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E 5003:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 使用条件 ························································································································· 5 

4.1 常軌使用条件 ················································································································ 5 

4.2 特殊使用条件 ················································································································ 6 

5 定格及び性能 ··················································································································· 6 

5.1 定格 ···························································································································· 6 

5.2 性能 ···························································································································· 7 

6 構造······························································································································· 7 

7 試験······························································································································· 8 

7.1 試験の種類 ··················································································································· 8 

7.2 試験項目 ······················································································································ 8 

7.3 試験条件 ······················································································································ 8 

7.4 試験方法 ······················································································································ 9 

8 表示······························································································································ 15 

9 提出資料 ························································································································ 15 

10 取付け ························································································································· 15 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

鉄道車輌工業会(JARI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規

格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規

格である。 

これによって,JIS E 5003:2004は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

E 5003:2015 

鉄道車両−直流避雷器 

Rolling stock-DC surge arresters 

序文 

この規格は,1966年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は2004年に

行われたが,その後の技術的な進歩に対応するために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,電車線標準電圧600 V,750 V及び1 500 V用の,直流又は交直流電気車に搭載する磁器が

い(碍)管などをその絶縁容器に使用した直流避雷器(以下,避雷器という。)について規定する。避雷器

は,酸化亜鉛素子を特性要素として使用した酸化亜鉛形(ギャップレス)避雷器に適用する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS E 4001 鉄道車両−用語 

JIS E 4031 鉄道車両用品−振動及び衝撃試験方法 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

IEC 62475,High-current test techniques−Definitions and requirements for test currents and measuring 

systems 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS E 4001によるほか,次による。 

3.1 

避雷器一般 

3.1.1 

避雷器(surge arrester) 

雷,回路の開閉などに起因する過電圧(3.1.6参照)の波高値がある値を超えた場合,放電(3.1.7参照)

することによって過電圧を制限して電気施設の絶縁を保護し,かつ,続流(3.1.9参照)を短時間のうちに

遮断して,系統の正常な状態を乱すことなく原状に復帰する機能をもつ装置。 

3.1.2 

酸化亜鉛素子,ZnO素子(zinc oxide resistor) 

酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする焼結体で,その非直線電圧電流特性によって,放電のときは大電流を

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通過させて端子間電圧を制限し,放電後は原状に復帰する機能のある避雷器の構成要素。 

3.1.3 

公称放電電流(nominal discharge current) 

避雷器の保護性能及び復帰性能を表現するために用いる放電電流の規定値。±8/20 µsの規定波形(3.2.3

参照)の雷インパルス電流の波高値で表示する。 

3.1.4 

定格電圧(rated voltage) 

電圧を避雷器の両端子間に印加した状態で,所定の単位動作責務を所定の回数,反復遂行できる電圧値。 

3.1.5 

連続使用電圧(continuous operating voltage) 

避雷器の両端子間に連続して印加することのできる電圧。 

3.1.6 

過電圧(over-voltage) 

通常の運転状態における直流電圧の上限値を超える回路電圧。 

3.1.7 

放電(discharge) 

過電圧が避雷器端子間に加わったときに,避雷器内部を通して電流を流す作用。 

3.1.8 

放電電流(discharge current) 

避雷器が放電するときの通電電流。 

3.1.9 

続流(follow current) 

放電現象が実質的に終了した後,引き続き系統電源から供給されて避雷器に流れる電流。 

3.2 

試験一般 

3.2.1 

インパルス電圧(impulse voltage) 

図1に示す過渡的に短時間(通常µsからms程度)出現する電圧で,原点から急激に波高値に達し,そ

れ以後緩やかに降下する電圧。 

この規格ではインパルス電圧のうち,波高値に至るまでの時間(T1)が数µs程度のインパルス電圧を,

特に雷インパルス電圧という。 

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T1 規約波頭長  T2 規約波尾長 

O1 規約原点(30 %波高点Aと90 %波高点Bとを結ぶ直線が時間軸と交わる点) 

