2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
E 3022-1984
軌道回路装置の耐妨害試験方法
Testing Methods of Permissible Interference Values for Track Circuit Device
1. 適用範囲 この規格は,鉄道信号保安装置に用いる軌道回路装置の耐妨害試験方法について規定する。
引用規格:
JIS C 1102 指示電気計器
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
関連規格:JIS E 3003 鉄道信号用リレーの性能試験方法
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 耐妨害試験 軌道回路に所定の妨害を加えたとき,その装置が定態(1)を維持することを調べる試験。
注(1) あらかじめ定められた状態。
(2) 直流妨害 直流電気鉄道で,軌道回路に流れる電気車の帰線電流の不平衡成分。
(3) 交流妨害 交流電気鉄道で,軌道回路に流れる電気車の帰線電流の不平衡成分。
(4) 信号周波数帯妨害 軌道回路に流れる電気車の帰線電流の不平衡成分に含まれており,かつ,軌道回
路装置の定態を変えることができる成分。
(5) 過渡妨害 電気車などから発生する過渡的な電流や直達磁界で,軌道回路装置の定態を変えることが
できる成分。
(6) 耐妨害試験1 耐妨害試験のうちで信号入力がある場合,軌道回路装置の受信リレー動作接点が開放
しないことを調べる試験。
(7) 耐妨害試験2 耐妨害試験のうちで信号入力がない場合,軌道回路装置の受信リレー復旧接点が開放
しないことを調べる試験。
3. 試験の適用区分 試験の適用区分は,電気運転方式の種類及び変電所・電気車の制御方式によって分
類し,表1のとおりとする。
2
E 3022-1984
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1
適用区分
摘要
1種
A
直流電気鉄道で電気鉄道電源,電気車などにサイリスタ機器
などを用いていない場合。
B
直流電気鉄道で電気鉄道電源,電気車などにサイリスタ機器
などを用いている場合。
2種
A
交流電気鉄道で電気鉄道電源,電気車などにサイリスタ機器
などを用いていない場合。
B
交流電気鉄道で電気鉄道電源,電気車などにサイリスタ機器
などを用いている場合。
4. 試験項目 試験項目は,表2により,○印のついているものとする。
表2
試験項目
試験方法の
項目番号
1種
2種
A
B
A
B
直流妨害
耐妨害試験1
6.1.1
○
○
交流妨害
耐妨害試験1
6.2.1
○
○
耐妨害試験2
6.2.2
○
○(2)
信号周波数
帯妨害
耐妨害試験1
6.2.1
○
○
耐妨害試験2
6.2.2
○
○
過渡妨害
耐妨害試験1
6.2.1
○(2)
○(2)
耐妨害試験2
6.2.2
○(2)
○(2)
注(2) 受渡し当事者間の協定によって試験を省略することができる。
5. 試験の条件
5.1
試験場所の状態 試験場所の状態は,特に指定のない限り,JIS Z 8703(試験場所の標準状態)に規
定する常温常湿とする。
5.2
試験計器 試験計器は,次による。
(1) 指示計器は,JIS C 1102(指示電気計器)に規定する指示電気計器又はこれに準じるものを用いる。
(2) オシロスコープ・周波数カウンタ・波形分析器などの電子測定器については,受渡し当事者間の協定
による。
5.3
妨害の設定 妨害の設定は,受渡し当事者間の協定による。
6. 試験の方法
6.1
直流妨害試験
6.1.1
耐妨害試験1 耐妨害試験1は,次による。
(1) 試験回路 試験回路は図1による。
3
E 3022-1984
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1
図1の軌道回路装置の接続点の詳細は,表3のとおりとする。
表3 接続点の詳細
a点・b点間及びa'点・b'点間の詳細
インピーダンスボンド
を用いるとき。
整合変成器・限流装置な
どを用いるとき。
限流装置などを用いる
とき。
(2) 試験の手順 試験の手順は,次による。
(a) 図1において,直流妨害発生器から妨害を発生させ,抵抗を調整して電流計A1とA2の指示が等し
くなるようにする。
