E 5004-3:2008
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 分類······························································································································· 6
5 特性······························································································································· 7
5.1 特性を示す項目 ············································································································· 7
5.2 遮断器の種類 ················································································································ 7
5.3 主回路の定格値及び限度値······························································································· 7
5.4 動作頻度 ······················································································································ 8
5.5 電気制御回路及び空気制御回路························································································· 8
5.6 電気補助回路及び空気補助回路························································································· 8
5.7 過電流引外し機構 ·········································································································· 9
5.8 ピークアーク電圧 ·········································································································· 9
6 製品情報 ························································································································· 9
6.1 機器情報の文書化 ·········································································································· 9
6.2 表示 ···························································································································· 9
7 通常の使用条件 ················································································································ 9
8 構造上及び性能上の要求 ···································································································· 9
8.1 構造上の要求 ················································································································ 9
8.2 性能上の要求 ················································································································ 9
9 試験······························································································································ 11
9.1 試験の種類 ·················································································································· 11
9.2 構造上の要求に対する検証······························································································ 12
9.3 性能上の要求に対する検証のための形式試験 ······································································ 12
9.4 性能上の要求に対する検証のための受渡試験 ······································································ 18
附属書A(規定)投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路 ··············································· 20
附属書B(参考)回路短絡時の投入電流及び遮断電流の検証 ························································ 21
附属書JA(参考)試験電流の時定数及び電流突進率 ·································································· 23
附属書JB(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 25
解 説 ······························································································································· 29
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄道車輌工業会(JARI)及び
財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS E 5004の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS E 5004-1 第1部:一般使用条件及び一般規則
JIS E 5004-2 第2部:開閉機器・制御機器及びヒューズの一般規則
JIS E 5004-3 第3部:直流遮断器
JIS E 5004-4 第4部:交流遮断器
JIS E 5004-5 第5部:高圧ヒューズ
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日本工業規格 JIS
E 5004-3:2008
鉄道車両−電気品−第3部:直流遮断器
Railway applications-Electric equipment for rolling stock-
Part 3: Electrotechnical components-Rules for d.c. circuit-breakers
序文
この規格は,2001年に第1版として発行されたIEC 60077-3を基に,対応する部分については対応国際
規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に規定され
ていない規定項目(動作頻度,動作能力,遮断器の定格電圧,制御電圧及び制御空気圧力など。)を日本工
業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。対応国
