D 5901:2020
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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験項目························································································································· 2
5 性能試験························································································································· 2
5.1 性能試験条件 ················································································································ 2
5.2 性能試験装置 ················································································································ 2
5.3 測定器具 ······················································································································ 3
5.4 性能試験方法及び測定項目 ······························································································ 4
5.5 暖房能力の計算 ············································································································· 4
5.6 送風量の計算 ················································································································ 5
6 騒音試験························································································································· 5
6.1 試験条件 ······················································································································ 5
6.2 試験装置 ······················································································································ 5
6.3 測定方法 ······················································································································ 5
7 試験成績の記録 ················································································································ 6
D 5901:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人
自動車技術会(JSAE)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS D 5901:1988
は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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自動車−温水式暖房装置性能試験方法
Road vehicles-Test methods of hot water heaters performance
1
適用範囲
この規格は,自動車用エンジンの冷却液(以下,温水という。)を熱源とする車室用暖房装置(以下,暖
房装置という。)の試験方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 8330 送風機の試験及び検査方法
JIS C 1102-2 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
JIS C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第1部:仕様
JIS Z 8731 環境騒音の表示・測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
車室(cabin)
試験の対象とする暖房装置を用いる自動車の運転室及び客室。
3.2
暖房能力(heating performance)
暖房装置を規定された性能試験条件及び性能試験装置で運転したときの温水が失った熱量。キロワット
(kW)で表す。
3.3
修正放熱量(corrected heating capacity)
温水側放熱量を,入口水温と入口空気温度との温度差を65 ℃に換算したもの。キロワット(kW)で表
す。
3.4
温水側放熱量(water side heating capacity)
試験状態で,温水が失った熱量。キロワット(kW)で表す。
3.5
送風量(air flow rate)
暖房能力測定時に暖房装置を通過する空気の流量。立方メートル毎時(m3/h)で表す。
2
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3.6
温水側圧力損失(water side pressure drop)
試験状態で,ヒータコアの温水配管の入口,出口間で計測した圧力の差。キロパスカル(kPa)で表す。
3.7
モード(mode)
暖房の目的に応じて空気の入口,出口,送風量の調整機構を切り替え,選定した状態。
4
試験項目
暖房装置の試験項目は,次による。
a) 性能試験
1) 暖房能力
2) 送風量
3) 消費電力
4) 温水側圧力損失
b) 騒音試験
5
性能試験
5.1
性能試験条件
性能試験条件は,表1による。
表1−性能試験条件
性能試験条件
設定値
入口空気状態
温度:20 ℃±5 ℃
試験中の温度変動:5 ℃以内
湿度:常湿
試験中の湿度変動:20 %RH以内
温水状態
特に指定がなければ水道水
入口水温:85 ℃±3 ℃
流量:6 L/min,10 L/min又は20 L/min
ブロワモータ端子電圧
定格電圧12 V:13.5 V
定格電圧24 V:27.0 V