Q1及びQ2 半波高点  P 波高点  CF 波高値  CF/T1 規約波頭俊度 

図1−規約によるインパルス電圧の表示 

3.2.2 

インパルス電流(impulse current) 

図2に示す過渡的に短時間(通常µsからms程度)出現する電流。 

IEC 62475に従い図2に示す規約に従って表示する。この規格ではインパルス電流のうち,波高点に至

るまでの時間が数µs程度のインパルス電流を,特に雷インパルス電流という。 

  

O 原点  T1 規約波頭長  T2 規約波尾長 

O1 規約原点(10 %波高点Aと90 %波高点Bとを結ぶ直線が時間軸と交わる点) 

Q1及びQ2 半波高点  P 波高点  CF 波高値  CF/T1 規約波頭俊度 

図2−規約によるインパルス電流の表示 

3.2.3 

インパルス波形表示(expression of an impulse shape) 

極性,図1及び図2に示す規約波頭長T1 µs及び規約波尾長T2 µsを用いた次に示す記号表示。 

±T1/T2 µs 

注記 “±T1/T2”は,表示形式であって,“T1をT2で除す”の数学的意味ではない。正負の符合は,

電圧の極性を表す。 

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3.2.4 

標準雷インパルス電圧(standard lightning impulse voltage) 

雷インパルス電圧試験に用いる±1.2/50 µs波形の電圧。 

3.2.5 

標準雷インパルス電流(standard lightning impulse current) 

雷インパルス電流試験に用いる±4/10 µs及び±8/20 µs波形の電流。 

3.2.6 

方形波インパルス電流(rectangular impulse current) 

図3に示す脈動をもつ波形で出現する線路電荷放電電流。 

注a) 規約電流半波高値継続時間は,規約電流波高値継続時間の100 %〜120 %以内。 

b) 規約電流全継続時間は,規約電流波高値継続時間の150 %以下。 

c) 波高値(100 %)は,高周波振動の平均値。 

d) 波高値付近の高周波振動の振幅は,波高値の10 %以内。 

図3−方形波インパルス電流波形 

3.3 

避雷器特性及び試験法 

3.3.1 

漏れ電流(leakage current) 

避雷器に定格電圧及び連続使用電圧が加えられた状態で,絶えず流れる電流。 

3.3.2 

直流動作開始電圧(d.c. reference voltage) 

避雷器の電圧電流特性において,直流漏れ電流l mAに対する避雷器の端子間電圧。 

3.3.3 

制限電圧(residual voltage) 

避雷器の放電中,放電電流の波形及び波高値によって定まる避雷器端子間に発生する電圧(図4のea)。

制限電圧の規定値は波高値(図4のEa)で表示する。 

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e0 原電圧(避雷器が放電しない場合の端子間電圧) 
ea 端子間電圧 
Ea 制限電圧 
ia 

放電電流 

Ia 

放電電流波高値 

図4−制限電圧及び放電電流の例 

3.3.4 

雷サージ動作責務試験(lightning surge operating duty test) 

実系統における雷サージ電圧による動作状態を模擬して行う試験。規定電圧の電源に接続された避雷器

が,雷サージ過電圧によって放電し,規定の放電電流を流して雷サージ処理能力を検証した後,原状に復

帰できることを,単位動作責務を規定の回数反復して検証する。 

3.3.5 

開閉サージ動作責務試験(switching surge operating duty test) 

実系統における開閉サージ電圧による動作状態を模擬して行う試験。避雷器が開閉サージ電圧によって

放電し,規定の放電電流を規定の回数流して開閉サージ処理能力を検証した後,電源に接続されているこ

とを想定して,連続使用電圧を印加して問題ないことを,規定の単位動作責務を規定の回数反復して検証

する。 

3.3.6 

熱暴走(thermal runaway) 

