E 2501-1:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
3.1 一般用語 ······················································································································ 2
3.2 性能特性に関する用語 ···································································································· 5
3.3 構成要素に関する用語 ···································································································· 8
3.4 直流遮断器,負荷開閉器及び関連のリレーに関する用語 ························································ 9
3.5 試験に関する用語 ········································································································· 12
4 使用条件 ························································································································ 13
4.1 環境条件 ····················································································································· 13
4.2 絶縁階級 ····················································································································· 13
5 標準特性及び前提条件 ······································································································ 15
5.1 主回路に関する標準特性及びパラメータの前提条件 ····························································· 15
5.2 補助回路及び制御回路の標準特性····················································································· 17
6 温度上昇限度 ·················································································································· 17
7 試験······························································································································ 19
7.1 一般 ··························································································································· 19
7.2 試験値の許容差 ············································································································ 19
7.3 可動装置の試験 ············································································································ 20
7.4 温度上昇試験 ··············································································································· 21
7.5 耐圧試験 ····················································································································· 23
7.6 短絡及び負荷開閉条件 ··································································································· 23
7.7 短時間耐電流試験時の特性検査························································································ 24
7.8 手動制御装置及び位置表示装置の信頼性の検査 ··································································· 25
附属書A(参考)試験回路図 ································································································· 27
附属書B(規定)屋内装置の環境条件······················································································ 29
附属書C(規定)直流遮断器及び開閉器に関する臨界電流の調査方法 ············································ 31
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 33
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本鉄道電気技術協会(REEAJ)及び
財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS E 2501の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS E 2501-1 第1部:通則
JIS E 2501-2 第2部:直流遮断器
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日本工業規格 JIS
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鉄道用地上設備−直流開閉装置及び制御装置−
第1部:通則
Railway applications-Fixed installations-DC switchgear-
Part 1: General
序文
この規格は,2006年に第2版として発行されたIEC 61992-1を基に作成した日本工業規格であるが,従
来の国内規格の規定を包含するため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,電気鉄道用車両に電力を供給する,公称電圧が直流3 000 V以下の地上電気設備において
使用する直流開閉装置及び制御装置(以下,この規格群を通して,“開閉装置及び制御装置”を“開閉装置”
という。)に共通する事項について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61992-1:2006,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 1: General
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,修正していること
を示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 4003 電気絶縁の耐熱クラス及び耐熱性評価
注記 対応国際規格:IEC 60085,Electrical insulation−Thermal evaluation and designation (IDT)
JIS C 8269-1 低電圧ヒューズ−第1部:一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60269-1,Low-voltage fuses−Part 1: General requirements (IDT)
JIS E 2501-2 鉄道用地上設備−直流開閉装置及び制御装置−第2部:直流遮断器
注記 対応国際規格:IEC 61992-2,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 2:
DC circuit-breakers (MOD)
IEC 60850,Railway applications−Supply voltages of traction systems
IEC 61992-3,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 3: Indoor d.c. disconnectors,
switch-disconnectors and earthing switches
2
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IEC 61992-4,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 4: Outdoor d.c. disconnectors,
switch-disconnectors and earthing switches
IEC 61992-5,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 5: Surge arresters and
low-voltage limiters for specific use in d.c. systems
IEC 61992-6,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 6: DC switchgear assemblies
EN 50124-1,Railway applications−Insulation coordination−Part 1: Basic requirements−Clearances and
creepage distances for all electrical and electronic equipment
3
用語及び定義
この規格群で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 定義には,IEC 60050-441(IEV)及びIEC 60050-811(IEV)から変更なしに引用しているもの