(b) 直流妨害発生器の出力を下げ,交流信号発生器を調整して軌道回路装置の信号入力の設定を,定格
レベルの90%,又は最小動作レベルの3dB増しとする。
信号入力の設定に位相角の調整が必要な場合は,最も能率の高い位相角とする。
(c) 再度,所定の直流妨害を加えて,a点・b点間に接続された受信リレーの動作接点の状態を調べる。
6.2
交流妨害・信号周波数帯妨害・過渡妨害試験
6.2.1
耐妨害試験1 耐妨害試験1は,次による。
(1) 試験回路 試験回路は,次による。
(a) 軌道回路電流に直流を用いた場合の試験回路は,図2に示すとおりとする。
4
E 3022-1984
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図2
図2の軌道回路装置の接続点の詳細は,表3のとおりとする。
(b) 軌道回路電流に交流を用いた場合の試験回路は,図3に示すとおりとする。
図3
図3の軌道回路装置の接続点の詳細は,表3のとおりとする。
(2) 試験の手順 試験の手順は,次による。
(a) 図2又は図3において,妨害発生器から妨害を発生させ,抵抗を調整して電流計A1とA2の指示が
等しくなるようにする。
(b) 妨害発生器の出力を下げ,直流信号発生器又は交流信号発生器を調整して,軌道回路装置の信号入
力の設定を,定格レベルの90%,又は最小動作レベルの3dB増しとする。
信号入力の設定に位相角の調整が必要な場合は,最も能率の高い位相角とする。
(c) 再度,所定の妨害を加えて,a点・b点間に接続された受信リレーの動作接点の状態を調べる。
6.2.2
耐妨害試験2 耐妨害試験2は,次による。
(1) 試験回路 試験回路は,図4による。
図4
5
E 3022-1984
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図4の軌道回路装置の接続点の詳細は,表3のとおりとする。
(2) 試験の手順 試験の手順は,図4において所定の妨害を加えて,受信リレーの復旧接点の状態を調べ
る。
軌道回路装置の耐妨害試験方法JIS原案作成委員会委員
氏名
所属
(委員会長)
安 原 碩 人
日本国有鉄道鉄道技術研究所
小野山 悟
運輸省鉄道監督局
吉 岡 治
運輸省鉄道監督局
吉 永 敏 雄
運輸省鉄道監督局
吉 原 洋
運輸省鉄道監督局
石 井 清 次
工業技術院
黒 河 亀千代
工業技術院
萩 原 正 雄
社団法人日本民営鉄道協会
中 村 洌
日本国有鉄道技術開発室
森 田 悦 夫
日本国有鉄道電気局
花 木 正 治
日本国有鉄道施設局
清 澤 三 郎
日本国有鉄道鉄道技術研究所
亀卦川 賢 介
東京急行電鉄株式会社
安 藤 友 郎
東武鉄道株式会社
田 川 茂 男
京浜急行電鉄株式会社
神 田 明
株式会社京三製作所
鈴 木 純 朗
日本信号株式会社
古 川 真 弓
大同信号株式会社
黒 島 滋
株式会社三工社
館 武 夫
東邦電機工業株式会社
(幹事)
粕 谷 利 夫
日本国有鉄道電気局
村 上 喜 信
日本国有鉄道技術開発室
直 江 正 直
日本国有鉄道鉄道技術研究所
吉 越 三 郎
社団法人信号保安協会
6
E 3022-1984
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
鉄道部会 信号保安装置基本専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
安 原 碩 人
日本国有鉄道鉄道技術研究所
山 田 幸 正
運輸省鉄道監督局
廣 田 良 輔
運輸省鉄道監督局
加 藤 茂
運輸省鉄道監督局
大久保 和 夫
工業技術院標準部
神 戸 敏 夫
株式会社京三製作所
館 武 夫
東邦電気工業株式会社
菊 地 得 夫
吉原鉄道工業株式会社
福 田 二 郎
信号工業協会
五十嵐 秀 治
大同信号株式会社
冨 田 明 石
日本信号株式会社
黒 島 滋
株式会社三工社
中 村 三 郎
社団法人信号保安協会
猿 橋 純 一
東京急行電鉄株式会社
阿久沢 充
西武鉄道株式会社
中 村 洌
日本国有鉄道技術開発室
齋 田 登
日本国有鉄道施設局
林 義 郎
日本国有鉄道電気局
和 気 行 雄
社団法人日本民営鉄道協会
安 諸 和 夫
京王帝都電鉄株式会社
(専門委員)
伊 東 周 二
日本国有鉄道鉄道技術研究所
(事務局)
黒 河 亀千代
工業技術院標準部機械規格課
武 藤 晃 雄
工業技術院標準部機械規格課