際規格を変更している事項については,変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,JIS E 5004-2による機器の一般規則に追加する内容として,各種の直流遮断器の特性及び
試験方法について規定する。これらの直流遮断器の主接触部は,直流の主回路及び/又は直流の補助回路
に接続されており,これらの回路電圧は,IEC 60850に規定する直流3 000 Vを超えない直流の標準電車線
電圧であるものとする。
この規格は,通常の回路条件のもとで,電流を投入,通電及び遮断することができ,かつ,回路短絡の
ような特定の異常回路条件のもとでも,投入,規定した時間の通電及び遮断することができる能力をもつ
直流回路に使用する機械的開閉機器について規定する。
この規格は,JIS E 5004-2の規定と併せて,次に示す特定項目について規定する。
a) 遮断器の特性
b) 遮断器の使用条件
1) 通常時の使用条件及び動作条件
2) 短絡時の使用条件及び動作条件
3) 絶縁特性
c) 遮断器が,規定の使用条件における特性に適合していることを確認する試験及び適用する試験方法。
d) 遮断器に表記する情報又は遮断器に添付すべき情報。
なお,この規格は,次のような機器には適用しない。
e) 電気機器を多重接続して,特定の責務を達成するもの。
f)
JIS C 8201-2-1,JIS C 8201-2-2及びJIS C 8370による一般産業用遮断器
g) IEC 61992-2による鉄道電気設備用の直流遮断器
上記のf)及びg)の遮断器を鉄道車両用に使用する場合には,鉄道車両用として満足に使用できることを
確認するため,この規格の特定の項目だけを規定して利用することが望ましい。その場合,使用する一般
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産業用又は鉄道電気設備用の遮断器が守るべき追加要求事項を仕様書などに記載しておく。例えば,次の
いずれかによる。
h) 制御電圧,環境条件などの適合条件
i)
鉄道車両の特殊条件に耐えられる取付け及び使用条件
j)
これらの機器が鉄道車両用としての条件に十分に耐えられることを証明する追加試験項目
注記1 この規格の対象となる遮断器には,過電流時以外の,例えば,不足電圧時及び通電電流の
反転時のように,あらかじめ決められた条件のもとにおいて,自動開極動作を行う装置が
設置されている場合がある。そのような,あらかじめ決めた条件下における動作の検証に
ついては,この規格では規定しない。
注記2 電子部品又は電子組立品を電気機器に組み込むことは,ごく一般的になっている。この規
格自体はそうした電子機器には直接適用しないが,電子機器を一部組み込んである電気機
器に対してはこの規格を適用する。ただし,当該遮断器に内蔵されている電子組立品は,
電子機器に関する規格によることが望ましい(JIS E 5006参照)。
注記3 この規格は,製造業者及び使用者(以下,“受渡当事者”という。)間の協定があれば,例
えば,鉱山用機関車,無軌条電車などのような,鉄道車両以外の車両に搭載する電気機器
に適用することができる。ただし,このような場合には,特定の追加要求がある場合があ
る。
種別1に対応する国際規格IEC 60077-3を,種別2に関連するJISなどで従来から日本国内で広く採用
されている内容を規定して,いずれかを選択できるようにした。今後,この規格を適用する場合は,国際
規格との整合化の主旨から種別1を用いるのが望ましい。
注記4 この規格は,直流遮断器の特性及び試験方法について規定するものであるが,その特性にか
かわる規定は,設計の指針のために示すものであり,この規格によって適合性評価を行うこ
とは,意図していない。
注記5 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60077-3:2001,Railway applications−Electric equipment for rolling stock−Part 3:
Electrotechnical components−Rules for d.c. circuit-breakers (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していること
を示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
注記 対応国際規格:IEC 60529:2001,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)(IDT)
JIS C 8201-2-1 低圧開閉装置及び制御装置−第2-1部:回路遮断器(配線用遮断器及びその他の遮断
器)
注記 対応国際規格:IEC 60947-2:2003,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 2:
Circuit-breakers(MOD)
JIS C 8201-2-2 低圧開閉装置及び制御装置−第2-2部:漏電遮断器
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注記 対応国際規格:IEC 60947-2:2003,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 2: Circuit-
breakers(MOD)
JIS C 8370 配線用遮断器
注記 対応国際規格:IEC 60947-2:1989,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 2: Circuit-
breakers(NEQ)
JIS E 4001 鉄道車両用語
注記 対応国際規格:IEC 60050-811:1991,International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter
811: Electric traction(MOD)
JIS E 4031 鉄道車両用品−振動及び衝撃試験方法
注記 対応国際規格:IEC 61373:1999,Railway applications−Rolling stock equipment−Shock and
vibration tests(MOD)
JIS E 5004-1:2006 鉄道車両−電気品−第1部:一般使用条件及び一般規則
注記 対応国際規格:IEC 60077-1:1999,Railway applications−Electric equipment for rolling stock−
Part 1: General service conditions and general rules(MOD)
JIS E 5004-2:2006 鉄道車両−電気品−第2部:開閉機器・制御機器及びヒューズの一般規則
注記 対応国際規格:IEC 60077-2:1999,Railway applications−Electric equipment for rolling stock−
Part 2: Electrotechnical components−General rules(MOD)
IEC 60850:2000 Railway applications−Supply voltages of traction systems
IEC 61992-2:2006 Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 2: DC circuit-breakers
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS E 5004-1の3.,JIS E 5004-2の3.及びJIS E 4001によるほか,
次による。
3.1
機器(components)
3.1.1
単方向遮断器(polarized circuit-breaker)
主回路における遮断器の遮断特性が,規定した一方向の電流に限定されている遮断器。
3.1.2
双方向性遮断器(bi-directional circuit-breaker)
主回路における遮断器の遮断特性が,双方向の電流に対して同じである遮断器。
3.1.3
気中遮断器(air circuit-breaker)
大気圧の空気中で主接触部が開閉する遮断器。
3.1.3A
真空遮断器
真空度の高い収納容器内で主接触部が開閉する遮断器。
3.1.4
半導体遮断器(semiconductor circuit-breaker)
半導体素子の通流率を制御して,当該回路の電流を投入及び遮断するように設計された遮断器。
3.1.5
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ハイブリッド式遮断器(hybrid circuit-breaker)
開閉用の半導体素子があり,かつ,離隔用に機械的主接触部のある遮断器。
3.1.5A
高速度遮断器
直流回路の異常な過大電流を引外し,機構によって高速度で主接触部を開極し,電動機などの回路機器
を保護する開閉機器。
3.2
機器の部品(component parts)
3.2.1
