D 9419:2010
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 部品名称 ························································································································· 3
5 強度······························································································································· 3
6 硬さ······························································································································· 3
7 性能······························································································································· 3
8 構造······························································································································· 6
9 試験方法 ························································································································· 6
9.1 接合部又は圧入結合部の強度試験······················································································ 6
9.2 ハブギヤ,ユニットハブ及びコースタハブの駆動部の強度試験 ··············································· 6
9.3 ハブの動的強度試験 ······································································································· 7
10 形状及び寸法 ················································································································· 7
11 めっき又は防食処理 ········································································································ 8
12 外観 ····························································································································· 8
13 製品の呼び方 ················································································································· 9
14 表示 ····························································································································· 9
附属書A(参考)ISO 6697によるハブ及びフリーホイール ·························································· 20
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 22
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人自転車産
業振興協会(JBPI)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき
との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS D 9419:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格 JIS
D 9419:2010
自転車−ハブ
Bicycles−Hubs
序文
この規格は,1996年に第4版として発行されたISO 4210,1994年に第1版として発行されたISO 6697,
1989年に第2版として発行されたISO 6698,及び2002年に第2版として発行されたISO 8098を基に,対
応する部分(強度,性能及び構造の一部)については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更すること
なく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業規格として
追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,主にJIS D 9111に規定する一般用自転車,幼児用自転車及び電動アシスト自転車に用いる
ハブについて規定する。ただし,電動アシスト自転車の駆動補助装置がハブに組み込まれているもの及び
電動アシスト自転車のうち三輪車に用いるものには適用しない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 4210:1996,Cycles−Safety requirements for bicycles
ISO 6697:1994,Cycles−Hubs and freewheels−Assembly dimensions
ISO 6698:1989,Cycles−Screw threads used to assemble freewheels on bicycle hubs
ISO 8098:2002,Cycles−Safety requirements for bicycles for young children(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0205-1 一般用メートルねじ−第1部:基準山形
注記 対応国際規格:ISO 68-1:1998,ISO general purpose screw threads−Basic profile−Part 1: Metric
screw threads (IDT)
JIS B 0205-2 一般用メートルねじ−第2部:全体系
JIS B 0205-3 一般用メートルねじ−第3部:ねじ部品用に選択したサイズ
JIS B 0205-4 一般用メートルねじ−第4部:基準寸法
JIS B 0209-1 一般用メートルねじ−公差−第1部:原則及び基礎データ
2
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注記 対応国際規格:ISO 965-1:1998,ISO general-purpose metric screw threads−Tolerances−Part 1:
Principles and basic data (IDT)
JIS B 0209-2 一般用メートルねじ−公差−第2部:一般用おねじ及びめねじの許容限界寸法−中(は
めあい区分)
JIS B 0209-3 一般用メートルねじ−公差−第3部:構造体用ねじの寸法許容差
JIS B 0225 自転車ねじ
JIS B 1511 転がり軸受総則
JIS C 9502 自転車用灯火装置
注記 対応国際規格:ISO 6742-1:1987,Cycles−Lighting and retro-reflective devices−Photometric and
physical requirements−Part 1: Lighting equipment (MOD)
JIS D 9111 自転車−分類及び諸元
JIS D 9301 一般用自転車
JIS D 9302 幼児用自転車
JIS D 9414 自転車−ブレーキ
JIS D 9418 自転車−フリーホイール及び小ギヤ
JIS D 9420 自転車−スポーク及びニップル
JIS D 9428 自転車用ディレーラ
JIS H 8617 ニッケルめっき及びニッケル−クロムめっき
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験−試験方法
3
種類
ハブの種類は,構造及び用途によって区分し,表1による。
表1−ハブの種類
種類
図番号
構造
用途
普通前ハブ
前車輪用
図5 a)
前クイックレリーズハブ
図6 a)
前ハブブレーキ
図7 a)
ハブダイナモa)
図11
普通後ハブ
後車輪用
図5 b)
後クイックレリーズハブ
図6 b)
後ハブブレーキ
図7 b)
ハブギヤ
図8
ユニットハブb)
図9
コースタハブ
図10
注a) 発電機能を備えたハブ。
b) フリーホイールと一体構造のハブ。
3
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4
部品名称
ハブの部品名称を,図5〜図11に示す。
5
強度
ハブの強度は,次による。
a) 各部を接合又は圧入結合によって一体としたハブは,9.1の試験を行ったとき,接合部又は圧入結合部
に動きなどの異常があってはならない。ただし,ハブわんを除く。
b) ハブブレーキに用いるワイヤの強度は,JIS D 9414の規定による。また,ハブギヤに用いるワイヤの
強度は,JIS D 9428の規定による。
c) ハブギヤ,ユニットハブ及びコースタハブは,9.2の試験を行ったとき,駆動部に破損があってはなら
ない。
なお,ハブギヤは,各段ごとに9.2の試験を行ったとき,駆動部に破損があってはならない。
d) コースタハブは,ハブ軸及びブレーキアームを固定し,駆動体に制動方向に150 N・mのトルクを加え
たとき,制動部,その他の部分に破損があってはならない。