規定の周囲温度及び電圧の下で,避雷器の熱発生が熱放散より大きくなって,漏れ電流が増加を続ける

現象。 

3.3.7 

熱安定性(thermal stability) 

避雷器が雷サージ,開閉サージ,直流過電圧などのストレスを受けた後も,熱暴走を生じないで使用に

耐える性能。 

3.3.8 

避雷器の耐電圧(insulating withstand voltage of an arrester housing) 

避雷器容器の絶縁が,一定時間耐える電圧。避雷器完成品の特性ではなく,酸化亜鉛素子を取り除いた

避雷器容器の耐電圧。 

使用条件 

4.1 

常軌使用条件 

次の各項を満足する使用条件を常軌使用条件とし,特に指定されない限り,避雷器は次の状態で使用す

る。 

a) 周囲温度は,−20 ℃〜40 ℃の範囲内。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 標高は,1 200 m以下。 

c) 避雷器が設置されている地点の最高系統電圧は,避雷器定格電圧以下で,継続的に印加される系統電

圧は,避雷器の連続使用電圧以下。 

4.2 

特殊使用条件 

次の使用条件を,検討が必要な特殊使用条件とし,これらの使用条件を適用する場合には,該当する項

目を指定しなければならない。 

a) 周囲温度が40 ℃を超え又は−20 ℃未満の場合。 

b) 標高が1 200 mを超える場合。 

c) 異常な振動,曲げ荷重,風圧荷重又は衝撃を受ける。 

d) 系統の対地電圧が,避雷器の定格電圧を超えて,異常に上昇する可能性がある。 

e) 保護される機器の絶縁強度の関係から,特別な性能が要求される。 

f) 

著しく塩風を受ける場合,又は著しく塩雪が付着する場合。 

g) 爆発性のガス,可燃性のガス,有害なばい煙などにさらされる。 

h) 過度の水蒸気にさらされる。 

i) 

過度のじんあい汚損がある。 

j) 

特に氷雪の多い場所で使用する。 

定格及び性能 

5.1 

定格 

避雷器の定格は,表1による。この規格で規定する避雷器の定格は,定格電圧,連続使用電圧,公称放

電電流,直流動作開始電圧,制限電圧,短絡性能及び耐電圧の7項目とする。 

なお,短絡性能は,7.4.7に規定する試験を表1に示す短絡電流及び通電パターンで実施して,5.2.7の性

能を満足しなければならない。 

表1−定格及び主要性能 

単位 V 

定格 

電車線の標準電圧 

関連する
細分箇条 

600 

750 

1 500 

定格電圧 

840 

1 050 

2 100又は2 300 

連続使用電圧 

720 

900 

1 800 

公称放電電流(波高値) 

(A) 

5 000 

直流動作開始電圧 

1 300以上 

2 600以上 

5.2.1 

制限電圧 
(波高値) 

放電電流(5 000 A) 

3 300以下 

5 000以下 

5.2.2 

放電電流(10 000 A) 

3 500以下 

5 500以下 

短絡性能 

短絡電流実効値a) 
(A) 

小電流 

500 

5.2.7 

中電流 

2 000 

大電流 

5 000 

通電パターン 

0.2 秒間通電−0.5秒間休止−0.2秒間通電 

耐電圧 

商用周波(実効値) 

8 000 

16 000 

5.2.8 

雷インパルス(波高値) 