引外し機構(release)
保持手段を解放し,遮断器の開極又は投入動作を可能にするように,機械式開閉機器に機械的に連結さ
れている装置。
注記1 特定の条件に従って,動作可能状態になる複数の引外し機構によって,遮断器が動作する場
合がある。
注記2 引外し機構が機械式又は電気式で,開閉機器に接続されている場合がある。
3.2.1.1
過電流(瞬時)引外し機構[over-current (instantaneous) release]
電流が規定値を超えた場合,遅滞なく引外し動作を行う機構。
3.2.1.2
直接過電流引外し機構(direct over-current release)
遮断器の主回路に流れる電流によって,直接動作させる過電流引外し機構。
3.2.1.3
間接過電流引外し機構(indirect over-current release)
主回路に流れる電流を,シャント又は変流器の電流センサを介した電流によって,動作させる過電流引
外し機構。
3.2.2
ポンピング防止機能(anti-pumping device)
投入動作を開始する機構が投入位置に保持される限り,“投入−開極”動作後の再投入を阻止する機能。
注記 開極動作は,開極指令又は引外し動作のいずれかによる場合がある。
3.2.3
きょう(筐)体(enclosure)
外部汚染に関する規定の汚損度のレベルに対して,遮断器を保護し,かつ,充電部及び可動部へのアク
セスに関する規定の保護等級をもつ部品。例えば,遮断器のアークの影響に対して,周囲の部品を保護す
る場合もある。
3.2.4
一体形きょう(筐)体(integral enclosure)
遮断器の一部を構成するきょう(筐)体。
3.3
動作特性(operational features)
3.3.1
高速度遮断(current-limiting circuit-breaker)
回路短絡が生じたとき,本来は過大となる短絡電流を,そのピーク値に至る前の短い時間で遮断できる
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性能。
注記 current-limiting circuit-breakerの日本語訳は,“限流遮断器”であるが,定義の内容から用語を“高
速度遮断”とした。
3.3.2
引外し自由遮断(trip-free circuit-breaker)
投入指令が保持されていても,投入動作開始後に開極(すなわち,引外し)動作が行われると,可動主
接触部が開極位置に戻り,その開極位置を優先する機能。
注記 投入指令開始後,各主接触部が直ちに投入位置に到達する必要がある場合がある。
3.3.3
電流設定値(current setting)
過電流引外し機構の動作特性の基準となり,“引外し”機構に設定される主回路の電流値。
注記 引外し機構に複数の電流値が設定される場合もある。
3.3.4
電流設定範囲(current-setting range)
過電流引外し機構の電流設定を調節できる電流の最小値と最大値との範囲。
3.3.5
引外し動作(tripping operation)
引外し機構の動作によって始まる遮断器の開極動作。
3.4
遮断特性(breaking characteristics)
注記 ここで定義した用語の幾つかは,附属書Bに示す図で説明されている。
3.4.1
開極時間(opening time)
すべての極において,指定した開極動作の開始の瞬間からアーク接触子が離れる瞬間までの時間。
注記 開極動作の開始の瞬間は,過電流以外のすべての開極指令に対して,製造業者が指定する。
3.4.2
過電流開極時間(over-current opening time)
主回路電流が,過電流引外し機構の設定値に到達した時点から,アーク接触子が離隔した時点までの時
間。
3.4.3
推定電流(prospective current)
遮断器をインピーダンスの無視できる導体に置き換えたとき,その回路に流れる電流。
3.4.4
推定ピーク電流(prospective peak current)
事故電流発生後の過渡期間における推定電流のピーク値(附属書B 参照)。
注記 この用語は,通常,短絡条件に関連して使用されることが多い。回路短絡時の推定電流を,特
に,推定短絡電流又は規約短絡電流という場合もある。
3.4.5
推定遮断電流(prospective breaking current)
電流遮断過程の開始時点に対応する時点で評価される推定電流。
注記 電流遮断過程の開始時点に対応する時点とは,通常,アーク発生時と定義されている。
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3.4.6
カットオフ電流(cut-off current)
電流遮断中に到達する瞬間最大電流値。
3.4.7
回復電圧(recovery voltage)
電流遮断の直後に,遮断器各極の端子間に現れる電圧。
3.4.8
アーク時間(arcing time)
アーク接触子間のアーク発生の瞬間から,最終的にアークが消滅した瞬間までの時間。
3.4.9
遮断時間(break time)
遮断器の開極時間の開始点から,アーク時間の終了点までの時間。
3.4.10
ジュール積分(I2t)[joule integral (I2t)]
遮断器の電流遮断の過程で,遮断時間全体にわたる電流I(i)の二乗値の積分。
t
i
t
I
t
t
d
2
1
2
2∫
=
ここに,
i: 電流
t1: 開極開始の時点
t2: アーク終了の時点
3.4.11
I2t特性(I2t characteristic)
引外し機構の電流設定,試験回路の時定数などのような指定条件の推定ピーク電流に対するI2tの数値
(通常,グラフで示される。)。
3.4.12
遮断時間−電流特性(break time ‒ current characteristic)
引外し機構の電流設定,試験回路の時定数などのような指定条件の推定ピーク電流に対する遮断時間を
示すグラフ。
3.4.13
カットオフ電流特性(cut-off current characteristic)
引外し機構の電流設定,試験回路の時定数などのような指定条件の推定ピーク電流に対するカットオフ
電流を示すグラフ。
4
分類
遮断器は,次のように分類する。
a) 動作頻度による分類(5.4参照)
b) 設計条件による分類
1) 開放構造
2) 一体形きょう(筐)体付き構造
c) きょう(筐)体で防護される保護等級(JIS C 0920)による分類。
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5
特性
5.1
特性を示す項目
特性は,次に示す項目の中から必要に応じて規定する。
a) 遮断器の種類(5.2参照)
b) 主回路の定格値及び限度値(5.3参照)
c) 動作頻度(5.4参照)
d) 電気制御回路及び空気制御回路(5.5参照)
e) 電気補助回路及び空気補助回路(5.6参照)
f)
過電流引外し機構(5.7参照)
g) ピークアーク電圧(5.8参照)
5.2
遮断器の種類
遮断器は,次に示す項目を表示する。
a) 機器の種類(例えば,気中遮断器,真空遮断器,ハイブリッド式遮断器,双方向性遮断器又は単方向
遮断器。)
b) 設計条件による分類(箇条4参照)
c) きょう(筐)体で防護される保護等級(箇条4参照)
d) 動作特性(例えば,高速度遮断及び引外し自由遮断。)
5.3
主回路の定格値及び限度値
5.3.1
一般
定格値は,製造業者が指定するが,すべての項目の定格値を指定する必要はない。
5.3.2
主回路の定格電圧
直流遮断器の定格電圧は,次による。
a) 定格動作電圧(Ue)は,JIS E 5004-1の5.1.2(定格動作電圧)による。ただし,遮断器の種類によっ
ては,複数の定格動作電圧値又は定格動作電圧範囲を規定してもよい。
b) 定格絶縁電圧(Ui)は,JIS E 5004-1の5.1.3(定格絶縁電圧)による。ただし,遮断器に定格絶縁電
圧が指定されていない場合,定格絶縁電圧は定格動作電圧の最大値と同等とみなす。
c) 定格インパルス耐電圧(Uimp)は,JIS E 5004-1の5.1.5(定格インパルス耐電圧)による。
5.3.3
主回路の定格電流
直流遮断器の定格電流は,次による。
a) 定格時定数(T2)(5.3.4参照)における定格動作電流(Ie)は,JIS E 5004-1の5.3.1(定格動作電流)
による。ただし,遮断器の種類によっては,複数の定格動作電流値又は定格動作電流範囲を規定する
ことができる。
b) 通常の大気中における遮断器単体の温度上昇試験電流(Ith)は,JIS E 5004-2の5.3.3(定格電流)に
よる。
c) 定格短時間耐電流(Icw)は,JIS E 5004-1の5.3.2(定格短時間耐電流)による。
注記 例えば,機器の1時間定格電流は,“指定の温度上昇限度を超えないで,その遮断器に1時間
連続して流すことができる電流”で,定格短時間電流の一つである。この仕様は,通常,製
造業者が規定する(JIS E 5004-1の5.3.2参照)。
5.3.4
定格時定数及び/又は回路定数
遮断器の時定数は,変電所,電車線及び負荷の電気的特性に依存する。
