E 5004-4:2008
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 分類······························································································································· 6
5 特性······························································································································· 6
5.1 特性を示す項目 ············································································································· 6
5.2 遮断器の種類 ················································································································ 6
5.3 主回路の定格値及び限度値······························································································· 7
5.4 動作頻度 ······················································································································ 8
5.5 電気制御回路及び空気制御回路························································································· 9
5.6 電気補助回路及び空気補助回路························································································· 9
5.7 過電流引外し機構 ·········································································································· 9
5.8 回復電圧 ······················································································································ 9
6 製品情報 ························································································································· 9
6.1 機器情報の文書化 ·········································································································· 9
6.2 表示 ···························································································································· 9
7 通常の使用条件 ················································································································ 9
8 構造上及び性能上の要求 ··································································································· 10
8.1 構造上の要求 ··············································································································· 10
8.2 性能上の要求 ··············································································································· 10
9 試験······························································································································ 11
9.1 試験の種類 ·················································································································· 11
9.2 構造上の要求に対する検証······························································································ 12
9.3 性能上の要求に対する検証のための形式試験 ······································································ 12
9.4 性能上の要求に対する検証のための受渡試験 ······································································ 18
附属書A(規定)投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路 ··············································· 20
附属書B(参考)回路短絡時の投入電流及び遮断電流並びにパーセント直流成分の判定 ···················· 21
附属書JA(規定)箱に収納した遮断器の場合の絶縁にかかわる空間距離 ······································· 22
附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 24
E 5004-4:2008
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄道車輌工業会(JARI)及び財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS E 5004の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS E 5004-1 第1部:一般使用条件及び一般規則
JIS E 5004-2 第2部:開閉機器・制御機器及びヒューズの一般規則
JIS E 5004-3 第3部:直流遮断器
JIS E 5004-4 第4部:交流遮断器
JIS E 5004-5 第5部:高圧ヒューズ
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
E 5004-4:2008
鉄道車両−電気品−第4部:交流遮断器
Railway applications-Electric equipment for rolling stock-
Part 4: Electrotechnical components-Rules for a.c. circuit-breakers
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたIEC 60077-4を基に,対応する部分については対応国際
規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定さ
れていない規定項目(動作頻度,動作能力,遮断器の定格電圧,制御電圧及び制御空気圧力など。)を日本
工業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。対応国
際規格を変更している事項については,変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,JIS E 5004-2による機器の一般規則に追加する内容として,各種の交流遮断器の特性及び
試験方法について規定する。これらの交流遮断器の主接触部は,当該回路が特別高電圧の架空線式交流電
車線電圧と同じ回路に接続されているものとする。
この規格は,JIS E 5004-2の規定と併せて,次に示す特定項目について規定する。
a) 遮断器の特性
b) 遮断器の使用条件
1) 通常時の使用条件及び動作条件
2) 短絡時の使用条件及び動作条件
3) 絶縁特性
