓤ は水用冷却装置を,ⓐ〜ⓤは油用冷却装置を示す。
5.2
発注者の提示項目
水用冷却装置及び油用冷却装置の仕様について,発注者が製造業者に提示する項目を表1及び表2にそ
れぞれ示す。各項目の定義は,次のとおりとする。
a) 交換熱量 Ⓐ ⓐ 冷却装置に要求する放熱量。単位は,キロワット(kW)で表す。
b) サーモスタット開弁温度 Ⓑ サーモスタットが開き始める温度。単位は,セルシウス度(℃)で表
す。
c) サーモスタット全開温度 Ⓒ サーモスタットが全開となる温度。単位は,セルシウス度(℃)で表
す。
d) ポンプ性能曲線 Ⓓ 水ポンプの流量と全揚程との関係を示した曲線。
e) 不凍液の種類 Ⓔ 冷却水に使用する不凍液の種類又は銘柄。
f)
不凍液濃度 Ⓕ 冷却水に占める不凍液の濃度。単位は,%(V/V)で表す。
g) 油の種類 ⓖ 潤滑油又は作動油に使用する油の種類。
h) 水側・油側通過流量 Ⓗ ⓗ 水回路及び油回路を流れる流体の流量。水用冷却装置の場合は,水ポン
プ性能曲線によって,冷却回路抵抗(機関本体抵抗+外部配管抵抗+冷却装置内抵抗)とのマッチン
グ点における流量を求める。単位は,L/minで表す。
i)
水側・油側許容最高温度 Ⓘ ⓘ 冷却装置入口での水回路及び油回路の許容最高温度。単位は,セル
シウス度(℃)で表す。
j)
水側・油側許容圧力損失 Ⓙ ⓙ 冷却装置に許容される水回路及び油回路の圧力損失。単位は,キロ
パスカル(kPa)で表す。
k) 水側・油側最高使用圧力 Ⓚ ⓚ 冷却装置入口での水回路及び油回路の最高圧力。単位は,メガパス
カル(MPa)で表す。
l) 水タンク圧力キャップ開弁圧 Ⓛ 水タンク注水口に取り付けている圧力キャップが開き始める圧力。
単位は,メガパスカル(MPa)で表す。
m) 外部配管抵抗 Ⓜ 機関と水用冷却装置とを接続する配管の抵抗。単位は,キロパスカル(kPa)で表
す。
n) 風量 Ⓝ ⓝ 冷却装置の入口部又は出口部を流れる空気の風量。単位は,m3/minで表す。
o) 空気側最高温度 Ⓞ ⓞ 冷却装置内に入る空気の最高温度。単位は,セルシウス度(℃)で表す。
p) 空気側許容圧力損失 Ⓟ ⓟ 冷却装置に許容される空気側の圧力損失。単位は,パスカル(Pa)で表
す。
q) 面積余裕率 Ⓠ ⓠ 冷却装置に要求する面積余裕率(3.16参照)。単位は,%で表す。
r) 許容外形寸法 Ⓡ ⓡ 冷却装置の幅,高さ及び奥行の許容外形寸法。単位は,ミリメートル(mm)
で表す。
s)
外気温度範囲 Ⓢ 使用する場所の外気温度の最低値及び最高値。単位は,セルシウス度(℃)で表
す。
t)
相対湿度 Ⓣ 冷却装置内に入る空気の相対湿度。単位は,%で表す。
9
E 5301:2018
u) 振動試験条件 Ⓤ ⓤ 振動試験の条件。受渡当事者間の協定によって定めたJIS E 4031の箇条1に規
定する振動試験の区分を示す。
表1−発注者の提示項目(水用冷却装置の場合)
区分
項目
単位
記号
仕様値
表示
機関仕様
交換熱量
kW
Qw
(機関回転数 min−1のとき)
Ⓐ
(機関回転数 min−1のとき)
サーモスタット開弁温度
℃
Ts
Ⓑ
サーモスタット全開温度
℃
Te
Ⓒ
ポンプ性能曲線
−
−
Ⓓ
性能仕様
水側
不凍液の種類
−
−
Ⓔ
不凍液濃度
%(V/V)
φ
Ⓕ
通過流量
L/min
Vw
Ⓗ a)
許容最高温度
℃
Tw
Ⓘ
許容圧力損失
kPa
ΔPw
Ⓙ a)
最高使用圧力
MPa
Pwmax
Ⓚ
水タンク圧力キャップ開弁圧
MPa
Pwcap
Ⓛ
外部配管抵抗
kPa
ΔPew