が含まれる。この場合,参照IEV番号を用語の後に丸括弧内に示す(最初の3けたの数字は,
IEVの章を示す)。また,IEVの定義を変更している場合,参照IEV番号の後に“変更”と記
す。
3.1
一般用語
3.1.1
開閉装置及び制御装置(switchgear)
開閉機器並びにこれに付随した制御,計測,保護及び調整装置の組合せ。
なお,内部接続,附属品,エンクロージャ(3.3.13参照)及び支持構造をもった機器並びに装置の盤を
含む。
3.1.2
開閉装置組立品(DC switchgear and controlgear assembly)
内部の電気的及び機械的相互接続部並びに構造部品のすべてとともに組み立てられた,1台以上の直流
開閉機器及びこれに付随した制御,計測,信号,保護,調整装置などの組合せ。
注記1 この規格群を通して,“直流開閉装置組立品”を省略して“開閉装置組立品”と表している。
注記2 開閉機器(3.1.3参照)及びこれに付随する制御装置を収容した,一体形エンクロージャでは
ないエンクロージャは,開閉装置組立品として扱う。
3.1.3
開閉機器(switching device)(441-14-01)
回路において,電流を投入又は遮断するための機器。
3.1.4
直流遮断器(DC circuit-breaker)
通常の回路条件で,直流電流を投入,通電及び遮断することができ,かつ,回路の短絡によって生じる
ような,異常回路条件でも投入,規定上限までの電流を規定時間通電,及び遮断することができる能力を
もつ開閉機器。
3.1.5
直流断路器(DC disconnector)
開路位置において,断路距離(3.3.6参照)を確保する機械式開閉機器。
なお,断路器は,健全な絶縁状態における充放電電流などの微少な電流に限り,投入又は遮断すること
ができる。系統における偶発的,かつ,最低限の過渡条件による最小電流を投入又は遮断する能力は,受
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渡当事者間の協定による。
注記1 断路器は,無視できる程度の直流電流を遮断若しくは投入する場合又は断路器の端子間に電
位差がない場合に回路を開閉し,かつ,通常の回路条件では直流電流を,回路の短絡によっ
て生じるような異常回路条件で規定の時間,電流を通電する能力をもつ。
注記2 断路器は,負荷電流,故障電流又は落雷及び過渡現象の影響によって生じる電流の投入又は
遮断には適さない。
3.1.6
負荷開閉器(switch-disconnector)
通常の回路条件で,かつ,受渡当事者間で取り決めた場合は過負荷条件で電流を投入,通電及び遮断し,
また,回路の短絡によって生じるような,異常回路条件で規定の時間の電流を通電する能力をもち,更に
断路器に関する要求事項を満足する機械式開閉機器。
注記1 負荷開閉器を短絡電流の投入用に設計する場合がある。ただし,短絡電流の遮断は考慮しな
い。
注記2 屋外負荷開閉器は,特殊条件で過負荷電流の遮断に対応するよう要求される場合がある。
3.1.7
接地開閉器(earthing switch)(441-14-11)
回路の短絡によって生じるような,異常回路条件で規定の時間の電流に耐えることができる能力をもつ
が,通常の回路条件での通電は要求されない接地部用の機械式開閉機器。
注記 接地開閉器は,短絡投入容量(3.2.30参照)をもつ場合がある。
3.1.8
低電圧リミッタ(low-voltage limiter)
けん引システムにおいて,過電圧が予想される部分に並列に接続され,電圧をある定められた値に制限
する機能をもつ機器。
3.1.9
直流センサ(DC sensor)
直流主回路で電流又は電圧を検知するために使用され,一次入力に比例する線形の出力信号を発生し,
その信号で動作する二次装置に接続される機器。
3.1.10
直流分流器(DC shunt)
一次回路に接続し,一次回路電流に比例するミリボルト単位の電圧を出力する機器。
3.1.11
絶縁用トランスジューサ(isolating transducer)
主回路のセンサの出力と,計測又は保護に使用される二次装置の入力との間に設けられ,通常は主回路
より低い電圧で,かつ,主回路から絶縁された信号を二次装置に供給するために使用される機器。
3.1.12
動作(operation)
ある位置から他の位置,例えば開路位置から閉路位置又は開路位置から接地位置への可動接触子の移動。
注記1 例えば,閉動作又は開動作がこれに当たる。
注記2 区別が必要な場合,投入又は遮断のような動作は電気開閉動作といい,閉路又は開路のよう
な動作は機械的動作という。
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注記3 主回路の導通が確保される開閉機器の位置を,“閉”位置と表示する。
注記4 開閉機器の接触子間において,ある定められた距離が確保されている開閉機器の位置を,“開”
位置と表示する。
3.1.13
動作サイクル(機械式開閉機器の)[operating cycle (of a mechanical switching device)](441-16-02)
ある位置から他の位置への動作及びもしあれば,すべての位置を経て最初の位置に戻るような動作の継
続。
3.1.14
直接手動動作(機械式開閉機器の)[dependent manual operation (of a mechanical switching device)](441-16-13)
動作の速さ及び動力が操作者の操作に依存するような,人が直接エネルギーを加えるだけの動作。依存
するとは,動力がなくなれば,動作が止まるようなものをいう。
3.1.15
蓄積エネルギー動作(機械式開閉機器の)[stored energy operation (of a mechanical switching device)]
(441-16-15)
ある定められた条件で,動作が完了する前に機械自身に蓄えられ,かつ,動作を完了するために十分な
エネルギーによる動作。
注記 この動作の種類は,次のように区分される。
− エネルギーの蓄積方法(ばね,おもりなど)
− エネルギー源(手動,電気的など)
− エネルギーの引外し方法(手動,電気的など)
3.1.16
間接手動動作(機械式開閉機器の)[independent manual operation (of a mechanical switching device)]
(441-16-16)
一連の動作中に蓄積及び引外しをする蓄積エネルギー動作であって,人力がエネルギーとなるもの。そ
の動作の速さ及び動力は操作者の操作に依存しない。
3.1.17
間接動力動作(independent power operation)
一連の動作の中で引外しをする動作であって,外部の動力がエネルギーとなるもの。その動作の速さ及
び動力は,操作者の操作に依存しない。
3.1.18
使用負荷種類(開閉機器の)[utilisation category (of a switching device)](441-17-19変更)
開閉機器の本来の目的を達成する条件に関係した,規定の要求事項の組合せ。実使用上の代表的な特性
を表す要求事項の組合せを選択する。
注記 ここで規定する要求事項は,関連する回路,適用条件及び動作条件に関連する。例えば,(適用
できるものがあるとき)投入容量,遮断容量及びその他の特性値がある。規格の中で使用され
る“責務”という用語は,特定の使用負荷種類に相当する。
3.1.19
一方向開閉機器(unidirectional switching device)
ある定められた方向に流れる直流電流を遮断するための開閉機器(例えば,遮断器など)。その種類には,
正方向と逆方向とがある。
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3.1.20
両方向開閉機器(bidirectional switching device)
両方向に流れる直流電流を遮断するための開閉機器(例えば,遮断器など)。
注記 両方向能力の実証は,遮断形式試験に含まれる。
3.2
性能特性に関する用語
3.2.1
公称電圧,Un(nominal voltage)
装置又はその一部を表す電圧。
3.2.2
最大システム電圧,Umax(highest system voltage)
IEC 60850で規定される連続最大電圧Umax1。
3.2.3
定格絶縁電圧,UNm(rated insulation voltage)
装置の絶縁設計を行う上で基準となる直流電圧の最大値。
3.2.4
定格電圧,UNe(rated voltage)
定格電流とともに装置の使用負荷を規定する電圧値。試験及び使用負荷種類(該当する場合)に関連す
る。
注記 定格電圧は,IEC 60850に規定される電圧変動の範囲内で,公称電圧と異なる可能性がある。
3.2.5
定格制御電圧(rated auxiliary and control supply voltage)
動作中に装置の回路端子において測定した電圧。必要ならば,製造業者が供給又は要求する,装置と直
列に設置される補助抵抗器又は附属品を含むが,電線など電源への導体は除く。
3.2.6
定格インパルス耐電圧,UNi(rated impulse withstand voltage)
規定試験条件では絶縁破壊を起こさないような,規定の波形及び極性をもつインパルス電圧の最大ピー
ク値。
3.2.7
商用周波耐電圧,Ua(power-frequency withstand voltage)
規定試験条件で,絶縁破壊を起こさない商用周波数の正弦波電圧の実効値。
3.2.8
回復電圧,Ur(recovery voltage)(441-17-25変更)
電流の遮断後に開閉機器の端子間に現れる電圧。
3.2.9
最大アーク電圧,Ûarc(maximum arc voltage)
アーク放電中に開閉機器に現れる最大電圧。
3.2.10
推定電流(prospective current)(441-17-01変更)
装置が無視できるインピーダンスの導体に置き換えられたと仮定した場合に,その回路に流れる電流。
注記 推定電流は,推定遮断電流,推定電流のピーク値など実電流と同様にみなされることがある。
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3.2.11
温度上昇試験電流(開放),Ith(conventional free-air thermal current)
開放形装置の温度上昇試験に用いられる電流。この値は,装置の定格電流INeの最大値以上となる。
注記1 開放とは,じん(塵)あい及び外部放射(例えば,直射日光など)が適度に除去された,通
常の屋内条件を指す。
注記2 開放形装置とは,エンクロージャ(3.3.13参照)のない装置,又は一体形エンクロージャ(3.3.14
参照)をもつ装置をいう。
3.2.12
温度上昇試験電流(閉鎖),Ithe(conventional enclosed thermal current)
規定のエンクロージャの中に実装された装置の温度上昇試験に用いられる電流。この値は,閉鎖形装置
の定格電流INeの最大値以上となる。
3.2.13
定格電流,INe(rated service current)
定格電圧(3.2.4参照),連続動作責務,使用負荷種類(3.1.18参照),及びもしあれば保護エンクロージ
ャの種類を考慮して指定した電流値。
注記1 定格電流INeを超える電流は,過負荷条件となる。
注記2 購入者が負荷サイクルを指定する場合,負荷サイクル前後の定常電流を規定するのが望まし