c) 遮断器が,規定の使用条件における特性に適合していることを確認する試験及び適用する試験方法
d) 遮断器に表記する情報又は遮断器に添付すべき情報
注記1 この規格の対象となる遮断器には,過電流時以外の,例えば,不足電圧時及び通電電流の
反転時のように,あらかじめ決められた条件のもとにおいて,自動開極動作を行う装置が
設置されている場合がある。そのような,あらかじめ決めた条件下における動作の検証に
ついては,この規格では規定しない。
注記2 電子部品又は電子組立品を電気機器に組み込むことは,ごく一般的になっている。この規
格自体はそうした電子機器には直接適用しないが,電子機器を一部組み込んである電気機
器に対してはこの規格を適用する。ただし,当該遮断器に内蔵されている電子組立品は,
電子機器に関する規格によることが望ましい(JIS E 5006参照)。
注記3 この規格は,製造業者及び使用者(以下,“受渡当事者”という。)間の協定があれば,鉄
道車両以外の車両に搭載する電気機器に適用することができる。
2
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
この規格は,一般産業用の交流遮断器に対しては適用しない。そうした一般産業用交流遮断器を鉄道車
両用に採用しようとする場合,鉄道車両用として満足に使用できることを確認するため,この規格の特定
の項目だけを指定して利用することが望ましい。その場合,使用する一般産業用の交流遮断器が守るべき
追加要求事項を仕様書などに記載しておく。例えば,次のいずれかによる。
e) 制御電圧,環境条件などの適合条件
f)
鉄道車両の特殊条件に耐えられる取付け及び使用条件
g) これらの機器が,鉄道車両用としての条件に十分に耐えられることを証明する追加試験項目。
種別1に対応する国際規格IEC 60077-4を,種別2に関連する旧JRS(旧日本国有鉄道規格)などに基
づいた仕様書で従来から日本国内で広く採用されている内容を規定して,いずれかを選択できるようにし
た。今後,この規格を適用する場合は,国際規格との整合化の主旨から種別1を用いるのが望ましい。
注記4 この規格は,交流遮断器の特性及び試験方法について規定するものであるが,その特性にか
かわる規定は,設計の指針のために示すものであり,この規格によって適合性評価を行うこ
とは,意図していない。
注記5 この規格の対応国際規格及び対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60077-4 : 2003, Railway applications−Electric equipment for rolling stock−Part 4:
Electrotechnical components−Rules for AC circuit-breakers (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
注記 対応国際規格:IEC 60529:2001 Degrees of protection provided by enclosures(IP Code)(IDT)
JIS E 4001 鉄道車両用語
注記 対応国際規格:IEC 60050-811:1991 International Electrotechnical Vocabulary−Chapter 811:
Electric traction(MOD)
JIS E 4031 鉄道車両用品−振動及び衝撃試験方法
注記 対応国際規格:IEC 61373:1999 Railway applications−Rolling stock equipment−Shock and
vibration tests(MOD)
JIS E 5004-1:2006 鉄道車両−電気品−第1部:一般使用条件及び一般規則
注記 対応国際規格:IEC 60077-1:1999 Railway applications−Electric equipment for rolling stock−
Part 1: General service conditions and general rules(MOD)
JIS E 5004-2:2006 鉄道車両−電気品−第2部:開閉機器・制御機器及びヒューズの一般規則
注記 対応国際規格:IEC 60077-2:1999 Railway applications−Electric equipment for rolling stock−
Part 2: Electrotechnical components−General rules(MOD)
IEC 60060-1:1989 High-voltage test techniques. Part 1: General definitions and test requirements
IEC 60694:1996 Common specifications for high-voltage switchgear and controlgear standards
IEC 60850:2000 Railway applications−Supply voltages of traction systems
3
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEC 62271-100:2001 High-voltage switchgear and controlgear−Part 100: High-voltage alternating-current
circuit-breakers
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS E 5004-1の3.,JIS E 5004-2の3.及びJIS E 4001によるほか,
次による。
3.1
機器(components)
3.1.1
屋内用遮断器(indoor circuit-breaker)
風,雨,雪,異常な量のほこりのたい(堆)積,異常な条件,氷結及び霜などから防護されて設置する
場合に限定して設計された遮断器。
3.1.2
屋外用遮断器(outdoor circuit-breaker)
風,雨,雪,ほこりのたい(堆)積,結露,氷結及び霜などに対して耐久性のある屋外設置に適した遮
断器。
3.1.3
(対応国際規格では,この細分箇条において,用語の定義をしているが,この規格では使用しないため,
欠番とした。)
3.1.4
真空遮断器(vacuum circuit-breaker)
真空度の高い収納容器内で主接触部が開閉する遮断器。
3.1.5
空気遮断器(air-blast circuit-breaker)
空気を吹き付けている中で,主接触部が開く遮断器。ABBともいう。
3.1.5A
気中遮断器
大気中で主接触部が開閉する遮断器。ACBともいう。
3.1.6
(対応国際規格では,この細分箇条において,用語の定義をしているが,この規格では使用しないため,
欠番とした。)
3.1.7
(対応国際規格では,この細分箇条において,用語の定義をしているが,この規格では使用しないため,
欠番とした。)
3.2
機器の部品(component parts)
3.2.1
引外し機構(release)
保持手段を解放し,遮断器の開極又は投入動作を可能にする装置。
注記1 特定の条件に従って,動作可能状態になる複数の引外し機構によって,遮断器が動作する場
合がある。
注記2 引外し機構が機械式又は電気式で,開閉機器に接続されている場合がある。
4
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2.1.1
過電流(瞬時)引外し機構[over-current (instantaneous) release]
電流が規定値を超えた場合,遅滞なく引外し動作を行う機構。
3.2.1.2
定限時遅延過電流引外し機構(definite time-delay over-current release)
過電流値とは無関係に,調整可能な遅延時間で動作する過電流引外し機構。
3.2.1.3
直接過電流引外し機構(direct over-current release)
遮断器の主回路に流れる電流によって,直接動作させる過電流引外し機構。
3.2.1.4
間接過電流引外し機構(indirect over-current release)
主回路に流れる電流を,変圧器又は変流器の電流センサを介した電流によって,動作させる過電流引外
し機構。
3.2.2
ポンピング防止機能(anti-pumping device)
投入動作を開始する機構が投入位置に保持される限り,“投入−開極”動作後の再投入を阻止する機能。
注記 開極動作は,開極指令又は引外し動作のいずれかによる場合がある。
3.2.3
きょう(筐)体(enclosure)
外部汚染に関する規定の汚損度のレベルに対して,遮断器を保護し,かつ,充電部及び可動部へのアク
セスに関する規定の保護等級をもつ部品。例えば,遮断器のアークの影響に対して,周囲の部品を保護す
る場合もある。
3.2.4
一体形きょう(筐)体(integral enclosure)
遮断器の一部を構成するきょう(筐)体。
3.3
動作特性(operational features)
3.3.1
引外し自由遮断(trip-free circuit-breaker)
投入指令が保持されていても,投入動作開始後に開極(すなわち,“引外し”)動作が行われると,可動
主接触部が開極位置に戻り,その開極位置を優先する機能。