(ポンプ流量 L/minのとき)
Ⓜ a)
(ポンプ流量 L/minのとき)
空気側 風量
m3/min
Va
Ⓝ
最高温度
℃
ta
(標高 mのとき)
Ⓞ
(標高 mのとき)
許容圧力損失
Pa
ΔPa
Ⓟ
面積余裕率(3.16)
%
Sf
Ⓠ
構造仕様
許容外形寸法(幅×高さ×奥行)
mm
−
Ⓡ
使用条件
外気温度範囲
℃
Ta
Ⓢ
相対湿度
%
U
Ⓣ
振動試験条件
−
−
Ⓤ
注a) 通過流量(表示Ⓗ )及び許容圧力損失(表示Ⓙ )が提示できない場合は,外部配管抵抗(表示Ⓜ )を提示す
る。
10
E 5301:2018
表2−発注者の提示項目(油用冷却装置の場合)
区分
項目
単位
記号
仕様値
表示
機関又は液体
変速機仕様
交換熱量
kW
Qo
(機関回転数 min−1のとき)
ⓐ
(機関回転数 min−1のとき)
性能仕様
油側
油の種類
−
−
ⓖ
通過流量
L/min
Vo
ⓗ
許容最高温度
℃
To
ⓘ
許容圧力損失
kPa
ΔPo
ⓙ
最高使用圧力
MPa
Pomax
ⓚ
空気側
風量
m3/min
Va
ⓝ
最高温度
℃
ta
(標高 mのとき)
ⓞ
(標高 mのとき)
許容圧力損失
Pa
ΔPa
ⓟ
面積余裕率(3.16)
%
Sf
ⓠ
構造仕様
許容外形寸法(幅×高さ×奥行)
mm
−
ⓡ
使用条件
外気温度範囲
℃
Ta
Ⓢ
相対湿度
%
U
Ⓣ
振動試験条件
−
−
ⓤ
11
E 5301:2018
水用 油用
項目
Ⓐ
ⓐ 交換熱量
Ⓑ
− サーモスタット開弁温度
Ⓒ
− サーモスタット全開温度
Ⓓ
− ポンプ性能曲線
Ⓔ
− 不凍液の種類
Ⓕ
− 不凍液濃度
−
ⓖ 油の種類
Ⓗ
ⓗ 水側・油側通過流量
Ⓘ
ⓘ 水側・油側許容最高温度
Ⓙ
ⓙ 水側・油側許容圧力損失
Ⓚ
ⓚ 水側・油側最高使用圧力
Ⓛ
− 水タンク圧力キャップ開弁圧
Ⓜ
− 外部配管抵抗
Ⓝ
ⓝ 風量
Ⓞ
ⓞ 空気側最高温度
Ⓟ
ⓟ 空気側許容圧力損失
Ⓠ
ⓠ 面積余裕率
Ⓡ
ⓡ 許容外形寸法
Ⓢ
外気温度範囲
Ⓣ
相対湿度
Ⓤ
ⓤ 振動試験条件
図7−冷却回路(例)
サーモスタット
水ポンプ
水タンク
機関
変速機
水回路
油回路
水用冷却装置
油用冷却装置
ⓈⓉ
ⒶⒿⓅⓆⓇⓊ
Ⓓ
ⓐⓙⓟⓠⓡⓤ
油ポンプ
ⒺⒻ
ⓖ
Ⓜ
ⒽⒾⓀ
ⓗⓘⓚ
Ⓛ
ⒷⒸ
ⓃⓄ
ⓝⓞ
空気
空気
2
E
5
3
0
1
:
2
0
1
8
12
E 5301:2018
5.3
製造業者の提示項目
製造業者が発注者に提示する項目は,表3による。
表3−製造業者の提示項目
区分
項目
単位
記号
仕様値
水
油
性能仕様
交換熱量
kW
Qw
Qo
(機関回転数 min−1のとき)
(機関回転数 min−1のとき)
水側・油側
通過流量
L/min
Vw
Vo
(機関回転数 min−1のとき)
(機関回転数 min−1のとき)
入口温度
℃
tw1
to1
出口温度
℃
tw2
to2
出入口温度差
℃
Δtw
Δto
密度
kg/m3
γw
γo
比熱
kJ/kg・K
Cpw
Cpo
圧力損失
kPa
ΔPtw
ΔPto
設計圧力(3.12)
MPa
Pw
Po
試験圧力(3.13)
MPa
Ptw
Pto
空気側
風量
m3/min
Va
入口空気温度
℃
ta1
出口空気温度
℃
ta2
密度
kg/m3
γa
比熱
kJ/kg・K
Cpa
圧力損失
Pa
ΔPta
必要放熱面積(3.14)
m2
An
設計放熱面積(3.15)
m2
A
面積余裕率(3.16)
%
Sf
バランス温度(3.17)
℃
tw
to
構造仕様
冷却装置外形寸法(幅×高さ×奥行)
mm