い。負荷サイクルによる温度上昇が限度値を超える場合は,より大きな定格電流を用いる必
要がある。
3.2.14
定格短時間耐電流,INcw(rated short-time withstand current)
閉路位置の回路又は開閉機器が,規定の使用条件及び動作条件で,短時間流すことができる電流。
3.2.15
定格地絡電流(開閉装置組立品の),INcwe[rated earth fault current (of a switchgear assembly)]
接地回路に流すことができる最大短時間耐電流。
3.2.16
短絡電流,Iss(short-circuit current)
電気回路の故障又は,誤った接続によって短絡した回路に流れる推定定常電流。
3.2.17
定格短絡電流,INss(rated short-circuit current)
機器に流れる短絡電流の最大値。
3.2.18
短絡電流のピーク,Îss(peak of the short-circuit current)
過渡条件下における短絡電流の推定ピーク値。
3.2.19
カットオフ電流(cut-off current)(441-17-12変更)
開閉機器の遮断動作における,到達する電流の最大瞬時値。
3.2.20
回路時定数,tc(circuit time constant)
回路のインダクタンスと抵抗の比。
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3.2.21
線路時定数(き電回路の),Tc[track time constant (of a line)]
電車線(架線又はサードレール),帰線及び低周波又は高周波のインピーダンスボンドを含む,開閉機器
の負荷側にあるすべての部品を加えたき電回路の時定数。
3.2.22
定格線路時定数(開閉機器の),TNc[rated track time constant (of a switching device)]
開閉機器に対して指定される,誘導性短絡電流の遮断能力を示す規定条件となる線路時定数。
3.2.23
電源時定数,Ts(source time constant)
交流電源網,整流装置,平滑リアクトル,変電所の直流母線,及び変電所と線路との間のき電線並びに
帰線を含む,開閉機器の入力電源側における直流電源の時定数。
3.2.24
遮断電流(breaking current)
遮断過程において,接触子が開き始める瞬間に流れる開閉機器の電流。
3.2.25
遮断容量(breaking capacity)(441-17-08変更)
規定の使用条件及び動作条件で,規定の電圧において開閉機器が遮断できる推定遮断電流値。
注記 短絡遮断容量については3.2.26を参照。
3.2.26
定格短絡遮断容量(rated short-circuit breaking capacity)
開閉機器の負荷側端子の短絡を含む,規定条件における遮断容量。
3.2.27
臨界電流,Ic(critical current)
アーク時間が最長であり,かつ,定格短絡遮断電流時より極めて長くなる,定格短絡遮断電流未満の遮
断電流値。ある電流値又はこの現象を生じる電流の範囲で示され,附属書Cによる。
3.2.28
最大回路エネルギー短絡電流,Imax E(maximum circuit-energy short circuit)
通常,変電所に近い線路上で発生する,回路エネルギーが最大値となる短絡回路の定格短絡電流。
3.2.29
投入容量(making capacity)(441-17-09)
規定の使用条件及び動作条件で,規定の電圧にて開閉機器が投入できる推定投入電流値。
注記 短絡投入容量については3.2.30を参照。
3.2.30
定格短絡投入容量(rated short-circuit making capacity)
開閉機器の負荷側端子の短絡を含む,規定条件における投入容量。
3.2.31
遠方故障短絡(distant fault short-circuit)
故障を遮断する開閉機器から離れた位置における短絡。
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3.2.32
周囲温度(開閉装置の)[ambient air temperature (of a switchgear)]
規定条件での,エンクロージャ又は開閉装置を取り巻く空気の温度。
3.3
構成要素に関する用語
3.3.1
構成要素(component)
規定の機能を提供する開閉装置の基本的要素(例えば,遮断器,断路器,開閉器,ヒューズ,分流器,
電圧・電流トランスジューサ,ブッシングなど)。
3.3.2
導電部(conductive part)(441-11-09)
使用電流を必ずしも通電しなくてもよいが,電気を導通させる機能がある部分。
3.3.3
充電部(live part)
通常の使用状態で電圧が印加されている導体又は導体部。場合によっては帰線導体を含む。
注記 開閉装置の帰線路は,充電部又は接地部とみなされる場合がある。帰線路の定格絶縁電圧は,
購入者が指定する。
3.3.4
空間距離(clearance)
二つの導電部間にひもを張ってできる最短の経路に沿った,導電部間の距離。
3.3.5
開接触子間の空間距離(clearance between open contacts)
開路位置における,機械式開閉機器の接触子間又は接触子に接続された導電部間の距離。
3.3.6
断路距離(isolating distance)
開閉機器に対し,安全に関する要求事項に適合する開接触子間の空間距離。
3.3.7
沿面距離(creepage distance)
二つの導電部間の絶縁材料の表面に沿う最短距離。
注記 二つの絶縁材料の接合部分は,表面の一部分とみなす。
3.3.8
主回路(開閉機器の)[main circuit (of a switching device)]
回路を閉路及び開路するために設計された回路を含む,開閉機器のすべての導電部。
3.3.9
主接触子(機械式開閉機器の)[main contact (of a mechanical switching device)]
機械式開閉機器の主回路に用いられ,閉路位置で主回路の電流が流れるようになっている接触子。
3.3.10
アーク接触子(arcing contact)
アークを確実に流すために設けた接触子。
注記 アーク接触子は,主接触子として用いてもよい。アーク接触子は他と分離してもよく,その動
作は接触子の損傷を防ぐ目的で,他の接触子が開いた後に開き,閉じる前に閉じるようにする。
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3.3.11
制御回路(開閉機器の)[control circuit (of a switching device)]
開閉機器の投入及び遮断動作を制御及び作動させるための回路(主回路を除く。)。
3.3.12
補助回路(開閉機器の)[auxiliary circuit (of a switching device)]
主回路及び制御回路以外の回路。
3.3.13
エンクロージャ(enclosure)
外部から受ける影響に対する装置の保護等級及び充電部,可動部に人が接近又は接触することを防ぐた
めの保護等級が決められている部分。
注記 保護等級については,JIS C 0920を参照。
3.3.14
一体形エンクロージャ(integral enclosure)
外郭のような,装置と一体となっているエンクロージャ。
3.4
直流遮断器,負荷開閉器及び関連のリレーに関する用語
3.4.1
直流気中遮断器(air DC circuit-breaker)
大気中で開閉する接触子を用いて動作する直流遮断器。
3.4.2
半導体遮断器(semiconductor circuit-breaker)
半導体の導通制御機能を用いて,電気回路の電流の投入及び/又は遮断を行うように設計された遮断器。
注記 この半導体装置に機械式接触子が関連する場合がある。
3.4.3
直流真空遮断器(vacuum DC circuit-breaker)
転流装置(JIS E 2501-2の3.4参照)と組み合わせて,直流電気回路の電流の投入及び/又は遮断を真空
中で行うように設計された遮断器。
3.4.4
き電用遮断器(種類L)(line circuit-breaker)
き電回路と直流電源とを接続又は切り離すために使用する遮断器。この遮断器は,電気的な保護及び引
外し装置を備えている。き電用遮断器は,直流母線から線路を切り離すために使用する。
注記 通常,き電用遮断器は引外し自由遮断器(3.4.11参照)である。
3.4.5
整流器用遮断器(種類R)(rectifier circuit-breaker)
整流器の出力と直流母線を接続する遮断器。
注記1 整流器用遮断器は,整流器が故障したときに直流母線から切断するための,逆方向の直列引
外し装置を備える。
注記2 “順方向”及び“逆方向”という用語は,正常時のエネルギーの流れに関連している。
3.4.6
区分用遮断器(種類I)(interconnecting circuit-breaker)
異なるき電系統又は母線系統を結合又は分離するために使用する遮断器。
10
E 2501-1:2010
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注記 この遮断器は,母線区分用遮断器,又はき電区分所用遮断器と称する場合がある。
3.4.7
高速度限流遮断器(種類H)(high speed current limiting circuit-breaker)
短絡電流がピーク値に達する前に制限するような,遮断時間が十分に短い遮断器。
3.4.8
超高速度限流遮断器(種類V)(very high-speed current-limiting circuit-breaker)
開極時間が種類Hより短い遮断器(特性は,JIS E 2501-2の5.2参照)。
3.4.9
準高速度遮断器(種類S)(semi-high speed circuit-breaker)
電流の遮断は保証するが,限流を行わない遮断器。
3.4.10
引外し(動作)[tripping (operation)]
リレー又は引外し装置によって開始される開閉機器の開動作。
3.4.11
引外し自由遮断器(trip-free circuit-breaker)
閉路動作の開始後,閉の命令が維持されていても引外し動作が開始されると開路位置に戻り,そのまま
開の状態を保持するようになっている可動接触子をもつ遮断器。
注記 流れた電流を確実に遮断するために,接触子が瞬間的に閉路位置に達することが必要となる場
合がある。
3.4.12
引外し装置(機械式開閉機器の)[release (of a mechanical switching device)]
機械式開閉機器に機械的に接続された機器で,開閉機器の保持機構を引き外し,開路又は閉路を可能に
する装置。
注記1 入力側の電気回路において規定条件を満足する場合に,機械的作用によって引外し動作を行
うために使用される任意の装置を指す。
注記2 遮断器は,各々規定条件に従って動作可能になる複数の引外し装置をもつ場合がある。
注記3 引外し装置は,機械的,電磁的又は電子的な部品で構成される。
3.4.13
リレー(機械式開閉機器の)[relay (of a mechanical switching device)]
機械式開閉機器の動作機構に取り付けられた引外し装置に電気的に接続された機器で,開閉機器の動作
を可能にする装置。
注記1 入力側の電気回路において規定条件を満足する場合に,電気的作用によって引外し動作を行
うために使用する任意の装置を指す。
注記2 遮断器は,各々規定条件によって動作可能になる複数のリレーをもつ場合がある。