注記1 投入指令開始後,電流を確実に遮断するために,各主接触部が直ちに投入位置に到達する必
要がある場合がある。
注記2 引外し自由動作には,ポンピング防止機能が必要となる場合がある。
3.3.2
電流設定値(current setting)
過電流引外し機構の動作特性の基準となり,引外し機構に設定される主回路の電流値。
注記 引外し機構に複数の電流値が設定される場合もある。
3.3.3
引外し動作(tripping operation)
引外し機構の動作によって始まる遮断器の開極動作。
5
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.4
投入特性及び遮断特性(making and breaking characteristics)
注記 附属書B参照
3.4.1
開極時間(opening time)
指定した開極動作の開始の瞬間からアーク接触子が離れる瞬間までの時間。
注記 開極時間には,遮断器を開極するために必要で,かつ,遮断器の構造上の一部を構成するすべ
ての補助装置の動作時間を含む。
3.4.2
推定電流(prospective current)
遮断器をインピーダンスの無視できる導体に置き換えたとき,その回路に流れる電流。
注記1 この用語は,通常,故障状態に関連して使われる。
注記2 推定電流は,交流成分のrms値に,直流成分(存在する場合)を加えたものである。
3.4.3
推定ピーク電流(prospective peak current)
事故電流発生後の過渡期間における推定電流のピーク値。
3.4.4
交流回路の推定対称電流[prospective symmetrical current (of an AC circuit)]
電流が流れ始めた瞬間から,過渡現象分を除外した推定電流。rms値で表す。
3.4.5
交流回路の最大推定ピーク電流[maximum prospective peak current (of an AC circuit)]
推定電流が起こり得る最大値になる瞬間に流れる推定ピーク電流。
注記 事故電流の推定ピーク電流は,電流が流れ始める位相によって変わる。
3.4.6
遮断電流(breaking current)
遮断器の電流遮断過程において,アーク発生の瞬間に流れる電流。
3.4.7
遮断容量(breaking capacity)
遮断器が規定の使用条件及び動作条件のときに,指定電圧で遮断可能な推定電流の値。
3.4.8
投入容量(making capacity)
遮断器が規定の使用条件及び動作条件のときに,指定電圧で投入可能な推定電流の値。
3.4.9
短絡投入容量(short-circuit making capacity)
回路短絡を含む,規定の条件における投入容量。
3.4.10
短絡遮断容量(short-circuit breaking capacity)
回路短絡を含む,規定の条件における遮断容量。
3.4.11
短時間耐電流(short time withstand current)
投入位置にある遮断器が規定の使用条件及び動作条件のもとで,規定された短時間に通電することので
6
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
きる電流。
3.4.12
ピーク耐電流(peak withstand current)
投入位置にある遮断器が規定の使用条件及び動作条件のもとで,通電することのできるピーク電流。
3.4.13
回復電圧(recovery voltage)
電流遮断の直後に,遮断器の端子間に生じる電圧。
注記 この電圧には,二つの連続した期間が考えられる。過渡電圧が存在する第一の期間及び,それ
に続く電源周波の回復電圧又は定常状態の回復電圧だけが存在する第二の期間である。
3.4.14
過渡回復電圧(transient recovery voltage)
過渡特性をもつ時間中の回復電圧。
注記 過渡回復電圧は,回路及び開閉機器の特性によって,振動,安定,又は振動と安定とが組み合
わされて生じる電圧の場合がある。
3.4.15
商用周波の回復電圧(power frequency recovery voltage)
過渡電圧現象が収束した後の回復電圧。
4
分類
遮断器は,次のように分類する。
a) 動作頻度による分類(5.4参照)
b) 設計条件による分類。例えば,屋外用遮断器又は屋内用遮断器。
c) きょう(筐)体で防護される保護等級(JIS C 0920)による分類。
5
特性
5.1
特性を示す項目
特性は,次に示す項目の中から必要に応じて規定する。
a) 遮断器の種類(5.2参照)
b) 主回路の定格値及び限度値(5.3参照)
c) 動作頻度(5.4参照)
d) 電気制御回路及び空気制御回路(5.5参照)
e) 電気補助回路及び空気補助回路(5.6参照)
f)
過電流引外し機構(5.7参照)
g) 回復電圧のピーク値(5.8参照)
5.2
遮断器の種類
遮断器は,次に示す項目を表示する。
a) 機器の種類(例えば,空気遮断器,真空遮断器,気中遮断器など。)
b) 設計条件による分類(箇条4参照)
c) きょう(筐)体で防護される保護等級(箇条4参照)
d) 動作特性(例えば,引外し自由遮断のための直接又は間接過電流引外し機構,遅延過電流引外し機構,
7
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
電源オフ時の引外し方式など。)
5.3
主回路の定格値及び限度値
5.3.1
一般
定格値は,製造業者が指定するが,すべての項目の定格値を指定する必要はない。
5.3.2
主回路の定格電圧
交流遮断器の定格電圧は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
なお,交直流電気車両に使用する遮断器で,直流定格電圧を規定する場合には,5.3.3Aによる。
a) 種別1
1) 定格動作電圧(Ue)は,JIS E 5004-1の5.1.2(定格動作電圧)による。ただし,遮断器の種類によ
っては,複数の定格動作電圧値又は定格動作電圧範囲を規定してもよい。
注記 定格動作電圧は,定格使用電圧と呼ぶ場合もある。
2) 定格絶縁電圧(Ui)は,JIS E 5004-1の5.1.3(定格絶縁電圧)による。ただし,遮断器に定格絶縁
電圧が指定されていない場合,定格絶縁電圧は,定格動作電圧の最大値と同等とみなす。
3) 定格インパルス耐電圧(Uimp)は,JIS E 5004-1の5.1.5(定格インパルス耐電圧)による。
b) 種別2
定格電圧は,標準電車線電圧の120 %とする。
5.3.3
主回路の定格電流
交流遮断器の定格電流は,次による。
なお,交直流電気車両に使用する遮断器で,直流定格電流を規定する場合には,5.3.3Aによる。
a) 定格力率T2(5.3.5参照)における定格動作電流(Ie)は,JIS E 5004-1の5.3.1(定格動作電流)によ
る。ただし,遮断器の種類によっては,複数の定格動作電流値又は定格動作電流範囲を規定すること
ができる。
b) 通常の大気中における遮断器単体の温度上昇試験電流(Ith)は,JIS E 5004-2の5.3.3(定格電流)に
よる。
c) 定格短時間耐電流(Icw)は,JIS E 5004-1の5.3.2(定格短時間耐電流)による。
注記1 例えば,機器の1時間定格電流は,“指定の温度上昇限度を超えないで,その遮断器に1
時間連続して流すことができる電流”で,定格短時間電流の一つである。この仕様は,製
造業者が規定する。(JIS E 5004-1の5.3.2参照)。
注記2 変圧器,リアクトル又はリアクティブフィルタ回路の励磁用及び保護用に遮断器を使用す
る場合には,励磁用の突入電流に長時間にわたる大きな直流成分を含む場合がある。
5.3.3A 交流遮断器の直流定格
交直流電気車両に使用する交流遮断器に,直流定格を規定することができる。ただし,直流電化区間で
使用する場合の定格は,通電特性に限る(5.3.2及び5.3.3参照)。
5.3.4
定格周波数
遮断器の定格周波数とは,定格動作電圧に関係する周波数である[JIS E 5004-1の5.4(定格動作周波数)
参照]。
注記 遮断器によっては,複数の定格周波数を規定することができる。
5.3.5
定格力率
次の遮断器性能の特徴を示す場合には,定格力率を使用する。
a) 短絡条件としての定格力率 = 0.1(T1)
8
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 通常の使用条件としての定格力率 = 0.8(T2)
短絡条件用の定格力率は,変電所の電気性能,車両への給電線,負荷などによって異なる。そのため,
必要があれば,受渡当事者間で協定して,別の力率を規定してもよい。
5.3.6
短絡特性
交流遮断器の短絡特性は,次による(附属書B参照)。
5.3.6.1
定格短絡投入容量
製造業者は,力率T1に対応する定格短絡投入電流値を規定する。
遮断器の定格短絡投入容量は,定格動作電圧に対応する投入電流のピーク値であり,当該定格短絡投入
容量値は,定格短絡遮断電流の交流成分のrms値の2.5倍とする。遮断器は,9.3.4に規定する定格短絡投
入試験を満足し,試験後も引き続き使用できるものとする。
5.3.6.2
定格短絡遮断容量
製造業者は,力率T1に対応する定格短絡遮断電流値を規定する。
定格短絡遮断容量は,この規格で規定した試験条件下において,遮断器が遮断できる最大短絡電流であ
る。この場合,定格動作電圧に対応する商用周波の回復電圧及び5.3.6.3に規定する定格値と同等の過渡回
復電圧の回路を使用する。
