D 6029-1:2020
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験条件························································································································· 4
4.1 一般 ···························································································································· 4
4.2 荷積載面の高さ ············································································································· 4
4.3 マスト又は荷積載面の傾き ······························································································ 4
4.4 マスト移動機能付き車両 ································································································· 5
5 直接視界試験用の機器 ······································································································· 5
5.1 テストボディ ················································································································ 5
5.2 テストスクリーン ·········································································································· 5
5.3 照射装置の設置条件 ······································································································· 5
6 直接視界の試験方法 ·········································································································· 5
6.1 照射装置の位置 ············································································································· 5
6.2 試験径路 ······················································································································ 6
6.3 試験手順 ······················································································································ 6
7 間接視界の試験方法 ·········································································································· 8
8 他の試験方法 ··················································································································· 8
9 要求事項························································································································· 8
9.1 一般 ···························································································································· 8
9.2 直接視界 ······················································································································ 8
9.3 間接視界 ······················································································································ 9
10 試験報告書 ···················································································································· 9
10.1 車両情報 ····················································································································· 9
10.2 試験結果 ···················································································································· 10
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 21
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本産業車両協会(JIVA)及
び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出が
あり,日本産業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本産業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS D 6029の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS D 6029-1 第1部:定格荷重10000 kgまでのフォークリフトトラック及びバリアブルリーチトラ
ック
日本産業規格 JIS
D 6029-1:2020
自走式産業車両−視界性能及び試験方法−第1部:
定格荷重10000 kgまでのフォークリフトトラック
及びバリアブルリーチトラック
Self-propelled industrial trucks-Performance of visibility and test
method-Part 1: Fork-lift trucks and variable-reach trucks up to and
including 10000 kg rated capacity
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 13564-1を基とし,我が国の実情に合わせるために,
技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,JIS D 6201に定義された,定格荷重10 000 kg以下のフォークリフトトラック(以下,フォ
ークリフトという。)及びバリアブルリーチトラックにおける,荷を積載しない状態での車両全周の視界の
要求事項及びその試験方法について規定する。
この規格は,次の車両には適用しない。
− オーダピッキングトラックなどの運転者位置が上昇する車両で,運転者位置上昇時にフォークの荷積
載面の高さが路面から300 mmを超えた位置にある場合
− 定格荷重が10 000 kgを超える車両
− ラフテレインバリアブルリーチトラック
− コンテナ専用運搬車両(カウンタバランスコンテナハンドラ及びリーチスタッカ)
− サイドフォークリフト
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 13564-1:2012,Powered industrial trucks−Test methods for verification of visibility−Part 1:
Sit-on and stand-on operator trucks and variable-reach trucks up to and including 10 t capacity
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
2
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引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8318 土工機械−座席基準点(SIP)
JIS D 6001-1 フォークリフトトラック−安全要求事項及び検証−第1部:フォークリフトトラック
注記 対応国際規格:ISO 3691-1:2011,Industrial trucks−Safety requirements and verification−Part 1:
Self-propelled industrial trucks, other than driverless trucks, variable-reach trucks and burden-carrier
trucks
JIS D 6201 自走式産業車両−用語
注記 対応国際規格:ISO 5053-1:2015,Industrial trucks−Terminology and classification−Part 1: Types
