D 9414:2016
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 形状及び寸法 ··················································································································· 1
4 構成及び種類 ·················································································································· 20
4.1 構成 ··························································································································· 20
4.2 ブレーキ本体の種類 ······································································································ 20
4.3 ブレーキレバーの種類 ··································································································· 20
4.4 操作力伝達機構の種類 ··································································································· 20
5 部品名称························································································································ 20
6 構造······························································································································ 20
7 性能······························································································································ 21
8 強度······························································································································ 21
9 試験······························································································································ 22
9.1 制動トルク値試験 ········································································································· 22
9.2 ブレーキの振れの測定 ··································································································· 23
9.3 ブレーキワイヤの疲労試験 ····························································································· 23
9.4 ブレーキブロック及び舟の固定試験·················································································· 23
9.5 ブレーキ本体の疲労試験 ································································································ 24
10 めっき又は塗装 ············································································································· 25
10.1 めっき ······················································································································· 25
10.2 塗装 ·························································································································· 25
11 外観 ···························································································································· 25
12 製品の呼び方 ················································································································ 25
13 表示 ···························································································································· 26
14 取扱説明書 ··················································································································· 26
D 9414:2016
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人自転
車産業振興協会(JBPI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規
格である。これによって,JIS D 9414:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 9414:2016
自転車−ブレーキ
Bicycles-Brakes
1
適用範囲
この規格は,主にJIS D 9111に規定する一般用自転車及び幼児用自転車に用いるブレーキについて規定
する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1481-2 建材製品中のアスベスト含有率測定方法−第2部:試料採取及びアスベスト含有の有無
を判定するための定性分析方法
JIS B 0205-1 一般用メートルねじ−第1部:基準山形
JIS B 0205-2 一般用メートルねじ−第2部:全体系
JIS B 0205-3 一般用メートルねじ−第3部:ねじ部品用に選択したサイズ
JIS B 0205-4 一般用メートルねじ−第4部:基準寸法
JIS B 0209-1 一般用メートルねじ−公差−第1部:原則及び基礎データ
JIS B 0209-2 一般用メートルねじ−公差−第2部:一般用おねじ及びめねじの許容限界寸法−中(は
めあい区分)
JIS B 0209-3 一般用メートルねじ−公差−第3部:構造体用ねじの寸法許容差
JIS B 0225 自転車ねじ
JIS D 9111 自転車−分類,用語及び諸元
JIS D 9301 一般用自転車
JIS D 9302 幼児用自転車
JIS D 9412 自転車−ハンドル
JIS D 9418 自転車−フリーホイール及び小ギヤ
JIS D 9419 自転車−ハブ
JIS H 8610 電気亜鉛めっき
JIS H 8617 ニッケルめっき及びニッケル−クロムめっき
JIS K 5600-5-4 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)
3
形状及び寸法
ブレーキの形状の例及び主な寸法を,図1〜図8に示す。ただし,許容差の記入がない寸法は,推奨寸
法とする。ねじは,JIS B 0225によるもののほかは,JIS B 0205-1〜JIS B 0205-4の規定による。それらの
2
D 9414:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ねじの限界寸法及び公差は,JIS B 0209-1〜JIS B 0209-3に規定する公差域クラスの6H/6g以上とする。
なお,バンドブレーキのドラム,内拡(ないかく)ブレーキのドラム及びディスクブレーキのディスク
をハブに取り付ける部分のねじは,受渡当事者間の協定によってJIS D 9418の附属書A(ねじの呼び
1.375-24のねじ)に規定するねじを用いてもよい。
a) 前リムブレーキ
図1−リムブレーキ
3
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b) 後リムブレーキ
図1−リムブレーキ(続き)
4
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番号
部品名称
番号
部品名称
1
短棒頭
16
前クランク輪かしめねじ
2
短棒
17
前クランクだぼ
3
だるまねじ
18
長棒
4
だるま
19
長棒止め金具
5
前パイプ
20
長棒止めねじ
6
かしめだるま
21
後クランク
7
前また
22
後クランクかしめねじ
8
足
23
ばね
9
舟
24
ばね取付ねじ
10
舟ねじ
25
後クランク輪
11
ブレーキブロック
26
ブレーキ調節金具
12
後パイプ
27
ブレーキ調節ねじ
13
割りだるま
28
後また
14
前クランク
29
ブレーキ足受け
15
前クランク輪
30
ブレーキ足受取付金具
図1−リムブレーキ(続き)
5
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a) サイドプル形
図2−キャリパブレーキ
6
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b) センタプル形
図2−キャリパブレーキ(続き)
7
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c) カンチレバー形
図2−キャリパブレーキ(続き)
8
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d) カンチレバーV形
図2−キャリパブレーキ(続き)
9
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1) 前アウタつり金具
2) 後アウタつり金具
e) アウタつり金具
番号
部品名称
番号
部品名称
1
アーム
16
左ばね
2
アウタブレーキアーム
17
アームブリッジ
3
インナブレーキアーム
18
つりワイヤ
4
ブロック
19
ワイヤつり金具
5
舟
20
ブシュ
6
舟ねじ
21
左ブレーキクランク
7
貫通ボルト
22
右ブレーキクランク
8
コンタルナット
23
カンチブレーキ台座
9
ワイヤ止めねじ
24
カンチブレーキ取付ねじ
10
ワイヤ調節ねじ
25
前アウタ受体
11
ワイヤ調節だるま
26
後アウタ受体
12
戻しばね
27
ワイヤ調節ねじ
13
アール座金
28
ワイヤ調節だるま
14
アーム取付ボルト
29
クイックレリーズカム
15
右ばね
図2−キャリパブレーキ(続き)
10
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単位 mm
図3−バンドブレーキ
11
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番号
部品名称
番号
部品名称
1
カバー
12
ライニング調節ねじ
2
ドラム
13
ライニング調節ナット
3
ブレーキ帯
14
ワイヤ受ブラケット
4
ライニング
15
ワイヤ止めねじ
5
ライニングリベット
16
ワイヤ調節ねじ
6
ブレーキ帯止めねじ
17
ワイヤ戻しばね
7
クランク
18
引棒
8
クランクリベット
19
引棒頭
9
クランク取付ねじ
20
引棒調節ナット
10
クランク戻しばね
21
引棒だるま
11
取付バンド
図3−バンドブレーキ(続き)
12
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単位 mm
図4−内拡(ないかく)ブレーキ
