2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
E 4024-1994
鉄道車両−換気性能試験方法
Railway rolling stock−Test methods of ventilation
1. 適用範囲 この規格は,強制的に換気を行う装置をもつ鉄道車両の換気性能を評価する試験方法につ
いて規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 8330 送風機の試験及び検査方法
JIS B 9921 光散乱式自動粒子計数器
JIS C 1102 指示電気計器
JIS D 1622 自動車の換気性能試験方法
JIS E 4001 鉄道車両用語
JIS K 0151 赤外線ガス分析計
JIS M 7602 干渉計形精密可燃性ガス検定器
JIS T 8202 携帯用熱式風速計
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS D 1622の2.(用語の意味)及びJIS E 4001に
よるほか,次による。
(1) 換気装置 客室内の換気を強制的に行う換気扇。
(2) 換気量 客室内の空気を,外気と入れ換えたときの1時間当たりの空気量。
(3) 換気回数 客室内の換気の度合いを示す指数で,換気量を客室の内容積で除した数。
3. 測定項目 換気性能に関する測定項目は,次のとおりとする。
(1) 換気量
(2) 換気回数
4. 測定条件 測定条件は,車両の空車状態で表1による。その他の条件については,受渡当事者間の協
定による。
表1 測定条件
区分
場所
負荷条件
機器の運転状態
窓
戸
通風器
冷房及び暖房装置
扇風機又は還流ファン
定置 屋内(1)
閉
閉
開
切り状態(2)
切り状態
走行 営業本線
注(1) 風及び車両以外の機器などによる影響を受けない場所とする。
(2) 換気能力をもつ装置は,“入り状態”とする。
2
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5. 換気量測定試験
5.1
一般 換気量測定試験は,5.2〜5.4のいずれかによる。
5.2
炭酸ガス濃度又は粉じん濃度による測定方法 炭酸ガス濃度又は粉じん濃度による測定方法は,次
による。
(1) 計測器
(a) 炭酸ガス(以下,CO2とする。)濃度分析計は,JIS K 0151又はJIS M 7602に規定するものを用い
る。
(b) 粉じん濃度分析計は,JIS B 9921に規定するものを用いる。
(2) 測定手順
(a) 測定部位は,車両の長手中心線上で両端部及び中央の3か所(前後対称の車両は,片側端部及び中
央の2か所)とし,高さは床上面1.2mとする。
図1に3扉車,4扉車及び出入台付車の測定箇所の例を示す。
図1 測定箇所例
備考 “○”は,測定点を示す。
(b) 計器は,測定開始前に製造者が指定する方法によって,校正する。
(c) 客室内のCO2濃度又は粉じん濃度の分布が均一になるように,かくはん(撹拌)する。
(d) ガスなどの発生を停止し,4.の測定条件で測定を実施し,CO2濃度又は粉じん濃度の変化を記録す
る。
(e) 車外の風速(走行時は車速),温度及び湿度を記録する。
(3) CO2濃度又は粉じん濃度による換気量の算出方法 濃度による換気量は,式(1)によって求め,小数点
3
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以下はJIS Z 8401によって整数に丸める。
i
t
i
o
C
C
C
C
t
V
Q
−
−
=
10
log
303
.2
···························································· (1)
ここに,
Q: 換気量 (m3/h)
V: 客室内容積 (m3) (3)
t: 測定開始から終了までに経過した時間 (h)
Co: 測定開始時間における客室内のCO2濃度(%)又は粉じん濃
度(個/m3)の平均値
Ct: t時間後における客室内のCO2濃度(%)又は粉じん濃度(個
/m3)の平均値
Ci: 換気空気内のCO2濃度(%)又は粉じん濃度(個/m3)の平均
値
注(3) 客室断面積×客室長さとし,出入台を換気している場合は,その容積を加える。
(4) 換気回数の算出方法 換気回数の算出は,式(2)によって求める。
V
Q
N=
···················································································· (2)
ここに,
N: 換気回数(回/h)
Q: 換気量 (m3/h)
V: 客室内容積 (m3)
5.3
風速による測定方法 風速による測定方法は,次による。