23 000 

45 000 

注a) 7.4.7 b) の小電流試験,中電流試験及び大電流試験の短絡電流値を示す。 

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5.2 

性能 

5.2.1 

直流動作開始電圧 

直流動作開始電圧は,7.4.1の試験を行ったとき,表1の値以上とする。 

5.2.2 

制限電圧 

公称放電電流及び10 000 Aにおける制限電圧は,7.4.2の試験を行ったとき,表1の値以下とする。 

5.2.3 

雷サージ動作責務 

7.4.3の試験を行ったとき,毎回放電電流を流し,かつ,連続使用電圧を加えて漏れ電流を測定し,避雷

器が熱暴走しないことを確認する。さらに,試験後に測定した避雷器の公称放電電流における制限電圧の

変化は,初期値に対し±5 %とする。 

5.2.4 

開閉サージ動作責務 

7.4.4の試験を行ったとき,毎回放電電流を流し,かつ,連続使用電圧を加えて漏れ電流を測定し,避雷

器が熱暴走しないことを確認する。さらに,試験後に測定した避雷器の公称放電電流における制限電圧の

変化は,初期値に対し±5 %とする。 

5.2.5 

熱安定性評価 

熱安定性評価の性能は,次による。 

a) 7.4.5の試験を行ったとき,全試験を通じ素子が導通破壊及び外面フラッシオーバを起こしてはならな

い。 

b) インパルス電流通電時に測定した電圧波形に,異常があってはならない。 

c) 連続使用電圧を加えて漏れ電流を測定し,避雷器が熱暴走してはならない。 

d) 試験後に測定した避雷器の公称放電電流における制限電圧の変化は,初期値に対し±5 %とする。 

5.2.6 

振動及び衝撃性能 

7.4.6の試験を行ったとき,試験後に測定した直流動作開始電圧及び避雷器の公称放電電流における制限

電圧の変化は,初期値に対し±5 %とする。また,試験後,解体して内部の異常を調べ,破損などの異常

があってはならない。さらに,振動機能試験中に避雷器の機能に支障があってはならない。 

5.2.7 

短絡性能 

7.4.7の試験を行ったとき,各供試器の放圧装置が作動して,避雷器容器が破壊した場合でも,その破片

が,周辺に危害を及ぼすような破壊飛散をしてはならない。 

5.2.8 

耐電圧 

7.4.8の試験を行ったとき,フラッシオーバ又は破壊を生じてはならない。 

5.2.9 

その他の性能 

絶縁抵抗値,漏れ電流値,気密性能及び分流性能は,7.4.9 a)〜d) の試験を行い,その性能は,受渡当事

者間で協定する。 

構造 

避雷器の構造及び特性は,次による。 

a) 避雷器は,保護対象の回路に接続した状態で,長期にわたり熱暴走及び破壊を生じることなく,安定

した特性をもたなければならない。 

b) 避雷器の構造は,電気的・機械的に十分な耐久性をもち,保守が容易でなければならない。 

c) 避雷器は,気密及び防水構造としなければならない。 

d) 避雷器は,放圧構造にしなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 避雷器は,放圧装置がないと,短絡時の発熱による周辺気体の膨張で,がい管の内部圧力が

過大となって破壊する可能性がある。 

e) 避雷器は,短絡したとき不測の事態で,がい管が破壊することがあるので,機器箱へ避雷器を収納す

ることが望ましい。 

f) 