定格短絡遮断電流は,次の二つの数値で示す。
a) 定格短絡電流と呼ぶ交流成分のrms値。
b) パーセント直流成分
注記 パーセント直流成分が20 %以下の場合,定格短絡遮断容量は,その交流成分のrms値だけ
で表す。
遮断器は,この条件のもとで,定格値以下の交流成分及び指定値以下のパーセント直流成分も含む定格
短絡遮断電流までの短絡電流を遮断できる。
遮断器は,9.3.4に規定する定格短絡遮断試験を満足し,試験後も引き続き使用できるものとする。
主回路電流は,定格動作電圧を下回る電圧で,定格短絡遮断電流を遮断することができる。
5.3.6.3
定格過渡回復電圧
回路短絡に対する定格過渡回復電圧は,5.3.6.2による定格短絡遮断容量と関連しており,回路条件のも
とに事故電流を遮断するときに課し得る過渡回復電圧の限度をいう。
注記 更に詳細な要求事項に関しては,IEC 62271-100:2001の4.102.1及び4.102.2を参照。
5.3.6.4
定格短絡耐久時間
定格短絡耐久時間は,遮断器が投入状態で定格短絡電流に等しい電流を流すことができる時間であり,
受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 定格短絡耐久時間の通電時間は,1秒間とする。
注記 詳細はIEC 62271-100の4.7及びIEC 60694の4.7を参照。
b) 種別2 定格短絡耐久時間の通電時間は,2秒間以上とする。
注記 通電時間は,IEC規格では1秒間を標準としている。電力用保護リレーの動作時間を考慮す
ると,我が国の現状では,地上電気設備用遮断器の超高圧系統以上では1秒間とすることも
可能であるが,それ以下の電圧系統では2秒間が必要である。この規格では,通電時間は2
秒間を種別2として設けたが,今後,保護リレーシステムの動向に注意を払う必要がある。
5.4
動作頻度
動作頻度は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
9
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 種別1 動作頻度C 1,C 2及びC 3は,表1に示す動作遂行能力を表すもので,次による。
1) C1:軽動作頻度(例えば,短絡を検出したときに限り,遮断器が開極する場合。)
2) C2:中動作頻度(例えば,動作頻度C1に加えて,あらかじめ設定した,過負荷条件などのように
限度値を超えたときの指令によって,遮断器が開極する場合。)
3) C3:重動作頻度(例えば,動作頻度C2に加えて,各無電圧区間,各区分点,各運用終了時などの
他の理由により,遮断器が開極する場合。)
b) 種別2 動作頻度C1A及びC2Aは,表1Aに示す動作遂行能力を表すもので,次による。
1) C1A:少動作頻度(例えば,短絡を検出したとき又は運用終了時に遮断器が開極する場合。)
2) C2A:多動作頻度(例えば,動作頻度C1Aに加え,交流・直流切替時に開極する場合。)
5.5
電気制御回路及び空気制御回路
電気制御回路及び空気制御回路の特性は,JIS E 5004-2の5.6(電気制御回路)及び5.7(空気制御回路)
による。
5.6
電気補助回路及び空気補助回路
補助回路の特性は,当該回路それぞれの接点数及び接点の種類(“a”接点,“b”接点など)並びにそれ
らの定格特性である。これらの特性は,JIS E 5004-2の5.9(電気補助回路)及び5.10(空気補助回路)に
よる。
5.7
過電流引外し機構
各過電流引外し機構をもつ場合には,必要に応じて製造業者は,次の特性を規定する。
a) 過電流引外し機構の種類(例えば,直接形,間接形,遅延形など。)
注記 ポンピング防止機能を含む場合がある。
b) 設定電流値(又は設定範囲)
c) 引外し機構の性能に影響する,各電流値によって異なる開極時間の特性。
5.8
回復電圧
表2に示す試験シーケンスⅠ,試験シーケンスⅡ及び試験シーケンスⅣに従って,投入試験及び遮断試
験を行う場合,製造業者は,回復電圧のピーク値を規定する。このピーク値は,いかなる状況においても,
遮断器の定格インパルス耐電圧値を超えてはならない。
6
製品情報
6.1
機器情報の文書化
製品の識別及び特性にかかわる情報は,製造業者のカタログ又はマニュアルに記載する。
JIS E 5004-2の6.1(情報)のほかに,次に示す項目を追加して適用する。
a) 内蔵形引外し機構のある場合の,制御回路の動作電圧及び必要に応じて定格周波数。
b) 関連する過電流引外し機構のある場合(例えば,直接過電流引外し機構又は間接過電流引外し機構,
定限時遅延過電流引外し機構など。)の設定電流値又は設定電流範囲。
c) 開極時間
6.2
表示
JIS E 5004-2の6.2(表記)に従って,データ又は識別記号を本体に表記する。
7
通常の使用条件
JIS E 5004-1の7.(通常の使用条件)による。
10
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
構造上及び性能上の要求
8.1
構造上の要求
JIS E 5004-2の8.1(構造上の要求)による。
8.2
性能上の要求
8.2.1
動作条件
JIS E 5004-2の8.2.1(動作条件)による。
8.2.2
温度上昇限度
JIS E 5004-2の8.2.2(温度上昇)による。
8.2.3
運用休止から運用投入する場合
JIS E 5004-1の8.2.3(運用休止から運用投入する場合)による。
例えば,次の内容を受渡当事者間で協定して確認する。
a) 耐電圧試験の実施の要否
b) 蓄電池電圧の最低値での動作確認
c) 必要な場合には,空気圧力の最小値での動作確認。
8.2.4
電磁両立性(EMC)
JIS E 5004-1の8.2.4(電磁両立性)による。
8.2.5
可聴騒音の発生
JIS E 5004-1の8.2.5(可聴騒音の発生)による。
8.2.6
絶縁特性
空間距離及び沿面距離にかかわる絶縁特性は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2の
いずれかによる。ただし,実証された場合には規定の絶縁距離以下であってもよい。
注記 絶縁にかかわる空間距離は,汚損環境条件,過電圧保護条件,充電部形状などの要因で変わる
が,それぞれの要因の及ぼす影響は,検証及び実績に基づく場合が多い。
a) 種別1 JIS E 5004-1の8.2.6(絶縁特性)の種別1による。
b) 種別2 JIS E 5004-1の8.2.6(絶縁特性)の種別2による。
8.2.7
開閉過電圧
JIS E 5004-1の8.2.7(開閉過電圧)による。
製造業者は,表2の試験シーケンスⅠ,試験シーケンスⅡ及び試験シーケンスⅣの遮断試験のときに発
生する回復電圧値を規定する。
8.2.8
開閉動作遂行能力
開閉動作遂行能力の検証は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 遮断器は,9.3.3.4の種別1に規定する試験条件のもとで,表1に示す(動作頻度に関する)
規定内容に適合しなければならない。
それぞれの開閉動作サイクルは,(無通電サイクルの)投入動作の次に開極動作を行う場合又は,
(通電サイクルの)投入動作の次に遮断動作を行う場合のいずれかによる。
動作サイクル回数の総数は,表1の“欄2”に示す無通電時の動作サイクル回数を行った後に,“欄
3”に示す通電時の動作サイクル回数を行うものとする。
11
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1−遮断器の開閉動作遂行能力
欄1
欄2
欄3
動作頻度
動作サイクル総回数
無通電
通電
C1(軽)
C2(中)
C3(重)
10 000
100 000
200 000
0
200
200
注記1 動作頻度は,遮断器のすべての部分が許容できる温度上昇限度内にあるように選択する。
注記2 受渡当事者間で協定して選択した動作頻度は,試験報告書に記載する。
注記3 各動作サイクル中に,遮断器は2秒未満の十分な時間を“投入”位置に置き,電流が確実に立ち
上がるようにする。
b) 種別2 遮断器は,9.3.3.4の種別2に規定の試験条件のもとで,表1Aに示す規定内容に適合しなけれ
ばならない。
表1A−遮断器の開閉動作遂行能力
欄1
欄2
欄3
動作頻度
動作サイクル総回数
無通電
通電
C 1A(少)
10 000
0
C 2A(多)
30 000以上
0
注記1 受渡当事者間で協定して選択した動作頻度は,試験報告書に記載する。
注記2 各動作サイクル中に,遮断器は2秒未満の十分な時間を“投入”位置に置き,電流が確実に立ち
上がるようにする。
8.2.9
耐振動及び耐衝撃能力
遮断器は,9.3.5.1に規定する耐振動能力及び9.3.5.2に規定する耐衝撃能力があるものとする。
8.2.10 短絡条件における投入能力及び遮断能力
遮断器は,次に示す条件における短絡試験を満足するものとする。
a) 過電流引外し機構の設定電流値は,設定電流範囲の最大値と同等とする。
b) 5.3.6.2に規定する定格動作電圧における,定格短絡遮断電流とする。
c) 回復電圧は,定格動作電圧と同等とする。
d) 5.3.6.3に規定する定格過渡回復電圧と同じ過渡回復電圧とする。
e) 動作シーケンスは,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
1) 種別1 O → t1 → CO → t2→ CO
ここに,
O: 遮断動作