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表1に規定する4種類の時定数は,製造業者が5.3.5による短絡時の遮断容量及び投入容量を規定すると
きに使用する。
受渡当事者間で協定して,必要に応じて,別の時定数及び/又は回路定数の数値を規定することができ
る。
注記 従来から国内で使われている高速度遮断器の時定数は,T1〜T3の水準である。
表1−定格時定数
標準電車線電圧a)(公称電圧) (V)
750
1 500
3 000
定格動作電圧Ue (V)
900
1 800
3 600
時定数T1 (最小)b) (ms)
0
0
0
時定数T2 (ms)
15
15
15
時定数T3 (ms)
50
40
30
時定数T4 (ms)
150
100
50
注a) 標準電車線電圧については8.2.7の注記参照。
b) 時定数0 msは,試験用負荷に特にリアクトルを負荷とせず,抵抗で構成した場合である。
5.3.5
短絡特性
直流遮断器の短絡特性は,次による(附属書B参照)。
5.3.5.1
定格短絡投入容量
遮断器の定格短絡投入容量は,定格動作電圧に対応する投入電流値であり,製造業者が指定する。遮断
器は9.3.4に規定する定格短絡投入試験条件を満足し,試験後も引き続き動作できるものとする。
5.3.5.2
定格短絡遮断容量
遮断器の定格短絡遮断容量は,定格動作電圧に対応する遮断電流値であり,製造業者が指定する。遮断
器は9.3.4に規定する定格短絡試験条件を満足し,試験後も引き続き動作できるものとする。
5.4
動作頻度
動作頻度の検証は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 動作頻度C1,C2及びC3は,表2に示す動作遂行能力を表すもので,次による。
1) C1:軽動作頻度(例えば,短絡を検出したときに限り,遮断器が開極する場合。)
2) C2:中動作頻度(例えば,動作頻度C1に加えて,あらかじめ設定した過電圧条件,過負荷条件な
どのように,限度値を超えたときの指令によって又は逆転器などによって,通常,低い動作頻度で,
遮断器が開極する場合。)
3) C3:重動作頻度(例えば,動作頻度C2に加えて,各無電圧区間,各区分点,各終端駅などの他の
理由による又は主幹制御器などで始動又はブレーキごとに,遮断器が開極する場合。)
b) 種別2
動作頻度は,表2Aに示す動作遂行能力をもつものとする。
5.5
電気制御回路及び空気制御回路
電気制御回路及び空気制御回路の特性は,JIS E 5004-2の5.6(電気制御回路)及び5.7(空気制御回路)
による。
5.6
電気補助回路及び空気補助回路
補助回路の特性は,当該回路それぞれの接点数及び接点の種類(“a”接点,“b”接点など),並びにそれ
らの定格特性である。これらの特性は,JIS E 5004-2の5.9(電気補助回路)及び5.10(空気補助回路)に
9
E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
よる。
5.7
過電流引外し機構
各過電流引外し機構をもつ場合には,必要に応じて製造業者は,次の特性を規定する。
a) 過電流引外し機構の種類(例えば,直接形及び/又は間接形)
注記 ポンピング防止機能を含む場合がある。
b) 主回路電流の各方向に対する設定電流値(又は設定範囲)
c) 引外し機構の性能に影響する,各電流値によって異なる開極時間の特性(例えば,電流の上昇率に対
する特性。)
5.8
ピークアーク電圧
表3に示す試験シーケンスⅠ,試験シーケンスⅡ及び試験シーケンスⅣに従って,投入試験及び遮断試
験を行う場合,当該遮断器の動作で生じるピークアーク電圧の最大値は,製造業者が規定する。
6
製品情報
6.1
機器情報の文書化
製品の識別及び特性にかかわる情報は,製造業者のカタログ又はマニュアルに記載する。
JIS E 5004-2の6.1(情報)のほかに,次に示す項目を追加して適用する。
a) 間接過電流引外し機構及び/又は低電圧引外し機構(又は無電圧引外し機構。)がある場合の制御回路
の動作電圧及び必要に応じて定格周波数。
b) 過電流引外し機構のある場合の設定電流値又は設定電流範囲。
c) 開極時間
d) カットオフ電流特性
e) I2t 特性
6.2
表示
JIS E 5004-2の6.2(表記)に従って,データ又は識別記号を本体に表示する。
7
通常の使用条件
JIS E 5004-1の7.(通常の使用条件)による。
8
構造上及び性能上の要求
8.1
構造上の要求
JIS E 5004-2の8.1(構造上の要求)による。
8.2
性能上の要求
8.2.1
動作条件
JIS E 5004-2の8.2.1(動作条件)による。
8.2.2
温度上昇限度
JIS E 5004-2の8.2.2(温度上昇)による。
8.2.3
運用休止から運用投入する場合
JIS E 5004-1の8.2.3(運用休止から運用投入する場合)による。
例えば,次の内容を受渡当事者間で協定して確認する。
a) 耐電圧試験の実施の要否
10
E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 蓄電池電圧の最低値での動作確認
c) 必要な場合には,空気圧力の最小値での動作確認
8.2.4
電磁両立性(EMC)
JIS E 5004-1の8.2.4(電磁両立性)による。
8.2.5
可聴騒音の発生
JIS E 5004-1の8.2.5(可聴騒音の発生)による。
8.2.6
絶縁特性
JIS E 5004-1の8.2.6(絶縁特性)による。
8.2.7
開閉過電圧
開閉過電圧は,JIS E 5004-1の8.2.7(開閉過電圧)に加えて,定格絶縁電圧(Ui)が,660 V〜4 800 V
の直流遮断器の開閉動作では,Uiの3倍を超えるピークアーク電圧値を生じてはならない。
注記 定格絶縁電圧(Ui)が,660 V〜4 800 Vの直流機器とは,標準電車線電圧が,直流600 V〜3 000
V用の直流用電気品に相当する(JIS E 5004-1の表4参照)。
8.2.8
開閉動作遂行能力
開閉動作遂行能力の検証は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 開閉動作遂行能力の検証は,次による。
1) 遮断器は,9.3.3.4の種別1に規定する試験条件のもとで,表2の動作頻度に関する規定に適合しな
ければならない。
2) それぞれの開閉動作サイクルは,(無通電サイクルの)投入動作の次に開極動作を行う場合又は(通
電サイクルの)投入動作の次に遮断動作を行う場合のいずれかとする。
3) それぞれのシーケンスは,表2の“欄3”に規定する無通電の開閉動作サイクル数の実施後,“欄4”
に規定する通電状態での動作サイクル数で構成する。
4) 表2の“欄2”に規定するシーケンス回数を繰り返し行い,“欄5”及び“欄6”に規定する動作サ
イクル総回数となるようにする。
表2−遮断器の開閉動作遂行能力
欄1
欄2
欄3
欄4
欄5
欄6
動作頻度
シーケンス回数
シーケンス当たりの動作サイクル数
動作サイクル総回数
無通電
通電
無通電
通電
C1
1
20 000
100
20 000
100
C2
2
50 000
200
100 000
400
C3
4
50 000
200
200 000
800
注記1 動作頻度は,遮断器のすべての部分が許容できる温度上昇限度内にあるように選択する。
注記2 受渡当事者間で協定して選択した動作頻度は,試験報告書に記載する。
注記3 通電時の動作サイクルは,各シーケンスの最後に適用し,次に示す割合を推奨する。
1) 2 000 A以下の定格動作電流に対しては,30サイクル/時間。
2) 2 000 Aを超える定格動作電流に対しては,15サイクル/時間。
注記4 各動作サイクル中に,遮断器は2秒未満の十分な時間を“投入”位置に置き,電流が確実に立ち上がる
ようにする。
注記5 次の条件では,別のシーケンス回数を採用してもよい。
1) 各サイクルの通電の有無による動作サイクルが,この表の規定と同じ場合。
2) 各サイクルの通電の有無による動作サイクル総回数が,この表の“欄5”及び“欄6”の規定と同
じ場合。
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E 5004-3:2008
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b) 種別2 遮断器は,9.3.3.4の種別2に規定の試験条件のもとで,表2Aに適合しなければならない。
表2A−遮断器の開閉動作遂行能力
動作の区分
回数
保護動作だけを行うもので,保持コイルの電源を切って開路させる。
10 000
外部入力引外し動作又は低電圧電流電源による引外し動作を行う。
20 000
保護動作,常時閉路及び遮断を行うもので,制御電源を入切して行う。
1 000 000
8.2.9
耐振動及び耐衝撃能力
遮断器は,9.3.5.1に規定する耐振動能力及び9.3.5.2に規定する耐衝撃能力があるものとする。
8.2.10 短絡条件における投入能力及び遮断能力
遮断器は,次に示す条件における短絡試験を満足するものとする。
a) 過電流引外し機構の設定電流値は,設定電流範囲の最大値と同等とする。