注記3 リレーは,電磁的又は電子的な部品で構成される。
3.4.14
過電流リレー又は引外し装置(overcurrent relay or overcurrent release)
リレー又は引外し装置の電流が規定値を超過したときには,時間的遅延を伴ったり又は伴わずに機械式
開閉機器を開路させるリレー又は引外し装置。
11
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3.4.14.1
直接過電流リレー又は引外し装置(direct overcurrent relay or direct overcurrent release)
開閉機器の主回路の電流によって直接励磁される過電流リレー又は引外し装置。
3.4.14.2
間接過電流リレー又は引外し装置(indirect overcurrent relay or indirect overcurrent release)
分流器又はセンサを経由した開閉機器の主回路の電流によって励磁される過電流リレー,又は引外し装
置。
3.4.15
直列過電流リレー又は引外し装置(series overcurrent relay or series overcurrent release)
遮断器の主回路の一部として設計されたリレー又は引外し装置。
注記 遮断器の開路動作は,これ以外にけん引装置に固有の他のリレー又は引外し装置(差動リレー,
温度リレーなど)によっても可能である。
3.4.16
瞬時リレー又は引外し装置(instantaneous relay or instantaneous release)
意図的な時間的遅延がなく動作するリレー又は引外し装置。
3.4.17
電圧リレー又は引外し装置(shunt relay or shunt release)
独立した電圧源によって励磁されるリレー又は引外し装置。
3.4.18
不足電圧リレー又は引外し装置(undervoltage relay or undervoltage release)
開閉機器端子の電圧が整定された値より低くなったときに,開閉機器を開路させるようにしたリレー又
は引外し装置。
3.4.19
整定電流(直列過電流リレー又は引外し装置の)[current setting (of a series overcurrent relay or release)]
リレー又は引外し装置の動作特性の基準となる主回路電流値。
注記 リレー又は引外し装置は複数の電流整定値をもつ場合がある。
3.4.20
整定電流範囲(直列過電流リレー又は引外し装置の)[current setting range (of a series overcurrent relay or
release)]
リレー又は引外し装置の整定電流を選択できる,最小値及び最大値によって限定された範囲。
3.4.21
ポンピング防止装置(anti pumping device)
機器が閉動作開始の待機位置で保持されているとき,閉−開動作の後で再閉動作が起こらないようにす
る機器。
3.4.22
開極時間,ti(opening time)
規定された開動作開始の瞬間から,主回路においてすべての接触子が開離し始めるまでの時間。
遮断器の開路は,直列に組み込まれた過電流リレー(又は引外し装置)又は他の装置によって行われる。
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3.4.23
アーク時間,ta(arcing time)
主回路においてすべての接触子が開離し始めてから,主電流が遮断されるまでの時間。
3.4.24
遮断時間,tb(total break time)
開極時間の始めから電流消滅までの時間。
tb=ti+ta
3.4.25
ジュール積分,I2t(Joule integral)
遮断過程において,遮断時間内に遮断器に流れる電流の二乗積分値。
∫
=
1
0
2
2
t
t
dt
i
t
I
ここに,
t0: 開極時間の開始時刻
t1: 最終的に電流が消滅した時刻
ジュール積分は,アーク時間だけに対して考慮してもよい。
3.4.26
遮断器のI2t特性(characteristic I2t of a circuit-breaker)
関連する電圧における整定電流として,規定される条件に対する推定電流及び試験回路時定数の関数と
して,I2tの値で与える情報(通常は,特性曲線で示す。)。
3.4.27
遮断時間−電流特性(total break time−current characteristic)
整定電流として規定される条件に対する推定電流及び試験回路時定数の関数として,遮断時間を与える
曲線。
3.4.28
カットオフ(電流)特性[cut off (current) characteristic]
整定電流として規定される条件に対する推定電流及び試験回路時定数の関数として,カットオフ電流を
与える曲線。
3.5
試験に関する用語
3.5.1
形式試験(type test)(811-10-04)
ある設計の下で製造された一つ以上の機器について,その設計が規定の仕様を満足していることを示す
ための試験。
3.5.2
受渡試験(routine test)(811-10-05)
個々の機器について,一定の基準に適合することを確認するため,製造中又は製造後に行う試験。
3.5.3
調査試験(investigation test)(811-10-07)
追加の情報を得る目的で行う任意の試験。
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4
使用条件
4.1
環境条件
4.1.1
使用条件
屋内装置の環境条件は,附属書Bによる。
附属書Bに規定する条件に設置する装置については,照会又は発注段階において特別な指示は不要であ
る。
4.1.2
特殊使用条件
使用条件が標準条件の範囲を一つでも超える場合は,特殊使用条件とみなす。この場合,装置に対する
追加要求事項について,受渡当事者間で取り決めなければならない。
特殊使用条件に関しては,他の規格などで規定されるか,又は受渡当事者間で取り決めた特別な試験若
しくは試験条件によって,当該の使用条件に対する装置の適合性を証明する場合がある。
4.2
絶縁階級
4.2.1
一般
開閉装置の絶縁階級は,次の種別1又は種別2のいずれかによる。種別1又は種別2のいずれを適用す
るかについては,受渡当事者間の取決めによる。
種別1
絶縁階級及び空間距離は,表1による。
種別2
絶縁階級は,表1Aによる。
種別1を適用する場合,対象となる機器の内部,及び機器と接地された金属エンクロージャ(3.3.13参
照)又は適切な絶縁材で作られたエンクロージャとの間においては,表1に規定する最小値より短い空間
距離も許容する。その場合,通常の使用中に生じるおそれがある周囲条件において放電が発生しないこと,
並びに絶縁及び空間距離が十分であることを,適切な形式試験によって示さなければならない。
種別1を適用する場合,IEC 61992-5の対象機器を除くすべての装置に対して,定格絶縁電圧UNmが2.5
kVを超える装置は,インパルス耐電圧試験が必要である。
注記 装置の特定部分に対しては,開閉サージを考慮する場合がある。開閉サージについてはIEC
61992規格群の該当する部に記載している。特に指示がない限り,開閉サージに対し考慮する
電圧レベルは,雷インパルスサージに対して記載されたものと同じである。
14
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表1−絶縁階級
Un
kV
UNe
kV
UNm
kV
OV
UNi
Ua
空間距離
(屋内装置)
空間距離
(屋外装置)
A
kV
B
kV
A
kV
B
kV
A
mm
B
mm
A'
mm
B'
mm
0.6
0.72
0.9
3
6
7.2
2.8
3.4
10
12
18
22
4
8
9.6
3.6
4.3
14
17
21
25
0.75
0.9
1.2
3
8
9.6
3.6
4.3
14
17
21
25
4
12
14.4
5.5
6.6
22
26
27
32
0.75
0.9
1.8
3
10
12
4.6
5.5
18
22
23
28
4
15
18
6.9
8.3
27
32
33
40
1.5
1.8
2.3
3
12
14.4
5.5
6.6
22
26
27
32
4
18
21.6
8.3
10
32
38
39
47
1.5
1.8
3
3
15
18
6.9
8.3
27
32
33
40
4
20
24
9.2
11
36
43
43
52
3
3.6
3.6
3
25
30
11.5
13.8
45
54
53
64
4
30
36
14
16.8
54
65
63
76
3
3.6
4.8
3
30
36
14
16.8
54
65
63
76
4
40
48
18.5
22.2
72
86
82
98
3
4.8
6.5
3
40
48
18.5
22.2
72
86
82
98
4
50
60
23
27.6
91
109
101
121
項目の説明
各項目に関する規定値の根拠
空間距離の項目の説明
Un :公称電圧
UNe:定格電圧
IEC 60850
(屋内装置)
A:対接地及び相互の距離
B:断路距離(該当する場合)
(屋外装置)
A'及びB'は,上記のA及びBと同じ
UNm:定格絶縁電圧
EN 50124-1のA.2
OV:過電圧カテゴリ
EN 50124-1の2.2.2.1
UNi :インパルス耐電圧
A:EN 50124-1のA.2
B:Aの1.2倍
Ua :商用周波耐電圧
A:EN 50124-1のB.1
B:Aの約1.2倍
A及びA'に対する空間距離はEN 50124-1の表A.3から引用したものであり,汚損度(EN 50124-1参照)PD4の
規定値を屋内装置に対する推奨値,PD4Aの規定値を屋外装置に対する推奨値としている。B及びB'の値は,各々
A及びA'の1.2倍である
注記1 過電圧カテゴリの選択について,UNmが2.3 kV以下の場合,通常はOV3で十分であると考えられる。
ただし,電車線に接続される屋外装置についてはOV4の適用が望ましい場合がある。
注記2 UNmが2.3 kVを超える場合は,トンネル内など,受渡当事者間でOV3を適用するよう取り決める場合
を除き,OV4の適用が望ましい。
注記3 指定のUnに対して複数の路線がある場合,特に第三,第四軌条方式及びライトレールシステムに対し
ては,低い方のカテゴリが望ましい。
15
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表1A−絶縁階級
単位 kV
Un
UNe
UNi
Ua
開路位置の
主接触子間
支持枠と
接地部の間a)
導電部と
接地部の間
0.75
0.75
−b)
−b)
−b)
2.5
1.5
1.5
12
15
20
5.5
3
3
−b)
−b)
−b)
10
注記 記号は,表1参照。
注a) 二重絶縁の装置に限る。
b) 他に取決めがない限り,試験値は規定しない。
4.2.2
情報
定格電圧,定格絶縁電圧(該当する場合)及びインパルス耐電圧(該当する場合)に関する情報は,受
渡当事者間の協定による(JIS E 2501-2の箇条7参照)。
5
標準特性及び前提条件
5.1
主回路に関する標準特性及びパラメータの前提条件
5.1.1
主要なパラメータに関する前提条件
5.1.1.1
脈動率
直流電流の最大脈動率は,三相全波整流器の最大脈動率とする。
脈動率のピーク値が高い場合,装置の責務に及ぼす影響の有無を確認するため,購入者は脈動率のピー
ク値を供給者に通知しなければならない。
注記 電圧値は,波形の脈動を考慮した実電圧の平均値である。
5.1.1.2
短絡電流のピーク
配電盤の入力又は出力端において,無視できる程度の微少なインピーダンスによる短絡故障が発生した