CO: 適切な開極時間後,投入動作に続く遮断動作。
t1: 最初の開極と最初の投入との間の時間間隔
t2: 2回目の開極と2回目の投入との間の時間間隔
t1及びt2が,180秒ではない場合には,受渡当事者間の協定による。
2) 種別2 CO → 5秒 → CO
9
試験
9.1
試験の種類
9.1.1
一般
12
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS E 5004-1の9.1.1(一般)を適用する。ただし,遮断器には抜取試験は認めない。
遮断器の特性を検証する試験は,次による。
a) 形式試験(9.1.2参照)
b) 受渡試験(9.1.3参照)
c) 調査試験(9.1.4参照)
9.1.2
形式試験
形式試験は,新形式の遮断器について次の目的で行う。
a) 構造上の要求に対する検証(9.2.2参照)
b) 性能上の要求に対する検証(9.3参照)
9.1.3
受渡試験
受渡試験は,遮断器の取引きに当たって次の目的で行う。
a) 構造上の要求に対する検証(9.2.3参照)
b) 性能上の要求に対する検証(9.4参照)
9.1.4
調査試験
調査試験は,特別な目的のための形式試験に対する補足試験である。受渡当事者間で事前に協定した項
目であり,次に示す項目に関係する場合が多い。ただし,調査試験の結果は,当該電気品の受渡条件とは
しない。
a) 高調波成分が,温度上昇及び遮断特性に及ぼす影響。
b) 一時的な過負荷条件による温度上昇。
9.2
構造上の要求に対する検証
9.2.1
一般
遮断器は,9.3及び9.4に規定する性能上の要求に対する検証を行う前に,JIS E 5004-1の8.1(構造上の
要求)に規定する構造上の要求に適合していることが証明されているものとする。適切な試験方法がない
項目は,目視検査,測定などで確認する。
9.2.2
形式試験
遮断器が,形式試験としての構造上の要求を満足していることの検証は,次によるが,詳細は受渡当事
者間の協定による。
a) 物理的特性は,遮断器が該当する設計図面類に適合していることの確認(例えば,寸法,材料,電気
的危険性,防護ボンディングなど。)。
b) 空間距離及び沿面距離は,JIS E 5004-1の9.3.3.2.1(空間距離及び関連する固体絶縁の検証)及び
9.3.3.2.4(沿面距離の検証)による。
c) 端子サイズ及び接続容量の確認(9.3.3.6による性能上の要求の一部として試験する。)。
9.2.3
受渡試験
遮断器が,受渡試験としての構造上の要求を満足していることの検証は,次による。
a) 目視検査による,図面に準拠して製造及び組立が行われていることの確認。
b) 抵抗測定は,JIS E 5004-1の9.2.3(受渡試験)に規定する試験を適用する。主回路及び制御回路の抵
抗測定値及び周囲温度の測定値を,受渡試験の試験成績書に記録する。
注記 主回路の抵抗測定については,9.3.3.3A及び9.3.4.1参照。
9.3
性能上の要求に対する検証のための形式試験
9.3.1
試験シーケンス
13
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
形式試験は,表2に示す複数の試験シーケンスにグループ分けする。
− 試験シーケンスごとに,表2の試験項目欄に記載の順番で試験する。
− 試験シーケンスごとに新しいサンプルを使用してもよい。
− 形式試験を行う前に,各サンプルに対して受渡試験を行う(9.1.3参照)。
表2−性能上の要求に対する形式試験の試験項目及び試験シーケンス表
試験シーケンス
試験項目
該当箇条番号
Ⅰ 一般性能特性
開閉特性の動作限度
9.3.3.1
空気漏れの検証
9.3.3.1A
温度上昇
9.3.3.2
絶縁特性
9.3.3.3
主回路の絶縁抵抗測定
9.3.3.3A
開閉動作遂行能力
9.3.3.4
耐電圧試験
9.3.3.5
温度上昇の検証
9.3.3.6
引外し動作の検証
9.3.3.7
Ⅱ 定格短絡投入及び遮断性能
主回路の抵抗測定
9.3.4.1
短時間耐電流及びピーク耐電流
9.3.4.3
短絡条件における投入能力及び遮断能力
9.3.4.4
耐電圧試験
9.3.4.5
主回路抵抗の検証
9.3.4.6
引外し動作の検証
9.3.4.7
Ⅲ 耐振動及び耐衝撃能力
振動試験
9.3.5.1
衝撃試験
9.3.5.2
機械的動作の検証
9.3.5.3
引外し動作の検証
9.3.5.4
耐電圧試験
9.3.5.5
Ⅳ 過渡回復電圧
最大過渡回復電圧の調査
9.3.6
Ⅴ 気候条件
[降雨,高温(耐熱性),高温高湿(定常),
低温(耐寒性)などの]環境試験
9.3.7
Ⅵ その他の試験
(要求がある場合)
電磁両立性(EMC)
9.3.8 a)
可聴騒音の発生
9.3.8 b)
9.3.2
試験条件一般
試験条件は,次による。
a) 供試品の遮断器は,詳細にわたって対応する図面どおりのものとする。
b) 各試験シーケンスの試験中は,いかなる手入れも修理も行ってはならない。
c) 表2にある各試験シーケンスに対しては,清浄な新品(又は修理して新品同様なもの。)の一台の遮断
器で行う。
d) 試験は,主回路,制御回路及び補助回路の各回路に対して,5.3,5.5及び5.6に規定する定格動作値(電
流,電圧,周波数及び空気圧)で行う。
e) 試験値は,表3に規定する許容範囲内でなければならない。
14
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−試験に用いる定格動作値の許容範囲
すべての試験
標準負荷条件における試験
回路短絡の条件のもとでの試験
主回路
電圧 :50
+%
周波数:±10 %
主回路
電流:100
+
%
力率:±0.05
主回路
電流:100
+
%
力率:005
.0
−
制御回路及び補助回路
電流 :±5 %
電圧 :±5 %
空気圧:±5 %
制御回路及び補助回路
電流 :±5 %
電圧 :±5 %
空気圧:±5 %
制御回路及び補助回路
電流 :±5 %
電圧 :±5 %
空気圧:±5 %
f)
すべての試験に対して周囲温度を測定し,試験報告書に記録する。
g) 供試品の遮断器完備品は,必要な場合には,関連する外付け形の過電圧保護装置も併せて,次のいず
れかの条件で設置する。
1) 一体形きょう(筐)体がある場合には,正規のきょう(筐)体に取り付ける。
2) 製造業者が取付条件を規定しているきょう(筐)体の場合,その条件を満足するように取り付ける。
3) 車両上でのぎ装状態を考慮して取り付ける。
9.3.3
試験シーケンスⅠ:一般性能特性
試験シーケンスⅠには,表2の試験項目欄に記載されている内容の試験及び検証を含む。
9.3.3.1
開閉特性の動作限度
開閉特性の動作限度の試験は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 JIS E 5004-2の9.3.3.1(動作限度)で規定する試験を行う。
b) 種別2 次の条件で,試験を行う。
1) 最低動作空気圧試験 電磁弁による空気操作式の遮断器の場合,定格制御電圧で電磁弁を励磁して
おき,動作空気圧力を徐々に上昇させて,確実に動作する最低空気圧力を測定し,定格動作空気圧
の80 %以下で動作することを確認する。
2) 最低動作電圧試験
2.1) 電磁操作式の遮断器の場合には,制御電圧を徐々に高めたときに,確実に動作する最低動作電圧
を調べる。遮断器は定格制御電圧の60 %以下で動作しなければならない。
2.2) 電磁弁による空気操作式の遮断器の場合は,操作空気圧を定格の120 %に保って電磁弁を励磁し,
制御電圧を徐々に高めたときに,確実に動作する最低動作電圧を調べる。
2.3) 2.1)及び2.2)の最低動作電圧は,8.2.1の規定を満たさなければならない。
2.4) 常温における測定値を,高温状態における場合に換算するときには,JIS E 5004-1の9.3.2.2(部品
温度の測定)の規定による。
3) 釈放電圧試験 電磁操作式の遮断器の場合には,制御電圧を定格値から徐々に下げたとき,確実に
釈放する電圧を調べる。釈放電圧は定格制御電圧の5 %以上とし,製造業者が規定する。
9.3.3.1A
空気漏れの検証
JIS E 5004-1の9.3.4.2(空気機器の気密試験)及び/又は9.3.4.2A(空気漏れ試験)による。
9.3.3.2
温度上昇
温度上昇試験は,JIS E 5004-2の9.3.3.2(温度上昇)で規定する試験を,通常の大気中における遮断器
単体の温度上昇試験電流で行う。
15
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9.3.3.3
絶縁特性
絶縁特性の試験は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
耐電圧試験を行う前に,9.3.3.3Aによる絶縁抵抗値を測定して,耐電圧試験に支障がないことを確認す
る。受渡当事者間で絶縁抵抗値に関する協定がない場合,高電圧導電部と接地部との間を1 000 V絶縁抵
抗計で測定したとき,100 MΩ以上とする。
a) 種別1 表4に示す試験電圧値を使用したインパルス試験は,主回路に対して,JIS E 5004-1の9.3.3.1
(一般条件)及び9.3.3.2.2 a)(インパルス試験電圧)に従って行う。このとき,IEC 60060-1の11.2
による大気補正係数を適用する。
表4−インパルス耐電圧試験に使用する試験電圧値
単位 kV
特別高電圧の交流電車線の
標準電圧
(rms値)
定格インパルス耐電圧
(U 1.2/50 μs)