b) 定格動作電圧点において,対応する定格短絡時定数に対する定格短絡電流とする。
c) 回復電圧は,定格動作電圧と同等とする
d) 時定数は,5.3.4に規定する4種類とする。
e) 動作シーケンスは,各時定数に対して,O→t1→CO→t2→COとする。
ここに, O: 遮断動作
CO: 適切な開極時間後,投入動作に続く遮断動作。
t1: 最初の開極動作時点と最初の投入動作時点との時間間隔で,20秒間とする。
t2: 2回目の開極動作時点と2回目の投入動作時点との時間間隔で,60秒間とする。
9
試験
9.1
試験の種類
9.1.1
一般
JIS E 5004-1の9.1.1(一般)を適用する。ただし,遮断器には抜取試験は認めない。
遮断器の特性を検証する試験は,次による。
a) 形式試験(9.1.2参照)
b) 受渡試験(9.1.3参照)
c) 調査試験(9.1.4参照)
9.1.2
形式試験
形式試験は,新形式の遮断器について次の目的で行う。
a) 構造上の要求に対する検証(9.2.2参照)
b) 性能上の要求に対する検証(9.3参照)
9.1.3
受渡試験
受渡試験は,遮断器の取引きに当たって次の目的で行う。
a) 構造上の要求に対する検証(9.2.3参照)
b) 性能上の要求に対する検証(9.4参照)
9.1.4
調査試験
調査試験は,特別な目的のための形式試験に対する補足試験である。受渡当事者間で事前に協定した項
12
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目であり,次に示す項目に関係する場合が多い。ただし,調査試験の結果は,当該電気品の受渡条件とは
しない。
a) 脈流成分が,温度上昇及び遮断特性に及ぼす影響。
b) 一時的な過負荷条件による温度上昇。
9.2
構造上の要求に対する検証
9.2.1
一般
遮断器は,9.3及び9.4に規定する性能上の要求に対する検証を行う前に,JIS E 5004-1の8.1(構造上の
要求)に規定する構造上の要求に適合していることが証明されているものとする。適切な試験方法がない
項目は,目視検査,測定などで確認する。
9.2.2
形式試験
遮断器が,形式試験としての構造上の要求を満足していることの検証は,次によるが,詳細は受渡当事
者間の協定による。
a) 物理的特性は,遮断器が該当する設計図面類に適合していることの確認(例えば,寸法,材料,電気
的危険性,防護ボンディングなど)。
b) 空間距離及び沿面距離は,JIS E 5004-1の9.3.3.2.1(空間距離及び関連する固体絶縁の検証)及び
9.3.3.2.4(沿面距離の検証)による。
c) 端子サイズ及び接続容量の確認(9.3.3.6による性能上の要求の一部として試験する。)。
9.2.3
受渡試験
遮断器が,受渡試験としての構造上の要求を満足していることの検証は,次による。
a) 目視検査による,図面に準拠して製造及び組立が行われていることの確認。
b) 抵抗測定は,JIS E 5004-1の9.2.3(受渡試験)に規定する試験を適用する。主回路及び制御回路の抵
抗測定値及び周囲温度の測定値を受渡試験の試験成績書に記録する。
注記 主回路の抵抗測定については,9.3.3.3A参照。
9.3
性能上の要求に対する検証のための形式試験
9.3.1
試験シーケンス
形式試験は,表3に示す複数の試験シーケンスにグループ分けする。
− 試験シーケンスごとに,表3の試験項目欄に記載の順番で試験する。
− 試験シーケンスごとに新しいサンプルを使用してもよい。
− 形式試験を行う前に,各サンプルに対して受渡試験を行う(9.1.3参照)。
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表3−性能上の要求に対する形式試験の試験項目及び試験シーケンス表
試験シーケンス
試験項目
該当箇条番号
Ⅰ 一般性能特性
開閉特性の動作限度
9.3.3.1
空気漏れの検証
9.3.3.1A
温度上昇
9.3.3.2
絶縁特性
9.3.3.3
主回路の絶縁抵抗測定
9.3.3.3A
開閉動作遂行能力
9.3.3.4
耐電圧試験
9.3.3.5
温度上昇の検証
9.3.3.6
引外し動作の検証
9.3.3.7
Ⅱ 定格短絡投入及び
遮断性能
時定数T2の短絡条件における投入及び遮断能力
9.3.4.2
時定数T3の短絡条件における投入及び遮断能力
9.3.4.3
時定数T4の短絡条件における投入及び遮断能力
9.3.4.4
最小時定数T1の短絡条件における投入及び遮断能力
9.3.4.5
耐電圧試験
9.3.4.6
温度上昇の検証
9.3.4.7
引外し動作の検証
9.3.4.8
Ⅲ 耐振動及び耐衝撃能力
振動試験
9.3.5.1
衝撃試験
9.3.5.2
機械的動作の検証
9.3.5.3
引外し動作の検証
9.3.5.4
耐電圧試験
9.3.5.5
Ⅳ 臨界電流
臨界電流の調査
9.3.6
Ⅴ 気候条件
(要求がある場合)
[高温(耐熱性),高温高湿(定常),低温(耐寒性)
などの]環境試験
9.3.7
Ⅵ その他の試験
(要求がある場合)
電磁両立性(EMC)
9.3.8 a)
可聴騒音の発生
9.3.8 b)
9.3.2
試験条件一般
試験条件は,次による。
a) 供試品の遮断器は,詳細にわたって対応する図面どおりのものとする。
b) 各試験シーケンスの試験中は,いかなる手入れも修理も行ってはならない。ただし,動作遂行能力の
条件として規定されている場合を除く(9.3.3.4参照)。
c) 表3にある各試験シーケンスに対しては,清浄な新品(又は修理して新品同様なもの)の一台の遮断
器で行う。双方向性遮断器の場合には,必要に応じて両方向の電流に対して試験を行う。
d) 試験は,主回路,制御回路及び補助回路の各回路に対して,5.3,5.5及び5.6に規定する定格動作値(電
流,電圧及び空気圧)で行う。
e) 試験値は,表4に規定する許容範囲内でなければならない。
14
E 5004-3:2008
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表4−試験に用いる定格動作値の許容範囲
すべての試験
標準負荷条件における試験
回路短絡の条件のもとでの試験
主回路
電圧 :50
+ %
主回路
電流a):50
+ %
時定数:150
+
%
主回路
電流a):100
+
%
時定数:250
+
%
制御回路及び補助回路
電流 :±5 %
電圧 :±5 %
空気圧:±5 %
制御回路及び補助回路
電流 :±5 %
電圧 :±5 %
空気圧:±5 %
制御回路及び補助回路
電流 :±5 %
電圧 :±5 %
空気圧:±5 %
注a) 引外し限度に対する電流の許容範囲は,±5 % とする。
f)
すべての試験に対して周囲温度を測定し,試験報告書に記録する。
g) 供試品の遮断器完備品は,次のいずれかの条件で設置する。
1) 一体形きょう(筐)体がある場合には,正規のきょう(筐)体に取り付ける。
2) 製造業者が取付条件を規定しているきょう(筐)体の場合,その条件を満足するように取り付ける。
3) 車両上でのぎ装状態を考慮して取り付ける。
9.3.3
試験シーケンスⅠ:一般性能特性
試験シーケンスIには,表3の試験項目欄に記載されている内容の試験及び検証を含む。
9.3.3.1
開閉特性の動作限度
開閉特性の動作限度の試験は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 JIS E 5004-2の9.3.3.1(動作限度)で規定される試験を行う。
b) 種別2 次の条件で,試験を行う。
1) 最低動作空気圧試験 電磁弁による空気操作式の遮断器の場合,定格制御電圧で電磁弁を励磁して
おき,動作空気圧力を徐々に上昇させて,確実に動作する最低空気圧力を測定し,定格動作空気圧
の80 %以下で動作することを確認する。
2) 最低動作電圧試験
2.1) 電磁操作式の遮断器の場合には,制御電圧を徐々に高めたときに,確実に動作する最低動作電圧
を調べる。遮断器は定格制御電圧の60 %以下で動作しなければならない。
2.2) 電磁弁による空気操作式の遮断器の場合は,操作空気圧を定格の120 %に保って電磁弁を励磁し,
制御電圧を徐々に高めたときに,確実に動作する最低動作電圧を調べる。
2.3) 2.1)及び2.2)の最低動作電圧は,8.2.1の規定を満たさなければならない。
2.4) 常温における測定値を,高温状態における場合に換算するときには,JIS E 5004-1の9.3.2.2(部品
温度の測定)の規定による。
3) 釈放電圧試験 電磁操作式の遮断器の場合には,制御電圧を定格値から徐々に下げたとき,確実に
釈放する電圧を調べる。釈放電圧は定格制御電圧の5 %以上とし,製造業者が規定する。
9.3.3.1A 空気漏れの検証
JIS E 5004-1の9.3.4.2(空気機器の気密試験)及び/又は9.3.4.2A(空気漏れ試験)による。
9.3.3.2
温度上昇
温度上昇試験は,JIS E 5004-2の9.3.3.2(温度上昇)で規定する試験を,通常の大気中における遮断器
単体の温度上昇試験電流で行う。このときの試験回路の接続には,9.3.3.2Aによる電力用電線を用いる。