of industrial trucks
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS D 6201によるほか,次による。
3.1
バリアブルリーチトラック(variable-reach truck)
車両前後方向について関節式又は伸縮式の上昇するブーム(水平方向の旋回は片側角度5°以内)を備
えた産業車両。
3.2
車両外形(truck profile)
車両最大幅とフォーク垂直前面(シャンク前面)までの車両最大長さとで決まる長方形形状の車両の輪
郭。ただし,フォークのブレード部は含めない。
3.3
座席基準点,SIP(seat index point, SIP)
座席中心を通る座席前後方向の垂直平面上の点(JIS A 8318参照)。
3.4
立席基準点,STIP(standing index point, STIP)
運転者が通常の運転操作位置に立っているとき,その運転者の左右の足首の回転中心間の中点を運転席
床面に垂直投影した点(図4参照)。
3.5
補正立席基準点,ASTIP(adjusted standing index point, ASTIP)
車両を運転操作している運転者の身体の動きを想定し,立席基準点に対して補正を施した立席基準点。
3.6
前進方向(forward direction)
JIS D 6001-1の附属書A(フォークリフトの前進方向及び定格荷重)に規定された,車両のタイプによ
って決まる車両が前進する方向。
3.7
低速走行(manoeuvring)
低速で短い距離を走行する車両の動き。例えば,次のような車両の動きをいう。
− 狭い通路での運転,旋回及び周囲の荷などの近くを走行する動き
− 荷の積付け及び取降ろし,荷への接近及び荷から離れる動き
− 通常走行には含まれないその他の動き
3
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3.8
通常走行(travelling)
広い稼働現場で比較的長い距離を,最高速度までの速度で走行する車両の動き。
3.9
照射装置(lighting equipment)
運転者が頭及び身体を動かすことによって移動することのできる目の位置を考慮した,光を照射する装
置(図2及び図3参照)。
3.10
テストボディ(test body)
照射装置からの光を受ける被照射体。視界を評価するときに使用し(図5参照),例えば,かがんだ姿勢
の人を想定している。
3.11
テストスクリーン(test screen)
車両が通常走行で前進しているときの視界を評価するための被照射平面。
3.12
通常の運転操作位置(normal operating position)
製造業者が定めた,運転者が走行及び荷役操作の全ての機能を制御できる位置。
3.13
試験径路(test path)
試験する車両の周囲の路面に線を引いて示された,テストボディ及びテストスクリーンを移動させる径
路(図1,図6,図7及び図8参照)。
1 試験径路
2 試験径路の端点
3 始点PX.1におけるテストボディ
4 始点PX.1から終点PX.2まで,試験径路全長にわたって動かすテストボディ
5 終点PX.2におけるテストボディ
図1−試験径路の平面図(テストボディの例)
3.14
受光領域(illuminated area)
照射装置の少なくとも一つのライトによって照射されるテストボディ,テストスクリーンなどの被照射
体上の領域(受光領域の条件は,9.1参照)。
4
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3.15
暗影領域(shadow area)
照射装置のどのライトによっても照射されないテストボディ,テストスクリーンなどの被照射体上の影
の領域。
注記 被照射体上の暗影領域を確認するときは,例えば,筆記板又は手で影を作れば,暗影領域を見
分けるのに役立つ。
3.16
直接視界(direct visibility)
補助機器を使用しないで,テストボディ,テストスクリーンなどの被照射体上に光が当たる領域。
3.17
間接視界(indirect visibility)
ミラーなどの補助機器を使用して,テストボディ,テストスクリーンなどの被照射体上に光が当たる領
域。補助機器がカメラ・モニター装置などでは,それらを使用して視認することのできる被照射体上の領
域。
3.18
補助機器(auxiliary equipment)
直接視界の限界を補うために使用される機器。例えば,ミラー,カメラ・モニター装置。
4
試験条件
4.1
一般
試験は,平たん(坦)な水平路面上で荷を積載していない状態の車両について実施しなければならない。
車両には,1 200 mmまでの長さの荷台又は2本のフォークを装着し,フォークの場合は中央を開けて両側
に広げ,フォーク外側間の開き幅を800 mm〜1 000 mmにする(図6〜図8のC寸法参照)。ただし,フォ
ーク外側間の最大開き幅が800 mm未満の車両については,最大開き幅で試験を行う。
試験は,アタッチメント,荷及び種々のオプションを備えていない標準仕様の車両に対して実施し,視
界評価は試験した仕様の車両についてだけ有効とする。種々のタイプのマスト,外付け燃料タンク,カウ
ンタウエイト,キャブなどが視界に悪影響を及ぼす場合には,その全ての仕様について,この規格で規定
する試験方法によって追加試験を実施する必要がある。
4.2
荷積載面の高さ