e) クイックレリーズハブは,カムレバーの先端から5 mmの位置に250 Nの操作力を締付け方向に加え,
カムレバーを固定位置に操作したときに,各部に破損又は著しい永久変形を生じてはならない。
6
硬さ
ハブの各部の硬さは,JIS Z 2245によって試験を行ったとき,表2の規定に適合しなければならない。
表2−ハブの各部の硬さ
部品又は箇所
硬さ
部品又は箇所
硬さ
玉押し部の玉当たり部a)
52 HRC以上 ハブギヤのラチェット部,リング
ギヤ,太陽歯車及び遊星歯車
72 HRA以上
ハブギヤ及びユニットハブのつめ
75 HRA以上
ハブわんの玉当たり部又は相当部a) 72 HRA以上 コースタハブのクラッチコーン,
ブレーキコーン,スクリューコー
ン及びブレーキホルダ
フリー小ギヤの玉当たり部
65 HRA以上 ギヤ台及びフリー小ギヤのラチェ
ット部
フリー小ギヤの歯
70 HRA以上 つば
35 HRC以下
注a) 転がり軸受を用いるものは,JIS B 1511の規定による。
7
性能
ハブの性能は,次による。
a) ハブは,回転が円滑で,ハブ体とハブ軸との間に著しいがたがあってはならない。
b) ハブは,ハブ軸を固定して,ハブ体を回転させたとき,つば先端の縦振れ及びつば先端とスポーク穴
との間の位置における横振れは,表3による。
4
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表3−ハブの縦振れ及び横振れ
単位 mm
種類
縦振れ
横振れ
ハブブレーキ
0.8以下a)
0.6以下
ハブギヤ及びハブダイナモb)
0.6以下
0.6以下
上記以外のハブ
0.3以下
0.5以下
注a) ブレーキドラムのつば先端の縦振れとする。
b) アルミ鍛造品で,表面を切削仕上げをしていないもの
は除く。
c) コースタハブは,使用状態に組み付けたとき,JIS D 9301又はJIS D 9302の制動性能の規定に適合し
なければならない。
d) ハブブレーキは,JIS D 9414のハブ部を制動するブレーキの性能の規定に適合しなければならない。
e) ハブダイナモの発電機能にかかわる性能は,JIS C 9502の規定に適合しなければならない。
f)
フリー取付けねじ部,又はブレーキ取付けねじ部がある後車輪用のハブは,図1のように測定したと
き,測定箇所における横振れ及び縦振れは,それぞれ0.3 mm以下でなければならない。
単位 mm
図1−フリー取付けねじ部及びブレーキ取付けねじ部の振れの測定
g) ユニットハブの各部の振れは表4,ハブギヤ及びコースタハブの駆動体の振れは,表5による。
表4−ユニットハブのギヤ台及びフリー小ギヤの振れ
単位 mm
区分
測定箇所 ハブ軸及びハブ体を
固定し,ギヤ台又は
フリー小ギヤを回転
させた場合
ハブ軸を固定し,ギヤ
台又はフリー小ギヤ
を停止し,ハブ体を回
転させた場合
両測定値の和
横振れ
縦振れ
横振れ
縦振れ
横振れ
縦振れ
ギヤ台
小ギヤ付きの
もの
歯底部
0.3以下
0.4以下
0.3以下
0.4以下
0.5以下 0.7以下
小ギヤ付きで
ないもの
図2に示
す箇所
フリー小ギヤ
歯底部
0.4以下
0.4以下
0.3以下
0.7以下 0.6以下
5
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単位 mm
図2−ギヤ台の振れの測定
表5−ハブギヤ及びコースタハブの駆動体の振れ
単位 mm
区分
測定箇所
横振れ
縦振れ
駆動体
小ギヤ付きのもの
歯底部
0.4以下
0.4以下
小ギヤ付きでないもの 図3に示す箇所
注記 振れの測定は,測定具を駆動体に取り付け,ハブ軸を固定し,ハブ体を停止し,小ギヤ
又は測定具を回転させて測定する。ただし,コースタハブでは,軸を固定し駆動方向に
回転させて測定する。
単位 mm
図3−駆動体の振れの測定
h) 図4に示す玉押しの外周軸線とねじ穴軸線との偏心は,0.3 mm以下とする。
図4−玉押しの外周軸線とねじ穴軸線との偏心
6
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i)
ハブは,9.3の試験を行ったとき,玉当たり部,その他のすれ合う部分に,はく離,著しい磨耗,その
他有害な欠点を生じてはならない。
j)
コースタハブは,駆動体の逆転が1/3回転以内で制動が効き始め,正転したときに制動が解除されな
ければならない。
k) ユニットハブのがたは,ハブ体を固定し,小ギヤの歯に軸方向の力を加えて動かしたときに,歯底側
面で0.3 mm以下とする。ただし,小ギヤ付きでないハブの測定位置は,半径25 mmの位置とする。
l)
クイックレリーズハブの性能は,次による。ただし,カムレバーの操作力は,先端から5 mmの位置
に加える。
1) カムレバーを操作してフレームに車輪を固定するときに,適正な車輪固定力を得るための操作力は,
200 N以下でなければならない。
2) クイックレリーズハブを使用した前車輪及び後車輪のフレームへの固定力は,JIS D 9301の規定に
よる。
3) 固定位置にあるカムレバーを操作して車輪の締付けを解除するのに必要な操作力は,50 N以上でな
ければならない。
8
構造
ハブの構造は,次による。
a) つばのスポーク穴は,左右半ピッチずつずれて交互にあいていなければならない。ただし,つばの形
状,大きさ又はスポーク穴の形状によっては,適宜にずれてもよい。