避雷器は,走行中のじんあいの付着によるがい管の汚損を防止するために,機器箱へ収納又は保護カ

バーを設けることが望ましい。 

避雷器の取付けは,短絡性能,汚損の影響などを考慮のうえ,機器箱への収納及びカバーの必要性につ

いて,受渡当事者間で協定する。 

試験 

7.1 

試験の種類 

試験の種類は,次の2種類とする。 

a) 形式試験 避雷器の保護性能,動作責務などの諸特性が,この規格を満足しているか否かを検証する

ための試験で,表2に示す形式試験項目を行う。形式試験は本来避雷器完成品で行うことが望ましい

が,試験設備の制約がある場合には,受渡当事者間の協定によって,酸化亜鉛素子だけで行ってもよ

い。 

b) 受渡試験 個々の避雷器の性能を検証するための試験をいい,表2に示す試験を行う。 

7.2 

試験項目 

試験項目は,表2に○印を付けたものを適用する。 

表2−試験項目 

試験項目 

形式試験 

受渡試験 

該当箇条又は細別 

直流動作開始電圧試験 

○ 

○ 

7.4.1 

制限電圧試験 

○ 

− 

7.4.2 

雷サージ動作責務試験 

○ 

− 

7.4.3 

開閉サージ動作責務試験 

○ 

− 

7.4.4 

熱安定性評価試験 

○ 

− 

7.4.5 

振動機能試験,振動耐久試験及び衝撃試験 

○ 

− 

7.4.6 

短絡試験 

○ 

− 

7.4.7 

耐電圧試験 

○ 

− 

7.4.8 

絶縁抵抗試験 

○ 

○ 

7.4.9 a) 

漏れ電流試験 

○ 

○ 

7.4.9 b) 

気密試験 

○ 

○ 

7.4.9 c) 

分流試験 

○ 

○ 

7.4.9 d) 

7.3 

試験条件 

7.3.1 

乾燥の状態 

試験場所の環境条件は,JIS Z 8703に規定する常温(5 ℃〜35 ℃),常湿(45 %〜85 %)とする。供試

器は,特に指定しない場合には,乾燥状態で試験する。 

7.3.2 

注水状態 

注水状態は,次による。 

a) 供試器の全面をぬらしてから注水する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 注水方法は,一定の水圧で噴水口から降雨状に噴射し,水滴はなるべく細かく一様で,注水角度は垂