荷積載面の高さは,次による。
a) フォークリフト フォークの荷積載面の高さは,フォークのヒール端部で測定して,路面から100 mm
〜300 mmでなければならない。
b) ローマウントブームのバリアブルリーチトラック ブームの回転支点の高さが,SIPに650 mmを加
えた高さより低いバリアブルリーチトラックでは,フォークの荷積載面の高さは,フォークのヒール
端部で測定して,路面から100 mm〜300 mmでなければならない。
c) ハイマウントブームのバリアブルリーチトラック ブームの回転支点の高さが,SIPに650 mmを加
えた高さ以上のバリアブルリーチトラックでは,フォークの荷積載面の高さは,フォークのヒール端
部で測定して,路面から500 mm〜900 mmでなければならない。
4.3
マスト又は荷積載面の傾き
マスト又は荷積載面の傾きは,次による。
5
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a) 通常走行の試験 全ての通常走行の試験では,マスト又は荷積載面は最大後傾位置とするが,後傾角
度10°を超えてはならない。マスト又は荷積載面を後傾する手段が車体を傾けることによる場合は,
車体を水平にした状態で試験を実施しなければならない。
b) 低速走行の試験 全ての低速走行の試験では,マストを垂直に又は荷積載面を水平にしなければなら
ない。
c) フォーク又は荷台の試験 フォーク又は荷台の試験では,マストを垂直に又は荷積載面を水平にしな
ければならない。
4.4
マスト移動機能付き車両
マスト移動機能付き車両では,マストを最大に繰り込んだ(引き込んだ)状態にしなければならない。
5
直接視界試験用の機器
5.1
テストボディ
テストボディは,図5に規定するように,高さ1 200 mm,幅500 mmの垂直な平面をもち,移動可能で
なければならない。その平面には,受光領域が容易に測定できるように100 mm×100 mmの格子を付けて
もよい。
5.2
テストスクリーン
テストスクリーンは,幅が500 mm以上で高さは路面上1 200 mmの位置から始まり,座席式車両の場合
はSIPから上方900 mmの位置まで,立席式車両の場合はSTIPから上方1 900 mmの位置までの垂直な平
面でなければならない。その平面には,受光領域が容易に測定できるように100 mm×100 mmの格子を付
けてもよい。
5.3
照射装置の設置条件
点灯する全てのライトは,ヘッドガード平面図の輪郭又はキャブの内側面から50 mm以上内側になけれ
ばならない。ヘッドガード又はキャブを装着していない車両の場合は,車両平面図の輪郭から50 mm以上
内側になければならない。
6
直接視界の試験方法
6.1
照射装置の位置
6.1.1
一般
車両からの視界性能は,照射装置(運転者位置に設置)とテストボディ又はテストスクリーンとを用い
て評価する。照射装置は,運転者の目の位置の移動可能範囲を考慮しており,テストボディは目に映る物
体を想定している。
6.1.2
座席式車両
図2に規定する照射装置を,SIPを基準に設置する。座席は水平及び垂直方向の位置調整範囲の中央に
最も近い位置にセットする。サスペンション機能付きの場合には,サスペンション高さの中央に最も近い
位置にセットする。
回転機能付き座席では,視界を確認する方向に座席を回転させてもよい(図9参照)。
6.1.3
立席式車両
図3に規定する照射装置を,STIPを基準に設置する。このSTIPは,運転者が通常の運転操作位置,す
なわち,進行方向を向いて全ての操作をするときの立ち位置から求める。
STIPの位置を決める手順は,次による。
6
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a) 評価する車両に対して適切な足の位置(立ち位置)を決める。
b) 左右の足首の回転中心の位置を,靴の外形及び図4に規定するデータによって決める。
c) 左右の足首の回転中心を結ぶ線の中点を,運転席床面に垂直投影した点をSTIPとする。
d) 角度0°の方向(運転者が頭,肩又は胴を回していない状態)は,図4に規定する左右の足首の回転
中心を結ぶ線に直角なSTIPを通る線の方向とする。ライト列は,図10に規定するように角度0°の
方向に対して±135°回転できなければならない。
e) 車体の固定部分を基準としてSTIPの位置及び路面からのSTIPの高さを測定し,記録する。
車両を運転しているときの運転者の身体の動きを考慮して,ASTIPを次に示す範囲内に設定してもよい。
− リーチフォークリフト,パレットスタッキングトラックなどの,運転者周りのスペースが限定され,
運転者の両足又は下半身の動きが車両設計上制約されている立席式車両の場合は,STIPを中心に半径
125 mmの円内。
− オーダピッキングトラック,ラテラルスタッキングトラックなどのように,立席式で荷台付きの車両
の場合は,STIPを中心に半径200 mmの円内。
一度STIPの位置を決めたら,一連の視界評価中にそのSTIPの位置を変更してはならない。ASTIPの位
置は,それぞれの試験ごとに前述した範囲内(図4参照)で変更してもよい。すなわち,試験1から試験
11(表3参照)までのそれぞれの試験で,ライト列の回転軸の位置が変わってもよい。ただし,それぞれ
の試験では,ASTIPの位置は1か所に固定しなければならず,その位置はSTIPを基準に記録しなければ
ならない。
6.2