場合の短絡電流のピーク値は,一般に推定定常短絡電流の1.42倍と仮定される。配電盤から故障点までの
距離が長くなると,この値は小さくなる。
注記 要求される短絡電流のピーク値を達成するために,短絡電流Issの調整が必要な場合がある。
5.1.1.3
エネルギーが最大となる短絡
変電所から短絡点までの距離が長くなるにつれ,短絡回路の時定数は,電源時定数から線路時定数へと
徐々に変化する。短絡回路の時定数がこの二つの時定数のほぼ中間の値となる短絡点の近傍において,短
絡時のエネルギーが最大となる。
実際には,短絡電流Iss及び回路時定数tcが表2の値になると想定される位置で,エネルギーが最大にな
ると考えられる。
表2−最大回路エネルギーに対する試験回路パラメータ
定格線路時定数 TNc
ms
回路時定数 tc
ms
短絡電流 Iss
kA
63以上
0.5 ×TNc
0.5 ×INss
31.5
0.65×TNc
0.65×INss
16
0.8 ×TNc
0.8 ×INss
注記 INssは,5.1.2.2参照
16
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インダクタンスの大きい平滑リアクトルを使用すると,変電所近傍の短絡時にエネルギーが最大となる
可能性がある。
5.1.1.4
遠方故障短絡
一般に,試験において遠方故障短絡を模擬するため回路に与える電流値は,き電用遮断器の定格電流の
2倍,すなわち2×INeとする。
回路のインピーダンスは,主として線路自体のインピーダンスであるため,回路時定数は定格線路時定
数TNcであると仮定する。
5.1.2
短絡負荷
5.1.2.1
一般
定格短絡電流及び定格線路時定数に対する5.1.2.2及び5.1.2.3に規定する数値は,装置の特性を規定化す
るための推奨値である。可能ならば,指定の回路に対する計算値より大きな推奨値を適用するのが望まし
い。
5.1.2.2
定格短絡電流(INss)
推奨値を,次に示す。(単位kA)
20
31.5
40
50
63
75 1)
80
100
125
注記 Un=1.5 kVの場合は100 kA,Un=3 kVの場合は63 kAを上限として規定される。
注1) この値は一部の国で既に使用されており,継続して使用できる。新規設備に対する推奨値は80
kAとする。
5.1.2.3
定格線路時定数(TNc)
推奨値を,次に示す。(単位ms)
7.5 10 13.3 16 16.7 31.5 63 80 100 125 160 200
上記の値の内,点線の下線を付したものについては,表2Aに規定する定格短絡電流と組み合わせて適
用する。
注記 表2Aは,任意の定格短絡電流に対して特定の定格線路時定数との組み合わせを規定するもの
ではない。
表2A−規定回路条件の標準値
適用する
定格線路時定数 TNc
ms
組み合わせる
定格短絡電流 INss
kA
13.3
20
16.7
50
7.5
75
10
100
5.1.3
主回路の標準電圧
公称電圧Unに対する標準値は,IEC 60850に規定している。表1の定格絶縁電圧UNmに対する標準値は,
IEC 60850の表1に規定する連続最大電圧Umax1より大きくしなければならない。
IEC 60850の表1に規定する短時間最大電圧Umax2は,継続時間が300秒以内の電圧上限値として規定し
ているが,絶縁の損傷,フラッシオーバ又は危険な温度上昇が想定される場合,それを回避するためには
定格絶縁電圧UNmに対する標準値をUmax2より大きくしなければならない。
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5.1.4
主回路の標準定格電流(INe)
推奨値を,次に示す。(単位A)
400 630 1 000 1 600 2 000 2 500 3 000 3 150 4 000 5 000 6 000 6 300 8 000
5.2
補助回路及び制御回路の標準特性
主回路から独立した補助回路及び制御回路の推奨電圧を,表3に規定する。
表3−補助回路及び制御回路の推奨電圧
単位 V
項目
推奨電圧
交流
24
48
−
100
110
127
200
230/400
−
直流
24
48
60
100
110
125
−
220
440
補助回路及び制御回路以外の他の装置(例えば,コイルなど)の場合,購入者の特別な指示がない限り,
電圧の許容変動範囲は,定格電源電圧の85〜110 %とする。
500 Vを超える電圧で動作する補助回路は,JIS C 8269-1の規定によるヒューズ,又は同等の性能をもつ
他の手段によって保護しなければならない。
注記 監視用リレーはプラグイン形式とし,引出し可能部が誤って動かないようにするロック装置を
備え,また,開路・閉路などの状態を表示する装置に取り付ける場合を除き,適用可能な場合
は透明の不燃性カバーを備えることが望ましい。
6
温度上昇限度
箇条7によって実施する温度上昇試験において,測定される装置各部の温度上昇は,次の種別1又は種
別2のいずれかによる。種別1又は種別2のいずれを適用するかについては,受渡当事者間の取決めによ
る。
種別1
装置各部の温度上昇は,表4及び表5に規定する限度値を超えてはならない。
種別2
装置各部の温度上昇は,表4及び表5Aに規定する限度値を超えてはならない。
最高周囲温度が常に40 ℃以下の場合,受渡当事者間の取決めによって,これらの限度値を引き上げて
もよい。最高周囲温度が40 ℃を超えるような特殊条件については,予想される最高周囲温度と40 ℃との
差を温度上昇限度から減じなければならない。
注記 各装置の放熱が隣接する装置の正常な冷却に影響を及ぼすことがないように,又は熱伝導によ
って隣接する装置を加熱することがないように,注意しなければならない。
18
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表4−絶縁コイルの温度上昇限度
耐熱クラス
℃
抵抗法で測定した
温度上昇限度a)
K
105 (A種絶縁)
65
120 (E種絶縁)
80
130 (B種絶縁)
90
155 (F種絶縁)
115
180 (H種絶縁)
140
180(H種絶縁)を超える階級を適用する場合,その温
度上昇限度はJIS C 4003による。
注a) 抵抗法による測定ができない場合には,他の方法で
もよい。この場合,温度測定は温度計又は他の適切
な方法で行う。
表5−各種構成要素の温度上昇限度
構成要素
温度計で測定した
温度上昇限度
K
導電部
裸線コイル
105 a)
可とう接続
90
接触子
純銅(ばねによる接触)
35
黄銅又は青銅(ばねによる接触)
65
純銅又は銅合金(たわみのない接触)
75
銀板
100
他の金属又は焼結金属
b)
端子
外部接続端子
70 c)
注a) この値が隣接部の動作に悪影響を及ぼさない場合。
b) 採用する金属の特性によって定められる。また,自身及び隣接部に損傷
を与えてはならないという責務によって制限される。
c) 70 Kという温度上昇限度は,この規格群及びIEC 61992規格群の他の
部で扱う従来試験に基づく値である。実設備に対応する条件で使用又は
試験される材料は,試験に用いたものとは接続,形式,特性及び配置が
異なる場合がある。その結果得られる温度上昇限度は異なる可能性があ
り,受渡当事者間の取決めによることが望ましい。
19
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表5A−各種構成要素の温度上昇限度
構成要素
温度上昇限度
K
導電部a)
編導線
60
接触子
銅接触の場合b)
40
銀接触の場合b)
75
導体接続部c)
銅相互間
40
すず(錫)又は,はんだめっき相互間
60
銀めっき又は銀ばり相互間
65
端子
銅又はアルミニウム
40
すずめっき
45
銀めっき
65
注a) 編導線以外の導電部については,規定しない。
b) 銅接触とは,接触面が両面とも銅の場合,一方が銅で他方が銀めっ
き,又はその他の処理を施したものをいう。
銀接触とは,接触面が両面とも銀ばり,又はこれと同等以上の処
理を施したものをいう。
c) 導体接続部とは,一定の機械力で静的に締め付けられる部分であっ
て,銀ろう付などの部分は含まない。
装置の試験中,周囲温度が10〜40 ℃の間であれば,測定した温度上昇値を補正してはならない。周囲
温度がこの範囲外である場合は,測定した温度上昇値に対する補正の適用について,受渡当事者間で取り
決めなければならない。
なお,種別1又は種別2に規定する温度上昇限度を15 %以上超えるような温度は,他に取決めがない
限り危険な温度とみなす。
7
試験
7.1
一般
直流遮断器に適用する形式試験及び受渡試験,並びに試験手順の詳細については,JIS E 2501-2に規定
する。その他の直流開閉装置に関係する試験の詳細については,IEC 61992-3〜IEC 61992-6に規定する。
すべての試験において周囲温度を測定し,かつ,試験報告書に記録しなければならない。
JIS E 2501-2及びIEC 61992規格群に別途規定がなければ,試験対象の装置は個々のエンクロージャ
(3.3.13参照),又はそのエンクロージャ若しくは目的とした用途を模擬するエンクロージャの中に収めた
完全な組立品として試験しなければならない。
試験の分類及び試験を実施する上で従うべき一般的な手順は,特定の製品規格に規定し,この規格では,
適用範囲に規定する大部分の装置に共通する試験について規定する。
注記 JIS E 2501-2及びIEC 61992規格群の該当する部に調査試験について規定している。試験手順
又は新技術に関する知見を得て,それによって装置の将来的な用途の可能性について研究する
目的で,製造業者の主導又は受渡当事者間の取決めによって調査試験を実施してもよい。調査
試験の結果で,当該機器の受取拒否をしてはならない。
7.2
試験値の許容差
JIS E 2501-2及びIEC 61992の規格群において特に指示がない限り,試験値の諸量の許容差は,表6に
示す範囲内とする。
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表6−試験値の許容差
単位 %
物理量
許容差
電流
+10
0
電圧
+10
0
周波数
(適用する場合)
+5
−5
時定数
+30
0
7.3
可動装置の試験
7.3.1
機械的動作試験
機械的動作試験は,可動部のあるすべての装置に適用する。通常は受渡試験であり,試験場所の環境条
件で実施する。−5 ℃より低い周囲温度における動作を目的として設計された装置には追加試験が必要で
あり,発注時に受渡当事者間で取り決める。
この試験は,主回路に電流を流さずに行わなければならない。
試験では,限定された回数の動作(この規格群の該当する製品規格で規定する検証を行うために必要な
回数)を実施する。制御回路には定格電圧を供給し,電圧は制御回路の入力端子で測定する。
制御回路の一部となる抵抗及びインピーダンスはすべて接続しなければならない。ただし,電源と制御
回路端子の間には付加的なインピーダンスを接続してはならない。
この試験は,装置の正常な動作を証明し,かつ,それが開閉装置に要求される上下限の範囲内で規定さ
れた動作条件に適合することを証明するものである。
特殊な環境条件に対する形式試験が必要な場合,試験は規定の運転条件に対する最低及び最高の両方の
周囲温度で行わなければならない。この試験は,7.4の試験の直後に繰り返してもよい。
この試験は,規定の限度内で得られる最も過酷な電圧と温度との組合せで実施した場合でも,装置が満
足に動作することを保証するものである。
動作機構は,可能な限り環境条件で作動させなければならない。
7.3.2
