2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 6707-1995
農業用トラクタのけん引性能試験方法
Testing method for drawbar performance of agricultural tractors
1. 総則
1.1
適用範囲 この規格は,農業用トラクタのけん引性能の試験方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS D 6706 農業用トラクタの主動力取出軸性能試験方法
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
1.2
試験の準備 JIS D 6706の1.2(試験の準備)の規定による。
2. 試験の要領及び記録
2.1
試験走路 試験は,次の走路で行う。
(1) 空気タイヤトラクタでは,継目の少ない水平で乾いたコンクリート又はアスファルト面走路。
(2) 鉄車輪トラクタ及び装軌トラクタでは,草を刈った水平で乾いた草地,又はそれと同程度の粘着性を
もった水平な走路。
なお,トレッドミル,シャシダイナモなども,上記の走路と比較できる結果が得られるならば使用
してもよい。
2.2
一般的基礎条件
2.2.1
試験中は,調速レバーを全開にする。
2.2.2
試験は,試験装置の安全限度内の速度で行う。
2.2.3
けん引線は水平で,けん引かんの高さは全試験中一定とする。
なお,その高さは,次の範囲内で選定する。
(1) 最大けん引力を出しているときに進行方向の制御ができる程度とする。
(2) 最大けん引力とけん引線の高さとの積は,静的前輪荷重と軸距との積の80%以内とする。
2.2.4
試験の初めにおいて,タイヤのラグの高さは新製品のときの65%未満であってはならない。
なお,その測定はタイヤの中心線で行う。
2.2.5
けん引力,機関回転速度及び進行低下率の測定は,運転状態が安定してから行う。
2.2.6
付加重量物は市販されており,しかもトラクタ製造業者が農業用として認めたものでなければなら
ない。タイヤは液体バラストを入れてもよい。
なお,各タイヤの負荷重量(タイヤの中の液体バラストと運転者の代わりの539N {55kgf} の重量を含
む。)及び内圧は,タイヤ製造業者の指定する限度内でなければならない(内圧は,タイヤのバルブを最低
の位置にして測定する。)。
2.2.7
燃料,潤滑油及び冷却水の温度
2
D 6707-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 燃料の温度は,タンク又はタンクと機関との間の適当な位置で測定する。
(2) 潤滑油の温度は,オイルパン又は潤滑油の経路の適当な位置で測定する。
(3) 冷却水の温度は,シリンダブロック又はシリンダヘッドの出口で,サーモスタットの前で測定する。
空冷機関の場合は,製造業者の指定する場所で,吸入口の温度又は機関の周囲温度を測定する。
(4) 各試験において燃料の温度は,普通の作業と同じ負荷状態におけるトラクタの燃料供給系統の温度と
できるだけ同じにすることが望ましい。
2.2.8
燃料消費量
(1) 燃料消費率は,キロワット時当たり質量で試験成績表に記録する。
(2) 時間当たり燃料消費量を容積で,また燃料単位容積当たり仕事量を得るために質量単位を容積単位に
換算するには,15℃の温度における比重を用いる。
(3) 燃料消費量を容積で測定した場合,燃料消費率の換算は,2.2.7(1)の規定によって測定する燃料の使用
時の温度における比重を用いる。
2.3
記録
2.3.1
試験の成績は,付表1に示す農業用トラクタけん引性能試験成績表に記録する。
2.3.2
試験成績表には,次の性能曲線を付け加える。
(1) 各速度段におけるけん引力と出力との関係
(2) 各速度段におけるけん引力と前進速度との関係
(3) 各速度段におけるけん引力と進行低下率との関係
(4) 各速度段におけるけん引力と燃料消費率との関係
2.3.3
車輪式トラクタの場合は,進行低下率15%までについて記録する。
2.3.4
装軌トラクタの場合は,けん引出力を示す表の下に最大けん引力を記録する。
2.3.5
機械的に四輪が結合されていない四輪駆動のトラクタで四輪駆動を行う場合は,前輪と後輪の進行
低下率を別々に測定して記録する。
2.3.6