定格商用周波耐電圧
(rms値,1分間)
15
20
25
50
95
136
170
300
38
64
75
130
注記1 使用しやすいように,JIS E 5004-1の表9から引用した。
注記2 試験電圧は,乾燥時の場合である。
b) 種別2 表4Aに示す試験電圧値を使用したインパルス試験は,主回路に対して,JIS E 5004-1の9.3.3.1
(一般条件)及び9.3.3.2.2 a)(インパルス試験電圧)に従って行う。
表4A−耐電圧試験に使用する試験電圧値
単位 kV
特別高電圧の交流電車線の
標準電圧
(rms値)
定格インパルス耐電圧
(U 1.2/50 μs)
定格商用周波耐電圧
(rms値,1分間)
乾燥時
注水時
乾燥時
注水時
20
−
120
70
60 a)
25
外気暴露形の単体
175
−
70
33 b)
箱収納用の単体
134
注a) 試験電圧の電圧を加える時間は,10秒間とする。
b) 試験電圧の電圧を加える時間は,10分間とする。
9.3.3.3A 主回路の絶縁抵抗測定
主回路と大地との間の絶縁抵抗測定を行う。
9.3.3.4
開閉動作遂行能力
開閉動作遂行能力の試験は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1 又は種別2 のいずれかによる。
a) 種別1 この試験は,8.2.8の種別1に規定する要求事項に適合していることを検証するために行う。
投入動作及び遮断動作を,定格動作電流,定格動作電圧及び力率0.8で行う。試験回路の詳細につ
いては,附属書Aを参照する。
試験が終了しても,9.3.3.5,9.3.3.6及び9.3.3.7に規定する検証が終了するまでは,手入れ作業を行
ってはならない。
16
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 動作サイクルの総回数には,その特性に応じて無通電及び通電の両方の動作試験を含む。
b) 種別2 この試験は,8.2.8の種別2に規定する要求事項に適合していることを検証するために行う。
1) 遮断器は常温のもとで,電気的な負荷はかけない。
2) 制御電圧及び操作圧力は,定格値とする。
3) 規定の開閉動作試験中に,事前に受渡当事者間で協定した一定回数ごとに,開閉特性試験を行う。
4) 分解点検の点検間隔,点検項目,点検時の補修などの詳細については,受渡当事者間の協議による。
9.3.3.5
耐電圧試験
9.3.3.4の試験終了後,当該遮断器は,9.4.4に規定する耐電圧値を75 %に低減した商用周波の試験電圧
又は9.3.3.3において種別2を採用した場合には,表4Aに規定する商用周波の耐電圧の試験電圧値を75 %
に低減した試験電圧に,耐えられなければならない。
9.3.3.6
温度上昇の検証
9.3.3.5の検証試験後,9.3.3.2による主回路の温度上昇試験を行う。
この検証試験終了時点において,温度上昇値は,JIS E 5004-2の8.2.2(温度上昇)に規定する値を超え
てはならない。また,9.3.3.2で記録した値を20 K以上超えてはならない。
9.3.3.7
引外し動作の検証
引外し動作の検証試験は,当該遮断器に引外し機構が内蔵されている場合又は外部からの引外し動作を
行う場合に限り行う。9.3.3.6の検証試験後,引外し機構の電流設定値を確認する。
各電流設定値は,受渡試験時に測定した数値から10 %以上の差があってはならない。
9.3.4
試験シーケンスⅡ:定格短絡投入及び遮断性能
この試験シーケンスⅡには,表2に示す各種試験及び検証試験を含む。
9.3.4.1
主回路の抵抗測定
直流電流を通電して,極ごとの端子間の電圧降下を測定する。
試験する電流値は,50 Aから定格動作電流までの範囲内にある都合のよい電流値とする。
注記 詳細は,IEC 60694の6.4.1による。
9.3.4.2
投入性能及び遮断性能試験用の回路
試験回路の詳細は,附属書Aを参照する。
注記 回路短絡時の投入電流及び遮断電流の波形の例,並びにパーセント直流成分の判定について,
附属書Bに示す。
9.3.4.3
短時間耐電流及びピーク耐電流
この試験は,回路短絡時の耐久持続時間定格の標準値を使用して,IEC 60694の6.6に従って行う。
注記 詳細は,IEC 62271-100の8.103.6及びIEC 60694の箇条6に記載されている。
9.3.4.4
短絡条件における投入能力及び遮断能力
受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 規定の試験項目すべてに対して,IEC 62271-100の6.106に従って行う。ただし,8.2.10 e) の
種別1の動作シーケンスを使用する。
b) 種別2 商用周波の試験電源によって,表4Bに規定する試験の順番に試験電圧を変えて,遮断容量及
び投入容量の試験を各1回行う。ただし,8.2.10 e) の種別2の動作シーケンスを使用する。また,こ
の試験における遮断器の制御電圧は定格電圧とする。
投入電流は,動作試験の中の1回が,表4Bに規定する規定値以上でなければならない。
17
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表4B−投入及び遮断能力試験(種別2)
電車線の標準電圧
試験の順番
試験電圧
(kV)
投入電流
(A)
遮断電流
(A)
操作空気圧力
(MPa)
交流20 kV用
交流遮断器
(1)
24
10 000
4 200
0.49
(2)
20 a)
12 500
5 000 b)
0.49
(3)
24
10 000
4 200
0.39
交流25 kV用
交流遮断器
(1)
32
−
3 400
0.78
(2)
25 a)
10 000
4 000 b)
0.78
(3)
32
−
3 400
0.63
注a) 標準電車線電圧
b) 定格遮断容量を,標準電車線電圧で除した数値
9.3.4.5
耐電圧試験
9.3.4.4の試験終了後,当該遮断器は,9.4.4に規定する耐電圧値を75 %に低減した商用周波の試験電圧
に,また,9.3.3.3において種別2を採用した場合には,表4Aに示す定格商用周波耐電圧の試験電圧値を
75 %に低減した試験電圧に,耐えられるものとする。
9.3.4.6
主回路抵抗の検証
9.3.4.5の試験作業終了後,9.3.4.1によって主回路抵抗の再測定を行う。
測定値は,9.3.4.1で記録した数値と20 %以上の差があってはならない。
9.3.4.7
引外し動作の検証
引外し動作の検証は,当該遮断器に引外し機構が内蔵されている場合又は外部から引外し動作を行う場
合に限り行う。
9.3.4.6の検証確認後,引外し機構の電流設定値を,9.4.3によって確認する。
各電流設定値は,受渡試験時に測定した数値から,10 %以上の差があってはならない。
9.3.5
試験シーケンスⅢ:耐振動及び耐衝撃能力
このシーケンスには,表2の各種試験及び検証作業を含む。
9.3.5.1
振動試験
振動試験は,JIS E 4031に規定する試験方法による。
この振動耐久試験は,次に示す動作状態の配分で行う。
a) 開極及び投入の両方の動作状態で試験を行う。
b) 両方の状態の割合は,各50 %とする。
c) 機能上の振動試験中,当該遮断器は,動作状態を切り替えないものとする。
9.3.5.2
衝撃試験
衝撃試験は,9.3.5.1の試験終了後,JIS E 4031に規定する試験方法によって行う。この試験では,開極
及び投入の両方の動作状態を含むものとし,当該遮断器は,試験中に動作状態を切り替えない。
9.3.5.3
機械的動作の検証
9.3.5.2に規定した試験終了後,JIS E 5004-2の9.4.2(機械的動作)に規定する要求事項に従い,機械的
動作を確認する。
9.3.5.4
引外し動作の検証
この検証は,当該遮断器に引外し機構が内蔵されている場合に限り行う。
9.3.5.3の検証後,引外し機構の電流設定値を確認する。
18
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
各電流設定値は,受渡試験時に測定した数値から,10 %以上の差があってはならない。
9.3.5.5
耐電圧試験
9.3.5.4の検証終了後,当該遮断器は,9.4.4に規定する耐電圧値を75 %に低減した商用周波の試験電圧
に,また,9.3.3.3において種別2を採用した場合には,表4Aに規定する定格商用周波耐電圧の試験電圧
値を75 %に低減した試験電圧に,耐えられなければならない。
9.3.6
試験シーケンスⅣ: 過渡回復電圧試験
この試験は,5.4で規定した動作頻度C2及びC3の遮断器だけに対して行う。
この試験は,次の条件で行う。
a) 試験電圧は,定格動作電圧とする。
b) 0 Aから定格動作電流までの範囲の電流とする。
c) T1に対する力率。
この試験は,IEC 62271-100の6.104.5によって行う。試験回路は,附属書Aによる。
注記 この試験を行うことによって,製造業者は,遮断電流に対する過渡回復電圧曲線を提供できる
ようになる。
9.3.7
試験シーケンスⅤ:気候条件
屋外用遮断器の絶縁体の外側表面は,IEC 60060-1の9.1に規定する標準試験手順による耐湿試験を行う。
別の試験が必要になった場合,受渡当事者間で協定して, JIS E 5004-2の9.3.6[試験シーケンスⅣ(気
候条件)]及びIEC 62271-100の6.101.3,6.101.4又は6.101.5から選択する。
9.3.8
試験シーケンスⅥ:その他の試験