−
コア形式(3.8)
−
−
コア寸法(幅×長さ×奥行)(3.9)
mm
−
コア材質
−
−
放熱器使用個数
個
n
前面面積(3.18)
m2
Afr
内部容量(3.19)
L
L
乾燥質量(3.20)
kg
m
13
E 5301:2018
6
性能
放熱器及び冷却装置の性能は,箇条7の試験を行ったとき,表4による。
表4−性能
項目
性能
試験箇条
耐圧力性
試験圧力を加えたとき,漏れがない。
7.3.1
耐振動性
JIS E 4031に規定する試験を実施後,加圧試験による漏れ及びその他の
異常がない。
7.3.2
放熱性能
放熱性能が表3の仕様値を満足する。
7.3.3
寸法
図6の主要寸法が許容値以内である。
7.3.4
質量
質量測定値が表3の計画値を満足する。
7.3.5
外観
使用上の有害な異常がない。
7.3.6
熱ひずみ性
温度変化で発生する使用材料の膨張・収縮に対して放熱器に高い応力が
発生しない。
7.3.7
風量
測定風量が表3の計画値を満足する。
7.3.8
7
試験
7.1
試験の種類
試験の種類は,次による。
a) 形式試験 形式試験は,同一の設計仕様ごとに一つの製品について行う。ただし,製造業者がそれ以
前に製造した製品と同一と判断し形式試験成績書を提出する場合には,これらの試験を省いて形式試
験に合格したものとみなすことができる。
b) 受渡試験 受渡試験は,同一発注の全ての製品について行う。
c) 調査試験 調査試験は,受渡当事者間において必要と認めた場合に適用する。ただし,仕様書に特別
の合意が表明されていない限り,この試験結果を製品の受渡条件とはしない。
7.2
試験項目
放熱器及び冷却装置の試験は,表5による。
表5−適用する試験項目
試験項目
形式試験
受渡試験
調査試験
放熱器
冷却装置
放熱器
冷却装置
放熱器
冷却装置
加圧試験
○
○
○
○
−
−
振動試験
○
−
−
−
−
○
放熱試験
○
−
−
−
−
−
寸法測定
○
○
○
○
−
−
質量測定
○
○
−
−
−
−
外観検査
○
○
○
○
−
−
熱ひずみ試験
−
−
−
−
○
−
風量測定
−
○
−
−
−
−
7.3
試験方法
7.3.1
加圧試験
7.3.1.1
水用放熱器
14
E 5301:2018
水用放熱器の加圧試験は,次による。
a) 試験圧力 設計圧力の1.5倍又は製造業者が定めた圧力とする。
b) 試験方法 放熱器を水中に入れた後,圧縮空気又は圧縮窒素で試験圧力まで加圧し,そのまま1分間
以上水中に保持して漏れを検査する。
7.3.1.2
油用放熱器
油用放熱器の加圧試験は,次による。
a) 試験圧力 設計圧力の1.5倍又は製造業者が定めた圧力とする。
b) 試験方法 次の空気圧試験及び油圧試験とする。ただし,空気の分子は,油よりも小さく漏れやすい
ため,油圧試験を省略してもよい。
1) 空気圧試験 放熱器を水中に入れた後,圧縮空気又は圧縮窒素で試験圧力まで加圧し,そのまま1
分間以上水中に保持して漏れを検査する。
2) 油圧試験 試験圧力の油圧を加えて,漏れを検査する。
7.3.1.3
冷却装置
冷却装置の加圧試験は,放熱器単体での加圧試験に加えて,次による。
a) 試験圧力 設計圧力の1.5倍又は製造業者が定めた圧力とする。
b) 試験方法 冷却装置に設置されている配管などの漏れを確認する。出入り口部をジグで密閉し,圧力
計を設置後,内部に圧縮空気又は圧縮窒素で試験圧力まで加圧し,そのまま1分間保持して圧力計の
降下確認及び配管の接続部からの漏れを検査する。
7.3.2
振動試験
