2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
E 3006-1973
商用周波数軌道回路式
自動列車停止装置の試験方法
Test Methods for Commercial Frequency Track
Circuit Type Automatic Train Stop
1. 適用範囲 この規格は,軌道回路に流れる商用周波数の信号電流を使用した自動列車停止装置の試験
方法について規定する。
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語は,つぎによる。
(1) 受 電 器 軌道回路に流れる信号電流を電磁誘導作用により受電する機器。
(2) 受 信 器 電子回路およびリレー回路から構成される受信部,速度照査部,制御部。
(3) 最小動作レベル 受信部の主リレーが動作するとき(動作接点が構成されるとき)の最小の信号受信
入力レベル。
(4) 落下レベル 受信部の主リレーが復旧するとき(動作接点が開放するとき)の最大の信号受信入力レ
ベル。
(5) 軌道回路信号制御リレー(信号制御リレー) 軌道リレー,軌道送電制御リレー,接近リレー,時素
リレーから構成され,軌道回路の信号電流送電を制御するリレー。
3. 試験の種類
(1) 形式試験
(2) 受渡試験
4. 試験項目 試験項目は表1のとおりとし,形式試験は○,受渡試験は△を付けた項目とする。
引用規格:5ページに示す。
2
E 3006-1973
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表1
試験項目
受 電 器
受 信 器
信号制御リレー 適用試験項目
電
気
的
特
性
定数試験
○ △
6.1
動作試験
○ △
○ △
○ △
6.2
電圧変動試験
○ △
○ △
6.3
受信レベル変動試験
○ △
6.4
周波数特性試験
○
○
6.5
耐妨害試験
○ △
○ △
6.6
耐振性試験
○
○
○
6.7
温度試験
○
○
○
6.8
耐久性試験
○
○
○
6.9
絶縁抵抗試験
○ △
○ △
○ △
6.10
耐電圧試験
○ △
○ △
○ △
6.11
フェールセーフ試験
○ △
6.12
寸法,構造および外観試験
○ △
○ △
○ △
6.13
5. 試験条件
5.1
試験場所の標準状態 試験場所の標準状態は,温度試験を除き,JIS Z 8703(試験場所の標準状態)
による常温,常湿とする。
5.2
試験用補助器具 試験用補助器具は,受電器と結合させる試験コイルと試験器本体から構成され,
表2に示す性能をもつものとする。
表2
項 目
内 容
適用試験項目
信号入力設定
所定範囲の商用周波数信号レベル
6.2.1
6.2.2
6.2.4
信号しゃ断時間設定 所定範囲の信号入力しゃ断時間設定
基準時間設定
所定範囲の受信器内部基準時間設定
6.2.3(1)
速度信号入力設定
所定範囲の列車速度に相当する速度信号
6.2.3(2)
5.3
試験電圧 試験電圧は,6.3の試験を除き定格電圧とする。
6. 試験方法
6.1
定数試験 定数試験は図1の回路により測定し,その数値の算出方法は図2による。
図1
図2
3
E 3006-1973
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6.2
動作試験
6.2.1
受電器誘導試験
(1) 受電器加極試験 受電器加極試験は,受電器2個を所定の長さのレールに対して所定の位置に置き,
加極に接続してレールに所定の信号電流を流し,受電器の出力電圧を調べる。ただし,試験コイルに
よる場合は図3の回路による。
(2) 受電器減極試験 受電器減極試験は,(1)と同様な試験方法で,受電器2個を減極に接続し,受電器の
出力電圧を調べる。
6.2.2
信号受信試験 信号受信試験は,6.2.1のレールと受電器を用いるか,または,試験用補助器具を
用いて受信器に商用周波数の定格信号入力を与え,このときの主リレー電圧を調べる。
図3
C2:同調用コンデンサ(内部共振形の場合は不要)
=
1
2
2
1C
C
R2:受信器入力インピーダンスに相当する負荷抵抗器 (R2=2R1)
6.2.3
速度照査試験
(1) 車上時間比較による場合 受信器に所定の信号入力を与え,この電圧を所定の時間間隔だけしゃ断し
て,そのときの速度照査部および制御部リレーの作動,基準時間および制御内容について調べる。
(2) 列車速度発電機による場合
(a) 速度照査試験 与えられた制限速度に対して速度照査部の車輪径の補正条件を最大段階に選び,速
度照査部に列車速度に対応する速度周波数を加えて速度照査リレーが復旧するときの速度周波数を
調べる。また,このときの制御部リレーの作動および制御内容を調べる。
(b) 車輪径補正試験 車輪径補正試験は,制限速度段を一速度選び,すべての車輪径の補正段階で(a)と
同様にして,速度照査リレーが復旧するときの速度周波数,制御部リレーの作動および制御内容を
調べる。
(c) 速度発電機試験 速度発電機試験は,JIS E 4602(鉄道車両用電気式速度計の検査方法)により行