電気的耐久性試験
電気的耐久性試験は,試験場所の環境条件で実施する形式試験である。試験は開閉機器及び関連の装置
について行わなければならない。
試験では,この規格群の該当する製品規格で規定する回数の動作サイクルを行わなければならない。
試験は,制御回路に定格電圧を供給した状態で行わなければならない。回路時定数(tc)が0.01秒であ
る回路において,定格電圧(UNe)において定格電流(INe),又は受渡当事者間で取り決めた場合は,温度
上昇試験電流(開放)(Ith)若しくは温度上昇試験電流(閉鎖)(Ithe)を遮断するように,試験対象の装置
を動作させなければならない。
動作機構は,可能な限り環境条件で作動させなければならない。
試験対象の装置は,機械的に完全に閉じて投入時の過渡電流が消滅し,かつ,遮断電流値が確立してい
ることを保証するのに十分な時間だけ閉じていればよい。
制御回路の一部となる抵抗及びインピーダンスはすべて接続しなければならない。ただし,電源と制御
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回路端子との間には付加的なインピーダンスを接続してはならない。
電気的耐久性試験の後,次の項目に耐えた場合,試験対象の装置は試験に合格したものとみなす。
a) 接触子について必要な調整及び保守をした後,7.4によって温度上昇試験をしたときに,箇条6の温度
上昇限度を超えずに定格電流(INe)を通電する。温度上昇試験は,保守を行わない状態で主回路の抵
抗値が試験前と比べて50 %を超えて増加した場合に限り必要となる。抵抗値をこの値より下げるた
めに若干の無負荷動作を行ってもよい。試験を実施した場合,接触子において更に10 Kの温度上昇を
許容する。
b) 定格電圧(UNe)の2倍の交流電圧を次の部分に加圧する。
1) 主回路と接地部との間
2) 開路位置にある主接触子間
試験後,正常動作が可能であり,かつ,前記に規定した電気的耐久性要求事項を満足する場合,試験対
象の装置は試験に合格したものとみなす。
7.3.3
機械的耐久性試験
機械的耐久性試験は,試験場所の環境条件で実施する形式試験である。
試験では,開閉機器及び関連の機械的装置について,この規格群の該当する製品規格で規定する回数の
動作サイクルを連続して行わなければならない。制御回路の電源電圧は,5.2で規定する限度内になければ
ならない。
制御回路の一部となる抵抗及びインピーダンスはすべて接続しなければならない。ただし,電源と制御
回路端子の間には付加的なインピーダンスを接続してはならない。
動作機構は,可能な限り5.2の標準特性で作動させなければならない。
機械的耐久性試験の後,該当する製品規格で規定される正常動作が可能な場合,試験対象の装置はこの
試験に合格したものとみなす。
7.4
温度上昇試験
7.4.1
一般
温度上昇試験は形式試験であり,最終的な設置条件を可能な限り再現するために試験所に設置した試験
装置で実施する。
コイル及び抵抗器には,その最大定格制御電圧(5.2参照)又は該当する場合は最大システム電圧Umax
(3.2.2参照)で電源を供給しなければならない。交流回路には,定格周波数で電源を供給しなければなら
ない。
接触子,リード線及びその他導電部は,定格電流又は開閉機器に対する温度上昇試験電流(開放又は閉
鎖)を通電可能でなければならない。
周囲温度を超える温度上昇は,温度が定常状態に達したときに読み取らなければならない。最大8時間
の試験期間において,温度変化が1時間につき1 K未満であれば,定常状態の必要条件を満足するものと
する。補助回路又は制御回路のコイル及び抵抗器で,その時定数の3倍以内の短時間は常時通電されるが,
その後長時間動作しないものについては,この試験において通電する必要はない。
7.4.2
周囲温度
周囲温度は,装置高さの中央,かつ,装置から約1 mの距離に均等に配置した2個以上の温度計又は温
度センサを用いて,全試験期間の最後の1/4の間測定しなければならない。温度計又は温度センサは,通
風及び装置の放熱の影響を受けないようにするとともに,急激な温度変化による表示誤差を避けるよう注
意しなければならない。
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7.4.3
主回路の温度上昇試験
一体形エンクロージャ(3.3.14参照)をもつ装置は,そのエンクロージャの中で試験を行わなければな
らない。
試験用導体の寸法は,試験報告書に記録しなければならない。
銅導体のケーブルを使用する場合は,定格電流(INe)に対して,次の電流密度を推奨する。
− INeが3 000 A以下:1.5 A/mm2
− INeが3 000 Aを超え6 500 A以下:1.3 A/mm2
− INeが6 500 Aを超え10 000 A以下:1.1 A/mm2
銅製バーを使用する場合の値は表7に示す。
屋外装置の試験において,温度上昇限度が箇条6で規定する値よりも30 K低い場合は,ケーブルの電流
密度及び銅製バーの寸法は表7に規定する値とは異なる(推奨寸法はIEC 61992-4参照)。
表7−銅製バーの推奨本数及び寸法
定格電流 INe
A
銅製バー
本数
断面
mm×mm
630〜 800
2
50×5
801〜1 000
2
60×5
1 001〜1 250
2
80×5
1 251〜1 600
2
100×5
1 601〜2 000
3
100×5
2 001〜2 500
4
100×5
2 501〜3 150
3
100×10
3 151〜4 000
4
100×10
4 001〜5 000
5
100×10
5 001〜6 300
6
100×10
6 301〜8 000
4
160×10
銅製バーは,断面寸法の長い方が垂直方向になるように配置することが望ましい。
主回路の温度上昇試験は定格電流(INe)で実施し,その後指定された過負荷又は温度上昇試験電流(開
放)(Ith)若しくは温度上昇試験電流(閉鎖)(Ithe)で行わなければならない。これらの電流値の選択は,
受渡当事者間の取決めによる。
主回路への仮接続は,試験中に大量の熱が主回路に出入りすることがないように行わなければならない。
主回路端子部及び仮接続部の温度上昇を端子から距離1 mの位置で測定し,その差が5 Kを超えてはなら
ない。
7.4.4
補助回路及び制御回路の温度上昇試験
連続運転を行う装置は,7.4.3の規定によって試験しなければならない。開閉動作中だけ通電される回路
は,使用時の通電時間に相当する通電を,5秒以内のインターバルで10回行わなければならない。
7.4.5
各構成要素の温度測定
コイルを除く充電部については,温度センサなどの適切な方法によって,外部から接近しやすい部分中
最高温度と推定される箇所にできるだけ近い位置で各装置の温度を測定しなければならない。導体及び接
続部については,近傍の絶縁物にできるだけ近い位置に温度センサを配置しなければならない。
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温度センサと測定部表面の間は,良好な熱伝導を確保しなければならない。
並列に接続されたコイルの温度測定については,抵抗法を適用しなければならない。抵抗法の適用が不
可能な場合に限り,他の方法を用いてもよい。温度上昇試験前に温度センサで測定したコイル温度と周囲
温度との差は,3 Kを超えてはならない。
7.5
耐圧試験
7.5.1
インパルス耐電圧試験
インパルス耐電圧試験は,特定の製品に対してこの規格群の該当する部で規定される場合に限り,形式
試験又は調査試験として行わなければならない。
この規格群の該当する部で特に規定がない限り,インパルス耐電圧試験では,主回路の充電部と接地に
接続された他のすべての導電部との間に,波頭長及び波尾長が1.2/50の正極波形を3回,その後負極波形
を3回印加しなければならない。波高値(UNi)は,4.2.1の種別1又は種別2によって選択しなければな
らない。
開閉機器については,個々の装置種類に対して規定された責務に従い,接触子間に対して同様の試験を
行わなければならない場合がある。この場合,開路位置において主回路の正極側にインパルス電圧を印加
し,残りの導電部はすべて接地に接続して実施する。
フラッシオーバが発生しなければ,製品は試験に合格したものとみなす。
注記 波頭長及び波尾長が1.2/50より長い波形による試験は,調査試験とみなされる。
7.5.2
商用周波耐電圧試験
一般に,商用周波耐電圧試験は受入試験である。周波数範囲が45〜62 Hzのほぼ正弦波形の試験電圧を
用いて試験を実施する(IEC 60060-1及びEN 50124-1のAnnex B参照)。
絶縁電圧レベルに対応する試験電圧Uaは4.2.1の種別1又は種別2で与えられ,次のように60秒間印加
する。
a) 開閉機器の場合,次に示す両方の条件について行う。
1) 閉路位置において,主回路と接地に接続されたその他すべての導電部との間に印加。
2) 開路位置において,一方の接触子とその他すべての充電部を接地に接続した状態で,接触子間に印
加。
b) その他すべての装置(要求事項の異なる避雷器は除く。)の場合,充電部と接地との間に印加する。
屋内に設置する装置は,乾燥状態で試験しなければならない。屋外に設置する装置は,形式試験として
湿潤状態で試験し,受渡試験として乾燥状態で試験する。
補助回路及び制御回路に対する試験電圧は2 000 Vとする。ただし,供給者と製造業者の取決めによっ
て2 000 Vより低い電圧でもよい。
注記 試験手順については受渡当事者間の取決めによるほか,IEC 60507を指針として用いてもよい。
7.6
短絡及び負荷開閉条件
7.6.1
短絡及び負荷開閉条件の試験回路
代表的な試験回路図を附属書Aの図A.1に,代表的な校正波形及び遮断時の波形例を図A.2に示す。
電源Sは,可変抵抗器R,可変リアクトルL及び試験対象Aで構成される回路に電力を供給する。
電源が発電機ではない場合,交流電源の最低周波数は50 Hz,コンバータの最小パルス数は6とする。
変電所故障を模擬する試験責務の場合,試験回路は図A.2の校正波形1に示す特性をもつピーク電流を
発生しなければならない。
リアクトルLは空心とし,抵抗器Rと直列に接続しなければならない。Lの値は,基本のリアクトルを
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直列につないで確保しなければならない。リアクトルの並列接続は,それが実用上同じ時定数をもつ場合
に限り許容する。
変電所遠方の故障を模擬する試験責務の場合,又は負荷電流若しくは過負荷電流を開閉する場合,試験
回路は規定の時定数において,図A.2の校正波形2に示す特性をもつ指数関数波形を発生しなければなら
ない。L及びRは開閉機器の負荷側端子に追加する必要がある。これは,試験所で常に可能であるとは限
らず,通常は交流側で若干の回路調整を行う。これは,インピーダンスの80 %以上が負荷側にある場合
に許容する。
エンクロージャ又は遮へい板を含め,通常は接地に接続されるような試験対象部分は,すべて接地から
切り離し,図A.1に示すように装置Dを介して試験対象を接続しない方の極性の導体に接続しなければな
らない。
装置Dは,ヒューズを内蔵しなければならない。ヒューズは,長さ50 mm,直径0.8 mmの銅線,又は
故障電流を検知する類似のヒューズ線を用いる。また,故障電流を1.5 kA以下に制限するための抵抗器を
設けなければならない。
注記 直径0.8 mmの銅線は,1.5 kAの直流電流の場合,0.01秒間で溶ける。
故障電流の推定定常値は,この値の故障電流である。
前記の構成と異なる試験回路は,すべて試験報告書に記録しなければならない。
7.6.2
試験実施の詳細