試験径路
試験径路は,P1.1からP9.2までの点を基に,車両周辺の路面に引いた線で構成する。それらの線は前後
方向の車両中心軸に対して平行又は直角な線でなければならない(図6〜図8を参照)。試験径路の位置は,
フォークの垂直前面を含む車両外形から決める。
− 図6は,座席式フォークリフトの試験径路を示す。
− 図7は,立席式フォークリフトの試験径路を示す。
− 図8は,バリアブルリーチトラックの試験径路を示す。
6.3
試験手順
6.3.1
一般
テストボディ又はテストスクリーンは,その垂直試験面が試験径路に引かれた線上を通るように移動さ
せなければならない。ライト列のライトを点灯して,テストボディ又はテストスクリーンに照射し,受光
領域及び暗影領域を測定する。図6〜図8に,試験径路の車両からの距離及び位置を示す。
運転者が身体を回すことのできる角度が制限されていて,試験径路に対してライト列を向ける角度(表
1及び表2参照)より小さい場合は,運転者が身体を回すことのできる最大の角度を超えてライト列を回
してはならない。
6.3.2
通常走行の試験
試験は,次の手順並びに表1及び図6〜図8によって行わなければならない。
a) テストボディを使用した前進方向及び後進方向の試験 ライト列はその回転軸から125 mm離し,9
個のライト(T1〜T9)を点灯して,前進方向及び後進方向の二つの試験を実施する(表1の試験1及
び試験2参照)。
前進方向の試験は,ライト列を前後方向の車両中心軸に対して直角にし,車両前進方向にあるP1.1
7
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からP1.2までの試験径路に向け,P1.1からP1.2までの間でテストボディの受光領域を測定する。
後進方向の試験は,ライト列を回転させ+135°又は−135°のいずれか1か所に固定し,P2.1から
P2.2までの間でテストボディの受光領域を測定する。
b) テストスクリーンを使用した前進方向の試験 ライト列をその回転軸から125 mm離し,前後方向の
車両中心軸に対して直角にして,車両前進方向にあるP1.1からP1.2までの試験径路に向ける(表1
の試験3参照)。
75 mm離れた2個1組のライト(T1とT3,T2とT4,T3とT5,T4とT6,T5とT7,T6とT8,又
はT7とT9のいずれか)だけを点灯して評価しなければならない。試験中にライトの組合せを変えて
はならない。
表1−通常走行の試験
試験番号
試験方向
ライト列の向き
ライト列から回転軸
までの距離(mm)
ライトの数
(個)
試験径路
被照射体
1
前進方向
前進方向(0°)
125
9
P1.1→P1.2
テストボディ
2
後進方向 +135°又は−135°
125
9
P2.1→P2.2
テストボディ
3
前進方向
前進方向(0°)
125
2
P1.1→P1.2
テストスクリーン
6.3.3
低速走行の試験
表2,及び図6〜図8によって試験を行わなければならない。
ライト列を,その回転軸から125 mm離し,ライトは13個まで点灯してもよい(M1〜M4及びT1〜T9
の全てのライトを点灯してもよい。)。ライト列の向きの前進方向とは,図2又は図3に規定するライト列
の回転角度が0°で,前後方向の車両中心軸に平行な車両が前進する方向である。ライト列の向きの
−135°,−45°,+45°及び+135°は,ライト列の角度0°を基準に決める。ライト列を−135°,−45°,
+45°又は+135°のいずれかの角度に回転することが,図9又は図10に規定する角度,5.3の規定及び
車両の特別の仕様によって制約される場合は,許容される最大の回転角度で試験を行わなければならない。
表2−低速走行の試験
試験番号
試験方向
ライト列の向き
ライト列から回転軸
までの距離(mm)
ライトの数
(個)
試験径路
被照射体
4
前進方向
前進方向(0°)
125
13
P3.1→P3.2
テストボディ
5
前進方向
+45°
125
13
P4.1→P4.2
テストボディ
6
後進方向
+135°
125
13
P5.1→P5.2
テストボディ
7
後進方向
+135°
125
13
P6.1→P6.2
テストボディ
8
後進方向
−135°
125
13
P7.1→P7.2
テストボディ
9
後進方向
−135°
125
13
P8.1→P8.2
テストボディ
10
前進方向
−45°
125
13
P9.1→P9.2
テストボディ
6.3.4
フォーク又は荷台の試験
図2又は図3に示すライトを,13個まで点灯してもよい(M1〜M4及びT1〜T9の全てのライトを点灯
してもよい。)。ライト列をその回転軸と荷重中心とを結ぶ線に対して直角にして,フォーク又は荷台に向
けなければならない。ライト列は150 mmまでであれば荷重中心に向かって移動してもよい。
8
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7
間接視界の試験方法
この規格の要求事項を満たすために補助機器が必要な場合,その補助機器を使用した視界試験を実施し,
9.3の基準を満たさなければならない。ライト列は,ライト列の回転軸と補助機器の中心とを結ぶ線に対し
て直角に固定しなければならない。
カメラ・モニター装置(例えばCCTV)などの補助機器の視界試験では,ライト列を使用せず映し出さ
れるテストボディ,テストスクリーンなどの被照射体の映像を直接確認してもよい。
