2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
E 4016-1992
鉄道車両の照度−基準及び測定方法
Illuminance for railway rolling stock−Recommended
levels and measuring methods
1. 適用範囲 この規格は,鉄道車両において,人工照明によって乗客・乗務員などの良好な車内環境及
び安全を確保するために必要な照度の基準並びにその測定方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 1609 照度計
JIS C 7612 照度測定方法
JIS E 4001 鉄道車両用語
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS E 4001による。
3. 所要照度 所要照度は,人工照明を設備する場所の分類に対応して,付表1による。
なお,付表1の照度に対する一般条件は,次による。
(1) 付表1に示す照度は,常時維持照度とする。したがって,設計に当たっては,保守率(1)を考慮して計
画する。
注(1) 照明設備を,ある期間使用した後の平均照度と初期照度との比。
(2) 局部照明がある場合の全般照明の照度は,特に要求がない限り,局部照明を点灯した状態での値とす
る。
(3) 局部照明の照度は,特に要求がない限り,全般照明を点灯した状態での値とする。
(4) 局部照明で測定箇所が1点の場合は,少なくとも付表1の値以上であること。
4. 照度測定方法
4.1
一般条件 照度測定方法の一般条件は,次による。
(1) 照度測定は,JIS C 1609に規定する照度計を用いて行う。
(2) 測定者の位置及び服装が,測定に影響を与えないように注意する。
(3) 車内温度,照明電源の電源電圧及び周波数を測定し,記録する。
(4) 列車編成は,指定された(2)編成状態とする。
注(2) 受渡当事者間で定めた事項。
(5) ランプ及び灯具は,新品で,かつ,清浄なものとする。
(6) 窓,戸及び点検ふた類は,閉じた状態とする。
(7) 照度測定に影響する機器は,停止状態とする。
2
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(8) 遮光装置は,格納状態とする。
(9) 広告類は,取り付けない。
(10) 測定場所は,室内に車外からの照明が入らない場所とする。ただし,暗照度の測定については,受渡
当事者間で取り決める。
(11) 照明器具は,JIS C 7612に規定する照度測定方法で測定し,特性が安定するまで点灯を行う。
4.2
全般照明の照度測定方法 全般照明の照度の測定方法は,次によって行い,求める照度は,測定値
の算術平均で表す。
(1) 客室 客室は,腰掛の配列によって,縦形腰掛の客室,縦−横形腰掛の客室及び横形腰掛の客室に分
類し,これらの照度の測定は,次による。ただし,測定点について,愛渡当事者間に協定がある場合
は,それによる。
(a) 縦形腰掛の客室の測定点は,客室の車長方向の中心線及び腰掛前端の線と,車幅方向の車端部では
腰掛の中央,中央部では腰掛幅の41の線及び側入口の中心線との交点。
測定点の例を,図1に示す。
図1 縦形腰掛の客室の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(b) 縦−横形腰掛の客室の測定点は,客室の車長方向の中心線及び横形腰掛の中心線と,車幅方向の横
形向合せ腰掛の中心線,縦形腰掛の中央及び側入口の中心線との交点。
測定点の例を,図2に示す。
図2 縦−横形腰掛の客室の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(c) 横形腰掛の客室の測定点は,客室の車長方向の中心線及び横形腰掛の中心線と,車幅方向の向合せ
腰掛の中心線及び側入口の中心線との交点。
測定点の例を,図3に示す。
3
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図3 横形腰掛の客室の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(d) 測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
(2) 区分室(寝室を含む。)の測定方法 区分室(寝室を含む。)の測定方法は,次による。
(a) 室の仕切り間の長さが,2 000mm未満の場合の測定点は,車長方向及び車幅方向の中心線の交点。
(b) 室の仕切り間の長さが,2 000mm以上の場合の測定点は,車長方向には650mm以上で1 000mmを
超えない範囲でn等分した (n−1) 本の線と,車幅方向に3等分した2線との交点。
(c) 測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
(d) 高さ1 500mm以上の室内設備品などは,仕切りとみなす。
(e) ランプ又は電球の直光が遮られる空間がある場合は,その遮られた空間の中央を測定点として追加
する。
測定点の例を,図4〜8に示す。
図4 区分室の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
4
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図5 区分室の測定点
k
E
n
E
∑
−
=
1
1
ここに,
E: 照度 (lx)
ΣEk: 測定値の合計 (lx)
備考 “●E1”〜“●E(n−1)”は測定点を示す。