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
部品名称
番号
部品名称
1
カバー
8
クランク
2
ドラム
9
腕
3
シュー
10
腕取付バンド
4
ライニング
11
ブレーキワイヤ止めねじ
5
シュー止めねじ
12
ワイヤ調節ねじ
6
シュー戻しばね
13
ワイヤ戻しばね
7
カム
図4−内拡(ないかく)ブレーキ(続き)
a) 前ローラブレーキ
図5−ローラブレーキ
14
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b) 後ローラブレーキ
番号
部品名称
番号
部品名称
1
ドラム
10
リンク戻しばね
2
シュー
11
インナ
3
腕
12
アウタ
4
ローラケース
13
ワイヤ止めねじ
5
ローラ
14
戻り止めワッシャー
6
カム
15
ブレーキユニット固定ナット
7
カム伝達板
16
グリスキャップ
8
リンク
17
腕取付けバンド
9
ローラ戻しばね
18
ワイヤ調節ねじ
図5−ローラブレーキ(続き)
15
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
部品名称
番号
部品名称
1
ホ
イ
ー
ル
油
圧
ユ
ニ
ッ
ト
ホイールシリンダ
10
ディスク
2
ホイールピストン
11
油圧ジョイント
3
ホイール戻しばね
12
油圧ホース
4
カップ
13
マ
ス
タ
油
圧
ユ
ニ
ッ
ト
マスタシリンダ
5
チェック弁
14
メインピストン
6
セット調節ボルト
15
レバー調節ボルト
7
ブラケット
16
給油タンク
8
パッド
17
マスタ戻しばね
9
パッドホルダ
18
レバー体
図6−ディスクブレーキ
16
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) フラットレバー
b) ドロップレバー
図7−ブレーキレバー
17
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) ギドネットレバー
図7−ブレーキレバー(続き)
18
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) オポジットレバー
番号
部品名称
番号
部品名称
1
(右・左)レバー体
9
ハンドレスト体
2
ブラケット
10
ブラケットカバー
3
取付バンド
11
ハンドレストカバー
4
取付バンド引上軸
12
レバークイック式ワイヤ調節ねじ
5
レバー軸
13
ワイヤ調節ねじ用ゴム
6
ブシュ
14
ワイヤ調節ナット
7
(右・左)補助レバー体
15
レバークイック式アウタガイド
8
座金
図7−ブレーキレバー(続き)
19
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
番号
部品名称
1
インナ
2
アウタ
3
ワイヤニップル
4
ワイヤキャップ
5
アウタガイド
6
アウタキャップ
図8−ブレーキワイヤ
20
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4
構成及び種類
4.1
構成
ブレーキは,ブレーキ本体,ブレーキレバー及び操作力伝達機構によって構成し,その各々の種類は,
次のとおりとする。ただし,JIS D 9412に規定するレバー付き形ハンドルと組み合わせる構造のブレーキ
は,ブレーキレバーを用いないで構成する。
4.2
ブレーキ本体の種類
ブレーキ本体の種類は,制動方式によって表1による。
表1−ブレーキ本体の種類
ブレーキ本体の種類
制動方式
参照図(参考)
リムブレーキ
リム部を制動するもの
図1
キャリパブレーキ
(サイドプル形,センタプル形,カ
ンチレバー形,カンチレバーV形)
図2
バンドブレーキ
ハブ部を制動するものa)
図3
内拡(ないかく)ブレーキ
図4
ローラブレーキ
図5
ディスクブレーキ
図6
注a) ハブブレーキ及びコースタハブは,制動装置としての機能及び走行装置として
の機能をハブ内部に兼ね備えた複合部品で,JIS D 9419の規定によるものとし,
この規格では適用しない。
4.3
ブレーキレバーの種類
ブレーキレバーの種類は,フラットレバー,ドロップレバー(補助レバーを含む。),ギドネットレバー
及びオポジットレバーとする(図7参照)。
4.4
操作力伝達機構の種類
操作力伝達機構の種類は,構造によってロッド式,ワイヤ式及び油圧式とする。
5
部品名称
ブレーキの部品名称を,図1〜図8に示す。
6
構造
ブレーキの構造は,次による。
a) 各部の組立結合は確実で,作動させたときに機能が良好でなければならない。
b) ブレーキは,ブレーキブロック,ライニングなどの摩耗,ワイヤの伸びなどが生じたときに,制動力
を維持するための調整ができる構造でなければならない。
c) ブレーキブロック,ライニング及びパッドには,適切な摩擦材を用いなければならない。アスベスト
を含有するブレーキ部材を使用してはならない。
なお,アスベストの有無は,JIS A 1481-2の箇条7(二次分析試料によるX線回折分析方法による
定性分析方法)によって確認する。
d) ブレーキワイヤのインナを固定する部分は,製造業者が推奨するトルクでねじを締め付けたとき,イ
ンナを折損させない構造でなければならない。
21
D 9414:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) キャリパブレーキのフレーム組付部は,緩み止めを施した構造(ばね座金,ロックナットなど)でな
ければならない。
f)
油圧式操作力伝達機構を用いたものは,油漏れがしない構造でなければならない。
g) ブレーキレバーの取付金具は,ブレーキレバーをハンドルバーに確実に固定できるものでなければな
らない。
7
性能
ブレーキの性能は,次による。
a) リム部を制動するブレーキは,自転車に組み付けたときに,JIS D 9301の5.2.5(制動性能)又はJIS D
9302の5.2.5(制動力)の規定に適合しなければならない。また,ハブ部を制動するブレーキは,9.1
の試験を行ったとき,表2の試験力Fに対する前進方向の制動トルク値に適合しなければならない。
表2−制動トルク値
ドラム径又はディスク径
mm
試験力 F
N
ブレーキ本体制動トルク
N・m
80以下
150
35以上
80を超え 95以下
200
40以上
95を超えるもの
50以上
ディスクブレーキには,試験力200 N,ブレーキ本体制動トルク40 N・m以上を
適用する。
b) ハブ部を制動するブレーキの各部の振れは,9.2の試験を行ったとき,表3による。ただし,ローラブ
レーキは除く。
表3−振れ
単位 mm
ブレーキの各部の振れ
振れ