試験対象の装置は,電流がゼロになった後に再び電流を通じることなく試験電流を遮断しなければなら
ない。また,極間にフラッシオーバが生じてはならない。装置Dを動作させる電流が生じてはならない。
試験対象の装置は,機械的動作が継続可能な状態を維持しなければならない。接触子が焼損しても試験
対象の装置の正常な開路動作を妨げてはならない。
7.6.3
試験後の試験対象の装置の状態
試験実施後,機能面の損傷があってはならない。
試験の直後に,無負荷動作によって試験対象の装置の開閉が十分に行われることを確認する。
試験後,かつ,何らかの予備的な保守を行う前に,試験対象の装置は定格電圧(UNe)の2倍の実効値を
もつ交流電圧に60秒間耐えなければならない。負荷開閉器だけの代替手段として,購入者は直流電源を用
いて定格電圧(UNe)の1.1倍の電圧を60秒間印加したときの漏れ電流が2 mA以下であることを要求して
もよい。漏れ電流は,開路状態の接触子間,及び各端子とフレームとの間で測定しなければならない。
試験後に測定した主回路の抵抗値が,試験前の値と比較して大きく変化してはならない(増加分は50 %
以下とする)。
測定した主回路の抵抗値の増加分が,試験前の値の50 %を超えている場合,抵抗値をこの値より低く
するために数回の無負荷動作を行ってもよい。行わない場合は温度上昇試験を再度実施し,試験対象の装
置が試験に合格することを証明しなければならない。その場合,接触子において更に10 Kの温度上昇が生
じてもよい。
7.7
短時間耐電流試験時の特性検査
7.7.1
試験及び試験電流値
7.6.1によって校正した回路において,定格電圧(UNe)にて試験を行わなければならない。試験電流値
は,0.25秒間持続し,少なくとも定常値が定格短時間耐電流(INcw),ピーク値がINcwの1.42倍となる推定
電流とする。試験は対象の装置で繰り返し行わなければならない。
試験は,定格電圧(UNe)より低い直流電圧にて行うか,又は交流試験として実施してもよい。この場合,
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推定試験は不要であり,必要な試験電流値は試験中に実際に確認される値となる。
交流試験は2部に分かれている。最初の試験は,定格短時間耐電流(INcw)の1.42倍の非対称ピーク値
をもつ交流電流を15 ms以上のループ時間通電して行う。2番目の試験では,実効値を減らした交流電流
を使用し,ジュール積分I2t=I2Ncw×0.25を保つために通電時間を長くして(ただし,3秒以内)行う。
注記 必要なピーク値を得るため,短絡電流(Iss)の調整を要する場合がある。
7.7.2
試験条件
試験は,試験回路の開閉機器をすべて閉路位置にし,試験を行う周囲温度で行わなければならない。
7.7.3
試験実施の詳細
試験実施の詳細は,7.6.2の該当する規定によらなければならない。
遮断動作が発生せず,かつ,試験回路の開閉機器はすべて閉路を維持しなければならない。
7.7.4
試験後の試験対象の装置の状態
試験後,試験対象の装置の機械部分及び絶縁部分に重大な劣化があってはならない。
試験対象の装置は,7.6.3の該当する規定に適合しなければならない。
7.8
手動制御装置及び位置表示装置の信頼性の検査
7.8.1
試験を行う装置の状態
装置は,標準動作の場合と同じように設置しなければならない。最初に,開路動作に必要な力Fを測定
する。回転式装置の場合は,アクチュエータの先端に力を加える。試験の便宜のために力を加える位置を
回転軸の方に近づける場合,その位置で得られた力を開路動作力Fとする。
7.8.2
動作モード
試験対象の装置は,閉じていなければならない。試験が最も過酷であると考えられる極の固定接触子及
び可動接触子を,適切な手段によって接触させなければならない。次に,表8に規定する適切な力の限度
値をアクチュエータに加えなければならない。この力は衝撃のないように加え,10秒間維持しなければな
らない。
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表8−試験用の力又はトルクの値
No
動作の種類
例
規定の力
通常値
限度値
最小
最大
1
指1本又は2本による移動
押しボタン
3 F
50 N
−
2
手全体による移動
サイドレバー
3 F
100 N
500 N
3
手全体による引張り
サイドレバー
3 C/D
150 N
650 N
4
指による回転
− 直径25 mm未満
− 直径25 mm以上
ぎざ付きノブ
3 C/D
3 C/D
25 N
50 N
−
−
5
横に握っての回転
矢形ノブ
3 C/L
50 N
−
6
手全体で握っての回転
腕木
3 C
5 Nm
−
7
片手持ちのレバーによる回転
ラッチ
3 F
100 N
500 N
8
両手持ちの対称部品による回転
ホイール又はレバー
3 F
150 N
650 N
通常値記号の意味は,次による。
C 通常の開路動作に必要なトルク
D アクチュエータの直径
F 通常の開路動作に必要な,制御部品の軸に直角に加える力
L アクチュエータの長さ
注記 通常値が最小限度値を下回る場合,この最小値で試験を実施する。通常値が最大限度値を超える場合(最
大限度値が規定されている場合に限る。),この最大値で試験を実施する。
7.8.3
前記試験後の試験対象の装置の状態
試験後及びアクチュエータの力を除去した後,アクチュエータ,開路・閉路などの状態を表示する装置
に損傷があってはならない。
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附属書A
(参考)
試験回路図
A.1 代表的試験回路図
短絡及び負荷開閉条件の回路図を図A.1に,校正波形及び遮断時の波形例を図A.2に示す。
V
電源電圧測定
S
直流電源
RS
電源側の可変抵抗器
LS
電源側の可変リアクトル
RL
負荷側の可変抵抗器
LL
負荷側の可変リアクトル
A
試験対象の装置
B
校正用の仮接続
O1
電流測定用オシログラフ
O3
アーク電圧及び回復電圧測定用オシログラフ
D
フレーム故障電流検知装置
T
接地との接続(行う場合)
C
電流センサ
図A.1−短絡及び負荷開閉条件による投入及び遮断容量を確認するための試験回路図
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Icut off
Id
Îss
Iss
ta
tb
ti
カットオフ電流(3.2.19)
引外し装置の最大電流整定値(3.4.20)
Issのピーク(3.2.18)
短絡電流(3.2.16)
アーク時間(3.4.23)
遮断時間(3.4.24)
開極時間(3.4.22)
tc
Ur
UNe
Ûarc
t0
t1
回路時定数(3.2.20)
回復電圧(3.2.8)
定格電圧(3.2.4)
最大アーク電圧(3.2.9)
開極時間の開始時刻(3.4.25)
電流が消滅した時刻(3.4.25)
図A.2−短絡及び負荷開閉条件における代表的な校正波形及び遮断時の波形例
(2種類の校正波形を示す。)(7.6参照)
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附属書B
(規定)
屋内装置の環境条件
B.1
一般
運転時の標準と考えられる環境条件のほか,指定される地理的又は設置上の条件においてよくみられる
特殊条件について規定する。
ここに規定する条件は,この規格に関する装置の大部分を代表する屋内装置に適用する。屋内条件には
汚損がない,非導電性のほこりがある,過大な湿度及び結露がなく十分に保護されるといった特徴がある。
なお,購入者が指定しなければならない屋外条件における電圧レベル及び空間距離についても規定する。
いずれにしても,屋外用負荷開閉器及び屋外用接地開閉器についてはIEC 60913(屋外に設置する避雷器
及び電圧リミッタについては,IEC 60913が適用される線路の設備を除く。),IEC 60099-1及びIEC 60099-4
を参照する。
B.2
気圧及び標高
装置は,標高が海抜1 000 m以下の場所に設置されるものとする。
より標高の高い場所に設置する場合,低地の試験所で実施する温度上昇試験及び耐圧試験においては,
受渡当事者間で取り決めた温度上昇値及び耐電圧試験値の補正を考慮しなければならない。
B.3
温度
屋内装置は,次の周囲温度に適合しなければならない。
Θmin
動作中の最低周囲温度
−5 ℃
Θts
輸送及び保管中の最低周囲温度
−25 ℃
Θmxts
輸送及び保管中の最高周囲温度
55 ℃
Θd
日平均の最高周囲温度
35 ℃
Θa
絶対最高周囲温度
40 ℃
前記と異なる条件は,すべて受渡当事者間で取り決めなければならない。
B.4
大気条件
屋内では,空気は清浄であるとする。相対湿度の範囲は,45〜85 %とする。ただし,盤内部は,高湿度
になることもあり得るが,結露は,通常発生しないものとする。
異なる状況が発生しやすい場合,そのような屋内設備の特殊状況について供給者に注意を促さなければ
ならない。
始動時に湿度が100 %になることがある。これは指定が必要な特殊動作であり,故障又は誤動作を防止
するための適切な措置について,受渡当事者間で取り決めなければならない。
屋外では,低導電性のほこりがた(溜)まることが予想される。また,雨,雪,氷及び霧による湿度も
予想される。
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B.5
換気
装置を設置する空間の換気は,周囲温度をB.3に規定する限度値以下に保つものでなければならない。
B.6
汚染
周囲の空気のじんあい,煙,腐食性又は可燃性の気体・蒸気,塩分による汚染は,無視できる程度とす
る。
注記 本体の表1に規定する空間距離の数値においては,適度の汚損を考慮している。
前記の規定から逸脱する場合は,すべて指定しなければならない。空間距離及び沿面距離については,
受渡当事者間で取り決めなければならない。
B.7
振動
列車振動に対する耐久性が要求される場合,装置は,列車通過時の主要な振動を減衰させるように設計
された,線路近傍の基礎上に設置可能なものとする。ただし,限定的な振動が装置に影響を及ぼす可能性
があり,表B.1に規定する特性をもつ10 Hzの正弦波振動を個々に加えた場合でも,十分に動作可能でな
ければならない。
表B.1−正弦波振動の限度
方向
最大加速度
標準継続時間
垂直
5 m/s2
30秒間
水平
5 m/s2
30秒間
地震に対する耐久性(耐震性)が要求される場合,装置の架台下端に水平加速度2.94 m/s2(0.3 g),共
振周波数の正弦波3波を突印したときの加圧力に対して,がいしなどの破損を起こさないように,本体及
び架台は十分な強度がなければならない。ただし,機器の固有振動数が0.5 Hz未満又は10 Hz超過の場合
は,0.5 Hz又は10 Hzの正弦波とする。
列車振動及び地震に対する耐久性の検証試験は,他に取決めがない限り,調査試験として実施する。
前記と異なる条件はすべて指定しなければならない。
B.8
火災危険区域
危険度合いによる等級の要求事項は,次による。
− F0 特に火災の危険性は想定されていない。装置の設計に固有の特性を除き,可燃性を制限するため
の特別な対策は考慮しない。これは標準条件である。
− F1 火災の危険性がある装置であり,可燃性の制限が必要である。他に定めがない限り,受渡当事者
間で取り決めた規定時間内に自己消火しなければならない(エネルギー消費が無視できるような
わずかな燃焼は許容する)。有毒物質及び不透明な煙の発生は最小限にしなければならない。燃焼
する原材料及びその生成物は実質上ハロゲンを含んではならない。また,外部火災を助長するよ