注記 間欠負荷のコイルの場合,必要に応じて受渡当事者間で協定する。
15
E 5004-3:2008
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9.3.3.2A 試験回路の接続に用いる電力用電線
試験回路の接続に用いる電力用電線は,受渡当事者間の協定によって,種別1又は種別2のいずれかに
よる。
a) 種別1 JIS E 5004-1の9.3.2.4(主回路の温度上昇)に規定する,試験回路接続法による。
b) 種別2 表4Aの規定による電線を使用して,試験回路を構成する。
表4A−温度上昇試験用電線
遮断器の連続定格電流(A)
100を超え
200以下
200を超え
300以下
300を超え
400以下
400を超え
600以下
600を超え
1 000以下
接続電線の公称断面積
[(mm2)×本数]
50×1
100×1
150×1
100×2 又は
250×1
150×2
接続電線の長さ(m)
1.5以上
接続電線の種類
絶縁電線
9.3.3.3
絶縁特性
主回路に対する絶縁特性試験は,JIS E 5004-1の9.3.3.1(一般条件)及び9.3.3.2(形式試験)によって
行う。
耐電圧試験を行う前に,9.3.3.3Aによる絶縁抵抗値を測定して,耐電圧試験に支障がないことを確認す
る。受渡当事者間で絶縁抵抗値に関する協定がない場合,高電圧導電部と接地部との間を1 000 V絶縁抵
抗計で測定したとき,100 MΩ以上とする。
9.3.3.3A 主回路の絶縁抵抗測定
遮断器の主回路端子間の絶縁抵抗測定を行う。
9.3.3.4
開閉動作遂行能力
開閉動作遂行能力の試験は,受渡当事者間の協定によって,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 次の条件で,試験を行う。
1) この試験は,8.2.8の種別1に規定する要求事項が,動作頻度に対応するシーケンス回数に対して適
合していることを検証するために行う。
2) 投入動作及び遮断動作を附属書Aに示す試験回路を使って,定格動作電流,定格動作電圧及び時定
数T2 (15 ms)で行う。
3) 表2のシーケンス回数の間では,保守マニュアルに規定されているとおりの点検及び手入れをする
ことは認められる[JIS E 5004-1の6.3(保管,ぎ装,運転及び保守)参照]。ただし,こうした作
業で認められている交換部品は,主回路の接触子類(及びアークにさらされるその他の部品)に限
定される。
注記 表2に示すシーケンス回数の各1回の中には,無通電及び通電の両方の動作試験を含む。
最終シーケンス回数の試験が終了しても,9.3.3.5,9.3.3.6及び9.3.3.7に規定する検証が終
了するまでは,手入れ作業を行ってはならない。
b) 種別2 電気的な負荷をかけないで,制御回路電圧及び/又は制御空気圧を定格値とし,特に指定が
ない場合,表2 Aに示す回数の連続操作を行い,機構の損傷及び機能の障害が生じないことを確認す
る。操作は,使用状態と同じとし,消耗部品の交換,適正周期での給油などは行ってもよい。
9.3.3.5
耐電圧試験
9.3.3.4の試験終了後,当該遮断器は,9.3.3.3に規定する耐電圧値を75 %に低減した試験電圧に耐えら
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れなければならない。
9.3.3.6
温度上昇の検証
9.3.3.5の検証試験後,9.3.3.2による温度上昇試験を主回路で行う。
この検証試験終了時点において,温度上昇値は,JIS E 5004-2の8.2.2(温度上昇)に規定する値を超え
てはならない。また,9.3.3.2で記録した値を20 K以上超えてはならない。
9.3.3.7
引外し動作の検証
引外し動作の検証試験は,当該遮断器に引外し機構が内蔵されている場合又は外部からの引外し動作を
行う場合に限り行う。9.3.3.6の検証試験後,引外し機構の電流設定値を確認する。
各設定値は,受渡試験時に測定した数値から10 %以上の差があってはならない。
9.3.4
試験シーケンスⅡ:定格短絡投入及び遮断性能
この試験シーケンスⅡには,表3に示す各種試験及び検証試験を含む。
9.3.4.1
一般試験条件
試験回路は,附属書Aによる。
9.3.4.1.1
試験回路の校正に関する一般規則
試験条件は,次による。
a) 図A.1において,試験回路の校正は,供試品の遮断器の接続用に設けた端子間を,できるだけインピ
ーダンスの小さい校正用仮接続導体Cで仮接続して行う。
b) 調整用抵抗器R及び調整用リアクトルXは,定格動作電圧点において,5.3.5.1及び5.3.5.2に規定す
る定格短絡投入及び遮断能力となるように,5.3.4で規定するそれぞれの定格短絡時定数に対して調整
する。
注記 空心リアクトルを使えば,リアクトルの飽和を避けることができる場合がある。
c) 校正試験では,各数値を測定して,表4に示す許容範囲内にあることを確認する。
9.3.4.1.2
投入試験及び遮断試験に関する一般規則
試験条件は,次による。
a) 引外し機構の電流設定は,それぞれの最大値に設定する。
b) 遮断器で,通常,車体に接続されている部分は,収納箱又は遮へい(蔽)物を含めて,すべて大地か
ら絶縁した上で,図A.1に示す接地点に接続する。
c) この接続は地絡電流検知用に,できれば10 AヒューズFで構成する。
d) このヒューズで構成する回路の推定地絡電流は,地絡電流制限用抵抗器RLで制限される。
注記1 さらに,地絡電流の測定を行う場合がある。
注記2 試験回路の校正及び遮断器の投入・遮断の記録した波形の例を,附属書Bに示す。
9.3.4.1.3
試験の一般的な評価
試験の一般的な評価は,次による。
a) 試験中には,次のような損傷があってはならない。
1) 遮断器の,部分的な損傷。
2) ヒューズF(附属書A参照)の損傷。
b) これらの各試験を行っている間の次の測定は,遮断器が正しく動作していること,並びに投入特性及
び遮断特性が正常であることを検証するものである。
1) 過電流開極時間
2) カットオフ電流
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3) アーク時間
4) ピークアーク電圧
c) 各遮断動作に対して,熱応力計算を行い,I2 t(ジュール積分)特性を作成できるようにする。
9.3.4.1.4
試験中の保守手入れに関する一般規則
最小時定数T1における最終動作シーケンス(O→t1→CO→t2→CO)を行う前だけに限り,アークにさら
される主接触部及びその他の部分の清掃及び交換などに限定した手入れを行うことができる。
9.3.4.2
時定数T2の短絡条件における投入及び遮断能力
試験回路の校正をしてから,短絡試験シーケンスを8.2.10の要求事項に従って,9.3.2の一般的な試験条
件のもとで行う。
9.3.4.3
時定数T3の短絡条件における投入及び遮断能力
試験回路の校正をしてから,短絡試験シーケンスを8.2.10の要求事項に従って,9.3.2の一般的な試験条
件のもとで行う。
9.3.4.4
時定数T4の短絡条件における投入及び遮断能力
試験回路の校正をしてから,短絡試験シーケンスを8.2.10の要求事項に従って,9.3.2の一般的な試験条
件のもとで行う。
9.3.4.5
最小時定数T1の短絡条件における投入及び遮断能力
試験回路の校正をしてから,短絡試験シーケンスを8.2.10の要求事項に従って,9.3.2の一般的な試験条
件のもとで行う。
9.3.4.6
耐電圧試験
9.3.4.5の試験終了後,当該遮断器は,9.3.3.3に規定する耐電圧値を75 %に低減した試験電圧に耐えら
れなければならない。
9.3.4.7
温度上昇の検証
9.3.4.6の検証試験後,9.3.3.2による主回路の温度上昇試験を行う。
9.3.4.8
引外し動作の検証
9.3.4.7の検証試験後の引外し動作の検証は,次による。
各引外し機構の電流設定値を確認する。
各電流設定値は,受渡試験時に測定した値から,10 % 以上の差があってはならない。
9.3.5
試験シーケンスⅢ:耐振動及び耐衝撃能力
このシーケンスには,表3の各種試験及び検証作業を含む。
9.3.5.1
振動試験
振動試験は,JIS E 4031に規定する方法による。
この振動耐久試験は,次に示す動作状態の配分で行う。
a) 開極及び投入の両方の動作状態で試験を行う。
b) 両方の状態の割合は,実際の運用上の割合を表すようにする。
機能上の振動試験中,当該遮断器は,動作状態を切り替えないものとする。
9.3.5.2
衝撃試験
衝撃試験は,9.3.5.1の試験終了後,JIS E 4031に規定する方法によって行う。この試験では,開極及び
投入の両方の動作状態を含むものとし,当該遮断器は,試験中に動作状態を切り替えない。
9.3.5.3
機械的動作の検証
9.3.5.2に規定した試験終了後,JIS E 5004-2の9.4.2(機械的動作)に規定する要求事項に従い,機械的
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E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
動作を確認する。