b) つばのスポーク穴には,面取りを施す。ただし,軽合金製のつばは,この限りでない。
c) ハブギヤは,使用状態に組み付けたとき,歯数比の切換えが確実で,かつ,作動が円滑でなければな
らない。
d) 小ギヤ付きのハブは,JIS D 9418に規定する小ギヤを用いる。
e) ハブに使用する鋼球は,JIS D 9418の附属書Bに規定する鋼球,又はこれと同等以上の性能をもつも
のを用いる。
f)
クイックレリーズハブは,適正な車輪固定力が得られるように調整できなくてはならない。また,カ
ムレバーは,形状及び表示によって装置が車輪を固定する状態であるか否かを容易に識別できる構造
でなくてはならない。
9
試験方法
9.1
接合部又は圧入結合部の強度試験
ハブの片側のつば部を固定し,もう一方のつば部に普通前ハブは10 N・m,普通前ハブを除くハブは35 N・
mのトルクを加えたとき,接合部又は圧入結合部の動きなどの異常の有無を調べる。
9.2
ハブギヤ,ユニットハブ及びコースタハブの駆動部の強度試験
ハブ体の右つば部を固定し,駆動体,ギヤ台又はフリー小ギヤ1) に,駆動方向に200 N・m(幼児用は
100 N・m)のトルクを加えたとき,駆動部の破損の有無を調べる。ただし,左つば又はハブ体を固定して
もよい。
なお,歯数が20未満のフリー小ギヤ付きのハブは,ハブ体の右つば部を固定し,フリー小ギヤにチェー
ンを掛けて,駆動方向に5 kN(幼児車用は2 kN)の力で引っ張る。
注1) ギヤ台と小ギヤとが一体になった構造のもの。
7
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9.3
ハブの動的強度試験
ハブ軸を固定し,前車輪用ハブはハブ体に1 200 Nの力をかけ,後車輪用ハブはハブ体に1 800 Nの力を
かけ,毎分250回で10万回転し,試験後,玉当たり部,その他のすれ合う部分に,はく離,著しい磨耗,
その他有害な欠点がないか調べる。
10 形状及び寸法
ハブの形状及び主な寸法の例を図5〜図11及び附属書Aに,つばのスポーク穴部の寸法は表6による。
なお,許容差の記入がない寸法は,推奨寸法を示す。
ねじは,JIS B 0225の規定による。また,JIS B 0205-1〜JIS B 0205-4の規定によるねじを用いてもよい。
その許容限界寸法及び公差は,JIS B 0209-1〜JIS B 0209-3に規定する公差域クラス6H/6g以上とする。
なお,ハブにフリーホイール及びブレーキを取り付ける部分のねじは,JIS B 0225のBC1.37とする。た
だし,受渡当事者間の協定によって,JIS D 9418の附属書Aに規定するねじを用いてもよい。
表6−スポーク穴部の寸法
単位 mm
a) 引掛け穴
穴部
板厚
t
適応するスポ
ークの呼びb)
用途
材料
a
b
4.5 2.0 +0.4
0
2.3又は2.5 No.15
No.14/15
後車輪用ハブ 鋼製
3.0又は3.4
軽合金製
2.3
2.3又は2.5 No.14
No.14/15
鋼製
3.0又は3.4
軽合金製
4.7 2.5
2.3又は2.5 No.13
鋼製
3.0又は3.4
軽合金製
5.4 2.8
2.3又は2.5 No.12
鋼製
3.0又は3.4
軽合金製
注a) A−A′断面の面取り部の形状は,b)通し穴の図による。
b) JIS D 9420による。
8
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表6−スポーク穴部の寸法(続き)
単位 mm
b) 通し穴
穴径
d
面取径
D
面取角
α°
板厚
t
適応するスポ
ークの呼び
用途
材料
2.3 +0.4
0
3.5
105
2.3又は2.5 No.15
No.15/16
前車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4
軽合金製
3.5
105
2.3又は2.5
後車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4
軽合金製
2.5
3.5
105
2.3又は2.5 No.14
No.15/16
前車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4 No.14
No.15/16
前車輪用ハブ 軽合金製
4.0
105
2.3又は2.5
後車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4
軽合金製
2.8 +0.4
0
4.0
105
2.3又は2.5 No.13
前車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4
軽合金製
4.0
105
2.3又は2.5
後車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4
軽合金製
3.1 +0.4
0
4.5
105
2.3又は2.5 No.12
前車輪用ハブ 鋼製
−
−
3.0又は3.4
後車輪用ハブ 軽合金製
11 めっき又は防食処理
ハブのめっき又は防食処理は,次による。
a) ニッケルめっき又はニッケル−クロムめっきを施したハブは,JIS H 8617に規定する2級以上とする。
ただし,かど部,ねじ部及びめっき後加工を施した部分には適用しない。