うな熱エネルギー量を制限しなければならない。これは特殊条件である。
− F2 特別な対策によって,装置が外部火災にさらされた場合でも規定の時間は動作が可能でなければ
ならない。また,前記のF1等級の要求事項にも適合しなければならない。これは特殊条件であ
る。
31
E 2501-1:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(規定)
直流遮断器及び開閉器に関する臨界電流の調査方法
C.1 一般
気中遮断器に関する臨界電流とは,アーク時間が最長となる小電流をいう。これは,アーク電流によっ
て発生する磁場が弱く,アークシュート内において発生点から消滅点までのアークの動きが遅くなること
による。
C.2 一方向遮断器及び開閉器
この要求事項は,一方向だけの電流遮断が必要な開閉機器に適用する。種類U1及びU2のき電用遮断器
(L)に適用される。
開路試験は,定格電圧(UNe)及び0.01秒以上の回路時定数において,次に規定する電流で行わなけれ
ばならない。
25 A,50 A,100 A,200 A及び400 A
回路の負荷インダクタンスが50 mH以上であれば,時定数を小さくしてもよい。受渡当事者間の取決め
によって,50 mH未満のインダクタンスを用いてもよい。
最小値から開始し,各電流値において10回の開路動作が必要である。
試験開始前において,アークシュートには残留磁気がないことが望ましい。
電流の正確な値は重要ではなく,各試験電流値が一つ前の試験のおよそ2倍であればよい。
アーク時間は,各電流値においてばらつきが大きいと考えられる。
電流に対するアーク時間の分布を図示するために,結果をグラフにプロットすることが望ましい。試験
電流の範囲内に,ある程度の幅をもつ臨界電流の存在が示される場合がある。その場合,試験電流範囲の
最大値及び最小値におけるアーク時間が,臨界時のアーク時間より短いことを示さなければならない。臨
界電流が存在すると思われる場合,1/2又は2倍の係数を用いて試験電流範囲を拡大することが必要にな
る場合がある。
C.3 両方向遮断器及び開閉器
この要求事項は,常時,両方向電流の遮断が必要な開閉機器に適用する。
最初に臨界電流を確定するため,一方向開閉機器として開路試験を行わなければならない。
遮断器の場合は,ある方向の残留磁気をアークシュート内に生成するため,1 000 Aを超える電流を遮断
する。遮断能力がある負荷開閉器の場合は,1 000 Aを超える電流,又は定格遮断電流が1 000 A未満の場
合はその電流を遮断する。
次に,先の大電流とは逆方向の臨界電流において,開路動作を行わなければならない。
5回の開路動作を実施した後,全体の手順を繰り返す。これによって,10回の遮断の間,アークシュー
トを確実に小電流遮断と逆方向に磁化しておく。
さらに,試験電流値を1/2及び2倍にして同様に各10回の開路動作を行う。その結果,アーク時間が長
くなる場合は,アーク時間が短くなることが示されるまで,更に試験を重ねなければならない。そのつど,
試験電流値を1/2又は2倍にしなければならない。
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E 2501-1:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
逆方向の残留磁気が及ぼす悪影響によって,アーク時間が一方向時より長くなることがある。
また,臨界電流より小さい電流では残留磁気を除去する効果が弱く,アーク時間が長くなることがある。
参考文献
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
注記 対応国際規格:IEC 60529:2001,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code) (IDT)
JIS E 2001 電車線路用語
注記 対応国際規格:IEC 60913,Electric traction overhead lines (MOD)
IEC 60050-441:1984,International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter 441:Switchgear,controlgear and
fuses
IEC 60050-811:1991,International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter 811: Electric traction
IEC 60060-1:1989,High-voltage test techniques−Part 1: General definitions and test requirements
IEC 60099-1,Surge arresters−Part 1: Non-linear resistor type gapped surge arresters for a.c systems
IEC 60099-4,Surge arresters−Part 4: Metal-oxide surge arresters without gaps for a.c. systems
IEC 60507,Artificial pollution tests on high-voltage insulators to be used on a.c. systems
3
3
E
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5
0
1
-1
:
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1
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:
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS E 2501-1:2010 鉄道用地上設備−直流開閉装置及び制御装置−第1部:通則
IEC 61992-1:2006,Railway applications−Fixed installations−DC switchgear−Part 1:
General
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1適用範囲
1
一致
2引用規格
2
3用語及び
定義
用語及び定義
3
JISにほぼ同じ
削除
追加
JISにする部分(第1部,第2
部)と関連性の薄い用語を削除
した。これに伴い,箇条番号を
一部修正した。
3.4.3直流真空遮断器及び3.5試
験に関する用語を追加した。
技術的な差異はない。
4使用条件
4.2 絶縁階
級
定格電圧,試験電
圧値などを規定
4
4.2
JISにほぼ同じ
選択
従来の国内規格の規定値を追
加し,選択可能とした。
従来の国内規格との整合のため。国
内の既製品は公称電圧と定格電圧
が等しい場合が多く,公称電圧より
高い定格電圧に基づいて試験を行
うと,問題が生じる可能性がある。
また,インパルス耐電圧の試験値に
ついては従来の国内規格の方が厳
しく,これをクリアしないと問題が
生じる可能性がある。
WTO/TBT例外事項。
4.2.2 情報
取り交わすべき情
報を規定
4.2.2
JISに同じ
追加
定格絶縁電圧及びインパルス
耐電圧については,該当する場
合とした。
−
3
4
E
2
5
0
1
-1
:
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0
1
0
3
4
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0
1
-1
:
2
0
1
0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5標準特
性及び前
提条件
5.1.2
5.1.4
5.2
標準の短絡負荷を規
定
標準の定格電流を規
定
制御回路などの電源
電圧を規定
5.1.2
5.1.4
5.2
JISにほぼ同じ
選択
選択
選択
従来の国内規格の規定値及び
回路条件を追加し,選択可能と
した。
同上
同上
従来の国内規格との整合のため。
次期改正時に,必要な値の追加を
IECに提案する。
同上
同上
6温度上
昇限度
試験時の温度上昇限
度値を規定
6
JISにほぼ同じ
選択
従来の国内規格の規定値を追
加し,選択可能とした。
従来の国内規格との整合のため。国
内の既製品はより厳しい限度値に
基づいて製造されており,これをク
リアしないと問題が生じる可能性
がある。
WTO/TBT例外事項。
7試験
7.1
直流開閉装置の試験
項目及び方法を規定
7
7.1
JISにほぼ同じ
変更
削除
注記1を本文にて規定した。
注記2を削除した。
−
附属書A
附属書A JISに同じ
変更
規定の附属書を参考とした。
従来の国内規格との整合のため。
附属書B
B.1
B.2
環境条件に関する一
般事項
標高の標準条件
附属書B
B.1
B.2
JISにほぼ同じ
削除
変更
IEC規格から次の文章を削除
した。
“ここに示す環境条件は,IEC
60721規格群に基づいている”
標高の標準条件を“−120〜1
400 m”から“1 000 m以下”に
変更した。1 000 mを超える場
合は温度上昇限度などの補正
が必要となり,より厳しい条件
となる。
以降の変更を行う結果として,左記
の文章にそぐわなくなるため。
必要によってIECに提案する。
高圧開閉装置の共通仕様を定めた
IEC 60694の標高条件を適用した。
既存の国内規格とも一致する。
次期改正時にIECに提案する。
3
5
E
2
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1
-1
:
2
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:
2
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1
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
B.4
湿度の標準条件
B.4
変更
“相対湿度は45〜85 %,結露
は通常発生しないこと”とし
た。
国内の気候条件を考慮し,他の国内
規格を参考に規定を変更した。
WTO/TBT例外事項。
B.6
B.7
周囲環境の汚染に関
する条件
機械的振動に関する
条件
B.6
B.7
変更
追加
“周囲の空気のじんあい,煙,
腐食性又は可燃性の気体・蒸
気,塩分による汚染は,無視で
きる程度とする”とした。
耐震性に関する国内規定を調
査試験として追加した。
IEC規格で規定する“IEC 60721の
レベル1を超える汚染”の内容が明
確ではないことから,他の国内規格
を参考に規定を変更した。
必要によってIECに提案する。
国内特有の事情による。
WTO/TBT例外事項であるが,耐震
性が必要な場合がある旨を注記と
して追加するよう,IECに提案す
る。
附属書C
附属書C
一致
附属書D
削除
対応国際規格の附属書を不採
用とした。
参考情報であり,必要性が小さいと
判断されたため。
附属書E
削除
対応国際規格の附属書を不採
用とした。
参考情報であり,必要性が小さいと
判断されたため。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価: IEC 61992-1:2006,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD………………国際規格を修正している。