(1) 計測器 計測器は,JIS T 8202に規定するものを用いる。
(2) 測定手順
(a) 測定は,換気装置又は車両換気取入口に図2に示す測定用ダクトを設置し,すきまを目張りし風速
を測定する。図2に測定用ダクトの形状寸法を示す。
測定位置は,測定用ダクトの断面積を等面積となるように16以上に分けた長方形の各々の中心点
とする。測定点の数は,等分した長方形の辺の長さ(a及びb)が,0.15m以下となるように決める。
ただし,64以上に区分する必要はない。ダクトの長さ (l) は,JIS B 8330の4.3(接続管)に規定
する長さによる。
図2 測定用ダクトの形状寸法
備考 “○”は,測定点を示す。
(b) 風速は,4.の測定条件で図2の測定用ダクト内を通過する風速を測定する。ダクト内の風速は,ば
らつきがない状態で測定する。
(c) 温度及び湿度を記録する。
(3) 風速による換気量の算出方法 風速による換気量は,式(3)によって求め,小数点以下は,JIS Z 8401
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
によって整数に丸める。
Q=3 600A・ν ·············································································· (3)
ここに,
Q: 換気量 (m3/h)
A: 測定用ダクト断面積 (m2)
ν: 測定用ダクト内平均風速 (m/s)
(4) 換気回数の算出方法 換気回数の算出は,5.2(4)の式(2)による。
5.4
換気装置の消費電力による算出方法 換気装置の消費電力による算出は,次による。
(1) 計測器 計測器は,JIS C 1102に規定する0.5級のものを用いる。
(2) 測定手順
(a) 換気装置の消費電力が安定した状態で,消費電力を測定する。
(b) 電流及び電圧を測定する。
(c) 吸込み空気の温度及び湿度を,測定する。
(3) 換気装置の消費電力による換気量の求め方 消費電力は,式(4)によってJIS B 8330に示す標準吸込状
態の空気を使用したときの消費電力に換算した後,換気装置の送風機試験成績書の“風量−消費電力
特性表”によって求める。
W
Ws
×
=
1
ρ
ρ
············································································· (4)
ここに,
Ws: 標準吸込状態の空気を使用したときの消費電力 (kW)
W: 消費電力 (kW)
ρ: 標準吸込状態の空気密度 (kg/m3)。ただし,1.20とする。
ρ1: 測定時の吸込空気密度 (kg/m3)
(4) 換気回数の算出方法 換気回数の算出は,5.2の式(2)による。
6. 記録方法 測定結果は,付表1〜4に示すような様式で記録する。
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付表1 換気性能試験成績表(例)
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付表2 換気性能試験成績表(例)
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付表3 換気性能試験成績表(例)
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付表4 換気性能試験成績表(例)
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鉄道車両−換気性能試験方法JIS原案審議委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
橋 爪 進
東日本旅客鉄道株式会社運輸車両部
山 村 修 蔵
工業技術院標準部
加 藤 雄 二
運輸省鉄道局
佐 藤 成 正
運輸省鉄道局
阿久津 勝 則
財団法人鉄道総合技術研究所
鳥 居 昭 彦
東海旅客鉄道株式会社新幹線鉄道事業本部
吉 村 慎一朗
西日本旅客鉄道株式会社車両部
黒 田 武 定
社団法人日本民営鉄道協会技術部
○ 吉 田 修 平
東武鉄道株式会社鉄道事業本部
前 田 一 郎
近畿日本鉄道株式会社技術室
○ 松 本 一 憲
株式会社日立製作所笠戸工場
○ 明 永 清次郎
日本車輌製造株式会社試験研究室
○ 大 西 登喜夫
川崎重工業株式会社車両事業本部
○ 北 林 陽 蔵
近畿車輌株式会社車両事業本部
○ 中 村 真 一
株式会社新潟鉄工所交通システム事業部
(主査)
○ 前 波 友 生
株式会社東芝富士工場
(事務局)
太 田 治
社団法人日本鉄道車輌工業会技術部
備考 ○印は,小委員会委員を示す。