注記 光学装置(例えばミラー)を使用した視界性能を評価する場合,T5の位置にあるライトだけを
光学装置に向けて照射した方が,光が当たる部分及び影の部分をはっきり表示する場合がある。
8
他の試験方法
他の試験方法(例えば,写真画像,3D-CADデータを用いた解析ソフト,レーザー装置による照射など)
を用いてもよいが,その方法がライト列による試験と同様で,ライト列による試験と同じ結果が得られる
ことが確認できている場合に限る。
9
要求事項
9.1
一般
箇条6によって試験を行い,9.2又は9.3の要求事項を満たすとき,車両の視界はこの規格に適合してい
るとみなす(表3に各試験の概要及び要求事項を示す。)。
受光領域の測定では,面積10 000 mm2未満の受光部及び50 mm未満の寸法(幅,長さなど)をもつ受
光部は,受光領域とみなさない。
9.2
直接視界
9.2.1
一般
9.2.2,9.2.3及び9.2.4の要求事項を満たすとき,適合しているとみなす。
9.2.2
通常走行の試験
6.3.2によって試験を行い,試験径路上の全ての位置において,次を満たさなければならない。
a) テストボディを使用した前進方向及び後進方向の試験 図5に規定するテストボディの垂直平面(500
mm×1 200 mm)に,その20 %以上の面積をもつ受光領域が少なくとも1か所なければならない。
b) テストスクリーンを使用した前進方向の試験 テストスクリーン(5.2参照)垂直平面上の任意の500
mm×500 mmの領域で,その20 %以上の面積をもつ受光領域が少なくとも1か所なければならない。
ただし,マストの垂直構造部材(溝形断面材,I形断面材及び/又は垂直方向に伸縮する部材)によ
る暗影領域は,受光領域とみなす。
なお,a) におけるマストの垂直構造部材による暗影領域は,そのまま暗影領域とみなす。
9.2.3
低速走行の試験
6.3.3によって試験を行い,試験径路上の全ての位置において,図5に規定するテストボディの垂直平面
(500 mm×1 200 mm)に,その20 %以上の面積をもつ受光領域が少なくとも1か所なければならない。
9.2.4
フォーク又は荷台の試験
6.3.4によって試験を行い,次を満たさなければならない。
a) フォーク いずれか1本のフォークの,荷積載面の前側半分の範囲で,受光領域の面積の合計が25 %
以上なければならない。また,そのフォークの先端は,受光領域でなければならない。
b) 荷台 荷積載面の左半面又は右半面の前側1/4の範囲で,受光領域の面積の合計が25 %以上なければ
9
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ならない。
9.3
間接視界
9.3.1
一般
直接視界で9.2の要求事項を満たしていない場合,直接視界を補うための適切な補助機器を車両に装着
しなければならない。
9.3.2
通常走行の試験
9.3.2.1
一般
補助機器を使用する通常走行の視界は,9.2.2の要求事項を満たしていれば適合しているとみなす。
9.3.2.2
狭い通路用の誘導走行機能が装備されていない車両
誘導走行機能が装備されていない車両の視界の評価は,次による。
a) 主に直接視界で視界要求事項を満たさなければならない。
b) 要求事項を満たすために直接視界を補う形で補助機器を使用してもよい。補助機器だけで視界要求事
項を満たしてはならない。
c) 直接視界を補う補助機器は,運転者が直接視界のために進行方向を向いているとき,その視野の中に
なければならない。補助機器が,9.2で示す運転者の直接視界を妨げてはならない。
9.3.2.3
狭い通路用の誘導走行機能が装備されている車両
狭い通路用の誘導走行機能が装備されている車両の,補助機器を使用しての通常走行の試験では,補助
機器によって通路幅範囲の視界が要求事項を満たせばよい。
9.3.3
低速走行の試験
補助機器を使用しての低速走行の視界は,9.2.3の要求事項を満たしているだけで,適合しているとみな
す。
9.3.4
フォーク又は荷台の試験
補助機器を使用してのフォーク又は荷台の視界は,9.2.4の要求事項を満たしているだけで,適合してい
るとみなす。
10
試験報告書
10.1
車両情報
車両に関する次の情報を記録し,試験報告書に記載しなければならない。
a) 製造業者
b) 型式
c) 機番
d) 許容荷重及び荷重中心
e) リフト機構の説明(例えば,揚高,段数,マスト高さ,リーチ機構など)
f)
タイヤの情報
g) 車両外形形状及び寸法(3.2参照)
h) 座席式車両のSIPの位置,座席の情報及び座席の方向(図9参照)
i)
立席式車両のSTIPの位置及び角度0°の方向(図10参照)
j)
間接視界のための補助機器の位置及び説明
k) 視界に影響を及ぼすその他の全ての機器(4.1参照)
10
D 6029-1:2020
10.2
試験結果
表3で概要をまとめた各試験の結果として,次の項目を記録しなければならない。
a) 試験番号
b) 受光領域の比率が最小となる,テストボディ又はテストスクリーンの試験径路上の位置
c) b) の位置での受光領域の比率
d) フォーク又は荷台の高さ,及びマストの傾斜角
e) 試験3で点灯した二つのライトの位置
f)
試験11における,ライト列からライト列の回転軸までの距離
g) 5.3の規定のために使用することができないライト
h) この規格の要求事項を満たすために実施した,補助機器を使用した間接視界の試験結果