図6 区分室の測定点
2
2
1E
E
E
+
=
ここに, E, E1, E2: 照度 (lx)
備考 “●E1”,“●E2”は,測定点を示す。
5
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図7 区分室の測定点
(
)
k
E
n
E
∑
−
=
1
2
1
ここに,
E: 照度 (lx)
ΣEk: 測定値の合計 (lx)
備考 “●E1”〜“●E(n−1)+(n−1)”は測定点を示す。
図8 区分室の測定点
3
3
2
1
E
E
E
E
+
+
=
ここに, E, E1, E2, E3: 測定値 (lx)
備考 “●E1”〜“●E3”は,測定点を示す。
6
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(3) 食堂の測定方法 食堂の測定方法は,次による。
(a) 食卓上の測定点は,食卓と対向するいすの中心線と,食卓奥行きの中心線との交点。
(b) 通路の測定点は,通路幅の中心線と,食卓奥行きの中心線との交点及びその中間点。
(c) 食卓と食卓の間(いすがある位置)の測定点は,食卓幅の21の線上で食卓と食卓の中間点。
(d) 食堂の測定値は,(a),(b)及び(c)の平均値とし,食卓上の測定値は,(a)だけとする。
(e) 特に指定がない限り,測定点の高さは,いずれも食卓面で水平面。
測定点の例を,図9に示す。
図9 食堂の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(4) ビュフェ及び売店の測定方法 ビュフェ及び売店の測定方法は,次による。
(a) テーブル又はカウンタの測定点は,テーブル又はカウンタの奥行きの中心線と,長手方向には2
000mmを超えない範囲で等間隔の位置。測定点の高さは,テーブル又はカウンタの上面の水平面。
(b) 作業を行うテーブル,流しなどの測定点は,これらの平面中心で上面の水平面。
(c) 床面部分の測定点は,床面幅の中心線と,長手方向には1 500mmを超えない範囲でn等分した (n
−1) 本の線との交点。測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
(5) 料理室の測定方法 料理室の測定方法は,次による。
(a) 作業を行うテーブル,カウンタ,流しなどの測定点は,これらの平面中心で上面の水平面。
(b) 作業スペースの測定点は,作業スペース幅の中心線と,長手方向には1 500mmを超えない範囲でn
等分した (n−1) 本の線との交点。測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
(6) 便所の測定方法 便所の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,便器の端面中心。
(b) 測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
測定点の例を,図10に示す。
7
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図10 便所の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(7) 化粧室・洗面所の測定方法 化粧室・洗面所の測定方法は,次による。
(a) 測定点は室又は区画の幅の21の線と,化粧台又は洗面器端面との交点。
(b) 測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
測定点の例を,図11に示す。
なお,鏡の前の測定点は,図12による。
8
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図11 化粧室・洗面所の測定点
図12 鏡の前の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(8) 荷物室の測定方法 荷物室の測定方法は,次による。
(a) 室の仕切りの長さが,2 000mm未満の場合は,車長方向及び車幅方向の中心線の交点。
(b) 室の仕切りの長さが,2 000mm以上の場合は,車長方向に2 000mmを超えない範囲でn等分した (n
−1) 本の線と,車幅方向に3等分した2線との交点。
(c) 測定点の高さは,床面上の水平面。
測定点の例を,図13に示す。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図13 荷物室の測定点
(
)
k
E
n
E
∑
−
=
1
2
1
ここに,
E: 照度 (lx)
ΣEk: 測定値の合計 (lx)
備考 “●E1”〜“●E(n−1)+(n−1)”は,測定点を示す。
(9) 荷物保管室及び物置の測定方法 荷物保管室及び物置の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,室の中央(棚等を除く)。
(b) 測定点の高さは,床面上の水平面。
測定点の例を,図14に示す。
図14 荷物保管室及び物置の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(10) 乗務員室の測定方法 乗務員室の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,室の中央。
(b) 測定点の高さは,床面から850mmの水平面。ただし,机は,その上面の水平面。
測定点の例を,図15及び図20に示す。
10