b) 組立後,外部に現れるめっきを施さない部分には,適切な防食処理を施さなければならない。ただし,
耐食性材料を使用する場合はこの限りでない。
12 外観
ハブの外観は,次による。
a) めっきを施した面には,著しいきず,素地の露出,素地の研磨不良,はがれ,さび,その他著しい欠
点があってはならない。
なお,組立後,外部に現れる部分には,めっきむらがあってはならない。
b) めっきを施さない面には,さび,割れ,著しいきず,その他の著しい欠点があってはならない。
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c) 各部に鋭い先端,著しいばり,かえりなどがあってはならない。
d) マーク類には,打刻不良,位置ずれ,色むら,かすれ,その他の著しい欠点があってはならない。
13 製品の呼び方
製品の呼び方は,規格番号又は“自転車−ハブ”(名称)及び種類による。
例1 JIS D 9419 普通前ハブ
例2 自転車−ハブ コースタハブ
14 表示
ハブには,ハブ体の表面に刻印するなどの容易に消えない方法で,次の事項を表示する。
a) 製造業者名又はその略号
b) 製造年月又はその略号
なお,ハブダイナモには,このほかに定格電圧 (V) 及び定格出力 (W) を表示する。ハブダイナモの定
格電圧及び定格出力の表示の例を,次に示す。
例 6 V−3 W
単位 mm
a) 普通前ハブ
図5−普通前ハブ及び普通後ハブ(一例)
10
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単位 mm
1) バンドブレーキ用
2) 多段フリーホイール用
b) 普通後ハブ
番号
部品名称
番号
部品名称
1
ハブ体
つば
6
鋼球
2
パイプ
7
防水キャップ
3
ハブ軸
8
座金
4
玉押し
9
ハブナット
5
ロックナット
10
間座
図5−普通前ハブ及び普通後ハブ(一例)(続き)
11
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単位 mm
a) 前クイックレリーズハブ
b) 後クイックレリーズハブ
番号
部品名称
番号
部品名称
1
ハブ体
8
防水キャップ
2
ハブわん
9
座金
3
ハブ軸
10
間座
4
玉押し
11
ハウジング
5
調整ナット
12
カムレバー
6
ロックナット
13
クイックハブロッド
7
鋼球
14
つるまきばね
図6−前クイックレリーズハブ及び後クイックレリーズハブ(一例)
12
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
番号
部品名称
番号
部品名称
1
ハブ体
12
ローラケース
2
ハブ軸
13
ローラ
3
右わん
14
カム
4
左わん
15
カム伝達板
5
右玉押し
16
リンク
6
左ロックナット
17
ローラケース戻しばね
7
菊座金
18
リンク戻しばね
8
袋ナット
19
鋼球
9
ドラム
20
インナ
10
ブレーキシュー
21
アウタ
11
ブレーキアーム
a) 前ハブブレーキ
図7−ハブブレーキ(一例)
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
番号
部品名称
番号
部品名称
1
ハブ体
11
ばね
2
ハブ軸
12
カバー
3
ハブわん
13
クランク
4
玉押し
14
ブシュ
5
ロックナット
15
カム
6
座金
16
クランク取付けねじ
7
ハブナット
17
ブレーキアーム
8
ブレーキドラム
18
取付けバンド
9
ブレーキライニング
19
引き棒
10
ブレーキ帯
20
鋼球
b) 後ハブブレーキ
図7−ハブブレーキ(一例)(続き)
14
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
番号
部品名称
1
ハブ体
2
駆動体
3
ハブ軸
4
太陽歯車
5
遊星歯車
6
ピニオンピン
7
ギヤ枠
8
リングギヤ
9
つめ
10
つめピン
11
クラッチ
12
鋼球
13
鋼球保持器
14
つば
15
玉押し
16
ロックナット
17
ナット
18
プッシュロッド
19
ベルクランク
20
ワイヤ インナ
21
アウタ
図8−ハブギヤ(一例)
15
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
a) フリー小ギヤ付き
図9−ユニットハブ(一例)
16
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
b) 多段小ギヤ用
番号
部品名称
1
ハブ体 つば
2
パイプ
3
ブシュ
4
ハブわん
5
右玉押し
6
ロックナット
7
防水キャップ
8
ハブ軸
9
座金
10
ハブナット
11
鋼球
12
中子
13
つめ
14
つめばね
15
ねじふた
16
ギヤ台
17
フリー小ギヤ
図9−ユニットハブ(一例)(続き)
17
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
a) シュー式
b) ディスク式
図10−コースタハブ(一例)
18
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
部品名称
1
ハブ体 ハブ胴
2
つば
3
ハブ軸
4
玉押し
5
ロックナット
6
駆動体
7
スクリューコーン
8