9.3.5.4
引外し動作の検証
9.3.5.3の検証後,引外し機構の電流設定値を確認する。
各電流設定値は,受渡試験時に測定した数値から,10 %以上の差があってはならない。
9.3.5.5
耐電圧試験
9.3.5.4の検証終了後,当該遮断器は,9.3.3.3に規定する耐電圧値を75 %に低減した試験電圧に耐えら
れなければならない。
9.3.6
試験シーケンスⅣ:臨界電流
この試験は,5.4で規定した動作頻度C2及びC3の遮断器だけに対して行う。
この試験は,次の条件で行う。
a) 試験電圧は,定格動作電圧とする。
b) 0 Aから定格動作電流までの範囲の電流とする。
c) 5.3.4による時定数T2で,図A.1に示す試験回路を用いる。
注記 この試験を行うことによって,製造業者は,遮断電流に対するアーク時間の曲線を提供でき
るようになる。
9.3.7
試験シーケンスⅤ:気候条件
試験が要求された場合,JIS E 5004-2の9.3.6[試験シーケンスIV(気候条件)]を適用する。
9.3.8
試験シーケンスⅥ:その他の試験
この試験シーケンスには,次の補足試験を含めてもよい。
a) 電磁両立性(EMC)
b) 可聴騒音の発生
これらの試験の実施については,受渡当事者間で協定した試験仕様書による。
9.4
性能上の要求に対する検証のための受渡試験
9.4.1
一般
各遮断器に対して,次の受渡試験を行う。
a) 機械的動作の検証(9.4.2参照)
b) 引外し機構の校正(9.4.3参照)
c) 耐電圧試験(9.4.4参照)
d) 必要に応じて,気密性の検証(9.4.5参照)
各測定値は,受渡試験報告書に記録する。
9.4.2
機械的動作の検証
JIS E 5004-2の9.4.2(機械的動作)に規定する試験を適用する。
9.4.3
引外し機構の校正
遮断器の引外し動作を生じる電流が,安定した電流を使って,設定電流の表示値に対して±10 %以内の
許容範囲にあることを確認する。
注記1 ±10 %という許容範囲には,設定値許容範囲のほかに,校正表示の±5 %の許容誤差を含む。
注記2 安定した電流とは,上昇率が200 A/sを超えない特性の電流である。
9.4.4
耐電圧試験
JIS E 5004-1の9.3.3.3(受渡試験)に規定する試験を適用する。
注記 JIS E 5004-1の9.3.3.3.2(試験電圧)には,種別1及び種別2があるので,あらかじめ受渡当事
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E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
者間で協定して,いずれかを選択しておく。
9.4.5
気密性(空気操作式遮断器の場合)
JIS E 5004-1の9.3.4.2(空気機器の気密試験)及び9.3.4.2A(空気漏れ試験)に規定する試験を適用する。
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E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路
序文
この附属書は,投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路について規定する。
A.1 試験回路
投入性能及び遮断性能を検証するための試験回路を,図A.1に示す。
図A.1−試験回路
構成機器及び記号
U
:電圧検出器
I
:電流検出器
V
:電圧測定装置
R
:調整用抵抗器
F
:ヒューズ
X
:調整用リアクトル
RL
:地絡電流制限用抵抗器
CB
:被試験遮断器(接続ケーブルを含む)
C
:校正用仮接続導体
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E 5004-3:2008
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附属書B
(参考)
回路短絡時の投入電流及び遮断電流の検証
序文
この附属書は,試験回路の校正及び遮断器の投入・遮断に当たって記録した波形の例を示すものであっ
て,規定の一部ではない。
B.1
記号及びその意味
図B.1〜図B.3に使われている記号の意味は,次による。
A0 :電流設定値
A1 :遮断電流
A2 :推定ピーク電流
A3 :推定遮断電流
A4 :カットオフ電流
T :時定数
V0 :定格動作電圧
V1 :回復電圧
V2 :ピークアーク電圧
t1 :開極時間
t2 :アーク時間
t3 :遮断時間
B.2
代表的な投入性能及び遮断特性
a) 図B.1に,短絡投入特性の代表例を示す。短絡投入容量は,印加した定格動作電圧V0における,推定
ピーク電流A2に等しい。
b) 図B.2及び図B.3に,短絡遮断特性の代表例を示す。短絡遮断容量は,回復電圧V1における推定遮断
電流A3に等しい。
図B.1−投入時の電流特性及び推定ピーク電流
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E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図B.2−電流がピーク値を超えてから遮断されたときに対応する波形
図B.3−電流がピーク値に達する前に遮断されたときに対応する波形
(高速度遮断)
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E 5004-3:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
試験電流の時定数及び電流突進率
序文
この附属書は,本体及び附属書(規定)について補足するものであって,規定の一部ではない。
JA.1 一般
電気回路は,一般にRL回路として表されるが,試験回路における推定短絡電流−時間特性の例を図JA.1
に示す。これに関連する用語の時定数及び電流突進率は,次のように定義されている。
a) 時定数 時定数は,応答の速さを特長付ける定数で時間の次元をもつ。例えば,試験回路の遮断時の
時定数Tは,最終変化量(推定短絡電流の最大値 Im )の63.2 %に達する時間で表す。
b) 電流突進率 電流突進率は,突進電流の初期における単位時間に対する電流の増加の割合を表す。
ここに,
Im: 試験回路の推定短絡電流最大値
T: 試験回路の時定数
図JA.1−短絡遮断時の突進率算出曲線
JA.2 時定数及び電流突進率の求め方
a) 試験回路の時定数 記録したオシログラムから,図JA.1に示す方法によって,試験回路の時定数T
を直接求める。
b) 電流突進率 電流突進率 (A/s)は,オシログラムで読んだ, から求める。
JA.3 電流突進率の標準
試験回路において,空心誘導コイルが短絡された場合の試験電流突進率は,受渡当事者間での協定がな
い場合には,表JA.1によるのがよい。
dt
di
T
Im
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表JA.1−試験電流突進率の標準
遮断容量
(A)
電流突進率
(A/s)
20 000以下
1.5 × 106
20 000を超えて50 000以下
3 × 106
注記 従来,国内の電気鉄道変電所用の直流高速度遮断器で
は,直流1 500 VでIm = 50 kA ,突進率 = 3×106 A/s
のとき,遮断電流が 25 kA 以下であるとの仕様規定が
あった。
JA.4 遮断試験回路の時定数の例
従来,国内で採用されていた高速度遮断器に関して,時定数Tの欄を右端に追加したものを表JA.2に
示す。
表JA.2−3種断流器の高速度減流遮断の試験条件
(標準電車線電圧1 500 Vの場合)
試験区分
空気操作式の
遮断器の場合
電磁操作式の
接触器の場合
減流
抵抗
(Ω)
動作責務b)
空心誘導
コイル
(mH)c)
推定最大
電流
(A)
時定数T
(ms)
制御回
路電圧
操作空気圧
(%)a)
制御回路電圧
(%)a)
1
定格
100
指定値
CO−1分
−CO
10
9 000
60
2
20
5 000
67
3
80
75
10
9 000
60
4
20
5 000
67
5
120
110
10
9 000
60
6
20
5 000
66
7
100
2
10 000
13
注a) 定格に対する百分率を示す。
b) 動作責務の記号として,Cは投入,Oは遮断の各動作を表す。
なお,“−1分−”は,1分間の時間の経過を示す。
c) 数値は,1 500 Vの場合を示す。
したがって,国内で採用されていた最も厳しい遮断条件での時定数は,最小13 msから最大67 msであ
る。これを表1に示す時定数と比較すれば,T3が最も近い数値であることが分かる。
このことから,“従来から国内で使われている高速度遮断器の時定数は,T1〜T3 の水準である。”こと
を5.3.4の注記で追加した。
注記 鉄道車輌工業会規格JRIS E 5001(準備中)の表7に同じ。
参考文献 JRIS E 5001 鉄道車両用断流器の試験方法(予定)
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附属書JB