運転者が操作できるロックアウト装置付きのトルクコンバータを備えたトラクタのけん引性能試
験は,倍力装置を作動させた状態に続いて,倍力装置をロックアウトした状態で行って記録する。
2.3.7
無段変速装置をもったトラクタは,正確な曲線を描くために十分な数の変速比について最大出力を
測定して,けん引出力の包絡線を求めなければならない。出力値は,この包絡線から次に示す速度につい
て求める。記録する曲線上の点は,その速度に正確に一致しなければならない。
車輪トラクタ
2.5, 3.5, 5.0, 6.5, 8.0, 11.0及び17.5km/h
装軌トラクタ
1.5, 2.5, 3.5, 5.0, 6.5, 8.0及び10.0km/h
また,更に次の事項を記録する。
(1) 最大出力及びそのときの速度
(2) 最高速度になる前進速度調節と機関調速レバー位置での最大出力とそのけん引力
3. 試験の項目及び方法
3.1
最大けん引出力試験 付加重量を加え,最低速度から最大けん引出力を出す速度のすぐ上の速度段
までの各速度段において次の項目について測定し,最大けん引出力を求める。
(1) けん引出力
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) けん引力
(3) 機関回転速度
(4) 前進速度
(5) 進行低下率
(6) 燃料消費率
(7) 燃料単位容積当たり仕事量
(8) 燃料温度
(9) 潤滑油温度
(10) 冷却水温度
(11) 気温
(12) 相対湿度
(13) 大気圧
3.2
連続運転試験
3.2.1
付加重量を加え,プラウ耕に使用される速度のうちの任意の速度段で,しかもその速度段の最大出
力のときのけん引力の75%負荷で5時間試験を行い,3.1と同一の項目について3回以上測定する。
3.2.2
3.1の試験で測定された15%の進行低下率を与えるけん引力で,しかも調速機の作動範囲内でこの
けん引力が得られる最も速い速度段で,5時間試験を行い,3.1と同一の項目について測定する。タイヤの
摩耗を少なくするために付加重量を追加してもよい。
3.2.3
装軌トラクタ及び鉄車輪トラクタでは,3.2.1の状態で10時間試験を行い,3.1と同一の項目につ
いて6回以上測定する。
3.3
付力重量を加えない試験 付加重量を加えないで,最大出力の出る速度段よりも速い速度から最大
けん引力の出る速度段のすぐ下の速度段までを含む各速度段において,3.1と同一の項目について測定する。
4
D
6
7
0
7
-1
9
9
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1 農業用トラクタけん引性能試験成績表
5
D 6707-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
一般機械部会 農業用トラクタ専門委員会 構成表(昭和48年2月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
安 田 與七郎
東京大学農学部
杉 山 和 男
通商産業省重工業局
前 田 耕 一
農林省農政局
福 島 公 夫
工業技術院標準部
伊 東 裕 光
工業技術院機械技術研究所
有 吉 亮
農業機械化研究所
村 山 良 信
久保田鉄工株式会社
深 田 真 一
石川島芝浦機械株式会社
谷 光 弘
井関農機株式会社
荒 井 賢 蔵
佐藤造機株式会杜
林 輝 武
スター農機株式会社
白 石 武 夫
富士小松ロビン株式会社
江 上 敦 雄
三菱重工業株式会社
一 瀬 正 行
ヤンマーディーゼル株式会社
中 島 元 夫
社団法人日本農業機械工業会
徳 武 憲 雄
社団法人陸用内燃機関協会
手 塚 右 門
全国農業協同組合連合会
渡 辺 波 夫
社団法人日本農業機械化協会
(専門委員)
種 村 次 郎
工業技術院標準部
(事務局)
大 野 宣 夫
工業技術院標準部機械規格課
(事務局)
松 川 東 一
工業技術院標準部機械規格課(昭和51年2月1日改正のとき)
伊 藤 彰 一
工業技術院標準部機械規格課(昭和51年2月1日改正のとき)
矢 野 友三郎
工業技術院標準部機械規格課(昭和51年2月1日改正のとき)
(事務局)
稲 橋 一 行
工業技術院標準部機械規格課(平成7年2月1日改正のとき)
鈴 木 俊 吾
工業技術院標準部機械規格課(平成7年2月1日改正のとき)