クラッチばね
9
クラッチコーン
10
ブレーキコーン
11
ブレーキシュー
12
ブレーキディスク
13
回転板
14
ブレーキホルダ
15
ダストキャップ
16
防水キャップ
17
ブレーキアーム
18
アームナット
19
取付けバンド
20
鋼球
21
鋼球保持器
22
ハブナット
23
座金
図10−コースタハブ(一例)(続き)
19
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
部品名称
1
ハブ体
2
ハブつば
3
ハブ軸
4
コイル
5
鉄心
6
磁石
7
ヨーク
8
端子
9
軸受
10
ロックナット
11
座金
12
ハブナット
a) 軸受式
番号
部品名称
1
ハブ体
2
ハブケース
3
ハブ軸
4
コイル
5
鉄心
6
磁石
7
カバー
8
端子
9
玉押し
10
鋼球
11
ロックナット
12
座金
13
ハブナット
b) 鋼球式
図11−ハブダイナモ(一例)
20
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
ISO 6697によるハブ及びフリーホイール
A.1 概要
この附属書は,ISO 6697に基づくハブ及びフリーホイールの寸法について記載するものであって,その
一例を示す。JIS D 9418及びこの規格では,この部分の寸法は制限していない。
A.2 前ハブの寸法
前ハブの寸法は,表A.1による。
表A.1−前ハブの寸法
単位 mm
幅
A
±1
ハブ軸のねじの呼び
T
100
M8×1
又は
M9×1
91
A.3 後ハブの寸法
後ハブの寸法は,表A.2による。
21
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.2−後ハブの寸法
単位 mm
A
C
D
用途
ISOチェーン番号a)
リアスプロケットチェーン
ライン距離 b b)
±1
+1
0
最大
スポークプ
ロテクタ付
き車輪
スポークプ
ロテクタな
し車輪
110
21
10
単速度フリーホイール
081 C
−
41
−
−
単速度コースタブレーキハブ c) d)
082 C
−
41
117
28
10
3速フリーホイール
081 C又は082 C
42
41
28
10
4速フリーホイール
082 C
42
41
−
−
単速度コースタブレーキハブ c) d)
081 C
−
41
−
−
多速度ギヤハブ c)
081 C
42
41
122
33
10
4速フリーホイール
082 C
40
38.5
5速フリーホイール
082 C
42
41
多速度ギヤハブ c)
081 C
−
41
126
36
10
5速フリーホイール
082 C
41
40
6速フリーホイール
082 C
43
42
注a) チェーン番号はISO 9633による。これらの呼称は,次のインチ表示に対応している。
No. 081 C:1/2 × 1/8
No. 082 C:1/2 × 3/32
b) ISO 8090:1990の箇条11を参照。
c) Aの許容差:±1.5 mm
d) 単速度コースタブレーキハブの場合,寸法Aの選択値は117 mm。
参考文献 ISO 8090:1990,Cycles−Terminology
ISO 9633,Cycle chains−Characteristics and test methods
22
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS D 9419:2010 自転車−ハブ
ISO 4210:1996,Cycles−Safety requirements for bicycles
ISO 6697:1994,Cycles−Hubs and freewheels−Assembly dimensions
ISO 6698:1989,Cycles−Screw threads used to assemble freewheels on bicycle hubs
ISO 8098:2002,Cycles−Safety requirements for bicycles for young children
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1適用範
囲
一般用自転車,幼児用
自転車及び電動アシ
スト自転車のハブ
ISO 4210
ISO 8098
ISO 6697
ISO 6698
1.1
1.1
3
1
自転車の安全要件
幼児用自転車の安全
要件
ハブの寸法を規定し
ている。
ハブにフリーホイー
ルを組み付けるため
のねじ
変更
JISでは,ハブを適用範囲にし
ている。
JISでは,ハブを適用範囲にし,安
全要件は規定の一部として包含さ
れる。
2引用規
格
3 種類
普通前ハブほか,計
10の種類を規定。
ISO 4210
−
追加
JISでは,種類を追加している。 JISでは,呼称を統一するため規定
している。
4部品名
称
図5〜図11によって
部品名称を規定。
−
追加
JISでは,部品名称を追加して
いる。
JISでは,部品名称を統一するため
規定している。
5 強度
a) 接合・圧入結合部
は9.1の試験を行い動
きを確認する。
−
追加
JISでは,接合・圧入結合部の
強度について追加している。
JISでは,品質・性能を確保するた
め規定している。
b) ハブブレーキ,ハ
ブギヤに用いるワイ