放熱器に水又は油を充満した状態で,JIS E 4031に規定する振動耐久試験を行い,漏れ及びその他の異
常がなく,要求されている性能を満足していることを確認する。振動試験は,受渡当事者間の協定によっ
て,JIS E 4031の箇条9に規定する方法又はJIS E 4031のJA.6.4に規定する方法のいずれかを選択し,表
2の振動試験条件にはどの方式を採用したかを記載する。ただし,冷却装置の振動試験は調査試験で行い,
試験方法は受渡当事者間の協定による。
7.3.3
放熱試験
7.3.3.1
放熱試験条件
放熱器の放熱試験条件は,次による。
a) 冷却水,潤滑油及び作動油の中に,空気,蒸気及びその他のガスを含んではならない。
b) 空気は,放熱器前面にわたって,等温・等速で流入するとみなされる。
c) 水用放熱器の水には,指定された不凍液濃度の冷却水を用いる。ただし,清水を用いた場合は,放熱
量を換算する。
d) 油用放熱器の油には,指定の油又はこれに相当する油を用いる。ただし,指定以外の油を用いた場合
は,放熱量及び圧力損失を換算する。
15
E 5301:2018
7.3.3.2
試験設備
試験設備の一例を図8に示す。
図8−試験設備(例)
7.3.3.3
測定項目
放熱試験の測定項目は,表6による。
表6−放熱試験の測定項目
項目
単位
記号
備考
水
油
放熱器入口水温度・油温度
℃
tw1
to1
放熱器出口水温度・油温度
℃
tw2
to2
放熱器入口空気温度
℃
ta1
放熱器出口空気温度
℃
ta2
分布があるときは平均値
放熱器入口の風量
m3/min
Va
放熱器直前の風速
m/s
va
分布があるときは平均値
放熱器通過流量
L/min
Vw
Vo
放熱器空気側圧力損失
Pa
ΔPa
放熱状態のとき
放熱器水側圧力損失・油側圧力損失
kPa
ΔPw
ΔPo
放熱状態のとき
放熱器前面面積
m2
Afr
16
E 5301:2018
7.3.3.4
放熱性能
放熱性能は,風量,流量及び温度を測定し,得られたデータから次の式で求める。放熱量及び圧力損失
が仕様値を満足することを確認する。
a) 水用放熱器の場合
1) 水側の放熱量 水側の放熱量は,式(1)によって求める。
(
)
w2
w1
pw
w
3
w
wm
60
10
t
t
C
V
Q
−
×
=
−γ
················································· (1)
ここに,
Qwm: 測定条件における水側の放熱量(kW)
Vw: 通過水流量(L/min)
w
γ: 水の密度(kg/m3)(水流量計に近い側の値)
Cpw: 水の比熱(kJ/kg・K)(清水の場合は4.186)
tw1: 入口水温度(℃)
tw2: 出口水温度(℃)
2) 空気側の受熱量 空気側の受熱量は,式(2)によって求める。
(
)
a1
a2
pa
a
a
am
60
t
t
C
V
Q
−
=
γ
···························································· (2)
ここに,
Qam: 空気側の受熱量(kW)
Va: 放熱器入口の風量(m3/min)
60
fr
a
a
×
=
A
v
V
(前面風速から算出する場合)
va :放熱器直前の風速(m/s)
Afr :放熱器の前面面積(m2)
aγ: 空気の密度(kg/m3)(空気入口側の値)
Cpa: 空気の比熱(kJ/kg・K)
ta1: 入口空気温度(℃)
ta2: 出口空気温度(℃)
3) 測定値の判定 測定条件における水側の放熱量Qwmの値は,このときの空気側の受熱量の値Qamと