バンドブレーキのドラム外周における縦振れ(半径方向の全振れ)
0.4以下
内拡(ないかく)ブレーキのドラム内周における縦振れ(半径方向の全振れ)
ディスクブレーキのディスクの外縁部内側5 mmの位置における横振れ(軸方
向の円周振れ)
0.8以下
8
強度
ブレーキの強度は,次による。
a) リムブレーキの前パイプ及び後パイプと,だるま,割りだるま,かしめだるまなどとの結合部の切断
荷重は,2 000 N以上でなければならない。
b) 短棒及び長棒を,前パイプ及び後パイプのだるま,並びに止め金具に組み付け,1 000 Nの力を加えた
ときに,結合部に滑りが生じてはならない。
c) ブレーキワイヤのインナ及びニップル部の切断力は,ニップル部を保持し,インナを引っ張ったとき
に,1 500 N以上でなければならない。
d) ブレーキワイヤのインナを製造業者が推奨する締付けトルクで締め付け,1 000 Nの力で引っ張ったと
きに,結合部に滑りが生じてはならない。
22
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e) ブレーキワイヤは,9.3の試験を行ったとき,ニップル部が脱落,又はインナが破断してはならない。
f)
キャリパブレーキ及びリムブレーキの,ブレーキブロックと舟との固定強度は,9.4の試験を行ったと
き,ブレーキブロックが舟から外れたり,亀裂が生じてはならない。
g) カンチレバー形以外のキャリパブレーキは,9.5の試験を行ったとき,ブレーキ本体,貫通ボルトなど
に亀裂,破損又は著しい変形が生じてはならない。
h) バンドブレーキのブレーキ帯は,両端をピンで保持し,一般用自転車に使用するものでは5 000 N,幼
児用自転車に使用するものでは3 500 Nの力で2分間引っ張ったときに,端部の破損,又は著しい変
形が生じてはならない。
9
試験
9.1
制動トルク値試験
図9に示すように,表2に示す試験力Fによってインナを引っ張った状態で制動トルク値を測定する。
制動トルク値の測定は,ブレーキしゅう(摺)動部のすり合わせを5回行った後に行う。また,油圧式
操作力伝達機構を用いたブレーキでは,ブレーキレバーの先端から25 mmの位置に,表2に示す試験力の
1/2の力を負荷する。
なお,ブレーキワイヤは,製造業者が推奨するものを用いる。
a) バンドブレーキ
b) 内拡(ないかく)ブレーキ
c) ローラブレーキ
d) ディスクブレーキ
図9−制動トルク値試験
23
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9.2
ブレーキの振れの測定
バンドブレーキ又は内拡(ないかく)ブレーキは,測定用ジグにドラムを固定し,測定用ジグを回転さ
せてドラムの外周又は内周における縦振れをダイヤルゲージによって測定する。
ディスクブレーキは,ハブにディスクを固定し,ハブを回転させてディスクの外縁部内側5 mmの位置
における横振れをダイヤルゲージによって測定する。
9.3
ブレーキワイヤの疲労試験
ブレーキレバーにブレーキワイヤを組み付け,図10のように半径50 mmの円筒をもつ試験機に取り付
ける。次に,インナの先端に質量15 kgのおもりをつり下げて,図10に示す荷重位置においてブレーキレ
バーを25 mmのストロークで毎分60回の速さで100 000回引いた後,ニップル部及びインナの異常の有
無を目視によって調べる。
なお,ブレーキレバーとニップル部とのはめ合い部,及びブレーキワイヤのインナには,潤滑剤を塗布
して行う。また,ブレーキレバーは,製造業者が推奨するものを用いる。
単位 mm
図10−ブレーキワイヤの疲労試験
9.4
ブレーキブロック及び舟の固定試験
キャリパブレーキ及びリムブレーキの舟を固定し,図11に示す荷重具を使って,縦方向はブレーキブロ
ックの制動方向に300 N,横方向は150 Nの力をブレーキブロック中心に静かに加えた後,ブレーキブロ
ック及び舟の異常の有無を目視によって調べる。
W:15 kgのおもり
24
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単位 mm
a) キャリパブレーキ
単位 mm
b) リムブレーキ
図11−ブレーキブロックの固定試験
9.5
ブレーキ本体の疲労試験
図12に示すようにブレーキ本体の左右の舟取付部をほぼ平行に取り付け,左右の舟取付部の中央に同時
に±200 Nの繰返し力を毎分30回の速さで10 000回加えた後,ブレーキ本体,貫通ボルトなどの異常の有
無を目視及び触感によって調べる。
25
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図12−ブレーキ本体の疲労試験
10 めっき又は塗装
10.1 めっき
めっきを施した部分のめっきの厚さ及び耐食性は,JIS H 8617の2級以上又はJIS H 8610の2級以上と
する。
なお,クロムめっきの厚さは,JIS H 8617の規定にかかわらず0.05 μm以上とする。ただし,かど部,
ねじ部,六角棒スパナ穴及びめっき後加工を施した部分は除く。
10.2 塗装
塗装を施した面は,JIS K 5600-5-4に規定する,しんの種類Fの鉛筆を用いて鉛筆引っかき抵抗性試験
を行ったとき,試験面の塗膜に破れがあってはならない。
11 外観
ブレーキの外観は,次による。
a) めっきを施した面には,著しいきず,素地の露出,素地の研磨不良,剝がれ,さび及びその他の著し
い欠点があってはならない。
なお,組立後表面に現れる部分には,めっきにむらがあってはならない。
b) めっきを施さない面には,さび,割れ,著しいきず及びその他の著しい欠点があってはならない。
c) 各部に鋭い先端,著しいばり,かえりなどがあってはならない。
d) マーク類には,打刻不良,位置ずれ,色むら,かすれ及びその他の著しい欠点があってはならない。
12 製品の呼び方
ブレーキの呼び方は,規格番号及びブレーキを構成する各々の種類の組合せによる。
例1 ブレーキ本体(バンドブレーキ),ブレーキレバー(フラットレバー)及び操作力伝達機構(ワ
イヤ式)を用いて構成する場合。
JIS D 9414 バンドブレーキ,フラットレバー,ワイヤ式
例2 ブレーキレバーを用いないで構成する場合。
JIS D 9414 リムブレーキ,ロッド式
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D 9414:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
13 表示
ブレーキには,ブレーキ本体の表面に刻印又は浮き出しする方法で,製造業者名又はその略号を表示す
る。
14 取扱説明書
受渡当事者間で必要と認めた場合には,取扱説明書を添付する。