直方向に対し約45゜とし,注水範囲は供試器を十分に包含できる広さとする。 

c) 注水量は,単位面積当たり毎分3 mmの降水量相当とする。 

d) 注水に用いる水の抵抗率は,50 Ω・m〜120 Ω・mとする。 

7.3.3 

標準雷インパルス波形の裕度 

標準雷インパルス波形の裕度は,次による。 

a) 標準雷インパルス電圧の波形は,波頭長に対しては±30 %とし,波尾長に対しては±20 %とする。 

b) 標準雷インパルス電流の波形は,波頭長に対しては±20 %とし,波尾長に対しては±10 %とする。 

7.3.4 

供試器 

熱安定性を評価する試験(雷サージ動作責務試験,開閉サージ動作責務試験,熱安定性評価試験)に使

用する供試器の動作開始電圧は,その供試器の定格電圧の下限値とするか,又は供試器動作開始電圧実測

値とその下限値との比率に相当する分,印加する連続使用電圧及び定格電圧を上げて試験を実施する。ま

た,酸化亜鉛素子を並列に接続した構成の避雷器の場合には,製造業者が管理できる分流割合の差が最も

大きい過酷側の条件の供試器とする。 

7.4 

試験方法 

7.4.1 

直流動作開始電圧試験 

直流動作開始電圧試験は,次による。 

a) 供試器 避雷器完成品とする。避雷器の各部は,十分に清浄な状態とする。 

b) 試験方法 乾燥状態の避雷器に直流電圧を加え,避雷器に流れる漏れ電流が1 mAとなる電圧を測定

する。 

7.4.2 

制限電圧試験 

制限電圧試験は,次による。 

a) 供試器 避雷器完成品とする。 

b) 試験方法 c) の雷インパルス電流を供試器に通電して制限電圧曲線を作成し,その曲線から避雷器の

公称放電電流及び10 000 Aにおける制限電圧を算出する。 

c) 電流値 表1に規定する公称放電電流の0.5倍,1倍及び2倍の目標電流値とする。 

d) 電流波形 正極性及び負極性の8/20 µsの標準雷インパルス電流波形とする。 

7.4.3 

雷サージ動作責務試験 

雷サージ動作責務試験は,次による。 

a) 供試器 避雷器完成品とする。 

b) 試験方法 図5に示す試験パターンで行う。図6に試験回路(例)を示す。 

なお,試験パターンの最初及び最後に公称放電電流における制限電圧を測定し,初期値と比較する。 

c) 電源電圧 直流電源電圧の極性は,電車線電圧の極性とする。供試器にその定格電圧及び連続使用電

圧を加えたとき,当該供試器端子間で測定した直流電圧が,供試器定格電圧及び連続使用電圧以下と

なってはならない。 

d) 雷インパルス電流 雷インパルス電流は,避雷器の公称放電電流とし,供試器定格電圧で同極性及び

逆極性の両方の条件で通電する。雷インパルス電流通電前及び通電後の約1秒間の電源電圧は,定格

電圧以上とする。 

なお,定格電圧は,約1分間隔で供試器に印加する。 

e) 連続使用電圧 雷インパルス電流を各5回通電した後,5分間以内に表1に示す連続使用電圧を30分

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

間加え,その間の漏れ電流を測定する。 

図5−雷サージ動作責務試験の試験パターン 

Ar 

供試器 

電源内部インダクタンスを含めた全インダクタンス 

IG 

雷インパルス電流発生器 

分離ギャップ 

VD 

分圧器 

Sh1,Sh2 分流器 

測定器 

図6−雷サージ動作責務試験回路(例) 

7.4.4 

開閉サージ動作責務試験 

開閉サージ動作責務試験は,次による。 

a) 供試器 避雷器完成品とする。 

b) 試験方法 図7に示す試験パターンで行う。図8に試験回路(例)を示す。 

なお,試験パターンの最初及び最後に公称放電電流における制限電圧を測定し,初期値と比較する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 回路条件 避雷器を除く試験回路の抵抗分は0.4 Ω以下とし,インダクタンスは20 mH以上とする。 

d) 電源電圧 直流電源電圧の極性は,電車線電圧の極性とする。供試器にその定格電圧及び連続使用電

圧を加えたとき,当該供試器端子間で測定した直流電圧が,供試器定格電圧及び連続使用電圧以下と

なってはならない。 

e) 開閉インパルス電流通電 開閉インパルス電流の発生は,供試品と並列に接続したヒューズを溶断し

て過電圧を発生させ,避雷器を放電させる。避雷器の放電電流値は,表3による。 

表3−開閉サージ動作責務試験の放電電流 

電車線の標準電圧 

放電電流 

600 

500 

750 

1 500 

1 000 

f) 

連続使用電圧課電 開閉インパルス電流を各3回通電した後,5分間以内に連続使用電圧を30分間加

え,その間の漏れ電流を測定する。開閉サージ動作責務試験の試験パターンを,図7に示す。 

図7−開閉サージ動作責務試験の試験パターン 

Ar 

供試器 

電源内部インダクタンスを含めた全インダクタンス(20 mH以上) 

ヒューズ(例 ファイバ筒入り銅線ヒューズ) 