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D 6029-1:2020
表3−視界試験一覧
試験
番号
試験
ライト列の
向き
ライト列から
回転軸までの
距離(mm)
ライト
の数
(個)
試験径路
被照射体
要求視界性能
参照先
受光領域の面積比
(詳細は箇条9参照)
1
通常走行
前進方向
(0°)
125
9
P1.1→P1.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.2 a)
2
通常走行 +135°又は
−135°
125
9
P2.1→P2.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.2 a)
3
通常走行
前進方向
(0°)
125
2
P1.1→P1.2 テスト
スクリーン
任意の500 mm×500
mmの垂直平面におい
てその20 %が少なく
とも1か所
6.3.2
b)
4
低速走行
前進方向
(0°)
125
13
P3.1→P3.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
5
低速走行
+45°
125
13
P4.1→P4.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
6
低速走行
+135°
125
13
P5.1→P5.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
7
低速走行
+135°
125
13
P6.1→P6.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
8
低速走行
−135°
125
13
P7.1→P7.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
9
低速走行
−135°
125
13
P8.1→P8.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
10 低速走行
−45°
125
13
P9.1→P9.2 テストボディ 垂直平面(500 mm×
1 200 mm)の20 %が少
なくとも1か所
6.3.3
11 フォーク
又は荷台
荷重中心の
方向
125〜275
13
−
荷を積載する
装置
フォーク上面又は荷台
上面の指定範囲におい
てその25 %
6.3.4
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D 6029-1:2020
単位 mm
1 運転者の目の高さ
2 ライト列の覆い
3 ライト列
4 ライト列の回転軸
5 SIP
6 SIPを決定するための装置
− JIS A 8318の規定によってSIPを決定し,照射装置を設置する。SIPを決定するための装置とライト列の回転軸と
は一体構成でなくてもよい。
− ライト列の回転軸は,水平な路面に対し垂直でなければならない。ただし,SIPを決定するための装置の下面は,
水平な路面に対し傾いていてもよい。
− 各ライトは,点灯及び消灯のための個別のスイッチを備えていなければならない。
− ライトは,影の境界線がはっきり出るスポットライトで,55 Wのハロゲンライト又はこれと同等品でなければな
らない。
注記 ライト列の覆いを用いることで,テストスクリーン及びテストボディへの照射量が損なわれず,かつ,光の反
射による間接照射の影響を抑えることができる。
注a) フォーク又は荷台の視界試験に限り,150 mmまで位置調整してもよい。
図2−座席式車両の照射装置
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D 6029-1:2020
単位 mm
1 運転者の目の高さ
2 ライト列の覆い
3 ライト列
4 ライト列の回転軸
5 STIP又はASTIP
6 運転者が立つ水平面
− 回転軸は水平な路面に垂直でなければならない。
− 各ライトは,点灯及び消灯のための個別のスイッチを備えていなければならない。
− ライトは,影の境界線がはっきり出るスポットライトで,55 Wのハロゲンライト又はこれと同等品でなければな
らない。
注記 ライト列の覆いを用いることで,テストスクリーン及びテストボディへの照射量が損なわれず,かつ,光の反
射による間接照射の影響を抑えることができる。
注a) フォーク又は荷台の視界試験に限り,150 mmまで位置調整してもよい。
図3−立席式車両の照射装置
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D 6029-1:2020
単位 mm
1 足/靴の外形
2 STIP
3 足首の回転中心
図4−STIPの位置決め
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D 6029-1:2020
単位 mm
1 中心線
2 垂直試験面
3 テストボディキャリア(参考表示)
4 水平路面
5 試験径路
試験面の色は白又は明るい色でなければならない。
注記 試験面に関する構造の詳細及び格子線の詳細については,この規格では規定していない。
図5−テストボディ
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D 6029-1:2020
