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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

E 4011-1989 

鉄道車両の質量測定方法 

Measuring Methods for Mass of Railway Rolling Stock 

1. 適用範囲 この規格は,計量軌道上における鉄道車両(以下,車両という。)の質量,輪重及び軸重の

測定方法について規定する。 

備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参

考として併記したものである。 

引用規格: 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。 

(1) 車両の質量 運転整備質量・空車質量の総称。 

(2) 運転整備質量 車両が運転整備状態のときの質量。 

(3) 空車質量 車両が空車状態のときの質量。 

(4) 運転整備状態 乗務員が乗務し,水,油,砂,工具類など運転上必要な器具物資を積載し,運転が可

能に整備された車両の状態。ただし,乗客,季節によって着脱する部品及び緊急時に搭載する器具備

品は,含まない。 

(5) 空車状態 乗客,乗務員及び荷物を積載せず,水,油,砂,工具類など運転上必要な器具物資を含ま

ない車両の状態。ただし,けん引されるときに必要な物資は含む。 

(6) 輪重 車両が水平な直線軌道上に静止したとき,軌道に及ぼす各車輪ごとの垂直方向の分担荷重。 

(7) 軸重 1軸における左右輪重の和。 

(8) 計量軌道 レール又はレールに相当する車輪受で車輪を支持して,車両の質量,輪重及び軸重を測定

できるようにした構造部。 

3. 測定項目 測定項目は,車両の種類によって表のとおりとする。 

表 測定項目 

車両の種類 

測定項目 

機関車 

輪重,軸重及び運転整備質量。ただし,必要によって空車質量。 

旅客車 

空車質量。ただし,必要によって運転整備質量,輪重及び軸重。 

貨物車 

空車質量。ただし,必要によって輪重及び軸重。 

4. 測定条件 

4.1 

一般条件 測定の一般条件は,次のとおりとする。 

(1) 測定を行う場所は,測定に支障を及ぼすような通風,暑熱,寒冷,振動などがあってはならない。 

E 4011-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 測定は,輪重が変化しないと認められる状態で行う。 

4.2 

車両の条件 車両の条件は,次のとおりとする。 

(1) 車両は,運転整備状態又は空車状態とする。 

(2) 車両は,測定前にならし運転などを行い,各可動部に拘束がない状態で摩擦部,たわみ部などを調整

し,正常な状態とする。 

4.3 

計量軌道の条件 計量軌道の条件は,次のとおりとする。 

(1) 計量軌道は,直線で水平な面をなすものとする。 

(2) 計量軌道の車輪と接する部分の形状及び寸法は,正常なものとする。 

(3) 計量軌道は,車両の搬入に際し,測定に有害な沈下などがないよう十分な剛性をもつものとする。 

(4) 計量軌道は,その中心を測定しようとする車両の輪軸中心に合わせ,測定上有害な偏りがないものと

する。 

(5) 計量軌道には,その延長上の両側又は片側に,車両を正常な状態に調整するための直線軌道(1)を設け

る。 

注(1) 直線軌道は,レールの長さ方向の高低差は,1mについて1mm以下,10mについて3mm以下と

し,左右のレールの高低差は,長さ方向の同一測定点において1mm以下とする。 

5. 測定装置 

5.1 

測定器の種類 測定器(2)は,原則として次の3種類のいずれかを用いる。 

(1) 衡かん式 

(2) 電気式 

(3) 油圧式 

注(2) 測定装置に含まれる荷重変換器及び指示計器。 

5.2 

測定装置の構造 測定装置の構造は,次のとおりとする。 

(1) 測定装置は,全車輪を同一高さで垂直に支持できるものとし,所要の質量,輪重及び軸重が測定でき

る容量のものとする。 

(2) 測定装置は,所要の質量が同時に,又は輪重に変化がないと認められる状態で測定できる構造のもの

とする。 

(3) 測定器は,単体又は組み立てられた状態で精度を校正できる構造とする。 

(4) 測定器は,測定に支障を及ぼすようなひずみ,摩擦などがない構造とする。 

(5) 測定器の最小目盛は,原則として0.5kN {0.05tf} 以下とする。 

5.3 

測定装置の正確度 測定装置は,原則として年1回検査を行い,検査時の正確度は,最大目盛値に

対して±0.5%以内とする。 

6. 測定方法 

6.1 

計量軌道上の車両の状態 車両を計量軌道に静かに進入させた後,ブレーキ力など測定に支障を及

ぼすような力を与えない状態とする。ただし,転動などによる危険を防止する処置は行ってもよい。 

6.2 

質量の求め方 質量の求め方は,次のとおりとする。 

(1) 輪重 輪重は,原則として車両の各軸の両輪を同時に計量軌道上に配置し,輪重に変化がないと認め

られる方法によって測定し,その値を求める。ただし,2軸貨物車の輪重測定は,車輪踏面持上げ法

によって4回測定し,各位の平均輪重及び対角輪重比を算出する。 

E 4011-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 輪重は,その場所の重力加速度によって変化するので,標準重力加速度9.806 65m/s2を用いて