投入器 

VD 

分圧器 

Sh1,Sh2 分流器 

測定器 

図8−開閉サージ動作責務試験回路(例) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.4.5 

熱安定性評価試験 

熱安定性評価試験は,次による。 

a) 供試器 c) の1) 及び2) の区分は,避雷器完成品又は酸化亜鉛素子単体とする。また,c) 3) の区分

は,避雷器完成品で行う。 

なお,一連のこの試験においては,同一の酸化亜鉛素子を使用する。 

b) 試験方法の区分 

図9に示す試験方法の各区分は,次による。 

1) 第1の区分 直流課電 

2) 第2の区分 雷インパルス大電流通電 

3) 第3の区分 方形波電流通電及び熱安定性検証 

c) 試験方法 

図9に示す各区分の試験方法は,次による。 

なお,試験パターンの最初及び最後に公称放電電流における制限電圧を測定し,初期値と比較する。 

1) 第1の区分 連続使用電圧課電試験は,恒温槽内に避雷器を入れて周囲温度を105 ℃±3 ℃とし,

連続使用電圧を180時間加える。 

2) 第2の区分 雷インパルス大電流通電試験は,1) の試験が終了後,供試品を冷却して,正極性又は

負極性の4/10 µsの雷インパルス大電流を2回通電する。時間間隔は5分間以内とし,放電電流波高

値は20 kAとする。 

3) 第3の区分 2) の試験が終了後,供試品を冷却後60 ℃±3 ℃に予熱し,表3に示す放電電流の1.2

倍以上で,規約電流半波高値継続時間が2 ms以上持続する正極性方形波インパルス電流を,2分間

以内の時間間隔で2回通電した後,0.1秒間以内に定格電圧以上の電圧を5秒間加え,引き続き連続

使用電圧を30分間加える。 

なお,試験に使用する直流電圧及び方形波インパルス電流発生回路は,次による。 

3.1) 直流電圧変動の許容範囲は,規定の直流電圧を下回ってはならない。 

3.2) 方形波インパルス電流発生試験回路は,多段のLCのはしご形回路を用いる。ただし,回路の抵抗

損失は極力小さくし,段数は5段以上とする。 

3.3) 方形波インパルス電流発生回路は,規約電流全継続時間の1倍以上,2倍以下の時間に供試器から

切り離してよい。 

図9−熱安定性評価試験の試験パターン 

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7.4.6 

振動機能試験,振動耐久試験及び衝撃試験 

振動機能試験,振動耐久試験及び衝撃試験は,次による。 

a) 供試器 避雷器完成品とする。 

b) 試験方法 JIS E 4031の区分1の等級A(車体に直接取付け)又は等級B(車体に取り付ける箱の中

に取付け)による。 

なお,振動機能試験は,振動試験中に避雷器の動作上の機能を確認する目的で,受渡当事者間で事

前に協定し実施する試験である。試験中に避雷器の電気的接続が確保されていれば,避雷器の動作上

の機能には何ら問題はない。このため,振動耐久試験によって発生する力が避雷器の酸化亜鉛素子な

どを固定しているばねの圧縮力を上回らないことが確認できれば,振動機能試験を省略することがで

きる。 

7.4.7 

短絡試験 

短絡試験は,次による。 

a) 供試器の状態 避雷器内部に電流を流すため,酸化亜鉛素子の全部をヒューズ線でバイパスする。こ

のヒューズ線は,酸化亜鉛素子の側面にできる限り密接して張る。 

なお,ヒューズ線は,通電時間に対して無視できる十分に短い時間(通電開始後,電気角30゜以下)