ヤの強度を規定。
−
追加
JISでは,ハブブレーキ,ハブ
ギヤに用いるワイヤの強度に
ついて追加している。
2
D
9
4
1
9
:
2
0
1
0
23
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 強度
(続き)
c) ハブギヤ,ユニッ
トハブ,コースタハブ
は9.2の試験を行い駆
動部が破損してはな
らない。
ISO 4210
−
追加
JISでは,ハブギヤ,ユニット
ハブ,コースタハブの強度につ
いて追加している。
JISでは,品質・性能を確保するた
め規定している。
d) コースタハブは
150 N・mのトルクを
加えたとき,各部が破
損してはならない。
−
追加
JISでは,コースタハブの強度
について規定している。
6 硬さ
各部の硬さを規定。
−
追加
JISでは,各部の硬さについて
規定している。
7 性能
a) ハブ体とハブ軸と
の間にがたがないこ
と。
−
追加
JISでは,性能について規定し
ている。
b) ハブの振れについ
て規定。
−
追加
c) コースタハブの制
動性能について規定。
−
追加
d) ハブブレーキの制
動性能について規定。
−
追加
e) ハブダイナモの性
能について規定。
−
追加
f) フリー・ブレーキ
取付けねじ部がある
場合の後車輪用のハ
ブの振れは縦・横とも
0.3 mm以下。
−
追加
g) ユニットハブの各
部の振れについて規
定。
−
追加
2
D
9
4
1
9
:
2
0
1
0
24
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 性能
(続き)
h) 玉押しの外周軸線
とねじ穴軸線との偏
心は0.3 mm以下。
ISO 4210
−
追加
JISでは,偏心について規定し
ている。
JISでは,品質・性能を確保するた
め規定している。
i) ハブは9.3の試験を
行ったとき,はく離,
著しい磨耗などが生
じてはならない。
−
追加
JISでは,性能について規定し
ている。
k) ユニットハブのが
たは歯底側面で0.3
mm以下と規定。
−
追加
JISでは,性能について規定し
ている。
8 構造
a)〜e) ハブの構造に
ついて規定。
ISO 4210
ISO 8098
−
追加
JISでは,ハブの構造について
詳細に規定している。
9 試験方
法
9.1 普通前ハブは10
N・m,その他のハブ
は35 N・mのトルク
を加える。
ISO 4210
−
追加
JISでは,接合・圧入結合部の
強度について追加している。
9.2 ハブギヤ,ユニッ
トハブ,コースタハブ
の駆動部に一般用は
200 N・m,幼児用は
100 N・mのトルクを
加える。
ISO 4210
ISO 8098
−
追加
JISでは,ハブギヤ,ユニット
ハブ,コースタハブの強度につ
いて追加している。
9.3 前ハブは1 200 N,
後ハブは1 800 Nの力
をかけ,毎分250回で
10万回転させる。
−
追加
JISでは,性能について規定し
ている。
10 形状及
び寸法
表6,図5〜図11によ
って形状及び寸法を
規定。
ISO 6697
ISO 6698
ハブの寸法を規定し
ている。
変更
JISでは,形状・寸法を追加し
ている。
2
D
9
4
1
9
:
2
0
1
0
25
D 9419:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
11 めっき
又は防食
処理
JIS H 8617の2級以
上。
適切な防食処理を施
すことを規定。
ISO 6697
ISO 6698
−
追加
JISでは,めっき又は防食処理
について追加している。
JISでは,品質・性能を確保するた
め規定している。
12 外観
a),b) めっきを施した
面,施さない面につい
て規定している。
−
追加
JISでは,外観について追加し
ている。
c) 鋭い先端,ばり,
かえりなどがない。
ISO 4210
ISO 8098
2.1.1
3.1.1
鋭い先端だけ規定
追加
JISでは,項目を追加している。
d) マークの打刻不
良,位置ずれなどがな
い。
−
追加
JISでは,外観について追加し
ている。
13製品の
呼び方
ハブの呼び方につい
て規定。
−
追加
JISでは,製品の呼び方につい
て追加している。
14 表示
製造業者名,製造年月
を表示する。
2.17 b)
3.14 b)
JISと同じ,ハブダイ
ナモについて規定な
し。
追加
JISでは,ハブダイナモについ
て追加している。
JISでは,ハブダイナモについての
記述があるがISO規格には記述が
全くない。
附属書A
(参考)
ISO 6697によるハブ
及びフリーホイール
ISO 6697
附属書Aは,ISO 6697
の規定の一部である。
変更
JISでは,その部分の寸法は限
定していない。ISO 6697の規
定内容を,参考として示してい
る。
JISでは,新製品開発の妨げとなる
ため,寸法を制限していない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 4210:1996,ISO 6697:1994,ISO 6698:1989,ISO 8098:2002,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
D
9
4
1
9
:
2
0
1
0