計算する。 

(2) 軸重 軸重は,(1)によって求めた左右輪重の和とする。 

(3) 運転整備質量及び空車質量 運転整備質量及び空車質量は,(1)又は(2)によって求めた各輪重又は各軸

重の総和から求める。 

(4) 測定値の取り方 測定値の取り方は,次のとおりとする。 

(a) 指示計器の読取りは,最小0.1kN {0.01tf} とする。 

(b) 測定回数は,2回以上とし,測定値は,その算術平均値をJIS Z 8401(数値の丸め方)によって小

数点以下2けたに丸めるものとする。 

6.3 

測定の操作 測定の操作は,次のとおりとする。 

(1) 衡かん式測定器による場合 衡かん式測定器によって測定する場合は,測定装置の構造によって,次

のいずれかによる。 

(1.1) 車輪の荷重を計量軌道のレールに直接受けて測定する場合の操作は,次のとおりとする。 

(a) 測定車両の各車輪が計量軌道に正常に乗り,各部に競合いなどがないことを確かめる。 

(b) すべての指示が安定した後,測定値を読み取る。 

(1.2) 計量軌道のレールに対し,車輪を押し上げて測定する場合の操作は,次のとおりとする。 

(a) 測定器の中心線は,車両の前後方向に対しては,車輪の中心線上になるように,また,左右方向に

対しては,車輪受の先端と車輪外側との距離が,左右の車輪で等しくなるように位置を決める。 

(b) 車輪受の先端を車輪に接触させるとともに,測定器の水平及び垂直を附属装置で調整する。 

(c) 車輪とレールとの間にすきまができるように車輪を押し上げる。この際,各車輪踏面が計量軌道に

対して同一すきまになるようにする。 

(d) 各部に競合いなどがないことを確かめる。 

(e) すべての指示が安定した後,測定値を読み取る。 

(2) 電気式測定器による場合 電気式測定器によって測定する場合の操作は,次のとおりとする。 

(a) 測定する前に測定装置の動作を確かめ,指示装置の零点を調整する。 

(b) 測定車両の各車輪が計量軌道に正常に乗り,各部に競合いなどがないことを確かめる。 

(c) すべての指示が安定した後,測定値を読み取る。 

(3) 油圧式測定器による場合 油圧式測定器によって測定する場合の操作は,次のとおりとする。 

(a) 測定器の中心線は,車両の前後方向に対しては,車輪の中心線上になるように,また,左右方向に

対しては,車輪受の支持点と車輪外側との距離が,左右の車輪で等しくなるように位置を決める。 

(b) 車輪受の先端を車輪に接触させるとともに,測定器の水平及び垂直を附属装置で調整する。 

(c) 車輪とレールとの間にすきまができるように車輪を押し上げる。この際,各車輪踏面が計量軌道に

対して同一すきまになるようにする。 

(d) 各部に競合いなどがないことを確かめる。 

(e) すべての指示が安定した後,測定値を読み取る。 

7. 記録表の作成 所要の車両の質量,輪重及び軸重を測定したときは,車両の形式及び番号,測定者名,

測定年月日,測定器の種類,測定値並びにその他必要事項を記録する。 

E 4011-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS E 4011改正原案作成委員会 構成表 

(順不同) 

氏名 

所属 

(委員長) 

福 田 信 毅 

日本国有鉄道車両設計事務所 

黒 河 亀千代 

工業技術院標準部機械規格課 

石 井 清 之 

運輸省地域交通局陸上技術安全部保安・車両課 

大 橋 達 雄 

運輸省地域交通局陸上技術安全部保安・車両課 

岩 崎 正 志 

運輸省大臣官房国有鉄道部保安課 

岩見谷 与志雄 

日本国有鉄道技術開発室 

山 口 重 吉 

日本国有鉄道鉄道技術研究所 

小 林 善一郎 

社団法人日本民営鉄道協会 

二 宮 昭 雄 

小田急電鉄株式会社車両部 

森 下 一 雄 

京阪電気鉄道株式会社鉄道保安部 

篠 原   徹 

株式会社日立製作所水戸工場検査部 

梶 本 和 男 

川崎重工業株式会社車両事業本部品質保証部 

葛 川   正 

三菱重工業株式会社三原製作所品質保証課 

諏 佐 恭 一 

株式会社新潟鉄工所車両事業部大山工場品質保証室 

村 岡 英 司 

日本車輌製造株式会社鉄道車両本部技術推進室 

工 藤 茂 治 

株式会社東芝府中工場車両部 

小 林 和 幸 

東急車輌製造株式会社本社車両工場品質管理部 

野 尻 芳 郎 

株式会社共和電業特機部 

(事務局) 

浅 田 時 則 

社団法人日本鉄道車輌工業会 

鉄道部会 車両基本専門委員会 構成表(昭和61年3月31日改正のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

川 添 雄 司 

日本国有鉄道 

松 波 正 寿 

運輸省地域交通局 

小 林 弘 幸 

運輸省大臣官房 

横 溝 眞一郎 

工業技術院標準部 

岩見谷 与志雄 

日本国有鉄道技術開発室 

小笠原 静 夫 

社団法人日本鉄道車輌工業会 

金 邊 秀 雄 

東京急行電鉄株式会社交通事業本部 

松 井 康 平 

名古屋鉄道株式会社技術部 

小 林 善一郎 

社団法人日本民営鉄道協会 

星 谷 俊 二 

日本国有鉄道鉄道技術研究所 

浅 田 時 則 

社団法人日本鉄道車輌工業会 

寺 山   巌 

三菱重工業株式会社機械事業本部 

松 隈 道 雄 

株式会社東芝交通事業部 

赤 羽 宏 之 

株式会社日立製作所機電事業本部 

石 田 昌 彦 

日本車輌製造株式会社車両機器本部 

岡 田 安 弘 

近畿車輌株式会社車両設計部 

大 熊   碩 

三菱電機株式会社機電システム部 

星 野 隆 敏 

川崎重工業株式会社車両事業本部 

西 村 誠 一 

住友金属工業株式会社製鋼所 

(事務局) 

黒 河 亀千代 

工業技術院標準部機械規格課 

武 藤 晃 雄 

工業技術院標準部機械規格課 

(事務局) 

江 口 信 彦 

工業技術院標準部機械規格課(平成元年5月20日改正のとき) 

牛 島 宏 育 

工業技術院標準部機械規格課(平成元年5月20日改正のとき)