この試験シーケンスには,次の補足試験を含めてもよい。
a) 電磁両立性(EMC)
b) 可聴騒音の発生
これらの試験の実施については,受渡当事者間で協定した試験仕様書による。
9.4
性能上の要求に対する検証のための受渡試験
9.4.1
一般
各遮断器に対して,次の受渡試験を行う。
a) 機械的動作の検証(9.4.2参照)。
b) 必要に応じて,引外し機構の校正(9.4.3参照)。
c) 耐電圧試験(9.4.4参照)。
d) 必要に応じて,気密性及び防水性の検証(9.4.5及び9.4.5A参照)。
各測定値は,受渡試験報告書に記録する。
9.4.2
機械的動作の検証
JIS E 5004-2の9.4.2(機械的動作)に規定する試験を適用する。
9.4.3
引外し機構の校正
この試験は,遮断器に引外し機構を内蔵している場合に限り行う。
遮断器の引外し動作を生じる電流が,安定した電流を使って,設定電流の表示値に対して±10 %以内の
許容範囲にあることを確認する。
注記1 ±10 %という許容範囲には,設定値許容範囲のほかに,校正表示の±5 %の許容誤差を含む。
注記2 安定した電流とは,上昇値が200 A/sを超えない特性のrms電流である。
9.4.4
耐電圧試験
19
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
商用周波の電源による耐電圧試験は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれか
による。
a) 種別1 JIS E 5004-1の9.3.3.3(受渡試験)に規定する試験を適用する。
注記 JIS E 5004-1の表9による商用周波の試験電圧値を,表4に追加して利用の便に配慮した。
b) 種別2
表4Aに規定する試験電圧を加えて試験を行う。
9.4.5
気密性(空気操作式遮断器の場合)
JIS E 5004-1の9.3.4.2(空気機器の気密試験)及び9.3.4.2A(空気漏れ試験)に規定する試験を適用する。
9.4.5A 防水,注水及び/又は沈水試験
JIS C 0920によるIPコード番号及びその試験条件を適用する。屋外用遮断器の保護等級は,受渡当事者
間で協定するが,IPX6以上としなければならない。
20
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路
序文
この附属書は,投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路について規定する。
A.1 試験回路
投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路を,図A.1に示す。
構成機器及び記号
DP
:電源遮断器
E1
:投入用遮断器
AE
:被試験遮断器
AC
:試験用電源
R,C
:過渡回復電圧調整用抵抗及びコンデンサ
I,ΔU
:電流及び電圧測定
L1,L2
:インダクタンス
図A.1−試験回路
21
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
回路短絡時の投入電流及び遮断電流並びにパーセント直流成分の判定
序文
この附属書は,試験回路の校正及び遮断器の投入・遮断に当たって記録した波形の例を示すものであっ
て,規定の一部ではない。
B.1
波形の例
回路短絡時の投入電流及び遮断電流の波形の例,並びにパーセント直流成分の判定について,図B.1に
示す。
A-A'; B-B'
:電流波形の包絡線
C-C'
:電流波形のゼロ電位線の変位状況
D-D'
:C-C'から測定した電流の交流成分のrms値
E-E'
:主接触部分離の瞬間(アーク発生の始まり)
IMC
:投入電流
IAC
:E-E'時点における交流成分のピーク電流
2
AC
I
:E-E'時点における電流の交流成分のrms値
IDC
:E-E'時点における電流の直流成分
100
AC
DC×
I
I
:直流成分のパーセント値
図B.1−回路短絡時の投入電流及び遮断電流,並びにパーセント直流成分の判定
22
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(規定)
箱に収納した遮断器の場合の絶縁にかかわる空間距離
序文
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事項を記載するものであって,規定の一部ではない。
JA.1 一般
a) 新幹線電車で長期間使用されていて十分な使用実績がある“箱に収納した交流25 kV用の真空遮断器”
の場合,重要な絶縁特性である最小空間距離は230 mmである。
b) JIS E 5004-1の8.2.6(絶縁特性)の種別2 による絶縁距離は,JIS E 5004-1の表6d(絶縁距離)によ
ると,A級の場合270 mmである。したがって,十分な使用実績があることから,JIS E 5004-1の表
6d(絶縁距離)の下に記載の“実証したときは,表6dに示す絶縁距離以下であってもよい”という
ただし書きの規定を適用した。
c) 十分な使用実績に基づくものではあるが,重要な絶縁特性である最小空間距離の妥当性が分かりにく
いことから,IEC規格の規定に基づく種別1の場合と比較して,妥当性を確認したのがこの附属書で
ある。
JA.2 空間距離に影響を及ぼす要因
8.2.6の注記を参照。
a) 絶縁にかかわる空間距離は,環境汚損条件,過電圧保護条件などの要因が影響するが,種別1及び種
別2では,表JA.1のように考え方に違いがある。
表JA.1−規格上の空間距離に影響を及ぼす要因
8.2.6
環境汚損条件
過電圧保護条件
種別1
PD1〜PD4の汚損度
(JIS E 5004-1の7.9及び表5 参照)
OV1〜OV4の過電圧分類
(JIS E 5004-1の7.10及び表4参照)
種別2
A級〜C級の級別
(JIS E 5004-1の8.2.6.3A参照)
−
(分類規定がない)
つまり,従来,国内では新幹線電車用を含めて,空間距離に過電圧保護の要因が規格の規定として
考慮されていないことから,過電圧保護を考慮して設計した用品の使用実績から230 mmを決めたこ
とが分かる。
b) 種別1の規定は,IEC 60850の電車線電圧の環境条件下での規定である。仮に,種別1の考え方で交
流25 kV電車線電圧の電気品に対する空間距離を求めると次の数値となる。
表JA.2−8.2.6の種別1による空間距離の計算例
過電圧保護条件
(電車線に直接接続)
対応するインパルス
耐電圧値(kV)
汚損度区分
汚損度に対応する
空間距離(mm)
OV4(保護なし)
170
PD1〜PD4
310
OV3(保護あり)
125
PD1〜PD3
210
PD4
230
23
E 5004-4:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) つまり,IEC規格による種別1の規定では,当該“箱に収納した25 kV用の真空遮断器”の条件では
空間距離は210 mmでよいことになる。
d) 日本の新幹線電化システムの電車線電圧の環境条件は,IEC 60850と必ずしも同じではないが,回路
に過電圧保護を設けてある収納箱付の遮断器の空間距離230 mm は,妥当であることが理解できる。
参考文献 JIS E 5006 鉄道車両−電子機器
2
4
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2
4
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS E 5004-4 :2008 鉄道車両−電気品−第4部:交流遮断器
IEC 60077-4:2003,Railway applications−Electric equipment for rolling stock−Part 4:
Electrotechnical components−Rules for AC circuit-breakers
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範
囲
適用範囲
1
JISにほぼ同じ
追加
適用に誤解がないように,適用する対
象を“特別高電圧の架空線式の電車線
電圧と同じ回路に接続する”交流遮断
器と明記した。
技術的差異はない。
3 用語及
び定義
3.1機器に関する用
語及び定義
3.1
JISにほぼ同じ
追加
削除
日本国内で広く使用されている“気中
遮断器”を追加した。
用語規格JIS E 4001を追加した。
3.1.3 oil circuit-breaker,3.1.6 gas
circuit-breaker及び3.1.7 semi-conductor
circuit-breakerは,鉄道車両用として
は採用されていないので削除し,欠番
とした。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
3.3動作特性に関す
る用語及び定義
3.3
JISにほぼ同じ
変更
3.3.1の対応英語は“trip-free circuit-
breaker”となっているが,3.3は動作
特性を表すので,“遮断機能”とした。
技術的差異は,特にない。
3.4.5 交流回路の最
大推定ピーク電流
3.4.5
JISと同じ
追加
推定ピーク電流と位相との関係の説
明を追加した。
次回IEC改正時にIECへ提
案を検討する。
4 分類
分類について規定
4
JISにほぼ同じ
追加
5.2 c) に関連して,IPコード(JIS C