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS E 5004-3:2008 鉄道車両−電気品−第3部:直流遮断器
IEC 60077-3:2001,Railway applications−Electric equipment for rolling stock−Part 3:
Electrotechnical components−Rules for d.c.circuit-breakers
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
適用範囲
1
JISにほぼ同じ
追加
“回路短絡のような特定の異常回
路条件でも使用できる”ものが遮断
器であるとして,接触器,断流器な
どとの定義の違いを明確にした。
技術的差異は,特にない。
3 用語及び
定義
3.1 機器に関する用
語及び定義
3
JISにほぼ同じ
追加
日本国内で広く使用されている“真
空遮断器”及び“高速度遮断器”の
2件を追加した。また,用語規格JIS
E 4001を追加した。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を検討する。
3.3.1 高速度遮断
3.3.1
JISにほぼ同じ
変更
3.3.1の対応英語は,
“current-limiting circuit-breaker”で
あるが,3.3は動作特性を表す用語
なので“高速度遮断”とした。
技術的差異は,特にない。
3.4.4 推定ピーク電
流
3.4.4
JISにほぼ同じ
追加
説明のための注記を追加した。
技術的差異はない。
5 特性
5.2 遮断器の種類
5.2 a)
JISにほぼ同じ
追加
真空遮断器を追加した。
国内の実状に合わせた。
5.3.3 主回路の定格
電流
5.3.3 c)
JISにほぼ同じ
追加
分かりやすいように注記を追加し
た。
技術的差異はない。
5.3.4 定格時定数及
び/又は回路定数
5.3.4
JISにほぼ同じ
追加
国内実績では,IEC規格の標準時
定数においては,T1〜T3の水準で
あることを注記で追加した。
技術的差異はない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 特性
(続き)
5.4 動作頻度
5.4
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-3の規定を種別1とし,
従来のJISの規定を種別2として,
種別1及び種別2は選択できるよう
にした。
国内の実状に合わせた。
8 構造上及
び性能上の
要求
8.2.3 運用休止から
運用投入する場合
8.2.3
JISにほぼ同じ
追加
分かりやすいように,具体的な試験
内容例を追加した。
技術的差異はない。
8.2.7 開閉過電圧
8.2.7
JISにほぼ同じ
追加
定格絶縁電圧は,従来,日本ではな
じみがないので,分かりやすいよう
に,注記を追加した。
技術的差異はない。
8.2.8 開閉動作遂行
能力
8.2.8
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-3の規定を種別1とし,
従来のJISの規定を種別2として,
また,表2Aを追加し,種別1及び
種別2は選択できるようにした。
国内の実状に合わせた。
9 試験
9.1.2 形式試験
9.1.2
JISにほぼ同じ
追加
試験の対象である“新形式の遮断器
について”という文章を追加した。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を考慮する。
9.1.3 受渡試験
9.1.3
JISにほぼ同じ
追加
試験の対象である“遮断器の取引き
に当たって”という文章を追加し
た。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を考慮する。
9.1.4 調査試験
9.1.4
右の追加内容を除いて
JISと同じ
追加
IECの一般的な規定に従い,“調査
試験の結果は,当該電気品の受渡条
件とはしない。”という文章を追加
した。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を考慮する。
9.2.2 形式試験
9.2.2
JISにほぼ同じ
追加
詳細は受渡当事者間の協定による
とした。
国内の実状に合わせた。
9.2.3 受渡試験
9.2.3
JISにほぼ同じ
追加
9.3.3.3Aの追加によって周囲温度
の測定及び注記を追加した。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を検討する。
9.3.1 試験シーケン
ス
9.3.1
表3
JISにほぼ同じ
追加
試験項目を2 件追加し,また,該
当箇条番号を試験項目ごとに表示
して使いやすくした。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を考慮する。
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(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 試験
(続き)
9.3.3.1 開閉特性の
動作限度
9.3.3.1
種別1に相当する規定
選択
IEC 60077-3の規定を種別1とし,
従来のJIS規定を種別2として,種
別1及び種別2は選択できるように
した。
国内の実状に合わせた。
9.3.3.1A 空気漏れ
の検証
−
−
追加
空気漏れの試験は,IEC 60077-3で
は規定されていないので,9.3.3.1A
にこの試験を追加した。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を検討する。
9.3.3.2 温度上昇
9.3.3.2
JISにほぼ同じ
追加
温度上昇の試験に影響を与える可
能性のある使用する電力用電線を
次の9.3.3.2Aに規定して引用する
ようにした。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を検討する。
9.3.3.2A 試験回路
の接続に用いる電
力用電線
−
−
選択
試験回路に使用する電力用電線の
規定を追加し,IEC 60077-3の規定
を種別1とし,従来のJISの規定を
種別2として,種別1及び種別2
は選択できるようにした。
次回IEC規格改正時にIECへ
の提案を検討する。
9.3.3.3 絶縁特性
9.3.3.3
JISにほぼ同じ
追加
耐電圧試験の前に行う,絶縁抵抗測
定の規定を追加した。
次回IEC規格改正時に,IEC
への提案を検討する。
9.3.3.3A 主回路の
絶縁抵抗測定
−
−
追加
国内では通常行われている“主回路
の抵抗測定”を追加した。
次回IEC規格改正時に,IEC
への提案を検討する。
9.3.3.4 開閉動作遂
行能力
9.3.3.4
JISにほぼ同じ
選択
IEC 60077-3の規定を種別1とし,
日本で従来から採用していた規定
を種別2として,種別1及び種別2
は選択できるようにした。
次回IEC規格改正時に,IEC
への提案を検討する。
9.3.3.7 引外し動作
の検証
9.3.3.7
JISにほぼ同じ
追加
試験を行う条件に,“外部からの引
外し動作を行う場合”という文章を
追加した。
技術的差異は,特にない。
9.3.4.1.2 投入試験
及び遮断試験に関
する一般規則
9.3.4.1.2
JISにほぼ同じ
追加
対応国際規格に附属書Bに関する
説明がないため,附属書Bについ
ての注記を追加した。
次回IEC規格改正時に,IEC
への提案を検討する。
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(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 試験
(続き)
9.4.4 耐電圧試験
9.4.4
JISにほぼ同じ
追加
JIS E 5004-1の規定に種別1及び種
別2がある旨を注記して,注意を喚
起した。
技術的差異は,特にない。
9.4.5 気密性(空気
操作式遮断器の場
合)
9.4.5
JISにほぼ同じ
追加
JIS E 5004-1の規定に,関連した規
定があるので,ここでもその規定を
追加した。
技術的差異は,特にない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60077-3:2001:MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ··············· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ··············· 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択 ··············· 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD··············· 国際規格を修正している。