なう。
6.2.4
信号制御リレー試験 信号制御リレー試験は,各リレーについてJIS E 3003(鉄道信号用リレーの
性能試験方法)により行なう。
6.3
電圧変動試験 電圧変動試験は,電源電圧を定格電圧から上昇または下降させ,6.2.2,6.2.3につい
て調べる。
4
E 3006-1973
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.4
受信レベル変動試験 受信レベル変動試験は,受信器に加える信号入力電圧を所定範囲変動させ,
このときの主リレー電圧を調べる。また,最小動作レベル,落下レベルを調べる。
6.5
周波数特性試験 周波数特性試験は,受電器に定格入力を加え,その周波数を変化させて,そのと
きの主リレー電圧を調べる。
6.6
耐妨害試験 耐妨害試験は,受電器に信号周波数と異なった所定周波数の妨害入力を加え,そのと
きの主リレー電圧を調べる。
6.7
耐振性試験 耐振性試験は,実際の取付けに近い状態で動作させ,受電器および受信器はJIS E 4031
(鉄道車両部品の振動試験方法),信号制御リレーはJIS E 3003による試験を行なったのち,6.1,6.2,6.3
について調べる。
6.8
温度試験 温度試験は,周囲温度を規定の高温および低温で,それぞれ連続3時間以上放置したの
ち,6.1,6.2,6.3および6.4について調べる。ただし,信号制御リレーの試験はJIS E 3003による。
6.9
耐久性試験
6.9.1
受信器 受信器は,動作状態で図4の周期を3周期繰り返したのち,6.2について調べる。
図4
6.9.2
受電器 受電器は,図5の周期で周囲の状態を変化させたのち,6.1,6.2.1について調べる。
図5
6.9.3
信号制御リレー JIS E 3003により試験を行なう。
6.10 絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,JIS C 1301〔絶縁抵抗計(発電機式)〕またはJIS C 1302〔絶縁抵
抗計(電池式)〕により,つぎの箇所について直流500 Vで絶縁抵抗を調べる。
(1) 受信器は,外箱と端子との間
(2) 受電器は,外被(水中)と端子との間
(3) 信号制御リレーは,JIS E 3003による。
6.11 耐電圧試験 耐電圧試験は,6.10(1),(2)および(3)について,表3に示す交流(50または60Hz)電
圧を1分間加えて異常の有無を調べる。
表3
機器の種類
加える電圧 (V)
受 信 器
JIS E 5004(電気車用制御機器の試験方法)で規定する電圧。
受 電 器
信号制御リレー
JIS E 3003による。
5
E 3006-1973
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.12 フェールセーフ試験 フェールセーフ試験は,受電器回路を短絡・開放して,その機能を調べる。
6.13 寸法,構造および外観試験
6.13.1 寸法試験 寸法試験は,JIS B 7507(ノギス)に規定するノギスを用いて調べる。ただし,判定に
疑義を生じない場合は,他の計器を用いてもよい。
6.13.2 構造,外観試験 構造,外観,表示などについて,目視により調べる。
引用規格:
JIS B 7507 ノギス
JIS C 1301 絶縁抵抗計(発電機式)
JIS C 1302 絶縁抵抗計(電池式)
JIS E 3003 鉄道信号用リレーの性能試験方法
JIS E 4031 鉄道車両部品の振動試験方法
JIS E 4602 鉄道車両用電気式速度計の検査方法
JIS E 5004 電気車用制御機器の試験方法
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
鉄道部会 自動列車停止装置および制御装置試験方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
鈴 木 嶺 夫
京三工事株式会社
赤 岩 昭 滋
運輸省鉄道監督局
丹 羽 一 夫
運輸省鉄道監督局
小 林 源 治
運輸省鉄道監督局
紫 藤 良 知
運輸省鉄道監督局
竹 内 健 二
工業技術院標準部
岡 田 良 治
大同信号株式会社技術管理部
奥 田 真 也
株式会社京三製作所信号技術部
鈴 木 純 郎
日本信号株式会社技術本部
高 岡 征
株式会社日立製作所水戸工場
林 圭 一
東京芝浦電気株式会社交通事業部
丸 田 征 生
三菱電機株式会社伊丹製作所
西 村 鉄 雄
社団法人日本民営鉄道協会
箸 蔵 達 郎
帝都高速度交通営団電気部
野 中 英 彦
東京急行電鉄株式会社交通事業本部
中 村 孝 也
日本国有鉄道技術開発室
依 田 幸 男
日本国有鉄道運転局
長 崎 邦 夫
日本国有鉄道電気局
板 倉 栄 治
日本国有鉄道鉄道技術研究所
吉 越 三 郎
社団法人信号保安協会
(専門委員)
井 田 孝
工業技術院標準部機械規格課
(事務局)
桜 井 俊 彦
工業技術院標準部機械規格課
佐 野 則 雄
工業技術院標準部機械規格課