0920)に関するc) を追加した。
IEC 60077-3にはあるので,
記載漏れと思われる。次回
IEC規格改正時に提案する。
2
5
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2
5
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 特性
5.2 遮断器の種類
5.2
JISにほぼ同じ
追加
動作特性に,“電源オフ時の引外し方
式”を追加した。
技術的差異は特にない。
5.3.2主回路の定格
電圧
5.3.2
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-4の規定を種別1とし,従
来から国内で採用されていた規定を
種別2として,選択できるようにし
た。
国内の実状に合わせた。
−
−
追加
定格動作電圧(Ue)を定格使用電圧と
呼ぶことを注記で追加した。
技術的差異はない。
5.3.3 c) 定格短時間
耐電流
5.3.3 c)
JISにほぼ同じ
追加
分かりやすいように,注記1を追加し
た。
技術的差異はない。
5.3.3A 交流遮断器
の直流定格
−
−
追加
従来から国内で採用され,IECにない
交直流電気車用の交流遮断器に,直流
通電定格を規定できるようにした。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
5.3.6.4 定格短絡耐
久時間
5.3.6.4
種別1に相当する規定
選択
IEC規格では標準値を1 秒間と規定
しているが,従来から国内では2 秒
間が採用されていたので,前者を種別
1に,後者を種別2として,選択でき
るようにした。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
5.4 動作頻度
5.4
JISにほぼ同じ
選択
IEC 60077-4の規定を種別1とし,従
来から国内で採用されていた規定を
種別2として,用途に応じて選択でき
るようにした。
次回IEC規格改正時にIEC
へ提案を検討する。
8 構造上
及び性能
上の要求
8.2.3 運用休止から
運用投入する場合の
規定
8.2.3
JISにほぼ同じ
追加
分かりやすいように,具体的な試験内
容例を追加した。
技術的差異はない。
8.2.6 絶縁特性
8.2.6
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-4の規定を種別1とし,従
来から国内で採用されていた規定を
種別2として,用途に応じて選択でき
るようにした。
国内の実状に合わせた。
2
6
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2
6
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 構造上
及び性能
上の要求
(続き)
8.2.8 開閉動作遂行
能力
8.2.8
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-4の規定を種別1とし,従
来から国内で採用されていた規定を
種別2として,用途に応じて選択でき
るようにした。
国内の実状に合わせた。
8.2.10 e) 短絡条件
における投入能力及
び遮断能力
8.2.10 e)
種別1に相当する規定
選択
動作シーケンスは,IEC 60077-4の規
定を種別1とし,従来から国内で採用
されていた規定を種別2として,用途
に応じて選択できるようにした。
国内の実状に合わせた。
9 試験
9.1.2 形式試験
9.1.2
JISにほぼ同じ
追加
試験の対象である“新形式の遮断器に
ついて”という文章を追加した。
技術的差異はない。
9.1.3 受渡試験
9.1.3
JISにほぼ同じ
追加
試験の対象である“遮断器の取引きに
当たって”という文章を追加した。
技術的差異はない。
9.1.4 調査試験
9.1.4
JISにほぼ同じ
追加
IEC規格の一般的な規定に従い,“調
査試験の結果を受渡条件としない”と
いう文章を追加した。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
9.2.2 形式試験
9.2.2
JISにほぼ同じ
追加
検証する規定項目の詳細を受渡当事
者間で協定することを追加した。
技術的差異は,特にない。
9.2.3 受渡試験
9.2.3
JISにほぼ同じ
追加
後記した9.3.3.3Aの追加によって,注
記を追加した。
技術的差異は,特にない。
9.3.1表2 試験シー
ケンス表
9.3.1
表2
JISにほぼ同じ
追加
試験項目を2件追加及び該当箇条番
号を試験項目ごとに表示して,使いや
すくした。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
9.3.3.1 開閉特性の
動作限度
9.3.3.1
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-4の規定を種別1とし,従
来から国内で採用されていた規定を
種別2として,選択できるようにし
た。
国内の実状に合わせた。
9.3.3.1A 空気漏れの
検証
−
−
追加
IEC 60077-4では,空気漏れの試験が
規定されていないので,9.3.3.1Aにこ
の試験を追加した。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
2
7
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2
7
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 試験
(続き)
9.3.3.2 温度上昇
9.3.3.2
JISにほぼ同じ
追加
試験を遮断器単体で行うことを追加
した。
技術的差異はない。
9.3.3.3 絶縁特性
9.3.3.3
種別1に相当する規定
追加
耐電圧試験の前に行う絶縁抵抗測定
の規定を追加した。
絶縁抵抗測定については,次
回IEC規格改正時に,IEC
への反映提案を検討する。
選択
インパルス耐電圧試験は,IEC 60077
-4の規定を種別1とし,従来から国内
で採用してきた規定を種別2として,
表4Aにまとめ,選択できるようにし
た。
国内の実状に合わせた。
追加
さらに,表4にも商用周波の試験電圧
値及び注記を追加して,利用の便を図
った。
技術的差異はない。
9.3.3.3A 主回路の絶
縁抵抗測定
−
−
追加
従来から絶縁抵抗の測定を行ってい
たが,IEC 60077-4では規定されてい
ないので,9.3.3.3Aにこの試験を追加
した。
次回IEC規格改正時にIEC
への提案を検討する。
9.3.3.4 開閉動作遂
行能力
9.3.3.4
種別1に相当する規定
選択
8.2.8の種別区分に対応して,IEC
60077-4の規定を種別1とし,従来か
ら国内で採用してきた規定を種別2
として,選択できるようにした。
国内の実状に合わせた。
9.3.3.5,9.3.4.5及び
9.3.5.5 耐電圧試験
9.3.3.5,
9.3.4.5及
び9.3.5.5
種別1に相当する規定
選択
9.3.3.3で種別2を選択した場合には,
9.3.3.5,9.3.4.5及び9.3.5.5での耐電圧
試験値を表4Aの基準値を採用できる
ようにした。
国内の実状に合わせた。
9.3.3.7及び9.3.4.7引
外し動作の検証
9.3.3.7及
び9.3.4.7
JISにほぼ同じ
追加
外部からの引外し動作を行う場合の
条件を追加した。
技術的差異は,特にない。
2
8
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2
8
E
5
0
0
4
-4
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 試験
(続き)
9.3.4.2投入性能及び
遮断性能試験用の回
路
9.3.4.2
JISにほぼ同じ
追加
対応国際規格に注記はないが,附属書
Bの説明を追加した。
技術的差異は,特にない。
9.3.4.4短絡条件にお
ける投入能力及び遮
断能力
9.3.4.4
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-4の規定を種別1とし,従
来から国内で採用していた規定を種
別2として,選択できるようにした。
国内の実状に合わせた。
9.4.1一般
9.4.1d)
JISにほぼ同じ
防水性の検証を追加した。
技術的差異は,特にない。
9.4.4 耐電圧試験
9.4.4
種別1に相当する規定
選択
商用周波の耐電圧試験はIEC規格を
種別1とし,従来から国内で採用して
きたものを種別2として選択できる
ようにした。
国内の実状に合わせた。
9.4.5 気密性
9.4.5
JISにほぼ同じ
追加
JIS E 5004-1の引用に関連して空気漏
れ試験を追加した。
技術的差異は,特にない。
9.4.5A 防水,注水及
び/又は沈水試験
−
−
追加
JIS C 0920によるIPコードの最低値
を規定し,JIS C 0920による試験で検
証するようにした。
国内の実状に合わせた。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60077-4:2003:MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。