の間に,式(3)を満足する関係がなければならない。
5
100
5
wm
am
wm
≦
≦
×
−
−
Q
Q
Q
····························································· (3)
4) 換算放熱量 仕様の温度条件に合わせた水側の換算放熱量は,式(4)によって求める。
1a
w1
w
wm
wr
Δ
t
t
T
Q
Q
−
=
····································································· (4)
ここに,
Qwr: 水側の換算水放熱量(kW)
Qwm: 測定条件における水側の放熱量(kW)
ΔTw: 水と空気との入口温度差の指定値(℃)
tw1: 入口水温度(℃)
ta1: 入口空気温度(℃)
b) 油用放熱器の場合
1) 油側の放熱量 油側の放熱量は,式(5)によって求める。
(
)
o2
o1
po
o
3
o
om
60
10
t
t
C
V
Q
−
×
=
−γ
···················································· (5)
ここに,
Qom: 測定条件における油側の放熱量(kW)
Vo: 通過油流量(L/min)
17
E 5301:2018
oγ: 油の密度(kg/m3)(油流量計に近い側の値)
Cpo: 油の比熱(kJ/kg・K)
to1: 入口油温度(℃)
to2: 出口油温度(℃)
2) 空気側の受熱量 空気側の受熱量は,式(2)によって求める。
3) 測定値の判定 測定条件における油側の放熱量Qomの値は,このときの空気側の受熱量の値Qamと
の間に,式(6)を満足する関係がなければならない。
10
100
10
om
am
om
≦
≦
×
−
−
Q
Q
Q
·························································· (6)
4) 換算放熱量 仕様の温度条件に合わせた油側の換算放熱量は,式(7)によって求める。
1a
o1
o
om
or
Δ
t
t
T
Q
Q
−
=
······································································ (7)
ここに,
Qor: 油側の換算油放熱量(kW)
Qom: 測定条件における油側の放熱量(kW)
ΔTo: 油と空気との入口温度差の指定値(℃)
to1: 入口油温度(℃)
ta1: 入口空気温度(℃)
7.3.4
寸法測定
放熱器の寸法測定は,4.4に示す箇所とする。ただし,冷却装置の寸法測定は,受渡当事者間の協定によ
る。
7.3.5
質量測定
放熱器及び冷却装置は,乾燥状態で質量を測定する。
7.3.6
外観検査
放熱器及び冷却装置は,使用上有害なきず,割れ,ねじれ,曲がり,肌荒れ,さびなどがなく,塗装が
良好であることを検査する。
7.3.7
熱ひずみ試験
放熱器に流体を循環させて熱を加え,温度変化によるひずみを測定し,熱の影響によって高い応力が予
測される部位の強度を評価する。ただし,試験条件は,受渡当事者間の協定による。
7.3.8
風量測定
送風機を作動させ,コア前面における風速を測定し,風量を評価する。
8
表示
製品には,次の項目を見やすい箇所に容易に消えない方法で表示するか,又は製造番号などを刻印し識
別できるようにする。
a) 製造年月又はその略号
b) 製造業者名又はその略号
c) 製造番号
d) 図面番号又は形式