単位 mm
A=1 200
W
最大車幅
B=4 000
1
テストボディ
C=800〜1 000
2
試験径路
D=250
3
ライト列の回転軸
E=W/2+500
XX 前後方向の車両中心軸
注記 図面の縮尺は不定
図6−座席式フォークリフトの試験径路
17
D 6029-1:2020
単位 mm
A=1 200
W
最大車幅
B=4 000
1
テストボディ
C=800〜1 000
2
試験径路
D=250
3
ライト列の回転軸
E=W/2+500
XX 前後方向の車両中心軸
注記 図面の縮尺は不定
図7−立席式フォークリフトの試験径路
18
D 6029-1:2020
単位 mm
A=1 200
W
最大車幅
B=4 000
1
テストボディ
C=800〜1 000
2
試験径路
D=250
3
ライト列の回転軸
E=W/2+500
XX 前後方向の車両中心軸
注記 図面の縮尺は不定
図8−バリアブルリーチトラックの試験径路
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D 6029-1:2020
a) 座席が前進方向を向いている場合
b) 回転機能付き座席の場合
c) 座席が前進方向に対して45°右を
向いている場合
d) 座席が前進方向に対して90°右を
向いている場合
1 座席の0°方向
2 SIP
3 ライト列
4 ライト列の回転軸
5 試験方向+135°
6 試験方向−135°
注a) ライト列をこの区域まで回転してはならない。
b) 回転機能付き座席の,回転したときの方向
c) 車両の前進方向
図9−座席位置及び試験方向
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D 6029-1:2020
a) 立ち位置が前進方向を向いている場合
b) 立ち位置が前進方向に対して45°左を向いている場合
c) 立ち位置が前進方向に対して90°左を向いている場合
1 立ち位置の0°方向
2 STIP又はASTIP
3 ライト列の回転軸
4 ライト列
5 試験方向+135°
6 試験方向−135°
注a) ライト列をこの区域まで回転してはならない。
b) 車両の前進方向
図10−立ち位置及び試験方向
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D 6029-1:2020
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS D 6029-1:2020 自走式産業車両−視界性能及び試験方法−第1部:定格荷重
10000 kgまでのフォークリフトトラック及びバリアブルリーチトラック
ISO 13564-1:2012,Powered industrial trucks−Test methods for verification of visibility
−Part 1: Sit-on and stand-on operator trucks and variable-reach trucks up to and including
10 t capacity
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 自走式産業車両のうちフ
ォークリフトトラック及
びバリアブルリーチトラ
ックに限定した。
1
自走式産業車両のうち,
ローリフトトラック,フ
ォークリフトトラック
及びバリアブルリーチ
トラック。
変更
国際規格では,ローリフトトラック
も適用範囲となる(ローリフトとい
う具体的表示はないが,含まれる書
き方になっている。)。
国内で販売されているローリフト
トラックは,運転者の視界を遮る
ような構造物はなく,運転者から
の周囲360°の視界は良好のため
適用範囲から外した。我が国の事
情による適用範囲変更であるため
ISOへの改訂提案はしない。
4 試験条件
4.1 一般
フォーク外側間の最大開
き幅が800 mm未満の車
両については,最大開き
幅で試験を行う。
−
追加
国際規格では,試験時のフォーク開
き幅は800 mm〜1 000 mmと規定
(図6,図7及び図8)しているが,
国内では最大開き幅が800 mm未満
の車両があるため追加した。
我が国の事情による追加であるた
め,ISOには改訂提案はしない。
7 間接視界
の試験方法
7
間接視界の試験方法に
おいて,ライト列の許容
回転角度を規定。
削除
国際規格の規定内容が不明なため
削除した。
ISOに改訂提案する。
図2
− JIS A 8318の規定によ
ってSIPを決定し,照射
装置を設置する。SIPを決
定するための装置とライ
ト列の回転軸とは一体構
成でなくてもよい。
−
追加
国際規格では,SIPを決定するため
の装置の設置手順を省略している
が,JISではその手順を追加した。
また,SIPを決定するための装置と
ライト列の回転軸は一体構成でな
くてもよいため,その旨追加した。
分かりやすくするための追加であ
り,実質的な技術的差異はない。
2
D
6
0
2
9
-1
:
2
0
2
0
22
D 6029-1:2020
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 13564-1:2012,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
D
6
0
2
9
-1
:
2
0
2
0