モード
吸込みモード:外気導入
吹出しモード:足元吹き出し
空気配管(ダクト)
受渡当事者間の協定による。
5.2
性能試験装置
暖房装置の性能試験装置は,次による。また,図1に性能試験装置の例を示す。
a) 空気槽 暖房装置の空気取入口に接続する空気槽は,JIS B 8330に規定するもの,又はこれと同等の
性能をもつものを用いる。
b) 吸込ノズル又はオリフィス 送風量測定のための吸込ノズル又はオリフィスは,JIS B 8330に規定す
るもの,又はこれと同等の性能をもつものを用いる。
c) 空気槽用送風機 空気槽内を大気圧に保持するために必要な風量を送風できる容量のものとする。
3
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d) 温水槽 暖房装置に温水を供給する温水槽は,所定の流量で85 ℃の温水を安定して供給できるもの
とする。
e) 電源 ブロワモータの駆動に用いる電源は,リップル電圧が,0.1 V以下の安定した直流電源とする。
図1−暖房装置の性能試験装置の例
5.3
測定器具
測定器具は,次による。
a) 温度計 空気温度及び温水の温度の測定には,最小目盛0.1 ℃以下,精度±0.1 ℃の温度計を用い,
特に,温水の入口・出口の温度を計測する一対の温度計は,指示値が0.1 ℃以内となるよう補正又は
V
A
空気槽用送風機
空気槽
温水槽
温水側圧力計
流量計
送水ポンプ
ファン
ブロワモータ
空気出口
回転計
ta2
tw1
tw2
空気槽静圧
測定孔
吸込ノズル静圧測定孔
空気入口
吸込ノズル
ta1
吸込ノズル入口空気温度,湿度
4
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選別して用いる。ただし,送風量の測定のため入口ノズル近くに設置する温度計の精度は,±0.2 ℃
でよい。
b) 温水流量計 温水の流量の測定には,±0.05 L/minの精度をもつ流量計を用いる。
c) 空気側圧力計 吸込ノズル,空気槽などの空気圧力の測定には,1.0 Paまで読み取れるベッツ形マノ
メータ又はこれに相当する精度をもつ電気式マノメータを用いる。
d) 温水側圧力計 温水側圧力損失の測定には,0.1 kPaまで読み取れる差圧マノメータを用いる。
e) 電圧計及び電流計 ブロワモータの電圧及び電流の測定には,JIS C 1102-2に規定する0.5級の計器を
用いる。
f)
回転計 ファンの回転速度の測定には,最小目盛20 min−1(rpm)以下のストロボ式回転計,光電式
回転計又はそれに相当する計器を用いる。
5.4
性能試験方法及び測定項目
5.4.1
性能試験方法
暖房装置を5.2で規定する試験装置に使用状態に近い姿勢で取り付け,5.4.2の各測定項目を測定する。
なお,測定は温水流量,入口温水温度及び吸込ノズル空気圧力がほぼ安定状態となった後に行い,空気
槽内の静圧は試験中常に大気圧に保持する。
暖房能力の計算は,5.5の計算式によって行う。
5.4.2
測定項目
測定項目は,次による。
a) 入口温水温度:tw1及び出口温水温度:tw2(℃)
b) 温水流量:Vw(L/min)
c) 入口空気温度:ta1及び出口空気温度:ta2(℃)
d) 吸込ノズル入口又はオリフィス入口における空気温度(℃)及び相対湿度(%)
e) 吸込ノズル内又はオリフィス板直後における空気の静圧(Pa)
f)
ブロワモータの電圧(V)及び電流(A)
g) ファンの回転速度(min−1)(rpm)
h) 温水の入口及び出口の圧力(kPa)
5.5
暖房能力の計算
5.5.1
修正放熱量
修正放熱量は,次の式によって算出する。
1
1
65
a
w
w
t
t
Q
Q'
−
×
=
ここに,
Q': 修正放熱量(kW)
Qw: 温水側放熱量(kW)
tw1: 入口温水温度(℃)
ta1: 入口空気温度(℃)
5.5.2
温水側放熱量
温水側放熱量は,次の式によって算出する。
)
(
06
.0
2
1
w
w
pw
w
w
w
t
t
C
V
Q
−
=
γ
ここに,
Qw: 温水側放熱量(kW)
Vw: 温水流量(L/min)
5
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γw: 温水の密度(kg/m3)
Cpw: 温水の比熱=0.001 163 kWh/(kg・℃)
tw1: 入口温水温度(℃)
tw2: 出口温水温度(℃)
5.6
送風量の計算
送風量の計算は,5.4.2のd)及びe)を基にJIS B 8330の6.3.3(空気量の算出)によって算出する。
6
騒音試験
6.1
試験条件
6.1.1
測定場所
測定場所は,測定周波数範囲内で,測定対象音と暗騒音との差が10 dB以上であることが望ましい。や
むを得ない場合には,JIS Z 8731によって指示値を補正する。また,周囲の反射体からの反射音の影響が
ない場所で行う。
なお,暖房装置からの距離が1 m及び2 mの位置における騒音レベルの差が5 dB以上あれば,反射音の
影響がないものとみなす。
6.1.2
測定条件
騒音の測定は,定格電圧12 V用は13.5 V,24 V用は27 Vで送風機を運転し,モードは受渡当事者間の
協定による。
6.2
試験装置
6.2.1
騒音計
騒音の測定には,JIS C 1509-1に規定する騒音計を用いる。
6.2.2
電圧計
ブロワモータの端子電圧の測定には,JIS C 1102-2に規定する0.5級の電圧計を用いる。
6.3
測定方法
6.3.1
測定位置
マイクロホンの位置は,通常,暖房装置の中心から上側45°,距離1 mで,車室の中心方向における位
置とする(図2参照)。
6.3.2
測定
騒音レベルの測定は,JIS Z 8731による。騒音計は,聴感補正回路のA特性で測定する。動特性は“緩”
(Slow)を使用し,単位はデシベル(dB)とする。
6
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注記 図中の●は,暖房装置のほぼ中心位置を示す。
図2−暖房装置の騒音測定位置
7
試験成績の記録
試験の結果を,試験成績表に記入する。試験成績表の様式例を,表2に示す。
空気出口
空気入口
空気出口
マイクロホン
マイクロホン
1 m
45 °
7
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表2−暖房装置試験成績表の様式の例
公称暖房能力
kW
製品番号
試験年月日
公称送風量
m3/h
製造者名
気圧
kPa
試験者
試験項目
測定項目
単位
1
2
3
4
5
性
能
試
験
暖房能力
入口温水温度:tw1
℃
出口温水温度:tw2
℃
入口空気温度:ta1
℃
出口空気温度:ta2
℃
温水の密度:γw
kg/m3
温水流量:Vw
L/min
温水側放熱量:Qw
kW
修正放熱量:Q'
kW
送風量
吸込ノズル径
mm
吸込ノズル静圧
kPa
吸込ノズル空気温度
℃
吸込ノズル空気湿度
%
空気の密度:γ
kg/m3
送風量
m3/h
消費電力
電圧
V
電流
A
ファン回転速度
min−1
消費電力
W
温水側
圧力損失
温水流量:Vw
L/min
差圧
kPa
騒音試験
単位 dB
騒音レベル
聴感補正
回路(A特
性)
内外気
内気
外気
外気
外気
吹出口
FACE
FACE
FOOT
DEF
温度調節
Max Cool
Max Cool
Max Warm
Max Warm
電圧
V
V
V
V
V
暗騒音