で溶断するものでなければならない。また,この試験は,商用周波電圧で素子を破壊後に行ってもよ

い。 

b) 試験方法 直流避雷器の短絡試験は,試験設備の制約がある場合には交流電源で実施してもよい。 

無負荷出力電圧が連続使用電圧になるように設定した電源を供試器に接続したときに,表1に示す

短絡電流(実効値)となるように設定した短絡試験用電源に,遮断器を介して車両への取付状態を考

慮して取り付けた供試器を接続する。 

小電流試験用,中電流試験用及び大電流試験用の3種類の短絡電流値に設定した短絡試験回路で,

図10に示す短絡試験の通電パターンに従って,小電流試験用,中電流試験用及び大電流試験用の各電

流試験用の供試器に通電する。 

なお,試験設備の制約から,連続使用電圧で試験を行うことができない場合には,電圧を低減して

試験を行ってもよい。この場合,供試器に通電する短絡電流の対称分実効値は,表1の短絡電流と同

等以上とし,かつ,第1波波高値は対称分実効値の2.5倍以上とする。 

短絡試験を,直流電源によって連続使用電圧を低減して試験を行う場合には,短絡電流値が表1の

短絡電流を下回ってはならない。 

図10−短絡試験の通電パターン 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.4.8 

耐電圧試験 

耐電圧試験は,次による。 

a) 商用周波耐電圧試験 

1) 供試器 酸化亜鉛素子を取り除いた避雷器容器。 

2) 状態 7.3.1に示す乾燥,及び7.3.2に示す注水の状態とする。 

3) 試験電圧 表1の避雷器の耐電圧値とする。 

4) 加圧時間 乾燥は,1分間とし,注水は,10秒間とする。 

b) 雷インパルス耐電圧試験 

1) 供試器 a) 1) と同様とする。 

2) 状態 a) 2) と同様とする。 

3) 試験電圧 正負両極性の標準波形1.2/50 µsの雷インパルス電圧で,波高値は,表1による。 

4) 試験回数 正負各3回とする。 

なお,この試験は,絶縁部の商用周波電圧及び雷インパルス電圧に対する絶縁耐力を検証する。注水状

態での耐電圧試験は,雨水などにさらされない取付状態での使用に限定した避雷器には省略できる。 

7.4.9 

その他の試験 

その他の試験は,次による。 

a) 絶縁抵抗試験 

1) 供試器 避雷器完成品とする。避雷器の各部は,十分に清浄な状態とする。 

2) 試験方法 表4に示す絶縁抵抗計で測定する。 

なお,酸化亜鉛形避雷器では,素子に絶縁抵抗計の発生電圧が直接加えられるので,絶縁抵抗の

測定では,絶縁抵抗計から加えられる電圧を,直流動作開始電圧より十分低くとる必要があるため,

それぞれ500 V又は1 000 Vの絶縁抵抗計を使用する。 

表4−絶縁抵抗試験測定器 

単位 V 

電車線の標準電圧 

絶縁抵抗計 

600 

直流500 V形 

750 

1 500 

直流1 000 V形 

b) 漏れ電流試験 

1) 供試器 避雷器完成品とする。避雷器の各部は,十分に清浄な状態とする。 

2) 試験方法 避雷器に,表1の定格電圧及び連続使用電圧に相当する直流電圧を加え,漏れ電流を測

定する。 

c) 気密試験 

1) 供試器 避雷器完成品とする。気密性能に影響しない部品は取り外してもよい。 

2) 試験方法 製造業者の推奨する試験方法によって,気密性能を確認する。 

d) 分流試験 

1) 供試器 避雷器完成品又は酸化亜鉛素子単体とする。 

2) 試験方法 酸化亜鉛素子を並列接続した避雷器の保護特性を決める公称放電電流及び開閉サージ

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E 5003:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(方形波)電流の分流する割合が,規定の性能を得る範囲にあることを確認する。 

なお,分流割合及び試験電流は,製造業者の推奨する値とする。 

表示 

避雷器には,図面に指定した位置に,次の項目を明記した銘板を取り付ける。 

a) 形式記号及び名称 

b) 定格電圧 

c) 製造番号 

d) 製造年 

e) 製造業者名又はその略号 

f) 

質量 

提出資料 

製造業者は,受渡当事者間の協定に従って,取扱説明書及び試験検査成績表を提出する。 

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取付け 

避雷器は,振動,短絡,じんあい汚損,避雷器の耐電圧などの要求性能を考慮して,車両に取り付けな

ければならない。例えば,取付金具,ボルトの強度,避雷器の接続線の電流容量などに配慮する。 

参考文献 IEC 60077-1,Railway applications−Electric equipment for rolling stock−Part 1: General service 

conditions and general rules 

IEC 60099-4,Surge arresters−Part 4: Metal-oxide surge arresters without gaps for a.c. systems 

IEC 61373,Railway applications−Rolling stock equipment−Shock and vibration tests 

IEC/TS 60815-3,Selection and dimensioning of high-voltage insulators intended for use in polluted 

conditions−Part 3: Polymer insulators for a.c. systems 

電気学会 電気規格調査会標準規格 JEC-2371 がいし形避雷器 

電気学会 電気規格調査会テクニカルレポート JEC-TR-23002 ポリマー形避雷器