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図15 乗務員室の測定点
備考 “●E1”及び“●E2”は,測定点を示す。
(11) 運転室の測定方法 運転室の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,座席の中心線と,車幅方向に4等分した3線との交点。ただし,半運転室の場合は座席
中心。ただし,座席が前後左右に動く場合は,その中央を中心線とする。
(b) 測定点の高さは,床面から850mmの水平面。
測定点の例を,図16に示す。
図16 運転室の測定点
3
3
2
1
E
E
E
E
+
+
=
ここに, E, E1, E2, E3: 照度 (lx)
備考 “●E1”〜“●E3”は,測定点を示す。
(12) 廊下の測定方法 廊下の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,廊下の中心線と,長手方向に2 000mmを超えない範囲でn等分した (n−1) 本の線との
交点。
(b) 測定点の高さは,床面上の水平面。
測定点の例を,図17に示す。
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図17 廊下の測定点
k
E
n
E
∑
−
=
1
1
ここに,
E: 照度 (lx)
ΣEk: 測定値の合計 (lx)
備考 “●E1”〜“●E(n−1)”は,測定点を示す。
(13) 階段部の測定方法 階段部の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,階段中心線上で,最上段ステップ,中間ステップ及び最下段ステップ。
(b) 測定点の高さは,階段上面の水平面。
測定点の例を,図18に示す。
図18 階段部の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
(14) 出入台の測定方法 出入台の測定方法は,次による。
(a) 測定点は,出入台中心線と,車幅方向に3等分した4線(両端を含む)との交点。
(b) 測定点の高さは,床面上の水平面。
測定点の例を,図19に示す。
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図19 出入台の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
4.3
局部照明の照度測定方法 局部照明の照度の測定方法は,その照度が問題となる場所の1点に着目
して行う。ただし,ある程度の面積を考える必要がある場合は,適切な数点を選定して測定を行い,その
算術平均で表してもよい。
局部照明の測定点の例を図20及び図21に示す。
図20 机上の測定点
備考 “●”は,測定点を示す。
図21 寝台まくら(枕)元の測定点
備考1. ○は,灯具を,“●→”は,測定点及び照度計の
向きを示す。
2. 測定点は,長手方向の寝台中心とする。
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付表1 所要照度及び照度測定方法
照明場所
照度
lx
測定方法
備考
客室
200
4.2(1)
図1, 2, 3
区分室
150
4.2(2)
図4〜8
寝台のまくら元
200
4.3
図21
休憩室
照度測定方法は,受渡当事者間の協定
による。
展望室
食堂
200
4.2(3)
図9
食卓上
250
4.2(3)
図9
ビュフェ
200
4.2(4)
−
売店
200
4.2(4)
−
料理室
150
4.2(5)
−
便所
100
4.2(6)
図10
化粧室・洗面所
100
4.2(7)
図11
鏡の前
200
4.2(7)
図12
荷物室
50
4.2(8)
図13
荷物保管室
50
4.2(9)
図14
物置
50
4.2(9)
図14
乗務員室
100
4.2(10)
図15
机上
250
4.3
図20
運転室
100
4.2(11)
図16
廊下
50
4.2(12)
図17
階段部
50
4.2(13)
図18
出入台
50
4.2(14)
図19
備考 客室の照度は,受渡当事者間で協定がある場合は,そ
れによる。
14
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鉄道車両の照度−基準及び測定方法JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
荒 金 孝 延
小糸工業株式会社品質管理部
(委員)
伊 東 厚
工業技術院標準部
中 森 修
運輸省地域交通局
矢 作 伸 一
運輸省地域交通局
関 口 満 一
運輸省大臣官房国有鉄道改革推進部
○ 佐 藤 裕
東日本旅客鉄道株式会社運輸車両部
金 森 敏 春
東海旅客鉄道株式会社技術本部
南 忠 和
西日本旅客鉄道株式会社鉄道本部
天 沼 正 雄
社団法人日本民営鉄道協会
○ 望 月 一 正
京成電鉄株式会社
板 野 邦 春
山陽電気鉄道株式会社
○ 福 田 隆 男
富士重工業株式会社宇都宮車両工場
○ 木 村 謙 治
株式会社日立製作所笠戸工場
○ 東 敏 治
川崎重工業株式会社車両事業本部
○ 和 田 一 彦
近畿車輌株式会社車両事業本部
○ 宮 浦 英 俊
株式会社新潟鉄工所交通システム事業部
○ 石 榑 清 孝
日本車輌製造株式会社鉄道車両本部
○ 沢 田 延 行
東急車輌製造株式会社車両工場
中 尾 一 行
森尾電機株式会社鉄道事業部
○ 田 中 一
株式会社新陽社製造本部製品開発室
(事務局)
浅 田 時 則
社団法人日本鉄道車輌工業会
太 田 治
社団法人日本鉄道車輌工業会
備考 ○印は,小委員会委員